応募しておいて何だが、実はこの干し芋・・・数年前までは、苦手な食い物だった。
というのも、祖母が茨城の出であったことから、祖父の家に行くと出てくる間食は、煎餅か干し芋と相場が決まっていた。
また、母も静岡の出なので同様に干し芋を良く食べる(干し芋は掛川近辺でも割と盛んに製造されている)ので、家でも間食に良く出てきた。
幼少期に干し芋ばかり食っていたせいで、結果として「飽きた」食い物になっており、歳を取ってからは好んで食べなくなったのだ。
その苦手意識が解消されたきっかけは、母に土産で買って帰った掛川の干し芋だった。
普通、干し芋といえば平べったいものなのだが、土産に買って帰ったそれは角切り状で、表面に粉が殆ど吹いておらず、食感もグニグニでなくねっとり。
なるほど、こういう干し芋もあるんだなということで、信玄餅と並ぶ静岡近辺に出張ったときの定番土産となったのである。
んで、今回の干し芋は「星いも」だそうだ。
干し芋のメッカたる茨城が送り出した、今までにない究極の干し芋とのことだが・・・
確かに、もうパッケージの見た目からして、干し芋のそれじゃない。
第一印象は、高級和菓子そのものである。
黒塗りの蓋に、金で箔押しという「いや、これ干し芋のパッケージにしちゃ、自己主張凄過ぎだろ」と思わなくもないが、ネタ性というか「掴み」としては十分アリだろう。
材料のほうは、単純明快・サツマイモのみ。
蒸かした後、干す。それ以外の加工はなく、添加物は一切入っていない。
製造元の説明では、コストの問題から天日乾燥でなく機械乾燥だそうだが、乾燥方法を工夫し、乾燥時間を長く取ることで、ほぼ天日干しと変わらぬ品質に仕上がっているそうである。
てなわけで、御開帳。
・・・もう完全に、干し芋のノリじゃないよなあ、これ(苦笑)
もう、外見だけでなく中身のほうも、高級和菓子のそれです。
一つ一つの包装も、薄く中身が透ける和紙ベースの袋になっており、私の知っている駄菓子としての干し芋とは完全に一線引いた向こう側に居ます。
蓋の裏には、星いもという商品名の由来が書いてあります。
十年がかりの製品化というだけあって、力の入れ方がスゲーですね。
ただ、これ蓋の裏でなく別紙で箱に入れたほうが、より高級感があったかも。
商品の個別包装も、完全に干し芋からかけ離れています。
贈答用のおかきとか、そのノリです。
実際、このパッケージは贈答用として作られたようでして、販売元の大洗まいわい市場さんでは、従来品同様の簡易パッケージ版も売っており、そちらのほうが内容量ベース的には安価。
ただ、それら通常vrの写真と比較するに、この贈答用は明らかに「中央のいいところ」を干したものが重点的に入っているようで、中身の大きさが一定しています。
というわけで、見た目のほうは「贈答品として十分に高級感がある」仕上がりとなっています。
次のお題では、さっそく実食に移ってみます。
見た目だけでなく、味のほうも高級和菓子
今回、『ギフト提案を含めた形でレビューを』ということだったのだが、ちと困ったことに私には「贈答すべき、相手がいない」のです。
会社の上司にでも、と思ったけど社則に上下間での贈答禁止規定があり、出先の土産というような「
不特定多数への贈答」はOKでも、個人個人への贈答はNG。
バレンタインのチョコとかもダメなので、誰かに送るというのは社内じゃ難しい。
ただ、自分以外の人に食べて貰う必要もあるので、今回変則的ではあるのだが、再びあのときのメンバーを招集することにしました。
以前のレビューにて、人身御供実食レポーターを買って出た、三名の知人というか『客先の、実はそこそこ偉い人たち三人』に、再度の人体実験試食を依頼。
ちなみに、今回は酒が入らないこともあって、全員が大真面目にレポートをしてくれました。
・・・無論、食べ始める前までですけどね。
お題その1「そのまんま食べてみる」
V:安納芋みたいな色してんなこれ。
O:表面、かなりベタベタしてる。蜜のせいか。
F:トレイに引っ付いてて取り出し辛い。
T:見た目は合格だけど、袋から出したときに直接手で掴まないといけないのか。
この時点で全員、見た目は良いんだけど表面の蜜が粘着剤のようにトレイへ張り付いているため、干し芋自体を素手で触れないと取り出せないことは、明らかにマイナスだと結論。
というのも、素手で掴んだ後の指に、かなりベタベタが残る。
ウェットティッシュ必須では、和菓子のように食べるには少し食べづらさを感じてしまう。
袋のほうを持ったまま食べられるよう、包装を改良すべきだという意見が出ました。
ただ、実際に食べてみたら全員が一瞬黙る。
V:これ、芋を干しただけとか嘘だろ!
