レビューメディア「ジグソー」

サブウーファーによる怒濤の低域でゲームプレーも臨場感UP

 

今回、AVerMedia製のゲームに特化したゲーミングスピーカー、AVerMedia Ballista Trinity GS315及びAVerMedia Ballista Unity GS310の2モデルをリリース前に試す機会を頂けたので、コストパフォーマンス、音質、そして“ゲーミングスピーカー”と謳うモデルだけあって、ゲーミング時にどのようなメリットがあるのか、実際のゲームプレイを通じて感じた点を検証していくことにしよう。


AVerMediaといえばキャプチャ関連のデバイスに強いメーカーというイメージが強いが、ゲーミング時でも快適なチャットを提供するAEGISといった製品などもリリースしており、映像や音に関わるゲーミングデバイスの拡充に力を入れている。

 

今回レビューさせて頂いたのは、下記の2モデルだ。

 

・AVerMedia Ballista Trinity GS315
ゲーミングスピーカーBallistaシリーズのハイエンドモデル。
3wayのサテライトスピーカーにサブウーファーという2.1ch構成のスピーカーに、77Wの出力を誇るアンプ兼コントロールBOXで構成される、ゲーミングスピーカー。
アサシンモードという、小さいボリュームでもゲーミング時のサウンドを的確に伝えるエフェクトを備え、他にも高域/低域のコントロールや、3系統入力などの豊富な機能を誇る。

 

・AVerMedia Ballista Unity GS310
フルレンジユニットを搭載したサテライトスピーカーにサブウーファーという2.1ch構成のスピーカーに、アンプ兼コントロールBOXで構成される、Ballistaシリーズのエントリーモデル。
コントロールBOXの出力も40WとGS315に比べると出力が低くなっているほか、入力端子も2系統のみとなり、かなり簡略化されている。


GS315については別途GS310向けのレビューを公開しているのでそちらをご覧いただきたい。

このレビューでは、GS310について、最上位モデルのGS315との比較も交えつつ、その特徴に迫ってみたいと思う。

更新: 2015/12/17
Ballista(バリスタ)の徹底レビュー PREMIUM REVIEW

PCゲーム向け、あるいはモニター内蔵スピーカーからのアップグレードパスとして魅力的な製品

GS310を構成する各ユニットのスペックは以下の通りである。 

 

・サブウーファー
 サイズ:W231×H210×D238mm
 ユニット:14cm
 耐入力:27W

 

・サテライトスピーカー
 サイズ:W82×H186×D102mm
 ユニット:7cm フルレンジ
 耐入力:6.5W/ch

 

・コントロールBOX
 サイズ:W50×H210×D145mm
 入力端子:RCA/3.5mm LINE IN/3.5mm マイク
 出力端子:3.5mm ヘッドフォン/3.5mm マイク

 

最上位モデルであるGS315との主な差は、下記の通りだ。

  • サブウーファーのサイズ縮小とウーファーユニットの小口径化(体積比30%減、ウーファーサイズ16.5→14cm)
  • サテライトスピーカーが3way→フルレンジに変更
  • コントロールBOXの入力が2系統に削減、アサシンモードの非搭載

最も差が大きいのは、サテライトスピーカーが3wayからフルレンジ1基になったことだろう。

Ballistaシリーズは最上位のTrinity GS315、中間モデルのDuality GS313、そして今回レビュー対象のUnity GS310というラインナップ構成になっている。

名前にTri、Dual、Uniと付くようにそれぞれがサテライトスピーカーのユニット数を表しており、最上位のTrinityでは1.9cm セラミックメタルツィーター/2.5cm ツィーター/7cm ウーファー、Dualityでは2.5cm ツィーター/7cm ウーファー、そしてUnityでは7cmウーファーといった構成になる。

 

各ユニットの最大出力(W)が減っているが、オーディオの場合2桁Wも出力することはなく、数W程度の出力でも十分に大きな音量となる。

実際にGS310においても、GS315と比べて出力低下に伴う音量の減少は確認できなかったので、問題はない。

(屋外で大音量で使う、といった場合は別だが、このスピーカーはデスク周りのニアフィールドでの用途なので問題なし)

