今回のインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKプレミアムレビューは、車載利用に関してのGIRIGIRI限界チャレンジを行いたいと思いますが、GIRIGIRI限界チャレンジは、車両内での高温対応です。
過酷な外部環境(屋外なので環境温度が30℃超+NUC底面が車両のカーペットに接触していて熱がこもり易い)のなかで、過酷な内部環境(OCメモリ最大容量搭載+M.2 SSD 2基搭載),高負荷環境(RAW現像+SSD連続読み/書き)のなかで、可能な限り、デスクトップPCに近いパフォーマンスが出るようなハードウェア構成として、屋外でも使えるデスクトップPCとして使うと、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、どの程度のパフォーマンスが出せるのかをレビューして行きたいと思います。
また、車載環境でインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKをマルチメディアプレーヤーとしてカーシアターにしたらどうなのかも併せてレビューします。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング(NUC)という名称で、インテルのサイトによると、"デスクトップ PC を小型サイズのパッケージに変えたもので、場所を問わず仕事、遊び、制作、エンターテインメント、創作に利用できます。"というものです。
個人的には、小型PCであっても可能な限りパフォーマンスに妥協はしたくないので、過去に購入したGIGABYTE製BRIXでも、4コア8スレッド Iris Pro搭載の発売当時はトップパフォーマンスの小型PCを購入しました。
パフォーマンス自体は満足できるものでしたが、如何せんCPU冷却用ブロアファンの音がとても大きく、PCに負荷を掛けるのが嫌になるほどの爆音PCでした。
果たして今回のインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、どの位のものなのか楽しみです。
パッケージは、小ぶりで黒い箱に金色のINTEL NUCの文字が高級感を演出し、他のNUCと異なるハイエンドイメージを演出しています。
パッケージは、235mm X 148mm X 115mmです。
箱にはラップが掛かっていて、(下記写真はラップが掛かった状態で撮影)
個装箱の天面以外には、特徴や商品のイメージが印刷されています。
注意書きとして、DDR4-SODIMM(最大32GB)とM.2 SSD(最大2ドライブ)とオペレーティングシステムが必要であることが記載されています。
そして、底面には、同梱品が記載されていて、同梱されていないものとし、上記のメモリ,SSD,OS以外に、電源アダプタ/電源コードの記載があります。(赤線)
そうです。このNUCもミッキーケーブルが付属していません。
私の場合、GIGABYTEのBRIX用に短めのミッキーケーブルを購入したものや、アダプタを持っていた
ので困りませんが、NUC,メモリ,SSD,OSだけを用意しても電源が入りません。注意が必要です。
パッケージの中身は、下記のようになっています。
一般的な同梱品ですが、ドクロマークの入っていない天板が同梱されているのは、ビジネス用途を考慮した配慮でしょうか?
会社のPCにドクロマークの入ったPCはさすがに使い辛いといったところでしょうか。
ACアダプタは、出力が19V 6.32Aなので、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの最大消費電力は120Wということでしょう。
あと、Core i7のシールが入っていますが、どうせならIris Pro搭載Core i7みたいな別デザイン/別色展開があっても良いと感じました。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYK本体は、 211mm(W)x116mm(D) x28mm(H) ,約644g(メモリx2,SSDx2含む)と非常に軽量でコンパクトです。
CDパッケージを数枚積み重ねた形状とは異なり、かなり薄めの形状で幅は横にCDを2枚並べたより30mm程狭い程度です。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、開発コード名が「Skull Canyon」というだけあって、天板には、インテル SSDおなじみのドクロマークがあしらわれています。
付属の六角レンチで6箇所のネジを外すと天板が外れ、付属のドクロなしパネルと交換することができます。
天板を外すと、殆どが鉄板に覆われていて、プリント基板にUSB3と印刷された、推測ですがUSB 3.0用やNFC用と思われるがヘッダが見えます。
mkamaさんからの情報で、青いコネクタはUSB 3.0のヘッダーで間違いなかったのですが、白い方は、USB 2.0x2 , HDDや電源のインジケータ用LEDヘッダや電源/リセットスイッチ用のヘッダであることが判明しました。
