レビューメディア「ジグソー」

タッチ液晶ペンタブレット 「Cintiq 24HD touch」


憧れの 液晶ペンタブレット ワコム Cintiq(シンティック) 24HD touch を使ってみました!

 

■■■  もくじ ■■■─────────────────────
  1. はじめに
  2. レビューに使用した環境
  3. 設置と設定
  4. Cintiq 24HD と Cintiq 24HD touchの違い
  5. 3DCG制作でのペンタブレット (ムービー)
  6. カラーマネジメントの対応
  7. タッチ機能を試してみました (ムービー)
  8. おわりに


■■■ 1. はじめに
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ワコム様から 「Cintiq 24HD touch」 をお借りして使ってみました。
ワコムの最新機種 で、クリエイターが憧れる プロ用最上位機種です。

3DCGの仕事をしています。ペンタブレットは、Intuos4(インティオス4)をテクスチャーの制作用に主に使っていましたが、最近は 3DCGの制作方法も変わり、テクスチャー制作だけでなく、モデリングでも使用するようになってきています。

CG制作でのペンタブレットの使用比率が増えるにつれて、やっぱり直接画面に描けるCintiqが気になっていました。今回レビューで使ってみると、Cintiq 24HD は、やっぱり広くて使い心地がいいです。

どんな感じか、早速レビューします。


■■■ 2. レビューに使用した環境
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レビューに使用したマシンは仕事で普段使っているもので、自作パソコンです。

 CPU:Intel Core i7 2700K (4.8GHzにオーバークロック)
 マザーボード:ASUS P8Z68-V PRO/GEN3
 メモリー容量: 16G
 OS:Windows7 64bit
 ソフト: Zbrush, Mudbox等


■■■ 3. 設置と設定
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梱包箱 (幅95cm x 奥行き54cm x 高さ67cm)
梱包箱 (幅95cm x 奥行き54cm x 高さ67cm)


レビューのために届いた「Cintiq 24HD touch」ですが、梱包箱が大きいです。ほとんど大丈夫だと思いますが、玄関ドアによっては入らないかもしれません。外で梱包を開けて本体だけ中にいれる感じでしょうか。

付属品
付属品
  • ドライバとユーティリティのCD-ROM
  • VESAマウント用のネジ、スペーサー
  • DVI-RGB変換ケーブル (DVIケーブルや DisplayPortケーブルはスタンドに最初から付いています)
  • クイックスタートガイド

VESAマウントも用意されているので、14kg以上の耐荷重に対応したマウントアームでも使う事ができるようです。でも、ガッシリしている付属台を使う方が安定すると思います。

ユーティリティのCD-ROMには以下のものが入っていました。
 ・Wacom Color Calibration Software(キャリブレーションのソフト)
 ・Wacom Display Control Software(輝度、ガンマ値、色域などを調節するソフト)


仕事場の机まで運びましたが、重量が台を含めると29kgにもなるので、2人で運びました。1人で運んだら腰を痛めちゃいそうです。

設置前の様子
設置前の様子


机の上に置いてみました。タブレットを倒して使う場合には、奥行きが50cm以上ある机がいいようです。幸い使っている机は奥行きが75cmあるので問題ありませんでした。


置いてみました。 大きいです。 後ろの27インチのモニタが小さく見えます。



モニターは、ガラスに非光沢のフィルムを貼った感じです。
指紋とかついて頻繁に拭かないといけないと思っていましたが、心配無用でした。手を画面に付けても指紋とか付きませんでした。

モニターの表面
モニターの表面



いろいろな作業スタイルができるようです。なかなか考えて設計されています。

垂直での作業スタイル1
垂直での作業スタイル1

 


垂直での作業スタイル2

 

横に倒した作業スタイル(キーボードを下に入れる折りたたみ式の支持脚があります)
横に倒した作業スタイル(キーボードを下に入れる折りたたみ式の支持脚があります)



自分なりの置き方を検討しました。
ライトボックスっぽい置き方で、サブディスプレイとして使うことにしました。


サブディスプレイとして使用(上のモニターはアームで手前まで動かせます。)

 

参考資料を置いて使用(こんな使い方をしてすいません。)
参考資料を置いて使用 (こんな使い方をしてすいません。)


本格的に使う時は手前まで移動させます。お腹の辺りまで移動させて腕や肘を置き、顔を近づけてペン先の描画をよく見ながら描きます。この作業スタイルはとても描きやすいです。

タブレットは重いですが、机の上を移動させるのは簡単でした。台ごと移動させても軽く動きます。

本格的に使う時は手前までずらして使います
本格的に使う時は手前までずらして使います


ペンからマウスに持ち替える事なく両方の画面を操作できます。 (Windowsのモニター設定で、上下にモニターを配置し、タブレットのプロパティでマッピング画面の設定をします。)

モニタの設定
モニタの設定



モニターにはPIPの機能があって、子画面を表示することができます。Displayport->HDMI変換ケーブルを使うと、子画面でテレビを見ながら仕事ができそうです。(ながら族に便利?)

