レビューメディア「ジグソー」

驚異的ワットパフォーマンス

ここ10年ほど、自分のメインPCにはハイエンドよりは1~2ランク下というクラスのGeForceシリーズを使い続けてきました。

 

これには明確な理由があり、本当のハイエンドは価格面でも環境面でも導入への敷居がかなり高くなるのですが、それより少し下というクラスであれば性能面ではハイエンドに割合近いものを、より手軽に利用出来るためです。

 

現在のメイン機はGeForce GTX 460を利用して組み立て、後にGeForce GTX 670へと差し替えて現在に至ります。GeForce GTX 460は先代のPCからGeForce GTX 260を持ち込む予定だったものが、ケースの寸法上収まらないことが判り、急遽購入したものでしたが…。

 

 

 

 

 

 

現在のメインPCは既にかなり使い込んでいて、そろそろ更新を考えるべき時期となりつつあり、実は既に次のPCもほぼ組み立っています。現時点では、ビデオカードには仮組み用としてGeForce GTX 560Tiを装着していますが、実際に使い始める際にはGeForce GTX 970かGeForce GTX 960かと考えていました。

 

 

 

 

当然価格面ではGeForce GTX 960の方が大幅に有利ですが、GeForce GTX 670よりは性能面で進化が見えなければ、新たに買う気になりにくいところです。GeForce GTX 670はGeForce GTX 960と比較すると1.5世代前(商品としては2世代前だがアーキテクチャは1世代前)で、クラスは1つ上という製品です。

 

そこで今回はPalit GeForce GTX960 SuperJetstreamをレビューさせていただくにあたって、以下のテーマを設定してみました。

 

・同クラスの旧製品となるGeForce GTX 560Tiから買い換えるメリットはあるのか検証

・GeForce GTX 670との多方面からの比較検証

・通常のGeForce GTX 960とPalit GeForce GTX960 SuperJetstreamの違いを検証

 

これらの検証結果から、Palit GeForce GTX960 SuperJetstreamという製品の魅力を探ってみたいと思います。

 

なお、以下に今回のレビューで取り上げた製品の仕様について簡単にまとめた表を掲載しておきます。

(クリックで拡大してご覧下さい)

更新: 2015/02/25

GeForce GTX 960の特徴を理解する

Palit GeForce GTX960 SuperJetstreamについてのレビューをスタートする前に、まずは心臓部となるNVIDIA GeForce GTX 960について理解しておく必要があるでしょう。

 

GeForce GTX 960で採用されるGPU本体はGM206と呼ばれ、現時点ではGeForce GTX 960のみに搭載されています。アーキテクチャ名は「Maxwell」で、これはGeForce GTX 750シリーズに搭載されたGM107で初採用となっていました。GM206の「M」はMaxwellを、「2」は世代を、「0」はマイナーチェンジの回数を、「6」はグレードを表していると考えられます。グレード数の「6」はメインストリーム~ミドルハイを表していますので、「Maxwellアーキテクチャの第2世代のミドルハイクラス」というGPUを搭載していることが表されていることになります。

 

ちなみにNVIDIAではGeForce 400シリーズ以降に採用されたGPUアーキテクチャに学者名を付けていて、GeForce 400 / 500シリーズで主に採用されたGF100系はFermi、GeForce 600 / 700シリーズリーズで主に採用されたGK100系はKepler、GeForce 900シリーズリーズで主に採用されたGM100/200系はMaxwell(いずれも概ねこのようになっているという意味で、実際には例えばGeForce 600系でFermiという製品もあります)と名付けられています。

 

Fermiや、その前世代に当たるGT200系(GeForce 200シリーズ、この「T」もTeslaという学者名だが、これは世代に関係なくGPUアクセラレーターの商品名として利用されているためアーキテクチャ名とは断言出来ない)ではGPUコンピューティング性能を強く意識していたため、大量のトランジスタを搭載して物量で性能を稼ぎ出すという面がありました。ライバルとなるAMD RADEONとの比較で電力効率の悪さを指摘されることが多くなった反省からか、先代のKeplerでは電力効率を重視した路線に転換し、高性能でエネルギー効率の良い製品へと進化しました。

