PCを購入する時、一体、どんな条件で選んでいるだろうか?
元々Macintoshユーザーであった自分の場合は、そもそもBTOの様な発想はなく、値段的に許される上限のものを…という発想であった。(NECのPC-9800シリーズもそれに近い感覚だったと記憶している)
しかし、1995年ニュージーランドに留学した際、現地は基本的にPC/AT互換機で、パソコンショップなる専門店でCPUを取り替えられたり(Pentiumが高価だったため、出たばかりのCyrix 5x86を使用したPCがチラシの一番目立つ所を飾っていたりした)メモリやハードディスクも自在に選べたりした。
帰国後、日本でもBTOパソコンや自作パソコンがちらほら出始め、大学入学と同時に自分も当時流行していた(牛柄の)Gateway社製BTOパソコンを購入した。当時はソフトウェアがCPUそのもののスペックよりもメモリ容量を重視していた事もあり、CPUは比較的安いものを選びながら、メモリは大容量のものにした覚えがある。
今は、PCの基本性能が上がったため、PCの選び方はさらに細分化している感がある。つまるところ、メールチェックとネットサーフィン程度であれば、29,800円のノートでも事足りる。ワードやエクセルをしっかり使うとしても、49,800円あれば『使える』パソコンが買える。
では、ゲームがプレイできるPCとはどんなものだろうか?
それが、今回レビューするマウスコンピューターのG-Tuneブランドである。
もちろん、ゲームにも様々な種類のものがある。WindowsXPなどに標準で搭載されていたマインスイーパーやピンボールもゲームだし、Final Fantasyシリーズの美麗なグラフィックスがPC上で再現されるようになってから、もう何年も経っている。
そうなると難しいのが、いったいどこまで投資すれば快適なゲーム環境を構築できるのか?どのような組み合わせでパーツを揃えれば無理なく無駄なくストレスなくプレイできるのか?といったところになる。
その明確な答えの一つが専業ブランドにより提供される推奨PCだ。
今回レビューするNEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWSはWorld of Warshipsの推奨PCだが、バランスと言う意味では、他の3DCGを使用するゲームに対しても良好と言えるであろうモデルである。つまり、10万円の予算が合って、その予算配分をどうしようか?と悩んでいる場合に、それを最も適切であろう按配で組んでくれているのがG-Tuneのシリーズである。
では、早速、見ていきたいと思う。
数字で見る im570SA3-WOWS とWorld of Warships
現在、私は主に二台のPCを使用している。
数年前に組んだデスクトップPC(i7-4770/32GB/GTX970)と先日導入したノートPC(i7-5557U/16GB/オンボード)である。
今回レビューするNEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWSは、上記のPCと較べると、どちらかというと『入り口』的な製品である。
それは、値段にも如実に現れていて、99,800円(税別)という驚きの5桁である。
上で紹介した自作デスクトップPCは約19万円、ノートPCは約25万円であった事を考えると安価と言えるが、それでも、World of Warshipsをプレイするには十分だと言う。
World of Warshipsの必要動作環境と推奨動作環境は以下の通り。
必要動作環境
CPU:Intel Core 2 Duo(2.6GHz)以上、具体的にはT9500か?
PassMarkスコア 2533
RAM:2GB以上
GPU:GeForce 8800GT 以上 PassMarkスコア 759
推奨動作環境
CPU:Intel Core i3(2.4GHz)以上、具体的には3210か?
PassMarkスコア 3956
RAM:4GB以上
GPU:GeForce GTX460 以上 PassMarkスコア 2639
そこで、上記の数値を参考に、このNEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWSを数字的に見ていきたいと思う。
NEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWS
CPU:Intel Core i5 6400
PassMarkスコア 6537
必要の2.58倍/推奨の1.65倍
RAM:8GB
必要の4倍/推奨の2倍
GPU:GeForce GTX960 PassMarkスコア 5977
必要の7.87倍/推奨の2.26倍
上記の通り、World of Warships推奨動作環境に対しても、かなり余裕を見たスペックとなっており、なるほど、快適にゲームができそうだと感じる。
ところで、自分が現在使用しているマシンも含めて『PassMark』スコアを比較したのが、以下のグラフである。
海軍を怒らせて、ただで済むと思うなよ!
