想像以上に高いポテンシャルを感じさせる
ENERMAX Minimo.Q (ECB1010)のプレミアムプレビューをお届けします。
ENERMAXというと、個人的には電源かCPUクーラーを連想する老舗のメーカーですが、PCケースでも高エアフローなケースを多数手がけています。ただ、PCケースは大分使い手を選ぶデザインの物が多いようです。そんな独特で濃い世界観のケースの中にシンプルなデザインで登場したのが、今回のmini‐ITXケースのMinimo.Qです。
Minimo.Qは、小型ながらフロントメッシュで高エアフローを実現し、長尺ビデオカードと240mmのラジエーターを搭載できるというハイエンド構成も可能なPCケースというのが謳い文句になっています。とはいえ、ぶっちゃけ最初はあまり期待していませんでした。フロントメッシュといっても、電源がフロント配置で前方排気という構成にはむちゃくちゃだという感想しかなかったからです。ところが、実際に手にとってみるとかなり印象が変わります。手にした瞬間「こいつはできる子かもしれない」なんて、考えが180°変わってしまうポテンシャルのようなものを感じました。
まずはユーザーへの無茶振りを感じさせるスペックから確認してみましょう。
面倒なのでマニュアルのPDFからそのまま抜粋。
サイズは370×225×186と若干大きめですが、最近はPRODIGYのようなさらに大きいキューブ型のケースが登場しているので今みると控えめに感じます。電源はATX電源とSFX電源に対応。ATX電源は140mmまでという制限があるので、ここだけ見ると「ハイエンド構成は難しいのでは?」などと思えます。フロントインタフェースはUSB3.0がふたつとオーディオ端子。ドライブは5インチ×1、3.5インチ×2、2.5インチ×2となっていますが、ハイエンド構成にするなら3.5インチHDDを取り付けるのも難しそうです。ケースファンは、天板に120mmがふたつ追加できますが標準ではリアに80mmファンがひとつだけ。側板にもファンを追加できると面白そうですが、ネジ穴はありません。CPUクーラーは132mmとなっていますが、見た感じはさらに大きいサイドフロー型が使えそうです。ビデオカードは318mmとか嘘ですね。入るとは思えないですよ。スペースがある=搭載できる。ではないですよね。
筐体をチェックしてマシンの構成を考える
スペックを見た限りでは240mmの簡易水冷クーラーと300mm前後のビデオカードが搭載できそうだということはわかります。だからといってすぐに組み立て始めるのではなく、まずは筐体を確認していきましょう。
・付属品チェック
マニュアルと照らしあわせて、全部揃っているか確認することは大事です。でもこのマニュアルには付属品リストは載っていませんでした……。
仕方がないので付属品の確認だけします。マニュアルにファンフィルターが2枚、ENERMAX印のタイバンド×2、ゴム足×4、不ピーカーにHDD取り付け用の金具、ネジ類。付属品はこれで全部のようですね。
ファンフィルターは吸気側に取付けられるようですが、両面テープでの貼付け。しかも左右2ヶ所のみ。エントリー向けのケースですから、こういうところにコストダウンの弊害があるのですね。できることならマグネット式などのフィルターを別途購入したほうがよさそうです。ケースに貼り付けてしまうと、水洗いとかできそうにないですからね。
コスト削減ポイントその2。ゴム足も両面テープで貼り付け。一応縦置き、横置きの両対応で、好みで選んで貼り付けられるようです。取れたりしないかわりと心配になるところです。こういうところを見ると、何年も使えるケースではないのではないか? そんな風に思えてきます。
・ケースをチェック
長尺のビデオカードが入る横置きのmini‐ITXケースというのは特に珍しいジャンルではありません。自分が所有するものだとSilverStoneのSST-SG07Bというケースがありますね。とはいえ、SST-SG07Bは5年近く前に設計されたケースです。似たような形に同程度のサイズ。それでも大分思想に差のあるふたつのPCケースです。