 

そしてGeForce GTX 960で搭載されたGM206のMaxwellでは、この路線をより推し進め、より性能と電力効率がアップしたとされています。特にハイエンド系では電力効率のアップは顕著であり、PCI Express補助電源の要求水準が大幅に緩和されました。

 

そしてミドルハイクラスでも、先代のGeForce GTX 760ではPCI Express補助電源コネクターとして6Pin×2が用意されていたのですが、GeForce GTX 960では6Pin×1へと削減されています。PCI Express 16xではスロット側からの給電が最大75W、6Pin補助コネクター1つにつき75Wずつとされていますので、GeForce GTX 960は150W以下で動作するということを意味している訳です。

 

簡単にまとめると、GeForce GTX 960はワットパフォーマンスを重視したMaxwellアーキテクチャ採用製品群の中でも、価格・グレード面から主力となる、メインストリーム~ミドルハイクラスに当たるものであると考えて良いでしょう。

更新: 2015/03/02
Palit GeForce GTX960 SuperJetstream( NE5X960T1041-2060J ) の徹底レビュー PREMIUM REVIEW

激しいオーバークロックモデル。でも扱いやすい。

ここでPalit GeForce GTX960 SuperJetstreamの製品本体を確認してみましょう。

 

 

これが化粧箱です。無料提供されるゲーム「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」の帯が巻かれています。

 

 

帯を外し、箱の蓋を開けたところです。ボード本体が見えました。

 

 

 

意外と存在感のあるボードです。

 

 

ボードの裏面です。VRAMチップが2つ見えています。実際にはボード表面にもう2つありますが。

 

 

VRAMチップはSAMSUNG製4Gbit GDDR5 SGRAM 3500MHz 170P FBGAチップである、K4G41325FC-HC28です。DDR動作ですので、データレートで7000MHzが定格ですが、この製品では7200MHz動作となっていますので、メモリチップもオーバークロック動作しているということになります。

 

 

PCI Express補助電源コネクターは6Pinのものが1つだけ実装されています。先に触れた通り、最大でも150W以下で動作するということを表します。

 

 

出力端子はDVI-D、DVI-I、DisplayPort、HDMIが各1つずつ用意されています。仕様上はこれら全ての同時使用が可能なはずですが、4台接続して試すのはさすがに困難ですので、確認は出来ていません。

 

 

同梱されていた添付品です。内訳は

 

・「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」DLコード
・ドライバー&ユーティリティーディスク
・マニュアル
・DVI-D-Sub15P変換アダプター・ペリフェラル-PCI Express電源変換ケーブル
・「JET STREAM」ステッカー

 

となっています。

 

 

ここで、比較対象の製品と大きさを比べてみましょう。

 

 

上からGIGABYTE WINDFORCE2X GV-N560SO-1GI、MSI N670GTX-PM2D2GD5/OC、Palit GeForce GTX960 SuperJetstreamの順です。ボード長は殆ど変わりませんが、Palit GeForce GTX960 SuperJetstreamはクーラーが大きく、ブラケットよりも上にはみ出しています。

 

 

別角度から厚みを見てみました。MSI N670GTX-PM2D2GD5/OCのクーラーは2スロット分よりもやや薄い程度でGIGABYTE WINDFORCE2X GV-N560SO-1GIがきっちり2スロット分、Palit GeForce GTX960 SuperJetstreamは公称2.5スロット分ですが実質的に3スロット分と考えておいた方が良いでしょう。

 

 

 

Ⅰ.ゲームにおける性能を比較

 

 

それでは、まずは描画性能から確認してみましょう。今回は以下の4種類のベンチマークテストで、ゲーム利用時のパフォーマンスを測定してみました。

 

・3DMark FireStrike(Futuremark)
・3DMark SkyDiver (Futuremark)
・FinalFantasy XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編 (SQUARE ENIX)
・PHANTASY STAR ONLINE2 キャラクタークリエイト体験版 ver. 2.0 (SEGA)

 

 

