今年の夏に発売された、Intelの最新CPUであるCore i7-6700は、OC向けのCore i7-6700Kの次に位置するハイエンドCPUだ。
コードネームは「Skylake」で、この世代から今までのLGA1150からLGA1151へとソケットが変更となっている。
このため、導入にあたってはIntel 100シリーズチップセットのマザーボードが必要となった。
今回は、新しいプラットフォームであるCore i7-6700とZ170チップセットのマザーボード、DDR4メモリを使用して、二世代前の同一ポジションのCPUであったCore i7-4790と比べてどのように進化しているのか比較をしていこう。
Skylakeで進化したこと
マイクロアーキテクチャにおける微細化と機能向上を交互に繰り返す開発ロードマップモデルである“チック・タック モデル”のタック、つまり機能向上を図ったSkylakeは、数多くの点で機能向上が図られている。
Skylake世代のCPUの主要な特徴は以下のポイントだ。
- Broadwellに引き続き14nmプロセスの採用
- LGA1151ソケットに変更
- DDR4/DDR3L対応のメモリコントローラー
- VRMの外部配置による省電力化とOC耐性向上
- クロックジェネレータの外部化によるOC設定の柔軟性向上
- 並列実行可能な命令数の増加による高性能化
- 内蔵グラフィックがGen9へ進化、Direct X12に対応
Skylakeに対応するZ170チップセットもCPU-チップセット間の転送速度がDMI3.0になったことを受け大幅に強化されており、Intel 8/9シリーズチップセットと比較すると以下の点が強化されている。
- PCI-Expressレーン:PCIe 2.0×最大8レーン → PCIe 3.0×最大20レーンへ強化
- USB3.0ポート:最大6ポート → 最大10ポート
- M.2/SATA Express:M.2 x2(PCIe 2.0)×最大1ポート → M.2 x4(PCIe 3.0)×最大3ポート
上記のように、Skylakeでは以前のCore i7-4790などのHaswellおよびCore i7-5775CなどのBroadwellアーキテクチャと比べると大幅に進化している。
特に、メモリがDDR4対応になり、チップセットとの接続もDMI3.0へ進化したことなどはトータルの性能底上げにも寄与するため、歓迎すべき点だ。
これだけの大きな機能向上を果たしたため、ソケットは従来のLGA1150ではなく、LGA1151へ変更となった。
インテル100シリーズチップセットを搭載したマザーボードが必要なため、自作する際は注意が必要となる。
従来のLGA1150とは互換性はなくなったが、CPUクーラーはLGA1150対応のものがそのまま使えるので、水冷システムなどが無駄になることがないのは有り難い点だ。
今回は、Haswell Refresh世代で、Core i7-6700同様のK型番を除くハイエンドに位置したCPUであるCore i7-4790と比較を行ってみた。
それぞれのCPUのスペックについては、以下の通りとなる。
DMIの速度が大幅に上昇しているほか、定格周波数が若干異なるのが見て取れる。
また、プロセスルールが微細化されたことでTDPも引き下げられており、Core i7-4790の84Wに対し、Core i7-6700では64Wにまで減少している。
TDPの低下はそのまま発熱量の減少に繋がっており、特にターボ・ブーストのクロック上昇は発熱によってリミットがかかってしまうため、低TDPであるということは積極的にターボブーストが効くというメリットも生じる。
パッケージおよびリテールクーラーについて
CPUのパッケージはサイズこそ従来のものとほぼ同一であるが、パッケージデザインが大幅に変わり、スキンヘッドのCGでおなじみのパッケージからかなりイメージが変更されている。
天窓からCPUが直接見えるのは従来同様である。
付属するCPUクーラーはCore i7-4790などのHaswell世代などでもよく使われている、こちらもおなじみのものだ。
ソケットはLGA1151へ変更されているが、CPUクーラーはそのままLGA1150のものが流用出来るのは前述の通りである。
外見的な違いはというと、CPUの基板が薄くなっている点だ。
基板が薄くなったため、サードパーティー製CPUクーラー装着時にCPUが損傷する旨の報告が一部のサイトで上がっているが、かなりの力で締め付けるといった無茶なことをしない限りは、特に問題無いように思える。
