スマートフォンが普及するにつれて、Bluetoothで接続するスピーカーの人気が高まってきているという。
記憶媒体の大容量化、音楽のデジタル化が進み、スマートフォンで大量の音源を一括管理することができるようになった。
スマートフォンに全ての音源を入れて、外出中にヘッドフォンで聴いている人も多いことだろう。
外出中にヘッドフォンで聴いていれば、自宅では大音量で迫力ある音楽を楽しみたいものだ。
しかし、スマートフォンの内蔵スピーカーは貧弱で、満足できるだけの音質、音量を得ることは難しい。
そこで、非力な内蔵スピーカーの代替として、Bluetoothに対応したワイヤレススピーカーが注目を集めているということなのだ。
Bluetoothスピーカーの市場を見てみると、1万円以内の小型な製品が主流となっている。
最近では、数万円と高価ではあるが、高音質なハイエンドモデルが徐々に人気を集めてきているという。
それらの製品に共通しているのが、左右一体型のモバイル性を重視した小型スピーカーであるという点である。
そのような状況にあって、2014年1月にEDIFIER(エディファイアー)社から発売されたのが、2chの据え置きタイプのBluetoothスピーカー“Luna Eclipse”である。
EDIFIER社は1996年の創設以来、ハイエンドオーディオ製品をアメリカ、南米、ヨーロッパ、中東、アジア・パシフィックなどで展開しているオーディオメーカーである。
先駆的なデザインを特徴とするBluetooth対応スピーカーを、Edifier Imageというシリーズ名で世に送り出している。
今回ご紹介する“Luna Eclipse”は、そのEdifier Imageシリーズの1つであり、独特なデザインを大きな特徴としている。
Luna Eclipseの大きな特徴は、月食(Luna Eclipse)をモチーフにしたスタイリッシュなデザインである。
その外観からは、モダンなインテリアにも溶け込みそうなスマートな印象を受ける。
スマートさを感じさせるラウンドフォルム。
三日月を思わせるような独特な外観。
奥行きは20cm程度あるので、正面からの受ける印象とは異なり、重厚感がある。
各種操作は側面にあるタッチセンサーから行う。
「電源マーク」、「+」、「-」のマークしか見受けられないが、電源のオン・オフ、音量の増減以外にも、押し方によって、曲の再生や一時停止、曲飛ばし、曲戻しなどの操作が可能だ。
手のひらサイズのリモコンも付属している。
なお、リモコンからの操作は、電源のオン・オフ、音量の増減に限定されている。
背面部には、3.5mmステレオ入力端子、ACアダプター接続用端子、スピーカー接続用端子。
その他の付属品としては、ACアダプター、電源ケーブル、スピーカー接続用ケーブル、3.5mmステレオミニプラグケーブル、クロス、取扱説明書。
スピーカー接続用ケーブルは、6ピンタイプの専用品である。
ケーブル長が約290cmあるので、自由なサウンドレイアウトを楽しむことができる。
スピーカーは、高音域を出力する直径19mmのシルクドーム型ツィーターと、中低音域を出力する直径82mmバスドライバー。
合計最大出力は74Wと高出力。Bluetoothスピーカーの中では本格的な仕様である。
本体後方の切れ目を覗き込むと、上下にパッシブラジエーターがある。
重低音を出力するサブウーハー的な役割を担う。
いくつかのデバイスを使ってLuna Eclipseの実力を検証してみた。
■スマートフォン
Android端末の GALAXY S III α にてロック、ジャス、テクノなど複数ジャンルの音源を聴き比べてみた。
音楽プレイヤーには、多機能で知られている Poweramp Music Player を選択した。
音質について感想を述べる前に、まずは設定の件に触れておこう。
Bluetooth機器では、最初にペアリングという設定を行わなければならない。
ペアリングとは、Bluetoothで通信を行う機器同士を関連付ける作業のことをいう。
特別な知識は不要なので、誰でも簡単に設定できるだろう。
スピーカーの電源を入れ、スマートフォンのBluetooth設定をONにする。
そうすると、接続可能な端末の欄に「EDIFIRE Luna Eclipse」と表示されるので、タップすればペアリング完了だ。
一度ペアリングしてしまえば、次回からは登録済みデバイスの欄に表示される機器名をタップすれば接続される。
Bluetooth通信が確立されると、スピーカー下部にあるLEDランプの色が赤から青へ切り替わる。
また、音声でも通信開始を知らせてくれるので、とても分かりやすい。
さて、肝心の音質だが、Bluetooth接続といえども侮れないサウンドであった。
音全体が前に出てくる感覚のあるクリアな音質で聴きやすい。
ステレオ感のある音場は、モバイル性を重視した小型スピーカーでは出せないだろう。
Bluetoothでもこのレベルの音質が得られるのかと関心してしまった。
音のバランスはというと、低音域がかなり効いている。ベース、バスドラムの存在感が強い。
設置面に重低音が響くので、天板が厚めの机などに設置すると締まった音になるだろう。
その一方で、ピアノやシンバル、トランペットなどの高音域の抜けが今一つな印象だ。
イコライザで少し低音域を絞ると音がバランスするのではと思う。
ワイヤレス接続時ということで、心配されるのは動作遅延や音飛びであるが、動作遅延は特に気にならなかったが、稀に音飛びすることがあった。
とはいっても、頻発した訳ではないので、気にする程のことでもないだろう。
次に3.5mmステレオミニプラグで接続して、同一音源を聴いてみた。
