Pioneer XDP-30Rは、上位機種のこだわりはそのままに
ハイレゾ携帯オーディオプレイヤーの裾野を広げる名機
クラシックやJAZZといった、アコースティックな生演奏で本領を発揮!
一方で、POPやRock、R&B、アニソンなど、どんなジャンルの曲も受け入れる懐の深さも持ち合わせる、優秀で扱いやすい名機です。
■外観
アルミ削りだしで作られたフレームは、高級感と剛性のほか、良好なノイズ特性に貢献しているようです。
表面
前面はスマホと同様に、タッチパネル対応の(ほぼ)全面ガラス張りです。
裏面
背面はプラスチックパネルが装着されています。
背面パネルは傷つきやすいので、純正カバーの装着を推奨します。
1. 曲送り※ 2. 再生/停止※ 3. 曲戻し 4.5. micro SDカードスロット 6. HOLD
7. ボリュームダイヤル 8. 電源 9. パイロットランプ 10. 3.5㎜アンバランス出力端子
11. 2.5㎜バランス出力端子 12. micro USB 充電/データ転送 端子(USB2.0準拠)
※早送り・巻き戻し機能は割り振られておらず、必要な場合はタッチパネルで操作します。
■特徴的な機能
ハイレゾ再生
192kHz/32bit、5.6MHz/1bit まで対応(それ以上のファイルも再生は可能)
バランス出力端子
左右の音声を完全に分離した状態の信号を出力することで、非常に高音質な音楽を楽しめます。
2.5㎜4極端子が必要です。
デュアルDAC & アンプ
DAC(デジタルデータをアナログ音声に変換する回路)と、アンプ回路が左右で別々に用意されています。
ざっくり言うと、左右の信号が混信しないので、とても音質が良くなります。
DAC⇒アンプ⇒バランス出力端子⇒イヤホンと音が伝わっていきます。
USBメモリスロット
1スロットあたり200GB、合計400GBの容量を拡張できます
無線LANとWEBラジオ
11a/b/g/n 対応で、radiko、tuneinに接続できます
Bluetooth
専用アプリをインストールしたスマホを、リモコンとして使用できます
■対応ファイル形式
MP3、AAC、FLAC、ALAC、WAV、AIFF(DRM非対応)、DSF、DSDIFF
※WMAは非対応
音よし、使い勝手よし、アプリよし
基本はナチュラル・フラット・クリアー
クリアーというと、クリアー感を無理やり演出している機器も見受けられますが、XDP-30Rはナチュラルな音にもこだわっており、不自然な味付け感は感じられません。
同様に、原音の世界観を損なわないようプレイヤー側の特性もフラットです。
イコライザーやBass Enhancerも、弱めに調整してある点に好感がもてます。
XDP-30Rを使うと、普段使っているオーディオがいかに音を損なっているかわかります。
それだけ細かい音も忠実に再現しています。
高音の硬さと、低音の解像度不足が感じられますが、曲の世界観を損なうほどではありません。
バランス接続では、いよいよXDP-30Rの本領発揮です。
最初に音が出た瞬間は、思わずおおすごい!と声がでました。
高音の硬さ、低音の解像度不足は身をひそめ、すべての領域の音が原音に忠実に飛び出してきます。
特にクラシックやJAZZなどの生演奏の曲では、収録場所の臭いや床の質感などを感じられます。
ただ音が出てきているだけですが、本当にその場で演奏を聴いているかのような、臨場感豊かな世界を楽しめます。
バランス接続に際し、下記の部材でケーブルを自作しました。
e-onkyoで購入したハイレゾ音源と、mp3 44.1kHz/16bit音源を比較しました。
mp3ファイルは、AIMPでWAVに、Freemake Audio Converterにてwavからmp3へと変換しました。
※曲情報は、e-onkyoから引用
※特別な断りが無い限り、アンバランス接続での評価です
ーーーーーーーーーー クラシック代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : バッハ:プレリュード ~無伴奏チェロ組曲第1番
アルバム: チェロ・チェロ ~ヴァリアスチェロ~