今回はEnermaxの一体型水冷クーラー、LIQTECH 120X ELC-LT120X-HPを使用したが、水冷ユニットをネジを使ってドライバーで締め付ける構造なので、あまり無理な力がかからないように装着している。
特に問題もなくあっさりと使えているので、大半のLGA1150クーラーがそのまま使えるだろう。
ただし、大型のクーラーの場合、どこかをぶつけたりするとCPUに大きな負荷がかかってしまう。
想定以上の負荷がCPUにかかった場合は、基板が薄いSkylakeのほうが壊れやすい、という可能性は否定できないため、出来るだけ丁寧に扱うことが必要だ。
といっても、丁寧に扱うのはSkylake以外のCPUでも同様のことが言えることなので、特段気を付けることはないといった印象だ。
レビュー用マシンの構成について
今回の検証にあたり用意したパーツは以下の通りである。
- ASRock Z170 Extreme 4
- Corsair Vengeance LPX DDR4 PC4-21300 8GBx2
- ELSA GeForce GTX 780 S.A.C 3GB
ASRock Z170 Extreme 4
最近よく使っている、ASRock製のマザーボード。
JMC Directという代理店のECサイトがあるのだが、そこでリファビッシュ品がB級品として割安で売られているので、お勧めだ。
登場したばかりのZ170マザーであるが、すでに3モデルほどリファビッシュ品が販売されていたので、その中でも定番とも言える、Extremeシリーズのスタンダードモデルをチョイスした。
PCIe 3.0接続のUltra M.2スロット、DDR4対応とSkylakeのアーキテクチャをフルに生かせる仕様となっている。
また、最新のUSB3.1もバックパネルに搭載しているので、将来的な拡張性についても問題はない。
Corsair Vengeance LPX DDR4 PC4-21300 8GBx2
自作の定番、Corsair製のメモリ。
その中でも、オーバークロックメモリとなるDDR4-2666対応のCMK16GX4M2A2666C16を組み合わせることにした。
XMP 2.0に対応するメモリだが、Z170 Extreme 4でも一発で正しく認識し、正常に動作している。
今回はDDR4-2166時のゲーム動作と比較し、DDR4-2666の効果についても検証してみよう。
ELSA GeForce GTX 780 S.A.C 3GB
以前、World of Tanksのレビュー時に頂いた品。
発熱の多いGeForce GTX780であるが、ELSA独自のS.A.C.クーラーを搭載し、3連ファンと相まってきわめて高い冷却効率を実現している。
フルロード時でもファンは比較的ゆるめの回転で、騒音が外に漏れ聞こえないのは素晴らしい点だ。
一昔前のハイエンドGPUであるが、その性能はまだまだ第一線である。
今回はCore i7-6700のポテンシャルを活かすために、こちらの製品と組み合わせて使用することにした。
ゲーミングPCとしてのCore i7-6700:内蔵GPU篇
今回は「インテル PC GAMING REVOLVER REVIEW」ということで、特にゲームに関わる点について重点的に考察を進めていきたいと思う。
内蔵GPUでヘヴィなゲームをプレーする人はいないと思うが、最近の内蔵GPUはかなりパワフルになり、カジュアルな3Dゲームであれば動いてしまう。
また、ノートPCではディスクリートGPUをあとから増設するのは不可能に近く、一部のゲーミングノート以外はCPU内蔵GPUを使うこととなる。
そういう意味でも、内蔵GPUが大幅に強化されたことは、素直に歓迎すべき点だ。
まずは、いくつかのゲームを用いて、SkylakeにおいてGPUがどれくらい強化されたか確認してみよう。
比較対象として、下記のCPUを用いることとした。
- Core i7-6700(Intel HD Graphics 530)
- Core i7-4790(Intel HD Graphics 4600)
- Core i7-5500U(Intel HD Graphics 5500)
比較対象のPCであるが、Core i7-4790にはASRockのZ97 Extreme9にCorsairのDominator DDR3-1600を組み合わせたシステムを使用している。
Core i7-5500UのテストにはLenovoのThinkPad X1 Carbonを使用した。
