現在使っているヘッドセットは、以前モニターとしていただいたものだったのですが、日本ではマイナーなメーカーだったので、いつ壊れるかと戦々恐々でした。耳が痛くならないのでできれば次もこれを使いたい、けどバッテリーの持ちが悪くなってきてる、でも日本じゃ売ってない……
とモヤモヤしていたそんなときに、ROCCATさんからヘッドセットのモニター募集があったので、ここぞとばかりに飛びついてしまいました。しかもハイレゾ対応!自分はまだハイレゾ初心者ですが、最近はハイレゾ楽曲ばかり買っていたので、もう嬉しいことだらけ!
というわけで、早速レビューを始めていきたいと思います。
スペックと同梱物
まずはスペックと同梱物から見ていきます。
<同梱物>
ヘッドセット本体
プラグ変換ケーブル
注意書(日本語なし)
<スペック>
重量 (ヘッドセットのみ):230g
ケーブルの長さ:2.45m
ジャックプラグ:デュアルプラグ3.5mm
再生周波数:10-40000Hz
パッシブノイズキャンセリング機能
<ヘッドフォン>
ドライバーユニットインピーダンス:25Ω
ドライバー直径:50mm
<マイク>
1kHzでの感度:-40dB
信号対雑音比(S/N比):60dB
再生周波数が40000Hzまでいけるので、ハイレゾ対応となります。
外観
イヤーカップは合皮です。ケーブルは柔軟に取り回しができ、メッシュカバーがついているので耐久性にも期待できそうです。
イヤーカップの外側はマットなプラスチックでできています。ROCCATのマークがカッコいいですね。また、イヤーカップは90度折り曲げてペタンと平らにすることができるので、首にかけてもイヤーカップが邪魔になりません。
重量は今まで使っていたTURTLE BEACHのEAR FORCE PX3(以降PX3と呼びます)とほぼ同じでした。ケーブルの分だけむしろROCCAT(R)KHAN PROの方が少しだけ重くなりそうですが、有線で耐久性の高さを求めたうえでの軽量化と考えれば、十分妥協できる重さだと思います。
装着感
<合皮が着心地いい>
さっそく耳に当ててみますと、イヤーパッド部分はやわらかい合皮なので密着性が非常に高いです。また、アームの部分は剛性のある金属で、PX3と比べるとやや強めに頭を押さえつけられます。ですがこの押さえつけによって、パッシブノイズキャンセリングを実現し、高い密閉性を得ています。
パッシブノイズキャンセリング機能とは『物理的に音を遮断する機能』のことで、イヤーカップの押さえつけで外部からの音を遮断します。
頭に密着しているので、そのせいで夏の暑い日は蒸れるかもしれません。PX3はメッシュなのであまりそういうことが起こりませんでしたが……まあクーラーもつけずにゲーミングPCつけてたらPCにとっても良くないのでクーラーつけましょう!
