「ポスト・イット」や、事務用のり・粘着テープの「スコッチ」で有名な3Mさんから、「秒速封かんのり」を送っていただきました。ギリギリレビューをさせていただきます、どうぞしばらくお付き合いください!
1.(概要)のりの種類と特徴など
まずは「のり」について。
・のり=接着剤は、物と物をつなぐ(接着)ために使われる物質
・広くは工業材料の接着剤をも意味、狭くは事務用・学童用などの用途の紙用接着剤
・昔は、のりといえばでんぷんのり、今はポリビニルアルコール(PVA)などの合成樹脂などが主流
紙用ののりは、でんぷんのり・液状のり・スティックのり・スプレーのり・テープのり などがあり、秒速封かんのりは、この中の液状のりに分類されます。
※上記リンク先は武蔵野美術大学の「MAU 造形ファイル アートとデザインの素材・道具・技法」です。説明が詳しいので、良ければ読んでみてください~。
でんぷんのりは、子どもの頃工作でよく使いましたね。可愛いプラ容器のモノに、直接手をいれて紙にだし、のばして使っていました。大人になってからは、事務用には液状のりかスティックのり、テープのり、展示品作成にはスプレーのりを使っていました。私には、
■でんぷんのり:エコだけれど手が汚れる、塗りにくい
■液状のり:なめらかで塗りやすいけれども、水分が多く、紙が波打つ
■スティックのり:紙は波打たないけれども、糸を引くねばねば感が塗りにくく、すぐ手について汚れやすい
■テープのり:まっすぐな部分は塗りやすいけれど、細かい形や、広い面積には向かない、すぐなくなるので費用がかかる
■スプレーのり:広い大きな紙をぴんと貼りやすいが、耐久力があまりない、価格が高い
と言ったイメージがあります。あくまで、その使っていたころのイメージなので、他の人がどうが、そして今でもその通りかどうかはわかりませんが…。
簡単に表にしてみました。
秒速封かんのりは、この中ではどのあたりに入るのでしょうか。
その辺も見ていきたいと思います。
2.(外観)封かんのりの実力!
「ぬって押さえ1秒強力封かん!」がキャッチフレーズの封かんのり。
まずはとにかく使ってみましょう。
外観など
のりの先は三角+ぎざぎざと言う感じです。
本体をギュッと押すと、のりが出てきます。このギザギザでうまく乗せやすい感じ。
説明書には「少量ののりを出す ☝薄塗りがポイント」と書いています。出し過ぎると接着に時間がかかったり、手に付いたりするそう。
気持ち押して、ギザギザに出たのりをスーッと引くくらいで良さげ。
出しすぎたり、力を入れるとやはりカスが出ますねー。
のりの成分は、アクリル樹脂だそうです。アクリル樹脂を使った接着剤は、常温で圧力をかけることにより接着するのだそうで、粘着テープやシールの材料にもなっています。テープのりの素材も、アクリル樹脂が多いみたいですね。
封かんくらべ
どのくらい強力なのか、他の良くある「のり」と比べてみました。
キャッチフレーズ通り、素早くピタリとくっつくのでしょうか。
比べたのりは、コクヨの「プリット スティックのり」、ヤマトの「アラビックヤマト」、コーナンのプライベートブランド、LIFELEXの「テープのり 格子タイプ」です。
コーナンのはたまたま目についたので買ってみたのですが、後の2つは事務用品としてはおなじみのものですね。
のりの主成分は、アラビックヤマトが「PVAL(ポリビニルアルコール)」、LIFENEXは書いてないので良くわかりませんが、テープのりなので「アクリル樹脂」でしょうか。プリットが「多糖類変性物配合」、バイオマスマークはついていますが、10%未満のしるしなので植物性由来の成分入りの「ポリビニルピロリドン(PVP)などの合成樹脂+脂肪酸ナトリウム+グリコール類」と言ったところだと思います。
ちなみに、アラビックヤマト=液体のりは、水分が蒸発することにより接着、プリット=固形のりは塗るときの力によって粘性が生まれ、それにより接着します。LIFENEX=テープのりは圧による接着です。
イチバン我が家で使うであろう「茶封筒を封かんしたところ」を動画で撮ってみました。
手元で作業しながら撮るのは難しいですね。 手タレが欲しいです…(´;ェ;`)
(手が手荒れでヒドイのはあまり見ないでください…)
封かんのりは、一塗りでしっかりくっついていますね。また、他ののりに比べ、かなりの速乾性でした。
ためしに、動画撮影時に一度はがした茶封筒を、もう一度のりを塗って貼り付けし、30分くらい置き、その後無理やりひらいてみました。
封かんのり、アラビックヤマトは封筒が破れてしまいました。プリットとLIFELEXは、開いた跡は残りますが、それでも破れずに開くことができました。
プリット・LIFELEXは時間がたっても、はがそうと思えばいくらでもはがせる感じなので、重要書類の入った封筒には向かなさそうですね。アラビックヤマトは、乾かす時間さえとれれば、一番はがれないと思います。封かんのりは、この中では 速乾性・粘着性ともに抜群 だと思いました。
圧で接着しますが、乾くとさらに接着が強くなっているようです。
3.(使用感)強力かつ、素早く完成。そして経済的。
秒速封かんのりを使ってみて
秒速封かんのりは、テープのりのような「すぐにつく」粘性 と、液体のりのような「しっかりつく」強力さを兼ね備えている気がしました。
サッとぬって、ギュッと押すだけで簡単に紙が貼りつくのは、かなりの快感です。
これは、スピードが要求される作業に使いたい!