mkamaさん情報ありがとうございました。
正面は、左から、六角形の電源スイッチ,SDカードスロット,USB3.0ポートx2(オレンジ色は1.5A給電対応,他は背面含め900mA),ヘッドフォン/マイクジャック,六角形の赤外線受光部が並びます。
電源を入れると、電源ボタンにホワイトLEDが点灯し、格好良いです。
背面は、左からACアダプタ入力端子,オーディオ出力(光デジタル共用),ギガビットイーサ,USB 3.0x2,mini DisplayPort,thunderbolt 3(USB 3.1 Type C共用),HDMI端子が並びます。
背面のオーディオ出力は、光デジタル共用なので、通電中は、端子の奥が赤く光っています。
thunderbolt 3は、ストレージやディスプレイ(DisplayPort仕様)が接続できるので、USB 3.1Type C - DisplayPort変換ケーブルを秋葉原で探したのですが、見つかりませんでした。もし見つかれば、mini DisplayPortとthunderbolt3の2系統の出力を5KモニタのDELL U2715Kに挿して、5K表示ができるか試したかったのですが、今回は、mini DisplayPortを使った4K出力でレビューを行いました。
SDカードスロットは、SDカードの端子部分のみを挿入するタイプで、プッシュロック方式ではありません。SDカード挿した状態だとインテル(R) NUC キット NUC6i7KYK本体からSDカードが結構はみ出すので、SDカードを挿したまま本体を移動させないほうが良いと思います。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、mini DisplayPort(4096*2304 60Hz),thunderbolt3(4096*2304 60Hz),HDMI(4096*2160 60Hz)と全て、4K 60Hz対応で、最大4Kトリプルディスプレイが可能です。
thunderbolt 3端子は、形状が、USB 3.1 Type Cと同じで、USB端子としても利用可能です。仕様では、Gen 2 なので10Gb/sの速度に対応した高速タイプです。
私が所有しているUSB 3.1Type C端子が付いている機器は、USB 3.0 HUB/カードリーダーしかないのですが、カードリーダー部にSDカードを挿すと問題なく読み書きできました。
底面は、放熱を考慮してなのか、VESAマウントの強度を稼ぐためなのが、はたまた、デスク上に設置した場合重心を下げて本体重量を増すことで設置安定性の向上を目指したものなのか金属製のカバーにゴム足が付いています。
四つ隅のネジを回すと底面パネルを外すことができます。ネジは、底面パネルから外れないので、失くす心配がありません。
底面パネル中央の大きなネジ2つが付属のVESAマウント固定用のネジになります。
付属のネジを使ってマウントに固定できます。
そして底面パネルを外すと、メモリソケットやM.2ソケットにアクセスできます。
左側に、M.2ソケットが2基,中央右寄りにメモリソケットが2段,右端が、CPU/チップセット冷却用のブロアファンとなります。
ブロアファンが薄いので、排熱用に結構高速回転をすると煩くなるのではないかと懸念されますが、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKが横長にレイアウトされたのは、発熱源を集中させないためではないでしょうか。
M.2 SSD,DDR4-SODIMM,CPU何れも結構な発熱を行うと思うのですが、メモリとSSDは自然冷却のみなので、少し不安を感じます。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのスペックは以下のようになっています。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKには、第6世代インテル Core i7 6770HQという4コア8スレッドの高性能CPUが搭載されています。
一般的には、ノートPCのハイエンドクラスに搭載されるCPUです。
このCPUは、インテル(R)ターボ・ブースト・テクノロジの対応で、最大3.5GHzまでクロックアップします。
また、このCPUには、インテル(R) Iris Pro Graphics 580を搭載していて、CPU内蔵のグラフィックスとしてはハイエンドのグラフィックスです。
高速動作のeDRAMを128MB搭載し、最大950MHzで動作する高性能GPUです。
今回は、このGPUをインテル(R)クイック・シンク・ビデオ対応の動画エンコードソフトを用いて、大胆にもデスクトップPCとベンチマークします。
CPUは、Core i7 6770HQ 4コア,8スレッドで、2.6GHz メモリはDDR4-2400 16GBx2=32GB搭載でデュアルチャンネル動作 CPU内蔵のグラフィックスは、インテル アイリス プログラフィックス580です。