個人的にCSの『ザ・シネマ』が大好きなのだが、ちょうどこのレビューを書き始めた2016年4月の特集のうちの一つのタイトルが、この『海軍を怒らせて、ただで済むと思うなよ!』
特集自体が毎度、どこかぶっ飛んでいて好きなのだが、この特集では自分の大好きな(B級)映画『バトルシップ』も放映されていたわけで、パソコン上でプレイしながら
『Let's drop some lead on those Mother F**...』
『FIRE!!!』
という、少しハイな状態になれそうなのが、このWorld of Warships。
とはいえ、私、ゲーム業界出身のクセにゲームが苦手。シューティングゲームとアクションゲームは鬼門と来たわけで、果たして、楽しくプレイができるのかと言う不安がレビュー前から沸々と。
しかもレビュー応募の際に書いたのが『(前略)World of Warshipsを最低20時間プレイして(以下略)』という文言。
ゲーム、特にリアルタイム系の3D系のゲームに限って言えば、恐らく「10年」という単位でプレイしていない。もっと言えば、リアルタイムのオンラインゲームはプレイしたことがない。
そんなネットゲーム初心者だが、登録は至って簡単。メールアドレスを登録して、ダウンロード&インストールするだけ。ネットゲームだけにクレジットカード情報などが必要なのかと身構えたものの、そういったものも全くなく、本当にメールアドレスしか要らなかった。
というわけで、起動して5分としないうちに、なんの説明も読まずプレイしてみたのがこちら。
まずもって、前進するより前に後退している辺りが『勘取りが悪い』と言わざるを得ないし、全く弾が当たらない。
そもそも、どこを見てるのかというのが感覚的につかめていないのが良く分かる。
ただ、プレイヤーとして最初に目に入ったのは映像の細かさで、特に空の表情は幻想的なレベルで綺麗。また、設定はnVidiaのGeForce Experienceに準拠したが、体感できるようなコマ落ちもなく、極めてすんなりとプレイできた。
付属しているキーボードとマウスはゲーム用の物ではなく、極標準的なUSB日本語キーボード (102キー)とオプティカルホイールマウス。
個人により感覚は異なると思われるが、自分はWorld of Warshipsをプレイしている限りに関しては、特に不満も、扱いづらさも感じなかった。基本的には左手をキーボードに、右手をマウスにという事になるのだが、扱うキーは左側にまとまっており、特に問題は感じない。
具体的には、移動に使うキーは『Q』『W』『E』『A』『S』『D』、『1』~『3』までの数字キーで攻撃に使用する武器の選択、艦の修復などに『R』『T』『Y』、ズームインに『Shift』辺りが基本となる。
『X』キー(砲身の方角の固定)や『M』キー(地図参照)にも機能はアサインされているが、なくてもプレイ自体は可能で、初心者である自分は頭脳が付いて行かないのでほとんど使用していない。(また、設定でキーは自在にアサインできる)
NEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWSで唯一『不満』があるとすればサウンドで、イヤホン端子から直接音を出すと、どうしてもノイズを拾ってしまう。
スピーカーから音を出す事も考えてUSBオーディオインターフェイス(iCON CUBE PRO)も使用したが、実際にはヘッドホンの方が没入感があるため、それだけであれば、USBDAC(Cyberdrive Feather DAC)で事足りる。
ノイズもイヤホン・ヘッドホンだと気になるというレベルなので、スピーカーを直接つなげられる環境にあるのであれば、本体と標準の付属品のみで十二分にWorld of Warshipsが楽しめる。
さて、このWorld of Warshipsでは、好きな艦を自由に選べるわけではなく、順番にしか選ぶことができない。つまり、日本、ロシア、ドイツ、アメリカのいずれかの国を選んだ方が進めやすいわけだが、直前までバトルシップを見ていたため迷わずアメリカを選択。我ながら単純な思考回路だが、残念ながら作中で活躍した戦艦ミズーリは登場しない。同型の一番艦である戦艦アイオワは10段階中9段階目という雲の上の存在としてチャート上では確認できたので、もちろんそれを目指しつつ、着実に、ゲームを進めていくことにする。
