レビューメディア「ジグソー」

対応ファイル形式が大幅に増え、マルチメディアプレイヤーとして格段に進化

 

PowerDVDシリーズは、元々光学ドライブのバンドルなどでお馴染みの製品でしたので、かなり昔のバージョンから使っていました。

Blu-rayディスクの再生に対応したPowerDVDとして初めて使ったのは、BDドライブの添付品だったPowerDVD 8で、バンドル版としては比較的高機能なものではありましたが、私自身の認識は「Blu-rayに対応していれば何でも良い」というものでしかなく、むしろ海外メーカー製のドライブに添付されていたものであっただけに、日本のデジタル放送を記録したメディアを再生するために必要なCPRMのサポートがないことへの不満の方が大きかったのです。

そこでCPRMをサポートしていて、Blu-ray/HD DVD/DVDの再生に対応する製品として、まずCore WinDVD 9 Plusを導入してみました。

 


WinDVD 9 Plusは、アップスケーリング機能である「All 2 HD」の搭載など、競合していたPowerDVD 8を凌ぐ高機能がセールスポイントとなっていましたが、私の環境では起動後1分近くコンテンツの再生が出来ないなど快適性に難があり、満足にはほど遠い出来でした。後で調べたところ、この世代のWinDVDはまともに動く方が稀といわれるほどの難物だったようですが。

そこで改めて買い直したのが、今回のレビュー対象となるPowerDVD 14 Ultraの先祖となる、PowerDVD 9 Ultraでした。

 


このバージョンはWinDVD 9 Plusに対抗するかのように、アップスケーリング機能の「TrueTheater HD」が搭載されたり、DTS-HD音声の再生に対応するなど、格段に機能が向上していました。以前4chレコードをDVDで再現した変わり種のDVDを入手しましたが、これもPowerDVDの2chダウンミックス機能により手軽に楽しめるなど、私にとっては初めて買って満足した再生ソフトということになったのです。今考えてみても、DVDやBlu-rayの再生という点に限れば、機能面での不足は感じられません。

また、このPowerDVD 9 Ultraはアップデーターの適用を重ねていく内にメジャーバージョンが上がっていき、現在はPowerDVD 11 Ultraとして動作しています。ここまで来ると、DVD/Blu-rayの再生ソフトとしてはもはや完成形に近づきつつあると思っていましたし、実際に普段使っていても特に欲しいと思うような機能も思いつきませんでした。

そこで今回最新版となるPowerDVD 14 Ultraをレビューする機会をいただきましたので、私のように以前のバージョンを使っているユーザーが、敢えて買い換える価値を見出せるような魅力があるのか、探っていきたいと思います。

更新: 2014/06/01
PowerDVD 14 Ultra の活用術 PREMIUM REVIEW

「メディアをPCに挿入」だけじゃない! あらゆるデバイスであらゆるコンテンツを楽しもう

1.まずはWindows PCへのセットアップ

 

いくらモバイルデバイスへの対応が謳われたPowerDVD 14 Ultraとはいえ、まずはWindows PCに導入しなければ先に進みません。

今回は私が新メインPCとして環境構築を進めているPCを、仮環境で動かしているところに導入してみました。構成は以下の通りです。最終的にはビデオカードやオーディオインターフェースが現メインPCから移設されます。

 CPU:Intel Core i7-3930K
 M/B:ASUS P9X79
 RAM:16GB DDR3-12800(4GB×4枚)
 VIDEO:GIGABYTE GV-N560SO-1GI (GeForce GTX 560 Ti)
 SSD:CFD CSSD-S6T512NHG5Q(Windows7起動用)+CFD CSSD-S6TM256NMPQ(Windows XP起動用)
 HDD:WesternDigital WD2002FYPS(2台)+HGST HMS5C4040ALE640
 BD-R:LG BH14NS48
 Audio I/F:emagic a6|2m(これを動かすためにWindows XP環境が必要)
 PSU:OCZ SILENCER Mk.III (Gold) PPCMK3S750
 CASE:Antec SOLOII-G

比較対象となる旧バージョンのPowerDVD 11 Ultraは、私の現メインPCで動かしています。現メインPCの構成は私のプロフィール欄に記載していますので、そちらでご確認いただければと思います。