今回は、これらのソケットに、インテル(R) SSD 540sシリーズ 360GB(今回のプレミアムレビューに同梱) , SAMSUNG SSD SM951 AHCI 256GB,SanMax DDR4-2400 16GBx2を装着しました。
プレミアムレビューエントリー時には、インテル(R) SSD 530シリーズ 240GBが添付されることが記載されていたのですが、インテル(R) SSD 540sシリーズ 360GBに変更になりました。
TLCのSSDなのですが、記録容量が増え、当初からデータドライブとして利用予定でしたので、大歓迎です。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのM.2ソケットは、PCIe,SATA両対応で、インテル(R) SSD 540sシリーズ 360GBは、SATA3対応SSDだったので、システムドライブとして、PCIe 3.0 x4対応のSAMSUNG SM951を使いました。
このSSDは、NVMeではなくAHCIのインタフェースです。NVMe対応のSM951は、別のPCで稼働中なので、自宅にストックしていたAHCI対応のSSDを使いました。
メモリに関しては、DDR4-2400 16GB x2=32GBのもの搭載しました。
前述のスペックシートにも記載がありますが、対応メモリは、DDR4-2133+と記載されています。
これは、きっとDDR-2133を基本とし、オーバークロックにも対応していますよ。という記述だと勝手に解釈し、DDR4-2400を購入しました。
今回のGIRIGIRI限界チャレンジでは、動画のエンコードや高画素デジカメのRAW現像で、デスクトップPCにどれだけ肉薄できるか?というテーマがありますので、可能な限り、デスクトップPCに近づけたいと考えました。
比較デスクトップPCは、CPUが、intel Core i7 6700K(4C8T 4.0GHz),メモリが、DDR4-2800 8GBx4=32GB,起動ドライブが、Samsung SM951 PCIe 3.0 x4 NVMe 256GB M.2 SSD,データドライブが、4TB HDD(7200rpm) x2(RAID-0)なので、可能な限り、このスペックに近づけたかったのです。
それでは、次にインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのUEFI BIOSです。
UEFI BIOSになって、他社もデザイン性の高いUEFI BIOSを搭載してきましたが、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのUEFI BIOSのデザイン性と実用性兼ね備えた分かり易いデザインになっています。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは電源を起動すると、ポスト画面として、INTEL NUCの文字イメージが表示されると共に、ポスト画面で使用できるファンクションキー(BIOSのセットアップ,BIOSのアップデート,起動ドライブの選択)が表示されます。
ここで、BIOSのセットアップを選ぶとトップ画面が表示されます。
トップ画面は、ブータブルデバイスが、UEFI/Legacyに分けて表示されます。
CPU/チップセット冷却用ブロアファンの回転数履歴、温度履歴(CPUコア,メモリ,マザーボード,チップセット)、電圧履歴(3.3V電源電圧,メモリ電圧,CPU電圧)が折れ線グラフで表示されます。
ページを送ると、システムの詳細情報が表示されます。
更にページを送って行くとシステムの詳細設定ができるページに移動します。
Mainタブでは、CPUの情報や時刻の設定、搭載メモリの容量やクロック、イベントログの設定,UEFI BIOS設定画面で最初に表示する画面の設定等ができます。
Devicesタブでは、USB,SATA,GPU,オンボードデバイス,PCI等の設定が来出ます。
USBのレガシデバイスやUSB給電モードの設定ができます。
また、内部ヘッダ分を含め、各USBポートのON/OFF設定が可能です。内部USBヘッダとして、仕様書によるとUSB 3.0x2,USB 2.0ポートx2があるようです。
SATAモードでは、接続されている、ストレージ情報と、チップセットのSATAモードが、AHCI/RAIDの選択ができます。
RAIDに設定すると、インテル・ラピッド・ストレージ・テクノロジ(IRST)の設定タブが増えます。
Videoは、内蔵グラフィックス、インテル・アイリス・プロ 580に割り当てるメモリやGPUの動作設定が可能です。
Onboard Devicesでは、マザーボード上に実装されている、オーディオ,グラフィックポート上のオーディオ,LAN,サンダーボルトコントローラ,WiFi,BluetoothオプションのNFCデバイスを各々ON/OFF設定できます。
