Cooler Master独自のデザインの120mmラジエータと120mmRGBファン1基を搭載した、静音性と冷却性能を最大限に高めた一体型簡易水冷クーラー「MasterLiquid ML120L RGB」に迫ります。
自作初心者にとっては憧れであり、また、敷居の高い水冷CPUクーラーですが、そんな初心者でも簡単に取り付けられるのか、空冷CPUクーラーよりもどれだけ冷却性能がいいのか、エアフローはどうすればいいのか、気になることはたくさんあります。このレビューでは、空冷CPUクーラーからの換装、冷却性能の検証などを中心に行いたいと思います。(あくまで初心者目線で…)
機能性とデザイン性を兼ね備えたクーラー
【特徴】
1.水冷ヘッドと冷却ファン(120mm)にRGBライトを搭載しPCをライトアップ!
《水冷ヘッド》
コントロール可能なRGBライトで「Cooler Master」のロゴが光る。
《冷却ファン》
風量と風圧のバランスに優れたPWM(4ピン)対応の120mmRGBファン、 「MasterFan MF120R RGB」を搭載。
《RGBコントローラー》
付属のコントローラーで発光色(7色)、発光モード、輝度を制御。
※RGB対応のマザーボードと同期させることもできる。
2.デュアルチャンバーヘッド
冷却液を熱い層と冷たい層の二層構造にすることにより、高い冷却性能を実現。
3.独自デザインのラジエータ
空気抵抗を抑え、より多くの風量を通すことで冷却性能を高める。
4.スリーブ付きチューブ
耐久性と柔軟性に優れたFEP(フッ素樹脂)チューブをスリーブで覆い、高級感をアップ!
【仕様】
・型番:MLW-D12M-A20PC-R1
・ファン サイズ:120 x 120 x 25 mm
回転数:650~2,000rpm ±10%
風量:最大66.7CFM
風圧:最大2.34mmH2O ±10%
騒音値:6~30dBA
コネクタ:4-Pin (PWM)
・ポンプ サイズ:80.3 x 76 x 42.2 mm
騒音値:最大15dBA
コネクタ:3-Pin
・ラジエータ サイズ:157×119.6×27mm
素材:アルミニウム
・対応ソケット Intel: LGA 2066 / 2011-v3 / 2011 / 1151 / 1150 / 1155 / 1156 / 1366 / 775
AMD:AM4 / AM3+ / AM3 / AM2+ / AM2 / FM2+ / FM2 / FM1
マッドな質感の黒がとてもCOOL!
【外観】
・付属品
・ファン
コネクタが2つあります。1つはPWM対応の4ピン、もう1つは『RGBコントローラー』に接続します。
・本体
・ヘッド部
ヘッドのコネクタも3ピンと、『RGBコントローラー』接続用の2つあります。
・ラジエータ部
・バックプレート
艶消しの黒色とスリーブに覆われた太いチューブがかっこいい!!
※開封の様子を「開封編」として、動画にまとめました (^ ^)
『エアフローを考える』
簡易水冷クーラーは排気と吸気のどちらが冷えるのか?
ネットでも紛糾しているようで、色々なサイトで実験がされています。結局どうなのか結論が知りたくて、あらゆる記事を読みあさりました。その結果、わずかな差はあるものの、どちらもあまり変わらない、という結論に至りました。(と、私は判断しました!)
「自作PCで本格水冷や簡易水冷のラジエーターは排気か吸気どっちが冷えるの?」という記事にとてもわかりやすく書かれてあったので、紹介しておきます。物理的に考察してあり、面白い内容でした。
とは言え、私のPCケース(CoolerMaster ミドルタワーATX K282)は、フロントとリアに120mmのファンを1基ずつしか取り付けられないので選択の余地なし … orz
ということで、フロントから吸気してラジエータを通してリアから排気させようと思います。(電源ユニットはケース下部にファンを下向きにして設置し、ケースの底から吸気し、背面へ排気させています。)
※ホームページの商品紹介で「風量と風圧のバランスに優れたRGBファンが、ラジエータからケース外への排熱を効果的に促します。」と書かれているので、「排気仕様」で設計されている、ということなのでしょうか?
