GTX660からGTX970への変化は、相当ラディカルなものではなかろうかと、自分は想像していた。
それは、自分が現在使用しているPCを組んだ際、コスト的な問題から高額なパーツを導入できなかった部分で最も気になっていたのがグラフィックカードだったからだというのももちろん大いにあったと思う。
実際に組み替えて最初に感じたのは「ほとんど変わらないじゃないか?」という違和感だった。
確かに準ファンレスで画像作業、WEB制作程度であれば、ほとんどノイズレスで動く。静かである。
しかし、だからといって、相当に表示が速くなったり、何かが変わった感じはなかった。
そもそも、映像製作用のPCなので、映像制作にも持ち込んで見た。
これは主に使用するVegasPro 12.0の対応状況があまりよろしくないという問題もあり、効果はそこまで高くなかった。あえて、CUDAが得意とするレンダリング方式を使用することにより、有意差のあるデータは取れたものの、基本的にはデータ取得のための作業であり、実用上有用であると自信を持って言うことはできなかった。
そこで、演出用途などで使用するAdobe CS5.5を使用したところ、そこで初めて、本カードの実力を体感することが出来た。
AdobeはOpenGL経由で、3D処理はもちろんのこと、レンダリングも体感できるレベルで高速化できた。
実は、これによって自分のワークフローにも一つ大きな変化ができた。
今まではバッチコンバーターで入稿された映像のフォーマットを編集しやすいフォーマットに一度エンコードしていたのだが、Adobe Encorderを使用することによってエンコード時間の短縮化を図ることができたというものだ。
慣れもあるので、今すぐに全作業をPremiere等Adobeベースにすることは考えていないし、将来的にも考えはしないと思うが、例えばVegasProのCUDA、OpenGLへの対応状況によっては、より積極的にバージョンアップも考えたいし、なによりも、自らの先入観を一度捨てて、所要時間などを計測して比較することの大切さを、本レビューを通して再確認させられた。
さて、今回使用したSTRIX-GTX970-DC2OC-4GD5のサイト上で明らかにされているスペックは以下の通り
- NVIDIA GeForce GTX 970搭載
- コアクロック(GPU Boost時):1,253MHz(定格の1,178MHzからクロック向上)
- コアクロック:1,114MHz(定格の1,050MHzからクロック向上)
- メモリクロック:7,010MHz
- メモリバス:256bit
- ビデオメモリ:GDDR5 4,096MB
- DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-I×1、DVI-D×1
- GPU温度が上昇したときにのみファンを動作させる「ゼロノイズファン」機能
- ヒートパイプをGPUに密着させた強力かつ静音な「DirectCU II」クーラー
- 効率向上および電流ノイズを30%低減したデジタル電源回路「DIGI+ VRM」
- 部品レベルで性能を向上したカスタム部品の「Super Alloy Power」を使用
- 高機能リアルタイムハードウェアモニタ&OCツール「GPU Tweak」を付属
そして、恐らくASUSが売りにしているキーワードは準ファンレス。
それも含めて、PCパーツは本当に日進月歩だと感じさせられた本レビューであった。
演算性能が全て!じゃない?
