今回、AVerMediaさんの新製品である「Sonicblast GS331」「Sonicblast GS333」「Sonicblast GS335」の3台のレビューをさせていただくことになりました。
ゲーミング用サウンドバーと聞いて、ドンドンドコドコといった重低音重視の派手なスピーカーなのか?と思ったりもしましたが、予想に反して守備範囲が広く、ゲーム以外にも映画や音楽にも十分使えるスピーカーだと感じました。もちろん調整次第で重低音の洪水に浸ることもできます。
年末年始を挟んだためか、比較的長めのレビュー期間をいただきましたので、いろいろと確認したこと、楽しんだことを紹介したいと思います。
■ 製品の概要
簡単に各製品の紹介をします。
「Sonicblast GS331」「Sonicblast GS333」は左右のスピーカーが一体となったサウンドバーといわれるスピーカーです。
AverMediaさんは、今までもゲーミングスピーカーを発売されていましたが、サウンドバータイプというのはなかったようです。今回は今までのスピーカーのような派手さを抑え、リビングに置いても違和感のないデザインの製品になっています。
Sonicblast GS331, Sonicblast GS333はゲーミング用サウンドバーという名の通り、サイズ的にもPCモニタの下部において使用することを想定しているものと思われます。自宅で使用している24インチモニタの下部に設置して左右が少しはみ出す程度なので、27インチ程度のPCモニターならばジャストサイズかもしれません。
Sonicblast GS331, Sonicblast GS333は本体正面はパンチングメタルで覆われており、その奥にスピーカーユニットが配置されています。また動作状態を示すLEDもパンチングメタルの奥中央部に配置されており、色と点滅の有無で動作状態を判断します。この色と点滅というのは多少の慣れが必要と感じました。
また底面には設置の際の防振とズレ防止のためのゴム足が付いています。かなり柔らかくてスリップするような感触ではありませんでした。Sonicblast GS333はさらに底面にウーファーが配置されています。このウーファーの配置などによる制約なのか、Sonicblast GS333のほうがゴム足の間隔が狭く、設置の際に悩まされる場合がありました。
Sonicblast GS331, Sonicblast GS333の操作は通常赤外線リモコンで行います。サイズ的にはFireTV Stickの音声リモコンとほぼ同じです(若干薄い)。
リモコンのデザインもFire TV Stickに似ているのですがボタンのゴムは少し柔らか目の感触でした。
一応本体にも基本的な操作ができる操作ボタンが付いています。緊急時以外はあまり使うことはないと思いますが、付いているとありがたいですね。
Sonicblast GS331, Sonicblast GS333のACアダプターは共通のものでした。
Sonicblast GS335はSonicblast GS331, Sonicblast GS333専用のサブウーファーで、低域を伸ばす?ために使用します。サブウーファーの中には外部入力端子のある製品もありますが、GS335はGS331またはGS333と独自の無線接続(5.1GHz帯なので、少なくともBluetoothでは無いようです)で動作するため、GS331,GS333以外の製品と組み合わせて使用することはできません。
Sonicblast GS335の本体には電源スイッチとボリューム、Sonicblast GS331 / Sonicblast GS333とのペアリング状態表示のLED兼用のペアリングスイッチがあります。ボリュームなどが付いているほうが裏面と書いてあった気がしますが、操作性を考えるとこのボリュームがあるほうが正面ではないかと思うのですが..。
ACアダプターは、Sonicblast GS335専用のものですが、DCプラグ形状がSonicblast GS331/GS333と同じ形状でした。一応DCケーブルの形状が同軸タイプと平行線タイプで異なってはいるのですが、出力電圧と電流が異なっているので誤接続して壊してしまわないようにDCプラグの形状を違ったサイズのものにしたほうが親切かなと思いました。
■ 設置編
PCで使用
自宅では、自作PCにhpのZR24wという24インチモニターをメタルラックに乗せて使用しています。
ZR24wはスピーカー内蔵ではないため、外付けでRolandのMA-5Pという20年以上前のスピーカーをつないでいます。しかもモニター横に置くスペースがないので、メタルラックの下の段に置いていました。
Sonicblast GS331、Sonicblast GS333をPCモニターの下に入れて設置してみた場合、次のようになりました。
Sonicblast GS331, Sonicblast GS333ともにモニターの幅よりも少しはみ出しますが、ZR24wは、モニターのスタンドが比較的フラットで厚みも少なかったこと、モニターの高さ調整も可能だったために特に設置しにくいということはありませんでした。全く違和感なく使用できました。
Sonicblast GS335はラックに置くことができなかったので、部屋の片隅に配置しました。こういうときにワイヤレスは便利です。(写真はACアダプター接続前に撮ってしまいました)
TVで使用
リビングに置いている東芝の32H3000にも設置してみました。このTVは2007年に購入したものでフレームがとてつもなく分厚いです。またスタンドがV字型でかなり厚みがあるため、Sonicblast GS331, Sonicblast GS333ともにTVスタンドの前に置くしかなく、設置には意外とスペースが必要になりました。
結局、Sonicblast GS331とSonicblast GS333のどちらも設置は可能ではあったのですが、スペース的には若干余裕のあるSonicblast GS331の方がよかったです。Sonicblast GS331とSonicblast GS333を床に並べてみたときは、GS333のほうが一回り大きいくらいかな?と思っていたのですが、以外とギリギリのケースもあるんだなと思いました。
またTVのリモコン受光部がかなり低い位置にあるため、Sonicblast GS331,Sonicblast GS333に隠れてしまいTVリモコンが使いにくくなるという問題もありました。TVと共に使用する場合は、多少の注意が必要かもしれません。