次に、ファンをラジエータのどちら側に取り付けるか?調べたところによると、プッシュ(送風)→ プル(吸出)→ プッシュ・プル(送風と吸出のサンドイッチ)の順に冷却効率が上がるようです。
リア排気にするので、本来ならばケースとラジエータでファンを挟むプル(吸出)構成で取り付けるべきなのでしょうが、せっかくファンが光るのにラジエータで隠すのはもったいないので、ケース内側にプッシュ(送風)構成で取り付けます。
※本製品はデュアルファン仕様(サンドイッチ)用に、冷却ファン固定用ネジが用意されています。また、ラジエータをケースに固定するネジは共通なのでケースへの取り付けはとても楽そうです。
【取り付け】
CoolerMaster製の空冷CPUクーラー「Hyper TX3 EVO」からの換装を行います。
「Hyper TX3 EVO」は92mmのファンを1基搭載したサイドフローのクーラーです。ファンは小さめですが、なかなか存在感のあるクーラーです。デスクトップ1号機での初めてのCPUクーラーなので他と比較できませんが、今まで何の問題もなく使用してきました。この場所に新旧入れ替わり、憧れていた水冷CPUクーラーがつくと思うと感慨深い …
《準備》
・バックプレート
・ファン、ブラケットの取り付け
※ネジの取り付け部分には『防振ラバー』が装着してあり、共振を防ぎ静音性を高めています。
・RGBコントローラーの配線
※ファンとポンプのRGBライトを制御するためにファンとポンプのコネクタを『RGBコントローラー』に接続します。
準備完了!
空冷CPUクーラー「Hyper TX3 EVO」を外して取り付けです。
《水冷ヘッドの取り付け》
※バックプレート式は初めてで、慣れていないせいかもしれませんが、取り付けにとても苦労しました。バックプレートをマザーボードの裏の4つの穴から挿すだけで表側から固定しないため、ケースを横に倒しての作業ができません。(重力によりバックプレートが下に落ちてしまう!)
ケースを立てたまま、バックプレートを裏から手で押さえながら水冷ヘッドをネジで固定する、という作業は、まさにアクロバット!!(柔軟性のあるチューブとはいえ、弾性力がそうとうな抵抗となり、作業を阻みます。)
バックプレートをテープでマザーボードにとめる、という手も試みましたが無駄な抵抗!
そこで編み出した!?方法がこれ!!
厚めの本をマザーボードの裏にあててケースを倒す。これで、バックプレートが下に落ちることなく取り付けがスムーズに行えました。
付属のグリスを塗って、水冷ヘッドを装着します。
《ラジエータの取り付け》
ケースの寸法上、チューブを上向きにしての装着はできませんでした。(チューブ側が2mmくらい長い。)
※『RGBコントローラー』への配線は裏に回します。
《RGBコントローラーの取り付け》
『RGBコントローラー』へは電源ユニットからペリフェラル4ピンで給電します。ファンとポンプのモーターの電源はマザボからとるので、RGBライトを使用しない場合は『RGBコントローラー』は必要ありません。(ペリフェラル4ピンではなく、SATA電源コネクタだったらよかった!)
取り付け完了(^ ^)
点灯!!
※1回目取り付け失敗!!!
一度取りつけた後でCPU温度を確認すると60℃台でした!グリスは米粒2つ分くらい、ネジも対 角線で締めたはずなのに…
もう一度、丁寧に対角線に均等に締め直したら30℃台になりました (^ ^)
やはり、ネジの締め方は大切だった!!
《RGBコントローラーを試す》
『RGBコントローラー』で発光色(7色)、発光モード、輝度を制御できます。
・発光色(7色)
・輝度(5段階)
※発光モードも6種類用意されています。
※取り付けの様子を「換装編」として、動画にまとめました (^ ^)
(発光色、輝度、発光モードの確認もできます。)
【比較検証】
「Hyper TX3 EVO」との比較検証を行います。
《Hyper TX3 EVOの仕様》
・ファン サイズ:92 x 92 x 25 mm
回転数:800~2,800rpm
風量:15.7~54.8CFM
風圧:0.35~4.27mmH2O±10%
騒音値:17~35 dBA
コネクタ:4-Pin (PWM)
《パーツ構成》
・CPU:Core i7-7700K
・マザーボード:MSI Z270 PC MATE
・メモリ:DCDDR4-2400-8GB×2
・システム用ストレージ:SANDISK SSD PLUS SDSSDA-240G-J26
・アプリケーション用ストレージ:東芝 DT01ACA200 [2TB SATA600 7200]
・電源:玄人志向 KRPW-PB700W/85+(80PLUS BRONZE)
・GPU:玄人志向 GTX1060-6GB/OC/DF
・OS:Windows 10 Pro 64bit
其の壱 ~アイドリング時のCPU温度と回転数の比較
★「Hyper TX3 EVO」
※アイドリング時:43℃前後 ファンの回転数:1000rpm 前後
※100%:2700rpm 前後
★「MasterLiquid ML120L RGB」
※アイドリング時:37℃前後 ファンの回転数:600rpm 前後
ファンの回転数:22000rpm 前後
※100%:2080rpm 前後
其の弐 ~ゲームをした時の比較
オンラインFPSゲーム“A.V.A”「Alliance of Valiant Arms」(アライアンス・オブ・ヴァリアント・アームズ)で比較してみます。このゲーム、大好きなもので…すみません!
