レビューメディア「ジグソー」

付加価値いっぱいの大容量ジュークボックス!!

今回、「マルチメディア」プレイヤー、iriver P8(以下P8)のプレミアムレビューにあたり、様々な機能を説明書の順に検証しながら、指定レビューテーマである「動画ファイルの準備から再生までの手順について」「本製品をどのようなシーンで利用したのかについて」「USBホスト機能について」を解説し、この製品によって生活にどんな利便性が得られるのかをレポートします!

まず内容の確認。
黒い箱に、商品の「(左)ホーム画面」を表したシール貼付
黒い箱に、商品の「(左)ホーム画面」を表したシール貼付
洒落た黒い箱の封印を破って開けると箱いっぱいにP8が!
P8本体の上にリモコンとリモコン操作のクイックリファレンスが
P8本体の上にリモコンとリモコン操作のクイックリファレンスが
それを取り去ると、付属品が一つにまとめられた箱がある。
付属品は一つにまとめられている。
付属品は一つにまとめられている。

開けると付属品(イヤホン、USBケーブル、USBホストケーブル、取扱説明書、クイックスタートガイド、保証書)が顔を出す。
すべて白一色でまとめられており清潔感がある。
すべて白一色でまとめられており清潔感がある。
デザインは角張った面も面取されており、白いカラーリングとあいまって、メカメカしていない清潔な感じ。イヤホンを束ねるバンドにも遊び心が感じられる、柔らかい感じのマシンだ。
ニッコリ(^^)v
ニッコリ(^^)v

画面に向かって左側に端子類が集中的に配置されている。イヤホンジャックと充電インジケータ以外はカバーがかけられているが、
イヤホンジャック以外の外部接続端子はカバーの下
イヤホンジャック以外の外部接続端子はカバーの下
このカバーが今一歩だ。まず、開く方向が下開き(画面側に蝶つがいがある)なので各端子へのアプローチがしづらい。また使用頻度的に同一ではない端子が一度にopen/closeするが、カバーおよび蝶つがいの強度があまり高いものではない感じで、万一割れや蝶つがい部分の破断があった際に、給電やファイルのやりとりで多用するUSBポートはともかく、アクセス頻度が低いであろうmicroSDポートやリセット穴まで同時に裸に晒されるのは好ましい事ではないと考える。
USBポートとMicroSDスロットの使用頻度は異なると思うが...
USBポートとMicroSDスロットの使用頻度は異なると思うが...
上下の側面にはそれぞれ、電源&ボリュームとリモコン受光部&マイクが配されている。
電源はスライド長押しでON/OFF、逆側へスライドで画面ロック。
電源はスライド長押しでON/OFF、逆側へスライドで画面ロック。
画面の下側に受光部とマイクがあるので、リモコン使用時/録音時は注意が必要。
画面の下側に受光部とマイクがあるので、リモコン使用時/録音時は注意が必要。
ちなみに裏側にはなるがスピーカーが用意されており、数人で動画の台詞や歌や音楽を聴くこともできる。まぁ音質は「聞こえる」というだけのもので高音質なものではないし、位置が裏でしかも周りが脚などがあって浮いている、ということはないので、画面を上にしてペタッと置いてしまうとふさがれてしまいほとんど聞こえなくなってしまうのはイマイチ。
裏の二つのスリットがスピーカー孔
裏の二つのスリットがスピーカー孔
家族・仲間と今再生されている動画や音楽について話すきっかけになる程度で鑑賞、というレベルではないが、意外に便利。
重さはカタログ通りぴったり227gで、
ちょうど227g
ちょうど227g
大きさ的には男物のワイシャツ胸ポケットにも入るが(145(W)x84.5(H)x 13.8(D)mm)、少し重量があるのでちょっとスタイル的にはイケていない感じになってしまう。
ポケットが垂れ下がりイマイチ。
ポケットが垂れ下がりイマイチ。
となると、画像を見ないときは鞄などに入れてイヤホンを出したいと言うことになるが、この際画面の傷付きなどが心配。特殊な形、サイズでもあるため、専用ケースなどが待たれるところだ。

