品質のピラミッドで、最低グレードなんですよ。
このコーヒーの販売会社であるミカフェートが設定する品質基準はピラミッド型で7つのブランドに分けられており、「CAFÉ REVOLUCIÓN(カフェ レボルシオン)」はそのブランドの1つ。
ピラミッド内には現在6つのブランドが存在し、ピラミッドの底辺にはメーカーが販売している製品は存在せず。メーカーの取り扱いブランド群だけで見ると「CAFÉ REVOLUCIÓN」は 6 ブランド中 6 位、最下位のグレードのブランドということになります。
ピラミッドの底辺にはコモディティ(一般的に市場に流通している食品工業製品のグレード)が設定されており、この製品「CAFÉ REVOLUCIÓN」もメーカー側がはっきりとコモディティのグレードと公表されています。ピラミッドに準じていえば、普通の市販品をちょっと高級にしただけの製品ということになります。
つまり「CAFÉ REVOLUCIÓN」は高級コーヒーではなく、メーカーも「高級コーヒー」とは言ってない。
ただ、メーカー側が精製方法(原価コスト)をはっきりと公表しており、ここまで明確に品質グレードまで「見える化」している企業って珍しい。原価率が分かってしまうので過度な粗利がとれずビジネスには不利益なこれらを公表するって、逆にとても信用できます。
このコーヒーを生産販売しているミカフェートさんとは、そんな誠実な企業。
ミカフェート代表の川島さんは、業界人からは「JOSÉ(ホセ)」という愛称で親しまれ、コーヒーに携わる人からするとレジェンドで、各地で業界専門家相手に講演会なども行っています。バリスタ寄りやビジネスマン寄りの代表が多い業界の中、川島さんは好きが講じてコーヒーに寄り添う内に規模が大きくなってしまった、もしくは祭り上げられた、生粋のコーヒーファンなんですね。その経歴・役職・肩書は錚々たるもので、国の貴賓ですらあるのは凄いです。
そんな凄いスタッフ達が作るコーヒーはすごいに決まっていて、目指すクオリティも高ければ扱うブランドもハイグレード。今回の製品「CAFÉ REVOLUCIÓN」は、ハイグレードが並ぶ同社のコーヒーブランドの中で価格を抑え、一般人にも手が届きやすいようにし、コストを抑えたものだと理解できます。
精製方法が「CAFÉ REVOLUCIÓN」は機械選別、機械乾燥と公表されており、コスパ重視で商品開発されており、他のハイグレード製品との違い・価格相応がはっきりと認識できるようになっています。
First Impressions
まずは、最初に「CAFÉ REVOLUCIÓN」を飲んでみた感想とイメージ。
- SOL(ソル)透き通った果実
セットの中で唯一のストレートコーヒー。雑味が無く淡白な印象。コロンビア特有の酸味はあるのですが、えぐみが無くフルーティーで口当たりが良いです。推奨する時間帯を「朝」としているのも分かりやすい、すっきりとして飲みやすいモーニングコーヒーになります。コーヒー本来の味を大事にするメーカーさんの愛と心遣いを感じます。 - PICO(ピコ)香り立つ甘味
日本人には馴染みのある味で、一番コーヒーらしさのあるコーヒーと感じました。柔らかく上質な甘みがあり、ひとくちめに、まずは「みずみずしい」というイメージが湧きます。後からくる酸味もシャープな印象。豆と焙煎の相性の良さと技術を感じます。 - PODEROSO(ポデロッソ)強く雄々しい深み
チョコレートのような香りが強く、刺さるような濃厚なボディです。セットの中では一番重厚なボディで苦みが強く、飲みごたえがあります。コーヒーの奥深さを楽しむなら、間違いなくコレですね。 - PAZ(パス)コクと安らぎ
酸味が柔らかく、コクも濃厚。苦みにも酸味にも偏らない絶妙な風味です。リラックスタイム向きとされていますが、どちらにも偏らない風味が肩肘張らない休息時間を演出してくれるのかもしれません。部屋中をコーヒーの香りでいっぱいにして楽しむのも良さげです。ごくごくと飲みやすく、夏向きのような気もします。 - GLORIA(グロリア)バランスの極み
酸味・甘味・ボディをバランス良く仕上げた、ユーティリティー性が高く、飲む時間帯を問わないコーヒーとのことです。シナモンローストで没個性かと思って飲んでみれば、意外に重めのボディでコクがあります。酸味が穏やかで上品。
コーヒーだけに、「豆」知識
値段が高いコーヒー豆は美味しい。高価で高級で美味しいコーヒー豆がある、安価で不味い豆がある。そんな風に考えていませんか?