導入手順は主な部分をスクリーンショットで残していますので、そちらをご覧下さい。



今回は送付されてきたパッケージ内のメディアをそのまま使いましたが、CyberLinkのWeb上で提供されている体験版をインストールして、添付のシリアルキーで有効化することでも製品版のインストールが可能です。メディアからインストールする場合には、ドライブに挿入してオートランで起動するインストーラーに従って作業を進めます。



インストーラーには「体験版」というタブが用意されていて、以下のようなCyberLinkの他のアプリケーションの体験版をインストールすることもできるようになっています。

 

 

 



インストールが終了すると、続いてアクティベーションのためのシリアルキー入力となります。



アクティベーションが完了するとメッセージが表示され、PowerDVDが利用可能となります。

 

ここまでで準備はできましたので、とりあえずBlu-rayやDVDを再生してみましょう。
 

2.ディスクメディアからコンテンツを再生する

まずは基本的な使い方となる、PCの光学ドライブにBlu-rayやDVD等のメディアを挿入しての再生です。これが快適でなければ、モバイルデバイスからの再生などができても魅力半減ですからね。
まずはBlu-rayの再生ですが、Blu-rayについてはスクリーンショットの撮影が禁止されていますので、再生を開始する手前のところの状態を掲載しておきます。

まず再生させてみたのがBlu-rayディスクの「Chicago in Chicago / Chicago with Doobie Brothers」です。こちらのディスクは北米からの輸入盤ですが、Blu-rayについては北米と日本は同一リージョンとなりますので問題なく再生可能です。

音声も2ch向けのリニアPCM(16bit/48kHz)の他にDTS-HD Master Audio 5.1chのトラックも収録されていますが、いずれも良好な音質で再生されます。特にPowerDVDの多chダウンミックス機能はなかなか優秀で、5.1ch向けの音声をステレオヘッドフォンで聴いても、割合自然な形で定位してくれます。

続いてDVDの再生です。PowerDVD 9以降はアップスケーリング機能である「TrueTheater HD」が用意されています。私の環境ではビデオカードとしてNVIDIA GeForceシリーズを利用しているため、標準状態ではGeForceのハードウェア再生支援機能である「PureVideo HD」が優先して使われますが、これを敢えて「TrueTheater HD」に切り替えて使ってみました。

「TrueTheter HD」は効果量を手動で設定することが出来ますが、今回は自動で再生させてみました。再生したのは日本盤の「JOURNEY 2001 / JOURNEY」です。

このシーンに注目してみましょう。ステージ周辺だけを、各バージョンの再生画面から切り抜いてみたのが、次の例となります。

▲PowerDVD 14 Ultra (TrueTheater HD有効)

▲PowerDVD 11 Ultra (TrueTheater HD有効)

このように並べてみると、TrueTheater HDの補正がより自然になったような印象を受けます。PowerDVD 11 Ultraではメンバーの顔の形の判別が困難なのですが、PowerDVD 14 Ultraではそれが辛うじて見えているように思えます。画面上部のスポットライトが比較的円形に近く見えているのもPowerDVD 14 Ultraの方です。

操作のレスポンスも快適であり、Blu-ray/DVD再生ソフトとしては完成形の域に達してきているのではないでしょうか。

 

3.DLNAクライアントとしてのPowerDVD

PowerDVDは、バージョン11からDLNAクライアント機能を持つようになりました。是非はともかくとして、earthsoft PT3で録画したTS形式のファイルであっても、ストリーミング再生は可能です。

この機能自体はバージョンによる大きな違いは無いのですが、PowerDVD 11 Ultraでは特定のコンテンツでうまく再生出来ずにPowerDVD自体が不正終了してしまうようなケースが見られるのですが、PowerDVD 14 Ultraでは今のところ不正終了には遭遇していません。

▲PowerDVD 11 UltraでTVersityサーバーを参照

 

▲PowerDVD 14 UltraでTVersityサーバーを参照。

強いて言えば、PowerDVD 11 Ultraでは画面上部のタブで「動画」選んでいる場合には動画ファイルだけ、「音楽」を選んでいる場合にはオーディオファイルだけをリストで表示するのですが、PowerDVD 14 Ultraではコンテンツの種類に関係なく表示されるようになりました。

