今回レビューするのはRyzen™ Threadripper™ 1950Xである(;=゚ω゚)=333
このプロセッサは去年登場したAMDのエンスージアスト向けのハイエンドプラットフォームであるSocketTR4の最上級モデルに位置する。
■はじめに
去年2017年にAMDはAM4版のRyzenプロセッサの投入により、メインストリームではライバルであるIntelのプロセッサと対等に戦えるようになった。むしろ、マルチスレッドに関してはRyzenが優れていると言って良いだろう。その証拠にIntelはSandyBridge世代から4コア8スレッドを堅持し続けていたが、最新のCoffeeLake世代では6コア12スレッドモデルを投入するなど対抗心を露わにしている。
AMDの快進撃は止まらない。Ryzen Threadripperでは、より多くのコアを搭載するエンスージアスト向けのプラットフォームやワークステーション向けのIntel Xeonにも食ってかかろうとしているのだ。IntelがSkylake-Xを発表した際、7900Xより上位のモデルを急遽追加したのも対抗心の現れだろう。このような競争はユーザー側としては非常にありがたいのです(^q^)
今年の初めにAM4版Ryzen7-1800Xと歴代AMD CPUの比較レビューをおこなったので、よろしければご覧ください。( ゚∀゚)o彡°AMD!AMD!
そして、今回の課題はズバリ「Ryzen™ Threadripper™ 1950X vs Corei9-7900X」である。
同価格帯のAMDとIntelのCPUのガチンコ対決となる(;=゚ω゚)=333
CPUとマザーボード以外は全く同じ構成で組んで比較したので参考になれば幸いである。
■Ryzen Threadripperの概要とラインナップ
Ryzen ThreadripperはAM4版のRyzenとは異なるSocketTR4というプラットフォームが用いられる。
最上位であるRyzen Threadripper 1950X(以下1950Xと記載)の大きな特徴はAM4版Ryzenを大きく上回る16コア/32スレッドを搭載しているという点であり、マルチスレッド処理性能が非常に高いと予想される。キャッシュの容量もL2-8MB、L3-32MBと実に40MBとなっている。AMDはIntelと比較してキャッシュが少ないことが常だった為、なかなか感慨深いものがある。
そして、AMDプラットフォームでメモリがクアッドチャネルに対応したことも大きい。IntelだとLGA2011(X79)以降のハイエンドプラットフォームではクアッドチャネルメモリとメモリソケット8本に対応していたが、ついにAMD環境でもこれを実現できることは同社のファンにとって非常に嬉しいのである。 ( ゚∀゚)o彡°AMD!AMD!
現在Ryzen Threadripperは3モデル販売されている。
最強を目指すなら16コア32スレッドの1950X一択だ(;=゚ω゚)=333
価格との相談で1920Xもありです。12コア/24スレッドになりますが、1950Xより3.5万円程度安くなる。
そこまでコア数は必要ないけど、メモリをたくさん載せたいからTR4を選ぶんだ!という方は1900Xが価格も(TR4の中では)手頃で最適である。16GBのメモリを8枚搭載すると実に128GBになるのである。これらのコア数、メモリ搭載容量はAM4版のRyzenでは実現できないことなのでTR4の大きなメリットと言える。
私が初代Athlon600MHz(SlotA)で組んだ時はメモリ128MBだったので実に1000倍なんだよな(遠い目)
■Ryzen Threadripper 導入について
Ryzen Threadrippeはハイエンドプラットフォームということもあり、性能や拡張性は非常に高くなるが、AM4版のRyzenと比較すると若干敷居が高く、注意するべき点がある。ここではTR4を導入する上で注意する点をマザーボード、メモリ、CPUクーラーについて説明する。
【マザーボード】
Ryzen ThreadripperではSocketTR4対応マザーボードを選択する必要がある。チップセットはAMD X399の1種類しかないので迷うことはないだろう。最近ではASRockのX399M TaichiのようにM-ATXモデルも登場している。たまにATXよりも横幅の広いE-ATXモデルもあるのでマザーボードとケースの選定には気を付けよう。マザーボードの実勢価格は4万円から7.5万円とAM4と比較すると高価である。ハイエンドプラットフォームであるがゆえ非常に多機能で豪勢な仕様のモデルが多い。
今回はお手頃価格なMSI製X399 SLI PLUSをチョイスした。
【メモリ】
Ryzen Threadripperはサーバーやワークステーションで使用することも想定されているようでエラー訂正機能を持つECCメモリをサポートしている。もちろん、通常のnonECC DDR4メモリも使用することができるので既にお持ちの方は流用することも可能である。但し、Ryzen Threadripperはクアッドチャネルアクセスに対応しており、その性能を活かすためには4枚単位での増設をお勧めする。(メモリは1枚単位でも動作はする)