<長時間使用しても耳が全く痛くならない>
それと実は先天的に耳の形が少し異常があって、片耳だけ柔道耳のようにつぶれています。そのためヘッドホンなどの頭にかけるタイプのものは、大抵耳が痛くなって長時間使えませんでした。
ですが、このROCCAT(R)KHAN PROのイヤーパッドの内側は大きく、耳に当たることがありません。耳に当たらないため、耳にヘッドセットが乗っかることもなく、6時間連続で使用しても全く痛みは感じませんでした。
ヘッドセット選びで自分にとって一番大事なポイントはこれ、『痛くならないかどうか』だったので、ここをクリアできたのは大変ありがたいです。
スマホでハイレゾを聞いてみた
というわけでいよいよスマホでハイレゾ音楽を聞いてみたいと思います。使う音源は発売されたばかりの、『Eorzean Symphony』や、ハイレゾアルバムダウンロード数1位になったこともある、ジブリ系アニメのテーマ曲をアレンジしている、ALL THAT'S JAZ のアルバム『ジブリジャズ』、あと昔から大好きなカーペンターズのベストアルバムなど聞いていきます。
Eorzean Symphonyとは、先日行われたFF14のオーケストラコンサートの様子を録音したブルーレイメディアのことです。子供の頃、ドラクエのオーケストラのCDをレンタルしてよく聞いてましたが、今はいい時代ですね……。
好きなゲームが、東京フィルハーモニーでゲーム音楽のオーケストラコンサートやって、そのFLAC音源付きディスクが、2か月後にたった6000円で販売するとは……なんと素晴らしい時代に生まれたものです。
まず聞きたかったのはEorzean Symphonyの『静穏の森』。FF14の黒衣森のフィールド音楽ですが、これはまさしく森をイメージ曲で、前半はピアノやクラリネットを基調とした癒し系の音楽です。
これをさっそくROCCAT(R)KHAN PROとエレコムのハイレゾ対応イヤホン『EHP-CH3000GN』とで聞き比べをしていきます。EHP-CH3000GNについてのレビューはこちら。
EHP-CH3000GNには別途購入したウレタン製のイヤーパッドを装着しており、密閉性がかなり高いと思っていましたが、ROCCAT(R)KHAN PROの密閉性はそれをはるかに上回っています。近くで静かな音しか出さない空気清浄機を置いていましたが、EHP-CH3000GNはそのノイズをかなり拾っていました。
音楽はどちらのデバイスでも、その澄んだ音色の余韻までしっかりと耳に届きます。音質にはそれほど差はありませんが、密閉性のおかげでROCCAT(R)KHAN PROの方が音楽の世界にたっぷりとひきこもることができます。ピアノのサスティンだけでなく、バイオリンやフルートの消えかける最後まで、空気清浄機やPCのファンのノイズが混ざることなくきっちりと聞き取れます。
逆に密閉性が高い分、体内で発生する音、例えば咀嚼音であったり心音であったりは結構なノイズになってしまうので、ROCCAT(R)KHAN PRO使用中は食事をしたり激しい運動をしたりはしない方がいいと思いますが、電車の中で使うぐらいはありな気がしてきました。いやー、やっぱりマイクがあるから目立ち過ぎますかね。
続いてジブリジャズやカーペンターズを聞いてみましたが、どちらも密閉感のおかげで音楽への集中力が格段にあがり、低音から高音まで細部まではっきりと聞き取ることができました。
もちろんEHP-CH3000GNも悪いわけではありませんので、室内などで座って聞けるのであればROCCAT(R)KHAN PRO、電車の中や徒歩での移動中はEHP-CH3000GN、というように住み分けをするのが最良の選択かなと思います。
PCで使ってみた
オーバーウォッチをしてみた
次はいよいよPCで使います。やるゲームはオーバーウォッチ!何といってもヘッドセットですからね、ゲームの方が本命。比較には無線接続のヘッドセット、Turtle BeachのEar Force PX3を使用します。
サウンドカードはハイレゾ対応の『Sound Blaster Audigy FX』を使います。24bitの192Hzに設定。マイクはこのカードにさすとなぜか凄まじいノイズが入ったので、オンボードの方に挿しました。
ということで早速オーバーウォッチに使ってみました。オーバーウォッチで音に関することといえば、