ユーザーからすれば敢えて種類ごとに分けて表示してもらう必要はありませんので、あらゆる種類のコンテンツが表示されるPowerDVD 14 Ultraの方がより便利であることは言うまでもありません。

▲もちろん再生も問題なし。レスポンスもかなり優秀な部類だった。

なお、iOSデバイス専用のチューナーである、Softbank Selection SB-TV04-WRIPが同じLANの中に設置されています。

一応DTCP-IP準拠ではあるのですが、認証環境はあくまでiOSデバイス上で動作する専用アプリケーションのみです。これを参照したらどうなるかも試してみました。

▲番組名の取得は可能

放送中の各チャンネルについて、番組名は取得可能でした。

▲再生しようとすると非対応というエラーが発生する

当然ではありますが、再生は不可能でした。むしろこれで再生できてしまったら、チューナーの製造元であるPIXELAさんが困ってしまいますから、当然の結果です。

DLNAクライアントとしてはSONY PlayStation3が優れた使い勝手を誇るのですが、PowerDVDも対応ファイル形式でもレスポンスでも全く劣ってはおらず、PC上のクライアントとして十分な完成度といえます。

 

4.ハイレゾオーディオへの対応

先ほどからPowerDVD 11 UltraとPowerDVD 14 Ultraは単なるプレイヤーとして見た場合に、大きな機能差はないと書いていますが、実は大きく差が付くのがハイレゾオーディオファイルへの対応度です。

単なるハイレゾへの対応という意味では、PowerDVD 9 Ultraの時代から24bit/96kHzの再生には対応しています。しかしこれはあくまでDVD/BD内のコンテンツや、動画ファイルの音声トラックの話であり、単体のオーディオファイルへの対応度は決して高いものではありませんでした。

PowerDVD 11 Ultraでは、非圧縮または不可逆圧縮のファイルとしてはWAVかCD Audio形式以外には対応しておらず、オーディオファイルの高音質再生という部分にはあまり力は入っていませんでした。

今回はハイレゾ対応フォーマットのファイルとして、以下の4つのファイルを用意しました。

  • *.aif(AIFF形式)
  • *.ape(Monkey's Audio形式)
  • *.flac (FLAC形式)
  • *.wav (WAV形式)

いずれも24bit/96kHzのものです。LPの一部(Gaucho / Steely Dan)を再生したものを、echo digital audio Layla 24/96経由でAdobe Audition CS6(体験版)にて録音したものを利用しました。

上記4形式のファイルを1カ所のフォルダーに保存して、PowerDVDから参照してみました。

▲PowerDVD 11 Ultraの場合。.wav以外が表示されず、再生もできない。

4つのファイルが保管されているフォルダーを参照したのですが、PowerDVD 11 Ultraでは.wav以外のファイルは表示されませんでした。念のためドラッグ&ドロップしてみましたが、やはり再生はされません。

表示された.wavについても、再生の可否はOSの環境に依存するようです。OSそのものが24bit/96kHzをサポートしているWindows 7では正常に再生されましたが、Windows XPでは対応ファイルではない旨が表示され再生はできません。

▲PowerDVD 14 Ultraで表示。.aif以外のファイルが表示される。

続いて同じ実験をPowerDVD 14 Ultraで行ってみました。すると、今度はAIFFを除く3つのファイルが表示されています。ここで表示された3つのファイルはいずれも正常に再生が可能でした。

一応それぞれを試聴してみましたが、FLACだけがほんの僅かに細身になる傾向が見られたものの、概ね高い水準の音質が得られました。オーディオインターフェースを用いた高音質再生用途にも十分耐え得る実力は持っているでしょう。

なお、表示されなかったAIFFファイルを念のためドラッグ&ドロップしてみましたが、以下のエラーでやはり再生はされません。

▲AIFFファイルを再生させようとした際に発生したエラー。やはり対応していないようだ。

ここで利用した4つのファイル形式は、フリーのメディアプレイヤーである「VLC Media Player」で全て再生可能なものであり、決して安くはないPowerDVD 14 Ultraが対応していないというのは若干物足りなさを感じます。もっとも、私自身は普段AIFFを使う機会はほとんどないのですが…。