演 奏 : 藤森亮一
ファイル: wav 96kHz/24bit
お奨め度: ★★★★★
お奨め度: ★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
チェロの独奏曲で、ウィスキーのCMで聞いたことがあるのではないでしょうか。
まずは豊かな低音と、伸びやかなミッド、音の奥行に頬がゆるみます。
音の厚み、情報量が明らかに違い、本当に生演奏を聴いているかのような体験ができます。
弦楽器を演奏したことのある方なら、楽器の鳴りや振動が手に感じられるのではないでしょうか。
バランス接続
チェロの音は最高の一言で、とくに低音の解像度の高さと豊かな厚みは、並のオーディオではそうそう楽しめません。
ーーーーーーーーーー JAZZ代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : アー・ユー・リアル
アルバム: モーニン +2[The Masterworks]
演 奏 : アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ
ファイル: FLAC 192kHz/24bit
お奨め度: ★★★★★
お奨め度: ★★★★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
XDP-30Rの生演奏の生々しさには何度聞いても感動しますが、この曲ではとくにサックスが素晴らしいです。
この曲をハイレゾで聴きながら電車通勤すると、満員電車での憂鬱な気分も吹き飛びます。
音楽の持つ底力ってすごいんだなと体感しました。
バランス接続
まるで収録場所の絨毯の香りが香ってくるほどの臨場感で、何度聞いても感動します。
ヤバイですとしか表現できません。
ーーーーーーーーーー J-POP代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : 熱視線
アルバム: ハイレゾxベスト 安全地帯
演 奏 : 安全地帯
ファイル: FLAC 96kHz/24bit
お奨め度: ★★★☆☆
お奨め度: ★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
ライブ盤ではなくアルバム盤で、ギター以外にも、全体的にエフェクトがかかっています。
ボーカルはエフェクトの影響で、mp3との差異は感じられませんでした。
ギターは伸び、倍音感が増し、ツヤっとした音になりました。
ヘアエステでツヤツヤサラサラになった感じでしょうか。
バランス接続
エフェクトの気持ち悪さがウソのように消え、玉置浩二さんの美しい声がバブリーな香りとともに漂ってきます。
演奏自体も艶っとしっとりして、曲の世界観がよく表現され気持ちいいです。
ーーーーーーーーーー アニソン代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : Cutie Panther
アルバム: Cutie Panther
演 奏 : BiBi(歌)
ファイル: FLAC 96kHz/24bit
お奨め度: ★☆☆☆☆
お奨め度: ★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
トランスに歌を合わせたノリノリの曲ですが、この手の曲は変化が少ないです。
スパイクのように突出した部分が穏やかになる感じはあります。
バランス接続
解像度が上がることでタイトさが出てきて、主張の強いカリっとした音にまとまりが出ます。
曲の雰囲気がグっと出てきて、ペンライトをもって応援したくなります。
ーーーーーーーーーー DSD代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : アダージョ (アルビノーニのアダージョ)
アルバム: クァルテット・エクスプローチェ~響炎する4本のチェロ~
演 奏 : Quartet Explloce
ファイル: DSD 5.6MHz/1bit
お奨め度: ★★★★★
