レビューメディア「ジグソー」

チープな音とも陳腐な音ともちょっと違う。コレがオリジナリティのある味というやつか。


G&BL ヘッドフォン「Ebony70」のプレミアムレビューです。


パッケージ裏面には、大きな4つのポイントとして
「The Sound」 : 黒檀を使用することによりいい音が出ますよ!
「The Quality」 : 厳密な生産体制といくつもの検査を行い
徹底的にクオリティを追及しているよ!
「Material」 : 貴重な黒檀を使用しているよ!
「Health」 : 耳にやさしい構造を心掛けているよ!
と謳い文句が書かれてますね。


パッケージ開けて実物見てみますと・・・
う~ん、思っていたよりも見た目が地味な感じです。

パッケージのお姉さんがつけてるのとか、
メーカーのWebサイトに掲載されている木目調は
もう少し光沢があるように見受けられ印象的でしたので
そこからすると多少見劣りがしますね。

フォトショマジック...


ちょっぴり気になる問題は、多少管理品質に
問題がありそうなことでしょうか。
ヘッドホン側面の金色部分がメッキが曇ったように汚れています。


ただ、ティッシュペーパーで拭ったらきれいになったので、
偶々だったんでしょうか。
目立つ部位なのに・・・製品の品質管理という点では、
日本企業には及ばないのかな。


ヘッドホンのハンガーとハウジングの接続角度が
ほぼ反転できる自由さがありますので、こんな置き方も余裕です。
(大切にするうえではお勧めしませんが!)

DJヘッドフォンみたいに反転できるのはイイって
喜ぶ方もいるかもしれませんが・・・
しかし、実用では、ハウジング下部に両出しの
ケーブルをつけるわけで、そういう使い方としての
使い勝手的には向いていません。


手に取った感じが非常に軽いな~と思ってたんですが、
よーく見ると、後ろの方だけ、ヘッドバンドの上部が
軽量化の為か切れ目が入ってて、デザイン的には
後ろから見られたらちょっと恥ずかしいかな。

ヘッドバンドの長さ調節が左右で行えるのですが、
長さを調節した時の引っかかりがカチカチってしっかりした感じではなく、
カリカリカリって軽い感じだったので、内部構造の摩耗などにより
長期間の使用に耐えるのかちょっぴり不安に思いました。

が、頭の大き目な私の場合、一番長く出した状態が
ベストフィットなので、どうあろうとも問題ないです(笑)



付属品は、交換用イヤパッドと、ケーブル、収納袋です。


ケーブル取り付けましたが・・・
細くて何かに引っ掛けるとケーブル接続口を
ダメージ与えてしまいそうで、ちょっぴりラフな使い方や、
屋外での使用は難しいと感じます。

他のメーカーの場合は、ケーブル接続口はロックできたり
捩じって止める機構がついていたりするので、
ちょっぴり残念です。


デザイン的には、単純な見た目は結構シンプルで
いい感じなんです。

両出しのケーブルが利便性の上では引っかけたり
絡ませたりしてしまいそうで、あまりよいとは言い難いですが、
専用ケーブルでなくてもよいのでリケーブルを考えると
楽とも言えます。

ケーブル長が1.2メートルなので、視聴環境によっては、
長さが足りないって方もいるかもしれませんが
基本室内用と考えれば問題ないかもしれません。

付け心地は、非常に軽く、側圧も締め付け感が適切なので
非常に良いと言えます。
長時間つけていても、負担に思わない心地よさは
お勧めできるポイントです。

耳全体を覆うのではなく、耳のサイズと同じハウジングを
耳に乗せたサイズである小さなハウジングと、
ヘッドバンドも軽い素材で肉抜きして軽量化しているのが
とっても軽い理由なんでしょうね。