本当は実際にゲームをプレイして使用感をレポートするのが正しいのでしょうが、私自身が最近のゲームを全くプレイしないということで、ゲーム系のベンチマークによる比較で代用させていただくことにします。

 

なお、実行環境は以下の組み合わせのPCとなります。OSにはWindows 7 Ultimate SP1を利用しています。

 

ドライバーは全てNVIDIAの公式サイトからダウンロードしたGeForce Game Ready Driver 347.52で統一していますので、添付のドライバー・ユーティリティは利用せずにテストを実施しています。なお、動作クロックの確認・変更はNVIDIA純正のSystem Toolを導入し、NVIDIA コントロールパネルから行っています。

 

ディスプレイ解像度はWUXGA(1920×1200)モニターを接続したため、1920×1200または1920×1080となります。

 

 

CPU:Intel Core i7-3930K

 

 

CPUクーラー:Intel RTS2011AC

 

 

マザーボード:ASUS P9X79

 

 

メモリー:ADATA AX3U1600GC4G9-2G(計4枚で16GB)

 

SSD:CFD CSSD-S6T512NHG5Q

 

 

ケース:Antec SOLO II-G

 

電源:OCZ SILENCER Mk.III (Gold) 750W PPCMK3S750

 

 

その他HDD3台、SSD1台、光学ドライブ等がありますが、電源消費量以外には影響を及ぼさない部分ですので割愛します。

 

 

テストの前に、それぞれの製品の情報をGPU-Zで取得しておきました。

 

Palit GeForce GTX960 JetStream
Palit GeForce GTX960 SuperJetstream

 

N670GTX-PM2D2GD5/OC
MSI N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

GIGABYTE WINDFORCE2X GV-N560SO-1GI
GIGABYTE WINDFORCE2X GV-N560SO-1GI

 

この後性能測定に入る訳ですが、GV-N560SO-1GIは劣化していたのか、出荷時設定のGPUクロックではテスト中にエラーが頻発して実用に耐えず、やむを得ずGPUクロックを900MHzに下げて(連動しているシェーダークロックも1800MHzになります)性能を測定しました。GeForce GTX 560Tiはリファレンスでは822MHz動作ですから、それでも充分にオーバークロック状態ではあるのですが。

 

 

 

Test1: 3DMark FireStrike

 

まずはそれぞれの結果を並べてみましょう。

 

3DMark FireStrike GeForce GTX960 JetStream
3DMark FireStrike GeForce GTX960 SuperJetstream

 

3DMark FireStrike N670GTX
3DMark FireStrike N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

3DMark FireStrike GV-N560SO-1GI
3DMark FireStrike GV-N560SO-1GI



3DMark FireStrikeは主にハイエンドゲーム環境をテストするためのベンチマークであり、今回のPC環境では少々貧弱だったかもしれません。

 

スペック的には、特にメモリー周りでN670GTX-PM2D2GD5/OCに対して見劣りする部分もあるGeForce GTX960 SuperJetstreamですが、スコアでははっきりと上回ってきました。GeForce GTX960 SuperJetstreamはリファレンスに対して約12%もオーバークロックされていますので、定格周波数であればもう少し拮抗するのかもしれませんが。

 

一方、同クラスの旧製品となるGV-N560SO-1GIは残念ながら同じ土俵で勝負出来るようなスコアではありませんでした。実際にテスト中の描画を見ていてもかなりスムーズさに欠けていて、この水準のテストでは通用しなくなりつつあることを示してしまっています。

 

 

 

Test2: 3DMark SkyDiver

 

3DMark SkyDiver GeForce GTX960 SuperJetStream
3DMark SkyDiver GeForce GTX960 SuperJetstream

 

3DMark SkyDiver N670GTX
3DMark SkyDiver N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

3DMark SkyDiver GV-N560SO-1GI
3DMark SkyDiver GV-N560SO-1GI

 

3DMark SkyDiverは主にメインストリーム級のテストに適したベンチマークであり、先程は通用しているとは言い難かったGV-N560SO-1GIでも実用レベルの結果は残しましたが、スコアの傾向自体はFireStrikeと同様です。GeForce GTX 960とGeForce GTX 670とを、どちらも定格動作させれば結果はより拮抗するのではないでしょうか。

