今回は2つの課題に挑みました。
- 内部にSSDを組み込んでの無音NAS
- Androidを導入しての動作チェック。何に使えるか?の調査
これら2つです。
1:無音NASの構築
1つ目の課題はNASです。
それも、内部にSSDを入れてファンレス、ゼロスピンドルによる完全な無音のNASです。
手順
- 機材を用意
- SSDを組み込む
- FreeNASを外部ストレージにインストール
- BIOS設定を変更し、外部ストレージからブートするようにする
- 別PCから、Webブラウザ経由で設定を行う
必要な機材
今回のレビューでは以下の機材を使いました。
- NUC用のメモリ。今回は中古で2GBを購入。
- モニター。15ピンのアナログ端子が使える機種が必要です。
- キーボード。マウスはなくても構いません。
- USB接続のCDドライブ
- プラスドライバー。とりあえず百均で売ってるのでも大丈夫
- 本体に内蔵するSSD。2.5インチ、9mm、SATA仕様であればOK
- FreeNASをインストールするUSBメモリかSDカードとリーダー。2GB以上必要。
SSDを組み込む
付属してるマニュアルという名の紙1枚で十分わかるようになってました。
言語がほとんど書かれていない説明書はタミヤのプラモデルみたいです。
ドライバーが有れば簡単に作業できます。
ただ、注意点がいくつかあります。
- 電源ケーブルが非常に細い。切らないように注意。
- HDDトレイを外すときは、先にマザーボードのSATAコネクタからケーブルを抜くこと。ケーブルが硬いため作業に差し障る。
- トレイとケースが接する部分が硬い。
機材の接続
自分が作業してつまづいた注意点がいくつかあります。
- ストレージはUSB2.0端子に接続する。OS用のUSBメモリとCDドライブの2つが該当します。
- キーボードは電源SW側のUSB3.0端子に接続する。
- アナログRGBでモニターへ接続する。でないとBIOS設定画面が出ない。
- ACアダプタは抜け止がない。差し込みは固いけど、作業中に引っこ抜け無いように注意。
FreeNASのインストール
FreeNASはFreeBSDをベースにしたNAS用OSです。
公式サイト(http://www.freenas.org/)からダウンロードしてインストールします。
手持ちの機材でCDドライブをエミュレートできる外付けHDDがあったので、今回はソレを使用しました。
このとき、インストール先をUSBメモリにするようにしてください。
FreeNASはOSとデータを同一ドライブにできない設定になってるので、SSDにOSをインストールするとどうにもならなくなります。
BIOS設定の変更
必ず、VGA端子にモニターを接続してください。
HDMIだと画面が出ませんでした。
今後は改良されるかもしれませんが、少なくとも8/16現在のBIOSでは対応していません。
電源投入時にF2を押すことでBIOS設定の変更画面に入れます。
これは一般的なPCのBIOSと同じです。
eMMCを有効にする場合は、インストールするOSの設定をLinuxにする必要があります。
(参考:http://www.intel.com/support/motherboards/desktop/sb/CS-034803.htm)
Windowsなどでは有効にできないようです。
この設定に因る挙動の違いは今のところわかっていません。
使い勝手
電源を投入してから使えるようになるまで、少し時間がかかります。
画面もない、ビープもない状態なので正確なところは不明です。
2分か3分くらいだと思いますが。
Linuxを使ったファイルサーバーだとこんなものでしょうか。
性能
GbEで接続してベンチマークしてみました。
ノートPCにUSB3.0のGbEアダプタをつけて1Gbpsで接続して、ネットワークドライブとしてマウントしたものをテストしました。
シーケンシャルリードで100MB/sに迫る数値が出ています。
NAS側のストレージはSSDなのでソレがネックということはないはずです。
書き込みが遅いのが不安ですが、そんなものなのかと。
NASとして活用することへの感想
正直なところ「できはするけど、本来の使い方ではない」と感じます。
拡張性が低いこと、本体が過剰に堅牢なことなど、NAS以外の用途の方が向いていると思いますね。
2:Androidの導入
課題の2つ目として選んだのは、Android端末として動かすこと。
自分が持ってる中華タブはAtomが入ってます。
なら、コイツでも動くんじゃないかと。
用意したもの
- 本体
- AndroidOSのインストールイメージ
今回はIntelが提供している"Android on IA"を使いました。
これとは別にAndroidx86というプロジェクトでも公開しています。
Intelのは64bit、x86のは32bit、他にも細かく違いがあるようです。 - インストール用のUSBメモリ
SDカードリーダーと512MBの古いSDカードでOKでした - キーボードとマウス
今回はLenovoのキーボードとマウスが一体型になったものを使いました。
英語配列で認識されるので、あれば英語キーボードのが楽です。 - VGA端子で接続できるモニター
BIOS設定をいじる必要があったので、HDMI端子は使わなかった。たぶん使える。 - LANケーブル
無線LANカードを入れていないので、ネットワークへの接続は有線LANを使います。
インストール手順
- インストールイメージと書き込みツールをダウンロード
イメージは"Bay Trail Generic 64bit UEFI Installer"をダウンロードします。