プロジェクター(スクリーン)に使用
自宅でのプロジェクターに使用する場合、GS331,GS333は床置きになります。この場合、干渉するものはあまりないので特に設置上の問題はありませんでした。
写真はGS333のものです(GS331でも同じようなものなので省略しました)。
床置きで比較的設置位置に余裕があったので、GS331,GS333との距離を離した時と近づけたときの2通りで確認してみました(後述)。
ゲーミングサウンドバーの名に恥じない臨場感
僕自身は正直ゲームの達人というわけではないので、ゲーム中は必死になって音のレビューもおぼつかない精神状態になってしまうことが多いのですが、何種類かのジャンルのゲームで確認してみました。ゲーミングスピーカーの名の通り、間違いなくゲームの臨場感や興奮度が向上するアイテムだなと感じました。それにゲームによるところも大きいですが、小さな子供の受けもよかったのが嬉しい誤算でした。今年の正月は親戚の子供たちの間でおっちゃんの株が上がって嬉しかったです。
入力ソース
Sonicblast GS331、Sonicblast GS333との接続は、アナログ接続(RCA端子)で行いました。
光デジタル入力でもプレイしてみましたが、ノイズ的には改善効果はあるものの小音量でのボリューム調整があまり得意ではないようでした。
光デジタル入力の場合、(各ご家庭によってTVの音量は異なるとは思いますが)ボリューム最小でも自宅でのやや大きめのTVの音量程度で、そこから1段階下げるとミュート状態になってしまったので、やむなくアナログ入力としました。
Bluetooth接続はaptXには対応していなかったのでゲームには使用しませんでした。
■ コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2(PS3)
僕が持っている数少ないFPSゲームの一つです。いまではキャンペーンモードをたまに遊ぶ程度なのですが、今回はAVerMedia Sonicblast シリーズの評価のために久々に引っ張り出してプレイしてみました。
Sonicblast GS331
TVの内蔵スピーカーの比較では明らかにレンジが広がり、緊迫感が伝わってきます。弾丸が飛んでくるときの音も生々しくなり、攻撃されているときの恐怖感も倍増しました。
Sonicblast GS331をテーブルの上に置いて、1m以内くらいの距離で聞いていると音の定位も良く敵が発砲してきた方向や、弾丸の着弾点、敵の足音などもよく聞き取れました。
サウンドバーはヘッドセットと比較するとどうしても定位などの点で不利ですが、視聴距離などを調整すればある程度は改善できると思います。
低音についてもパッシブラジエーターが良い働きをしていて、テーブルなどが振動しているのを感じます。結構スリムな本体なのですが、どこからこの低音が出てくるのか?と不思議になります。
SonicBlast GS333
同じシリーズのサウンドバーのためか、音の傾向はSonicblast GS331と似ています。
射撃音や爆発音は、Sonicblast GS333のほうがよりリアルに感じます。低音のキレ?もGS33のほうが1段上のようで、『ドンッ!』『ダンッ!』といった感じの衝撃音がSonicblast GS331よりも締まった感じの音で切れが良い感じです。
音の定位はSonicblast GS331と同じように1m以内の距離で使用した場合に特によく聞き取れました。Sonicblast GS331と寸法的に似ているためかもしれません。
低音については、射撃音などのコメントにも少し書いていますが、Sonicblast GS331よりも締まった感じの音です。
製品の仕様的にはSonicblast GS331が「35Hz~」、Sonicblast GS333が「100Hz~」なのですが聴感上はローエンドもSonicblast GS333のほうがSonicblast GS331よりも伸びている印象でした。
SonicBlast GS335
Sonicblast GS335を追加すると、(音量にもよりますが)迫力はSonicblast GS331やSonicblast GS333の数倍増しにもできます。
Sonicblast GS335のボリューム最大では、どちらかというと低音過剰なほどのバランスなのであまり頻繁に使うことはないかもしれませんが、ここまで低音を増やせるのは魅力的です。
僕の場合は次のような使い方で落ち着きました。あまり低音を増やしすぎると小さな音が聞こえにくくなるので、ハイスコアを狙うためにはほどほどに抑えておいたほうがよさそうです。
- Sonicblast GS333ボリュームはセンターから+1目盛にセット
- 低音ブーストの場合はSonicblast GS331やSonicblast GS333のリモコンでBASSを最大付近で調整。
- 低音ブーストが要らない場合はSonicblast GS331やSonicblast GS333のリモコンでBASSを最小付近で調整。 BASSが最小の場合はほとんどSonicblast GS335が動作していないような状態になります。
■ リッジレーサー7(PS3)
あまり重低音が響くイメージのゲームではありませんが、比較的やりこんでいたゲームなのでサウンドのリアル感の比較を行ってみました。
Sonicblast GS331
TV内蔵スピーカーの場合、ナローレンジで聞き疲れはしにくいものの、BGMがエンジン音、スキール音に隠れて聞きづらい感じでした。
Sonicblast GS331に替えてみると、一聴してレンジが広がったのが感じられます。BGMもエンジン音やスキール音に負けずはっきり聞こえています。また車種によるエンジン音の違いもよりはっきりと聞き取れました。また音が重なっても音がぼやけないのが好印象でした。
リッジレーサー7自体が音の定位などがスコアに影響するようなゲームではないので、Sonicblast GS331はTVの前にセットし、2m弱程度の距離で使用しました。距離が離れると音が広がる感じで、BGMを楽しみながらレースをするには適していました。
重低音は、ほぼBGMからのみです。曲のリズムにあわせてズンズンなる感じです。
SonicBlast GS333
Sonicblast GS333もSonicblast GS331と傾向は似た感じです。
Sonicblast GS331との音質の差は、コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2よりも感じませんでした。サウンド的におとなしく、衝撃音などが少なかったためかもしれません。