※MSIの「Afterburner」を使って、画面左上にCPUの温度や使用率などを表示させています。
★「Hyper TX3 EVO」
※ゲーム開始前、ゲーム中、ゲーム終了後と温度は72~74℃でした。
★「MasterLiquid ML120L RGB」
※ゲーム開始前、ゲーム中、ゲーム終了後と温度は66~68℃でした。
其の参 ~ツールを使って比較
CPUに負荷がかかった状態を再現するツール「CPUSTRES」を使って最大(Maximum)の負荷をかけてみます。
4スレッドに最大負荷をかけた場合と、8スレッドすべてに最大負荷をかけた場合とで比較します。
※優先度を「Normal」より上の「Above Normal」以上にして、8スレッドに最大(Maximum)の負 荷をかけるとPCがフリーズするので、優先度は「Normal」にしました。
★「Hyper TX3 EVO」
・4スレッドに負荷をかける
※42℃前後からから74℃前後まで温度が上がりました。
ファンの回転数は1100rpm前後から2200rpm前後まで上がりました。
・8スレッドに負荷をかける
※温度は77℃前後まで温度が上がりました。
ファンの回転数は2400rpm前後まで上がりました。
★「MasterLiquid ML120L RGB」
・4スレッドに負荷をかける
※38℃前後からから70℃前後まで温度が上がりました。
ファンの回転数は600rpm前後から1400rpm前後まで上がりました。
・8スレッドに負荷をかける
※温度は72℃前後まで温度が上がりました。
ファンの回転数は1500rpm前後まで上がりました。
其の四 ~マイニングをした時の比較
仮想通貨のマイニングにはCPUを使ったものとGPUを使ったものがあります。CryptoNightアルゴリズムを採用したBytecoin (BCN)やMonero (XMR) 、BitZeny (ZNY)などはCPUを使ってマイニングをします。長時間のマイニングはCPUにとってはかなり過酷です。
今回は、日本発祥の草コイン“BitZeny (ZNY)”をCPUマイニングして比較します。一番やりたかった比較検証です!
★「Hyper TX3 EVO」
※42℃前後からから85℃前後までいっきに温度が上がりました。
ファンの回転数は1100rpm前後から2700rpm前後まで上がりました。
★「MasterLiquid ML120L RGB」
※39℃前後からから77℃前後まで温度が上がりました。
ファンの回転数は600rpm前後から1700rpm前後まで上がりました。
【総評】
・デザイン
水冷ヘッドの『Cooler Master』の文字がくっきりと浮かび上がるライティングはとてもカッコい い と思います。試すことはできませんでしたが(マザーボードが非対応のため)、RGBライトを マザーボードと同期させることができるのも魅力的だと思います。(最近の流行り!)
私のPCも今風なオシャレなPCに変身しました (^ ^)
・取り付け
バックプレートが落ちないように表側から止めるなど、水冷ヘッドの取り付けには再考の余地が あると思います。
初心者が一人で取り付けるのは難しく大変です。
・静音性
35℃前後で600回転くらいの設定にしていますが、音は全く気になりません。さすがに 1400~1500回転くらい(70℃前後で設定)になると音は大きくなります。
本機導入前のCPUクーラーのファンが92mmと小さいため回転数が高かったこと、ファンが1つ 減ったことも静音性につながったのだと思います。
・冷却性
空冷から水冷へ換装するので冷却性能は期待しつつも、240mmや360mmなどの大きなラジエー タと違い120mmと小さいサイズなので、正直、大して変わらないのでは? という思いもあり ました。しかし、検証の結果は私の予想を大きく裏切り、5℃から最大で8℃も温度が下がる、と いう嬉しい結果となりました。
特に、マイニングでの温度が85℃から77℃に抑えられたのには驚きました。(温度上昇が+43℃ から+38℃に下がりました!)
今までは長時間のCPUマイニングは怖くてできず、Afterburner(MSI)で電力を70%に抑えてGPU マイニングをしていましたが(GPUマイニングもさすがに100%は怖い…)、これからは安心し てCPUマイニングができます (^ ^)
※比較検証の様子を「検証編」として、動画にまとめました (^ ^)
【追記】
《ポンプファンの制御》
ポンプファンの回転音は全開で回しても、ほとんど聞こえず気になることはありません。
しかし、ポンプファンも熱源になるので、アイドリング時などではできるだけ回転数を抑えた方がいいのではないか、また、そうした方がポンプの『寿命』も延びるのではないか、と勝手に思い込み電圧(DC)制御してみることにします。
ポンプファンは3ピンなので、PWMモードでは回転数を制御することができず、全開で回転します。
こんな感じです。
この状態からDCモードに変更し、電圧出力を変えることでファンのスピードをコントロールします。
『Fan tune』(msi z270 pc mate)の設定を使ってバイオスの設定を変更しました。その結果、アイドリング時ではおよそ半分の回転数に抑えることができました。冷却効果も変わらないので、満足デス (^ ^)
※設定の様子を動画にまとめました (^ ^)
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