 

 

 

Test3: FinalFantasy XIV 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編

 

続いては国産ゲームのベンチマークです。

 

 

FF14ベンチマーク GeForce GTX960 SuperJetStream
FF14ベンチマーク GeForce GTX960 SuperJetstream

 

FF14ベンチマーク N670GTX
FF14ベンチマーク N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

FF14ベンチマーク GV-N560SO-1GI
FF14ベンチマーク GV-N560SO-1GI

 

ここでは旧製品とはいえ1クラス上の意地というべきか、N670GTX-PM2D2GD5/OCがGeForce GTX960 SuperJetstreamを上回ってきました。FF14ベンチマークのこの条件では、メモリーバンド幅が大きく影響するのかもしれません。そして相変わらずGV-N560SO-1GIだけが大きく後れをとっているという構図です。

 

 

 

Test4: PHANTASY STAR ONLINE2 キャラクタークリエイト体験版 ver. 2.0

 

こちらは「体験版」となっていますが、この体験版はキャラクター作成以外はほぼベンチマークのみというものですので、あくまでベンチマークとして利用しました。

 

 

PSO2 GeForce GTX960 SuperJetStream
PSO2 GeForce GTX960 SuperJetstream

 

PSO2 N670GTX-PM2D2GD5/OC
PSO2 N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

PSO2 GV-N560SO-1GI
PSO2 GV-N560SO-1GI

 

ここでは今までのテストほど大きな差は生じませんでしたが、GeForce GTX960 SuperJetstreamとN670GTX-PM2D2GD5/OCとが拮抗して、GV-N560SO-1GIが後れをとるという構図に変わりはありません。

 

 

ここまでの結果で明らかなのは、Kepler世代でGeForce GTX 960よりも1クラス上となるGeForce GTX 670はまだある程度通用する水準を保っているものの、Fermi世代のGeForce GTX 560Tiでは快適に動作するゲームは今後限られてくるということでしょうか。

 

 

 

Ⅱ.MediaEspressoにおけるCUDAの性能

 

 

CyberLink MediaEspressoはワンタッチで動画形式の変換などが行える、シンプルなエンコードツールですが、Intel QucikSyncVideoやNVIDIA CUDAなどの機能に対応し、処理を大幅に高速化出来ることが特徴となっています。

 

実はゲームにおける性能よりも個人的に気になっていたのは、動画エンコード/デコードにおけるCUDAコアの性能差でした。このPCで利用するCPU、Core i7-3930Kは内蔵グラフィックが存在せず、MediaEspressoで特に大きな効果を発揮するIntel QuickSyncVideoに対応しませんので、この部分の性能差は私にとって実用性に大きく影響するのです。

 

今回は約30分のMPEG2-TSファイルを、1280×720 2Mbit/sのMPEG4(H.264)ファイルへと変換する際の所要時間を測定しました。NVIDIA CUDAはMPEG2デコード時に有効となっています。

 

主な設定は以下の通りです。

 

MediaEspressoの設定
MediaEspressoの設定

 

 

結果は以下の通りとなりました。

 

 

MediaEspresso GeForce GTX960 SuperJetStream
MediaEspresso GeForce GTX960 SuperJetstream

 

MediaEspresso N670GTX-PM2D2GD5/OC
MediaEspresso N670GTX-PM2D2GD5/OC

 

MediaEspresso GV-N560SO-1GI
MediaEspresso GV-N560SO-1GI

 

 

この結果をグラフにまとめると以下の通りとなります。

 

MediaEspresso実行時間
MediaEspresso実行時間

 

GeForce GTX 670よりもCUDAコアの数が少ないGeForce GTX 960を搭載する、GeForce GTX960 SuperJetstreamが圧倒的に高速でした。GeForce GTX 560Tiを搭載するGV-N560SO-1GIはもはや通用するとは言い難い結果となってしまっています。

 

 

 

Ⅲ.消費電力を比較する

 

 

ここまでのテストでは主に性能面についての検証を行ってきました。しかしMaxwellアーキテクチャの神髄は絶対的な性能だけでは無く、圧倒的なワットパフォーマンスにあります。そこで消費電力についても調べてみました。