 

GS313は米国AverMediaサイトには掲載されているが、AverMediaの日本語サイトにはGS315とGS310の情報のみ掲載されていることから、日本ではGS313を除いた2モデルでの展開となるようだ。

 

プリメインアンプともいうべき、コントロールBOX。
上から電源ランプ、ボリューム、低域調整、ヘッドフォン出力、マイク入力、ライン入力となっている。
入力は背面のRCAとフロントのライン入力の2系統あるが、切替スイッチは搭載しておらず、フロントのライン入力に接続すると背面のRCA入力はカットされる。

 

本体上部の電源LEDは、ボタンのように見えるがGS310では単なるランプとなっており、ボリュームを0方向へ回しきると電源がOFFになる仕組みだ。

GS315では電源スイッチとして機能する場所であり、GS310を使うにあたって何度も間違って推してしまった。

ただ、通常ではGS315とGS310を並べて使うことは無いと思うので、実問題としては少ないと思われる。

マイク入力はコントロールBOXの裏にマイク出力端子があり、PCと接続することでコントロールBOXをスルーしてPC側で録音する仕様となっている。

 

 

コントロールBOX背面の入力端子類。
主電源スイッチが背面にあるが、通常使う際はフロントのボリュームを0まで回すとスイッチが切れる仕組みになっているので、背面のスイッチはONのままで大丈夫だ。

 

 

幅82mmという、小振りでセッティングの取り回しが良いサテライトスピーカー。

底面にはゴム脚が付いており、設置すれば簡単にずれないようになっている。

GS315ではツィーターユニットを搭載していた箇所は何も無い状態となっている。

 

 

14cmのウーファーユニットを搭載する、サブウーファー。

GS315と比べると、16.5cm→14cmとユニットサイズが縮小された。

また、サブウーファーのサイズも体積にして70%と小さくなっている。


背面にはバスレフポートがあり、GS315と比べても不足を感じない迫力のある重低音の再生が可能だ。
アンプ兼コントロールBOXが別途ある構成のため、サブウーファーはパッシブ型となっている。
前面はプラパーツに見えるが、MDF製のキャビネットにユニットはしっかりと固定されており、プラスチック製のフロントマスクが取り付けられている構造だ。

 

ユニットのコーン部分にはプラスチックのパーツがはめられており、コーンは確認出来ない。

通常は振動板であるコーンがボイスコイルに繋がっている、逆ハの字のような形状になるのだが、おそらくデザイン面と低域をメインとするサブウーファーなので音質への影響が少ないことを考慮して、このようなデザインとなっていると思われる。

 

 

/ 販売価格と競合モデルについての考察


 

Amazonでの販売価格が公示されていたので、その価格を元に検証を行ってみたい。

Amazonによると、

GS315:19,980円

GS310:11,664円

というプライスになっている。

 

1万円前後の2.1chスピーカーはかなり競合も多い領域で、~10000円程度のレンジには多数の製品がラインナップされている。

それらの製品と比較して、GS310のメリットと言えるのは、GS315同様サテライトスピーカーのエンクロージャー全体を生かせる、コントロールBOXが分離したシステム構成と、14cmウーファーユニットによる豊かな低域再生であろう。

 

特に、ゲーミング向けと謳っているだけあり、実際にゲームをプレーした際の低域の迫力は、ゲームの臨場感をさらに引き立ててくれる。
このあたりは後ほど実際のゲームプレイで検証していくことにしよう。

 

 

 GS315に比べるとかなりレンジが狭く感じる音質


 

まずはスピーカーとしての音質を確認するために、リビングにあるオーディオシステムに設置し、手持ちのソースを用いて確認することとした。

 

ツィーター2基搭載による高音の伸びで気持ちよく聴けたGS315に比べ、GS310はフルレンジユニット1基という構成もあって、音質は全く異なる結果となった。

高域の伸びやスーパーウーファーとフルレンジユニットの連携が今ひとつで、特にフルレンジユニットのモッサリ感はどうやっても回避不可である。

感じとしてはAMラジオのような高域不足によるレンジの狭さ、といった感じだろうか。

 