消費電力・仕様・演算性能
大事なのは一つじゃない
パソコンパーツはめまぐるしく変化する。ほとんどの製品は発売から一年経たないうちに「型落ち」品になる。
もちろん、大概の場合は「新しいものほど良い」もので、実際、10年前の楽器はまだ慣らしの状態と言うことも多いが、10年前のパソコン・パソコンパーツは原則、時代遅れだ。
そんなわけで、PCパーツは常に最新の物を選びたい…と言いたい所だが、実はそうもいかない点もある。特に昨今のビデオカードの消費電力は…凄まじいのだ。
各社のビデオカードの消費電力は以下の通りだ。
2011年ごろ
GeForce GTX 590 365W
GeForce GTX 570 219W
RADEON HD 6990 375W
RADEON HD 6870 151W
2012年ごろ
GeForce GTX 690 300W
GeForce GTX 670 170W
RADEON HD 7970 250W
RADEON HD 7870 190W
2013年ごろ
GeForce GTX TITAN 250W
GeForce GTX 770 230W
RADEON R9 290X 250W
RADEON R9 270 150W
ちなみに、現在、私が使っているビデオカードはGeForce GTX660ベースのオーバークロックモデルとなるので、消費電力は140Wである。
ここで、もし、一世代新しい7XX系の一つ上のモデル=GTX770にしたいとなると230Wなので+90W、同じグレードのGTX760でも170Wなので+30Wとなり、場合によってはビデオカードだけではなく、電源の入れ替えも必要となるのだ。
GeForce GTX 900シリーズは上記の理由から実は、極めて興味深く感じていた商品だ。
なにせ、ハイエンドのGTX980で165W、ミドルレンジのGTX970では145Wの最大消費電力なのだ。
つまり、この製品であれば、現状のGTX660との違いを意識することなく導入することが出来るのだ。これは、今までのミドルレンジ製品からランクアップする場合には何気に難しかった部分で、導入ハードルは一気に下がったと言える。
演算性能とは全く別次元の話に仕様というものがある。
つまり、対応しているか対応していないのかという問題だ。
主にはDirectX、OpenGLのどのバージョンのAPIに対応しているかという点であるが、さすがに最新のビデオカードだけあって、共にDirectX 12.0にいち早く対応している。また、OpenGLに関してはGTX700シリーズに引き続き4.4に対応している。
もっとも、仕様として他社製のチップともっとも大きな違いが出るのは、CUDA(Compute Unified Device Architecture)である。
簡単に言えば、CPUで行われる演算をビデオカードで補完するための規格で、これを使用することにより動画のエンコード速度などの向上が見込まれる。
特に私が主に映像編集に使用するソフトウェアは共にCUDAに対応しているため、nVidia以外の選択肢は考え辛い。
共にCUDAに対応した映像編集ソフトウェア
逆にOpenGLのみを使用するのであればRadeonシリーズの他にnVidiaのQuadroシリーズなども考えられる(但し、値段は高い)
最後に演算性能だが、これは、ベンチマークソフトによって結果は大きく異なるため、一概にどの製品が優れているとは言い難いところもある。
例えばGTX970とGTX980であれば、同じコア(設計)を使用しており性能が異なるだけなので、GTX980>GTX970と断言できる。
しかしながら、例えばバス幅を見ると一世代前のGTX780が384bitに対してGTX980/970は256bitに落ちているし、CUDAコア数もGTX980の方がGTX780Tiよりも低い。
これは、CPUでもあったことだが、メーカーによると、処理効率の違いによって、例え数値上のスペックが低くとも実際の演算能力は上がっているとのことである。
つまり、原則的に同じクラスの製品であれば、新しいものの方が演算性能が上がっていることが圧倒的に多いわけで(もしそうでないのであれば、何らかの極めて大きなメリットが新しい製品にあることが多い)、この部分に関しては最新のビデオカードが最良のビデオカードと言って差し支えないだろう。
結論:GeForce GTX900シリーズは最新=最良と言える
ハイエンドカードの場合は特にさまざまな制約がある。電源は十分か?そもそも、そのカードをさす空間的な余裕はあるか?そういった、制約だ。
上記でも述べたように、相当にパソコンに入れ込んでいる人でない限り、300Wを超えるようなカードを使うのは電源選びからも、かなりハードルが高いと感じる中、Maxwellと呼ばれるアーキテクチャを採用したGeForceは劇的に消費電力が抑えられており、安心して導入することができる。
特にゲームや映像の演算などでGPUパワーを必須とするのであれば、このGTX980/GTX970シリーズは間違いなく勧められるし、そこまで必要ないという人にはGTX750/750Tiという選択もある。これらはいずれも55W/60Wという消費電力の低さだ。
GTX750TiとGTX970の間(現行であればGTX760に当たる機種)も2015年第一四半期には出てくるとの事なので、こちらも性能/消費電力という意味で十分期待を持って待ちたいと思う。
劇的に変化するところ、変化しないところ
さっそく、実機を見ていく。
パッケージはほんのりマット調+光沢とはいえ比較的平凡な箱で、特に盛り上がらない。
ザクザクと中身に入っていく。
と、思ったところ中箱の質感が良い!
箔押しのASUSロゴ、箱全体にも薄くASUSロゴがエンボスで入れられている。なんか、否応なく期待感を高められる。というか、今まで使用してきたPCパーツはほとんど茶色か白の「ザ・梱包材」だったので、あまりの違いに驚く。そして…
箱の中に箱が…同じ質感で、更に期待が高まったところで…
軽っ!?