TR4マザーボードのほとんどはメモリソケットが8本搭載されているので全部埋めてしまうくらい豪勢に行きたいものである。メモリクロック定格は2667MHzである。Ryzen Threadripperの対応を謳った4枚セットや8枚セットのメモリもあるので相性が心配な方はこのようなものを選ぶと良いだろう。
今回は手持ちのCrucial BALLISTIXのDDR4-2400 4GB×4枚セットを2組使用することにした。 →相性問題で1組とした。後述する(´;ω;`)・・・
【CPUクーラー】
Ryzen Threadripperはあのパッケージに16コア/32スレッドを詰め込んでいることもあり、TDPは180WとRyzenと比較すると高くなっている。基本的に水冷が必要だと考えてよいだろう。(但し、Noctua等ごく一部のメーカーではTR4対応の空冷クーラーも存在する。)
自身でクーラント(冷却水)の通るチューブ等の組み立ての必要がない簡易水冷クーラーだと安価に購入することができる。初めて水冷機器を使用する方はラジエーター(冷却水を放熱するファンの付いた部分)がケースに取り付けられるかよく確認しよう。240mmサイズがお手軽である。
今回はTR4と比較用のLGA2066の両方に対応する、REEVEN製NAIA240(RE-2401)をチョイスした。
パーツの選定には気を付けよう!
今回、私は1950Xマシンを組む際に2つのトラブルが発生しレビューの掲載が遅れたのだ(´;ω;`)
とは言え、トラブル&失敗談の情報は、今後Ryzen Threadripperで組む諸氏の役にも立つと思う。掲載しておくのでパーツの購入前に是非参考にして欲しい。
1つ目のトラブル
メモリの相性である。
当初はマザーボードに「ASUS製PRIME X399-A」を購入し、メモリには手持ちの「Crucial BALLISTIX DDR4-2400 4GB×4枚セット(BL4K4G2D240FSB)」を2組用意して8枚で使用するはずだった。このマザーボードにはメモリソケットが8本あり、
A1、B1、C1、D1で4チャネル(1組目)
A2、B2、C2、D2で4チャネル(2組目)と構成となっている。
・1組目のスロットに4枚を挿すとOK
・1組目のスロットにいずれか1枚を挿すとOK
・1組目のスロットに4枚+2組目のスロットに1枚でも挿すとNG。
(ボード上のPOSTコードが一瞬消えリセットがかかる)
・8枚とも挿すとNG
・2組目のいずれかに1枚でも挿すとNG。
・8枚のメモリはそれぞれ入れ替えても症状は変わらない。
この組み合わせだと、2組目のスロットを使用するとどうも起動しない不具合があるようだ。1組目のスロットだと起動するのでBIOSを最新に更新したけど症状は変わらず。
マザーボードかCPUの初期不良かもと思ったのだが、マザーボードを購入したPCワンズに一式を持っていくと不具合症状は再現。ただ、2組目に1枚でも異種メモリを入れると起動することがあるという謎の結果に。8枚とも手持ちのメモリや、2組目に1枚でも挿すとリセットがかかり起動しない展開も同じ。サポートの店員さんも何じゃこりゃ状態となった(^^;
結果として、メモリの相性だということに。ここで注意したいのが同種のメモリ4枚だと動いて、8枚だと動かない場合がある点に注意したい。もし、今メモリ4枚で動作させていて、後に4枚を増設する方はメモリの相性保証に入っておくことをお勧めする。もちろん、マザーボードのベンダーには動作確認のメモリが記載されているのでそれを購入するのが最も安心ではある。
今回はマザーボードを「MSI製のX399 SLI PLUS」に交換してもらった。
2つ目のトラブル
水冷の水枕(CPUソケットに付ける冷却部)とメモリソケットの干渉である。
簡易水冷の「REEVEN製NAIA240」は水枕の横から水冷のチューブが出ており、やや横長である。「ASUS製PRIME X399-A」だとE-ATXで横に長く問題なく使用できたのだが、「MSI製X399 SLI PLUS」ではCPUソケットとメモリが近い関係で水枕を取り付けるとメモリに干渉し1枚つけられなくなるトラブルが発生した。
X399マザーのATXモデルの大半はCPUとメモリソケットの間がそれほど広くない為、水冷クーラーを選ぶ際、水枕の形状をよく確認することをお勧めする。水枕の横からチューブが出てるモデルは避けて、真上から出ているモデルを選択する方が無難である。この為、今回は泣く泣くメモリを4枚にしてクアッドチャネルを1組だけ構成させることとした。
■レビューマシンの構成
AMD vs Intel CPUのガチンコ対決ということもあり、できるだけ同じパーツを使うことにした。
もっと高級なパーツを使えというお叱りの声が聞こえてきます(´;ω;`)・・・
Ryzen APUを3個など色々買った後にレビューに選出されたのでお金が無いのですよorz
CPUとマザーボード以外は全く同じパーツを使用している。
意外と苦労したのがCPUクーラーであり、Ryzen Threadripper向けのTR4対応のクーラーはTR4専用品であることが多く、比較の為にLGA2066にも使えるとなるとほとんど選択肢がないのである。(もっとも今回のように比較が目的でない限りは問題にならないだろうが・・・)