やり始めて最初に感じたのは、チュートリアル的なバトルでも気付いていた通り、とにかく綺麗。
雪の日も、雨の日も、晴れの日も、夕暮れも、正直、映像を見ているだけでも飽きない。
そして、これは誰もが感じる事なのかは不明だが『動く的(マト)はイイ!!』
やはり、動く的はテンションが上がる。まぁ、自分も動く的であり、かなりの確率で撃沈されているわけだが、それでも、やはり動くものを狙うのは楽しい。
それと同時に、昔、白黒のMacintosh(PowerBook170)でプレイしたフライトシミュレーターのワクワク感と通じる、操る楽しみもある。
特に自分より大きな船を撃沈したり、魚雷が当たったりすると、やはりテンションが上がる。
そんなこんなで、実はあっと言う間にプレイ時間20時間は超え、レビューを書き始めたときには30時間を少し超える程度のプレイ時間となった。
最初のほうは撃沈された際にゲームをスキップできることに気付いていなかったためタイムロスもあったが、後半は比較的サクサクとプレイした(それだけ撃沈された)。
それでも、空母までは届かず、戦艦と巡洋艦がTier4まで、駆逐艦がTier3までとなった。
ゲーム数としては
Co-op戦 40戦31勝 / 撃沈艦数37 / 生還回数16
ランダム戦 74戦30勝 / 撃沈艦数35 / 生還回数14
となり、まぁ、悲惨な成績と言えるが、全くの無課金、完全なる無料プレイで、だからといって戦いが辛いかと言えばそんなこともなく、むしろ、かなりしっかりと楽しんでいる。正直に言えば、どこに課金要素があるのかがイマイチ分からない。というのも、実は個人的に、今のところ一番楽しいのが、巡洋艦『ST.LOUIS』だからである。
そもそも、このゲームには四種類の艦があるのだが、それぞれに特徴がある。今のところ『空母』は扱ったことがないので分からないが、駆逐艦はスピードが速いが、砲の数と威力に欠け、威力の高い魚雷を使用して相手を沈めるタイプ(ただし、相手の攻撃には弱い小型艦)、戦艦は相手の攻撃には比較的強く、また威力の強い砲を持っているが、数が少なく装填時間が長いため、撃ちまくることができない。
対して、巡洋艦はバランス型ではあるが、弾の装填が早く、ST.LOUISは砲の数も多いので、まさに『撃ちまくれ!!』るのである。
ゲームの目的がなんなのか、経験値を稼いで早く上位の艦を手に入れることなのか、ストレスの発散なのかなどの用件によっても異なるが、極個人的には、この『撃って撃って撃ちまくれ!!』スタイルは非常に気持ちよく感じる。
そして、なにより、撃ちまくって画面上を弾が激しく行き交っても58~62FPSをキープしてくれているのが、この、NEXTGEAR-MICRO im570SA3-WOWSなわけで、ストレス発散をストレスなく行わせてくれる、本当に良くできたゲーム用PCである。
強化するべきところを強化したPC
マウスコンピューター自体がBTOメーカーとしては大手であり、親会社のMCJとして見れば、ユニットコム(パソコン工房やグッドウィル、iiyamaを擁する)、テックウインド(ASUSやWDの正規代理店)等を擁する日本でも有数のパソコン系商社である。
そういう意味で、かなりスケールメリットを活かしてBTOパソコンを送り出してきている。
CPUは極一般的なINTEL社製『Core i5-6400』であり、なんの変哲もない。
しかし、マザーボードのECS社製『H110M-SI01』、SSDのKingston社製『RBU-SC400S37240GG』、メモリのKingston社製『99U5403-082.A00LF』といったモデルは、一般的なパーツショップや価格コムで見かけることは少ない様で、BTOなどのために専用で作られているものの様である。
グラフィックカードはZOTAC製で、ファンの形状を見る限りnVidiaのリファレンスモデルに近い感じ受ける。
では、お気に入りの愛くるしい猫様が大活躍するCatzilla 1.3のベンチから。
スコアは16789。