世間ではコーヒー豆それ自体に高級な種類があると考えられているようですが、それは間違い。豆自体には高級な品質というのがなく、とくに違いがありません。どの土地のコーヒー豆も品種こそ違いはあるものの優劣・順位はありません。生豆の価格の違いは美味しくて需要があれば供給が追い付かなくなり高くなる=つまり安くて旨ければ消費量があがり高価。それが一般に市販されるコモディティの価格が変動する経済システムです。
しかし実際には、コーヒー豆にはグレードがあります。
違いは豆の品種ではなく、コーヒーに適した産地で良い環境で育つことで味の性質・良し悪しがでること。それに農家にどのように扱われたかと、精製過程の違い。それが品質になります。豆そのものよりも気候条件・育成環境、さらに輸送方式などが影響します。
ハンドピックというワードを聞いたことがあると思います。高価なコーヒーの代名詞です。
傷が付かないように渋で両手が真っ黒になるまで手摘みし、目視・手作業で大小の選別や異物や欠点豆などの不純物を取り除く作業をするのですが手間がかかり、人手が必要なのでコストが高くなります。異物とは石や虫、欠点豆とは割れやカビや発酵、パーチメントの残ったものなど。機械やセンサーなどでこの作業を代替えしたいのですが、やはり人間がやった方が正確で間違いがありません。コーヒー豆の性質上、傾斜の多い山地が多く、機械化が難しく発展途上国では導入コストもままならないこともあります。大量の水源も必要です。
品質グレードがトップの「スペシャルティ」はこうした選別度が高く、「コモディティ」は異物や欠点豆が含まれている。もしくは輸送に時間がかかり新鮮さが失われている。これがコーヒー豆の格付けの正体です。
欠点や新鮮さが失われることにより、低グレードには焙煎にむらが出たり、不快な匂いがしたり、思わぬ雑味が入ったりするものなのですが、高級グレードは狙った通りのコーヒーができあがるというわけです。
底辺からの、革命。
ところで、この「CAFÉ REVOLUCIÓN」という製品のコピー「革命的なおいしさ」なのですが、なんてチープで安直な言葉なんだろうって思いませんでした? 誰でも考えつくような安いコピーです。
このブランドの企画開発を担当したチームの人たちだって、業界の中で難解な入社試験をパスしたコーヒー業界の超エリートなのですが、それが仕事として底辺ブランドの企画開発に携わるなんてどんな気持ちだったんだろうと思います。高級な豆を使って、ハイグレードな世界一美味しいコーヒーを作りたいにきまっているじゃないですか。
安直なコピーなんだけど、「革命的なおいしさ」という、このコピーがメーカー内の底辺ブランドが掲げた言葉だというなら、ちょっと話は違ってきます。
だって、最下位認定されたブランドコーヒーが、おいしさを語るんですよ?
弱小グレードの底辺コーヒーが、上位のお上品で高価なの高級コーヒーにケンカ売ってるんですよ?
……なにそれ、カッコイイ……!!
底辺ブランドが、ヒエラルキーの根本を覆してしまう。
最下位グレードの弱小コーヒーが、工夫とアイデアで上位を蹴落としにかかる。まさに革命です。
このブランドの開発チームの泥臭く成り上りなそんな夢、僕ものっかってみたいと思うじゃないですか! 高級な豆を使ってないコーヒーでも美味しいコーヒーが作れること、もしくはそれを超えるということ、僕も全身全霊で伝えてみたいと思います!