SonicBlast GS335
Sonicblast GS335を追加した場合、BGMの迫力が倍増します。
Sonicblast GS335の恐ろしいところは、ボリューム最大にするとあまり低音の入っていないと思っていたリッジレーサー7のようなゲームでさえ低音過剰なほどの迫力を感じることができることです。サブウーファー一つでこんなに変わるものなんだと感心してしまいました。
最終的に、リッジレーサー7を小音量で楽しむ場合にSonicblast GS331やSonicblast GS333のボリュームを小さめにセットし、Sonicblast GS335を効かせて低音ブースト状態(ボリュームセンター+1で、リモコンのBASS調整でやや低音を抑えつつ調整)にすると、全体的な音量は小さめでも低音の迫力がでてかなり楽しめます。こういった調整が簡単にできるのも独立したサブウーファーがあるおかげだなと思いました。
■ マリオカートWii(Wii)
SonicBlast GS331 + SonicBlast GS335
正月に妻の実家に親戚が集まった時に、実家に置いてあったマリオカートWiiを親戚の子供たちがプレイしました。レビューネタにということで、Sonicblast GS331とSonicblast GS335を持参しセットしました。(Sonicblast GS333はウーファーが底面に露出しているので壊されると嫌だなと思い、持参しませんでした。Sonicblast GS335も同様にサブウーファーが底面に露出していますが、こちらは子供ウケを狙う以上外せないなと思い持参しました)
子供達のプレイなので、詳細な音質レビューはできない(僕はお酒を飲んでいました..)のですが、子供たちが大喜びでプレイしていました。
Sonicblast GS335のボリュームを最大にすると、結構いろいろなシーンで震えるようで、GS335を抱えるようにして振動を感じてはしゃいでいました。
あまりのはしゃぎっぷりに壊されないか心配になるほどでした。
それぞれに個性と特長のあるスピーカー
Sonicblast GS331、Sonicblast GS333、Sonicblast GS335の徹底レビューということで、物理的な特性も含めていろいろと検証してみました。
どのスピーカーも限られた条件の中で最高の性能を出そうと考えられているのだなと感じました。光入力時の最小ボリュームをもっと小音量にできないのか?とか、アナログ入力でPCの近くに置くとノイズが増えるときがある、たまに妙なミューティング動作が起こる(後述)など、若干詰めの甘い部分も見受けられるのですが、音質はとても気に入りました。Sonicblast GS335を加えた使用が麻薬的に楽しいです。
■ Sonicblast GS331 / Sonicblast GS333共通
Sonicblast GS331とSonicblast GS333で共通の項目はここにまとめました。
バスコントロール機能
±4段階程度変えられますが、1段階くらいの変更では微妙に変化する程度でしたが、最大と最小では確かに差が感じられました。Sonicblast GS335と接続している場合は当然GS335の音量も変化します。最小段階では、GS335からはほとんど出力されなくなるので、低温が響きすぎると困るときには便利です。
イコライザ機能
GAME、MUSIC、MOVIEのイコライザコントロールは、GAMEにするとボーカルがやや引き気味になり、MUSICはフラット系かな?と思いました。MUSICとMOVIEの差があまりよくわからなかったのですが、総じてイコライザの切り替えによる変化量は極端なものではなさそうでした。
ただし変化量が極端すぎても使い物にならない場合があるので、これはこれでよいのかもしれません。
各種入力
光デジタル入力
ノイズ的には優れているものの、静かに聞きたい時などにもうすこしボリュームを下げられるとうれしいなと思うシーンがありました。自宅で使用している東芝の32H3000と比較すると、ボリューム的には結構大きい方向よりでした。
bluetooth
製品仕様のBluetoothの項目には『...(CSR)』の記載があったのでCSR社製のICを使用してapt-Xにでも対応しているという意味なのか?と思って期待していたのですが、apt-Xには対応していませんでした。AAC対応かどうかは未確認です。
SBCコーデックの特性上遅延は多めなのでFPSなどのゲームには不向きだと思いますが、スマホにDLしている音楽を聴くには便利な機能なので、あって困ることはありません。
アナログ入力(3.5mmステレオジャック&ピンジャック)
無入力時など光デジタルよりも多少ノイズが増えるような気もしますが、使い勝手は良いです。
設置環境(電磁ノイズ的な)
無入力時にボリュームを上げてゆくと『サー..』といったノイズがわずかに聞こえます。この時に周囲のノイズ環境などの影響を多少受けることがありました。
■ Sonicblast GS331
Sonicblast GS331の特徴の一つが、低音再生を担当するパッシブラジエーターです。
実際に聞いてみると、パッシブラジエーターの効果は確実に出ています。Sonicblast GS333と聞き比べをしなければ、Sonicblast GS331でも不満はないのではないかと思いました。
ゲームなどで気になる音の定位ですが、スピーカーから50cm前後が程よい距離で定位もよく感じられました。音楽を聴くにもニアフィールド的な聞き方が気に入りました。
もう少し距離を離して1.5m程度の距離で聞いた場合はやはり音の定位という点ではやや甘くなりますが、これはこれで聞きやすかったです。数人で音楽を聴いたりパーティーゲームをプレイする場合はこの程度の距離になるかと思いますが、そういった用途でも十分使えると思いました。
■ Sonicblast GS333
Sonicblast GS331とのサイズの比較では、幅は多少増える程度ですが、奥行きが伸びています。これはサウンドバーの底面にウーファーを2個取り付けているからで、ウーファーの直径分+αの奥行と、エンクロージャーの容積を確保するためかと思います。この全体的なサイズ(容積)が効いているのか、一聴して、Sonicblast GS331との違いを感じました。音の立ち上がりといった感じの表現力がさらに向上している感じです。