PCIは、2つのM.2スロット各々のON/OFFとM.2デバイスの情報が表示されます。
Coolingタブは、トップページの温度の折れ線グラフと、冷却ポリシー(煩くても積極的に冷却,多少熱くても静かに,バランス)が設定できたり、冷却で優先するのがCPUなのか、チップセットなのか、メモリなのかを設定できたりします。
Performanceタブは、CPU,GPU,Memoryのクロックや倍率,電圧等を設定できます。
これを見る限り、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKに搭載されているCPU Core i7 6770HQは、倍率ロックフリーのCPUのようです。
今回は、高温環境下のGIRIGIRI限界チャレンジですが、低温環境下のGIRIGIRでオーバークロックも面白そうです。
Securityタブは、一般的なシステムパスワード設定やM.2ストレージをパスワードロックしたり、OS自体のセキュリティ関連の設定ができます。
Powerタブは、パフォーマンス優先か、省エネ優先か、更に細かな電源設定ができます。
Bootタブは、ブートデバイスの詳細設定を行うことができます。
これを見る限り、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの利用目的によって、結構細かな設定ができ、利用目的に応じた最適なインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの動作仕様を細かく設定できます。
ハイパフォーマンスを最優先とか、重い仕事はさせないので、省エネで静かなPCに設定にしたいとか目的に応じて様々な設定ができ面白そうです。
OSは、Windows 10 Pro x64をDSP版でインストールを行いました。
それでは、システムのパフォーマンスを紹介して行きたいと思います。
以下のベンチマークは、UEFI BIOSのパフォーマンスに関する設定は、全てデフォルト(normal/auto)で計測しました。
最初は、ストレージ系のベンチマークです。
今回は、2つのM.2スロットに、起動ドライブ用として、SAMSUNG SM951 256GB PCIe 3.0 x4 AHCI SSDを設置し、データドライブとして、インテル(R) SSD 540sシリーズ 360GB SATA 6Gb/sを設置しましたので、各々のディスクインフォを下記に表示します。
Disk Markは下記の通りです。
SAMSUNG SM951
INTEL(R) SSD 540s Series 360GB
更に、SanDisk Extream Pro 64GB SDカードを、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのSDカードスロットに刺した場合と、背面のUSB 3.1 Type Cコネクタに刺したUSB HUB/カードリーダに刺して、DiskMarkを計測しました。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのSDカードスロットは、仕様上はUHS-Iに対応していて、PCIe x1で接続されているのでもう少し速度が出てもよいと思うのですが、外部のカードリーダーの方が高速でした。
また、一般的なSSDをデータストレージとして使うために、Crucial製の1TB SSDを2.5inch SSD/HDDケースに入れて、USB 3.0端子に接続してみました。
次に、Mark2004R3で計測しました。
計測値に最も近かった私が所有していたPCでは、Core i7 3770を搭載したデスクトップPCでした。
次に、インテル Iris Proの性能を見たいと思います。
先ずは、CineBench
とても立派な値です。これであれば、Adobe Creative Cloud関連ソフトも十分に使い物になると思います。
ベンチマークの最後は、3D MARKです。
ゲームに関しては、普段からあまりしないので、細かなパフォーマンスのチェックはできませんが、グラフィックスの重いゲームでなければ、そこそこ快適にプレイできるのはないかと思いました。
今回の、GIRIGIRI限界レビューエントリー時には、記載していなかったのですが、UEFI BIOSの設定時に、M.2 SSDをRAID構成とすることができることが分かりました。
ただ、最近自作を始めた方は、余り経験のないインストール方法なので、記載することにしました。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKで、2基のM.2 SSDをRAID構成にするには、制約があります。
1)起動ドライブとして設定するには、OS自体をUEFIデバイスからインストールする必要があります。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、UEFI形式でのイントールのみRAIDドライブにOSをインストールできます。従来のMBR形式では、OSのインストールができません。