●輸送方式が、革命。
コモディティグレードの中でも「ちょっと高級」の意味なのですが、ミカフェートさんの場合はコーヒーを果実と考え、鮮度を保つため空調設備の付いた冷蔵コンテナで輸送されるそうです。まるで果物ですね。工場行きの一般的なコーヒー豆が麻袋に入れられてトラックや船の貨物庫にそのまま放り込まれ常温で運ばれるのと違い、ファーストクラスで大切に運ばれてくるということですね。
輸送は航空便かなと思うのですが、公式サイトでは輸送方法の説明に船のイラストが描かれているので、コスパを考えて海上輸送なのかもしれないです。
》ミカフェートのコーヒー | コーヒー豆の通販 ミカフェート オンライン ストア (mi-cafeto.com)
●アラビカ種という剣を手に、革命。
インスタントのコーヒーが不味いとよく分からないことを言うコーヒー通は多いですが、僕はどちらかというとインスタントコーヒーの方が好き。豆の違いは一応あって、インスタントコーヒーの方はロブスタ種が多いです。ロブ臭と呼ばれる独特の臭みと強い苦みで評判が悪く市場価値が低いため、コスパの理由で安い食品工業用コーヒーなどでの大量生産品に使われています。
それとは違って喫茶店やカフェなどのコーヒーは店主が自分で購入しているはずなのですが、高品質なアラビカ種が多く使われています。カフェのコーヒーが美味しくインスタントが不味いという人は、大抵ロブスタ種の経験値が足りないから違和感を感じるんでしょうね。苦いコーヒーって美味しいのに。
そんな理由で、ロブスタ種ではないアラビカ種100%というのは、それだけで原料にコストがかかっており、一般的に美味しくて高級になります。
●戦場の提案が、革命。
コーヒーの味は代表的に苦みと酸味なのですが、これらは焙煎度に深く関わってきます。なので普通は焙煎度を表示して、購入者に製品の味がイメージできるようにしてあります。
「CAFÉ REVOLUCIÓN」は焙煎度ではなく、飲む時間帯・シーンで銘柄を分けて提案しています。
こうすることで、あまりコーヒーに詳しくない客層にも、「自分に合った」美味しいコーヒーを手に取ることができるようにしているのだと思います。
朝に「SOL(ソル)」、正午に「PICO(ピコ)」、午後に「PODEROSO(ポデロッソ)」、夜に「PAZ(パス)」。そして時間帯を問わないのが「GLORIA(グロリア)」。
このスケールを軸に、好みの風味に近づけていくのが良いですね。
革命を、知る。革命に、触れる。
「CAFÉ REVOLUCIÓN」が焙煎度ではなく飲む時間帯で順番に並び、銘柄が分けられています。しかし、この特殊なセグメンテーションが、5種それぞれのコーヒーのキャラクターを把握しようとする時に逆に難解になるので、焙煎度とブランドの関係をチートシートにしてみました。焙煎度を基準に選ぶ人ならこっちの方が個性が分かりやすいですね。
一般人の活動時間から、それぞれの銘柄を飲む時間帯を横軸に、焙煎度を縦軸に置いてみました。焙煎度は天が深煎り、地の方向が浅煎り。
こうして図にしてみると、朝の「SOL」と昼の「PICO」は大体みんな飲む時間帯が同じになりそうですが、その後の銘柄は生活サイクルによってばらばらになりそうですね。
夜遅く寝る時間も遅い IT 企業などは「PAZ」を飲む時間も遅そうだし。睡眠に入る直前のカフェイン摂取を避けるためにも早めに飲みたいし。夕方に向けて深くなっていくのもそうだろうとは思うけど、視覚化してみると面白い。
ちなみに緑の箱の「GLORIA」だけ時間帯にとらわれずに飲める設定なのですが、これ説明を読むと「浅煎り」なんですよ。現在のコーヒーの流行はロースト浅めのすっきりした酸味があるコーヒーのようなので、いつものコーヒーの代用で普通に飲むことができます。よく考えられていますね。
そして焙煎度って決まった規定や値があるものではないので、企業によってカテゴリがばらばらになります。深煎りだとされてても違う企業の基準では中煎りになったりで、割とふわふわした仕訳方法なんですよね。
なので、もうちょっと詳しく分析してみたいなと思い、粉を皿にぶちまけて色や粒の大きさを確かめてみました(粉は後で美味しく淹れさせていただきました)。
想像した通り目視で分かんなかったので、LED灯だけの環境で撮影し、画像から K 値をとってみました。ピクセル加減で微妙に値が変わるので正確ではないのですが、まぁ大体図のような感じ。