オンイヤーなタイプで側圧が強ければ
耳が痛くなるところですが、
柔いといっても良い側圧が絶妙な仕事しています。

使い勝手という意味では、体に負担をかけ難い
構造をしているってのは「Health」という宣言に
合致していると思えます。

デザイン面/利便性での評価を点数的に表しますと、
5点満点で3点ぐらいでしょうか。

黒檀に期待値が高すぎた為、ちょっぴり辛口な採点です。

それでは、各レビューポイントを絞って特徴を見ていきたいと思います。
更新: 2014/07/02
音の印象と製品デザイン PREMIUM REVIEW

3次元を2次元に変えてしまう立体感を奪うマジックのような再生感覚。

視聴してみてどんなヘッドフォンなのか
確認してみましょう。

視聴環境は下記の通りです。

再生機 : 自作FANレス無音PC 上の iTunes
音源  : CDからAIFF(WAVのapple版) 変換の44.1Khz/16bit/ステレオ
USB DAC : RME Babyface Phone端子接続
※Phone端子(6.3mmの大きい端子)接続用に 、
FURUTECHの 3.5mm stereo to 6.3mm stereo Adaptor(F63(G))を使います。


音楽を聴くにあたり、再生機がPCだと、どうしてもFANの音が
雑音として聞こえてしまいますが、そこは拘って
FANレス + 大容量SSD 搭載で、無音PCを構築しました。


一度無音PCを味わうと、もうFAN有りPCには戻れないと言っても
過言ではないぐらい、音楽鑑賞には影響大です!!

デジタルデータをアナログデータに変換するDAC部分である
USB DACはRME社のBabyfaceを使っています。


Babyfaceの特長は、一言でいうと、業務用のプロの機器から
入出力数を絞る最低限の構成として機能を抜き出した
高品質な機材と言えます。

今の時期のように、ハイレゾだ、DSDだとか言う以前の時期に
192kHz対応のAD/DAコンバーターを搭載し、高精度のクロック制御により
アナログ回路とデジタル回路を正しいタイミングで動作させ、
正確なタイミングで再生する事(録音する事も出来ます)に注力した
個人用で買うにはいささかハイスペックな機材です。

RMEに廉価版/下位モデル無しという謳い文句が誇張ではない事を
証明していると思います。

これ以上の機材が欲しければ、ホントに録音用機材を買うしかないと
個人的には思ってます。


Phone端子に接続するために変換プラグを使ってますが、
一定以上の品質をもって安心して使える機材として
FURUTECHの製品を採用しています。
ココのを使っておけば、最低限ハズレはないと思ってます。


こんな環境で視聴する形になるのですが、
「Ebony70」の音の印象として、一言でいうならば、
空間表現が狭く、低音をブーストしてくる感じで
ギラギラとした派手目な味付けでしょうか。

価格の高いヘッドホンで聞くとリスニングルームで聞いたような
広がりのある感覚を得られますが、この「Ebony70」の場合、
空間表現が頭を覆うぐらいの広さでしか広がりがなく、
体全体が音に包まれるような感覚を得にくいです。

音の感じが広がりがないためか、曲によっては
味付けが濃すぎて飽和するけれども、
締りが足りない曲ではいい感じに味として
合致することもあります。

強弱がある楽曲の場合、弱を中にして聞き取りやすく、
強は強+αとする感じに聞こえますので、
聞き取れるという意味では聞きやすいヘッドフォンという事に
なるのかもしれませんが、音楽的な情緒的なところ、
繊細さを表現するところとはズレてくるので、
独特な激しい味付けだなとは思います。

例えば、下記のように聞こえる音楽があったとします。

後ろ ドラム バックコーラス
中  メインボーカル
前  金管楽器

この聞こえ方が普通なのですが、「Ebony70」では、
前の部分の音が斜め上頭上で聞こえる感じで
中域のボーカルが全体に頭を包み込むように聞こえて
バックのドラムやバックコーラスが強弱がわからず
ちょっと弱い感じで頭全体を包む感じで聞こえるんです。

えー、斜め上な再生感というか、3Dを2Dに変換されたというか、
独特な雰囲気になるんです。

オールマイティに鳴らしてくれるモデルではなく、
特定のジャンルとマッチする機種だと思います。
スピード感のある低音重視の曲とかですね。
オーケストラとかそういうのとはちょっと
合わないと判断される方が多いと思います。

一応慣らしがすんでいない可能性を考え、30時間ほど9割の音量で
鳴らしてから再度確認してみましたが、再生感が変わったとは
感じませんでしたので、製品の方向性としてこのような
音造りという事と認識いたしました。


音漏れに関しては一応密閉型とはうたっていますが、
側圧が弱めである事と、ハウジングに穴あけてあることから
ヘッドフォンからは音漏れはそれなりにしてましたので、
通勤・通学で使ったりするのは向いていないと思います。