 

5.ソーシャルネットワーク動画の利用

PowerDVD 11 UltraにもYouTube動画の参照機能は用意されていたのですが、PowerDVD 14 Ultraでは対応ソーシャルネットワークがYouTube以外に「facebook」「flickr」「Vimeo」と追加されています。もっとも、私自身が普段使うのはYouTubeぐらいですから、ここでもYouTubeを例にとってレビューを進めます。
まずは左側のリストから「ソーシャル メディア」を開き、その中の「YouTube」メニューをクリックします。

初期設定では「再生回数の多い動画」がリスト表示されています。予め見たい動画が決まっているようであれば、右上の検索ボックスにキーワードを入力します。

▲キーワードで絞り込んだ結果

今回はテストに利用しようと考えていた動画がありますので、そのキーワードで検索した結果が上の状態となっています。目的の動画は一致度が最も高いためか、左上端に表示されました。あとはリストから目的の動画を選択して再生ボタンをクリックするか、リスト内の目的の動画名をダブルクリックすれば再生が開始されます。

▲TrueTheater HDなど、PowerDVD固有の機能も利用出来る

この動画は最高解像度720pで公開されているのですが、PowerDVDでは特に指定しなくても720pで再生されます。ちなみにPC側のWebブラウザーで参照した場合には、初期設定解像度は360となります。

ここで読み込まれた動画は、TrueTheater HDをはじめとするPowerDVDが備える機能の恩恵を受けることが出来ます。スロー再生なども出来ますので、あたかもPC内の動画をそのまま参照しているかのような感覚で扱うことが出来ます。

なお、画面右下部に画鋲のようなアイコンが用意されていますが、これは「ピン留め」を行うためのものです、ピン留めを行った動画はキャッシュがPC内のキャッシュフォルダーに作成され、オフライン状態であっても楽しむことが出来るというものです。PowerDVD以外のアプリケーションから扱うことは出来ないものの、簡単にいってしまえば動画のダウンロード保存を行っているということです。

▲赤丸部分がピン留めのアイコン。クリックすると上図のようにグレー表示に変わる。

ピン留めした動画は、それ以降ソーシャル メディア内の各メディアをリスト表示した際に、「ピン留め動画」を選択することで表示されるようになります。

▲「ピン留め動画」を選択すると、先ほどピン留めした動画がリストに表示される。

なお、この「ピン留め」を行った場合、キャッシュフォルダーの上限容量に達するまではピン留めした全ての動画が保管されますが、上限をオーバーすると再生頻度の低いものから優先して削除されていくそうです。

ところで、Web上の動画を保存する機能を持つプレイヤーといえば、以前から「RealPlayer」(Real Networks)が存在しています。現在はクラウド上のパーソナル領域を持つようになったことから「RealPlayer Cloud」に改称していますが、こちらとの違いについても触れておきましょう。「RealPlayer Cloud」の導入手順等は割愛させていただき、既に利用可能な状態となっている前提で話を進めます。

RealPlayer Cloudの場合には、目的の動画は通常のWebブラウザーで表示させます。

▲目的の動画をWebブラウザーで表示させ、動画表示領域上でコンテクストメニューを表示。

右クリックで表示される「このビデオをダウンロード」をクリックすると、その動画のダウンロードが開始されます。

▲ダウンロードを開始すると「real Downloader」が表示される

PowerDVD 14 Ultraとは異なり、キャッシュデータではない、ごく普通の動画ファイルをローカルPC上に生成します。

ダウンロードした動画はそのままRealPlayer Cloudの領域へとアップロードしておくことも可能です。

▲ダウンロード済みファイルには「RealPlayer Cloudにアップロード」というボタンが用意されている。

PowerDVD 14 Ultraも購入特典のクラウド上の保存領域が用意されていますので、そちらについては後ほど改めて取り上げますが、ここに両者の明確な思想の違いが表れています。

PowerDVD 14 Ultraは業界大手のCyberLinkが手がけているだけに、あくまで許諾された範囲でコンテンツを扱うことに重点を置いています。利用出来るソーシャルメディアが極めて限定されているのもそのためでしょう。