内蔵GPUはメインメモリの一部をビデオメモリとして使用するため、メインメモリが高速なほど、内蔵GPUの速度向上が見込める。
今回はDDR4-2666メモリを使用して、一般的なDDR4-2133と比較することとした。
: World of Tanks
まずは、大ヒット中の戦車シミュレーションゲーム、World of Tanks。
最近ではガールズパンツァーの映画第2弾が公開中ということもあって、コラボ企画も行っており、未だに魅力が衰えないタイトルだ。
ベンチマークにあたり、設定は1920×1080、プリセットは中とした。
計測の誤差を極力少なくするため、リプレイファイルを用いてゲームのフレームレートをFlapsで計測、グラフ化している。
ゲームの序盤こそ4つとも同程度のフレームレートとなっているが、ここは戦闘前のカウントダウンのシーンとなる。
戦闘開始後、Core i7-6700は20fps以上を叩き出し、ゲーム中盤では25fps前後で安定している。
これに対し、Core i7-4790および5500Uは16fps前後をさまよっており、フレームレートはほぼ一定の値となった。
平均フレームレートでは、Core i7-6700に対し7~8fpsの差を付ける結果となった。
25fps前後であれば、どうにか遊べるレベルであり、プリセットを下げれば内蔵GPUでも十分World of Tanksをプレーすることが可能だ。
逆に、Core i7-4790およびCore i7-5500Uは16~17fpsとかなり動作がカクカクしており、スムーズにゲームをするのは難しい。
解像度をかなり落とさないとゲームするのに十分な速度を得られないため、デスクトップ機であれば素直にビデオカードを購入すべきだろう。
メモリの速度による差は平均で1.1fpsであり、差はかなり小さくなっている。
内蔵GPU強化の為にOCメモリを選択するのであれば、OCメモリを買うための差額をビデオカードに振り分けたほうが、トータールの性能は上がると思われる。
: World of Warships
こちらもWargaming社の人気タイトルで、海戦をモチーフとしたシミュレーションゲームである。
WoTに比べ登場が新しいこと、海面の処理などもあり、処理はWoTよりも比較的重ためだ。
プリセット中では重たすぎるため、設定は1920×1080、プリセットは低とした。
こちらもWoT同様、リプレイファイルを用いて誤差が少なくなるようにして計測している。
グラフの上限が50fpsで張り付いているが、これは使用したモニターのDell U3415Wのリフレッシュレートが上限50Hzと認識しているためと思われる。
結果はCore i7-6700は平均48~49fpsと十分ストレスなく遊べるスコアを叩き出している。
Core i7-4790およびCore i7-5500Uは30fps前後であり、こちらもプレーには支障はないものの、Core i7-6700の半分~6割程度のスコアとなっている。
メモリの差による速度もWoT同様1フレーム弱であり、大きな差には至っていない結果となった。
: METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES
METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROESのフレームレートは、一番冒頭の基地に潜入するシーンを用いて、壁に沿って往復移動した時のフレームレートを比較している。
プリセットは全て最低とし、解像度は1920×1080とした。
なお、Core i7-5500Uは使用している機材のSSD空き容量の問題があり、計測対象外としているのでご了承いただきたい。
こちらもWoT同様、Core i7-6700は上限の50fpsにほぼ張り付いており、セッティングをもう少し高くして負荷をかけても、十分プレー可能な速度は叩き出しそうな感じだ。
これに対し、Core i7-4790は平均で31.4fps、ゲーム中は33fps前後となっており、これ以上設定を高くすると一気にフレームレートが落ちそうな状況である。
平均FPSでも、Core i7-4790の平均31.4fpsに比べ、Core i7-6700は45.8fpsと大差を付けている。
: TERA
ゲームの登場こそ2011年8月と少し古めのタイトルであるが、オンラインMMOとしての負荷は今でも上位に位置するタイトルだ。
リプレイによる比較ができないため、下小川さんのレビューを参考にさせていただき、キャラクターセレクト画面のフレームレートを比較することとした。