F:うっま!なにこれ、うっま!
O:食感が、まるで羊羹みたいだ。というか、これ羊羹だろ!
T:おい、これもうひとつ食っていいか?
なんつーか、食い意地だけは人一倍なメンバーなので、感想が素直すぎる。
レコーダーから起こして書いているのだが、一瞬の沈黙から爆発的なテンションの上がりっぷりで、皆が皆「もうひとつ寄越せ」状態。
V:ちょっとまて、勝手に開けちゃダメですよ。あんまり数がないので、加工して食うお題で足りなくなるから、今は我慢してつかぁさい。
T:えー、なにその焦らしプレイ。ふざくんな。
O:加工したら駄目だろ、勿体無いだろこれは!
はい、いい大人がはしたないというか、もはや全員この時点で目の色変わってます。
とはいえ、お題をこなさなければならないので、伸びてくる手を振り払い、箱を閉じて全員に「おあずけ!」を宣言し、餓鬼同然となったオッサンどもの屯する会議室を脱出したのでした。
お題その2「焼いてみる」
次なるお題のため、宿直室の台所をお借りすることにしました。
ここの事務所、自炊派が多いので割と調味料や調理器具が充実しています。
・・・まあ、年季が入っているせいで見た目はかなりアレですが。
まあ、焼ければOKなのでそのまんま加熱。およそ2分ほど炙ります。
見た目的な変化は、余りありません。端の方は、少し焼けた感じになっています。
さて、単純に焼いただけで、変化はあるのでしょうか?
T:うぉ、石焼き芋の味だ。
V:ほんとだ、完全に石焼き芋の味になっとる。
F:この前食った、安納芋の焼き芋よか美味いぞこれ。
O:炙っただけで、こんな印象変わるのか。
熱を加えると、甘さが前に出て来るというか、一気に焼き芋っぽい味に化けました。
芋羊羹を焼くとスイートポテトっぽくなるのに近い現象ですが、芋オンリーの星いもを炙った場合、素直に石焼き芋の味へと変化するようです。
お題その3「塩ふってみる」
このお題、言った瞬間に全員から大ブーイングです。
特にF岡さんが「そんな勿体無い食い方するくらいなら、お前を殴り倒して残りを奪い取る」と、冗談抜きにガチギレしたため、予定を変更して一枚だけを加工することに(ガクブル
はい、私も少し勿体無いとは思いましたが、塩ふっちゃいました。
ほんとに、単純に塩ふっただけです。
V:塩気足すと、甘さは増す。違和感はない。
F:悪くはないけど、焼いた方が美味しかった。ほれみろ、やっぱダメじゃんか!
O:・・・・醤油のほうが、ネタとしちゃ面白かったかもしれんな。
T:甘納豆っぽい感じになっちまった…確かに、これはF岡さんの言う通り。
ぬーん、思った以上に不評です。
私は割とアリだと思ったのですが、他の方々は「そのまま食べるか焼くかしたときより、残念」な味になるという結論でした。
確かに、元の素材が良いから下手に加工すると、勿体無いというのも判ります。
とはいえ、ここで諦めるのも悔しいので、次のお題に行ってみたいと思います。
お題その4「シナモンシュガーふってみる」
塩と同様、やはりブーイングですよ・・・トホホ。
F岡さんは「次もスカなら、残りは俺らで食う」と、完全に獲物を狙う目になってます。
こちらが、私用したシナモンシュガー。
オリエンタルの隠れたロングセラー商品で、これは私が家から持参したもの。
コーヒーや紅茶に入れたり、食パンやリンゴにふって焼くと美味。
そいつを、全体にふりかけてから、トースターで焼いてみたのがこれ。
シナモンとサツマイモは相性が良いので、塩よりは美味しく頂けると思うのだが・・・・
F:あ、これはいける。洋風菓子だな。
V:ひー、これで殴り倒されずに済みますな。うん、印象はガラっと変わったけど旨い。
O:おお、いい感じ。ところで、これ(シナモンシュガー)って何処に売ってんの?