OSのインストールメディアを、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKに接続して、POST画面で起動ドライブの選択(F10)を押下して表示されるインストールメディアの先頭にUEFIと表示されていない時は、別途UEFIブートのUSBメモリを作成する等行い、UEFIデバイスからインストールします。
なお、インストールできるOSは、64bit版のみです。
2)インテルサイトから、事前にインテル ラピッド・スピード・テクノロジのフロッピードライブ用ドライバをダウンロードし、USBメモリ等に解凍しておきます。
上記を事前に用意しておけば、あとは簡単です。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのUEFIでRAIDの設定をして再起動すると新たなインテル ラピッド・スピード・テクノロジのタブができるので、そこで、RAIDボリュームの名前,RAIDを構成するドライブの選択,確保する領域等を入力して、RAIDドライブを作ります。
UEFIメディアでOSの新規インストールを行うと、インストール先を指定するところで、RAIDドライブが表示されません。事前にダウンロード/解凍しておいたインテル ラピッド・スピード・テクノロジのドライバをUSBメモリ等に入れて、ドライバーの読み込みを行い、ドライブを認識させます。(少し時間が掛かりました)
あとは、好きな分だけパーテーションを確保して、通常通りのインストールを行います。
それでは、Crystal DiskMarkでの計測結果です。
どうも頭打ちのようです。
Z170 Expressで、Samsung SM951 NVMe版を使ったRAID-0ドライブでのベンチマークのように、スコアが伸びません。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのチップセットのGIRIGIRI限界ではないでしょうか?
更に、ベンチマーク中に、
2基のSSDの温度が上昇し、片方は赤、もう一方は黄色のインジケータになりました。
爆速ドライブが実現するのであれば、私はSSDの温度が57℃程度のリスクは容認しますが、上記スコアだと考えちゃいますね。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKにさせたい事が、高速ドライブを要求することであれば、この程度の速度は出せるということを覚えておきましょう。
最初のGIRIGIRI限界チャレンジは、Intel Iris Proのパフォーマンスを確認するものです。
インテル・クイック・ビデオ・シンクを使った動画エンコードのベンチマークです。
約2時間のMPEG-2フォーマット(17Mbps)フルHD動画10本をスマートフォン閲覧用に、6-8MbpsのMPEG-4 AVCへの再エンコードを10本連続で行い、その時間を計測し、同じ動作を、デスクトップPCで行った場合と比較するものです。
エンコードソフトは、Pegasys TMPG Enc Video Mastering Works 6 Batch Encode Toolを用います。
フルHDMPEG-2動画 10本の総容量は、約90GBで、エンコード後は、フルHD MPEG-4 AVC 動画10本 約56GBになります。
代表的な動画のプロファイルです。画像17Mbps+音声平均192kbpsアナモルフィック記録のHD動画です。
先ずは、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKでのエンコードです。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKに搭載されているCPU Core i7 6770HQは、4コア8スレッドなので、Pegasys TMPG Enc Video Mastering Works 6 Batch Encode Toolでは、オプションの設定で、スレッド数と同じ最大8本のフルHD動画をエンコードできるので、8本の動画エンコードを同時に行わせ、早くエンコードが終わったスレッドから順に残り2本のフルHD動画のエンコードを行います。最後の1本のフルHD動画は、終盤では8スレッドでエンコードされることになります。
Pegasys TMPG Enc Video Mastering Works 6は、インテル(R) クイック・ビデオ・シンクのエンコードに対応しているので、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKに搭載されているCPU Core i7 6770HQのIntel Iris Pro 580でのハードウェアエンコードが可能です。