グラフィックカードは知り合いに借りたASUSのROG-POSEIDON(ポセイドン)を使用しました。自分的にはこんな水冷にも対応するような高級なグラフィックカード扱うの初めてである(((( ;゚Д゚))))
■Ryzen Threadripper 1950Xを開封する
順番が入れ替わった気がしないでもないが、レビュー品である1950XのBOXの中身を見てみよう。店頭では小型のブラウン管テレビのようなパッケージとなっているので中身がどうなっているのか気になっていた人も多いであろう。
パッケージはAMDのCPU至上(CPUクーラーが付属しないモデルでは)最も大きいと思う。FX世代だと水冷クーラーセットモデルもあったので更に大きいのだが・・・
横はシュリンクになっており、切り取る形となる。
内容物一覧。
CPU本体/ドライバ/リテンション/マニュアル/ステッカー(2種)
そして、これがAMD最強CPUであるRyzen Threadripper 1950Xです(`・ω・´)キリッ!
オレンジ色の樹脂のガイドと一体型になっている。ソケットに取り付けるときもこのガイドごと取り付けるのだ。( ゚∀゚)o彡°AMD!AMD!
CPUの裏側です。接点となるランドの数は恐ろしいガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
ただ、コンデンサ等の部品が思ったより少ない模様。きっと表面の大きなヒートスプレッダの下に実装されているものだと思う。
■Ryzen Threadripperマシンを組み立てよう
早速、マシンを組み立ててみる。とは言えCPUの取り付け方以外は普通の自作PCとそれほど変わらない。
CPUソケットには固定用ネジが3か所あり、開くときは3→2→1の順でネジを開けよう。CPU取り付け後は1→2→3の順でネジを締めよう。実はソケット自体にも印字されているので迷うことはないだろう。この固定ネジは特殊な形状ものであり、CPUパッケージに付属するドライバーを使用すれば良い。
CPUはソケットには保護カバーがガイドレールに沿って挿入されており、これを外して代わりにCPUを取り付けてやれば良い。このような大型のCPUをピンに接触させるには押さえつける機構が重要だと言わんばかりの構造である。
CPUを取り付けたら、普通に組み立てる。
CPUクーラーの取り付け方は若干変わっており、TR4ではソケットの4隅にクーラー固定用のネジ穴があり、そこにネジを入れて固定する。
このケースだと天面に設置した簡易水冷のラジエーターとマザーボードのヒートシンクが干渉するので、ラジエーターの固定方法に若干工夫する必要がある。個人的にはラジエーターが前面又は背面に立てて設置できるケースがお勧めである。
そして、電源をONすると・・・
BIOSキタ――(゚∀゚)――ッ!
とりあえず、BIOSのアップデートをしてから、Windows10 Pro 64bit版と最新ドライバ&OSのパッチをインストールした。動作自体は良好で非常に安定している(*'ω'*)
■AMD Ryzen Masterを使ってみよう
AMDはRyzenプロセッサ向けに純正のオーバークロックユーティリティ「AMD Ryzen Master」を配布している。これを使用するとCPUクロックの変更やメモリの細かい設定が弄れるようになる。(TR4だけでなくAM4のRyzenにも対応する)
簡易的なプリセット設定として、「Creator Mode(デフォルト)」と「Game Mode」が用意され、それぞれ最適な設定がされる他、マニュアルで弄ることも可能である。
主な動作モードの設定として以下の3点の設定ができる。
【同時マルチスレッド】
SMT:1コアあたり2スレッド処理する、Intelでいうハイパースレッディングテクノロジーに相当する機能のON/OFFを設定できる。これを無効にすると16物理コアによる16スレッドとなる。
【メモリアクセスモード】
メモリアクセスモードを「分散」または「ローカル」に設定できる。
RyzenMasterのマニュアルによると、分散モードではメモリへのトランザクションを均等に分散化し、帯域幅を重視させクリエイティブな用途に適している。
ローカルモードではグラフィックカードと通信するCPUコアに電気的に最も近いRAMにメモリ要求をするとのことでメモリアクセス時間を重視させる用途(要するにゲームであろう)に適している。
【レガシー互換モード】
古いゲームは多くのコアを考慮して設計されておらず、いつくかのゲームは20論理コアで起動できないものがあるという。このレガシー互換モードを有効にするとアクティブな論理プロセッサのリソースが半減する。(要は8コア16スレッドとなる)また、メモリアクセスモードはローカルに固定される。
今回の性能比較ではこれらの設定によりどのようにスコアが変化するかも試してみた。
次の章では、いよいよRyzen Threadripper 1950X vs Corei9-7900Xのハイエンド対決するよ(`・ω・´)キリッ!
