インテルのスティック型パソコン「Compute Stick」上位モデル『STK2M3W64CC』をレビューします。搭載OSはWindows 10 Home 64ビット版(Microsoft Officeは付属しません)。
概要:
今回発売した3種類中の一番上位機種で第6世代のCore m3-6Y30(2コア4スレッド、基本クロック0.9GHz、ターボ時最大 2.2GHz)を搭載し、メインメモリは4GBのDDR3L-1866で、ストレージはeMMC接続の64GBフラッシュメモリを搭載。モバイルコンピューティングに相応しいサイズと重量を実現。本体サイズ(縦長状態):38×114×12mm (幅×高さ×厚さ)。本体重量:60.2g。
これが中国製とは、中国恐るべし。モノづくり日本は負けているのか?
ギリギリ限界チャレンジ内容:
チャレンジ1「プレゼンテーション検証」。Microsoft PowerPoint 2010 から追加された新機能を問題なく表示できるか。
チャレンジ2「出先で動画の編集に挑戦」。スマートホンで撮影した動画をその場で編集。トリミング、さらにユーチューブに投稿する。
表示速度、操作性においてストレスを感じさせない十分な体感スピードがある
プレゼンテーションにおいて、十分な実用性があり、ストレスを感じさせないパーフォーマンスを発揮している。
動画編集作業においても、高解像度にして保存したデータにおいても絵飛び音切れを起こすことなく表示する。
事務用に使うアプリにおいては、CPU(Core m3-6Y30)と4GBのメインメモリと64GBのストレージがwindows10における十分な体感スピードを維持する仕様であると考えられる。
いまいちな課題がいくつかある
ここの検証での体感スピードは申し分なく満点だが・・・。
インストールされてされているアプリのリモートキーボードは、ログインして使えるキーボードで、ロック画面からのキーボードとしては動作しない。BluetoothマウスおよびBluetoothキーボードはロック画面になれば動作するが、BluetoothキーボードとBluetoothマウスが死んだらログインする手段としては、USBマウスおよびUSBキーボードの使用を余儀なくされる。しかしタッチパネルかマウスが動作する状態であれば、スクリーンキーボードでログインできる(ロック画面をクリック後、画面右下にある「コンピュータの簡単操作→スクリーンキーボード」でキーボードをクリック)。
スティックコンピュータとしての機能提案が沢山ある
本体側に従来のAタイプUSB端子が1基あり、ACアダプター側にも同じものが2基ある。大きさはミニでもマイクロでもない。規格はすべて3.xである。本体とACアダプターは新しいCタイプのリバーシブル端子のケーブルで繋がる。初めて見たが、将来性のある端子である。
小型ながら冷却ファンを搭載するタイプで、動作音はことのほか静。夏場あるいはテレビの背面など、熱のこもりやすい場所でも安定した動作が見込める。
本体にマイクロSDカードスロット(SDXCとUHS-I対応)を備える。これならデスクトップパソコンとしても使えそう。USB端子では、USBメディアドライブなども使えそうである。
特筆すべきは、本体にある電源スイッチであるが、ACアダプターをコンセントに接続すると電源がONになる。ACアダプターをコンセントに入れっぱなしであれば、本体の電源スイッチを押さなければならないが、スイッチ付コンセントのONで起動ができるのは嬉しい(ACアダプターにも待機電流が流れているのでスイッチ付コンセントを使って、この機能の恩恵にあやかろう)。
面白いのは、ストラップ用の穴があること。何とも憎いね。
1点の減点は、本体とACアダプターを繋ぐケーブルが硬すぎること。何とかならなかったのかな残念だ。
モバイルコンピューティングに相応しい設定
出先で使える環境とするための設定を行う。Bluetooth接続でキーボードとマウスを接続し、ローカルアカウントの設定とWiFiネットワーク環境を構築。
インプット機器を何も接続しないで電源を投入するとどうなるか。
次に、キーボードとマウスのBluetooth接続を試みる。