デザイン的にはウッドを前面に出してきていて、
固い黒檀を外装に使っていることから外出先での
利用も行けそうだとは思うのですが、いかんせん音漏れが厳しいです。

デザインとしては、シンプルかつワンポイントの金属パーツなので、
もう少し何とかしたいと思ってしまいました。



あくまで個人的意見で申し訳ないですが、もし、
デザイン面で改良を行うとすれば・・・

プランA : 黒檀表面をもっと光沢感のある(ニスを塗ったような)
       仕上げにする

 ⇒ 高級感と持っている満足感がUPすると思います。

プランB : 黒檀外装がシンプルなので、金属のマークを差し替えれるようにしたり、
       外装部分で遊べるように、ハウジングの外面すべてを
       取り外しパーツとして分割したいです。
       光沢感のあるパーツとそうでないパーツを組み合わせて
       メリハリのあるデザインにアレンジできるといいと思うんです。
 ⇒ オリジナリティとオンリーワンな感じがUPして楽しめますね。

プランC : ヘッドバンド部分に特別な配線などが無いことから、
       このパーツを7色分用意して、取り替えれるようにする。
 ⇒ カスタム出来るって面白いと思うんですよ!!
   サムライブルーとかあっても・・・ちょっと木目とは合わないかな?

プランD : 音の感じをカスタム出来るように、ハウジング部分を
       3種類ぐらいの木で作ったバージョンを封入する。
 ⇒ 重低音万歳Ver、高音の伸びが素晴らしいVer、ノーマルVerと
   3パターン位あれば楽しいですし、好みの音が見つかりますよね!

商業的には複数のパーツをつけるとコストが上がりますし、
価格に転嫁しないといけないので難しいかもしれませんが、
後継機種を検討される際には、プランの1つとして検討してほしいですね。

■まとめ
デザイン的な面では、黒檀をもっとアピールしたり有効活用してほしいです。
音の印象としては、独特なので、その人の好みによって判断が分かれますね。な
更新: 2014/07/02
Ebony70 と、その他のヘッドフォンとの比較 PREMIUM REVIEW

ユーロビートやロックなナンバーがいい感じなEbony70!!(結構、ジャンルが狭い)

Ebony70 と他のヘッドホンで視聴比較をしてみます。

視聴環境と比較ヘッドホンは下記の通りです。

再生機 : 自作FANレス無音PC の iTunes
音源  : CDからAIFF(WAVのapple版) 変換の44.1Khz/16bit/ステレオ
USB DAC : RME Babyface Phone端子接続
比較ヘッドフォン AKG K702

個人的な嗜好から、K702のフラットな方向性の再生感と
解像度が高く空間表現も良いところが気に入っています。

聞く音楽はいいと思ったらなんでも聞きますので
目についた楽曲をいくつか比較してみます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■1曲目 : カルマ / BUMP OF CHICKEN



Ebony70で聞くと、低音の厚みが増して、多少迫力がUPしますが、
全体的に音がこもり気味となります。
ボーカルの聞こえやすさは普通ですが、多少さ行の発音が
耳に刺さる感じがしないでもありません。

K702で聞くと、広い空間でリスニングしているようになり、
埋もれがちであった表現が聞こえてくるようになります。
音量を多少あげると低音も十分に出るので、過不足なく
聞こえる感じというのが適切な表現かと思います。


う~ん、低音が結構な感じで出てくるので、
次はこの曲で確認をば!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■2曲目 : Supertonic Lady / SUPER EUROBEAT presents 頭文字D Fourth Stage D SELECTION 2

Ebony70で聞くと、ノリノリなユーロビート系の曲は、
ベストマッチかと思えますね。
低音のパンチが気持ちいいですね。
体でリズムを刻む位、ノレる感じになりますね。

K702で聞くと、エレクトロな感じが前面に出てきますね。
普通にイイ感じで、一音一音の切れがこちらの方がいいです。
細かく裏側まで聞いてやろうって方向性では圧倒的にK702ですね。

低音のパンチが欲しい時がEbony70を使って、
普通に楽しみたいときはK702という感じかな!