並べてみたら、本当に同じサイズで雰囲気まで同じです。でも、中身はかなり違いますよ? ちなみにMinimo.Qが低く見えるのは、まだゴム足を取り付けてないからです。
裏返してみたら、SST-SG07Bは専用電源なのでファンの位置が丸くメッシュになっています。Minimo.Qは大体の位置に穴が空いているだけです。少し適当感を感じますね。その代わりなのか、マザー下にも穴があります。窮屈なmini‐ITXケースだと、ここからも吸気ができるようなので割りと効果があるのかもしれません。ちなみに、SST-SG07Bはグラボ下に、内排気グラボ用の通気穴があるんですね。この高さではあまり意味なさそうですが。
Minimo.Qの裏側は80mmファンがある程度のシンプルさ。SST-SG07Bの場合はリセットボタンやファン回転変更用のスイッチがありましたが、このケースにはそこまで込み入った仕組みはありません。それでも感心するのが、ナットの多さ。天板と両側板が個別に外せるのはともかく、底板側にもある。ということは、底板も外せる? ケースの3面がオープンにできることは知っていましたが、実は4面全部取り外せる仕様ということに初めて気がつきました。
というわけで、裏返してフルオープン! 底板にメッシュがあっても洗えないだろうと思っていたのですが、これなら普通に取り外して洗えますね。マザーボードの裏もバッサリとカットされているので、CPUクーラーのバックプレートも簡単に取り替えられそうです。mini‐ITXケースなのに、こんな仕掛けがあるなんて! これが今のmini‐ITXケースなんですね。SST-SG07Bとはかなり違います。Minimo.Qに関心したポイントその1です。
元に戻して上からチェック。
マザーボード上には120mmファンと取付けられるステーがひとつ。排他で3.5インチHDDも取付けられます。5インチベイは無理に搭載する必要があったのか悩みますが、これが3.5インチHDD用のステーになっていることと、取り外せないところからケースの強度を支えているパーツなのかもしれません。
ある意味Minimo.Qに感心したポイントその2。
フレームが結構頑丈です。SST-SG07Bは割りとこの部分が貧弱で、ここを掴んで持ち上げるとフレームが曲がります。超怖いです。しかし、Minimo.Qならそんな心配はなさそうです。というか、ちょっと持ち上げてみましたが、重量に負けそうな雰囲気はありませんでした。地味なところですが、かなり重要なポイントだと思っています。5年前のケースとは全然違うんだ! そんな風に思っているところです。
逆にガッカリしたのがココ。
フロントパネルを外すには、赤丸3つのところにあるツメをケースの内側から外さなければなりません。プロントパネル側に取っ手がないため、フロントパネルを外すにはまず側板を外すというかなり面倒な手順。まぁ、取ったり付けたりしてるうちにそのまま取れるようになりましたが……、やはり力任せはオススメしません。
フロントパネルを外すと前方排気の電源部分がこんにちわ。なんと最初からSFX電源用のブラケットが付いています。ATX電源を使わず、SFX電源を使えと言われているような気になります。あと、ガッカリポイントがもうひとつ。フロントパネルにケーブルが付いてくるのは仕方がないとしても、5インチベイと電源の間に隙間がない! なので、フロントメッシュは完全に電源用です。「フロントメッシュ意味無いじゃん!」と心で叫ぶ。
さて、最後にエアフローを考察。
イロイロ見た感じとしては上のような感じでしょうか。下と左側板から吸気。前方、後方、上方に排気というふうになります。負圧気味になるんでしょうか。四方穴だらけですが、内部はパーツでギチギチになることを考えると、エアフローは厳しそうですね。まぁ、それはmini‐ITXケース全般にいえることですが。
ドライブ搭載位置を確認してみる
Minimo.Qは、狭いスペースをなんとか工夫してHDDやSSDを設置します。ちょっと分かりづらいので、それぞれの場所に設置してみました。