T:シナモンと焼き芋って相性いいのな。今度焼き芋でやってみる。
あぶねー、あぶねー・・・今回は及第点超えたようです。
ただ、やはり「焼くか、そのまま」以上の評価にはならない、というのが全員共通の結論。
素材が良すぎるのも、ある意味考え物です。冒険し辛いです。
お題その5「バターでソテーしてみる」
これ、生産元の茨城でもやっているとのことなので、定番として試すことに。
ここ最近、バターの入手が困難になっているせいで、三件ほどスーパー梯子して入手。
ほんとは無塩バターが欲しかったのだけど、売ってないので有塩バターで代用。
ただ、結果的には有塩バターで正解だった感じ。
フライパンへ、少量のバターを投入。
少し焦げたほうが風味は出ますが、星いもの「投入後から焦げて欲しい」ので、弱火で少しゆっくり溶かしてます。
まず片面を焼いていきます。
バターが浸透するように、火は弱火のままです。
片面焼けたら、ひっくり返して同じように弱火で焼きます。
最後に表面へ焼き目が付くよう、火を少し強くします。
焼き上がりはこんな感じ。
既に匂いが完全に「スイートポテト」のそれになってます。
V:思った通り、スイートポテト。塩気がいいアクセントになった。
F:んむ、これは旨い。表面のざっくりした感じと、中の柔らかさがいい。
T:おい、もう一枚焼いてこい。
O:ンマイナァ-コレェー!(なんかいきなり物真似してた)
なるほど、これ確かに定番なのも頷ける。
バターと薩摩芋の相性がいいのは判るが、干し芋をバターで焼くとこうなるのかと素直に感心。
なお、最後に全員へ「どの食べ方が一番だったか」を聞いてみたところ、満場一致だったのは「単純にそのまま炙る」方法だった。
バターソテーも確かに良かったのだが、「素材そのものの良さをより引き出すという意味では、炙るだけに留めるのが一番」という、F岡さんの意見に全員賛同。
何か捻りがない結論に達してしまったが、それだけ「商品の完成度が高い」という事でもある。
一応、ギフトも用意してみました。
ギフトというか配布用として、別途に大洗まいわい市場さんへ星いも発注しました。
はい、流石は大洗ですな。コラボ商品ちゃんとあるんですよ、星いもにも(笑)
イラストは、四号クルー五名に加え、常に干し芋齧ってる会長の全六名。
基本的に同じ星いもですが、パッケージごとに人物イラスト、六種類並べると背景の四号戦車(38tも入ってますが)が完成する、という商品になってます。
通販で大人買いすると、特典に木札とか付きます。
・・・・まあ、六つ揃えると値段は今回頂いた贈答用パッケージ版の倍するんですが、内容量もこちらのほうが多い(たぶん、一つあたり倍量入ってる)ので、妥当っちゃ妥当。
中身の方は、こんな感じです。星いもが、二枚入ってます。
高級感はなくなっちゃいますが、配布した「同僚」らの反応は良好。
添加物一切無しの、芋を蒸かして干しただけという説明を、食った全員が最初信じませんでした。
そりゃ、この甘さで添加物無しとか、普通には信じがたいですからね・・・・
なお、流石に配布したのは「中身だけ」です。
パッケージのほうは、別途友人へ特典ごと譲渡の予定。
俺様の口の中、超新星爆発
文章だと表現し辛いのですが、試食会を実施した際の、四名全員の反応、
「味●(アニメ版)」が、何か食ったときの反応
と、ほぼ全く同じでした。
大の大人が騒ぐわ叫ぶわ、取り合いになるわで、流石は食い気こそ我が人生を地で行く方々、期待通りの反応を見せてくれました。
ちなみに、私以外の三名は全員の職業はかなりお堅いもので、普段は非常に真面目な方々です。
一応フォローしておかないと、今後のお仕事で色々とまたイジメられそうなので、そういうことにしておいてください。
そういう訳で、もうあれから●王さまのリアクションが脳内再生されっぱなしなので、
キャッチコピーは「口の中、超新星爆発」ってことにしておきます。
れいんさん
2015/05/31
いもようかんが表現ぴったんこと思いましたですぞ。
ねっとりしてまするものね。
ちょもさん
2015/05/31
ガルパンパッケージ、並べるとちゃんと絵になるのね。
というか、みほ&優花里のパッケージ、製品名がほぼ髪型でかくされてワカランやん…
Vossさん
2015/06/01
芋羊羹というか、芋味の練羊羹というべきか。
あの食感は癖になりまする。
ちょもどの
出ますね、極太のやつがw>ビーム
試食参加の三名に、そのとき余った三枚は持ち逃げされました。
ガルパンのほうは、どうも元々は単体売みたいですね。セットは通販のみ?