次はロックなやつを聞いてみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■3曲目 : CAUTIONARY WARNNING / John Sykes



Ebony70で聞くと、低音がいい感じで出てるので
ノレますね!こもった音の感じが逆に熱狂的なライブ会場で
聞いてる感じに感じられるかなと思います。

K702で聞くと、スキッと澄み渡った中で聞くので、
ライブ会場で聞く感じはなりませんね。
本来の楽曲を聞いた感じになります。



次はJPop的な曲を聞いてみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■4曲目 : 冒険彗星 / 榎本くるみ



Ebony70で聞くと、曲の雰囲気と非常に合っていて
前向きな感じがノリ良く聞こえます。
ただ、楽器が何処で鳴ってるかってという定位は定まらず
頭の上で鳴ってる気がします。
頭の周りを膜で包んで小さい範囲で聞かせる感じです。
ボーカルは耳元でバックの音と一緒に聞こえる感じですね。

K702で聞くと、聞えるべきところがよく聞こえる
という感じでしょうか。
声が一歩手前、楽器は一歩後ろという感じで
定位が多少定まった感じです。
空間が狭くないので、いろんな楽器が鳴っても
押し込められた感じがしないというのもポイントですね。

次は、交響曲・・・はなかったので、
映画のサントラを聞いてみます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■5曲目 : KANEDA / 芸能山城組 AKIRA Original Motion Picture Soundtrack

Ebony70で聞くと、空間表現が狭く聞こえるせいか、
2次元の映画を見ているみたいな雰囲気を受けます。

ドンって音の残響が残りすぎているように感じ、
多少音がしまらないポイントはあり、スピーカーで
聞くのとちょっと印象が変わるかなと思います。

K702で聞くと、3D的な映画を見ているような空間表現を
感じられ、ああ、至福の時間~って感じでした。

次は、今一番気に入っている曲を聞いてみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■6曲目 : StarRingChild / Aimer



Ebony70で聞くと、低音が主張してきて、場合によっては
メインボーカルを喰らうところがあり、かなり聞きにくく
なったなと思います。

K702で聞くと、低音が程よい感じのアクセントとなり、
広い空間表現で気持ちよく包まれる感じで聞こえます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■まとめ
総評としては、低音が少し持ち上げ気味でこもり気味だが
温かみがあると言い変えることもできる音です。

音のメリハリ、輪郭はちょっとぼやけ気味で
残業音は残りがちな感じですので、
聞く曲によっては切れ味が鈍くなるように
聞こえるかもしれないというところでしょうか。

聞く上では問題はないレベルですが、定位が
ぼやけた感じなので、音の解像度が高くないと感じてしまい
音量を大きめにとらず、適正音量で聞くのがよいですね。

聞く曲としては、ユーロビートやロック等が適切だと感じました。臣
更新: 2014/07/02
ハイレゾリューションオーディオの試聴 PREMIUM REVIEW

ハイレゾに踊らされてはいけない、マッチする曲を楽しく視聴することが大切です。

ハイレゾの定義とは・・・

まず一番大事なこととして、ハイレゾという物がどのような物か
という事ですが、皆さんのイメージとして、CDなどと比べて
かなり綺麗であったり凄い音楽なんだろうなという感じだと思います。

かくいう私もそれまでこれがハイレゾと定義はしてこなかったのですが、
この度、日本国内の定義としては2つの定義が示されました。

1つ目は「JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)」が
決めた定義でして、ハイレゾ音源(データ)という物は、
CD以上の規格の音源はすべてハイレゾですと決めました。

コレがどういうことなのかというと、まず、CDでは
44.1KHz/16bitという規格でデータ化されています。

アナログデータの音の波形に対して1秒間を441000回の細かさに
区切った上で、音程の高さ音量などを16bitの量子化暗号で
数値にしてしまおうという物です。

音の波を正しくデータ化する為には、波形の持つ周波数の成分の
2倍以上の高さの周波数での標本化(データ化)が必要であり、
この場合、22.05kHzまでの音のデータを損なわずにデータ化される
定義というわけです。

で、この定義以上の周波数成分で作成したデータだったり、
量子化ビットをもっと多くして細かい音程の高さ(揺らぎ)を
追求したデータであればハイレゾですよって決めたという事です。


また、2つ目の定義として日本オーディオ協会より示されたのは、
ちょっと難しい定義なのですが、ハードウェアとしての定義です。

(アナログ系)
(1)録音マイクの高域周波数性能:40kHz以上が可能であること。
(2)アンプ高域再生性能:40kHz以上が可能であること。
(3)スピーカー・ヘッドホン高域再生性能:40kHz以上が可能であること。
⇒つまり、全部40kHz以上に対応しろって事ですね!!

