「引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術」をレビューさせていただくことになりました。しばらくお付き合いください。
1.(概要)「引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術」ってどんな本?
ビジネストレーナー豊田圭一さんによる、逆境、失敗、本番に強くなる29のコツが書かれた本です。
打たれ強さは、”スキル”で身につけることができる…とのこと。
「打たれ強い」と言われる人はどういう人なのだろう?(本文ママ)
主に海外の厳しい環境下において、人材育成プログラムのコーディネートを手掛けている豊田さんによると、打たれ強い人には、大きく次の3つのタイプがあるのだとか。
1つ目は「鈍感な人」
=打たれ強いというより打たれていることを感じない鈍い人、仕事でも評価されない
2つ目は「自信がある人」
=自信があるから何を言われても動じない、精神的なタフさを持った人
このタイプになるには、かなりの時間と経験が必要
3つ目は「切り替え上手な人」
=凹むことがあっても長く引きずらない、心構えとスキルでなんとかなる
2つ目ような「自信のある人」のレベルに到達するには、時間も経験もものすごくかかるため、すぐにどうにかできるということは無理です。しかし、3つ目のような「切り替える力」は、先天的な能力でなく、スキルや心構えであるので、トレーニング次第で身に付くのだそう。
切り替えを心掛けていくだけで、少しづつ自信が積み重なっていき、精神的にも打たれ強い「タフさ」を身につけられる…と。また、心の強さとは、我慢や耐えることではなく、どんな環境や状況でも楽しんでみることであると。
そんな思考術が書かれています。
2.(理由)この本を読んでみたかったわけ
私はすぐ凹む人間です。ちょっとでも、誰かに何か言われると、「ああ、だめだなぁ~」ってベッコベコにぺったんこになってしまうし、何かミスをしてしまって怒られた”相手”や、過去にしくじった”相手”へも、いつもどうしたらいいのかわからずビクビクしながら対応していたり…。
あまり具体的には言いたくはありませんが(w)
年齢が上になった分、昔よりはまだ耐性はついた気がしますが、根本はそう変わっていない気もします。そのあたりどう変えていけばいいのかのヒントを得たい…と言うのが今回この本を読みたくなった次第です。
レビューに選出されなくても読もうと思って、すでに図書館で借りていたのでした(w)
3.(読後感)「失敗してもいいんだよ、次につなげれば」と背中を後押ししてくれそうな本。
さらっと読めてしまいました。
元より、本を読むのは嫌いではないので、読めるのがあたりまえなのかもしれませんが、考えが合わないというか、理屈をこねくり回しているだけの文章は目に映っていても脳に入ってこないし、何度読んでも理解できない。あと、言いたいことがはっきりしてないのも、読み終えられないのです。
でもこの本はそんなこともなく、スーッと読めて、スーッと納得できる。そんな感じ。
筆者の実体験を交えての柔らかい言葉で書かれた本だからでしょうか。
そうそう、そうなのよ、それ私も思ってたのよ、と思うところと、ああ、そうすればいいのか!と感じたところと。 表紙の「キリカエール」=切り替えるがこの本のすべてを表していますね。
中に書いてあるポイントをここですべて挙げてしまうと、読む意味がなくなるので、いくつか私がイイな、と思ったところだけメモしてみます。
失敗することが前提、と前もって意識を切り替えておく
最善を尽くしつつも、結果的には失敗することが当然と思っておく
(POINT01 失敗についての捉え方 より)
「失敗したらどうしよう?」でなく、失敗はするものだと思っておけば、失敗したことを落ち込む時間は最小限になるし、それよりも「今これからどうしたらいいのか」に取り組める。
そして「あとで力になる失敗」になるようにする。=最後に成功するように!