Sonicblast GS331との違いという点では、低域の印象が少し違う感じです。
低音自体はSonicblast GS331もうまく聞かせる工夫がしてありますが、Sonicblast GS333の方は、低域が締まった感じでGS331から切り替えた瞬間は低域が減ったようにも感じるのですが、よくよく聞いてみると結構出ていることがわかります。
また最低域もSonicblast GS333のほうが出ているようです。
■ Sonicblast GS331+ Sonicblast GS335
Sonicblast GS335のボリューム次第ですが、やはり低域方向の量感が一変します。部屋が揺れるような大音量で鳴らすことはできなかったのですが、それほど大きくない音量でもまさに一瞬空気が震える感じが体感できます。
最近の音楽でも意外と低音成分は入っているので、Sonicblast GS335をつないでいると『この曲ってこんなに低音が入ってたんだ?』と驚くことも多いと思います。
Sonicblast GS335はボリュームが付いているので、ボリュームの位置により低音の出方がかなり変わります。ボリュームセンターを中心に、±1目盛り程度で後はSonicblast GS331/333のリモコンのBASSボリュームで調整すると大抵のシーンに対応できると思います。
オーディオ的に細かく聞いてゆくと、Sonicblast GS331とSonicblast GS335のつながりがたまに気になる時がありました。後で周波数特性を測定してみたのですが、110Hz付近にディップがありました。ただし測定したのは自宅リビングなので、部屋の定在波の可能性もあります。
またこのディップもゲームや映画ではほとんど気にならないというか、むしろ気づかないことのほうが多いのではないかという程度のものでした。
■ Sonicblast GS333+Sonicblast GS335
Sonicblast GS333とSonicblast GS335を組み合わせた場合は、Sonicblast GS335の低音の印象が強くて、聴感上はSonicblast GS331+Sonicblast GS335の組み合わせと似たような感じになります。
それだけSonicblast GS335の効果が大きいということでもあるのですが、低域はSonicblast GS335の音圧のほうがはるかに大きいので、Sonicblast GS335が支配的になる感じです。
音のつながりという点では、Sonicblast GS331 + Sonicblast GS335の時よりもよくなっているように感じました。
■ 周波数特性の比較
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333とそれぞれにSonicblast GS335を追加した場合の周波数特性を比較してみました。
測定に使用したソフトウェアは、efuさん作のWaveGeneとWaveSpectraです。
測定結果の詳細は、下の方にまとめていますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
ここでは、結果のみ簡単に紹介します。
Sonicblast GS331 vs Sonicblast GS331 + Sonicblast GS335
Sonicblast GS331単体の場合、300Hzから徐々にレベルが下がってゆきます。
Sonicblast GS331にSonicblast GS335(ボリューム最大)を接続すると80Hzをピークに70~100Hzあたりのレベルがぐんと上がります。
100Hzあたりの音というと、飛行機(旅客機)が上空を飛んでいる時に聞こえる音位の周波数です
GS335の働きにより、ものすごく音の迫力が出ます。
Sonicblast GS333 vs Sonicblast GS333 + Sonicblast GS335
Sonicblast GS333とSonicblast GS331の周波数特性が一番異なっているのは300Hz以下の帯域です。
Sonicblast GS333は、300Hz以下は多少レベルが下がるものの、比較的フラットな特性なのでSonicblast GS335と接続して重低音をブーストした際のつながりもSonicblast GS331よりもうまくつながっている感じでした。
■ レスポンスの比較
Sonicblast GS331とSonicblast GS333を色々と聞き比べていると、Sonicblast GS331のほうが若干ですが低音のエコー感のようなものを感じることがありました。
僕はタイトな低音至上主義というわけでもないので、少し緩い位の低音もそれはそれで楽しいと思っています。ただレビューということなので、一応低音のレスポンス(音の立ち上がりや立下り)を測定してみました。
詳細は結果は下の方にまとめていますが、120HzではSonicblast GS331とSonicblast GS333の差はあまりないのですが、80HzになるとSonicblast GS331のほうはSonicblast GS333よりも振動が止まりにくい傾向にありました。Sonicblast GS331のパッシブラジエーターの共振周波数が80Hz付近なのかもしれません。
さらにSonicblast GS335のほうは、ゆっくり振幅が増えてゆき、ゆっくり振幅が減ってゆくという特性でした、Sonicblast GS331よりもさらにレスポンス的にはゆっくりかもしれません。
まぁ電気特性てきにはこのような結果なのですが、聴感上はSonicblast GS335の低音は特にゆっくりと感じることもありませんでした。マトリックスDVDのマシンガンの低音も一応分離していましたし。
特に他社製品との比較も行っていないので、これが普通なのかむしろ良いほうなのかの基準もないというのが実情です。機会があれば他社製品の特性も測定してみたいとは思いますが、近々その予定があるというわけではありません。
最後に補足情報ですが、Sonicblast GS335の無線伝送による遅延は約60msecでした。
壮大な勘違いで申し訳ありません。当初遅延はSBC並みなどとコメントしていましたが、各種コーデックのレイテンシはSBC:220ms(±50ms)、AAC 128kbps:120ms(±30ms)、aptX:70ms(±10ms)とのことなので、GS335のレイテンシはapt-X並みでした。謹んで訂正させていただきます。
■ 微小入力時のミューティング?