キャラクターセレクト画面は全てのキャラクターが動くので、負荷はかなりのものだ。
解像度は1920×1080、プリセットは最低にするとディティールが台無しになるので、かろうじてマトモに見えるプリセット1での計測とした。
Core i7-6700は平均7.6fps、Core i7-4790は6.5fpsと、どちらもゲームをプレーするにはきわめて厳しいスコアとなった。
確かに差は出ているが、これでは実質ゲームを遊ぶのは不可といえる。
いくつかのタイトルでCore i7-6700の内蔵GPUを検証してみたが、プリセットを落とせばWorld of TanksやWorld of Warships、METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROESは十分に遊べる結果となった。
ただし、最低までプリセットを落とすとかなり品質が低下してしまうので、ゲームプレーに必要なフレームレートを確保できる範囲で、プリセットを変更すると良いだろう。
Core i7-4790は上記タイトルをプレーするにはどうにかギリギリ「動く」といった感じだ。
ストレスなく遊ぶには解像度を下げるなどの対応が必要だろう。
TERAを除き、Core i7-6700では大幅にスコアが伸びており、GPUの進化を十分に感じ取れる結果となった。
省スペースPCやノートPCなど、ビデオカードを追加できない環境において、Core i7-6700で強化された内臓VGA機能は心強い。
なお、上記のゲームのキャプチャ画面は、GTX780使用時のものなのでご了承頂きたい。
Core i7-6700内蔵GPU使用時は、プリセットを大幅に下げているため、画面の描画はかなり簡易的になってしまう。
この点は内蔵GPUであることを考えるとやむを得ない点だ。
ゲーミングPCとしてのCore i7-6700:ディスクリートGPU篇
ゲーム用途でPCを使っている人の場合、多くはディスクリートGPU(増設ビデオカード)を搭載しているものと思われる。
CPU内蔵GPUが進化してきているとはいえ、やはり外付けのディスクリートGPUと比べるとその差は歴然としている。
そこで、今回はnVidiaのGeForce GTX780を用意し、ディスクリートGPU使用時のCPUによるフレームレートの差について検証してみた。
使用したのは、ELSAのGeForce GTX780搭載ビデオカード、ELSA GeForce GTX 780 S.A.Cで、GTX780を搭載、静音クーラーS.A.C.を搭載したOCモデルだ。
1世代前とはいえ、ハイエンドのディスクリートGPUを使用するため、ゲームのプリセットは全て最高の設定としている。
解像度については1920×1080と、内蔵GPU評価時と同じ解像度とした。
: World of Tanks
World of Tanksでは、Core i7-4790の95.5fpsに対し、Core i7-6700では97.6fpsと平均では2fpsの差となった。
グラフを見ると、Core i7-4790の方が微妙にフレームレートが高いところもあるが、フレームレートが落ち込む箇所での挙動はCore i7-6700のほうがブレ幅が少なく、安定しているのが解る。
箇所によっては10fps程度Core i7-6700の方が高速な場面も見受けられ、平均値以上の差があると感じた。
: World of Warships
こちらはモニターの上限60fpsにくっついたまま推移しており、CPUの違いによる明確な差は生じていない。
World of WarshipにおいてはGTX780のパワーがあればフルHD程度の解像度は余裕である。
: METAL GEAR SOLID V GROUND ZEROES
こちらのタイトルも、World of Warshipsと同様、ほぼ変化が無い状態となっている。
櫓に登っている最後のほうのシーンでは、若干Core i7-6700のほうが有利な結果となっているが、ほぼ誤差程度といったところか。
: TERA
WoWsなどとは異なり、TERAでは差が思ったよりも差が出る結果となった。
キャラセレクト画面の途中からフレームレートが上がるのだが、Core i7-6700の方がCore i7-4790と比べると2~3fpsほど高速な結果となった。
平均フレームレートでも2fpsの差が生じている。
ディスクリートGPUを組み合わせた結果を見る限り、Core i7-4790とCore i7-6700には劇的な差は確認できない結果となった。