《接着できる素材》 としては、
●水のしみ込む乾く素材 ●画用紙 ●コピー用紙 ●ダンボール ●布 ●麻ひも
《接着できない素材》 としては、
×水のしみ込まない素材 ×フィルム素材 ×乾かせない素材
×表面加工(PP加工)された紙や布 ×プラスチック ×ゴム ×ガラス ×金属やスチール
だそうです。封かんはもちろんのこと、領収書貼りと言った事務作業、ペーパークラフトなどの紙工作、いろいろな用途に使えそうです!
価格を比較してみる
ちなみに、公式サイトでは「長4封筒なら約800枚、角2封筒なら約330枚封かんできます!」とのことなので、ちょっと計算してみました。
長4封筒は9cm 9cm×800枚=7200cm=1本で72m
角2封筒は24cm 24cm×330枚=7920cm=1本で79.2m
差があるのは、1回ずつキャップを開くごとに乾くため…とかあるんでしょうか。
秒速封かんのりは、@400(+税)なので、1cmあたり0.05円~0.06円です。
長4封筒=9cm=0.5円、角2封筒=24cm=1.2円 です。
実験をしたLIFELEXのテープのりと比べてみます。
LIFELEXのテープのりは6m巻で、@238(+税)、1cmにつき約0.4円になります。
長4封筒=9cm=3.6円、角2封筒=24cm=9.5円 です。
秒速封かんのりに比べると7~8倍のコストがかかりますね…。
秒速封かんのりのコスパを超えるには、
長4封筒1枚あたり0.5円、角2封筒1枚あたり1.2円 または
0.05~0.06円/cm
を目指してください~。
4.(限界)ペーパークラフト作成チャレンジ
さて、ギリギリチャレンジのお時間です…。
今回、私が応募したお題は
■ペーパークラフト作成(ノリを貼って組み立てる部分)の秒数を、普通のノリと秒速封かんのりでつけ比べします。
■いかにたくさんの作品を1本で作れるかの限界にもチャレンジできればしたい
の2つです。
ではでは、早速チャレンジなのです(゜ロ゜)/オォー
水晶雫ちゃん組立勝負
まずは「ペーパークラフト作成の秒数を、普通のノリと秒速封かんのりでつけ比べ」です。
作成したのは、最近公開された「水晶雫グラフィグ1.0」です。
Crystal Dew World の公式応援キャラクター水晶雫ちゃんがグラフィグに!
とっても可愛いく、娘が欲しがったので、私の分と2つ作ることにしました。
(秒数を入れ込んで作成した動画がうまくYoutubeに上がってくれません… 動画上で詳しい数字は見れませんが雰囲気だけ見てください…)
2回作ると、確実に作り慣れるので、各パーツごとにプリット→秒速封かんのり、秒速封かんのり→プリットと交互に作りました。
思った以上に、封かんのりでの作成に手間取っています。もっと差が付くかなぁと思っていたのですが…。おそらくプリットの方が日常で使い慣れていて、のりのつけ具合がうまくいっているでしょうね。 あとは
・秒速封かんのりを塗りすぎている
・秒速封かんのりが速乾過ぎ て、塗る→すぐ貼る ができないと、のりが乾いてしまい、つかない
・ペーパークラフト自体の作り方の慣れ
と言ったところでしょうか。
作った順に、秒数を書き出してみます。
1あたま プリット(1分10秒)→ 封かんのり(1分2秒)
2からだ 封かんのり(1分50秒)→ プリット(1分11秒)
3あし プリット(55秒)→ 封かんのり(45秒)
5かみ 封かんのり(1分33秒)→ プリット(1分19秒)
6かみかざり プリット(32秒)→ 封かんのり(22秒)
7がらすまり 封かんのり(25秒)→ プリット(17秒)
くみたて プリット(41秒) → 封かんのり(44秒)
あとから作ったほうの方が、うまくなってスピードが上がっていますね…。
総時間は、プリットが約6分5秒、封かんのりが約6分41秒。
プリットの方が勝ってしまいました\(^o^)/
「2からだ」で、塗ったはずののりが乾いてしまって、もう一度つけ直したのが敗因だと思います。