「PODEROSO」と「PAZ」は深みが近いと箱の説明書きに書いてありましたが、テキスト通り近似値の結果です。「GLORIA」だけ、メーカーは浅煎りと設定されていますが、色は深煎りに近いですね。これだけ結果がよく分からんのですが、ファーストインプレッションの印象でも「浅煎り」だったので、風味は間違いなくそうなんじゃないかと思います。まぁ「シナモンロースト」と書いてたけど、よく見てみたら全然違うけど。
とりあえず、それぞれのコンセプトとキャラクターはなんとなく把握できました。
フードを従わせコーヒーを英雄に掲げるという、革命
レビュー課題に「お湯の温度、蒸らし時間、どんなコンディメントで飲んだかなどについて詳しく明記してください」とあったのですが、今回のコーヒーは初見なのでキャラクターが分かっておらず、全部、電気ケトルで 90℃ に設定したお湯を、蒸らし時間 15 秒で淹れています。全部です。
馴染んでいないコーヒーで淹れ方を変えたりはしていないので、明記と書いてあったのですが全部これだと前提で書いておきます。
何度も飲んで個性が分かってくれば自分の好みに細かく調整していくつもり。
【1】SOL - 透き通った果実 -
これだけコロンビア豆100%なんですよね。単一種類ではないっぽいですが。
コロンビアは南北に広いので栽培地域によって変化があり飲む側にとっては難解なのですが、さらにいえば浅煎りはあんまり飲んだことが無いですね。ブレンドじゃないのにブレンドのような厚みがあるのが不思議。飲んでみた感じはなんだか香ばしさや風味が「醤油」に似合いそうだなというのが感想。なんていうか発酵食品特有のコクやあまじょっぱさが合いそうなのです。醤油を使ったフードに合わせるの面白そうなので、試す機会があったら今後試したい。
コーヒーに合わせるフードには「朝煎りのコーヒーにはスコーン」という古くから決まった定番があります。浅煎りコーヒーはスコーンのように密度の高いフードが合うというのがコーヒーの古典で王道です。逆に日本の「食パン」と呼ばれる一般的なものはふわふわで空気を含んだスポンジのようで卵・砂糖やミルクやバターが入っているため風味がなかなか合わないのですが、小麦と塩で作るシンプルなバゲットなどがコーヒー本来の酸味・フルーティーさを楽しめます。食パンなら酸味の少ない深煎りが合いそうです。
●バナナヨーグルト
甘みと酸味のバランスが良いフードは同じような味の構成のコーヒーによく合い、お互いを引き立てます。バナナとヨーグルトなんて天然の甘みと酸味で絶妙バランスなのですが、フルーツグラノーラとアーモンドスライス数枚を足してます。そういえばこのフードメニューってスタバにもありましたね。基本、コーヒースタンドで販売しているフードはコーヒーに合います。世界的大企業のマーケティング部署なんてスペシャリストが集まるエリート集団で調査用資金力も豊富なので、そこは同じようなことしておけば間違いありません。
ピーナッツバターを足して甘みを足そうかと思ったら、なんかバタ臭くなったのでやらない方がいいですね。
●バゲットサンド
メニセーズのフレンチロールを 210℃ でオーブンで焼いて、出来立てパンにベーコンを突っ込んだだけ。クープが1本通ってるだけなので、そこにナイフを入れれば硬いバゲットでも簡単にクラムまで2つに割れ、サンドイッチにするのは楽ですね。
ハムではなくベーコンを入れたのですが旨味のある脂質もジャンボン・ブールのようで良い感じに合います。クラストのバリバリした硬い食感や塩味もコーヒーと溶け合うことで柔らかく味わい深く、シンプルな素材のおかげで豊かな香りのコーヒーを楽しめます。フードもコーヒーも両方とも後味もすっきりしているのでメチャクチャ合います。毎日これでいい。
【2】PICO - 香り立つ甘み -
コーヒーの香ばしさと酸味に、わずかな苦味が感じられるコーヒー。クセがなく一般的なカフェで提供されるものに近いです。だからなのか、なんだか個性となる部分が弱い気がします。
コクが物足りないと思ったので、コクを補完するフード、特にクリームチーズがよく合いそう。
●ブルスケッタ
・フレッシュトマトとブラックオリーブ
・スモークサーモンとバジル
・アンチョビ&クリームチーズ
