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PS4がゲーマーにもたらすものとは?

Sony Computer Entertainmenから、新型のコンシューマ機“PlayStation 4”(以下、PS4)が2月22日に発売された。
PlayStationシリーズとしては、2006年11月に発売されたPlayStation 3(以下、PS3)以来、実に7年ぶりの新型機である。

 

今回は、ZIGSOWからこの最新ゲーム機とIntel SSD 730を組み合わせたレビュー依頼をいただいた。
既に公開済みのIntel SSD 730のレビューでは、SSDへの換装手順と換装によって得られた効果を報告している。
換装により一定のパフォーマンス向上が見られたので、興味のある方はそちらも合わせてご覧いただききたい。

 

 

さて、ゲームといえば主にPCでプレイしている私としては、コンシューマ機に触れるのはPlayStation2以来、おそらく10年振りくらいのことになる。
そういうこともあり、次世代機といわれているPS4がどのようなゲーム機なのか非常に興味がある。
また、PCゲーマーとしては、ゲーミングPCとの違いも気になるところだ。
よって、PS4が次世代機といわれる理由やゲーミングPCとの比較を交えながらレビューしていこうと考えている。

 

直線を基調とするシャープでエッジの効いたフォルム。
ゲーム機には似つかわしくない洗練されたデザインだ。

 

 

 

前面には、ディスク挿入口、USB 3.0ポート×2、電源ボタン、イジェクトボタンが配置されている。

 

 

ディスクドライブはスロットイン式、ボタン類はタッチセンサーになっている。
デザインに溶け込んでいるので、最初はその存在に気付かないだろう。

 

 

青色の端子ではないが、USB 3.0に対応している。

 

 

背面には、大量の排気口と複数の端子類がある。

 

 

上段左から、光角形のデジタルサウンド出力端子、HDMI端子、1000BASE-T LAN端子、AUX端子。AUX端子は、別売りのPlayStation Cameraで用いる。

下段にはACケーブル端子。

 

 

付属品は以下のとおり。
ワイヤレスコントローラー(DUALSHOCKR4) 、モノラルヘッドセット、電源コード 、HDMIケーブル、USBケーブル、取扱説明書。

 

 

丸みを帯びたグリップ部は手にしっくりと馴染んで握りやすく、ボタンは押し心地、配置ともに良い。
さすがに老舗ブランドのゲームパッドということだけあり、基本的な部分はしっかりと作り込まれている。

 

中央部分にある四角い部分はタッチパッド。
押し込むとスイッチとしても機能するようになっている。

タッチパッドの下にある穴の部分にはスピーカーが内蔵されている。
このスピーカーが非常に面白い。
ゲーム中に、ナビゲーターの声がコントローラーから聞こえてきた時には驚かされた。
ゲームへの没入感を深めてくれる良い演出だと思う。


無線規格は、Bluetooth Ver2.1+EDR準拠に対応している。

 

 

十字キーの右上には“シェアボタン”がある。
シェアとは、PS4から搭載されたコミュニケーション機能で、世界中のユーザーとのつながりをもたらしてくれる。

 

 

左側はヘッドセット用ののミニ端子。
左側のEXT端子は、別売りの充電ドック用。

 

 

中央の白い部分はライトバー。
3色のLEDを配置しており、様々な色を表現できるという。

 


ライトバーは以下のような利用方法を想定しているらしいが、プレイ中にコントローラなんて見ないだろう思えるので、現時点では利点を見出すことができるのか懐疑的ではある。

 

複数のプレイヤーで遊ぶ際にライトバーの色とゲーム内のキャラクターの色を連動させ、ご自身の操作するキャラクターが簡単に識別できるようになります。
また、キャラクターの体力や受けたダメージに合わせてライトバーの色が変化するなど、様々なゲーム情報を直感的に識別することが可能になります。

 

ライトバーの下にあるのは、MicroUSB端子。充電または有線接続で使用する。

 

L2/R2ボタンは表面が軽く反っていて指掛かりが良く、ボタンが軽いので力を入れなくても押すことができる。
押すというよりも、トリガーを引く感覚に近いかもしれない。
ただ、押し込んだ時にキュッキュッと耳障りな音がなることがある。
この点は各所で指摘されており、どうやら個体差があるようだ。

 

 

続いて、PS4の仕様を見ていこう。

次表は公式サイトからPS4の仕様を抜粋したものだ。


AMDやGDDRなど自作PCユーザーにとっては馴染みのある単語がいくつか目に入ってくる。
PS4は構造的にPCと似ているようだ。
PS4の性能をPCに置き換えるとどの程度のものなのだろうか。

 

 