一方のRealPlayer Cloudは、FlashPlayerを利用して動画を再生している環境であれば、いかなるものでも保存してしまおうという考え方です。もっとも、どんな動画でもダウンロード出来るというわけではなく、例えばニコニコ動画などでは自分自身がアップした動画以外はRealPlayerでダウンロード出来ないよう設定されています。

RealPlayerではダウンロードしたデータは通常の動画ファイルとして保存されていますので、ダウンロードさえ出来てしまえば後はPC上で自由に利用出来てしまいます。言い方は良くありませんが、著作側の権利をあまり重要視していないと解釈されてしまう部分があるのです。

ダウンロードの自由度であればRealPlayer Cloudの方が有利ですが、機能やコンテンツの品質などにおいてはPowerDVD 14 Ultraの方が遙かに上です。

 

6.CyberLink Cloudの活用

PowerDVD 14 Ultraには、CyberLink Cloud10GB分1年間の利用権が付属しています。先に取り上げたRealPlayer Cloudの標準領域は2GB(クライアントアプリの利用状況等によって少し増量される)ですが、これは無料で利用可能であり、2年目以降は有料となるCyberLink Cloudとどちらが有利かは微妙なところです。

CyberLink Cloudを利用する際には、先にCyberLinkへのユーザー登録が必要となります。私は以前からPowerDVDユーザーでしたから既にユーザー登録も済んでおり、アカウント情報にCyberLink Cloudの情報を紐付けるだけで利用可能となります。

▲PowerDVDのインストール時に申し込み画面が立ち上がる

▲PowerDVDのプロダクトキーを入力。この場合はデフォルトで値が入力されていた。

▲問題が無ければここに遷移する。CyberLinkへのユーザー登録がない場合には、最初に登録作業が必要。

▲上の画面を最下部までスクロールすると、クラウドへのリンクが有効化されている。

ここまでの手順でCyberLink Cloudは利用可能となっていますので、上図の「サイバーリンク クラウドにアクセス」ボタンをクリックして早速利用してみましょう。

▲CyberLink Cloudのログイン画面

▲ログイン直後。当然だが何も登録されていない。

何かファイルをアップロードしてみましょう。まずはアップロード先となる新規アルバムを作成します。

▲「Sample Album」という名前で新規アルバムを作成

▲ファイルを選択して「Upload」ボタンをクリックすることでアップロードが開始される

▲今回は何故か「Internal Server Error」でアップロードが完了しなかった

今回は数個のファイルを試してみたのですが、どのファイルをアップロードしても「Internal Server Error」が発生してアップロードが完了しませんでした。アップしたファイルに原因があるのか、本当にサーバー側の不具合だったのかは判りませんが、少々残念な結果です。数日おいてリトライしてみますが、その際に上手くいった場合には本レビューに追記させていただきます。

(2014/06/01追記)CyberLink Cloudアップロードの追試

レビュー執筆中には動画ファイルが結局一本もアップロード出来ませんでしたので、サーバー側の不具合があった可能性も考慮して、暫く日付を置いて再テストを行ってみました。とにかく手当たり次第にアップロードを試してみたのですが…。

▲WMVファイル(ビデオカメラで撮影したものを変換したHD解像度ファイル)

▲AVIファイル(友人から送られてきた編集サンプル。640×360)

▲普段モバイルデバイスで再生しているMP4(H.264 852×480)

というわけで、相変わらず全てのファイルで「Internal Server Error」が発生してアップロード出来ませんでした。CyberLink Cloudではアップロードしたファイルは特定の形式へとトランスコードされた上で保存されるのですが、残念ながら私が用意した動画ファイルは全てトランスコードで失敗してしまうようです。

ちなみにオーディオファイルであればごく普通にアップロード出来ます。

▲MP3ファイルをアップロード

▲正常にアップロードされる

PowerDVD 14 Ultraの製品情報にCyberLink Cloudの対応ファイル形式と制限について記載されていますが、今回用意したファイルはこの条件に当たらないものであり、普段ごく普通に使っている動画ファイルが利用出来ないとなってしまうと、魅力は大きく損なわれてしまいます。