(デジタル系)
(1)録音フォーマット:FLACもしくはWAV 96kHz/24bit以上が可能であること。
(2)入出力I/F:96kHz/24bit以上が可能であること。
(3)ファイル再生:FLAC/WAV 96kHz/24bit以上に対応可能であること。
  (自己録再機はFLAC/WAVどちらかのみで可とする)
(4)信号処理:96kHz/24bit以上の信号処理性能が可能であること。
(5)デジタル・アナログ変換:96kHz/24bit以上が可能であること。
⇒96kHz/24bitをエンコード/デコードできないとだめですよって事ですね。

では、上記2つを併せて、現時点での定義としては、

1.44.1kHz/16bit以上(44.1kHz/24bit or 48kHz/16bit以上)のデータ
2.再生機は96kHz/24bit以上が取り扱えデコードできる機種

って事ですよね。


問題があるとすれば、そもそも論として、データ形式としては
192kHz/24bitであろうがなんであろうが、アップサンプリングした
データを作ることができるって事でしょうか。

マスターデータとして、非常に良いデータがあるのであれば、
それを焼き直しても、今まで販売していたCDよりイイ物になると
思うのですが、CDと同じレベルのデータをアップサンプリングしても
いい音源になるわけではないですし、そもそも、録音の時と、
データをマスタリングする人の腕によってかなり差が出ると思うので、
規格だけ満たしてもいい音という物にならないというところでしょうか。

規格が決まったことは良い事ですが、消費者に対して真摯に
音楽を販売する方ばかりであればいいのですが、
搾取を目的とした販売者がいた場合がややこしそうです。

そもそも元のデータをデジタルでいじりまくった音を
メインとしているようなジャンルではハイレゾ規格にしても
意味があるかとちょっと疑問があったりもします。

結論としては、ハイレゾは、ハイレートで録音された物ですが、
当たりハズレは今まで通りあるので、過度な期待は禁物って事ですね。


今回再生のファイルは・・・

Astell&Kern MQS Selectionとして発売された
BON JOVI の WHAT ABOUT NOW を聞いてみます。

このアルバムはMQS(マスタークオリティサウンド)と銘打たれた
シリーズであり、44.1KHz/ 24bitのデータです。

何がマスターでどういうクオリティであるかの説明は
CD以上という事しか読み取れませんが、一般販売されている
CDデータよりは規格が上という事でハイレゾである事は
自明の理です。

ちなみにMQSというブランド(?)は、つい先ごろ
アメリカで定められたハイレゾの定義名によく似ており、
誤認される可能性があるので、今後はちょっと
使いにくいのではないかと思います。

※アメリカでのハイレゾ定義
 CD以上の音質で録音されたマスターから作成されたロスレスオーディオ
 注意:マスター音源のソースにより4種類に規定される

 MQ-P : 48kHz/20bit以上(96kHz/24bitなど)のPCMマスターをソースとするもの
 MQ-A : アナログマスター
 MQ-C : CDマスター(44.1kHz/16bit)
 MQ-D : DSD/DSFマスター

個人的には、ハイレゾ音源ってマスター制作時から一定以上のレベルが
必要だと思っているので、国内でもアメリカのような
ソースまで規定している定義としてほしいと感じています。


今回の視聴環境は、視聴機をAstell&Kern の AK100MK2 で聞きます。
一応AK用の音源ですのでこれで聞くのが一番という事と、
再生機としてのスペックが日本の基準に合致している為です。

それでは早速、AK100K2で「Ebony70」 と 「K702」 を聞き比べてみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Because We Can / Bon Jovi



K702で視聴したところ、この曲に持ったイメージとしては、
音のカーテンで包みこまれて、Bon Joviワールドに
引きずりこまれるという感じでしょうか。

本当に濃厚な音のシャワーなんですが、1音1音は実はきちんと
分離しており、その組み合わせが世界観を形作っています。

Ebony70で聞くと、よりドラムの力強さは前に出てくるのですが、
ボーカルが1歩下がったように聞こえ、小さな世界に纏められた
感じがします。
ボーカルが弱くなったと感じでしまう事から、
また、低音が前に出てくることから余計にボーカルが聞き取りづらくなり、
ちょっぴり没入感がなくなってます。
Bon Joviワールドに導かれてませんね~。
おそらく、音の広がり方が狭く、頭の周りだけで
完結したような感じと、鳴っている音の定位かわかりにくく
なっている為、そのように感じるのだと思います。