メインプロセッサーにはAMD製のPS4専用にカスタマイズされたAPU(CPUとGPUを1つのチップに集積した統合プロセッサ)を搭載。


CPUには64bitの4コア“Jaguar”を2基(合計8コア)を採用している。
Jaguarコアとは、省電力性を重視して開発されたモバイル製品向けのCPUである。
現行のAPUではEシリーズ、IntelでいうとAtomシリーズに位置付けられる製品である。
高性能なコアではないので、2基搭載して8コアとすることで性能を底上げしたのであろう。

 

GPUにはRadeonの次世代アーキテクチャに基づく18コア構成のGPU(演算性能 1.84TFLOPS)を採用している。
デスクトップPC向けのGPUでいうと、Radeon HD7850相当の性能があるという。

 

メモリはCPUとGPUが8GBのGDDR5メモリを共有する。
メモリ帯域幅は176GB/sと高速で、デスクトップPCの約7倍の帯域幅を得られることになる。
PC向けプロセッサはメインメモリとしてDDR3を利用しており、帯域幅は最大25.6GB/sである。
GPUと共有するとはいえ、帯域幅がこれだけ広くなると、メモリがボトルネックになってCPUに待ち時間が発生するケースが大幅に減りそうだ。

 

以上のことから、PS4の性能のイメージは、AMDの新世代APU Eシリーズクラスの64bit 8コアCPU、Radeon HD7850程度のGPUを搭載したPCという感じになる。
ミドルクラスのゲーミングPCに相当する性能がありそうだ。

 

インターフェースはシンプルな構成で扱いやすい。
グラフィカルなアイコンが多用されているため、直感的に操作することができる。

 

 

使い始めこそ、数個のアイコンしか表示されていないが、使い続けているうちにアイコンが増え始め、徐々に賑やかになってくる。

 

 

 

Facebookのウォールのようにフレンドの活動状況、最近遊んだゲームやコンテンツの最新情報が表示される。

 

 

PS Storeではゲームソフトをダウンロード購入することができる。
最新ゲームを自宅に居ながらにして手軽に入手できるのはありがたい。
ただ、メジャータイトルともなるとファイルサイズが30GBにも達することがあり、ダウンロードに非常に時間がかかる。
特に新作発売時には、先行ダウンロード販売をするなど、少しでも回線の混雑が解消されるように配慮してほしいものである。

 

 

PCゲーム市場では、ダウンロード販売が主流になっており、Valve社が運営する“Steam”などのゲーム配信定サービスにおいては、定期的に古いタイトルが大幅に値引き販売されている。
過去のタイトルであっても効果的に値引き販売をすることで、小売販売のように新作タイトルに埋まることもなく、息長く利益を上げることを可能にする販売方法である。
PS Storeにおいても、そのメリットをユーザーに還元してくれるような販売システムを確立してもらいたいものである。

 

BDとDVDは再生可能だが、プレイヤー初回起動時に、インターネット経由でプレイヤー機能のアクティベーションをしなければならない。
音楽CDは再生できない。Music Unlimitedという音楽配信サービスのストリーミングでのみ音楽鑑賞が可能だ。
PS4はマルチタスクに対応しているので、音楽鑑賞しながらゲームプレイを楽しむことができる。

 

 

なお、torne、nasneeともに未対応だが、今後のアップデートでnasneeには対応を予定しているという。
マルチメディア機能への中途半端な対応には、PlayStation 3からの買い替えを検討するユーザーは不満を感じていることだろう。
しかし、ゲーム専用機であるのだから、個人的にはもっとゲームに特化した仕様でもいいのではと思えてしまう。

 

PS4に新搭載された機能の中で最も面白いものがシェア機能だろう。
ゲーム画面のスクリーンショットや動画(ビデオクリップ)をネットにアップロードしてSNSで公開したり、リアルタイムで動画を配信して、他人とプレイ内容をシェア(共有)する機能だ。

PS4では常にゲームプレイ中の動画がバックグラウンドで自動録画されており、15分毎に古い動画が上書きされる仕様になっている。
シェアボタンを押すと、その瞬間のスクリーンショットと直前の15分の動画がストレージに保存される。

 

 

 

このシェア機能を使うことでPS4から簡単にスクリーンショットや動画を公開することができるようになった。
スクリーンショットはFacebookとTwitter、動画(ビデオクリップ)はFacebookに投稿できる。

 

 

USTREAMとTwitchにはゲームプレイ動画を生配信することができる。
今春よりニコニコ生放送にも対応するとのことだ。

 

 

ただ、SNSに対して抵抗感を感じているユーザーも少なからずいることだろう。
しかし、スクリーンショットや動画を投稿しないユーザーであっても、シェア機能を十分に楽しむことはできるのだ。