開封して最初に気づいたのは時計のズレ。説明書を見ると「設定」をというメニュー中にあるとわかったが、設定をしようとするとその「設定」メニューがどこにあるかわからない。説明書をひっくり返すうちに「ホーム画面」にロケーション(ページ)が2面あることが解り、スワイプで右画面を出すことで発見できた。
メインの左ホーム画面(こちらの表示がデフォルト)
メインの左ホーム画面(こちらの表示がデフォルト)
右側が隠れていることは左上のマークの解説から推定
右側が隠れていることは左上のマークの解説から推定
でもアイコン名称は英語表示で「Setting」。これが「設定」であると見当付けて(というほど難解な英語ではないケド(^^ゞ)開けて設定できたが、ちょっと不親切。この設定画面で言語も変えられるが(9言語に対応)、デフォルトが英語なのでせめて「設定/Setting」等と併記して欲しかった。至れり尽くせりの日本メーカーのように、日本で売るのだから言語は英語でなく日本語で!、カレンダー・時計まで合わせて出荷!というところまで行けば上出来だけれど、少なくとも悩まず設定画面に辿り着けるようにはして欲しい。クイックスタートガイドが付いてるけど、設定画面がスワイプして出てくる右ホーム画面にあることは記載がない。ポイントソコでしょ?

で、そのスワイプだが大変やりづらい。P8のタッチパネルは感圧式だが、指で触れると言うより押しつけるような動作が必要。堅めの本のページを繰る感じ、といったら想像できるだろうか。指先でちょいちょいタッチすれば良い静電容量方式に慣れていると、上手く反応しない。左右ホーム画面の切り替えは「何もないところ(デスクトップ?)」があるためまだイイが、特に曲(ファイル)選択画面などでは縦にいくつも並ぶファイル名を選択するため上下にスワイプしようとすると、ほぼ全画面幅の曲名表示なので、スワイプにならず画面に表示されている希望したのでない曲(ファイル)を誤選択、その再生が始まってしまうという事が多々あった。

これはタッチペンがあれば大幅に操作性が改善される。

これを購入したら快適度は著しく上がったが、でも今度はしまう場所に困った。できればタッチペンは標準装備にしてDSのようにしまうところまで提供してくればベストだったが。もしP8の専用カバーを企画するときがあれば、ゼヒ装備してもらいたい機能である(タッチペン付属、もしくはタッチペンの収納場所の確保)。なお、階層をたどっていく操作が多いため「戻る」ボタンは使用頻度が高いが、画面右上隅で指先では触りづらい位置と大きさだ。前述のようにタッチペンがあれば解決するが、この点はファームのアップデートでも対応可能と思われるので、期待したい。

音楽は対応形式が多彩であり、元ファイル形式が何かをあまり気にする必要がない。ただPC側にiTunesのような転送アプリケーションがあるわけではなく、ハブにつながっている単なるUSBメモリのような認識となる。追加したmicroSDHCカード