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333,Sonicblast GS335が届いて最初に聞いてみた日から、たまにですが出力される音に微妙な違和感を感じることがありました。
発生するケースとしては2つあり、夜中に小音量でTVを見ているときに、静かなシーンで音や台詞が瞬間的に小さくなるケース。そして同じく静かなシーンで多いのですが、音がこもって聞こえるケースがありました。逆に多少でも音量が大きめの場合はこのような現象は発生しなかったような感じでした。
いろいろなソースや使用条件で試しているうちに、上記のケースは、入力レベルが低い時に発生しがちであることがわかりました。例えば、GS331やGS333をTVのヘッドホン端子に接続し、GS331,GS333側のボリュームが最大、TV側のボリュームを小さくしてTVリモコンで音量調整するようなシーンです。
逆にBDレコーダーのRCA出力(出力レベル固定)や、光デジタル入力(こちらも通常出力レベルは固定)では妙な違和感を感じることはありませんでした。
微小入力時(+タイマーとの組み合わせかもしれませんが)にはミューティングを聞かせる回路になっているのかもしれないと思い、アナログ入力のレベルを下げていった時のリニアリティを確認してみました。測定周波数が16kHzとかなり高いですが、環境ノイズを含めたS/Nが取れる周波数ということで決定しました。
アナログ入力なので、Wavegeneで設定した入力レベルは参考値で実査に入力されているレベルはもっと低いと思います。あくまで相対的な変化に注目してみていただければと思います。
入力レベルが-40dBの時にWaveSpectraのFFT結果は-40.5dBでした。ここから10dBステップで入力レベルを下げてゆくと、-60dB入力時に本来は-60.5dBの出力が出るはずですが-70.6dBしか出ていませんでした。ここで16kHzは-60dBのままですが、1kHz,-50dBの信号を加えてみると16kHzの出力が-60.9dBとほぼ予想通りの出力になりました。
GS331,GS333はこの微小入力時のミューティング?回路が使用環境によってはリスニング中に発生してしまう可能性があります。ひょっとしたらアンプ回路のゲイン設計またはアンプICのパラメータ設定で改善できる可能性もあるので、何かのタイミングで見直されるともっと使いやすくなるのではないかと思いました。
この-60dB入力ですが、1kHzで-60dBを入力した場合、小さなささやき声程度の音量でした。(申し訳ないですがボリューム位置は不明。どちらかというと低いほうではなかったかと思います)
念のため補足しておきます。小音量時の特定の条件で時折感じる妙なミューティングが気になったので、『サウンドバー 小音量 違和感』というキーワードで某先生に聞いてみたところ、某(某ばかりですみませんが、お察しください)価格比較掲示板がHitしました。その掲示板によると国内AV機器メーカーのサウンドバーでも同じような問題が数年前に発生しており、『サウンドバーはある程度の音量で聞くものだ』とメーカー関係者に言い切られてしまった方もいるようです。
そういう意味ではこの小音量時の現象は特にこのSonicblastシリーズ特有のものではなさそうです。(ただし個人的にはぜひ改善してほしいです。音は良いのに使用シーンが限られるのはもったいないです)
90インチスクリーンの画にも負けないハイポテンシャルスピーカー
■ 音楽鑑賞
THE GREAT JAMBOREE 2014“FESTIVARENA”日本武道館【DVD】
ゲームプレイでもなかなかの実力を見せてくれたGS3兄弟ですが、音楽鑑賞も試してみました。
ソースはスピッツのDVDです。
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333そしてそれぞれにSonicblast GS335を使用した場合の4通りで試してみました。
Sonicblast GS331とSonicblast GS333はよく似た感じなのですが、Sonicblast GS331のほうがやや低音でエコー感を感じることがありました。
そしてSonicblast GS335を使用した場合は曲の感じが変わります。
全体的には結構大人しめの音量にセットしていたのですが、Sonicblast GS335の比較ということなのでSonicblast GS335のボリュームはいつもより大きめにセンター+α程度にセットした状態で視聴してみました。
1枚目のDVDに収録されている『涙がキラリ☆』では、曲が始まる瞬間にバスドラムでしょうか、ほんの一瞬ですが低音のうねりが『ドンッ』と押し寄せてきます。これで『ドキッ!』とさせられてしまうんです。
『低音なんて大して入ってなさそうなスピッツのDVDにこんな低音が入っていたのか..』と驚くことしきりでした。低音が響くのが楽しくてSonicblast GS335のレベルを大きめにすると、ドラムのリズムに合わせてわずかに低音が響いてきます。これによりライブ感もでて聞いてて楽しい感じになります。
ただしSonicblast GS335のボリュームを上げすぎると今度は草野さんのボーカルやギターの音色が聞き取りづらくなってきます。これはSonicblast GS335の特性というよりはマスキング効果と言われる人間の聴感特性によるものだと思います。
ボーカルがよく聞こえるように調整すると迫力が減る。迫力を追い求めるとボーカルやギターが効きづらくなる(=楽曲の美しさが失われる)ということで、うまくバランスするように調整しようかと試してみたりしたのですが、曲によって低音のバランスも異なっているのでそれほどシビアに追い求めることもできず、最終的には『Sonicblast GS335あり/なしの2通り楽しめるんだ』と考えることにしました。
■ 映画鑑賞
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333にはHDMI入力端子がないので、この点で5万円台~のAV機器メーカーが発売しているサウンドバーとの機能的な違いがあります。またDolbyやdts系のサラウンド音源のデコードにも対応していません。DSPを用いたバーチャルサラウンドにも対応していません。
こういった機能面での制限から、本格的なホームシアターを持っていない方が現在使用されているTV環境の音質向上のために使用するといった使い方が向いていると思います。
マトリックス
