以前、某PC関連雑誌のライターをしていた頃、連載は月刊誌だったのでそれ程根を詰めることはありませんでしたが、書籍の原稿は結構締め切りに終われ、パソコンの前で16~7時間缶詰になる事もありました。
当然翌日は、腰はガチガチ、肩はパンパンでした。
オフィスチェアは体のためにも良いもの(=高いモノ?)を使った方が良いと分かってはいるものの実際に選ぶとなるとなかなか難しいものがあります。
最近は椅子の上に置き腰回りをサポートする「姿勢ケア」製品もありますが長時間座っていると疲れてくことに代わりはありません。
会社の椅子で使ってる「姿勢ケア製品」Style PREMIUM
今回、テックウインド株式会社様のご厚意によりAKRacing Premium オフィスチェア を試用する機会を頂きましたので実際のデスクワーク(主にパソコンのキーボード入力)でどれくらい快適に使えるか徹底レビューします。
本体と付属品
プレミアムレビューとは関係ない部分ですが、これから購入される方のために・・・
テックウインド株式会社様から届いたAKRacing Premium オフィスチェアの外箱は『案の定』と言うか『予想通り』というか"かなり大きい”です。そして総重量が”30Kg”とこちらも『かなり重い』です。
90cm X 70cmの大きさ、総重量30kgは大人の男性でも運ぶのが大変
使用するのは2階の書斎なので居間でバラしてパーツ毎に運びました(正解)
会社での利用であればあまり問題ありませんが、個人宅などでは家具類の購入時は搬入に付いてもよく検討する必要があるでしょう。
半完成品のような簡単組立
AKRacing Premium オフィスチェアの様な事務机・椅子などの『オフィス家具』は、組立に掛かる手間も考慮する必要があります。オフィスの場合『組立作業付き』で設置する場合もありますが、総務担当者が組み立てる場合も少なくありません。その場合組立工具も必携となります。
幸い、AKRacing Premium オフィスチェアには必要な工具が付属してるのですぐに組立が可能です。
作業用の手袋が付いているのは良いですね。手早く作業を進めるなら電動工具も用意したいところです。
電動ドライバーとマルチレンチ用ビット類(ほとんどの組立作業はこのセットでOK)
AKRacing Premium オフィスチェアの組立は写真付きのマニュアルに沿って、各パーツに仮止めされたボルト8本と、上記の3本の黒いボルトの計11箇所をネジ止めするだけです。脚部のキャスターとガスシリンダーははめ込むだけなので30分もかからずに完成します。
古い椅子と並べて見ました。大きさも高級感も全く違います。
余談ですが椅子などの可動部が多い家具は1~2週間後には必ず『増し締め』を行いましょう。初期使用ではネジ類に『馴染みによる緩み』が発生します。(総務経験者談)
レーシングカーのコックピット感覚のホールド感で疲れ知らず
この椅子に座って最初に感じたのは『この既視(座)感は何?』という感覚でした。それもそのはず愛車のRCZのホールド感にとてもよく似ているのです。
バケットシートの座面の傾き・堅さ・ホールド感が同じ(愛犬も大好きな場所)
オフィスなどでPCをメインにた着座業務では、前傾姿勢や固定座位による疲労から1時間以上も座っていると集中力低下を招き、業務効率が落ちてきます。特に一般のOAチェアは座面も広く腰の位置が定まりません。また、椅子の調整機能も高さ調整ぐらいしか無く勢い、前後左右に腰の位置をずらしてしまい腰骨や背骨がゆがんだ「姿勢が悪い状態」で仕事をしていることがままあります。
AKRacing Premium オフィスチェアは高さ調整はもとより、リクライニング機能や座面チルト機能(後述)に加え位置の移動が可能なヘッドレスト、ランバーサポート、アームレストが有り、個人の体型や姿勢に合わせた最適なポジションで座ることが可能です。
次項からは各パーツ毎の使い勝手をレビューします。
なお今回、AKRacing Premium オフィスチェアのPREMIUM REVIEWに応募したもう一つの理由に、これまで使っていたOAチェアでガス抜けが発生し高さ調整が効かなくなった事もあります。3年ほど使ったOAチェアですが、座る位置により傾きの力が掛かると徐々にガスが抜け座面が下がってしまいます。
仕方無いのでUボルトで固定して使ってましたが、当然ガスクッションが無くなり座り心地は最悪です。
ガス抜けが発生、高さ調整が不良となったOAチェア。Uボルトで強制高さロック
AKRacing Premium オフィスチェアのガスシリンダーはDIN4550規格クラス4に適合した高品質なガスシリンダーが採用されています。(最大荷重150kg)ただ、ガスショックについては長く使って見ないと耐久性などは解らない部分もあるので、AKRacing Premium オフィスチェアについても折を見て追加のレビューをしたいと思います。
椅子の堅さは重要
一般的なオフィスチェアの座面は体圧分散を考慮して幅が45cm~50cm、奥行きが50cm以上というのが平均的なようです。
それに対しAKRacing Premium は図面仕様によると幅が38cmと小さめです。しかしサイドのホールドの高さが8cmも有り、実質的な体との接触面積を広げることで、体圧が局所的にかかるのを防いでいます。また、奥行きは55cm、有効でも50cmあり広めになっています。