・敵の足音は味方の足音よりも大きく聞こえるので、足音で敵の位置を把握する
・武器の発射音で誰がいるかを判断する
・Ult(ウルト、必殺技)のセリフが敵味方で違うので、どっちが使ったかをセリフで判断する
・味方は被弾すると痛がる声を出すので、その声で味方がどこら辺にいるかを判別する
といった要素があります。現在使用中のPX3はこれらはすべてクリアできているので、最低限ROCCAT(R)KHAN PROもこれはクリアしていただかないと実用レベルではありません。そこで早速オーバーウォッチで使用してみました。
このゲーム、面白いことに『足音』といっても26キャラ全員、違う足音がするんです。ゴリラはゴリラの歩くような足音がするし、女性のキャラはコツコツとハイヒールのような音がしますし、空に浮かんでる機械の僧侶は足音がしない代わりにかすかな機械音がしています。
持っている武器も違うので、銃声と呻き声を聞き分けて誰が誰にどこで攻撃されているかを聞き分けなければならないのです。2.0スピーカーではどうしてもその繊細な部分は判別が難しい。
しかし、どれだけガチャガチャと混戦していても、銃声、足音、セリフ、すべて鮮明に聞こえ、ちゃんと足音や呻き声をとらえて正しい方向を向くことができました。それどころか、今まで使っていたスピーカーやPX3では聞こえていなかった環境音まで聞こえてきたのには驚きました。
実際にROCCAT(R)KHAN PROを使ってボイスチャットしたときの動画も載せてみます。「ジャンクはタンクでしたっけ?」って喋ってるのが自分の声です。もともと声が小さいのですが、これだけしっかりと聞き取れます。最後に呟くようにいった小さい声までちゃんと拾ってます。
ただ、実際のプレイを通して1つだけ欠点を見つけました。それは『自分の声が聞きとりにくい』ということ。今まではイヤーカップはメッシュだったので自分の声も普通に聞こえていたのですが、パッシブノイズキャンセリング機能によって自分の声が聞こえなくなり、喋りにくくなりました。
密閉してしまうことの弊害ですね。おそらく自分の声をループバックさせればいいと思うのですが、しばらく使っているうちに慣れてきました。そのうち慣れるのかも。
とはいえ、一緒にプレイしている人たちによると、自分の声自体はPX3のころよりもはるかに鮮明に聞こえるようになったとのことなので、マイク性能はROCCAT(R)KHAN PROの方が高いようです。
仮想サラウンドを有効にしてみた
あと、ROCCAT(R)KHAN PROはステレオヘッドセットなので、『仮想サラウンド』も有効にしてみました。Windows10には標準で『Windows Sonic for Headphones』という7.1仮想サラウンドサウンドが使えるようになっていますので、これを有効にしてみました。
あまり信用していませんでしたが、たったこれだけなのに、敵の位置の把握などはさらにしやすくなりました。音質はもしかすると落ちているのかもしれませんが、劣化は一切感じられませんでしたので、ゲームをするときは有効にしておこうと思います。
ハイレゾ音楽も聴いてみた
いったん疑似サラウンドを切って、ハイレゾ音楽も聴いてみました。Windows10にデフォルトでついてくるGroovミュージックもハイレゾの再生はできますが、再生時には音質が劣化するので、fooobar2000というフリーウェアを使って再生します。
まずROCCAT(R)KHAN PROで聞いてみます。やはり音質はとてもいい。パッシブノイズキャンセリングがほんといい仕事しますね。ただ、Zenfone3と比べると若干音質が落ちている気がします。ボードの性能の問題もしれませんし、イコライザーでなんとかなるところかもしれませんが。
まあシャリシャリした感じがなくなって柔らかくなるので、シンバルとかエレキギターとかが嫌いな人にはいいかもしれません。ケルト音楽やそれに類するゲーム音楽なんかを好む人には良さそう。
次にPX3(再生周波数20Hz~20000Hz)のいわゆる普通のヘッドセットで聞いてみました。するとわずかにですが全体的に音が掠れていて、薄いガラスの向こうから聞いているようでした。というか考えたらPX3は今までゲームにしか使ってなくて、ゲーム内の音楽とかMP3とかFLACとか、これで聞こうとしたことなかったよ!!