DVDのレビューでも書きましたが、Sonicblast GS331,Sonicblast GS333,Sonicblast GS335の映画鑑賞で僕にはぜひ確認したいことがありました。
それはマトリックスで、ネオがモーフィアスをヘリコプターで救出するシーンです。
ここでは、ネオが連射するマシンガンと、エージェント・スミスが応戦するハンドガンの2種類の射撃音があります。そして、再生するスピーカーの低音再生能力によって2種類の射撃音の聞こえ方が変わります。
このマシンガン連射シーンの周波数分布を調べてみると、なんと40Hzがピークで、20~100Hzあたりにマシンガンとハンドガンの低音部が分布している低音中心のバランスになっています。
(下の図の灰色の線)
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333ではエージェント・スミスのハンドガンのほうが迫力があるように聞こえました。これは200Hz以下で音圧レベルが低下しており、40Hzを中心としたマシンガンの低音を再生できていないためと思われます。(上の図のピンク(GS331)と緑(GS333)の線)
それぞれの線は、FFTの結果からハンドトレースでしたものです。部屋の定在波や反響などにより、メーカーで測定するような曲線にはならないということにご注意ください。
またSonicblast GS331,Sonicblast GS333でレベルが違っていたり、高域の特性が違っていますが、おそらく部屋の特性や周囲の騒音などの影響と思われるので低音部にのみご注目ください。
Sonicblast GS331+Sonicblast GS335、Sonicblast GS333+Sonicblast GS335の場合はマシンガンの1発1発ごとに低音がリズミカルに響いてくるように聞こえました。
ただし40Hzというような超低音というところはあまり感じられませんでしたので、サブウーファーとしてのレスポンスは優れているものの、超低音の再生までは無理だった(1万円程度のサブウーファということを考えるとこれでも上出来だと思います)ということでしょう。
GS335を追加した効果はGS331,GS333であまり差がなかったので、下の図はGS331+GS335の結果を同様にハンドトレースしたものを載せています。GS335はボリュームで低音の効き具合を調整できるので、下の図の青い線の部分はボリュームの位置に応じて上下することになります。
文章にしてみるとSonicblast GS331単体,Sonicblast GS333単体の低音が不十分に読めてしまうかもしれませんが、マトリックスの気違いじみた低音バランスのシーンをを繰り返し再生して、それぞれのスピーカーを切り替えて聞いているのでわかるのであって、通常はそれほど気にならないのではないかと思います。当たり前ですがこのマシンガンシーンをTVで再生すると、マシンガンもハンドガンもパンパンと軽い発射音が聞こえるだけです。
君の名は。
正月に地上波で放送されていた『君の名は。』(テレビ朝日さんへのリンク)をプロジェクターとSonicblast GS333 / Sonicblast GS331 + Sonicblast GS335を使って観てみました。
一般的に、プロジェクターを使って大画面に映画を見るときは、オーディオ系もスクリーンに負けない能力が必要と言われています。
Sonicblast GS333 / Sonicblast GS331はDolby系やdts系のマルチチャンネルフォーマットに対応していないので2chステレオとしての視聴ということになりますが、この制限の中でそれだけの音が出てくるか試してみました。
接続としてはPanasonicのBDレコーダーで録画した番組を、HDMIオーディオスプリッターで音声分離し、映像側をプロジェクターに、スプリッターのアナログ音声出力をSonicblast GS331 / Sonicblast GS333 に接続しました。
マトリックスのレビューでは周波数特性にこだわったレビューだったのですが、こちらは純粋に映画を楽しめるか?といった100%官能評価です。
『君の名は。』では彗星の分裂した核が落下するシーンもありますが、天災のシーンなので過度に刺激的にならないような配慮なのか、その瞬間は無音です。
最も低音が響いたのは変電所の爆破シーンですが、意外と色々なシーンで低音が出てきます。また随所で流れるRADWIMPSの劇中歌でもSonicblast GS335は意外と効いており、90インチのスクリーンと一体となったかのようなサウンドが(スクリーンサイズとの比率的に)こんな小さなスピーカーから出てくるのが信じられないように感じました。
上を見ればきりはないですが、ボーカルもクリアで聞きやすく、Sonicblast GS333 / Sonicblast GS331 / Sonicblast GS335は映画にも十分使えると思いました。
スクリーンに映し出される映像と音響が見事に一体化しており、この映画については2chでも全く不満はなく感動できました。家族で見ていたのですが、みな一言も話をせず見入っていました。
妻は映画館の大きな音が苦手で、『君の名は。』も映画館で観てはいたのですが、自宅での視聴で全体ボリューム抑え目、低音やや多めというセッティングがとても気に入ったようです。
肝心の音質比較ですが、つい映画に見入ってしまうのでSonicblast GS331とSonicblast GS333の違いを確認するのも大変でした。途中で再生を止めて切り替えるときの家族の冷たい視線が忘れられません...。
結果的には音楽鑑賞などよりはSonicblast GS333 / Sonicblast GS331 の差を感じませんでした。ブラインドではきっとわからなかったと思います。
これは『君の名は。』は台詞が多い映画で、アクションシーン的なものがあまりなかったためかもしれません。
視聴位置による変化ですが、Sonicblast GS333 / Sonicblast GS331を壁際に設置して3mほどの距離を取った時は、定位はやや甘めですが、壁面反射の影響か部屋が音で包まれるような一体感が感じられました。
Sonicblast GS333 / Sonicblast GS331を手前に寄せて、2mくらいの距離で聞いた時には反射が少なくなったのかエコー感が減り、音の定位も良くわかるようになってきました。ゲームでも似たいような傾向でしたが、数人程度で聞く場合ははこちらのほうが良いかもしれません。
結論としておススメは..