少し気になったのが、サテライトスピーカーのフルレンジユニットのエッジがGS315と比べるとかなり固く感じる点だ。

エージングが進めば固さも取れてくる可能性もあるが、全体的な音の固さ、レンジの狭さはこのあたりに起因するところもあると思う。

 

低域に関しては、サブウーファーのエンクロージャーの容量は減っているが十分な迫力の低音が出力されており、足りないということは無いと思われる。

 

音質的にはGS315との差がかなりあるGS310だが、GS315の半額程度の10,000円前後であると予想されるので、コストパフォーマンスという観点で考えれば、かなり頑張っている。

通常はコントロールBOXはサテライトスピーカーに内蔵されていることが多く、その場合どうしてもエンクロージャーの体積減少によるデメリットも生じてしまうと思われる。

 

 

 W82×H186×D102mmと小振りで扱い安いサテライトスピーカー


 

縦置きに置くことを推奨していると思われるが、幅が82mmしかないため、寝かしてスピーカーの下に設置することも可能だ。

低域はサブウーファーが担当するため、サテライトスピーカーのユニットサイズはウーファー側が7cmとかなり小振りとなっている。


上記の写真では、サテライトスピーカーを横向きにして、スピーカーの下に設置してみた。
近年、モニターのサイズは拡大の一途であり、スピーカーなどの周辺機器の設置スペースに問題が生じることも多くなってきた。
そのような場合は横置きにしてモニターの下に入れてしまう、という方法もアリだと思う。
なお、コントロールBOX用の横置き用のゴム脚は付属するが、スピーカー用は付属しないので、別途ゴム脚の購入をお勧めする。

 

サテライトスピーカーを接続するケーブルは180cmとゆとりのある長さであり、コントロールBOXを机の端に設置した場合でも、120~150cm程度の机であればケーブルの長さが足りなくなることは無いだろう。

スピーカーの接続はRCA端子となっているので、コントロールBOXに差し込むだけで良いというのも手軽で良い。

 

 

 スペアナでは20KHzの再生は可能なものの、ワイド感は乏しい



Etani RTAというiPhone向けのスペクトルアナライザーアプリを使用して、周波数特性を計測してみた。

テスト用の音源はWaveGeneを使用し、Etani RTAの上限である15秒で20Hzから20,000Hzまでのスイープ信号を作成した。

リスニングポイントにiPhoneのマイクがディスプレイ側に向くようにセットして計測を行っている。

 

GS310の測定結果は上記の通りだ。

サブウーファーを備える2.1ch構成ということもあり、低域はGS315同様に25Hzあたりからしっかり出ており、迫力のある低域が楽しめる。

 

音楽再生に一番重要というか、音の密度が濃い200~2KHzあたりの出力が下がっているのが気になるラインだ。
このあたりが、サテライトスピーカーのワイド感の乏しさに繋がってしまっている可能性がある。

 

高域は20KHzまで伸びているラインになっているが、実際に聴くとかなり高域も弱く、GS315と比べると圧倒的な差が生じてしまっている。

このあたりはスペアナでは結果に表れず、実際に聴いてみないと解らない点だ。

 

 

 実際のゲーミングにおける使用感


 

Wargaming社のWorld of WarshipsおよびWorld of Tanksをプレーして一番強く感じたことは、14cmユニットを搭載したサブウーファーの豊かな低域表現だ。
最近では液晶モニターにスピーカーを内蔵したモデルも増えつつあるが、物理的にスペースを設けられないモニター内蔵スピーカーでは、どうしても低域が不足する。

 

GS310は別途サブウーファーが独立した2.1ch構成のスピーカーであり、低域の迫力はさすがだ。

砲撃時の爆音や砲弾を喰らって戦車が吹っ飛ぶ際の効果音などは、やはりサブウーファーがあったほうが圧倒的な迫力となる。

 

