無改造ではDVD鑑賞やゲーム向き
初音出しの印象は音像がかまぼこ型(中域が前に出る)であることと量が多く柔らかい低域が全体の音色を決定していると感じます。裏返すとすこしコモリ気味で、高域のパワーが不足している印象です。
アクションものやディザスターものの映画タイトルなどで、地鳴りや爆発音はどろどろと部屋を揺るがすような迫力のあるものです。
しかし音楽を聞こうとするとこれらの特徴が邪魔をして低域が非常にブーミーであり、途中でプレイヤーをオフにしたくなるほどです。
また中高域に音の濁りが感じられ、ここを解消しなければなにをしても良い音は楽しめないと感じました。
加えて解像度が低く、音場構成力の低さが気になります。
強すぎる低域の制限と中高域の音の濁りを排除し解像度改善の方向性を探る
セッティングとバスレフポートの制限で低域の量を調整し、ネットワークをチェックすることで中高域の濁りを改善する。
解像度についてはアンプ実装部品を確認の上判断します。
開梱
画像ファイルが増えそうなので、モーションGIFにしました。
商品箱や緩衝材を傷めたくないので、いつものように箱の底側を開いて商品を緩衝材ごと抜き出します。
①緩衝材ごと抜き出す
②緩衝材と商品を同時に取り出します
③付属品一式スピーカーケーブル・RCAケーブル・AUX入力ケーブル・日本語取説・外国語取説・Zigsowさんからの案内状
外観
木地を黒塗装したような表面は、価格なりの品質感です。昔のミニコンポ付属スピーカーによくあった木目シートでごまかすといったことがないため、かえって清々しいくらいです。
大きさは思ったより小さいもので、PCの横に置くにも現実的なサイズです。
ユニットは116mmウーファーと13mmツィーターの2way構成です。
今回のプレビュー締め切りが1/11とスピーカーのインプレッションを書くにはすこし期間が短いことが気になってたのですが、ウーファーのエッジを確認してみるとかなり硬い感じです。エージングが間に合えば良いですが。
初音出し
夜間かつ集合住宅ということもあって、大きな音は出していません。
エージングがまだまだなので評価は不能ですが、とりあえずは柔らかい音の傾向のようです。
若干篭もり気味なのやスケール感に乏しいところは、アンプ部やスピーカーユニットが馴染んでくるまでの要観察ポイントです。
以前もっていたBEHRINGER MS40と比べると、あれほど低域が強いものではないですが、同一傾向の音色です。
セッティング
机にベタ置きしてみたところ、やはり輻射音で音が全体に濁ってしまいました。
またツィーターの指向性が結構ナローな感じを受けましたので、内向きになるよう斜めに設置しました。
ダブついてた低域はBASSブーストつまみをゼロに落としたことと、高さを上げツィーターが耳の高さに近づいたおかげで高音域が強調され、調度良いバランスになりました。
初回インプレ
音質の性向としては、ハッキリクッキリなモニターライクなものとは全く異なります。
柔らかく丸みのある聴き疲れしない音質です。
一方、Fostex FF105WKを聞いた後でこいつを聞くと、モコモコとして籠った感じも受けたりします。
過去に聞いたもので同一傾向のものは、Kenwood の LS-SA7です。
長時間聴いていても聞き疲れすることはありません。しかし、ドラムやパーカーッションの張りのある音は苦手なようです。
エージング不足のためか、クラッシックのフルオーケストラ編成なソースでは、ヴァイオリンパートの音が薄っぺらく感じられました。途中で再生を中止したくらいです。
ヴァイオリニストのソロアルバムや室内弦楽四重奏などでは、美音を聞かせてくれます。
音質に若干ですが色がつきます。その分、ヴォーカルものでは好みは分かれると思われます。
中高音域に音の暴れが感じられます。エージング不足が原因だと良いのですが・・・
CDプレイヤーやスマートフォンをつないで見る
docomo Xperia Z1 f SO-02Fをつないで見る。
ケーブル反対側のミニジャックをスマフォのイヤホン端子へ
耳がスピーカーに慣らされてきたのか、あっさりとふつーに良い音で鳴っています。
ただし、Xperiaの出力の問題かスピーカー内蔵アンプのゲインの制約なのかわかりませんが、スピーカー側ボリュームは最大で通常聞く音量になってます。音質的にはXperiaのアナログ出力が水準以上なのか、PCからの音質と大差ありません。