モニタのPIP機能
モニタのPIP機能



モニター右上の ワンタッチ表示ボタンで、ファンクションキーやタッチホイールの現在の設定値が表示されます。

iボタン
iボタン



試しに単純な線を描いて比べてみました。当たり前ですが、マウスより、タブレットの方が、きれいな線になります。

マウス、Intuos、cintiq
マウス、Intuos、cintiq


液晶タブレットに対してよく言われる、画面とペン先の間の空間の違和感や、描き心地の違和感などは感じませんでした。 紙に描く事を本業としていた方がデジタルに移行する場合は、そういった感覚を感じるのかもしれません。 私の場合は特に気になりませんでした。それより、ペンの下に画面があって直感的に使えるのが単純に嬉しいです。


■■■ 4. Cintiq 24HD と Cintiq 24HD touchの違い
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「Cintiq 24HD」と、 この「Cintiq 24HD touch」のスペックを比べてみました。

大きな違いは以下のようです。

  • 液晶が高輝度になった
  • タッチ機能が追加された
  • ハードウェア・キャリブレーション機能が追加された
  • 10億7,374万色表示対応(DisplayPortのみ)
  • LEDバックライト化

液晶の高輝度化とキャリブレーション対応は、とても嬉しい進化だと思います。

 


■■■ 5. 3DCG制作でのペンタブレット
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以前から3DCG制作の現場では、ペンタブレットが主にテクスチャーの制作用に使われていました。最近は、ZbrushやMudboxといったソフトの登場で、モデリングやペイントでも使用するようになってきています。

 *) 以下のムービーには、操作映像と子画面(キャプチャー画面)の時間がずれているところがあります。(フレームレートの違い等で合わなくなってしまいました...)

 

  ムービー画面が小さくて見にくい場合は、下部の「youtube」ボタンで、直接見てください。

 


 ■■【モデリングに使ってみました】■■

ZbrushやMudboxといったソフトを使うと粘土をこねる感じでモデリングができます。

ブラシのサイズやShit、Alt、Ctrlのキーは、特に設定することもなく、タブレットのホイールやファンクションキーのデフォルト設定ですぐに使えました。

ブラシの大きさを変えるのにタッチホイールが使えますが、これがとても便利で、右手でスカルプトしながら、左手のホイールでブラシサイズを変えられるので作業しやすいです。 いちいちブラシサイズの変更の為にスカルプトを中断しなくて済むので便利です。

Intuos4のタッチホイールはザラザラして引っかかって回しづらい感じでしたが、本機種はサラッした素材に変わって、スーーッと軽く回せるようになりました。

またファンクションキーは、Intuos4のは硬くていまひとつだったんですが、軽くて押しやすいです。

細かいところが改善されている気がしました。


               【Zbrushを使ったモデリング作業 (2分23秒) 】



 ■■【ペイント(色付け)に使ってみました】■■

ペイント作業も、タブレットを使う事で、模型に色を塗っている感覚で操作できます。

               【Mudboxを使ったペイント作業 (1分37秒) 】



 ■■【ディテール(凸凹)をつけるのに使ってみました】■■

教育コンテンツで経験があった筋肉組織をテストで描いて見ました。
以前 Intuos4を用いて描いた時より、Cintiqの方が格段に楽に描けました。ペン先の下に描いているものが見える液晶ペンタブレットは、やっぱり楽です。


               【Mudboxを使ったディテール付け作業 (4分16秒) 】



 ■■【フェイシャルパターンをつくるのに使ってみました】■■

フェイシャル(表情)パターンの作成にタブレットを使うと、マウスで頂点をひとつずつ調整するより、とても楽に表情がつくれそうです。


               【Mudboxを使ったフェイシャル制作作業 (22秒) 】


■■■ 6. カラーマネジメントの対応
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  2つのユーティリティソフトがCD-ROMに入っていました。

 ■■【 ワコム ディスプレイ・コントロール・ソフトウェア 】■■


このソフトは ICCプロファイルを自動につくるソフトでした。 PictureModeを選択すると「コントロールパネル」の「色の管理」のデバイスに、ICCプロファイルを自動的に設定してくれます。

ICCプロファイルを自動につくるソフトでした
ICCプロファイルを自動につくるソフトでした

 
カスタム設定を選ぶと、3DCGとかで使われるRec709の設定を選ぶことができます。更にカスタマイズを選ぶと、表示装置や印刷のエミュレーションが行えるようです。

 




 ■■【 ワコム カラー・キャリブレーション・ソフトウェア 】■■


このキャリブレーション・ソフトは、以下の測定器に対応しているようです。
   DataColor Spyder2, Spyder3, Spyder4
   X-rite ColorMunki, OptiXR
   X-rite Eye-One display1, Eye-One display2, i1 Display2
   X-rite Eye-One Monitor, Eye-One Pro1, i1 Pro, i1Display Pro