【参考スコア】
i7-4770/GTX970:23607
i7-4770/GTX660:15016
二世代前とは言えスレッド数が倍のi7+GTX970と較べると分が悪いが、二世代前のミドルレンジGeforce+i7よりも結果は良好であった。この組み合わせで約20万であったので、半額で同等の性能を出せるようになったともいえる。
続いて、モンスターハンター大討伐
スコアは13350。
【参考スコア】
i7-4770/GTX970:25095
i7-4770/GTX660:12419
こちらもベンチを見ているレベルではプレイに支障がある感じは見受けられない。
最後にCryastarlDiskMarkだが、こちらは測定方法が変更されており、過去のデータとの同一基準での比較ができないのが残念な所だが、以下の通りであった。
個人的なイメージとして、BTOなどに向けて専用で作られている製品は値段をどこかで落とすために性能を削っていると言ったものであったが、4Kの数字を見る限り、Intel社製とまでは行かないものの、Samsung 840 EVOなどよりも良好な数字を出している感じである(世代も違うが)。
ただし、『ST.LOUIS』の紹介に使用した動画のレンダリングにかかった時間はVegas PRO 13で14分21秒、i7-4770/GTX970環境では8分40秒であった事を考えると、動画編集、3D映像制作などには、もう一段スペックの高いPCが望ましいと言わざるを得ない。
良くまとまったコンセプトPC
コストパフォーマンス的に見ると全体的な完成度は非常に高い。
特に長時間プレイでは意外なほど音を上げやすい電源部分にFSP社製(マウスコンピュータ側からも色々と注文を付けているとの記事も)の80PLUS SILVER準拠の500Wモデルを投入していたり、ケースもIN WIN社製のもので、メッシュが取り外しやすく大型のファンを備えエアフローを余裕を持って取っているなど、『安く仕上げよう』精神よりも『安定するものを』精神が感じられるのは非常に安心できる。
もちろん、これらを犠牲にしてまでやって欲しい…というわけではないが、記憶領域が240GBのSSDのみと言うところは、完全にゲームしかやらないと決めてしまえば良いが、ゲームをしつつ、たまには他の作業をしたいという場合にはかなりのネックとなる。
また、メモリが8GB*1という構成なのは『惜しい』と感じる所。同じ8GBでも欲を言えば4GB*2のデュアルチャンネルとして欲しかった。
幸い、IN WIN製のケースは内部へのアクセスが極めて容易かつスペースが十分にある物のため、増設にはさして労力を要しない。もちろん、BTOも可能なため、増設に自信がない人は最初に頼んでしまえば特に問題もない。
自分の環境に限って言えば、原則Wi-Fiのため、アダプターを必要とした(これもBTOのオプションにあるので、注文時に加えることが可能である。そもそも、本当はケーブル接続の方が通信が安定するため、ネットゲームを楽しむのであればWi-Fiは邪道かもしれない)
スペックのところでも言及したとおり、3D映像制作(AfterEffects)や動画編集をある程度本格的にやろうと思うと、ハードディスク/SSDの容量的にもかなり無理がある。しかし、単純にゲームを楽しむのであれば必要な所に必要な投資がなされた、極めてコストパフォーマンスの高いパソコンだと感じた。
さらに欲を言えば、World of Warships推奨パソコンと銘打っているのだから、World of Warshipsはインストールされた状態で、始めるときには登録と最新版との差分ファイルDLで済むようにしておいてもらえれば、より「推奨パソコン」らしさが出るのではないかと感じた。
また、GeForce Experienceは、ぜひ、プリインストールしておいていただきたい。
もちろん、最新版をDLしてくれば済むじゃないか!とも言えるのだが、GeForceを使いこなす上では個人的に必須だと思っているので、もし、使用していない人がいれば勿体無さ過ぎる。
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