ここで音質が落ちるようなら、OTGケーブルとDACを用意して出音すると良いと思われます。
CDプレイヤーをつないで見る。
これもまた特に問題なく出音しています。
CDプレイヤーとしては中級機なこの製品にはLin Outのレベルコントロールがついています。
が、普及機や入門機にはこのLine Outレベルコントロールがついてないものが多いようです。この場合、R100本体のボリュームで音量調整をしないといけません。リアバッフル側にボリュームがついているので手間です。
内部確認
ウーファーを取り外して覗いてみます。
この価格帯のスピーカーとしては、大きなマグネットが使われています。
ちょこっと見える吸音材を取り外すとアンプ部がリアのコントロールパネルに組み付けられているところが観察できます。
リアパネルを取り外してアンプ基盤を確認してみます。
アンプICはTxas InstrumentsのTAS5713ですね。コンデンサは台湾製AconブランドとKJSとかいうメーカーのものが使われています。パワーインダクタは、なにやら頼りなさそうな奴が・・・
このあたり交換するだけでも、高音質化できそうな気配。
電源部を確認してみます。
アンプのキモの電源。簡単なスイッチング方式ですね。R1000ではトランスが使われていたようなので、ちょっと残念かも。使用部材も廉価なものが使われているようです。
次にスピーカーのネットワークを確認してみます。
パッと見無いように見えたのですが、ツィーターにバイポーラタイプの3.3μFが直接取り付けられていました。
【2016/01/18追記】
うっかりしてました。画像を見てわかるように、ツィーターは逆相接続されています。極性を逆にして音量を落とすようにセッティングされています。高域の音量が不足していると思われる方は、繋ぎ直すと良いかもしれません。
ネットワークに手を入れ中高音域の濁りを解消する
初音出し時から気になっていた中高音域の濁りを解消しないと、まっとうなチューニングができそうにありませんので、まずはここから着手。
中域をすっきりさせるためにツィーターの動作を高域側に寄せます。そのために標準の3.3μFから2.2μFにコンデンサの容量を下げます。
まずまずの結果です。エージング不足なので若干高域が暴れていますが、伸びしろが増えたことと量感が増えたことで張りのある音が出てきました。
ヴォーカルが前に出て、アタック音もしっかりと楽しめます。これまではDVDのアクションシーンなんかで地鳴りの音はよかったのですが、破裂音が丸まっちゃってて今ひとつ臨場感にかけるように聞こえてました。これもある程度解消したようです。
ネットワークは本格的に組めば明らかに音質が向上するのですが、ヘタすると本体代に迫るか超えてしまいそうな価格になってしまいます。現実的ではないと思いますので、ネットワークはこれで完了ということに。
解像度の向上は?
解像度が低く音場がとても狭く感じらます。
この状態を解消するにはアンプ基盤と電源部の総体的見直しが必要になります。
①電源部
スイッチング電源が用いられていますが、とても簡単なものでその安定性やEMC対策の精度がとても不安です。
ここを改造ベースで対処するよりは、作りなおしてしまうか外部電源化して、高品質なスイッチング電源を使用するかリニア電源を用意したほうが現実的でしょう。コスト的にかなりかかってしまいますが。
②アンプ基板上の実装パーツ
水晶発振子をより高精度なものに交換し、パワーインダクタを信頼性の高いものと換装する。
と言ったことが考えられますが、実際にどの程度の改善が見られるかは高品質なTAS5713アンプを聴いてみないとなんとも言えず、ちょっと手が出しにくく躊躇しているところです。
TA2020を使用したアンプでスピーカーを鳴らしてみる
手持ちのTA2020アンプの一番のお気に入りであるFX-Audio FX202Jでスピーカーを鳴らしてみます。
いわゆるパッシブスピーカーとして鳴らしてみるということですね。
低域の量の多さは変わりませんが、解像度が上昇して良音に聴こえます。
無改造で良音を楽しむためには
まずは自分好みのセッティングを見つけ出すことがポイントとなります。私の場合、ブーミーな低域が大ッキライなので、接地面が設置場所より12cm〜20cmほど上げて硬い素材のインシュレータを噛ますと良い感じになりました。