も含めたP8のPC側からの「見え方」は
こう、見えます
こう、見えます
こんな感じ。SDメモリにはただガサッっとファイルを入れるだけなのだが、本体側はファイルの種類によってどこに入れるかフォルダが決まっている。そのフォルダ構造は
7つに分かれてるけど...
7つに分かれてるけど...
音楽はその名の通り「music」に入れる。ここに音楽データファイルを入れると、左ホーム画面の「music」をタップしたときの一覧に出てくる。ここで曲名を選んでタップすると再生開始。メモリが16GBと広いのでバリバリ曲を追加できるが、musicのルートにそのまま入れるととてつもなく選択しづらくなる。ここはアルバムごととかアーティストごとにフォルダを切って楽曲ファイルを配置するのが吉だ。再生中画面になると最下段に操作ボタン出現。左からA/Bリピート、1曲戻し、再生/一時停止/1曲送りと設定。設定内容は「再生モード」と「EQ選択」、「順位設定(再生順の事ではなく、「おすすめ」の★マーク)」と「歌詞表示」、「再生速度」。このうち「歌詞表示」以外はプログレスバーの上のショートカットボタンでもできるため、設定画面をわざわざ作る必要はあったのだろうか。
結局設定画面でやることのほとんどは再生画面でできちゃう
結局設定画面でやることのほとんどは再生画面でできちゃう
また、曲を聴きながら行うことを考えてココにあるのだろうが、再生モードやEQ設定は全体に関わる設定項目でもあるので、「music」のルート画面から行けても良かったと思う。
再生音楽の音質は後で詳しく解説・解析することにして、この項では使い勝手に関して3点。
・まず、A/Bリピート機能関してだが短いファイルだとポイントがずれることがある。今回、再生速度の検証に英語教材のCDを音源ファイル化してこの「music」フォルダに移した。センテンスを聞き取るためA/Bのリピートポイントを打った。ただ、英語教材のため1ファイルが短く(1分以内)みるみるプログレスバーが右に移動するが、あるセンテンスの始めと終わり(5秒くらいの長さ)にポイント打って繰り返させると、時々前後数秒ずれる現象が発生した。
・またその速度調節だが、性能と設定がかみ合っていないように思う。設定できる速度は0.5倍、0.7倍、1.0倍(原倍)、1.3倍、1.5倍、1.8倍だが、遅い方に関しては0.5倍は使い物にならなかった。音ファイルを遅回しするという事は、今回のような語学学習に使う、インタビューや講演の原稿起こしに使う、音楽の譜面化に使うなどが主な用途だと考えられるが、0.5倍では変な金属音が混じり、発音が変質してしまう。サンプリング⇒再演算による音程再構築が行われているはずだが、この回路の問題か、演算速度の問題かわからないが0.5倍では音声がかなり聞き取りづらいほど金属的なノイズが発生していた。早回しでもある程度この傾向があったが、1.8倍でも何とか聞き取れる事を考えると用途が広い低速側が0.7倍択一、というのは厳しい。
・もっとも問題なのは、ファイル名の並び。これがどういう機序で並ぶのかがわからない。頭に曲順を入れたファイル名でも01からきちんと並ぶものもあれば、10→11→12と行って01に戻ったもの、先の英語教材は60センテンスあるが、09→20→21→25→40→10...ともうバラバラ。次のセンテンス探すのに60個から探すのか、と使い物にならない状態。ソート機能もなくここはどうにもならない。
最後の部分は改善を強く望みたいところだ。少なくともソートの原則は開示して欲しい。

5インチの大画面でWVGA(800×480)の細密さ、ここがP8の最大のポイント。公式対応ファイル形式はAVI、WMV、MKV、M4V、MOVとFLV。前述のフォルダの「movie」にファイルを置けば良い。
映像再生画面ではブックマーク、前のビデオ再生、再生/一時停止、次のビデオ再生、再生速度、設定となっている。
ちなみにSDHCカード上の映像にはブックマークが打てない
ちなみにSDHCカード上の映像にはブックマークが打てない

動画の用意としてはまず

で撮った動画を用意してみた(ファイル形式MOV)。後に説明するUSBホスト機能で、当デジタルカメラは認識できるのでP8と直結し、ファイルを指定フォルダに移してやれば問題なく再生した。
次に手持ちのDVDから

でリッピングし、その中のVOBファイルを

でm4vファイルに変換してファイルを移した。結果問題なく再生できた。

これは
こんなかんじに...
こんなかんじに...
対応フォーマットでないVOBファイルを直接突っ込んでみたw。あっけなく再生可能。ただ、何らかの制限があるようで表示の大きさを変える「画像モード」で「アスペクト比」を選んでも全画面表示にならないファイルがあった。
ではYoutubeなどネット動画はどうだろう。

で落としたようつべミックミクは..(形式FLV)
画質粗いけど、この大きさならガマンできる。
画質粗いけど、この大きさならガマンできる。
ネット動画には画質粗いものもあるが、市販されていない映像など掘り出し物も多く、それが閲覧可能とは利便性が高い!ただ全画面表示に関してはやはり、不可能なものがあったりする。
このことから一番いいのはm4v(対応拡張子としては記載がないがmp4も同じ)がサイズ(サイズに関してはここに記載)と画質、操作性が揃っている。
ビデオでの改善要望はブックマーク関係。
・ブックマークを打てるのが内蔵ドライブのみと言う制限。SDのファイルに書き込めなくても、最悪「電源ONの間だけ」でも本体側にSDファイルのどこでブックマークされたか、という情報が残れば聞き直しに非常に役立つ。今回1時間20分のライブをSDカードに入れたが、ある曲をリピートしたいと思った時、流石にプログレスバーでは選びきれず、ほぼ1曲余分にもどったり、曲の途中から始まったりした。
・一方本体側のビデオファイルは途中で再生を終えた場合、右メイン画面の「VIDEO BOOKMARK」に無条件に登録される。今回同じ内容の違った形式のファイルを評価するため、途中まで見て次のファイルに行く、といった作業をしていたら自動で多量のブックマークが発生し、本当にブックマークとしていたのと区別がつかなくなった。ビデオ途中終了時「ブックマークに登録しますか」の質問があるか、中断時の自動ブックマークと、任意に入れたブックマークを区別する機能があれば使いやすいと感じた。