完全なフェイクだ。このしっかりとした箱に入っていたのはCD-ROM一枚と、簡単な説明書(日本語表記も有)
てっきり、付属品でも入っているのかと思ったため、完全な肩透かしを食らった。ということは、この箱の下に…
というわけで、ようやく本体とご対面。やはり少々大きく感じるが、現有のGTX660とそこまで大きくは変わらないはずだ。
比較して見ると…
背面パネルは全く同じ配置だ。やはり970の方が一回り上大きく、ボードが背面から大きくはみ出している。
上から見ると、長さも970の方が随分と長いのが分かる。これはケースも考えた方が良さそうだ。とりあえず、今のPCに組み込んでみる。
かなりギッチリ感を感じさせる詰め込み具合。ただし、問題なく装着は出来、一安心。さっそく配線をし再設置、レビューを開始する。
なお、本レビューに使用したPCのスペックは以下の通りである。
【OS】 Windows 7 Professional 64bit
【CPU】 i7-4770
【M/B】 ASUS Z87 Pro (C2)
【RAM】 CFD W3U1600HQ-8GC11 * 2 (8GB * 4)
【VGA】 GIGABYTE GV-N660OC-2GD/A (GTX660)
→ ASUS STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(GTX970)
【SSD】 CFD CSSDS6T128NHG5Q (128GB)
【HDD】 WD WD20EZRX * 2 (RAID0)
【BD】 LG BH14NS48
【PWR】 FSP RA-750
【CASE】 InWin IW-MG137
もともとNVIDIAのドライバが入っていたため、ドライバの認証は完全に自動。最新版のドライバもNVIDIA GeForce Experienceで勝手にアップデートしてくれる。正に手間要らずである。
そのため、特に何もしなければ、なんの変化にも気付かない。
少し静かになった程度である。
実は、スペックもそんなに大きく変わった気がしない。その理由がこれ。
CrystalMark 2004R3でも比較して見た。
これを劇的な変化と呼べる者はいないだろう。
そこで、こう結論付けることもできる。
「GTX660とGTX970との間には大した違いがない」と。
しかし、それは早計ではないか?
GTX660とGTX970の間には二世代のギャップと(60系と70系との)レンジの差がある。
もし、本当に大した違いがないのだとしたら、わざわざ商品開発をする意味意が分からない。
そこで、CUDAコアを使った映像レンダリングでは違いが出るのではないかと考えた。
もっとも単純には、普段から使用しているVegas Pro 12を使用する方法がある。
このソフトはCUDAでのエンコードに対応しており、任意にCUDAのオンオフが可能である。
そこで、下記の商品レビューで使用した映像を以下の3モードでレンダリングしてみた。
1. CPUのみを使用したレンダリング
2. GTX660のCUDAを使用したレンダリング
3. GTX970のCUDAを使用したレンダリング
EOS 5D mark2 で撮影された.mov形式のファイルと、iVIS HF10で撮影された.mts形式のファイルを合わせて6分強の.mp4形式のファイルに変換している。
エフェクトはクロスフェード程度の単純なレンダリングである。
それぞれにかかった時間は以下の通りであった。
それぞれ894秒、845秒、465秒となり、GTX970はGTX660の1.84倍の速度で演算したと言うことになる。
これは仮説に過ぎないが、おそらくDQXや古いベンチマークソフトであるCrystalMark 2004R3ではGTX660以上のパワーを多くは必要としていないと言うことなのではないか?
逆に、いくらでもパワーが必要な場面では、GTX970は作業効率を上げてくれる頼頼もしいパートナーになってくれそうだ。
仮説の実証
では、実際に、最近のゲームなどのベンチでどれほどの差が出るのか、検証してみる。
TENGA(元れとろ)さんが検証に使用していたCatzillaが妙に気になったので、まずはCatzilla。
以下、GTX660は緑文字、GTX970は赤文字で表示する。
総合ポイント 15016 23607
特にGPUの性能差が顕著に表れるファーテスト、流体テスト、レイマッチングテストでは全てにおいて150%以上の数値差が見られた。
続いて、モンスターハンターの大討伐。
SCORE 12419 25095 (202.1%)
こちらは気持ち良く「倍」。見ていても、GTX970ではカクツキやモタりがなく、スムーズに動いている感じがあった。
最後も定番のFF14ベンチ。
SCORE 8323 14639 (175.9%)
有意差なしとは言わせない175%アップ。
ただし、画像でも分かるようにGTX660でも1920*1080の最高品質で非常に快適扱いである。
ショップ店員がGTX660でも一通りの作業は快適に出来ると言っていたのは頷くことが出来る。
なお、仕事でAfterEffectsを使用することがあるが、業者様向け40秒のオープニング映像、バックグラウンドにmp4で映像が流れており、その上を3D扱いで写真が数枚飛ぶ感じの映像(映像自体は権利の問題で見せることができないのだが)をレンダリングした結果が以下の通り。
上がGTX970、下がGTX660の結果だが、かかった時間は88秒と43秒。約倍速であり、ほぼリアルタイムで演算が出来てきた。
4Kでもストレスを感じない!!