気になったワイド感の乏しさだが、音楽を再生するのとは異なり、ゲームであればレンジの狭さもだいぶ緩和されるというか、そこまで違和感は無く感じられた。

音楽鑑賞においては低域から高域にかけての音の繋がりが重要なのに対し、ゲーミングにおいては爆発音や攻撃音など、特定の周波数帯にサウンドが集中することとなる。

このため、音楽鑑賞では気になったサテライトスピーカーのワイド感の乏しさも、ゲーミング時ではサブウーファーの迫力もあり、十分にゲームの臨場感を引き出すことが出来ているのだと思われる。


なによりも、腹に響くような砲撃や爆破時の低域の迫力は、2.1chのシステムで無いと得られない体験だ。

ゲームの臨場感を増すためにも、サブウーファーを備えたシステムはとてもお勧めだ。

更新: 2015/12/14
Ballistaの比較レビュー PREMIUM REVIEW

モニター内蔵スピーカーからの乗り換えに最適な2.1chスピーカー

PCで使っているオーディオシステムと比べても意味が無いので、「パソコンを買った時、モニターにスピーカーが内蔵されているから別途スピーカーなんて必要ないよね~と思っていた人が実際にゲームをプレーしてみたらその音のチープさに愕然とし、とりあえず安くて良いお手軽なゲーミングスピーカーが欲しい」というペルソナを勝手に想定してみた。

そこで、今回はDELLのU3415W内蔵のスピーカーと比較してみよう。

上記は、DELL U3415Wの周波数特性なのだが、見るからにボロボロの結果である。
特に、低域は100Hzあたりまでは全く出ておらず、250~800Hzあたりはそこそこ出ているものの、なぜか1KHzで大きな落ち込みがある。
高域は小口径ユニットなのでそれなりに出ているが、20KHzで急激に落ち込んでいる結果となった。

グラフからも解るように、モニター内蔵スピーカーはおまけ程度、というか鳴ればよし、といった音質であり、ゲームを楽しむにはきわめて厳しいと言わざるを得ない。
その点、GS310はサブウーファーによって迫力のある重低音を楽しむことができ、ゲームプレー時の迫力はモニター内蔵スピーカーとは比にならない。

数千円の出費でゲームの迫力ががらっと変わるので、モニター内蔵スピーカー、あるいはノートPC内蔵スピーカーを使っている人にはとてもお勧めだ。

更新: 2015/12/17
総評

音楽を楽しむには少し厳しいが、ゲーム用途としては十分

GS315と比べるとかなり見劣りしてしまうところもあるGS310であるが、なんといってもGS315の半額程度というすこぶる良好なコストパフォーマンスと、14cmウーファーから発せられる重低音の迫力は、ノートPC内蔵スピーカー、あるいはモニター内蔵スピーカーからのアップグレードパスとしては、とても魅力的だ。

 

音楽をしっかり聴きたい、という人にはGS315か、あるいは他社製品をお勧めするが、ゲーム用と限ってしまえばGS310でも十分その差は感じられるだろう。

 

地味に使い勝手が良いのが、コントロールBOXが独立している点だ。

他社製品の2.1chスピーカーでは、多くの場合サテライトスピーカーにアンプが内蔵されている場合が多い。

このような製品の場合、ボリュームコントロールやヘッドフォン端子がサテライトスピーカー側にあるため、たとえばモニターの下にスピーカーを入れてしまうと使い勝手がとても悪くなってしまう。
また、当然ながら壁掛けも不可で、どうしてもサテライトスピーカーを手元に置く必要が出てくる。

 

その点、GS310はアンプ部分がコントロールBOXとしてセパレートしており、サテライトスピーカー、サブウーファーを好きな箇所に配置することが可能だ。
サブウーファーを床に置けるため、14cmのユニットを内蔵していてもそれほど邪魔にならないのは大きなメリットである。
また、サテライトスピーカーの設置に自由度があり、手の届きにくいところでも設置可能なのは、使用するに当たって便利な点だと思う。

 

惜しむらくはGS315同様その個性あふれるデザインで、日本向けとしてはかなり評価が分かれるところだと思われる。

個性的なデザインについて好き嫌いが分かれそうなのと、GS315との音質的な差を考慮し、4.0点とさせていただいた。

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