パン屋さんで購入した適当なバタールにいろいろのっけて楽しんでみました。ブルスケッタは小さいのでおやつにも小腹が空いたときにも最適。特に分量を気にせず、適当にのっけるだけ。
トマトのブルスケッタはバタールにガーリックバターをたっぷり塗り、オーブンで軽く焼き刻んだフレッシュなトマトを山盛り乗せるだけ。
アンチョビは細かく刻むのが面倒だったので、クリームチーズの上にまるごと1本のせただけ。ちょっと見た目がひどい。あとボリュームありすぎてしょっぱい。
スモークサーモンはそれだけでも合うのですが、ブラックオリーブの輪切りをちょい足し。
トマトは甘みと酸味、スモークサーモンは香ばしさ、アンチョビの塩気はまろやかさ、チーズはコク。それぞれお互いを引き立て合ってくれて、このコーヒーの1つ上の味わいを楽しめます。3種類作りながら食べてたら美味しくて止まらなくなって、コーヒーおかわりしてたわ。
【3】PODEROSO - 強く雄々しい深み -
セットの中で個人的に一番好き。
フレグランスからして香ばしく、苦みが強いのでバターのような濃くてこってりしたフードが合いますね。写真は、たまたま友人が持ってきたキャロルの期間限定フランボワーズチョコレートバスクチーズケーキ。香ばしく濃厚なチーズにコーヒーがよく合う! 不意にお客さんが持ってくるお土産に合わせられる、というのも5種類の銘柄が入ってるこのドリップバッグセットの優位点ですね。
●白身魚のチーズソテー
こってりした料理にエスプレッソのような強い苦みがアクセントになり美味しい! 個性が強いコーヒーですが、濃厚な料理に合わせると相乗効果で風味が1ランクあがりますね。食中・食後どっちでもいけます。
●ティラミスチョコレート
おやつタイムのエネルギー補給としての上品な甘さのチョコレートにも合います。コーヒーの少ない酸味を補完するより、重厚な苦みや上品で奥ゆかしい甘さのお菓子の味わいを増す方向性が良いと思います。
ティラミスチョコレートには、メインのチョコレートにマスカルポーネチーズとアーモンドが入っており、原料だけみてもよく合いますね。
秘蔵の GODIVA のspecial チョコレートもこのタイミングでいただきます。
【4】PAZ - コクと安らぎ -
仕事を終えて帰宅、自分の時間にコーヒーを楽しむ人も多いかと思います。この時間のコーヒー、マジで大事。夜景でも眺めながら1日を想うのですが、ワインでもお茶でもなくコーヒーって、香りで楽しむ人には選択肢としてアリなのです。
PAZ はそんな時間を過ごすのに調整された風味のようですが、やや深い苦みも突出しすぎず、酸味も落ち着いており、とてもマイルド。……だけどそんなゆるやかなコーヒーは「革命」には相応しくないですね!
少しコーヒーに刺激を与えたいな、と考えたらやっぱりコレでしょ。
生姜糖。生姜とコーヒーの出会いはセンセーショナルに思いますが、実はとても合います。生姜を甘く煮込んだ生姜糖はピリリとしたスパイシーな甘辛さ。マイルドなコーヒーにスパイシーな風味が加わりフレーバーが優しく包み込むので、コーヒーに合わせる相棒として絶品です。
コーヒーカップを片手に持っているので、片手で食べられるフードというのも大事。
コーヒーのアロマを楽しみながらゆったりとコーヒータイムを楽しむのは贅沢ですね。
夜風にあたりながら舌の上で転がし、コーヒーを口に含めば、それだけで1日の疲れが癒されます。
【5】GLORIA - バランスの極み -
時間帯で銘柄を分けられた「CAFÉ REVOLUCIÓN」セット内では、この銘柄だけ無個性なバランス調整をされているようです。バランスが良いならもういじるところなんて普通は無いはずなので足すものはないはずなのですが、バランスが良くなれば反面、味わいがぼんやりするのも真理です。
酸味・苦みのバランスの良いコーヒーには、バランスを崩さないように柑橘系のフレーバーを足すのががかなり合います。酸味と甘みが爽やかなフレッシュ系フードを足すのが良いですね。
●マーマレード
フレッシュフルーツのタルトが良いかなと思ったのですが、新鮮な果物を入手するってそれだけで大変なので、このコーヒーのコンセプトに合うのかな、と疑問に。
それで、単純に柑橘系の風味を足したいだけなので、マーマレードをお供ではなくカップの中にインしてみました。