最新のビデオカードなので、最低限のお仕事は出来て当たり前。
なら、4K素材はどうだろう?
というわけで、HX-A500(後日レビュー予定)を買ってきてトライアウト。
VegasPro 12.0を使用するが、VegasProの4Kは4096*2304/23.976fps(デジタルシネマ)が標準のため、3840*2160/30fps(テレビ用規格)はカスタム設定となる。
では、まずは編集中のプレビューを
映像のつなぎ目(フェード)では若干コマ落ちがでるものの、概ね問題なくプレビューが可能。
ストレスといえるようなストレスは全く感じない。
前半の延々スガキヤの特製ラーメン&SプレミアムをMoMAにも展示されているラーメンフォークですする映像はPanasonic HX-A500で4K撮影したものをそのまま録って出し。
最後のカクテルグラスは連射撮影されたものを1フレーム1画像で無理やり映像化したもの。
いずれも、多少のコマ落ち程度で実用上は全く問題ない。
再生中はファンがフル稼働している状態で、パワーを要しているのは外からでも理解できた。
なお、1分45秒、1.42GBの4K映像をレンダリングするのに要した時間は8分35秒。
上記のものに、AfterEffectsで文字を3Dチャンネルを使用して挿入。
レンダリング所要時間はGTX970で9分17秒、GTX660で14分25秒。
恐らく3Dを使用していない部分のレンダリング速度はそこまで変化していないと考えられるため、エフェクトを多用すれば多用するほど差が生まれる感があった。
10日間みっちり使ってみた
ベンチマークなどの追記のため、10日間、毎日みっちりとASUS STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(GTX970)を使用した上で、元のGTX660に戻してみた。
上でも書いたように、普段使うにはここまで必要ないという考えは今でも変わっていない。
しかし、実はGTX660に戻して最初に感じたことは、実は「うるさい」であった。
静音性の部分で、ノイズレスとはいえ、最もうるさいのは元々グラフィックカードではないから、そこまで劇的な変化はないと書いたが、静かな環境に慣れると、前の環境は耳障りですらある。
この、一点だけ取ってみても、一度使ってしまうと前には戻れない魅力が、確かにASUSの準ファンレスには存在する。
実用上ではCUDAでの最終的なレンダリングよりも、AfterEffects使用時のプレビュー速度が速くなったのがありがたい。
体感速度で違いを感じる程、エフェクトチェックなどにかかる時間が短縮された。
もちろん、これらの機能はソフトウェア側でも対応がなされていることが大前提だが、グラフィックカードを必要とするソフトウェアが標準的に対応してくるのがnVidiaのチップであり、その恩恵は大きい。
このカードがゲーマー向けであることは承知しているし、クリエイター向けに(高価な)Quadroシリーズがあることも十分に承知はしている。
しかしながら、AfterEffectsやVegasProを使用する中で、GeForceであってもGPUの処理能力が活かされている場面が散見された。
確かにゲーマーでない身からコストパフォーマンスだけを考えれば、なかなか購入に踏み込めないが、一度使ってしまうと、その快適性の虜になってしまう。
さらに数日、特にPremiere、AfterEffectsを使用するようになって気づいたのは、実はレンダリング速度も向上しているということだ。
これには主に二つの条件=ソフトウェアの対応、コーデックの対応というものがあり、自分が普段最も良く使用するVegasPro 12.0では残念ながら十二分に効果が出ていなかったものである。
具体的に速度差が出たのは1440*1080のMTS素材(フルハイビジョンのDVテープなどで撮影した際に作られるフォーマット)を1920*1080のMP4素材にAdobeMediaEncorderを使用して変換した際、明らか体感速度が上がっていたため、計測。
8ファイル、合計7.56GB、1時間17分27秒分のMTSファイルをMP4ファイルに変換するのにGTX970では1時間25分程度かかったのに対し、GTX660では2時間5分程度かかった。(所要時間がデジタルで表示されない為、時計で測ったため細かい秒数までは計測せず)
根本的に「じゃぁ、必要なの?」と聞かれたとする
機材導入のポイントは「必要なのか否か」
本機がゲーマー向けであり、ゲーマーにとってのコストパフォーマンスはきっと高いのだろう。
しかし、自分は(現状では)ゲーマーではない。
では、これを導入するメリットは何か?