また低域が緩く感じられましたので、梱包用の緩衝シート(発泡素材の薄いシート)を丸めてバスレフポートに突っ込み、ポートの口径を変化させて低域を制限しました。随分と効果を感じることが出来ました。
付属の左スピーカー用ケーブルが細く、不安があったのでBelden8460相当(20年ほど前のもの)のケーブルに交換したところ、心なしか左chの音量・音質が上がったような気がするようなしないような・・・
DVD・ゲーム用にして音楽再生もひと工夫で
プレミアムレビュー期限内でのエージングもこれが限界かと思われますので、最終的なまとめを。
エンクロージャー設計
PCスピーカーとしデスクトップに置くことが現実的なサイズで十分な低域を獲得するために、少し軽めの素材にして箱鳴りを利用しています。またスピーカーユニットに対して大きめのバスレフダクトを用いることで、低域を伸ばすよう設計されています。従って低域は切れのあるものというよりは、量を確保することが目的のように思われます。
スピーカーユニット
この価格帯のものとしては頑張ってるほうだと思います。当初ダルい音でしたが、エージングが進むに従っ、音に切れが出てきました。音質の性格は柔らかく、角の立たない聴きやすいものです。DVDやゲーム向けであればこれで十分でしょうが、音楽再生となるともう少しメリハリの効いた出音のほうが好みだったりします。
ネットワークですが、当初ツィータ用に3.3μF(カットオフ 12000Hz位か)が実装されていました。個体差があるのかもしれませんが、中高域が濁った感じが強かったので、2.2μFに容量を下げることでカットオフを18000Hz程度に上げ、ツィーターの動作範囲を狭くしてあげました。結果中高音域はすっきりし、とても聴きやすくなりました。ここはDaytonあたりのブランドにしたほうが、癖がなくて良かったかもしれません。
アンプ・電源
いわゆるデジタルアンプが用いられています。アンプICはTI社のTAS5713という石が使われています。この石については、Web上にアンプ単体としての使用実例が少なく判断基準がありません。アンプ基板上のその他のパーツは、オーディオ品質とは程遠いものが使用されています。これらを総取り替えするだけでも、アンプの基本性能である定位や分解能はガラリとかわるでしょう。
電源はアンプに使用するにはちょっと貧弱なスイッチング電源が用意されていました。アンプの電解コンデンサ・インダクタを上質なものにするか、この電源部をもう少しノイズ対策のしっかりしたものにすれば、一クラス上の商品との競合も可能な気がします。
無改造でより高音質化を狙うなら
ツィーターの指向性がかなり狭いので、ツィーターを耳の高さまで上げる設置方法を取り、リスニングポイントに向かってスピーカーを斜めに置くことがポイントです。
低域の量が多すぎると感じたり低域にキレが欲しい場合は、バスレフダクトの径を狭くしてやると良いです。具体的には、ダクト径のコルクやゴムなどを用意して、中心に穴を開けます。最初は小さく開けて、好みの音になるまで少しずつ穴を大きくしてゆきます。また、全体的に歯切れの良い音にしたかったらウーファーを取り外して、エンクロージャーの左右側に角材をボンド付けしてやると良いです。
結論
DVD・ゲーム用ではありますが、ひと工夫で十分音楽鑑賞にも耐えられる商品です。コスパは決して低くはありません。これまでPC付属のスピーカーや、廉価なUSB2.1chマルチメディアスピーカーしか使ったことがない方がこれを使われると、別次元の音に聞こえると思います。
mr_osaminさん
2016/01/04
けれど、再生環境として接続がシンプルになるとか、PCの内部スピーカーで不満足な方には納得感があると思います。
値段も手ごろな機種が多いですが、スカスカの音しかでないサプライ品と違って、少しオーディオを意識したモデルということでの評価になると思います。
いっそのこと、TA2020アンプ基板に換装してしまうとかw
baelさん
2016/01/04
TI社のデータシートとか評価キット覗くと、結構面白そうですし。
> いっそのこと、TA2020アンプ基板に換装してしまうとかw
NFJさんにまだあるだろうと思って、全部うっぱらっちゃいました orz
baelさん
2016/01/18