機能としてHDMI接続による外部出力があるため、HDMI出力も検証した。説明書やカタログには何も記載はないが、出力端子はmini-HDMIタイプなので注意が必要だ。mini-HDMI⇔HDMIプラグのケーブルを用意し

REGZA 42ZV500

に出力してみた。720P(50Hzと60Hz)もしくは480Pの出力なので高細密とは行かないが、十分楽しめる。
ホーム画面
ホーム画面
ただHDMI出力時は本体表示はブラックアウトし、
HDMI出力中は本体では操作できない
HDMI出力中は本体では操作できない
リモコンでの操作のみになるので注意が必要だ。
早送り/巻き戻しがしづらい
早送り/巻き戻しがしづらい
リモコンの操作性、到達距離は早送り/巻き戻しがしづらい点とHDMIの切り替えが二呼吸ほどある点を除けば、可もなく不可もなく、といった感じだ。
P8で持ち歩いている映像ファイルを友人宅でみんなで見る、という用途には十分耐えると考える。

前回のiriver製品プレミアムレビュー、音楽プレイヤーE300で高評価を得ていたFMラジオ機能はどうだろうか。初期設定が韓国バンド帯になっていたのは、先に書いた言語設定やカレンダー設定のように少し不親切と感じるところだ。日本の周波数域に合わせて、添付イヤホンを繋ぎ(アンテナとして機能)、局サーチをすると....設定されない...orz。ただ

ここでも書いたがcybercat家は電波塔側に丘と高圧電線がありTVの電波も弱い。そのため2階に上がり、マニュアルで周波数を選び聴くと...やっぱり受信できない....orz。それでもあきらめず日を改め、弱電界とは言えない新宿駅2階で同様の操作をした。今度はいくつかの局が設定された....が...

設定された周波数は以下の通り。77.10MHz、79.00MHz、81.30MGHz、82.50MHz、88.20MHz、88.80MHz。このうち77.10MHzは放送大学、81.30MHzはJ-Wave、82.50MHzはNHK-FMだが、後の3局は不明。というかチャンネルを合わせても何も聞こえない。一方出力5kWの地方FM局に分類されるハマラジやNACK-5はおろか、J-Waveと同じ10kWの出力を誇るエフエム東京も周波数を合わせても受信できなかった。
録音機能も備える
録音機能も備える
機能的には録音機能も備え、スピーカー出力もあるなど高機能だが、肝心の受信機能が感度不足だった。また周波数の微調整のボタンは問題ないが、次のプリセット局を探すボタンは高い確率でフリーズする。バグと思われるので、ファームの改善を望みたい。

デジタルフォトフレーム。「Pictures」フォルダに入れたデジタル画像を見ることができる。スライドショー機能もある。対応フォーマットはjpeg、bmp、pngとgif。後に説明するUSBホスト機能でカメラから引っぱれば、今撮った写真を大画面で楽しむことができる。惜しむらくは時計やカレンダーをオーバーレイで(ウインドウでも可)表示できる機能があれば、より利便性が高まると思われる。また付属品としてスタンドが付いていないので、別途立てかける方法を考案しなければならないのはマイナスポイント。プラスチックのスタンドであれば、さほどコストアップにつながるものとも思えないので、標準添付を望みたい。
写真転送は本体だけで可能(後述)
写真転送は本体だけで可能(後述)

電子書籍と言っても単なるテキストビューワー。「EBook」フォルダに入れたtxt形式のファイルが読めると言うだけ。あまたある他フォーマット(PDF、EPUB、XMDF、bookなど)には対応しない。少なくとも同じ「EBook」フォルダにある説明書のpdfファイルには対応して欲しかったところだ(つまりこの説明書はPC側に引っぱらないと読めない、という..)。また自動回転機能もなく、前述のようにクセのある感圧式のタッチパネルでのページ繰りが難しい事とあいまって、あまり使い勝手の良いものではなかった。オマケと考えた方が良いだろう。