一般的にベンチのような硬い板の上に座った場合の体圧は臀部に集中し、クッションのような柔らかい面に座った場合は分散します。しかし一方で、あまり柔らかい座面は姿勢を維持するのが難しくなる(イメージとしては笑点の座布団10枚状態(笑))ため、適度な堅さで座位の安定感を保つことも座面にとって必要な要素となります。
AKRacing Premium の座面は「高密度モールドウレタンフォーム」と言う固めのクッションが使われていますが、厚みが10cmくらいあるので堅さを感じさせません。逆に柔らかく感じるくらいで太ももから臀部まで包み込む形になっているので体圧が集中する感じはしません。
また、一部のOAチェアのように前傾になる座面ではなく水平が基本となり、時間の経過とともに腰位置が前になり猫背姿勢になる事もありません。
国産のOAチェアには無い高さ
高さ調整は一般のオフィスチェア同様、右サイドのレバーを引き上げて調整します。レバーの操作感も良く、昇降にも強い力は不要です。ただ、最低の座面高が36cm+シートクッション厚10cmとかなり高く、女性がオフィスで使うにはちょっと高すぎるかも知れません。(ハイヒールを履いていると丁度良い?)メーカーサイトで説明があるとおり「平均的な身長からやや背の高いユーザーに適したサイズ感」となっています。筆者の場合、会社の会議室にあるOAチェアを最高座位に上げても低い位なので高くなるのは歓迎ですが、AKRacing Premium の座面を最高に上げるとさすがに高すぎます。
座面高は無荷重50cmぐらいで丁度良い、最高にすると足が床に付かない
最低+4cmぐらいで使っています。筆者の体重は80kgありますがシリンダーの沈み込みも自然で丁度良い高さになります。
OAチェアでは珍しいフルフラット(180°リクライニング)
そもそもオフィスで椅子をフルフラット(=寝る)にする必要があるのかは、意見が分かれるところですが、以前総務担当をしていたとき休憩室にマッサージチェアやリクライニングシートを導入したとき社員から好評だったこと考えると、かなりニーズはあるのかなと思います。
実際に昼食後は自席で仮眠を取っている人は多いですからね。
フルフラットでの注意点は、「とにかく場所を取る」事です。自宅の寝室なら良いですがオフィスとなると皆が一斉にフルフラットシート状態にすると ・・・ただ、震災など非常時に帰宅困難者への仮眠場所としてはとても有効と思います。これでオットマンが付いていたら完全に飛行機のファーストクラスです。
リクライニングはかなり細かく傾斜の切替が可能で細かい調整が好きな人向きと言えます。ランバーサポートやヘッドレストを使ってで自分の好みの座位に調整する事ができます。
既存のOAチェアに無い新しい観点
殆どのロッキングチェアが、座面と背もたれの角度が一定でスイングします。AKRacing Premium オフィスチェアもプラットフォーム・ロッカーのように座面と背もたれの角度を維持したまま座面後ろが沈み込み動くのでロッキングチェアと同じように使うことが出来ます。
一般的なOAチェアは背もたれのみバネで稼働するするものが多い中、AKRacing Premiumは座面ごと稼働する特徴があり、高級オフィスチェアにも多く見られる機能です。しかし他の高級オフィスチェアと大きく違うのは、座面の角度を変えた後、稼働をロックする事が出来ることです。座面の後ろが下がった状態でロックすると、これはもうレーシングカーのコックピットですね。仕事中にレーシングゲームをしたくなりそうです。
座面の角度や背もたれの角度を色々変えることで、かなり自由度の高い椅子として使えます。
なお、フルフラット状態でチルトすると頭が下に下がるようになるので、ひっくり返らないように注意が必要です。フルフラット時はチルト機能を水平位置でロックしておきましょう。
腰痛持ちにはうれしい装備
ランバーサポート、ヘッドレスト、アームレストの使用はかなり個人の好みに左右されるので、好みに合わせて有無と位置調整を行いましよう。
ランバーサポートの位置はゴムバンドを上下にスライドさせて調整
特にランバーサポートの押さえは伸縮ゴムバンドですので、ずれが発生しやすいです。腰痛持ちの筆者にとってはリクライニングに加えてランバーサポートはとてもうれしい機能です。
筆者の場合、ヘッドレストを使わないと、リクライニングで深く倒したとき丁度、後頭部がヘッドレスト取り付け穴のブラスチック枠にあたり具合が悪いです。ヘッドレストより小さな枕状のクッションが穴のところにあると良いです。
アームレストに関しては高さ調整・開き角度調整がワンタッチできます。幅の調整も出来ますが座面下のボルトを左右4本ずつ緩める必要があります。
フローリングも傷付かず、転がりすぎない
新しいAKRacing Premiumではキャスターも刷新され、フローリングの床面に傷をつけにくいポリウレタン製双輪キャスターになっており。オフィスチェアでは珍しくチェアを固定したいときは便利な車輪ストッパー機能が4輪に追加されています。(あまり褒められた事ではありませんが、キャスターを固定して踏み台代わりにすることも?)