ちなみに、ペーパークラフト作成後、3日ぐらい経ってから触ってみると、封かんのりの水晶雫ちゃんの「3あし」はしっかり張り付いていましたが、プリットの方はカンタンに外れてしまいました。
のりの塗り具合さえ慣れてしまえば、もう少し早く作れると思うので、「しっかり、強力に貼り付けられる」と言う意味では、ペーパークラフト作成にも向いている!と言っていいと思います。
それにしても水晶雫ちゃんは可愛いなぁ~
ペパクラ数勝負
次は、 「いかにたくさんの作品を1本で作れるかの限界」へのチャレンジです。
内容量は20gとのことですが、さていくつ作れるのでしょうか。
ペーパークラフトを作成した用紙は、サンワサプライの「つやなしの厚紙 A4 JP-AGA4」。0.22mmの厚み(官製はがきと同じ厚さ)で、しっかりコシがあり、カラーも美しくでます。クラフトに最適な紙です。
上記の水晶雫ちゃんも、この紙で作成しました。
では印刷をして、どんどん作っていきますYo~。
(1) エルサの3Dペーパークラフト(ディズニーキッズ):1p
さすがに1pでは減りませんね!
(2) Let's OBENTO お弁当(キリン びばれっじキッズ):13p
量が多かったので、-2g
(娘のおままごと行きです…)
(3) キッチンツール(キリン びばれっじキッズ):19p
貼る部分が多かったので-3g。
(これもおままごと行き…)
(4) ドールハウス 和風書斎(サンワサプライ PAPER MUSEUM):14p
壁など面積が多いものが沢山だったので、結構減りました。-4g。
ようやく折り返し地点…
いまさらですが「秒速封かんのり」でペーパークラフトを作る際のポイントが分かってきました。
・のりをつけた後、小さいものはピンセットで押さえると少々はみ出しても汚れない
・のりをつけた後、大きいものは さし などで押さえると、やはり指につかずに汚れない
半分くらいに減った後は、本体にかなり力を入れて押さないと、液体のりがちゃんと出なくなってきました…。減った後は、これが安定の持ち方
かなりぎゅーっと押します…
キャップのわきに見えてるのは、キャップ内につまっていた液体のりのカスです。ガンガン使っていたら、木工用ボンドのように、奥に残り、固まったようです。
(けっこうでかいですね…)
(5) ドールハウス ベルサイユの家(サンワサプライ PAPER MUSEUM):16p
こちらは、上記「和風書斎」より貼るところが少なかったので-3g。
(どの辺がベルサイユ風なのかはいまいちわからず…ベルサイユならもっと派手派手しい装飾がないと… これはパリのアパルトマン風じゃないかしら)
(6) ドールハウス パン屋さん(サンワサプライ PAPER MUSEUM):14p
作成前に何故か-1g…。また、「のりのカス」を取り除いたからでしょうか。
作成前→後では-3g。小物が多いと面倒くさい割に減りませんw
そういえば、このパン屋さんを作成した日は、気温が31℃以上だったのですが、クラフトを貼ろうとしてふたを開けた瞬間に、のりがブブブーとたくさん出てきて困りました。
中の空気が暖められて膨張したのかもしれません。本体を押さなくとも、床に水滴のように、何度かポトポトと垂れてしまいました。高温の場所では使いにくいと思います。
(7) ドールハウス お菓子の家(サンワサプライ PAPER MUSEUM):19p
そろそろやばい…と思っていたら、組み立てを終える前にのりが終了です\(^o^)/
13pは貼れましたが…。
《数勝負結果》
(↑エルサと水晶雫ちゃん入れ忘れた~)
・作れた作品数は、7+α
《水晶雫ちゃん、エルサ、お弁当、キッチンツール、和風書斎、ベルサイユ、パン屋、お菓子の家》
・貼れたクラフト用紙は 2+1+13+19+14+16+14+13= 92p
ちなみに、水晶雫ちゃんのもう1体2pと、のりが足らず組み立られなかった6pを合わせると、使った用紙は丁度100枚でした!