フードなのか微妙なのですが、味の構成的にはマーマレードがドンピシャ。コーヒーの中にマーマレードジャムをスプーン一杯入れて溶かして飲めば、甘酸っぱさもライトでクリアなコーヒーになります。スプーンですくって入れるだけという簡単レシピなので準備に手間も要らず時間帯を問わず楽しむことができ、コンセプトにも合っていますね。すっきりとした後味になるのもドリンクとして優秀です。意外に癖になる味ですよ。
最後に、コーヒーにフードを合わせるって意外に何気なくやっているものですが、主役はフードの方にあって、フードにコーヒーを合わせている人の方が多いと思います。
今回は、コーヒーの風味にフードを合わせてコーヒーを美味しくするという逆転の発想で、今まで考えることもなかったので、いろいろ勉強になりました。
ブレンドしたコーヒーさらに上に物理的にコーヒーをのっけるという、革命。ダルゴナコーヒー
ブレンドってクリエイティブに携わる者にとっては新しい味の創造なので、かなり気になる分野なのですよ。個性的な豆と豆を融合させ欠点を補う、もしくは自分の理想とする味わいに近づける。これがブレンドの楽しみ方だと思います。
コーヒー好きなら自宅で既に何度かやっている人も多いと思うのですが、とにかくブレンドって難しいのです。
難しく、失敗する大きな理由は、ブレンドの再現性。分量や配合比率など数字を細かく追うことができれば簡単なのかもしれないのですが、その数字を細かく正確に測る術が一般素人には難しいのです。だから美味しく作れたブレンドも2度と目の前に現れない。恒常性が皆無で素人には同じ味が作れないのです。
「CAFÉ REVOLUCIÓN」はドリップバッグに細かく正確な量が入ってるので、これを1ポーションという単位にして配合することで、1:1 や、2:1 などの比率配合がしやすくなります。(※こういう理由で袋の半分を使う、という配合ではなく、逆にもう1方を2袋使う、という考え方にするのがポイント)。天秤とにらめっこしなくても再現性のあるブレンドコーヒーができあがるのです。天才か! むしろドリップバッグコーヒーというより、オリジナルブレンド配合用の小サイズコーヒー(ドリップバッグ付)と考えた方が売れるんじゃないかと思えるほどです。
2:1 だと合計3袋=コーヒー3杯ぶん、3倍のコストがかかるという不思議なブレンドコーヒーになるけどな!
という前置きをした後で自分なりのブレンドをやってみたいと思うのですが、気になるのは銘柄ごとの「焙煎度の違い」です。素人は、普通は焙煎度を揃えた豆で行います。そうしないと煎りムラがあるようなちぐはぐなコーヒーが出来上がるからです。
外食企業が提供する店の中では抜きんでて美味しいとされるマクドナルドのコーヒーは、微妙に違う焙煎度の豆を組み合わせて立体的な風味を完成させているようですが、それはもうプロの仕事ですよ。
焙煎度のレベルが理解できれば計算できるかもですが、目視による色彩スケール判別だと素人では全然わかんないですね……。
セットに同封されてた「クラフトブレンド HOW-TO ガイド」というクロス折りフライヤーには、あらかじめおすすめの組み合わせが掲載されています。あらかじめブレンドの組み合わせを提案し、完成するとこんな風味になると説明してくれています。
実はこの中に気になる組み合わせがあります。
- セットに含まれる銘柄の中で最も深い焙煎度の銘柄は「PODEROSO」。
- 最も朝煎りなのは「SOL」。
この2つを組み合わせだブレンド例も、8番として『コクがあるのに超クリア! ロースト感としっかりとしたコクがあり、ナッツの風味と甘みも感じられる。後味が非常にクリア』と書かれ紹介されています。確かにブレンドをすること前提でメーカーが作り用意しているこの2つの銘柄のパックを使えば、焙煎度がかけ離れていても美味しいブレンドが完成する …… のか?(疑問形)
とにかく、このブレンドレシピで、奇跡の焙煎度の違うブレンドコーヒーが完成するみたいなんですよ。彦星と乙姫的な距離感の出会いというか。なんという簡単お手軽に起こせる奇跡。
なので僕は、この2つの銘柄(ドリップバッグ)を組み合わせて、ミラクルなブレンドを作り味わってみようと思います。ブレンド比率は当然 1:1 です。
自分の中の「できない」という固定概念や、焙煎度そのもののレベルを超え、ルールや当たり前の日常を壊す。いざ革命じゃ!