ただ、オフィス用タイルカーペットで毛足の長いものが使われていると転がり抵抗が高いかも知れません。自宅はフローリングの上に半透明のPPオフィスマットを使っているので逆に転がり過ぎず、快適です。何度かチェアマット無いフローリング部で直接座ってみましたが、キャスターで傷が付くことはありませんでした。
椅子に座りながらリラックス&リフレッシュ
AKRacing Premium オフィスチェア を使うことで一番変わったことは、椅子の上で『リラックス&リフレッシュできる』ことです。職場で椅子に座って仕事をする上では”集中”し”緊張”出来ることが重要ですが長時間続くと心身とも『ストレス』がたまります。このストレスを解消するためオフィスでは、一定時間毎に椅子から離れ”のび”などのストレッチをしたり、喫煙者ならたばこを吸いに行くなどのリフレッシュをすると思います。AKRacing Premium オフィスチェアなら、両腕をアームレストに載せたままリクライニングシートに体を預け、目を閉じて深呼吸をすれば身体が弛緩していくのが分かるくらいリラックスできます。
これまでは、疲れると隣のベッドに倒れ込むしか無かったので・・・「いいや、このまま寝て、原稿は明日にしちゃお」と思うこともしばしばでした(本当は締め切りなので良くない・・・)
仕事疲れのリフレッシュ方法は『ホットコーヒー』なのですが、これまではリビングに降りで行ってドリップしたコーヒーをダイニングチェアに座って飲むのが日課でしたが、AKRacing Premium オフィスチェアしてからはコーヒーを書斎に持ち込んで飲むことが増えました。リビングで休憩を取るとついついテレビを見てしまい、休憩時間が長引いてしまいます。
自席でコーヒーを飲み終えたら、オンオフを切替、即座に仕事に戻れるのも高級オフィスチェアの利点と言えます。
解決したことは、やはり『肩こりと腰痛」でしょう。無くなったわけでは無いですが時間を忘れてキーボードに向かっているときに、肩痛や腰痛が起きて作業を中断することは少なくなりました。パソコンの『そろそろ休憩しましょう』の促しで、休憩を取るくらいです。
もう少し長く使わないと分からない部分もありますが、ホールド感の高い椅子ですので、座位による疲労感はかなり少なくなりました。
マルチモニターやマルチPCでも使いやすい
レビュー要項以外になりますが、自宅では2画面のモニターにPCを複数台つないで使っています。リクライニングを上手く使って複数モニターの見やすい位置で作業したり、キーボードを複数使うときに椅子側の調整で無理な姿勢にならないように出来るのがうれしいです。
オフィスチェアの新しい価値観が見える
AKRacing Premium オフィスチェアは、これまでのオフィスチェアの概念を覆し、レージングカーのコックピットをデザインの特徴とするAKRacingゲーミングチェアをベースに機能面・デザイン面を人間工学を元にリファインしたオフィス向けのハイエンドチェアです。OAチェアの既成概念にとらわれない斬新な工夫が随所に見られ、その座り心地は仕事中にもかかわらず至福の時を感じさせるに十分です。
あえて、欠点を上げるとすると、背の低い人向きで無い(フットレストもあるようですが)後は値段が高い?(もっと高い役員用デスクチェアもありますが)
欲を言えば『オットマン』が欲しい(贅沢)・・ぐらいです。
社員数の多い会社では導入のハードルも高いかも知れませんが、機能や使い勝手、快適性による業務効率向上を考えると決して高い買い物とはならないでしょう。
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