ボイスレコーダーとFMの録音機能がある。FMは前述の状態の感度なので聞こえる局のプレゼント応募住所のメモ程度にしか使えないが、ボイスレコーダーはそこそこ使える。感度もマァマァで、会議室のミーティングのメモには使えないが4~5人の座談会のメモ程度には使えると思われる。再生時は例の速度調整もできるが、前述の通り0.5倍速再生がイマイチなので、ここが改善できれば議事録起こしなどには使えそうだ。
録音機能は簡単操作
録音機能は簡単操作

これは単なるカレンダー。スケジュール機能やアラーム機能など何もない。日本の祝祭日にも対応しておらず、将来や過去の曜日が確認できる、ただそれだけの機能となっている。文字の入力機能はないため、スケジューラーにするのは難しいかもしれないが、時計が比較的大きく表示されるので、内部の音楽を利用したアラーム機能があれば、出先で目覚まし時計として使うことも可能なのに惜しい企画だ。

既にP8、もしくはSDカードにあるファイル、もしくはUSBホスト機能で繋いだ先にあるデバイスのファイルの閲覧(ファイル内容ではなく)、移動、削除が行える機能。これを使えばUSB接続したUSBメモリやデジカメの画像や映像ファイルをPCレスでやりとりすることができる。しかしあくまでブラウザであり、フォルダの作成機能やリネーム機能はない。

上記のファイルブラウザと連動するが便利な機能である。USBデバイスのホストとして動作し、ファイルの受け渡しやUSB給電による充電も可能。ただ相手によっては何も起こらない...orz。検証した結果

デジカメ(Panasonic LUMIX FH5 DMC-FH5)は完全に作動した。接続すると
接続すると...
接続すると...
「外部装置」として認識され...
「外部装置」として認識され...
フォルダをたどっていくと写真ファイルが...
フォルダをたどっていくと写真ファイルが...
先に説明したファイルブラウザ機能でP8側から引っぱれば転送終了!
先に説明したファイルブラウザ機能でP8側から引っぱれば転送終了!
他にもUSBメモリは

2.0も3.0も問題なく認識し、ファイルのやりとりができた。
認識できればこの表示が...
認識できればこの表示が...


一方、携帯電話は

認識できず...
認識しない...
認識しない...
ポータブル外付けHDDはこれも

これも

接続状態を示すランプは灯るものの..
接続確認ランプ(赤丸)は点くものの....
接続確認ランプ(赤丸)は点くものの....
認識せず...
「外部接続」表示はされず..
「外部接続」表示はされず..
HDDが回っている音もしないので、どうも携帯電話のように特殊なドライバを持つものやHDDのように比較的高い給電力を要求するものは上手く作動しないようである。

USB給電による充電機能としてはバッテリー残量50%まで落ちたiPod shuffle 3G

で試してみたが、
給電はされてる...
給電はされてる...
給電はされた。ただ遅々として進まず4時間待っても緑ランプにならなかったので、就寝すると翌朝にはiPodは満充電になっていた。ただ充電中P8の画面が点いているので、代わりにP8がほぼ完全放電していた。P8をUSB充電池として使うのは非常時と割り切った方が良いようだ。

さて、P8は大画面を持つ携帯メディアプレーヤーとして満足いく性能を持つことがわかったが、もう一つの特徴として、オーディオファイルに対する広い対応形式が上げられる。特に不可逆圧縮形式が採用されることが多い携帯音楽プレーヤーとしては例外的に高音質なオーディオファイル形式FLACにも対応する。そこで以下の検証を行った。
・FLAC音源の試聴による評価
・高サンプリングレートのFLAC音源を他の形式に変換し、音質とサイズがどう変化するかの評価

FLAC音源としてはジャズの“STARDUST”(96kHz/24bit)

ヒーリング・ニューエイジ系の“眠りの為の処方箋”(96kHz/24bit)

クラシック(器楽曲)として“平均律クラヴィーア曲集 第1巻 24の前奏曲とフーガ”(88.2kHz/24bit)

を使用し、再生機としては本機P8、出力先としては通常使っているカナル型イヤホン

と微細なところまで聴きとれる(アラ探しができる?)業務用ヘッドホン

およびスピーカー出力としてはおなじみの

をライン入力で使用した。ただしほとんど比較試聴が深夜の作業となったため、スピーカーは定位感の確認にとどめ、曲の細かなニュアンスのチェックはイヤホン/ヘッドホンによって行った。