さっそく2種類の銘柄の豆をポットに入れる。深煎りと朝煎りで焙煎度の違う豆の濃淡、微妙なグラデーションができて美しい。
さっそくお湯を淹れてみると、アロマが独特 …… なにこの未経験。
なんていうか、コーヒーの香ばしさというより生豆の香りというか。ミラクルな組み合わせって、こんな初体験あるんですね。
飲んでみると、どことなくチーズのようなコクと舌に長く残る苦み甘み。形容しづらい幾重にも折り重なった風味。確かに重いボディながら独特な後味がクリアで飲みやすい。なのですが、温度が冷めてくると酸味も強く感じます。しかし、その奥の向こう側に何かを秘めたようなポテンシャルを感じるようでもどかしい。まさにコーヒーの味覚の玉手箱。これが本物の「個性が強くてケンカしてる」ってやつなのか。
でも折角なので、2種類のこのミラクルブレンドにさらにブレンドを加えて3種類にし、これを自分の好きな形に着地させ、なんとか完成形にもっていきたい。1:1:1 ですね。
いろいろと問題解決方法を考えてみる、経験を探る。まず舌に残る苦み。ベトナムの喫茶店で飲んでた時、苦かった。苦いコーヒーは、カップの底にコンデンスミルクを沈めて飲んでたことを思い出しました。あれ美味しかったな。コンデンスミルクを使うのはベトナム戦争後の時代に冷蔵庫が無かったから保存のきくコンデンスミルクを使ったというのが起源だったらしいのですが、苦みを甘ったるいミルクのまろやかな風味で消すのもアリといえばアリ。ただ問題があって。僕がミルク嫌いなんですよね。なんで自分のオリジナルブレンドにミルクを加えなきゃいけないのか。
コンデンスミルクを使ったコーヒーを使わないで済む方法という矛盾を考えていたら、最近インスタで話題になってた「ダルゴナコーヒー」を思い出した。少し違うのですがミルクを使っていて、コーヒークリームをミルクの上に載せるという「映え」メインの新しいドリンクです。
革新的なダルゴナコーヒー、革命的なテーマに合ってますね。
レシピではコーヒーと砂糖で泡立てて作ったクリームを作るのですが、レギュラーコーヒーって「水を入れて抽出する」ので水分量が多くなり泡立てるのが難しいんですよね。作るだけなら砂糖を大量につっこめばそのぶん水量が減るので作れるのですが、凄まじい糖分が目の前に立ちふさがります。俺はこれを飲めるのか……。
何回か甘さのバランスに失敗した後、時間も無いのでもう諦めてインスタントコーヒーで作ることにしました。ブレンドにミルクを追加するのもインスタントコーヒーを追加するのも、コーヒーじゃないものを追加してるんだし定義としてはそんな変わらないだろ(妥協)。
ただダルゴナコーヒーを3種類目とし、上白糖が加わった甘さを単純に足すことで強い個性に明快な一本道を与えることでまとまるとは思うのですが、甘いコーヒーになるのは自分が飲みたいコーヒーとはかけ離れていきます。
そこで、元々のブレンドの持っている透明感を活かして甘いアイスコーヒーに仕立ててみようと思い付きました。アイスコーヒーなら香りも少なくデザート感覚のドリンクとして飲めます。ごくごく飲めるリッチな風味のブレンドアイスコーヒー。うん、いいんじゃない。
ブレンドのデザインが決まったので早速ダルゴナ風クリームを作る。コーヒークリームをインスタントコーヒースプーン1杯と上白糖を同比率で泡立てコーヒークリームに。1時間ぐらい(テレビを見ながら)泡立て続け、滑らかなクリーム状になった。僕の腕はもう限界です。
作ったコーヒークリームを、アイスコーヒーの上にのせる。
しかし写真撮影しようとしたら、ふわふわのコーヒークリームがコーヒーの中に溶けて沈んでしまった……。
すぐにクリームがカップの底に沈んでクリームがなくなっていきます。飲むどころか写真を撮る暇もねぇ。
……まぁ、そうでしょうね。
想定内。ミルクのような少し粘度があるものならクリームが乗るんだろうけど、コーヒーという液体にに浮かべるのは同じ成分で作ってるのだから物理法則的に無理。しかしミルクは嫌いだから使いたくない。コーヒードリンクの上にコーヒークリームを乗せたいのだ。
またまた考えて考えて考えて。そしてひらめきましたよ。
前に打ち合わせでファミレスを使ったことがあるのですが、そこでドリンクバーとソフトクリームが食べ放題だったのですよ。ドリンクバーにメロンソーダがあったので、この2つを使ってグラスの上に子供の時によく食べたメロンクリームソーダを勝手に作ったのです。この時、グラスの底にソフトクリームが沈まなかった。
理由は簡単で、メロンソーダを作った時にグラスに氷を入れてしまって、その上にソフトクリームがのっかったのです。氷という固形物にのっけるだけという、小学校で習うような、意外に簡単な解決方法でしたね。