▲公式サイト上に記載されている対応情報。恐らく制限事項はビットレート以外にも存在しているものと思います。

というわけで、概ね満足度の高いPowerDVD 14 Ultraの機能の中で、唯一残念な結果に終わったのがこのCyberLink Cloudでした。まだ運用実績が短いということもあるのでしょうが、同種のサービスで無償提供されているものもあるということを考えれば、有償サービスであるCyberLink Cloudにはより高い完成度が望まれるのではないでしょうか。

 

7.DLNAサーバーとしての機能

PowerDVD 14 UltraにはDLNAクライアントとしての機能もありますが、自らが配信側となるDLNAサーバーの機能も含まれています。これはデフォルトで有効化されていますので、明示的に停止しない限りはDLNAサーバーとしても動作していることになります。

これを活用すると、PowerDVD 14 Ultraを利用している新メインPCの動画コンテンツを、旧メインPC側のPowerDVD 11 UltraをDLNAクライアントとして利用することで閲覧することも出来ます。

▲先ほどピン留めした動画もDLNA経由で配信されている

Windows 7ではMedia Playerの機能としてネットワーク内配信の機能が用意されていましたが、ある意味使い勝手や性質はそれに近いものと考えることが出来ます。後述するモバイルデバイス用のプレイヤーであるPower Media Playerも、このDLNAサーバー機能を利用してコンテンツを取得しているものと思われます。

DLNAサーバー機能とはいえ、あくまでPowerDVDというプレイヤーアプリケーションの機能であるため、PowerDVDで再生出来ないコンテンツは配信されないという弱点はありますが、特にユーザー側が意識することなく配信環境が構築されるという手軽さは有り難いところではないでしょうか。

 

8.Power Media Playerでモバイルデバイスからも利用可能

AndroidやiOS向けに、Power Media Playerという再生アプリケーションが用意されています。これは有料で販売されているものですが、PowerDVD Ultraのユーザーに対しては無料版が用意されています。今回のレビューはiOS 7.1.1のiPhone 5Sで作成しましたが、Android版でも基本的には変わりはありません。 Windowsのストアアプリも用意されていますが、こちらは今回は利用する機会がありませんでした。

導入手順は簡単に紹介しておきます。

▲App Storeで「Bundle」と付いた方を選んでインストール

PowerDVD Ultra向けのバンドルアプリケーションは、PowerDVDで表示されるパスコードを入力することで有効化されるようになっています。

▲「デバイス」ツリーから「Power Media Player」を開くとパスコードが表示される

有効化されたPower Media Playerは、起動すると以下のようなホーム画面となります。

▲Power Media Playerのホーム画面。ここでメディアの種類を選択する。

試しに動画を開いてみます。「ホームメディア」の参照先として、PC側のPowerDVDが表示されます。

先にPowerDVD上でピン留めしておいた動画が参照可能であることが確認出来ます。実際に再生してみました。

もちろん再生に問題ありません。この他、CyberLink Cloudにアップしたコンテンツなども参照可能であり、DLNAクライアント+クラウド参照アプリというのがPower Media Playerの実態なのではないかと思われます。

▲PowerDVD 11 UltraからのDLNA配信も受信可能

CyberLink Cloudに対しては、単なるクライアントとしての再生機能だけではなく、クラウドへのアップロードにも対応しています。

▲自動でCyberLink Cloudにアップロードするか否かは選択可能

Androidであれば無料のメディア再生やDLNAクライアントのアプリケーションの選択肢も多いのですが、iOSやWindowsストアアプリは現状では無料の選択肢とは豊富とはいえません。そう考えると、このPower Media Playerが無償で利用可能という特典はなかなか魅力的といえるのではないでしょうか。

 

9.PowerDVD Remoteで快適操作

PowerDVD Ultraユーザーに対して、特典としてもう1つ無償提供されるアプリケーションがあります。モバイルデバイスをPowerDVDのリモコンとして活用するためのアプリケーションとなる、PowerDVD Remoteです。