Ebony70で聞いてると、どこぞの軌道エレベーターと魔術と科学が出てくる
劇場アニメの主題歌並の音の広がり方の狭さです。ショボーン。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


I'm With You / Bon Jovi



K702で聞くと、冒頭のギターのセクションが荒涼とした世界感を定義させ
そこに対してドラム、ボーカルが追加されていくことで
濃密な音の絨毯爆撃をされた感じになりますね。
ボーカルとそれ以外の音のバランスが絶妙で、過不足がない。
これ以上どちらかが主張すればバランスが崩れてしまうなって思えます。

Ebony70で聞くと、冒頭のボーカルとギターのセクションの音の広がり方が狭い。
後からボーカルがたくさんかぶさるところがあるんですが、
世界観が狭いので過剰定員で溢れそうに聞こえます。
再生できる帯域が狭いせいで広がりが足りないのか・・・
いや、そもそもこのヘッドフォンの特性としてこもり気味なのが
影響してそうですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


What About Now / Bon Jovi



K702で聞くと、元気を分けてもらえるような励まされるような
曲に聞こえますね。叱咤激励されているような感じです。

Ebony70で聞くと、ボーカルが小さく、ドラムが印象的に響きます。
ですが、これはこれでアリかなぁとも思えます。
でも、元気を分けてもらえるような感じでもなく、
ささやかれるように歌われているように感じるので、
意図した内容からちょっとずれているかなぁと感じます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


Amen / Bon Jovi



Ebony70で聞くと、ギターとボーカルが暖かく包んでくれるような曲に聞こえます。
この曲はいい方向に変わったように聞こえます。
もしかして、低音がどんどん出てこない弾き語りのような曲だと
温かみと優しさが増量されて相性がいいのかなと感じました。

K702で聞くと、まずギターの綺麗な旋律が光ります。
柔らかいボーカルと綺麗な旋律がセッションすることにより
優しく語り掛けてくる感じですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて、ココまで聞いてきた結果としては、なかなか音源を選び
ハイレゾのイイ所を引き出せたかどうかと言われると
難しいところですが、そもそも論としてEbony70の再生帯域が
20Hz~20000Hzの間なんです。

ハイレゾ再生としては40000Hz以上を再生できる性能がないといけないと
日本オーディオ協会より示されているので性能が足りていないです。

逆にK702は、10~39800Hzなので、若干足りないかとは言いつつ、
リスニング機としては、十分な性能を持っている事となります。

そういう意味では、Ebony70は広大な音空間の表現が苦手であったり、
繊細な感じよりドンシャリ傾向であったりという性格上、
ハイレゾを再生する上でのメリットはないように思います。


また、これは、スペックから思いついて確認したのですが、
このヘッドフォン、インピーダンスが結構く、製品の箱に
書かれているインピーダンスは40Ωと結構高めなんですよね。

K702もインピーダンスが非常に高く62Ωですので、
ポータブル機での再生時のボリュームがかなり大きめにしないと
いけないのですが、Ebony70の場合、最適な視聴
(というよりはこれより大きいと耳が痛い)
となるボリュームがK702に比べて意外と小さ目だと思いました。

では、ボリュームを私が感じる適切以上の音量にしてみたらどうだろうと
チャレンジしたところ、音抜けが格段に良くなったと感じました。
(音漏れも格段に大きくなっていたというオマケ付!!)

あ・・・れ・・・??

イメージとしては、1万円程度でこのレベルならば中々いいじゃないかと
なるんですが、最適と感じる音量以上の場合なので、聞いていられません。

これ、どうにか出来ない物かなぁと悩みますね。

■まとめ
総評としては、具体的な優位性が感じられない物の
元のソースと相性が良ければ、楽しめるという感じですね。

新しく、ボリュームが適切以上だと実はいい方向に変わるという
特性がわかってしまったのでその点が改善できないかというのが
全体的な課題として上がりそうです。

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