USBマウスをACアダプターのUSB端子へ接続して初期設定を行う(タイミングでマウスを認識しない場合が発生するようである、他のレビューでは問題なかったようである)。
出先で、タスクバーの通知領域にある新しい通知を表示してBluetoothスイッチを切ったり、
Bluetooth機器の電池が無くなって接続ができなくなる場合の対策として常駐しているリモートキーボードを使いましょう(ただし起動時には認識してないので使えない)。スマホに intel remote keyboard アプリをインストールします。リモートキーボードの操作は次のようになります。
プレゼンテーション検証
MSoffice2013のPowerPointアプリ上で、新機能を多用したプレゼンデータのパーフォーマンスを検証します。
新機能とは、画面切り替え効果の「キューブ」「さざ波」「ハチの巣」「キラキラ」「渦巻き」「細分」等とスライドズーム機能や一つのオブジェクトにも複数のアニメーション効果を適用したりするもの(例えば、一つのテキスト文字列または画像、図形などのオブジェクトに複数のアニメーション効果が適用できる)。
さらにアニメーション効果の開始タイミングと長さを設定する等ができ、これらの効果は一見の価値があるほど魅力的である。早速、ご覧あれ!(音声はありません)
ご覧頂いたデモデータは自動で先に進む設定がしてあり、当パソコン教室では「このデータを PowerPoint のアニメーションやスライド切り替えをストレスなく表示できるギリギリ限界データ」として確認用に使用している。(投稿動画は時間帯などにより途切れたりする場合があるかもしれませんが、これはサーバーやネットワークなどによる障害と考えられます)
今では、これらの機能は当たり前だが「Windows10」が導入できるパソコンでもプレゼンとして、これらのスライドショーを行うと「ご使用のグラフィックカードは、スライドショーを最適に表示できるように構成されていない可能性があります」と表示されるか、あるいは、セーフモードでの表示許可を求めてくるが、そのまま進めるとぎこちない緩慢な動きでスライドショーが始まる。一応はスライドショーが止まることなく完結するが、教室では生徒さんのパソコンにおいてグラフィック性能を評価してから講座を受講して頂くことにしている。
講座の中では、このデータに変更を加えて機能を習得して頂く、あるいはデータの中身を変えることによって自分のプレゼンにも使って頂けるものとしての利用を認めている。
結論、インテル Compute Stick STK2M3W64CC は、PowerPoint を使ったプレゼンで、その機能を全て遺憾なく使用できる。
出先で動画の編集に挑戦
写真撮影上、ディスプレーを車で使用しているモニターに変えて車内で動画編集を想定した評価をしている。動画編集ソフトは無料で使えるWindowsLiveムービーメーカーを使用する。
撮影した動画を追加し、無駄な部分を削除するための分割部分へタイムラインを移動する。
分割と削除を繰り返し必要な部分のみ残して保存する(これを動画編集ではトリミングという)。保存は動作検証用としての高解像度と投稿用のYouTube用として保存。
投稿は YouTube 用として保存しものを使用した。それがこちら
結論:インテル Compute Stick STK2M3W64CC は、WindowsLiveムービーメーカーのアプリにおいて編集および高解像度保存した動画も問題なく表示する。
電源回りを検証
※ACチャージャーは使えるか
一般に売られている5V4AのACチャージャーを試してみた。
結論:容量が足りてれば問題なく使える。
※カー用チャージャーは使えるか
ホームセンターで購入したシガーソケットから供給する5Vチャージャー(昔に購入のため容量不明)を使ってみたが、容量不足で使用できなかった。シガーソケットを増設し、もう一つの5Vチャージャー(こちらも昔に購入のため容量不明)を並列に2つ接続して試したら使えた。並列接続のUSB結合ケーブルは自作品(単純に接続している)。
結論:容量が足りてれば問題なく使える。
※モバイル用5Vリチャージャブルバッテリーは使えるか