各FLAC音源はニュアンスまでが感じられる質の高いものだが、P8で再生した場合少しスケールが小さくなる感じだ。しかし、“眠りの為の処方箋”の1曲目「Crescent Moon」のフルートのリップノイズによる吹き口と口の距離感、“平均律クラヴィーア曲集 第1巻 24の前奏曲とフーガ”の2曲目「第1番ハ長調BWV846、フーガ」のチェンバロというピアノより強弱が付けづらい楽器での名手ピヒトのタッチの差などは感じることはできた。
“STARDUST”からは6曲目「Take The A Train」を抜き出して様々な検証を行った。これを

でwav、ogg、mp3、wmaに変換し、比較試聴した。本音源は各種オーディオチェックにも使われる再生システムに高い能力を要求する録音だが、特に0'30"のウッドベースの唸りと3'30"付近のシンバルレガートの鳴りのあたりに着目して評価した。同時に

による周波数解析も行い、聴感上の感触と比較を実施した。セッティングとしてはP8を高品質なアナログ回路を持つオーディオボードSE-200PCI LTD

のアナログ入力に接続し、WaveSpectraを起動させ、ピークホールド表示で録音状態にし、各ファイルの演奏が終わって停止した状態でスペクトラムのスクリーンショットを取得した。
ちなみにwavファイルを直接WaveSpectraに読み込ませた場合の波形は以下の通り(ダイレクト読み込みはFLACに対応しない)。
96kHz/24bitのハイサンプリングレートだけあって高いところまで伸びている
96kHz/24bitのハイサンプリングレートだけあって高いところまで伸びている
これに対してfre:acで変換した音楽ファイルをP8で再生した出力は以下の通り。
各形式の特徴が出た。
各形式の特徴が出た。
聴感上は元ファイルのflacとwav(これも96kHzの24bit)は区別が付かない。oggに関してはP8で聴く限りは、上の伸びはflacやwavと差が感じられなかったが、0'30"のベースの唸り(減衰)が薄く、ちょっと軽くなるのが感じられた。ただし再現性は非常に高いと感じた。一方mp3に関してはベースの帯域は問題なかったが、聴き込むと高域に癖があり、3'30"頃のシンバルレガートが薄く、2'30"頃からのブラシが当たったスネアの音が少し紙っぽさを感じる。wmaに関してはシンバルなどの高音域の違いは感じられなかったが、ベースが若干ブーミーで元データのflacよりむしろ「出て」いる感じを受けた。弱くラウドネスを効かせているような印象だ。

聴感上の評価としてはflac=wav>ogg>mp3 or wmaと言う感じで、mp3とwmaは好み、という感じだ。
ただファイルサイズとしては
. flac:138MB(100.0%)
. wav:208MB(150.7%)
. ogg:6.07MB(4.4%)
. mp3:7.44MB(5.4%)
. wma:16.0MB(9.7%)
. ( )内元ファイル(flac)のファイルサイズを100%とした場合の相対サイズ
と言った感じ。さすがに1/10以下になると持ち運べる曲数も違ってくるので、本機での再生能力などを考えるとogg程度でもいいとは思われる。P8でflacの良さを真剣に聴くには再生機器側もそれなりのイヤホンなどを準備しなければならないだろう。

参考までに、今回の周波数特性がP8側の出力を反映しているのか、WaveSpectraやSE-200PCI LTDの特性により歪められているのかを検証するため

にオーディオファイルを移し、オンボードサウンドチップ(Realtek ALC892) で発音させたものを、同様にSE-200PCI LTDにLINE入力して波形取得した。
ノイズがひどい...(^^ゞ
ノイズがひどい...(^^ゞ
ファイル形式特有の特徴(mp3の高域がない、など)は共通だが、oggの20kHzを超えた落ち込みはP8の方が緩やかであるなど、前回取得波形にはP8の性能に起因するものも反映されていることが確認できた。また、今回発見したのはP8のノイズの少なさ(というかオンボードオーディオチップのノイズの多さ)だ。いずれも無音部でスクリーンショットをとっているので、緑の波は低ければ低いほどよい。赤のピークと緑のノイズの間がダイナミックレンジとなるが、P8はノイズという点では比較的良好な成績を残した。