Core i7-4790は世代的には2つ前のCPUであるが(Broadwellは影が薄いので、実質1世代前といった感じがするが)、今でも十分通用するポテンシャルを有していると言えよう。
Haswell Refreshと比べて劇的に下がった消費電力
一般的には、プロセスルールが微細化すると消費電力も下がる。
今回のCore i7-6700はHaswell Refreshの22nmと比べると14nmまでプロセスルールが微細化されている。
なお、初代Core2シリーズでは65nm、Pentium 4に至っては180nmという値である。
ちなみに、分子は大きなもので10nm程度の大きさということなので、14nmという値は大きな分子1つ程度のサイズしかないということだ。
このままプロセスルールの微細化が進むと、いずれは分子1つレベルまで小さくなっていくのだろうか。人間、恐るべし、である。
アイドル時およびWorld of WarshipおよびWorld of Tanksを内蔵GPUでプレーした際の消費電力は、以上の通りである。
なお、消費電力の測定には、サンワサプライのワットモニターを使用し、目視でのピーク値を採用している。
マザーボードが異なる(特に、Z170はスタンダードモデルなのに対し、Z97はハイエンドのExtreme 9という点には留意)こと、メモリもZ97は4GB×4枚構成なので不利となってしまっているが、その点を考慮しても大幅な消費電力の差となった。
ゲームプレー時には30W近い差が生じており、Core i7-6700の優秀さが光る結果となっている。
また、アイドル時でも10W以上の消費電力の差が生じており、メモリ分の3~4W程度を差し引いても無視できない数値となっている。
消費電力が下がっている分、CPUの発熱も低くなっていると思われる。
そこで、Core i7-6700とCore i7-4790の発熱をOCCTで測定した結果が、以下のグラフだ。
なお、CPUクーラーはEnermaxのLIQTECH 120X ELC-LT120X-HPを使用した。
マザーボードが異なるためファンの制御方法も異なるが、今回は一般的な使用時を想定し、ファン制御をStandard設定にして測定を行っている。
: Core i7-4790
中心が50℃程度、ピークで56℃を記録している。
一時はTIMペーストの性能の悪さからダブルグリスバーガーとまで言われた時期もあったが、Haswell RefreshではTIMペーストも改善され、かなり状況は改善している。
これくらいの温度であれば、常用に際してまったく問題無いと言えよう。
: Core i7-6700
こちらはCore i7-6700の結果であるが、温度は劇的に減少し、中心が42℃程度、ピークでも45℃と非常に優秀な値となっている。
これくらい冷えるのであれば、カジュアルOC程度であれば殻割りによる冷却改善はほぼ不要と思われる。
14nmに微細化したプロセスルールの実力が発揮された形だ。
ゲーミング用途に死角無し。文句なくお勧めなSkylake CPU
いくつかのゲームを用いてCore i7-6700の検証を行ったが、驚いたのは今までCPU内蔵VGA機能ではゲームプレーが難しかったタイトルでも、プリセットを下げればそれなりに遊べてしまう点だ。
デスクトップのタワーケースであればディスクリートGPUの増設も可能だが、小型ケース、NUCあるいはノートPCでは難しい場合もあり、そういった場合に内蔵GPUの強化はとても有り難い。
ディスクリートGPUとの組み合わせでは、Core i7-4790に対し買い換えを行うほどの速度差は確認出来なかったが、新規にPCを組む場合のCPUとして捉えた場合、Core i7-4790に比べて消費電力の差や発熱の少なさは大きなメリットとなる。
DDR4となったことでプラットフォーム総入れ替えとなるSkylakeであるが、新規にPCを組み立てる場合には、とてもお勧めのCPUであると感じた。
私も、現在Core i7-4960Xのシステムを使っているが、M.2 SSDの高速さ、省エネっぷりを考えると、本気でCore i7-6700マシンをメインにしようかと悩んでいるくらいだ。
もっとも、私のメインマシンの場合、15KのSAS HDDを6台入れている関係で、アイドル時で250Wを越えるという点が最大のネックなのだが…
SKY OCで遊んでみよう
先日、ASRockから“K”型番ではないSkylake CPUでもBCLKによるオーバークロックを実現するASRock SKY OC Technologyがリリースされた。