 

具体的にはアイドル時に最も低かった消費電力の値と、高負荷時に最も高かった消費電力を比較してみました。高負荷の条件は3DMark SkyDiverのCombineテスト実行時のもの(実験してみたところ、このテスト実行時にシステム消費電力が全ての組み合わせで最大となったため)を計測しています。

 

消費電力はシステム全体のものとなりますので、ビデオカード単体の消費電力とは一致しないことは予めご了承下さい。

 

消費電力の測定にはこちらのワットチェッカーを利用しました。

 

 

 

まずはアイドル時から。

 

GeForce GTX960 SuperJetStream アイドル時
GeForce GTX960 SuperJetstream アイドル時

 

N670GTX-PM2D2GD5/OC アイドル時
N670GTX-PM2D2GD5/OC アイドル時

 

GV-N560SO-1GI アイドル時
GV-N560SO-1GI アイドル時

 

ほぼ10Wずつの差ですが、速度性能と反比例する結果となってしまいました。続いて高負荷時の結果です。

 

 

GeForce GTX960 SuperJetStream 高負荷時
GeForce GTX960 SuperJetstream 高負荷時

 

N670GTX-PM2D2GD5/OC 高負荷時
N670GTX-PM2D2GD5/OC 高負荷時

 

GV-N560SO-1GI 高負荷時
GV-N560SO-1GI 高負荷時

 

こちらもグラフにまとめてみました。

 

 

消費電力(W)
消費電力(W)

 

 

旧世代で1クラス上ということを考えればN670GTX-PM2D2GD5/OCも案外優秀ですが、GeForce GTX960 SuperJetstreamはあれだけの性能を叩き出していながら、他よりも大幅に少ない消費電力というのは驚嘆に値します。出荷状態よりGPUクロックを100MHz下げているGV-N560SO-1GIよりも最大値で50W以上も少ない訳で、とても同クラスの製品とは思えないほどの電力効率の差となっています。

 

ここでは最大値と最小値しか取得していませんが、実はGeForce GTX960 SuperJetstreamは3DMark(FireStrikeとSkyDiver)のCombineテスト以外では300Wを超えることが全くない程でした。逆にGV-N560SO-1GIはちょっとした負荷がかかると簡単に330~340Wという、GeForce GTX960 SuperJetstreamの瞬間最大値に相当する程度の消費電力となってしまっていました。

 

これ程の差が付いてしまうと、もう一度GV-N560SO-1GIをシステムに組み込むことに、抵抗を感じるようになってしまいます。

 

 

 

Ⅳ.静音性能を検証する

 

ここでは動作時の冷却ファンの動作や、そこで発生する騒音を比較してみます。詳細はこちらの動画をご覧ください。

 

 

 

動画の撮影はCanon iVIS HF M51で行い、明るさの補正などの編集にはAdobe Premiere Pro CC 2014を利用しました。

 

 

 

 

結論から言ってしまえば、そもそも温度が上昇しなければファンが回転すらしない、GeForce GTX960 SuperJetstreamの静音性能は群を抜いています。温度が上昇してファンが回転しだしても、きわめて低速で回転していますので騒音はないに等しいレベルです。

 

動画ではCPUクーラーのIntel RTS2011ACの方の騒音が目立っているため少しわかりにくい部分もありますが、実際に使っているとビデオカード付近からは殆ど音がしないという感覚です。

 

2機のファンが高速回転し続けるGV-N560SO-1GIは常に一定以上の音量で騒音が発生しますし、ファンが1機のN670GTX-M2D2GD5/OCも特に高負荷時はかなりの騒音となります。

 

GeForce GTX960 SuperJetstreamの静音性能であれば、オーディオ観賞用として使ってもさほど気にならない程度かもしれません。通常オーディオ向けPCでは静音性能を重視するとパフォーマンスはあきらめざるを得ない部分もあるのですが、GeForce GTX960 SuperJetstreamはその概念を変えてくれる可能性を感じさせてくれました。

更新: 2015/02/25
Palit GeForce GTX960 SuperJetstream( NE5X960T1041-2060J ) のキャッチコピー PREMIUM REVIEW