Bluetooth接続時との違いは、音の輪郭がはっきりとして全体的に厚みのある音になり、音のバランスが良くなった。
Bluetooth接続時には失われていた中音域が補完された印象だ。
■ノートパソコン
次にノートパソコン ViP Note CL6X1W8-N67MX でオンラインゲーム The Elder Scrolls Online をプレイしてみた。
ノートパソコンの横に設置して感じたことは、奥行き20cmもある割りには持て余すこともなく、PC周りがすっきりとしているということだ。
ラウンドフォルムにはデザイン性のみではなく、視覚的な圧迫感を軽減するさせる効果もあるのだろう。
さて、使用感だが、サラウンド効果を高めるソフトが入っているとはいえ、小口径のスピーカーしか搭載していないノートPCの音質とでは比べるまでもないだろう。
断然に臨場感が増して、ゲームの世界への没入感が強まった。
ただ、ハードディスクにアクセスが集中した時に、数秒間に渡って断続的に音飛びが生じた点が気になった。
低スペックPCで高負荷のゲームをすると音飛びが頻発するかもしれない。
■Androidタブレット
Google PlayでレンタルしたHD動画をAndroidタブレット KALOS を使って視聴してみた。
フルHDに対応した10インチタブレットで高画質の動画を楽しむ。
Luna Eclipseと組み合わせて音質アップを図れば、視聴環境がより充実するというものだ。
視聴中には映像と音声がずれたり、音が途切れるようなこともなく、動画視聴に集中することができた。
音楽を聴くのではなく、何かをしながらBGM感覚で聞くという使い方も良いだろう。
例えば、リビングでインターネットしながら、キッチンでレシピを確認しながら。
そのような使い方に相応しいのが、インターネットラジオだろう。
様々な音楽ジャンルを楽しみたい人には、SHOUTcast Radioをお勧めしたい。
SHOUTcast Radioとは、世界中のインターネットラジオ放送を無料で聴けるサービスだ。
現在、登録されているラジオ局は約50,000局。
メジャーな放送局ではなく、個人や小規模な団体が運営しているアマチュアのラジオ局が中心となっている。
Android端末でSHOUTcast Radioを聞くことができるアプリといえば、“XiiaLive”が良いだろう。
20種類以上にジャンル分けされた放送局から選局することができる。
普段から聞き慣れているラジオが聞きたければ、“radiko”が最適だろう。
■テレビ
薄型化が進むテレビは、スピーカーのスペースの確保が難しく、スピーカーは小型化され、音質は低下しがちである。
我が家のリビングにあるテレビも薄型化の影響を受けている。
スピーカーが背面に設置されているため、音が聞き取りにくく、画面サイズと音質のバランスの悪さを感じていた。
Luna Eclipseに付属しているケーブルは長めに作られている。
これは大型テレビとの接続も考慮してのことなのだろう。
テレビとの接続は、3.5mmステレオミニプラグケーブルをテレビ側のイアホン端子に差し込むだけでいい。
すっきりと聞きやすい音質になり、画面サイズと音質のバランスの悪さを解消することができた。
ノートPCの横に設置しても圧迫感を感じさせない形状は素晴らしい。
リビングにも馴染むデザインである。
複数のBluetooth機器とのペアリングを記憶できるマルチペアリング機能を搭載している。
マルチペアリングに対応しているので、複数の機器間でスムーズに通信先を切り替えることができる。
1つのスピーカーを、スマートフォン、タブレット、PCなどの複数のデバイスで共有すれば、用途に応じて使い分けることも可能である。
なお、マルチペアリングに関しては、取扱説明書などには明記されていない。
そのため、最大記憶数は不明だが、手持ちの機器で試したところ、最低でも6台までは記憶可能であった。
高出力であるため、リビングのようにある程度の広さのある空間でも十分な音量を得ることができる。
音量を上げれば、10m程度離れていても問題ないと感じられた。
また、音量を上げた時でも、低音域が割れることもなく、スピーカーとしての基本性能もしっかりとしている。
スピーカー接続用ケーブルの長さが290cmもあるので、左右のスピーカーの距離を広く取れば、より広い音場を確保することができる。
ワイヤレススピーカーと一般的な2chスピーカーの双方の利点を活かしながら、自由なサウンドレイアウトが可能である。
Luna Eclipseを一言で表すのであれば、上記の一言で表現しよう。
“Luna Eclipse”を実際に使ってみた感想としては、これだけのハイパワーなスピーカーであれば、狭いスペースで使うというよりも、リビングのように広い部屋で、大音量で音楽を響かせながら聴くといった使い方が相応しいだろう。
スピーカーをデバイスに繋ぐのではなく、デバイスをスピーカーに繋ぐという感覚。
Luna Eclipseを中心にして、スマートフォンやタブレット、ノートPCといったデバイスを用途に応じて繋ぐのだ。
その独特の形状は、いわゆるスピーカーというよりも、インテリアに近いデザインであるので、リビングにも馴染みやすいだろう。
Bluetoothスピーカーといって侮ってはいけない。
Luna Eclipseは、日常生活におけるオーディオライフを豊かなものにする力を秘めているのだ。
きりん太さん
2014/04/08
リビングにおいたら、めっちゃおしゃれでいいですよね!
yachさん
2014/04/10
丸みのある外観がスピーカーらしくなくて、ちょっとしたインテリアっぽくて良いですよ。