他社のマザーボードでも、BCLKの設定変更によるオーバークロックは可能だが、SKY OCは150%を越えるBCLKの大幅上昇が可能なようで、K型番ではないCPUであっても、手軽にオーバークロックで遊ぶことが可能だ。
今回用意したZ170 Extreme 4も対応リストに載っていたので、早速SKY OC対応BIOSに入れ替えて、遊んでみようと思う。
まずは、SKY OC対応のBIOSをダウンロードして更新しよう。
SKY OC対応のBIOSは正規リリースではなく、BETAのところにあるので要注意だ。
下記のリンクから対応マザーを探すと簡単に見つけられるだろう。
http://www.asrock.com/news/events/SkyOC/
現時点での対応マザーボードは以下の通りだ。
SKY OC対応のBIOSにアップグレードしても、UEFIの画面にはSKY OCなる項目は出てこない。
従来通り、BCLKの設定を変更するだけだ。
上記のように、BCLK Frequencyの項目で、おもむろに数値を上げてみよう。
今回は120%に設定を行ってみた。
SKY OC使用時には
・内蔵VGAが使用出来ない
・intel Speedstepテクノロジーが使用不可(最高倍率固定)
という制限が発生するので注意が必要だ。
設定を行い、起動したところあっさりと起動してしまった。
その際のCPU-Zの画面は以下の通りだ。
Bus Speedが120MHzとなっているのがお分かりだろうか。
クロックは120×34の4080MHzで固定となってしまっている。
オーバークロック時に、ゲームでどれくらいの速度差が発生するか計測したのが、下記のグラフである。
World of Tanksを用いて比較を行ったところ、平均fpsで約6%の上昇が認められた。
3440x1440ドット程度の解像度でGTX970を使っている分には大差が無いが、たとえば4Kディスプレイを使っている、あるいはビデオカードがミドルクラスでフレームレートが厳しい場合などは、SKY OCによる性能向上は無視できない値となると思われる。
Core i7-6700Kだと4.5GHzを越えるオーバークロックの報告も多数上がっており、Core i7-6700でも4080MHz以上のクロックでの動作も可能だと思うのだが、Z170 Extreme4ではこれ以上の設定は起動が出来ない状況となった。
たとえば、BCLKを133MHzに設定すると、再起動後POSTコードが04のままフリーズしてしまう。
04はメモリ周りのトラブルなのだが、OC失敗で再起動し、そのときのBIOSの設定を確認してみたところ、メモリがDDR4-2800を越える設定となっていた。
今回使用しているメモリはDDR4-2666のため、メモリの大幅なオーバークロックによってフリーズしているものと思われる。
メモリの設定を手動にして、たとえばDDR4-2166設定にしてみても、POSTコード04でフリーズ→再起動するとメモリがDDR4-2800になっている状況は毎回同じ為、このメモリでは正常に動作が出来ていないものと思われる。
また、Windowsを起動してユーティリティからBCLKを変更するとフリーズし、再起動をするとPOSTコード00のまま全く動かない状態となってしまった。
電源を切っても、コンセントを抜いてもPOSTコードが00のままで、CMOSをクリアしてやっと復帰する状態だった。
今のところ、BCLK120MHz以外での動作は出来ていない状態だが、SKY OC対応BIOSはリリースされた直後であり、今後安定してくるようにも思う。
Intel Speedstepテクノロジが使えなくなるのは大きなデメリットだが、K型番ではないCPUでも大幅なオーバークロックが可能なのは、とてもASRockらしいユニークな機能だ。
BIOSのバージョンが上がったら、再度オーバークロックにチャレンジしてみたいと思う。
下小川さん
2015/12/20
TERAって意外とCPUの影響大きいみたいですね。自分も同じようなクロックのIvyとBroadwellでTERAだけ随分差が出ちゃったんで不思議だったんですが、ちょっと安心しました。
ちょもさん
2015/12/21
TERA、他のゲームと比べても結構厳しいですね…かといって、プリセット最低だと見た目激変しますからね。
グラフを見ても途中でフレームレート激変してるので、見た目以上に負荷が変わっているみたいです。
しかし、久々に起動しましたが、いつの間にかジョブ増えてるんですね…