まずは5インチ。一応的に。これを入れると、それだけで終末感が漂います。なんというか、「邪魔!」としかいいようがない感じです。これをやる場合は、グラボは載せない構成がいいように思えます。それでも5インチベイを搭載してきたMinimo.Qからは、アグレッシブな攻め気を感じます。
その5インチベイの下に取り付ける3.5インチHDD。ステーを使うとこれだけ飛び出すのでマザーボードの取付けの邪魔になりそうです。だからといって後から付けられる位置でもないため、これはかなり頭がいたいポイント。
電源との隙間もないため、これはオススメできないというか、たぶん無理……。それでも大多数の需要を無視したりはしません。それがMinimo.Qデス。
もうひとつの搭載位置は、CPU上のファンステー。これも逆さまにして取り付けることになるため、コネクタの向きが逆になるのが難点。SATAコネクタはいいのですが、SATA電源コネクタはケーブルの柔らかい延長ケーブルを使ったほうがいいかもしれません。
それと、コネクタの位置がグラボの上に来るため、本当に取り回しが苦しくなります。ここもドライブ搭載位置としてはオススメできそうにないですね。そもそも、このケースで3.5インチHDDが辛い感じです。それでもHDDを載せますか? 載せるのがMinimo.Qデス。Minimo.Q不退転の心意気です。
さて2.5インチも5インチベイの裏に取付けます。これは直接なので、逆さまになります。コネクタの向きが逆になるのが難点ですが、なんとかなりそうです。なんといっても5インチベイと電源の間に隙間ができるので、ほぼ唯一といっていいフリースペースができます。電源のケーブルをここに逃すためにも、SSDをここに取り付けるのが正解かもしれません。
マニュアルを見ていてフイタのがこの搭載位置。リアの80mmファンを取り外して、代わりに2.5インチを取付けます。Minimo.Qの強気で攻める姿勢を一番感じた部分かもしれません。ある意味、かなり正解に近い場所かもしれませんが、やはり延長ケーブルなどを使わないとSATAと電源の取付けが難しそうです。あと、せっかくあるケースファンを外すことには抵抗があります。個人的な感情ですが。
ある程度予想はしていましたが、これはかなり苦しいです。Minimo.Qのアグレッシブなスタイルは見ていて楽しいのですが、自分で使うとなると悩んでしまいます。SSDとHDDの両方を取付けられると捗ると思ったのですが、SSDだけで運用するのが正しいPCケースのように思えます。
ポイントを押さえればハイエンドマシンの構成は十分に可能
さて、Minimo.Qの攻撃的な姿勢が感じられたところで、ある程度Minimo.Qの現実的な部分も見えてきたのでプレミアムプレビューのテーマでもある「ハイエンド構成」ぽいマシンを組み立ててみましょう。
今回のマシン構成はこちら。
CPU:Core i7-4770K
CPU Cooling:SilverStone TD-02
M/B:ASUS Z97I-PLUS
RAM:G.SKILL F3-1600C9D-16GAR
Video Card:GALAXY GF PGTX660Ti-OC/3GD5
Storage:Intel SSDSC2BW120A401
Power Supply:SCYTHE 剛力短2Plugin SPGT2-700P
Case:ENERMAX Minimo.Q (ECB1010)
ある程度決めておいた構成ですが、組む途中で使えず変更したパーツもあります。かなり組み立てるのが手強いケースなので、順にポイントを見て行きましょう。なにしろ、写真を取りながらといっても組み立てるのに2日かかりました。さすがにPCを一台組むのに2日かけたのは初めてです。
まずは電源から組み込みます。
全長140mmまでとは聞いてましたが、あまり気にしていませんでした。これが大失敗。中古やジャンクなどで買いためてた電源がすべて使えず全滅。140mmという制限は絶対でした。そもそも140mmですらギリギリなので、まずATX電源を使おうとするのが間違いなんじゃないかと思えてきたくらいです。最初からSFX電源用ブラケットが付いているのは、ATX電源使うのは無理と暗に示唆していたのかもしれません。
ところが入る電源がありました。
持っててよかった剛力タン!