当たり前にあるものが明日はないかもしれない
あるのが前提でしかものを考えられない人は、その前提の中でしか戦うことができない
(POINT 06 当たり前にあるものはない より)
不便や不満などのネガティブマインドは、これがあって当たり前、と言う気持ちからでてくる。あることには感謝、でもないなら、その中で何ができるかを考える。
とにかく、目の前の仕事を片づけていく
考えすぎてうまくいかない人は、まずは今の目の前の仕事に集中
(POINT11 困難は分割せよ。しごとも分割せよ。 より)
あれもこれもと同時並行でやると一杯いっぱいの状態になって、ストレスになり、毎日追い立てられるような状態では何も手につかなくなる。100人組手でも、100人同時に倒すのは無理だけども、とにかく目の前の一人一人を倒していけば、何とかなる。=小さい単位に切り分けてやる
試行錯誤をしながら最終的に相手が求める「完璧」に近づける
「自分1人では完璧にはできない」と切り替えて、人の助けを求める
(POINT 18 誰のための完璧主義か より)
とにかく自分1人でやりぬいたり、最初からゴールである「完璧」を決めると言うやりかたではなく「脱完璧主義」=相手とのやり取りと試行錯誤が前提で仕事を進めていくと、柔軟に修正が効くし、常に進化することができる
どの仕事が何の役に立つかはわからない、どの仕事も意味がある
やがて過去を振り返ったとき、やってきたこと1つ1つがすべて結びつく
(POINT 29 人生に「関係のないこと」なんて一つも起きない より)
やりたい仕事以外についてしまって、今この仕事やってて意味あるの?と悩んだり、つまらないと感じて不安になったりする。それよりは、それがいつかどこかにつながることを信じて、とにかく目の前のことに一生懸命になる。そして自分の経験につなげていく。
4.(満足度)こんなところが良い
29のポイントが、短めな章ごとにまとまっている
私は順に読んでいきましたが、「これ!」と思うポイントだけを読んでいくことも可能です。
1つづつ対処していくには便利ですよね。自分自身と照らし合わせて、どうなのかを精査しやすい気がします。また、各章が短めなので、通勤の合間に1章ずつ…と言う読み方もできそうです。
各章にチェック欄があること
各章のまとめが、すべての末尾についており、そこに「打たれ強くなるポイント」と「チェック欄」がついています。 1度読むだけでなく、何度も読み返すときに良いと思いました。内容は覚えているので、ポイントだけを見ればもう一度思い出しやすい。
5.(おススメ度)社会経験の浅い人に最適
百戦錬磨の人には不必要
経験値が高い人=自信が精神的タフさにつながっている人には、「何をいまさら」と言う内容だと思います。どちらかと言うと、社会経験が浅めな人向け。20代後半から30代前半くらいの、後輩を指導し始めたような人にも丁度良いかもしれません。
私は無意識で実践していたことがいくつか書いてあったので、「ああ、これで良かったんだな~」と思いました。誰しも経験しているようないくつかが、明確に文章化されているという感じ。
メンタルに自信がない人にも
何かとストレスを感じている人は、なぜストレスを感じているのかの突端が見えてくるのではないでしょうか。それを「こうしなきゃダメ!こういうふうに変わりなさい!」言った感じに命令口調で書いてあるのではないので、読んでいくうちに少しは楽になれるかも。
これを読んだ後に、「どれも無理だー」と思うかたは、きっとかなり疲れているので、とにかく休養したほうがイイと思います…。
6.(総評)必要な人には必要な本
何度も失敗を繰り返し、試行錯誤し、自分の中の自信をつけていく…と言うのは当たり前のことであり、社会人ならすでに何度も経験していることだと思います。
ただ、何度経験したところで、精神的に傷ついたり、苦しい重いをするのもまた当たり前のこと。
それを忌避したり、及び腰になることによって、前を向いて進んでいく力をも失くしてしまうのは、ビジネスパーソンにとっては何よりあってはならないことです。
失敗を恐れず(失敗しても次につなげる!)、皆と協力し合って(自分1人完璧である必要はない!)、やれる仕事をこなしていく…といった、《今更だけれども基本的なこと》をもう一度自分の中にしっかりと据え直すのに、何度も読み返すと良い本だと思いました。
逆に、それは日常的に誰からも言われずにやっているよ、と言う人には全く価値がないかもしれません。それこそ《今更》だからです。
私は凹む人間ですから、ちらちらと見返したいですね。
凹む事実は事実として、『気持ちの切り替え』が上手にできるように、ちょっとづつでも経験値を増やしていけるといいなと思いました。
必要な人には必要な本です。ぜひ、読んでみてください。
KAOさん
2015/06/29
社会に出たばかりの長女に読ませてあげたいなあと思いました。
cybercatさん
2015/06/29
(一部のクリエイティヴ系の人を除けば)特に仕事は「最終的に相手が求める「完璧」に近づける」というのは大切で、最初から自分の設定した完璧を達成する、という考えだとAll or Nothingで仕事も進まないし自分のためにもなりませんね。仕事は特に「相手」があるので柔軟に対応することが大切なのですが、そこを見誤ると労多くして得るものがありませんよね。
ふじしろ♪さん
2015/06/29
ありがとうございます!
社会に出て、「いろいろうまくいかないな~」と思い出した方におススメできる本でしたb
さら~っと読めますぅ
cybercatさん>
体験談が多かったので、そういう話が嫌いな人には、逆に参考にならないかもしれませんね。(行動心理学とか、体系的な本の方が向いてる人も…)
>仕事は特に「相手」があるので柔軟に対応することが大切
まさにその通りで…
それでも、自分の納得がいくまでやってしまうことも多いので、そこを相手とどう擦りあわせて、いかに折り合いをつけていけるか、ということも重要ですよね。