8本の動画エンコード中であっても、タスクマネージャーではCPUは70%位しか使用していません。一方、GPU-Zでグラフィックの動作を見てみると、100%の利用率となっています。
どうせであれば、CPUも利用率100%にして可能最短でエンコードして欲しいのですが、GPUでの処理とCPUでの処理のバランスの問題があるのでしょう。
動画エンコード中の、CPUの温度ですが、平均すると80℃オーバーでした。
CPU自体は、2.7GHz程度にしかクロックアップしていませんし、利用率も70%弱といったところです。
システム自体を高温にしないためか、GPUも80℃前後になっています。
NUCでのエンコード時間は、5時間2分42秒でした。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKで行ったエンコードと全く同じバッチファイルを使って、Core i7 6700Kを搭載したデスクトップPCでエンコードを行いました。
こちらは、CPUのクロックも早く、僅かながらメモリも高速です。nVIDIA Quadro K4200というグラフィックボードは、エンコードに使用しないように設定し、エンコードは、Core i7 6700K内蔵のインテル(R) HDグラフィックス 530とCPUだけでエンコードを行うように設定しました。
こちらは、8本の動画エンコード中のタスクマネージャーを見てみると、クロック4.16GHzで動作しているCPUをほぼ100%利用していました。
勿論、GPU-Zでみても、GPUの利用率も100%です。
結構な大差でデスクトップPCの勝ちかな?と思っていたのですがが、
デスクトップPCでのエンコードは、5時間51分19秒掛かりました。
恐るべし、intel Iris Pro 580という結果です。
CPU自体は、共に第6世台のCore i7で、クロックが、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは2.6GHz , Core i7 6700Kは、4GHzでメモリもデスクトップPCの方が速いのです。エンコードファイルの読み書きこそ、HDD(RAID-0)とSSD(SATA 6Gb/s)とインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKに分がありますがまさか、動画のエンコードで、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKが、同世代のデスクトップPCに勝るとは思ってもいませんでした。
更に、ワットパフォーマンスを考慮すると、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの、抜群のパフォーマンスに驚きです。
デスクトップPCとインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの消費電力ですが、デスクトップPCを起動してアイドリング状態で約96W、動画のエンコード中は193Wでした。
一方、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、起動状態で約18W、動画のエンコード中でも約73Wと、デスクトップPCのアイドリング状態より少ない電力で、フルHDの動画を8本同時エンコードですから驚きです。
また、動画エンコード中は、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKには結構な負荷が掛かっていて、CPUの温度が上昇しますが、GIGABYTEのBRIXと比較すると、ブロアファンの音は、遙かに小さな音でした。
ノートPCに高負荷を掛けた時に出るブロアファンの音とさして変わらないと思います。
個人的には、充分実用的な音量だと思います。
会議やプレゼンの場でも、充分許容できるノイズ量です。
ここからインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、屋外での動作になります。
今回は、クルマのバッテリにインバータを接続し、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKと液晶モニターを動作させ、デスクトップPC環境をそのまま屋外で使うことができるのかの検証です。
デスクトップPCを屋外で使う場合、問題となるのは、電源の確保と発熱の排気です。
プラグインハイブリッド車であれば、電源に関しては、余り制約もなく車内で家電品を使うことができるのですが、私のクルマはガソリンエンジン車で、DC 12Vのバッテリを搭載しています。クルマのバッテリの電圧は12Vしかないのですが、エンジンの始動やヘッドライトの点灯等、結構な電流を流すパフォーマンスを持っています。
そこで、DC電源からAC電源を生成するインバータなるものを購入しました。