全長123mmは伊達じゃない!!
剛力短2のおかげでなんとかなりました。SFX電源買わなければならないのかと戦々恐々していたので助かりましたよ。
さらにマザーボード側に20mmくらい隙間ができるのもありがたい。ココも数少ないフリースペースのひとつとして使えます。フロントパネルから伸びるUSBケーブルなどは、このへんに押しこむことができます。
次はマザーボードを取付けますが、写真が一枚もなかったので飛ばしてCPUクーラーを取付けます。まぁ、これだけ気を使って組み込んでいるので、マザーボードの取付けは問題無いです。
やっぱりENERMAXのケースだしね。ということでENERMAXのETS-T40VDをチョイス。しかし残念ながら高さがギリギリ。というかギリギリ飛び出します。
勝手にイケるかな? なんて思っていたのですが、これは無理ですね。160mmの高さが入らないとなると、サイドフロー型のCPUクーラーはかなり選択肢が狭まります。このへんのことから、Minimo.Qは簡易水冷クーラーを使うのがベストなのではと思います。
ETS-T40VDがダメとわかったので、CPUクーラーは後回しにします。メモリと電源24ピン、8ピン補助電源、USBやフロントコネクタ類は、ここで取付けておきます。そしてコード類はマザーと電源の間か、5インチベイと電源の間にすべてねじ込んでおきます。できるだけマザーボード上の空間は広く取れるように最初から気をつけながら組んでいきます。
そしてお次はビデオカード。グラボ! ハイエンド構成なら必須のグラボですよ! 当然ローエンドなグラボなんて載せませんから! いっぱい持ってるんですよローエンドなら……。
こんなこともあろうかとご用意しました。R9 290 on Accelero Xtreme PLUS II(中古) まごうことなきハイエンドなRADEONのグラボ!
ハイ! 入りませんでした!
約310mmの長さですが、入りません。見事に公称値に騙された気分です。ぇと、このグラボこのために買ったんですけど? まさか起動テストにも使えないとは……。
仕方がないので、ハイエンドというには少し物足りませんがGTX 660 Tiを搭載します。ちなみに、電源は組み込む前に挿しておかないと、グラボを搭載してからでは挿さりません。フレームが邪魔するので無理です。写真では挿してませんね? この後組み直しましたよ。(組み直し一回目)
ちなみに、フロントケーブルを前に流して写真を撮ってますね? グラボがあるとマザーボードに接続できないので組み直しましたよ。(組み直し二回目)
よく見るとグラボの後ろも電源ケーブルが全部流してますね? 組み直しましたよ。(組み直し三回目)
なんかどっと疲れました。しかし、GTX 660 Tiに変更したことでカード長が短くなって、フロント側に少しフリースペースができました。グラボの排気方向になるため、ケーブルを入れるのは好ましくありませんが、Minimo.Qではケーブルを押し込むスペースを確保することは死活問題です。ここはMinimo.Qの攻め気を見習って、ユーザーも強気で行きましょう。不都合なことは見なかったことにするのが心得。
そして、これが最後。今度こそCPUクーラーを搭載します。使用する簡易水冷クーラーはSilverStoneのSST-TD02。なんだかんだで使っていなかったコイツを今度こそ使ってみせましょう。
まずはMinimo.Qの底版を外し、バックプレートを取付けます。Z97I-PLUSのソケット位置がずれているため、どうみても入りません。でも入れちゃいましょう。そろそろ心の底までMinimo.Qの攻め気に毒されてきてるので、アグレッシブに押し込みます。正しく言うなら力任せで押し込みます。ミリミリ、ギシギシ聞こえますが成功した未来だけを見つめて押し込みます。デキマシタヽ(^。^)ノ
お次は水冷ブロックを取付けます。
サーマルグリスはIC DIAMOND。冷えるとは思うのですが、非常に扱いづらいグリスです。
こうして水冷ブロックを取付けてみると、簡易水冷クーラーは正解な気がしてきます。最終的にはラジエーターでキツキツになるとはいえ、ここまで組んでも中に手が入るというのは作業性が増しますね。
そしてラジエーターは天板にセット。やはり4方向すべてのパネルが外れるのは便利です。天板にラジエーターを取付けた状態にしてもさほど邪魔になりません。SST-SG07Bとはまるで違います。
では、これで一応組み上がりましたか?