まあ普通ヘッドセットなんていかに鮮明に足音が聞こえてなんぼですからね、音質を追及したヘッドセットなんて、ほんと前代未聞だと思います!(褒め言葉)
ということで使い方を決めました。ROCCAT(R)KHAN PROはゲームをするときは疑似サラウンドを有効にして、音楽を聴くときはZenfone3につなぐ。こういう使い方をしていこうと思います。
PS4で使ってみた
ハイレゾ音楽も聴いてみた
画質悪くてごめんなさいね、テレビを直撮りしたので。最近ほぼNetflix専用機となってしまったPS4ですが、PS4はテレビに出力しているので、音もいつもテレビのスピーカーから聞いていました。ですが、PS4のワイヤレスコントローラーに3.5mm端子がついており、ここにROCCAT(R)KHAN PROを接続することで、ケーブルの制限なしに自由に動きまわれるようになるのです。
そこで今回は、革細工をしながらNetflixを『ながら見』してました。すると、このパッシブノイズキャンセリングのおかげで凄く集中できることがわかったのです。
ながら見で集中って矛盾してるように思えますが、革細工って見てなくてもできるところが多いのです。なのでちらちらテレビ見ながらでもセリフも映像もしっかりと入ってきて、さらに空気清浄機やエアコンといった周囲のノイズに邪魔されないため、非常に集中することができました。
ちなみにワタクシ、ホラーやサスペンスが大好きなもので、今回もNetflixでシリーズ的に配信されている『恐怖映像』というモキュメンタリーの、最新作が出ていたのを見つけて喜んで見ていたのですね。そしたらこれ、ステレオ対応してたんですね……。突然耳元で囁くように霊の声がしたもんで、とんでもなくビビってしまいました。ホラー耐性高いと思ってたのに!
音がリアルすぎるんですよ!(大激怒)とはいえパッシブノイズキャンセリングのヘッドセットで見るホラー映画という新しい楽しみ方を見つけてしまったので、これからまたいろんなホラー映画を見ていきたいと思います。
BDMを聞いてみた
FF14のサウンドトラックが収録されているブルーレイディスクミュージック(BDM)を視聴してみました。FF14のBDMはハイレゾ再生にまで対応しており、さらにBDMには24bit/96kHzのMP3が同梱されています。自分は主にこの高音質MP3を目的に買っていました。
ただ残念なことにクマ宅にはBDを再生できる機器がPlaystation4しかないため、その環境がありません。なので、ぶっちゃけBDMの映像の方は、ほとんど再生したことなかったんですよね。
ところが今月発売された『Eorsean Symphony』は、オーケストラの会場を高音質で録画したコンテンツがあるとのことで、とても楽しみにしていました。これをROCCAT(R)KHAN PROで視聴してみたいと思います。
ちなみにPS4でハイレゾ再生できるかというと、これもまた無理でした。PS4でこのROCCAT(R)KHAN PROを使うには、PS4用コントローラにある3.5mmのジャックにつなげないといけないのですが、この端子がハイレゾ再生に対応していないのです。
PS4自体はハイレゾ再生に対応していますが、3.5mmジャックはハイレゾ非対応、USBのDACは48KHzに制限されてしまうそうなので、おそらくBluetoothのハイレゾ対応ヘッドホンなどを接続しないと無理そうです。
そのためさすがに音質は落ちていますが、パッシブノイズキャンセリングのおかげで映像に対する没入感が凄いです。今までと同じテレビを見ているはずなのに、オーケストラの臨場感がありまくりでした。やだこれ楽しい……!
終わりに
当初は『パッシブノイズキャンセリング』と聞いて、ただ耳をぴっちりと塞ぐってだけやん、と思っていましたがとんでもありませんでした。昔SONYノイズキャンセリング機能付きのオーディオプレイヤーを使っていたこともありましたが、それに比べても密閉感というより『密室感』があり、音楽や映画に限らず、趣味などにも集中し没入できると感じられました。
最後になりましたが、このたびはジグソープレミアムレビューのレビュアーにご選出いただき、ROCCAT GmbH様および株式会社サイズ様には厚く御礼申し上げます。
toshi_wanganさん
2017/12/31
ノイズキャンセリング+ハイレゾの奥の深さが伝わってくるレビューですね(^^)
このヘッドセットを多くのユーザーに味わってほしいです。
使ってみて判る凄さってありますからねぇ(^^)
宇佐木クマさん
2017/12/31
周りの音がしなくなるので、騒音で悩んでる人もゲームに集中できて良さそうですね。