COOLな頭脳(GPU)でHOTな性能

大幅なオーバークロックの影響もあり、予想を超える性能を発揮してくれたGeForce GTX960 SuperJetstreamですが、やはりその神髄は通常のGeForce GTX 960以上に高い性能を、

 

 

・少ない消費電力で
・静かに
・涼しく

 

 

発揮出来ることではないかと思います。

 

この特徴を端的に表す表現として考えたのが、「COOLな頭脳でHOTな性能」というものでした。しかしこれだけでは意味が少し通りにくいかと思い、頭脳に(GPU)というルビを足しています。

更新: 2015/03/02
総評

コストパフォーマンス以上にワットパフォーマンスが際立つ

ここまでの検証によって、第2世代Maxwellアーキテクチャを採用するGeForce GTX 960そのものの優秀さと、その特徴をより引き立たせているGeForce GTX960 SuperJetstreamという製品の長所ははっきりと判ります。

 

実はテスト開始前には、GeForce GTX 960の発表されていた性能から判断して、絶対的な性能ではGeForce GTX 670とはせいぜい同等レベルなのではないかと思っていたのですが、実際には大抵のテストでGeForce GTX 670を明らかに上回ってきていました。

 

この性能面での優位は、GeForce GTX960 SuperJetstreamの大幅なオーバークロックと無関係ではないでしょう。定格クロック比で約12%ものオーバークロックですから、パフォーマンスに無視出来ない影響を与えていることは想像に難くありません。

 

ちなみに各社から発売されているGeForce GTX 960製品群の中では、innovisionから発売されている「GeForce GTX960 iChill X3 AIR BOSS Ultra」がGeForce GTX960 SuperJetstream以上の高クロックを達成しているのですが、こちらはPCI Express補助電源コネクターが6Pin×2となってしまい、GeForce GTX 960の大きなメリットである省電力性能を少なからず損なってしまっている部分があります。その点、補助電源コネクターを1つで済ませていながら大幅な オーバークロックで高い性能を実現しているGeForce GTX960 SuperJetstreamの扱いやすさやバランスの良さが光ります。

 

ただ、私にとって手放しで褒められないと感じた部分についても触れておく必要があるでしょう。

 

最も気になったのは、やはり3スロット分(公称は2.5スロットですが、0.5スロット分空いていてもその空間を活用できるわけでは無いのでこう表現しています)のスペースを占有してしまう厚さです。私は拡張カードを少なからず使う方ですので、ビデオカードだけで3スロット分の空間を占有されてしまっては、 PCの構成にどうしても無理が生じます。

 

また、60℃以上から冷却を開始するというファンは、静音性能には大きく貢献して いますが、実際に60℃付近になっているとボードは意外と熱を持っていて、触ったときに殆ど温まっていないクーラーとの温度差に驚きます。回転しだしても決してうるさいファンではないので、もう少し低い温度で動いてくれた方が個人的には安心感を持てます。この辺りは自分で設定を変更することも可能ですので、許容出来る部分ではありますが。

 

価格面については、NVIDIAが発表している米国の基準価格は$199であり、かなり戦略的なものとなっていますが、残念ながら日本では円安の進行により2万円台後半~3万円台前半辺りと、先代のGeForce GTX 760よりは少し高めの水準となってしまっています。日本のユーザーにとってほんの少しお買い得感が薄れてしまっている辺りは時勢の問題であり、やや不運に感じられます。

 

 

それでも、私が感じた不満や不安など些細なものにしか感じないほどに、GeForce GTX960 SuperJetstreamの満足度は高いものです。現在使っているビデオカードがGeForce GTX 660Ti以上であれば考える余地はありますが、それ以前やそれ以下のGeForceユーザーであれば、消費電力を大幅に下げつつ性能を向上させることが出来る訳ですから、積極的に入れ替えを考えるべき仕上がりといえます。特に大幅なオーバークロックを施しながら、消費電力を大きく増やすことの無いGeForce GTX960 SuperJetstreamは、特に有力な候補として検討するべき製品といえるでしょう。

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