おっと、ひとつ忘れていました。
底板にゴム足を貼り付けます。フットスタンドの位置を決めて4隅に貼り付けます。Minimo.Qは横置きと縦置きが選べるケースですが、そこそこ重量もあるのでやはり横置きがベストだと思います。
これで一応完成デース!
と思ったらトラブル発生。
TD-02のラジエーターが分厚すぎて天板が閉まりません。もし閉まってもリアの80mmファンが邪魔をするのでやっぱり閉まらないでしょう。
どうしたものかと思いましたが、元々ファンケーブルを通すために側板を開けっ放しにするつもりだったので特に問題ないことが判明。むしろ、これで側板が閉められるようになったのですべての問題がまるっと解決します。オールオッケー。
というわけで、本当に完成ですよ?
あらためて横から見ると、簡易水冷クーラーは正解ですね。5インチベイと電源の間に邪魔な電源ケーブルを押しこみ、簡易水冷を使っているので思ったよりマザーボード上は空間ができてきます。これなら発熱の高いハイエンド構成でもしっかり冷やせそうです。Minimo.Qの強気な姿勢は、むしろ正解への道だったと思えます。
こうしてMinimo.Qの攻め気のスタイルを個人的解釈によって再現されたMinimo.Q ストロングスタイルの完成デース。
天板が斜めに開いていて、むしろカッコよくないですか?
ちなみに動作確認しようとしたら、動きませんでした^^;
思い返すと、どう考えても電源のスイッチをOFFにしたままの気がします。私は作業中は電源スイッチをOFFにしておく癖がついているので、それが原因に思えます。確認するには両側板を外してからフロントパネルを外さねばなりません。面倒ですね^^
しかたなく確認したところ、やはり電源がOFFになっていました。マニュアルにも電源をONにしてから組み込むように書かれているというのに……。Minimo.Qを使う場合、覚えておきたいポイントです。
かくして、今度こそMinimo.Qストロングスタイル始動かと思ったがやはり動かず……。ここに来て確認のための組み直し四回目です。原因は配線ミスだったので、手間はかかりましたが故障などではなかったのでよかったです。
ようやく起動したMinimo.Qストロングスタイル。元気よく動いています。叫んでいます。ファンがフル回転でマジうるさいです。しかも、mini‐ITXケースは大抵デスク上において使うものです。もちろん起動テストも机の上に置いて行おうとしています。つまり、鼻先で高速ファンブレードが風を切り裂いているわけです。これがマジで怖いんですけど?
というわけで、心の平穏と安全のために対策します。
Minimo.Qの付属品にあったファンフィルターをテープで貼り付けました。これで安全安心。
そう、これこそMinimo.Qストロングスタイルの真の姿!