容量が足りないとBIOS(バイオス)からOSに起動が移る時点で電源が自動的に切れてしまう(推測であるが、BIOSで容量チェックをしているのではないかと思える動作をする)。
結論:2.1Aと1Aの2出力を持つリチャージャブルモバイルバッテリーであったが、2つの出力を並列接続しても、さらにチャージをしながらでも規定以上の出力容量は得られずOSを起動することができなかった(いずれにしても最大値の2.1に制限されるようである。なぜならギリギリ限界なので間違って途中まで起動することもあるが、正常なシャットダウンをせずに電源が切られるようである。それは容量が足りている次の起動時にOSの出すメッセージ「異常終了しました」になる)。
当面これ以上の容量を持つバッテリーの手持ちがないので他の方がテストした結果を参考にするが、レジューム機能が働くかを大容量のモバイルバッテリーを手に入れたら検証してみたい。
総合結論:電流容量さえ十分なものであれば使える
デスクトップPCと同等の(マルチディスプレイ)を実現
※画像出力のHDMIが1つしかないので、ミラキャストでデュアルに
ディスプレイ設定は、写真撮影の都合上、縦画面を左右に並べているが、横画面を上下に並べても同じことで、片方のHDMIへスティックコンピュータを接続し、もう片方のHDMIへはマイクロソフトワイヤレスディスプレイアダプタを接続する。ワイヤレスディスプレイアダプタのUSBへの電源供給はディスプレイにあるUSB端子から供給できるかと思ったが、ディスプレイのUSB端子は独立しており外部から供給しなければならない。スティックコンピュータの電源にあるUSBから供給することにした。
ワイヤレスディスプレイアダプタへの接続は、いたって簡単で通知アイコンの「接続」をクリックし、ワイヤレスディスプレイアダプタが表示されたら、それをクリックするだけでワイヤレスディスプレイアダプタへの接続は完了する。
スタートメニューは、どちらの画面でも、あるいは片方の画面だけでも設定は可能で、デスクトップPCが小さくなり机の上を広く使える。
結論:インターネットブラウザーの表示も広々とした表示にできる。これらは「表示画面を拡張する」に設定にしている。画面を大きく、PCを小さく、出先でも同じ環境のPCが使える。複数のPCを使う場合、お気に入りなどを2重に登録しなければならないが、スティックコンピュータなら、どこでも同じPC環境を使うことができる。
プロジェクターでプレゼン
*天吊りプロジェクターへはミラキャストで接続
手元のディスプレーへスティックコンピュータを接続し、天吊りプロジェクターのHDMI端子から延長ケーブルを使用してマイクロソフトワイヤレスディスプレイアダプタを接続し、ワイヤレスディスプレイアダプタのUSBへの電源供給は5V4AのACチャージャーから供給する。
結論:スティックコンピュータは場所取らず、プロジェクターへの接続もWiFiワイヤレスができるので、従来のようなUSBを持ち込みPCを借りるなど必要なく、重いPCの持ち込みも軽減される。
*プロジェクターへ直接スティックコンピュータを接続
この場合、天吊りだが、会場によっては机の上にプロジェクターが用意されることもあるので、直接HDMI端子へ接続した場合を想定する。
結論:スティックコンピュータを直接プロジェクターへ接続した場合、ワイヤレスディスプレーは必要ないが、投影画面を見ながらの操作になる。
車載上での使用注意
車載で使うときは、車のバッテリーかモバイル充電バッテリーのどちらかになると思いますが、車のバッテリーを使うときには注意が必要です。シガーソケットからの給電にはエンジンをかけるか、キーオンの状態でないと給電できない仕様が殆どだと思われます。車のエンジンをかける時バッテリー電圧の低下がパソコンに影響を及ぼします。ご注意ください。
インターネットへの接続は、スマホからテザリングで繋いでいます。YouTubeへの動画アップもできます。
結論:自動車エンジンのイグニッションノイズによる影響を受けません(ただし、評価した車は、マツダのプレマシー)。Bluetoothキーボードはタッチパッド一体型の方が車載では使いやすいかもしれません。
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