あくまでコスパ重視の個人の意見ですが、我が家でSonicblastシリーズを購入するとした場合、Sonicblast GS331 + Sonicblast GS335になるのではないかと思います。
理由は、Sonicblast GS331は本体サイズが小さく、スピーカーも露出していないので設置や移動にあまり気を遣わずに済む点が挙げられます。
音質的にはSonicblast GS333のほうが優れていますが、Sonicblast GS335も同時に購入することを前提に考えるとSonicblast GS333とSonicblast GS331の差額をSonicblast GS335の購入費の一部に充てたいという考えもあります。
まぁ人それぞれとは思いますが、一応の結論ということでこの辺りでレビューを終えさせていただきたいと思います。
使用機器など
TV:東芝 32H3000
モニター:hp ZR24w
ゲーム機:Wii
PC:Intel H81マザー+Pentium G3260
AVアンプ:DENON AVC-A1
BDレコーダー:DMR-BZT720
その他:Amazon Fire TV Stick
[興味のある方のみ]周波数特性の測定詳細
見にくい画面キャプチャーと解説不足な説明文で、あまりわかりやすくはない項目になっています。興味のある方のみ見ていただければと思います。
Sonicblast GS331,Sonicblast GS333とそれぞれにSonicblast GS335を追加した場合の周波数特性を比較してみました。
測定に使用したソフトウェアは、efuさん作のWaveGeneとWaveSpectraです。
最初にSonicblast GS331単体と、Sonicblast GS333単体の比較です。
ピンクの線がSonicblast GS331単体、緑の線がSonicblast GS333単体です。
300Hzから上はほぼ同じ特性なので、フルレンジのスピーカーユニット自体は同じものかもしれません。300Hz以下の周波数で両社の差が出始めており、特に110Hz以下では差が大きくなっています。
念押しですが、この測定室は自宅リビングでの測定ですので周囲の騒音(一応測定信号とは10dB以上の差が出るように注意していますが)や部屋の定在波、反射などの影響が含まれています。
次に、Sonicblast GS335の特性を測定してみました(Sonicblast GS331 + Sonicblast GS335の測定結果からSonicblast GS331の特性を目分量で除いた簡易的なものです)
Sonicblast GS335の音圧は本体のボリューム次第でいくらでも変えられるので、下の図は一例と思ってください)
Sonicblast GS331の300~400Hzのピークを上回る音圧をSonicblast GS335が発生しています。明らかに低音過剰ですが、ボリュームで低音を弱めることはいくらでもできますので、このくらいの音圧が出るのはシーンに応じて使い分けることを考えると良いことではないかと思います。
図中のコメントでも記載していますが、40Hz以下の超低音はほとんど出力されていない感じです。周波数特性の測定で周波数をスイープさせてゆくと、40Hz前後から急に出力されるような印象だったので、内部のアンプで40Hz以下をカットしているのかもしれません。
レビューがあまり長くなりすぎるのも問題なので、Sonicblast GS333+Sonicblast GS335の結果は省略しています。低音の傾向的にはSonicblast GS335のキャラクターが支配的になるのであまり変わりませんが、Sonicblast GS331のような110Hz付近の落ち込みがSonicblast GS333にはないので、Sonicblast GS335とのつながりはより自然な感じです。
[興味のある方のみ]レスポンスの測定結果詳細
ゲームをプレイしたり、DVDを見たりしたときにSonicblast GS331のほうが低域にややゆったりした感じがあるのが気になったので、数点の周波数ごとのレスポンスを調べてみました。
見た目で分かりやすいバーストサイン波を使用しました。
測定した項目は立ち上がり時の遅延と立ち上がり時間、立下り時の遅延と立下り時間です。
ただし各数値はすべて波形を見たうえでの目分量なので、多少の誤差は発生しているものと思います。参考情報としてみていただければと思います。
バースト波で測定する項目についてすこし解説します。
ディレイ(遅延、レイテンシなど)
光デジタルやアナログ信号、Bluettothなどの入力信号に対して実際にスピーカーから出力されるまでに多少の時間がかかります。ディレイが発生する主な要因は、A/D、D/A変換やBluetoothなどの無線通信での通信方法による遅延があります。ひょっとしたらパッシブラジエーターなどの受動的に振動する振動板でもディレイが発生する可能性があるので今回調べてみました。
立ち上がり
スピーカーは入力された信号に100%追従することはできません。特に一定のレベルの信号が入力された後に、スピーカーから信号される出力が定常状態に至るまでの時間を立ち上がり時間としています。
注:通常の信号の立ち上がりでは10% ⇒ 90%の時間としていたりしますが、今回は振動波形の立ち上がりで、しかも目分量による比較ですので、単純に見た目でほぼ100%に至るまでの時間としています。
立下り
立下りは、立ち上がりとは逆に、入力信号がなくなった後にどれだけの時間余計に振動しているかという項目です。これも目分量なので参考程度に。
1kHz
Sonicblast GS331とSonicblast GS333で最も差が出にくいフルレンジスピーカーの帯域ということで、1kHzサイン波のレスポンスを調べてみました。
どちらも遅延が4ms(波形上は8msの遅延ですが、マイクとして使用したLS-7の遅延が4msecありますので、実際は4msの遅延ということになります)です。
立ち上がりもどちらも1.5msec程度でとても優秀だと思います。
GS331とGS335で波形の振幅方向の拡大率が違ってしまっていますが、波形はとても良く似ています。
120Hz
120Hzでは、GS331のパッシブラジエーターの特徴なのか、立ち上がりはGS333と似た感じですがバーストの終わりの波形の乱れ方がGS333よりもやや大きい感じです。
80Hz
80Hz以下では立ち上がりに時間がかかるようになってきたため、バースト時間を300msecにしています。
立ち上がりはGS333のほうが早く、バースト終了時の波形の乱れも少ない感じです。
50Hz
50HzではGS335との組み合わせも追加しました。
50Hzになると、GS331単独ではほとんど出力されていません(測定ミスを疑って何度か測定したのですが同じ結果でした)。
GS333は50Hzでもきちんと出力されています。ウーファーの効果がきちんと出ているようです。
GS335を追加するとGS331とGS333の波形はほぼ同じになります。GS335を追加することで、重低音に関してはGS331とGS333の差はほぼなくなるといって良いでしょう。