インバータに関しては、生成する電圧100VのAC電源がどれ位流せるかによって、商品の大きさも価格も大きく変わります。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYK付属のACアダプタ出力が、19V 6.32Aなので約120Wを最大消費電力とみれば問題ありません。
GIRIGIRI限界チャレンジ 1で行った、HD動画エンコードでも73W程度でした。
一方、液晶モニタは、高画素デジカメで撮影したRAWデータの現像を行うので、可能な限り高画素のモニターということで、DELL UP2715Kという5Kモニターを使います。
今回は、mini DisplayPort ケーブル1本で接続できる4K解像度での検証を行います。
このモニターの消費電力は100Wで、最大170Wという記載から、GIRIGIRI大丈夫かな?というインバータを購入しました。
購入したインバータは、定格250Wで、5分間であれば300W,瞬間最大500Wの出力が行えるものです。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKが最大120Wで、モニターが100W(最大170W)なので、通常使う分には、両方同時に電源を入れなければ大丈夫だと考えました。
まず、クルマで画像編集ができる環境を作成します。
電源は、前述のインバータをクルマのバッテリに直接接続します。
幸いにも、私のクルマのバッテリは、後部座席の下にあるので、後部座席のバッテリ横にインバータを置くだけです。
後部シートを、運転席側に倒すと、
更に、カバーを外すと、
12Vバッテリと、ヒューズボックスが、後部シート下に格納されています。
バッテリが、上の写真では手前方向に半分くらい隠れています。
バッテリを、手前にスライドさせるための空間が結構広いので、そこにインバータを設置しました。
そうすることで、インバータの冷却ファンの音も気になりません。
長時間の利用であれば、インバータは後部座席の足元辺りに設置する方が良いかもしれません。
私のクルマは、ステーションワゴンなので、リアゲートを開けるだけで、27inchモニタを設置できます。
後部座席は、分割して倒すことができるの、後部座席間にモニター用のACケーブルと、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYK用のACアダプタのケーブルを通しました。
あとは、モニターとインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKを接続するだけなので、mini DisplayPortケーブルを接続するだけです。
モバイル環境なので、マウスとキーボードは、手持ちのワイヤレス対応のものを用意し、大きめのマウスパッド、そしてインターネット環境をつくるため、Wi-Fiルータを用意しました。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは非常にコンパクトなので、どこかに隠すことも可能なのですが、デジタルカメラで撮影した画像を保存したSDカードからデータを読み取るので、モニターの左下に設置しました。
炎天下の駐車場で操作を行いました。外気温は30℃で、路面温度は45℃になっていました。
リアハッチを開けて、操作を行いましたが、キーボードやマウスを操作するには充分な広さがあり、思いの他快適に操作できます。
SDカードに記録した3,230万画素のデジカメRAWデータ 100コマを、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKのSDカードスロットに刺して、内蔵のインテル(R) SSD 540sシリーズ 360GB M.2 にコピーを行います。
デジカメのRAWデータ100コマで 約3.74GBのデータを50秒でコピーできました。
次に、クルマの中で、コピーした100コマのRAWデータを、100コマ連続で現像して、JPEGファイルとしてコピーを行い、掛かる時間を計測しました。
100コマのRAWデータを、SDカードからインテル(R) SSD 540sシリーズ 360GB M.2にコピーし、現像したJPEGデータをインテル(R) SSD 540sシリーズ 360GB M.2に保存しました。
現像は、バッチ処理が可能なNikon Capture NX2で行いました。
タスクマネージャーをみると、RAW現像はCPUだけで処理しているようで、クロックは3.2GHz CPUの利用率が100%近くまで行っています。
そのためか、環境温度が高い(屋外)ためか、CPU温度は仕様の限界である100℃近くまで上がっています。
結果は、11分2秒でした。
同じ作業をインテル(R) Core i7 6700Kで行いましたが、さすがにクロックの速いデスクトップPCの差が出る作業です。
結果は、8分3秒でした。
モバイル環境での高画素デジタルカメラのRAW現像は、作業自体は快適に行えましたが、屋外でリアハッチを開けて作業するのは、暑さ的には結構きついものがありました。