・31g→12g、内容量20g
最初の封かん実験や、水晶雫ちゃん組立の前に計測していなかったので、おそらくそこで1g使っています。内容量は20gで間違いないと思います。
5.(外観)使用後ののりの様子
中身が空っぽになった封かんのりを撮影してみました。
シールはもう面影だけ…
ヘッドのギザギザも摩耗してしまいました。
くぼみにヘッドの凸がはめてあり、方向がずれないようになっています。
中はちゃんと空っぽですね~。
フタにまたカスが溜まっていたので、ほじってみました。
右に写っているのは前のカス…。
乾ききると、白色からちょっとクリアになるんですね~。
ちなみにカスは全部で1gです…。
6.(総評)速乾性は抜群
「ぬっておさえ1秒強力封かん ※当社比従来の3倍」のうたい文句は、全く間違っていませんでした。 サッとぬって、ギュッと押すだけで簡単に紙が貼りつきます。
とはいうものの、うす塗りが大前提で、そのうす塗りに慣れるのが難しいかもしれません。
良かった点 ◎
◎速乾性
なによりこれにつきますね。
ペーパークラフトを作ってる端から、娘が遊びたがって「貸して貸して~」となっていても、すぐにつくので、壊れる心配が少なくて助かりました。
ペーパークラフトをサッサと組み上げたい、せっかちな人には、かなりおススメです。
瞬間接着剤、とまでは言いませんが、それに近い感覚で作れました。
改善してほしい点 △
△細いヘッドも欲しい
今回私は、ペーパークラフトを大量に作りました。その際、大きい部品は問題ないのですが、細かいモノは毎度のりがはみ出して汚れてしまいました。
細くしすぎると、「のりが詰まってしまう」などの別の困った点が出てくるかもしれませんが、少量ずつ出せるヘッドもあるとイイナ~と思いました。
その他
■目詰まり
私は延々使いまくっていたので、目詰まりは全くなかったのです。しかし、キャップの中でのりが固まっていたので、それが目詰まりの原因になるかもしれません。
たまにしか使わない→キャップ内ののりが固まる→詰まる という感じですかね~。
乾きやすいのりであることは事実なので、長期保存には向きません。
「封かんなどを大量に素早く仕上げる必要があるときに買う」だけにして、溜めこまないほうが良いと思います。(使い切る気持ちで…)
■うす塗り
うす塗りは、熟練度を上げないとかなり難しいです。内容量が半分ぐらいまでは良く出るので、それで厚塗りになりやすいですし、半分以下になると、出にくくて押しすぎてしまい、また厚塗りになってしまいます。スティックの持ちにくさもあるかもしれません。私の指の力では、なかなか丁度良いところにたどり着けませんでした。もう何本か練習しないと厳しそうです。
■他ののり、テープのりなどとの比較
最初の表をまとめ直してみました。
私の中では、秒速封かんのりは
塗りやすさ・手軽さ・紙の状態・耐久度など=液体のり
乾きやすさ=テープのり
価格は 液体のり < 秒速封かんのり < テープ
と言った感じの評価になりました。
それぞれの良いところをあわせ持つ《のり》ではないでしょうか。
おまけ(と言う名の蛇足)
作りきれなかった「おかしの家」を、テープのりで仕上げてみました。
秒速封かんのりを買いたかったのですが、さすがに近所のダイエーでは売っていなかったので、外見が似ていて持ちやすそうな コクヨ「ドットライナー ノック(つめ替え用)」にて…
私が上で作成した「お弁当」と「キッチンツール」の型紙は、坂啓典さんと言う方が原形を作ったのですが、その方が「ドットライナーでペーパークラフト作成」体験をしていたのでまあきっと不可能ではないだろうと…
ちなみに、店頭価格で@313+税でした。8m入りなので、1cmあたり0.39円です。
封かんするなら長4封筒は9cm=3.5円、角2封筒は24cm=9.36円となり、やはり封かんのりの7~9倍のコストがかかります…汗
その名のとおり、ドットなテープのりです
曲線はむずかしいかな~
結局はみ出してざっくり塗りました
経済的ではないですね(´;ェ;`)
こまごました小物が完成です~。
ノック式で手軽に貼れるのと、手に付きにくいので、作成には便利ですね。
しかし、このクッキーやらチョコやらを屋根に貼り付けようとしたら、粘着力が足らずに屋根から全部滑り落ちていきました…。ムムム。
やはりもう一本、秒速封かんのりを手に入れて貼り付けたい と思います。
長々と読んでいただきありがとうございまいした♪
atsuo@tokyoさん
2015/07/13
完成作品は娘さんのおままごとに使えるにしても、ご苦労様です(^^;
ふじしろ♪さん
2015/07/13
ドールハウスシリーズも、作った先から見事に娘のおもちゃになっておりますw
貼って組み立てるのは問題ないのですが、ペーパークラフトを切り抜くのがかなり疲れますね~。終わったころにはハサミだこ(?)ができそうです。
れいんさん
2015/07/14
ふじしろ♪さん
2015/07/14
まだ1軒にしか住んでませんw
この子たちも住まわせてあげないとね~