お奨め度: ★★★★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
はじめからDSDで収録された曲だそうです。
情報量は192kHz/24bitよりもさらに多く音の厚みも増しますが、くどくないです。
生演奏感はDSDが最も強いと感じました。
曲のイメージはもちろん、奏者や作曲者の内面をも映し出す表現力には驚きました。
町中でこの曲がかかってくると、おもわずニヤニヤしてしまい漏れなく怪しまれます。
バランス接続
小部屋で収録されたであろう曲ですが、その臨場感が増すことで 目の前で演奏している感覚がより強くなります。
収録場所の関係で、曲の持つ世界観は若干引っ込んでいますが、その分奏者をより強烈に感じられます。
ーーーーーーーーーー 32bit代表 ーーーーーーーーーー
曲 名 : ヴィヴァルディ: ヴァイオリン協奏曲 ホ長調「四季」より 「春」 Op.8
アルバム: クァルテット・エクスプローチェ~響炎する4本のチェロ~
演 奏 : チョーリャン・リン[ヴァイオリン],
アンソニー・ニューマン[チェンバロ/ポジティーフ・オルガン],
セジョン[アーティスト]
ファイル: wav 192kHz/32bit
お奨め度: ★★★★★
お奨め度: ★★★★★★★★(バランス接続)
アンバランス接続
DTMなどの曲を作るための浮動小数型32bitではなく、整数型32bitだそうです。
このアルバムは、24bitをリマスタリングしたものです。
bit数が大きくなると、細かい音のニュアンスも再現でき、32bitでは人間の耳の分解能を超えるらしいです。
曲がかかった瞬間、今春きた!という感覚に襲われたのが、実に面白いです。
目の前で演奏している感覚はDSDのほうがありますが、曲の持つイメージを再現するのは32bitのほうが豊かなのでは。
バランス接続
音場がとにかくすごくて、収録したであろうコンサートホールの会場の雰囲気が感じられます。
また、ヨーロッパのお城の庭の風景も脳裏に浮かんできます。
CD音質の音源のサンプリング周波数と、周波数のレンジを増やす処理です。
アンバランス接続では、勢いだけでドンと迫ってきた音が、知的なサウンドになります。
効果は控えめです。
バランス接続では、曲のガチャガチャとしたしつこさがスッキリし、上品になります。
32bitで再量子化する機能で、24bitのハイレゾ音源にも効きます。
理論上は量子化ビットが増えることで、より繊細な音の強弱も再現できるようになります。
アンバランス接続では、ベースのボンボンなっている音の輪郭がはっきりしてきます。
クラブミュージックのような、バリバリ打ち込みの曲ではタイトになりすぎますので、OFFにするのがいいでしょう。
バランス接続だと、より効果を実感できます。
曲のピーキーさが穏やかになり、埋もれていた繊細な音が浮き上がってきます。
打ち込みの曲でも効果ありです。
曲の転送には、X-DAP Linkというオリジナルアプリを使用しますが、操作がシンプルで簡単!
iTunesで購入したファイルも転送できます(一部条件あり)
1.XDP-30Rを選択
2.音楽ファイルが保存されているフォルダを追加
3.追加したフォルダを選択する(4に曲リストが表示される)
4.転送したい曲を選択(水色のポッチが選択済みの印)
5.転送ボタンをクリック
6.OKボタンをクリック
7.緑のバーが100%になったら転送完了
※Windowsのexplorerからストレージを表示することができますが、直接ファイル操作をしてはいけません。XDP-30Rの動作がおかしくなります。
アップサンプリング・Hi-bitをONで、約10時間でした。
カタログ値はCD音質、アップサンプリング等OFFで15時間ほどもつとのことです。
充電時間は3~4時間程度(ホームページより。クイックチャージには対応してません。)
イヤホンで楽しむだけでは勿体ない
電車通勤の騒音の中で、ハイレゾ音源は楽しめるのか、実験してみましたが、ハイレゾならではの高音質は騒音にかき消されてよくわかりませんでした。