リアハッチを閉めて、座って作業をすればエアコンの効いた環境で作業ができるのですが、ラゲージスペースにあぐらをかいて床面に置いたマウスを操作するのはちょっと不便です。
小さなテーブルが欲しいところです。
最後のチャレンジでは、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKをメディアプレーヤーとして使い、カーシアターを試してみたいと思います。
家庭内で大音響で映画を観ることは家族や近隣への迷惑を考えると環境的に難しいのですが、車内であれば防音性も高く、他の人に迷惑を掛けずに済む場所に移動することも可能なのですが、車載モニタは小さく(私の場合は7inch)臨場感にかけるのです。
プレミアムレビューで折角車内に27inchモニタを設置したので、カーシアターも試してみたいと思いました。
RAW現像システムでは、ワゴン車のラゲージスペースに27inchモニタを設置したのですが、車載スピーカーは、フロントドアとリアドアに搭載されています。
現状では、かなり前方から音が聞こえることになります。
そこで、リアシートを畳んでモニタを運転席の直後に設置しました。
ここであれば、空いた空間に座ったり寝転んだりして観ることができます。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの背面ポートには、TOSLINKの光出力があり、カーオーディオも、5.1ch環境があるのですが、残念なことに、カーオーディオには、2chのライン入力以外に外部入力がありません。
車内にモニタ及びインテル(R) NUC キット NUC6i7KYK用にAC 100V出力が可能なインバータがあるので、PC用の5.1chシステムを別途持ち込めば簡単ですが、今回は、カーオーディオの外部入力にインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの入力を入れることにしました。
カーオーディオには、DSPを使った疑似サラウンドでセンターチャンネルを生成することができる機能があるので、インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKの背面にあるオーディオ出力に、3.5φ3極-RCAステレオ変換ケーブル(下記写真)を使って、カーオーディオに入力しました。
残念ながら、マルチチャンネルとはいきませんが、車内で大音量で、4K動画を楽しむことができました。
DisplayPort経由でも音声が出力されているのですが、カーオーディオの音量には勝てませんね!
4K動画に関しては、コマ落ちもなくスムーズに再生できました。
インテル(R) NUC キット NUC6i7KYKは、最大3面の4Kモニターを接続可能なパフォーマンスを持っているので、1面の4K動画再生はインテル(R) NUC キット NUC6i7KYKにとっては、たいした作業ではないのかもしれません。
これだけのスペックを持つPCが、わずか644g、付属のACアダプタ(353g)と合わせても997g。
あとは、ワイヤレスキーボードとマウス。それにWiDi対応ディスプレイアダプタこれだけをかばんに詰めれば、全てを含んでも、ハイパフォーマンスなデスクトップPC並みのPCを、今回レビューで使ったパーツを使うと、1,518gで持ち歩くことができます。
会社の会議室,出張先のホテルそして、車の中!HDMIの付いている表示器を使って、何時でも何処でも最大4K解像度で最大3画面使えるのです。
別途Wi-Fiルータを接続すれば、即インターネットに繋がり、クラウド上からデータを持ってくることも簡単です。
大事なプレゼンテーションでは、ぜひ使いたい一品です。
mkamaさん
2016/09/19
ドクロの下のコネクターですが、
Intel® NUC Kit NUC6i7KYK Technical Product Specification
のP35 2.2.3 Top-Side Headers and Connectors
には
A Front panel USB 3.0 header (1.25 mm pitch) (blue)
B Internal Common IO header (1.25 mm pitch) (white)
とあります。
USだと普通のUSBに変換するケーブルが$15位で売っているそうです。
Picardさん
2016/09/19
そうだったんですね、白い方のコネクタに、USB 2.0のヘッダやLED関連のヘッダがあったのですね。
情報ありがとうございました。
レビューを修正しておきます。
aoidiskさん
2016/10/15
Picardさん
2016/10/15
デスクトップPC並みのパフォーマンスを鞄に入れて持ち歩けるのは、利用範囲が広いと思います。
今回のように、車両で使っても良いですし、会議室等環境が整えば正にデスクトップPCです。
現在は、Iris Proのパフォーマンスを使って、動画エンコード専用PCとして、家庭内で稼働中ですが、簡単に持ち出せますので、そのような機会に備えてスタンバイ中です。