波形解析の最後にiPod shuffle 3Gでも同様のことを行った。 iPod shuffleでの対応ファイル形式が限られているので、mp3とm4aの比較を行った。
m4aはソコソコイイ感じ
m4aはソコソコイイ感じ
意外にも(それともさすが?)iPodの標準形式であるm4aの波形の伸びが印象的だ。ファイルサイズはその分大きく、13.4MBとなるが、これでも元ファイルの9.7%に過ぎない。

今回株式会社マウスコンピューター様のご厚意により、5型タッチディスプレイ マルチメディアプレーヤー 「iriver P8」を評価する機会を得た。

多種多様なファイル形式に対応するオーディオ/ビデオ機能により、様々な出所の音楽/映像を楽しめること、高細密な画面と大容量なメモリで映像を持ち歩くライフスタイルの提案を受けた。現在、通勤途中に買っただけで見そびれていたDVDビデオや、家のテレビではなかなか見る時間が作れない、特典DVDの視聴、自宅のモニターではアラが目立つYouTube映像などの聴取などに利用している。何本も持ち歩けてまさにビデオジュークボックスだ。電車を降りるとそのままオーディオファイルに切り替え、携帯音楽プレイヤーとして使える大容量のミュージックジュークボックスに早変わりしてくれる。

また、フォトフレーム機能によって家族と旅行先で今しがた撮った写真の確認をするような使い方や、友人宅のモニターにHDMI接続して出先でも持参した映像を「みんなで楽しむ」ことができる可能性を感じる商品だった。

☆本商品のアピールポイントは
・精密な画で大容量、十分映画数本持ち歩ける。
・対応ファイル形式の多さで再生環境を選ばない。
・HDMI出力でさらに大画面でもたのしめる
といったところか。

ただ
★改善すべきポイントとして
*ランダムな並び方になってしまうファイルの並べ替え機能が欲しい⇒それを可能にするフリーソフト「UMSSort」
*曲選択などで大容量メモリを活かしてため込むとスワイプが難しいので上下ボタンが欲しい
*「戻る」「ホーム」などよく使うボタンは大きくして欲しい
・FMは感度不足、さらにボタンの動作がおかしいようだ
・音質はもう少し高品質になればFLACなど高品位オーディオファイルの再生能力が生かせる
・ブックマーク機能に関しては一考の余地あり(SDカードに使えない、自動ブックマークがお節介)
・速度調整は今の音質なら0.5倍は必要ないので、0.6倍や0.8倍といった使える倍率を望む
・スピーカーの位置的にもフォトフレームとして使うにも脚は必要
・USB給電する場合や動画の音だけを聴く場合など「画面を消す」ことができれば電池消耗が少ない
・設定画面にたどり着くためのクイックスタートガイドと、用語の統一
というようなものもあげられる。
特に*の3点は重要なポイントで、ファームの改良でも改善できそうであるため、対応していただきたいポイント。

ただ、本機がいままで再生環境に縛り付けられていたオーディオ/ビデオファイルに翼を与え、外に連れ出すことができるツールであることは間違いなかった。この感覚をぜひP8で体験していただければと思う。

最後になりましたが、今回このレビューのチャンスを与えてくださった株式会社マウスコンピューター様、zigsow事務局、およびイロイロデータを取得したはいいが膨大な情報量に押しつぶされ、まとめるのに四苦八苦し〆切に迫られていたcybercatの尻を叩いて、無事?レビューアップまでこぎつかせてくれた、zigsowerの方々、とりわけおものだちの皆様に感謝いたします。
ありがとうございました。
------------------------------------------
・2011/10/23 曲順並べ替えを可能にするソフト「UMSSort」の紹介ページへのリンクを追加

コメント (20)

  • operaさん

    2011/10/21

    レビューお疲れ様でした♪
  • cybercatさん

    2011/10/21

    operaさん、今回力尽きました...(^^ゞ
    とりあえず、お楽しみください??
  • はにゃさん

    2011/10/21

    レビューお疲れ様です。
    7時間以上残して、アップロード成功ですね!

    FMの感度が低いのはちょっと残念ですね。イヤホンで違うかもしれないですね。
    音声出力の周波数特性が予想より良い感じですね。
    イヤホンで長時間再生となると、ノイズフロアが高いと不快になって使われなくなりますから、
    いい傾向ですね。

    ナイスレビューでした。
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