氷を浮かべて、その上にコーヒークリームをのっけるという革命的アイデア。
アイスコーヒーだからこそできる奇跡でもありますね。
これでブレンド+ブレンド+ブレンド、という多重なダルゴナ風アイスコーヒーのできあがり。
完成品に、アーモンドスライスを添えて。
アロマの時からコーヒーらしくない香りが気になっていたので、もうちょい甘いフレーバーに寄せたいところ。
これはちょっと考えて着地点が見えてきたので、調整。
カレーを作るスパイスとして用意していたコリアンダーを少々追加。
甘く爽やかな柑橘系のフレーバーが簡単に加わった。
すっげー時間かかったけど、なにこの充実感。辿り着いたという感じさえします。
でもなんか理想に近いブレンドコーヒーができました。苦み・酸味に柑橘系の香りが合わさって、ゴージャスなブレンドです。しかしコストが高いな。そして特にそこまでブレンドとして飲みたいと思うほどの完成度ではなく、苦労したわりに自分的にはイマイチだった。
ダルゴナコーヒーにするためにインスタントコーヒーを加えたというのも、なんだか納得できない。
実はレビュー期限の最終日に完成して撮影できたのだけど、もっと次のブレンドも考えたい。
ただ、楽しかった。いろいろ試せて、経験値も上がって、面白いですね、コレ。
革命 = 自由だ。
今回は食品のレビューだったので好き嫌いがはっきりするので参加を躊躇っていたのだけど、背中を押してもらって参加して良かった。面白かった。
コーヒーのドリップバッグ商品としては正直よくある形態なのかもしれないけど、SDGs、サステナブルといったキーワードに寄り添う企業様のメッセージもなんとなく見えるし、企業ブランドとしての製品自体の魅力もある。とくに製品は普通のドリップバッグの形なのだけれど、その使い方でいろんな可能性と楽しみ方を体験させてくれるのは良いですね。僕もいつのまにか「情熱大陸」ばりに自分なりのブレンドを完成させる追求してましたからね。
コーヒー豆を取り巻く環境は少しづつ変わりつつあるかもしれないですが、海外に目を向けてみるとまだ発展途上国での不当な労働事情問題もあります。海外に目を向けなくても日本国内でも外国人労働者の不公平な労働問題も未だあるのですが。
商品の魅力については文章の中でいろいろ書いてきたと思うのですが、ハイグレードではないコーヒーをどのように提供するかをメーカー様が戦略的に知恵をしぼって考えていると思いました。飲むシーンの提案やクラフトブレンドという自分にあった味を探す楽しみ方。良いメーカーですね。
「おいしい」なんて簡単な言葉はキャッチコピーにあるだけでメーカーの広告テキストには一切ないのですが、単なる味で勝負するのではなく、コーヒーという体験・コーヒーという世界の楽しみ方を改めて考えて伝えようとしてくれていると思います。
コーヒー豆なんて、みんな同じです。詳細な味の違いなんて一般人には分からないし実際にはコンマいくつかぐらいです。なのでワインと違って味の目利きができる人がいないのです。ワインは生産者がボトルに詰める完成品を売っているので生産者が味を決めているのですが、コーヒーは購入者がお湯の量や温度やスピードで最終的に味を決めてしまうので同じ味がありません。生産者は「おいしいコーヒー」の完成品を売ることはできないのです。
コーヒーが美味しいか不味いか、その味は、最後は僕ら自身が決めているのです。
「おいしい」なんて感想。当たり前です。
だって自分で自分に伝えてるだけの、全く同じ条件で豆を比較しているわけでもない他の美味しいを知らない味なのだから。
だけど僕らには自由が合って、どの製品を手にとるかを自分で決めることができます。
それなら、自分が好きな企業、共感できる理念の企業、そんな製品を手に取るのもひとつ。
そうやって手が届く世界を少しづつ、自分なりに。
自分なりのブレンドは作れましたか?
ハイグレードなコーヒーに負けないものを、「革命」を起こせましたか?
コーヒーっていろんな人の手が入る食品です。長い距離も旅してきます。
コーヒー生産者の想い、中間業者の想い。生産者がつなげ託されたたコーヒーのバトンを自分の手の中で「おいしく」完成させる。そのために必要なコーヒーを選ぶというやり方、悪くない。
誰かが決めた「おいしい」という概念に当たり前に従うのではなく、自分で「おいしい」を作る、そんな風に考えて、革命的なおいしさを楽しんでいきたいですね。
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