しかし、XDP-30Rの持ち前のクリアなサウンドは、満員電車でクラシックやJAZZを楽しむことができました。
晴れた空を車窓から感じながら、JAZZの軽妙なリズムに聞き入れば、スカっと心が軽やかになってきます。
これは普通の携帯音楽プレイヤーではなかなか体験できないと思います。
■スマホがリモコンになる
ぎゅうぎゅう詰めの電車で、XDP-30Rをポケットから取り出して操作するのは大変ですね。
しかし、Pioneer Duo Remote というアプリをスマホにインストールすると、スマホがリモコンになります。
接続はBluetoothです。
機能は画面に表示されているものが全てと、非常にシンプルで扱いやすいです。
フォルダやプレイリストの移動ができないので、電車に乗る前にあらかじめ再生開始しておく必要があります。
上記の機器とXDP-30Rを繋いで、ホームオーディオとして楽しみました。
XDP-30Rとmaranz PM-5005の相性が実によく、お互いに喧嘩することなくスムーズにスピーカーまで音を運んでくれます。
アンバランス接続では、XDP-30Rの高音の硬さと、低音の解像度不足がやや目立ちますが、曲の世界観を壊すほどではありません。
バランス接続では、XDP-30Rも、PM-5005も、封印を解かれたかのように、全ての領域の音がドワっと迫ってきます。
高音の硬さはウソみたいに落ち着き、低音もパリっと解像度が出て、安価なスピーカーから想像もできなかったエネルギッシュな音が部屋に広がりました。
新しいスピーカーが欲しくなりました(笑)
ーーーーーーテスト環境ーーーーーー
アンプ:maranz PM-5005
スピーカー:DENON USC-MS3改
SPケーブル:オヤイデ Explorer V2
Lineケーブル:オーディオテクニカ Gold Link-F
先日自作した真空管ヘッドホンアンプを繋いで楽しみました。
XDP-30Rの原音再生に、真空管アンプ独特の音の柔らかさ、粘り、温かみが加わりました。
特にローからミッドにかけての粘りは秀逸です。
※接続方法はアンバランスです
■安全地帯の熱視線
妙な音の細さや頼りなさがカバーされ、重心がドシっと安定しました。ベースの頼りなさもカバーされ、ギターも美しくなり、曲の世界に引き込まれていきます。
■ヴィヴァルディの春
上品な優雅さが加わり、高貴な雰囲気を感じられます。
バイオリンの弦使いがふっと浮き上がってきました。
■アー・ユー・リアル
収録場所の絨毯の臭い、壁の方さが香ってくるかのようでした。
ピーキーだったトランペットやピアノが非常に柔らかくなり、物腰柔らかに。
倍音が増えたことで、奥に引っ込んでいたコントラバスがきちんと仕事をしていました。
■Cutie Panther
打ち込みのカリカリハードはサウンドがマイルドになり、音に芯があります。
打ち込みの冷淡な感じから温かみが出てきて、ラウドな曲にも関わらず耳が痛くなりません。
■バッハの無伴奏チェロ組曲第1番
ローの粘りが増し粘りがあります。真空管の解像度と、チェロの解像度がマッチし、音がスムーズに流れてきます。
■チェロ四人組が演奏するアダージョ
収録スタジオの狭さゆえの、妙な箱鳴り感が軽減。チェロの音ももちろんリッチでより生演奏のように。
どっちが良いというのではなく、原音を楽しむのか、真空管で味付けされたオーガニックな音を楽しむのか、の違いで選ぶといいと思います。
使用した真空管アンプはこちら
エレキベースの練習をする上で困るのが、ベースの音がきちんと聞こえる手ごろなオーディオが無いこと。
そこで、ハイレゾプレイヤーであるXDP-30Rがモニターに使えないか実験してみました。
これまでのレビューを見ていただければ何となく予想できると思いますが、バランス接続なら潰れがちなベースの音も明瞭に、高解像度で聞こえるため、こまかなタッチのニュアンスもよく掴めます。
ベースプレイヤーのお供として、とても重宝します!
みっちゃんさん
2017/05/18
上級者編レビューで参考になります(^^)
いぐなっちさん
2017/05/18
ありがとうございます。
ちょっと分量多すぎるかなという感じもするので、シンプルにまとめられればなと思います。