Windows機で書き込みをしたので、追加で"Image Writer"(https://launchpad.net/win32-image-writer/)をダウンロードします。 - イメージをUSBメモリに書き込む
ImageWriterをインストールしておきます。
ダウンロードしたインストールイメージはZIP圧縮されてるので回答しておきます。拡張子がIMGになってれば正常です。
USBメモリをターゲットにして、インストールイメージを書き込みます。
512MB以上のメモリがあれば大丈夫です。
Windows以外のOSを使う場合は手順を確認して下さい。(https://01.org/android-ia/guides/quick-start) - USBメモリを接続してNUCを起動
電源投入時にキーボードのF10を押して起動に使用するデバイスの順序を変更し、USBメモリを再優先にする。 - インストーラーは数十秒で起動。英語メッセージで選択肢が出る。
インタラクティブインストーラーというのを選び、インストール先はMMCを指定する。
※容量の少ないディスクがあるのですぐわかる - インストール完了後、USBメモリを外して再起動。
- Androidはおおよそ45秒で起動完了します。
- 設定画面で言語を日本語に、日本語入力を追加する。キーボードの設定は日本語106キーボードが選択肢にないため無理でした。
- 画面の明るさと向きは調整不可でした。音量はキーボードの音量ボタンで調整可です。本体にスピーカーが無いためイヤフォンなどの接続が必須です。
使い勝手
ブラウザくらいしかアプリが入っていないため、そのままだとあまり役に立たないです。
シングルコアのAtomだからか、ブラウザでの挙動もあんまりスピーディじゃないですね。
それでも東京アメッシュでのアニメーションは問題なく動きますね。
言い換えれば、「速度を求めなければJavascriptなどが問題なく動く」ということじゃないかと。
何をすれば、このNUCを活用できるか?
ここまでやってみて、正直、このまんまだと役に立たないなと感じました。
個人がPCとして使えるレベルじゃない。
視点を変えて、業務用機としてならどう使えるか?と考えてみました。
- 首都圏の駅でよく見られる運行情報を表示するような端末。
可動部品がなくホコリなどに耐えられる構造なので、長時間、手の届かない場所で動かすのにちょうどいいです。振動に強いのも魅力です。本体を無改造で使うなら、AndroidOSにカスタムのアプリをインストールして活用するのがいいと思います。apkファイルをUSBメモリなどでコピーすればインストールできるようですし。
HTMLとJavascriptで構築した広告データを画面いっぱいに表示して、一定時間ごとに指定されたURLを巡回するようなものでいいはずです。
BIOSの設定を変えてDC接続時に自動的にブートできるし、OSの設定変更で端末のロック画面を省略し、アプリを自動起動もカスタマイズすればいけるでしょう。
配信側は適当なWebサーバーをおけばいいですし、デパート全体のサイネージは難しくても、ユニクロのような店舗内サイネージなら台数も少ないから簡便なシステムで実現できる可能性があります。 - タッチパネル式の自販機
画面はHDMIで接続できるし、タッチパネルはUSBが使えます。Android用ならスワイプにも耐えるものがあると便利ですが、なくてもUIの設計でカバーできます。
顧客の性別や年代を判定するためのカメラもWebカメラが使えるんじゃないでしょうか?
売上データの送信にはLANポートかシリアルポートが使えるし、メカ部分も制御できるんじゃないでしょうか。
NUCほどにマザーボードが小さければ組み込みも容易になるし、ファンレスなのでファンの故障なども心配しなくてすみます。おそらくは産業用コンピュータを使うのが正しいケースだと思うが、こちらの方が低コストで組み上げられますね。
学習用とか検証用でもいいんじゃないでしょうか。ガチ業務用は高いですからね。 - Webカメラ用の配信サーバー
監視カメラ型のネットワークカメラはありますが、カメラそのものが目立つものです。目立たせずに小さくカメラを設置したり、複数のカメラを同時に扱うなどは、この機種をカスタムして作れば、廉価に行けるでしょう。
そんなわけで、レビューを終わろうとおもいます。
eMMCで苦労させられましたが、Linuxのドライバさえあればあっさり動くようです。
FreeBSDだとやたら苦労しましたので、やはり対応しているOS(Windows Embedded、Linux等)を使うのがいいとおもいます。
また、とにかく貧弱です。一般的なPCとは違います。
あくまでも「PCのプラットフォームが使える組み込み用コンピュータ」として使うのがいいんじゃないかなとおもいます。大きな電子工作をされてる方もいますので、やりようはありそうです。
jakeさん
2014/08/18
締め切りに間に合わなかったので、コメントとして書きます。
Webブラウザでスライドショーを作ることは可能でした。
HTMLと画像とCSS、Javascriptで仕掛けをすれば可能そうです。
Webページで数秒ごとに切り替えることができるプラグインがjQueryのものに存在しました。
りーちゃんさん
2014/10/03
Atomだから、AndroidOSも動くんですね。
動かしてしまうなんて、すごいです!
jakeさん
2014/10/04
インストールさえすればいいので。
ただ、情報源が日本語じゃないのが面倒でしたね。