▲App Storeで「Free」と付いたものを検索

これもPowerDVD側で表示されるパスコードの入力により有効化されるものです。

▲パスコードの入力画面。パスコードはPowerDVD側で表示される。

PowerDVD Remoteを初回起動すると、次のようにPCへのPowerDVDのインストールを促されます。今回は既にPowerDVDを利用中ですから、画面下部のボタンをタップして次に進みます。

次に接続先となるPowerDVDを選択します。今回は新旧双方のPCを起動していたため、2つのPowerDVDが検出されています。

▲下の方がPowerDVD 14 Ultraをインストールした新メインPC

接続先を設定すると、ホーム画面へと遷移します。

▲ホーム画面。アイコンはPowerDVDのメイン画面内のタブと一致する。

ここでPowerDVD RemoteによるPowerDVDの制御方法は2種類から選択することになります。一つ目の「コントロール」は一般的なAV機器のリモコンと同じようなもので、ボタンを押すとPowerDVD上のボタンを操作したのと同じ動作となります。

▲「コントロール」選択時。ごく普通のリモコンと考えて良い。

もう一方の「タッチパッド」はなかなか面白い機能です。これはPowerDVD 14 Ultraを実行中のPCの、マウスカーソルをモバイルデバイスのタッチパネルで制御可能というものです。これは文字で書くよりも実際に動きを見ていただいた方が早いでしょう。

 

画面右下にiPhone上での操作の様子を入れてあります。タッチパネル上の動きが、そのままPC側のマウスカーソルに反映されていることがおわかりいただけるかと思います。

PowerDVD Remoteは、PCモニターでPowerDVDを利用しているユーザーにとってはあまりメリットが感じられないのではないかと思いますが、大型TV等にPCを接続してホームシアター化しているようなユーザーにとってはなかなか便利ではないでしょうか。私もTV接続PCで試してみるべきだったと少し後悔しています。

 

10.まとめ

PowerDVD 9 UltraはDVD/BD再生に完全に特化したアプリケーションという印象でしたが、PowerDVD 14 Ultraはコンテンツもデバイスも極めて幅広くサポートした総合マルチメディアプレイヤーとして進化したといえるでしょう。

基本機能となるBD/DVD再生については、3DをサポートしたPowerDVD 10 Ultra以降であれば、AACSキーの問題を別にすれば今でも充分に通用するだけの性能や機能を持っていたといって良いでしょう。

しかし、PowerDVD 14 Ultraは今までのビデオ再生に加え、ハイレゾオーディオファイルの大幅なサポート拡大により、ビデオにとどまらず写真や音楽までも含めたあらゆるメディアをカバーするソフトへとその姿を変えています。

DLNAもサーバー/クライアント双方への対応の充実が図られており、家庭内のネットワークにおいてメディアプレイヤーだけではなくメディアセンターとして活用して欲しいという意図を強く感じます。モバイルデバイスに対してのプレイヤーやリモートコントロールアプリの提供も、その一環として考えれば実に自然です。

最初に提起した「PowerDVD 11 UltraからPowerDVD 14 Ultraへと乗り換える価値はあるのか」という疑問についてですが、私の見方としては、PC1台だけで使うというユーザーにとっては、敢えて乗り換えなければいけない理由は乏しいと思います。しかし複数のPCやモバイルデバイスを利用していて、家庭内のネットワークで、色々な形でコンテンツを楽しみたいという考えのユーザーであれば、積極的に乗り換えるだけの価値は充分に見出せたと思います。

PowerDVD 14 Ultraは「再生ソフト」というよりは「PCをマルチメディアのハブとして機能させる」ことで、その真価を発揮するといえるでしょう。

25人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • notokenさん

    2014/05/17

    DLANの対応は嬉しいですよね。

    HDCP未対応のDVI接続モニターだと、BD以外に再生できないものは何があります?
  • jive9821さん

    2014/05/17

    まだそれほど多くのコンテンツを試したわけではないのですが、今のところBD以外には特に見つかっていません。

    そもそも最初は仮組みのPCであるためアナログRGBでモニターに接続していたのですが、BDが再生できなかったことでHDCPのことを思い出して、DVIで繋ぎなおしてテストを再開したという経緯があります。

    もし他に見つかったら、またレビュー内で追記させていただきます。

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