- レンダリング時間が短縮できる。(但し、フォーマットによる。メインで使用するフォーマットがCUDAやOpenGL、OpenCLに対応していなければメリットがあまりない)
- AfterEffectsなどのプレビューが早くなり、イライラが解消される。
これらの値打ちをいくらと算出するか。
レンダリング時間で考えるならば、時給を2,000円程度と考えて25時間ほどレンダリングが短縮できれば良いという算出方法もある。
25時間レンダリングが短縮されるまでに、どれほどの時間が要されるかを考え、そしてレンダリング中は他の作業を行っていることが多いという自らの特性を考えると、この時間差のためだけにこのカードを買うのには、かなりハードルの高い値段だ。
逆にイライラの解消という意味では、時間的な作業効率以上の意味がある。テンポ良く仕事が出来るということは、作品のクオリティにも密接に関係してくるからだ。
とは言え、やはり価格が高く感じるのは、他のカードの値段が安いからだ。
もし、チップセット内臓のグラフィック機能とこのカードしか存在しないのであれば、コストパフォーマンスを考えるまでもなく、自分はこのカードを購入するだろう。
しかし、安価で性能の良いカードが山ほどある現状を考えれば、非ゲーマーにはここまでのカードが必ずしも必要とは言えないと感じた。
最初は驚く
一回目に立ち上げた際(冬場で部屋が寒かったと言うこともあり)ケース等のファンの回転数も低く、一瞬、立ち上がってないのかと思うほど静かだった。
しかし、結局、PCから出るノイズの大半はビデオカード以外から出ているのではないかと考えると、例えビデオカードが無音でも、そこまで劇的な変化はない。
もちろん、うるさいよりは静かな方がよい。また、基本的な冷却性能が高いのは、高負荷時にも熱を逃がしやすいと言うことになるわけで、同じGTX970搭載カードの中から自分が使う為の一枚を選ぶ上では、明確な理由になりえる。
-0.5点は、高負荷時に若干泣く為。そのうちおさまってくるのではないかとは思うが。
ポルシェの様なビデオカード
最新のポルシェは最良のポルシェ。ポルシェ好きなら恐らく、一度は聞いた事がある言葉だ。
STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5は正にポルシェの様なカードだと感じた。
といっても、(トップモデルの)911というよりは(入門モデルの)ボクスターと言った感じだが。
つまり、最近の車は、どの車を買っても日常使用するのに差し支えることはあまりない。ちょっと型落ちの、それこそGTX660でも、特に重いゲームをしたり、動画の演算に使用したりするようなことがなければ特に不満を感じることがないように。
下位機種のGTX750Tiでもそれは同じことが言えるだろう。
しかし、その先の世界ではどうか?つまり、このカードは限界値が高いのだ。
それゆえに、普段使いするのはもったいないと考える人もいるかもしれない。限界値が高いなら、そういう使い方をする人だけが手にすればいいんじゃないか?
もし、一世代前のハイエンドカードについて語っているのであれば、私は間違いなくその意見に頷いただろう。もちろん、例える車はポルシェではなくフェラーリ等になるのだろうが。
ただ、このカードの素晴らしいところは、限界値が高い上に消費電力が低い、つまり普段使いしながらもいざと言うときに余裕を持てるカードなのだ。
そういう意味で
燃費が良く(街乗りで10km/L程度)、小回りが利き、いざとなるとしっかりと走れるポルシェと消費電力が低く、それでもピークスペックは高いこのビデオカードは、どこか似ている感じがする。
もちろん、ほんの少し値段が高めで(とはいえ、ハイエンドモデルほどではない、頑張れば買える価格帯で)、ほんの少し突っ込みどころがある…カードの方でいえばサイズがやや大きく、ケースも大き目のものが必要になるところやビデオカードがファンレスで無音でも、ケースファンなどが回る以上、やはり何らかのノイズがある点、車の方で言えばトランクが前後に分かれていずれも大きくはない上、後のトランクは排気管の真上にあるため、冬場でも野菜を入れておくと温野菜製造機に早変わりする点なども、実は似た空気を持っているのではないかと感じた。