ようやくここまで来ました。来れました~。
では、その真の姿とやらで、どれほどの性能を発揮するのか見せてもらうとしましょう。
■負荷テストで冷却性能をテスト
PCに負荷をかけ、PC温度の上昇とケースの冷却性能を確認します。
と、その前にASUSのユーティリティソフトFan Xpert 3を使って、CPU & ケースファンの設定をします。ストロングスタイルが行き過ぎたのか、未設定だと常時フル回転でうるさくてしかたがないのです。
ボタンひとつですべてのファン回転数を設定できます。便利ですねこのソフト。簡単に轟音が調教されます。
・CPU:OCCT
まずはもっとも負荷が高いと思われるOCCTでのテストです。
「CPU:OCCT」を実行し、その間のCPUコアとGPUコアの温度の推移を観察。そして、PCケース内の温度が上昇するか確認します。
CPU:OCCT 室温:18℃
Core温度 81~100℃ 2500rpm
GPU温度 21℃~26℃ 1200rpm
HWMonitorで確認していたところ、CPUコアは80℃前後から100℃まで推移しています。100℃でクロックダウンして温度を下げ、また3.9GHzで動作しては100℃でクロックダウンするというのを繰り返しています。
同時に確認していたOpen Hardware Monitorでも同じ挙動でした。PCケース内の温度は正確に測れないため体感ですが、まるで温度が上昇していません。季節柄気温が低いということを踏まえても、かなり低い温度です。その割には、CPUの温度が高いわけですが。TD02の性能が足りていないのか、セッティングでミスをしているのか、それとも4770Kの発熱は抑えきれないものなのか? ちょっとわかりませんが、Minimo.Qは内部に熱をこもらせることはないようです。(上空いてますがね)
・FFⅩⅣ
より実際に近いベンチマークでもテストしてみます。FFⅩⅣベンチマークなら、実際にゲームプレイをするのと同じような状況が想定できると思います。これを30分ループ再生して、PCの負荷状態を探ります。
HWMonitorとOpen Hardware Monitorの結果が同じだったので、ここからはOpen Hardware Monitorだけで確認しています。
ベンチマーク中はCPUコアがフルロードしていても全コア60℃台を上回ることがありませんでした。GPUコアも50℃台と、OCCTの時は違って非常に抑えられた温度になっています。(ファンは2000rpm以上で回っていますが……)そんため、ケース内温度が上昇するような素振りは一切ありません。
どうなるものかと思っていましたが、Minimo.Qの冷却性能はかなり高そうです。ちなみに、グラボとは反対側の左側板は吸気になると思っていたのですが、どうやらここからは排気されているようです。全体に開けられた穴から効果的に吸気と排気が行われている印象です。
・おまけ
おまけで同人系のベンチマークをひとつ。
GPUコアの温度がグッと低くなっています。CPU以外はあまり使わないベンチマークなんですねぇ。CPUコアだけとはいえ、温度が問題になることはないですね。
mini‐ITXに簡易水冷クーラーはこれから流行るに違いない!
寒い季節ということもあり、冷却性能のテストは不十分と思いますが、それでもMinimo.Qはよく冷える。そんな印象を抱いたケースでした。
Minimo.Qはそのまま見ると、普通の長尺ビデオカードが入るmini‐ITXケースという印象しか抱きませんが、5年前のケースと比較すると年月分の進化が伺える製品です。そもそも240mmのラジエーターを搭載できるというのが昨今の製品らしい発想です。他にも、4方のパネルが個別に取り外せることによる組やすさと使い勝手のよさが考えられているところや、マザーボード下の切り欠けによってCPUクーラーの取付けが容易なところなどは近年のケースに見られる特徴です。電源が下吸気でケース内の空気を吸い込まないようになっているのもそうですね。イロイロ詰め込みすぎな印象もありますが、エアフローは良好になるように考えられています。個人的にはボディの剛性が見た目以上に高いところも高く評価したいポイントです。そんな機能の節々に、今までのmini‐ITXケースとは違うという攻めの気持ちを感じるのです。つまり、Minimo.Qは、mini‐ITXケースに新しいジャンルを提供してくれる。新しい形のPCケースなのかもしれません。
PRODIGYの登場が後にキューブ型のmini‐ITXの登場を促したように、Minimo.Qは240mmラジエーターが搭載できるmini‐ITXケースの先駆けなのかもしれません。そう思うと非常に面白いし、そんな面白い製品を最初に触る機会をくださったメーカ様やzigsow管理人様には感謝しております。
余談
ちなみに、ですが。
といったケースも発売されています。間違いなくMinimo.Qと同じシャーシを採用しているので、使い勝手は同じだと思います。若干仕様に違いがあるようなので、デザインや機能でこちらを選ぶのもよさそうです。ただし、Minimo.Qが一番安いので、価格でのアドバンテージはMinimo.Qが一番ですかね。
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