レビューメディア「ジグソー」

初挑戦、漫画の難しさを知り、500頁ユーザーガイドの親切さを知る。

パッケージ内容紹介。

 

 

500ページ近いユーザーガイドにも驚かされましたが、

同人誌印刷所の案内用紙には度肝を抜かれました。

流石です。

 


 

 

モノクロ漫画というのは、普通のイラストなどと違い、

大多数が『2値』で描かれています。

 

ここでいう2値とは『黒/1』『白/0』という2データのみ使用されていると言う事で、グレーを使用する事はありません。

 

これは印刷云々が云々で云々という理由です。

 

CILP STUDIO で描いたものと、

このComicStudio で描いたものを比べてみます。

 

 

 

縮小して観ると(各画像左上)殆ど分かりませんが、

コミックスタジオでの表現は完全に2値であることが分かるかと思います。

 

そしてこの2値、アンチエイリアスが掛からないので、

綺麗な線を引くのが非常に難しいのです。

(言い訳)

 


 

コミックスタジオには、1つフォントが付属しています。

漫画で基本的に使用されるのは

ゴシック体とアンチック体の合成フォントで、

個別に買うと高く、(私も個人的には所持していません)

また、合成フォントを使用できるソフトウェアも珍しく、

肝心のコミックスタジオも合成フォントには対応していません。

 

となると、そのままでは漫画の写植が行えません。

そこで、I-OTFアンチックStd B

というイワタのフォントをパッケージしていると言う訳です。

このフォント、個別に購入することもできるのですが、

コミスタ定価の1/3程しますので、

この封入だけでも相当なお得感があります。

 


 

 

 

 

と言う訳で、何か描いてみました。

 

 

背景を描く時間が惜しかったので何とも薄っぺらいですが、

(内容もないよう)

『2値』に苦戦しているのが見て取れるかと思います。

最初に描いたピコちゃんでは線の太さが安定しておらず、

ナノちゃんで安定し始めるも、トーンで大苦戦。

最終の漫画投稿の為にも色々勉強しなくてはいけません。

 

 

 

因みに下書き段階ではこんな感じ。

断裁されるライン(仕上がり枠)だとか、

断裁のマージンだとかの枠を考えながら、

中央の長方形にコマを納めて行きます。

広く使いたい場合は断裁のマージンを考えながら、

仕上がり枠に絵を収めながら、マージンいっぱいまで描きます。

 

下書きが青いのがデフォルトで、

これは単体のイラストを描くときも結構多くの人が使っている色です。

というのも、下書きの後には黒色で線画(ペン入れ)を描くのですが、

その時に下書きが黒色だと透明度を下げたところで線の区別がしづらく、

青色を使うと、下書きと線画が綺麗に分離して見えるからです。

 

本来は下書き以前のプロットを考える段階、

次いでネームという段階があるのですが、

レビュー用に1枚描くだけだったのですっ飛ばしました。

 

 

 

全レイヤーを表示させるとこんな感じ。

因みにU310の画面の小ささもあって、

ワークスペースには最小限の物しか置いていません。

 

この流れで、ついでにコミスタのメニュー紹介を。

無駄に長いので(

 

 

同じセルシスの商品で有りながら、

クリスタとインターフェースは完全に別物です。

 

クリスタの方が新しいので、

そちらと統一しろというのも無理な話ですが、

同時期に使うとお互いのインターフェースで違和感があります。

 

また、ワークスペースの拡張性が乏しいです。

パレットの配置の自由度は低く、

そこはもう少し融通を利かせて欲しい部分です。

 


 

もう一つ、クリスタにあってコミスタではできない設定があります。

個人的には致命的に描き心地につながる設定なので、

いつかアップデートで直して頂けると助かるのですが、

 

 

カーソルに『ブラシサイズ+十字』の設定がありません。

私はブラシサイズとブラシの中心を確認しながら描きたいので、

フォトショでも、クリスタでもそういう設定にしています。

 

これに対応するアップデートに期待しています。

 


 

 

 

さて、肝心の使い勝手について。

 

まず、そもそも漫画制作ソフトは他に選択肢があるかと聞かれると、

正直私もコミスタしか知らないです。

SAIとかフォトショを使用している人の話はちょくちょく聞きますが、

つきあいがある漫画家/同人作家さんは、

基本的にコミスタを使っていらっしゃいます。

 

私が1ヶ月も使用できていないうちに、

これが駄目だ、アレが駄目だというのは憚られるのですが、

兎に角、1つ言えるのは、

 

同封されている500頁弱のユーザーガイドを読まないと、

本当に使いこなすことができない作りになっているのが、

結構なハードルの高さとなっています。

 

コマ、吹き出し、トーン、ベタ、線画、

そう言った色々なレイヤーの特殊さだとか、

お互いへの重なり順だとか、

クリッピングマスクだとか、

それらが複雑に整頓されてデジタルな漫画が構成されます。

 

つまり、このツールで原稿を制作する上では、

しっかりとレイヤーやツールの仕組みを理解し、

ある程度の印刷の知識などが要求されます。

 

勿論、ユーザーガイドを読めば良いだけの話で、

むしろこれだけのガイドを同梱しているということ自体がまず奇跡のような話です(笑)

 

初見の難しさも類を見ませんが、

パッケージに本を入れる親切さも類を見ません。

初心者には絶対にパッケージ版の購入をお勧めします。

 

 

少し短くなってしまいましたが、もう少し熟練を積んだ後に、

冒頭の漫画(?)を描き直すという形で追記したいと思います。

 

 

2012/10/13 付属フォントの話を追記

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