“Live from PlayStation”では、ライブ配信されているゲーム動画を一覧でチェックすることができる。

プレイの合間に他のプレイヤーが配信しているライブ映像をぼーっと見ているだけでも結構楽しめたりするのだ。

 


プレイ動画の一覧を眺めていると、ゲーム雑誌 電撃PlayStationのブロードキャスト番組“電撃プレイステーション Live”を発見。
配信者がPlayStation Cameraを使っていればカメラ映像と音声も配信されるので、まさにライブ映像を見ている感覚だ。

閲覧者からのコメントも表示される点も面白い。

 

 

肝心のゲーム機としての性能はどうだろうか。
Assassin's Creed IV: Black Flagをプレイした感想になるが、グラフィック性能については、多少べったりとした感覚のある画質ではあるものの、描写対象の質感を感じ取ることができるレベルの描写力と微細さはあるように感じた。
シェア機能を使ってTwitterに投稿したスクリーンショット(1920×1080)を掲載するので、ご覧いただきたい。

 

 

 

 

モバイル製品向けの非力なCPUが使用されているとはいうものの、バックグラウンドでうまくデータロードが行われているようで、Assassin's Creedシリーズ特有のシームレスなオープンワールド感が良く出ている。
データ処理のもたつき感はなく、マシンパワーに不足を感じることはなかった。

 

PS4はゲーミングPCでいうとミドルスペック相当の性能と述べた。
決して高性能ではないが、PS4と同等の性能を持つPCを組もうとしても、4万円程度では組むことはできない。
世界中で受け入れられているゲーム機としてのスケールメリットを活かした価格設定、コストパフォーマンスの高さがゲーミングPCに対するPS4の優位性といえるだろう。

 

スマートフォンやタブレット端末の普及に合わせて、急速にソーシャルゲーム市場が拡大していった。
コンシューマー機の市場は縮小傾向にあり、ゲームといえばスマートフォンで手軽に楽しむものというプレイスタイルが浸透しつつある。
コンシューマー機はコアゲーマーのものになってしまうのだろうか。

 

その様な状況の中、PS4はネットワークサービスとの連携を深めることでコンシューマー機復権への活路を見出そうとしている。

 

コンシューマー機というと1人で黙々とプレイするという内向的なイメージがある。
しかし、PS4はゲームプレイを通して、同じ価値観を持つ人々との繋がりを築くというゲームの新しい楽しみ方を提案している。
シェア機能によって画像やプレイ動画をソーシャルメディアに投稿・配信することで、世界中のプレイヤーとの繋がりを作り出すことが可能になるだろう。

 

個人的に興味深く感じていることは、PS4がPCアーキテクチャーを採用したことにある。
PS3にはSonyが独自に開発したCPUが搭載されていたのだが、PS4では汎用性のあるPCアーキテクチャーが採用されたことで下位互換性は失われてしまった。


しかし、PS4の構造がPCに近くなったことで得られたものは大きいだろう。
例えば、PS3版、PC版というように、これまではプラットフォームごとに割かれていた開発リソースを集約可能になった。
PS3の時代よりも、デベロッパーはゲームソフトをマルチプラットフォームで開発・販売しやすい環境を得たということである。

 

ゲーマーとしては、ゲーム機種に捉われることなく、同一のタイトルを楽しむことができるようになるはずだ。
このことは、ゲーマーにとって非常に大きなメリットになると思わないだろうか。
開発リソースを集約化できれば、開発コストの削減に繋がり、開発環境を整えやすくなる。
インディーズ・デベロッパーの参入障壁が低くなり、これまで以上に数多くのソフトが開発され、ゲーム市場に活性化をもたらす可能性さえあるのだ。

 

汎用性のある構造を採用したことで、コンシューマ機の更新周期に変化が起こるかもしれない。
コンシューマ機市場では、4~5年周期で新型機が発売されている。
一方で、技術革新が速いPC市場においては、ハイスペックのPCパーツであっても、2年も経てば店頭から姿を消していることも珍しくない。
PS4がPCアーキテクチャーを採用したことは、PCテクノロジーの進歩に同調してPS4も進化していくことを意味している。
スマートフォンが1年ごとに新型を発表するように、PS4もハードウェア面で頻繁にバージョンアップが行われるようになるかもしれない。
最新の技術が用いられたゲーム機を安価に入手できるとすれば、ゲーマーにとっては素晴らしいことであるに違いない。

 

また、CPUとGPUがGDDR5メモリを共有するというPS4のグラフィックス・テクノロジーは、ディスクリートGPUを重視するゲーミングPCのあり方に変革をもたらすだろう。
近い将来、APU+GDDR5のゲーミングPCが発売されることがあるかもしれない。

 

PS4が発売されたことで、コンシューマ機市場のみではなく、PCゲームを含めたゲーム業界全体の活性化に繋がるような気がしている。

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