GS333はGS335よりもバースト開始時の遅延が少ないのですが、立ち上がりにやや時間がかかる感じです。GS335は無線接続の影響によるものではないかと思いますが、遅延は大きいです。ただし立ち上がり自体はGS333よりも早いので。振幅が安定するまでにかかるトータルの時間はほぼ変わりありませんでした。
80Hz + 1kHzの複合サイン波
単体の周波数の遅延だけではわかりにくい部分もあるかと思いましたので、フルレンジスピーカーが担当する1kHzと、パッシブラジエーターやウーファーが担当する80Hzの複合バーストサイン波を用いて、各周波数の遅延や立ち上がりの差を確認してみました。
GS335は明らかに80Hzの振幅が大きく、1kHzが重畳されていてもはっきり確認できます。
GS331,GS333は80Hzの振幅が小さめで、どこから出力され始めたのかわかりにくいです。
80Hzの場合、GS335は立下り(波形が消えるまでの時間)が100msecを超えており、意外と時間がかかっているのがわかりました。ただ映画を見ている限りではそれほど極端にエコーっぽい感じはしないので、部屋の残響特性の影響もあるのかと思いますが聴感上はあまり気になりませんでした。
GS335が無線による接続なので遅延も気になっていたのですが、GS331単体とGS331+GS335の立ち上がり遅延の差から、無線伝送による遅延は60msec前後であることがわかりました。
更新履歴
[2018/01/15] 使用機器のOLYMPUS LS-7とRoland UA-1Xをモチモノとして登録し移動しました。
[2018/01/14] GS335のレイテンシのコメントを修正(済みませんでした)
小音量時ミューティング現象のコメント追加
[2018/01/13] レスポンスの項目が長かったので波形の一部を削除&図の一部を差し替え。
徹底比較の項目を修正(スリム化)
[2018/01/12] 細かな誤記修正
[2018/01/11] 周波数特性のグラフを見やすく修正し、コメントも修正&整理しました。
誤記修正&更新履歴を本文から最後に移動しました。
[2018/01/10] マトリックスのFFT結果を修正して見やすくしました。
[2018/01/09] 周波数特性、レスポンスの項目修正とマトリックスDVDの紹介文を削除。
aPieceOfSomethingさん
2018/01/08
今回、1か月近いレビュー期間があり、また正月休みもあったため、とめどなく実験してしまいました。
レビューもカオス状態になってしまっているので、徐々にスリム化を図ってゆきたいと思います。
誤記や編集漏れなど気が付いた点がありましたらコメントにてご連絡いただければ幸いです。
それにしても4通りのスピーカーの音質比較は疲れました...。
タコシーさん
2018/01/11
デジタルの所為か音場帯域が素晴らしいです
サブウーハーの効果がハッキリ判ります かなりブーストしますね
単音バースト信号では331,333共似たような波形になるので似たような回路なのかな...
多分違うでしょうけど
複合バースト信号はちょっと判らないですね
こういう環境が欲しいですね モニターもプロジェクターも無いし...
自宅の環境が悪い所為にしますわ....
aPieceOfSomethingさん
2018/01/11
コメントありがとうございます。
最近のスピーカーは小型でも低音が出るんですね。
昔のドロンコーンと言っていた時代のイメージの悪さからは考えられないです。
高級スピーカーでもパッシブラジエーターを使っているものもあるので、素材や
設計技術が良くなったのかもしれないですね。
Amazonでもパッシブラジエーターが数百円で売っているので油断ならないです。
そのうち自作スピーカーでもパッシブラジエーターが一般的になってくるかも
しれないなと思いました。
アンプ回路は331と333で似たものを使っているような気もしますが、333では
ウーファー用のアンプの出力W数がメインとアンプとは別に記載されているので、
アンプが独立しているような感じですね。
バースト信号の測定は今回初めて試してみたので、どういう波形が出てくるものなのか
手探り状態でした。そのうち時間を見つけて他のスピーカーでも試してみたいとは
思っています。
aPieceOfSomethingさん
2018/04/11
改めていろいろと見ていると、隙間を徹底的に塞いでいるのに気が付きました。あらゆるパーツの組み合わせ面にクッションやらテープやら、ボンドのようなものとかが貼られていたり塗られていたりしていました。
隙間があるとパッシブラジエーターの効果もあまりでないので、結構まじめに作られているんだなと思いました。
何度も繰り返してしつこいかもしれませんが、次期モデルにはゲイン切り替えスイッチがあるとうれしいような気もします。(例えば FX-AUDIOさんの FX-501J とか....。)
aPieceOfSomethingさん
2018/06/12
家族で会話をしながらBGM的に静かに鳴らす場合にこの現象が気になることがあるので、いろいろと調べていました。
最初はD級アンプICのTI製 TPA3118のミューティングが変なタイミングでONになってしまうのかと考えていましたが、どちらかというとDSP ICのNuvoton製 NPCA110Pが原因のような気がしてきました。
NPCA110Pは、DAW業界では有名な?プラグインを開発しているwaves社の Maxx?を搭載しています。
搭載されている Maxx** は次の通りです。
MAXXBASS
MAXXTREBLE
MAXXEQ
MAXXVOLUME
MAXXLEVELER
MAXXDIALOG
例えばMAXXBASSは低音増強(音響心理学の応用で、低音の倍音成分を増強することで小型のSPでは再生できない低音が聞こえるように感じる)です。全て説明するのは大変なのですが、この中で微小音消失に関係がありそうなのはMAXXVOLUMEです。
MAXXVOLUMEは、限られたDレンジの再生系でも微小音が消えないように小温量部分をブーストする機能もあるのですが、その機能の一部で、ノイズまで増えてしまわないようにノイズフロア(と設計者が判断した)レベル以下をカットする機能があります(GATE機能)。
このGATE機能で設定されたレベルと、GS331,GS333それぞれのシステムとしてのゲインのミスマッチ(システムのゲインが大きすぎる)があり、入力レベルを絞って小音量で再生している場合に、微小音がGATEに引っかかってマスクされてしまうようです。
NPCA110Pは、MAXX自体が特許がらみなのでNDA(秘密保持契約)を結ばないと詳細なデータシートは入手できないようです。
(改造前提で)ユーザーができることといえば、NPA110P以降のゲインを下げて(できればゲイン切り替えスイッチを増設して)、小音量時用に低ゲイン化することかなと思います。
でもこれは『zigsowプレミアムレビュー的にはアウトなのではないか?』という不安もあり、今一つ踏み切れていません..。