 ■■【キャリブレーションを実際にやってみました】■■


3DCGソフトが、カラーマネジメントに対応したのが最近という事もあり、カラーマネジメントについて詳しくないんですが、レビューという事で、キャリブレーションの測定器(X-rite ColorMunki)をお借りして調整を試してみました。

  -- 手順 --
  (1) ColorMunkiのドライバーをインストールします。
  (2) ColorMunkiの常駐ソフトを終了させ、コントロールパネルからX-Riteのデバイスサービスをストップします。
  (3) 「Wacom Color Calibration Software」を起動させます。
  (4) 「開始」ボタンでキャリブレーションを開始します。


  (5) 画面の指示に従い、測定器を操作します。


  (6) 測定器をモニターに置きます。おもりの付いたベルトが付属していますが、落ちそうなのでテープで留めました。


  (7) キャリブレーションが行われます。(約3分)

 


  (8) 設定データが、モニターの5番のプリセットに保存されます。


映像系で使われる Rec709の項目がなかったので、今回は、白色点D65、ガンマ2.2の [ sRGBモード補正 ] を選びキャリブレーションしましたが、似たような設定が3つあり、正直ちょっとよく分かりませんでした。カラーマネジメントは難しいです。

3DCGソフトのカラーマネジメントの対応については以下のCGWORLDのサイトの長尾様の解説が参考になりました。3dsMaxやMayaのカラーマネジメントについても解説されております。
  【CGWORLD.jP「CG de カラマネ」】


■■■ 7. タッチ機能を試してみました
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 ■■【タッチジェスチャー(決められた操作を実行)をやってみました】■■

タッチ機能は気軽に使えて便利ですが、確実さにちょっと欠けるインターフェイスでもあります。特に、複数本の指を使うジェスチャーは、指の置き方がアバウトなので、たまに反応しない事もありました。 認識しないとイライラするから、3本指以上のジェスチー機能は使わなそうです。 2本指のジェスチーは使えそうです。


               【タッチ操作をテスト (45秒) 】


 ■■【windows8を試してみました】■■

実際は、あまり出番がないタッチ機能かと思っていましたが、Windows8の時代になると状況は変わりそうです。左手のタッチでソフトを起動して、右手でペンを使うなんてなりそうです。


               【Windows8 CP でテスト操作 (51秒) 】




■■■ 8. おわりに
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以前ノートパソコンの購入の際 Cintiqにあこがれて、hpの tx2505というノートパソコンを購入しました。

hp tx2505
hp tx2505

hpの製品ですが、ワコムのペナブルテクノロジーのついたもので、ペンを使うことができました。

Cintiqと同じような製品ですが、tx2505は仕事には使えませんでした。 ディスプレイや解像度もが小さい事の他に、頻繁に使う Alt, Ctl, Shiftのキーを、別のUSBキーボードで押さないといけなかったのが問題でした。

左手でキーを押しながら右手のペンでドラッグするんですが、 両手が上下の位置関係だと、うまく操作できないんです。 Cintiqのように、右手のペンの横方向に左手のファンクションキーやホイールがあるのは、人間工学的にとても大事なことなんだと思います。  左手が自然な位置にあると、体がファンクションキーの位置を覚えてしまって、ペン先だけに集中できるようです。

  

今回「Cintiq 24HD touch」をレビューで使ってみて、プロの作業専用に作られた製品のつくりこみを感じました。

 ・いろいろな作業スタイルに変えられるスタンドは長時間使っても疲れない感じす。

 ・お腹の辺りまで移動させて腕や肘を置ける作業スタイルは、とても使いやすかったです。

 ・タッチホイールやファンクションキーもいいです。(キーを押しながらペン操作する事がやりやすいです。)

製品にユーザのフィードバックによる改良の歴史も感じました。 (Intuos4より、とても使いやすくなってます。)

 

大きくて重いし値段も高いので、ホイホイおすすめしにくいですいが、「Cintiq 24HD touch」は、間違いなく 使いやすいし 作業効率があがる製品です。

 

最後になりますが、このたびレビューの機会を与えてくださったワコム様、zigsow様に、御礼申し上げます。

 


  ■■【ワコム Cintiq 24HD touch プロモーションムービー】■■

 ■■【ワコム Cintiq 24HD プロモーションムービー】■■

コメント (12)

  • 愛生さん

    2012/07/10

    拙いながらも、パソコンで絵を描く者としては、液タブは憧れの機材ですね。
    画面の見え方は、ノングレアより見難い感じなのですか?
  • hyoueさん

    2012/07/10

    レビューお疲れ様です、キャリブレーションのとり方参考になりました。
  • いきものがかりさん

    2012/07/10

    > 愛正さま

    見にくくはないですけど、なんとなく白っぽい膜がある感じでしょうか。

    レビューの 「垂直での作業スタイル1」の写真で、後ろのモニターと比べると分かります。
    (倒した置き方の写真は、天井の映り込みがあるので比較に適さないかも)

    鈍感なんで、すぐ慣れました。 

    保護フィルムを貼ると、見え方や書き味が変わってくると思います。
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