Ryzen Threadripper 1950X vs Corei9-7900Xのハイエンド対決!
さて、前書きが凄くなりましたが、気になるのは性能の比較でしょう。っということでいつものベンチマーク弾幕をやりますよ(`・ω・´)キリッ!
CPUとマザーボード以外を同じ構成にしてどれだけ差が出るのか気になるところである。今回はRyzen Threadripper 1950Xは「Ryzen Master」の設定により4種類の設定でデータをとった。
【1950X(16/32,分散)】
Ryzen Masterの「Creator Mode」設定。(デフォルトもこの設定である)
16コア/32スレッドで動作する。
SMT:有効、互換モード:無効、メモリ:分散
【1950X(16/32,ローカル)】
カスタム設定であり、Creator Modeからメモリを分散→ローカルに変更したものである。
Game Modeだと互換モードがONになるので純粋にメモリ設定だけを変更した場合のデータが欲しかったので用意した。16コア/32スレッドで動作する。
SMT:有効、互換モード:無効、メモリ:ローカル
【1950X(16/16,ローカル)】
こちらもカスタム設定であり、メモリを分散→ローカルに、かつSMTを有効→無効にしたものである。つまり、物理16コアの動作となり16コア/16スレッドで動作する。Game Modeが8コア/16スレッドで動作するので比較用として用意した。
SMT:無効、互換モード:無効、メモリ:ローカル
【1950X(16/32,ローカル)】
Ryzen Masterの「Game Mode」設定。Creator Modeと比較するとメモリが分散→ローカルに、かつ互換モードがONとなり使用するコアが半分になる。8コア/16スレッドで動作する。
SMT:有効、互換モード:有効、メモリ:ローカル
【Corei9-7900X】
Corei9-7900Xは特に何も設定せずにそのまま動作させた。
■CPU関係のベンチマーク対決!
CrystalMark2004R7(マルチスレッド対応)
【ALU(整数演算)】
【FPU(浮動小数演算)】
16コア/32スレッドで動作している1950Xが7900Xを圧倒している(;=゚ω゚)=333
単純にコア/スレッド数が1.6倍もあるので数の暴力で凌駕したと言えるだろう。
おもしろいのは1950Xの8コア/16スレッドと16コア/16スレッド時の比較である。やはりSMTよりも物理コアが効くというのがよくわかるだろう。この傾向は一般的にIntelのHyper-Threading Technologyと同じである。
CINEBENCH R15(シングル/マルチスレッド対応)
【シングルスレッド】
【マルチスレッド】
CINEBENCHはシングルスレッドとマルチスレッドの両方で計測できるので、1950Xと7900Xの特長が良く出てくる。マルチスレッドでは1950Xのスコアが約3000と凄まじいものになっており7900Xを約35%も上回り圧倒している。対するシングルスレッドでは7900X側は1950Xを約20%上回っている。
AMDはRyzenによりIPCが大きく向上したが、シングルスレッドではまだIntelには及ばないようだ。もちろん、7900Xのクロックが高いということもあるが。だが、シングルスレッドでもFXプロセッサ世代と比べると大きく飛躍しており、勝負できるだけの実力をつけてきたと言って良いだろう。
CPU-Z(シングル/マルチスレッド対応)
【シングルスレッド】
【マルチスレッド】
いつの間にかCPU情報を表示する定番ユーティリティのCPU-Zにも簡単なベンチマーク機能が搭載されている。傾向はCINEBENCHと同じと思いきや、マルチスレッド時の1950Xのスコアが7900Xの約2倍と顕著に差が出るようになっている。1950Xの8コア/16スレッドでも7900Xのスコアを上回るのが興味深い。
午後のこーだー(シングルスレッド対応)
このベンチはマルチスレッドに対応するが、6スレッドを超えると正常に計測を行えなくなる為、シングルスレッド専用として計測した。結果として7900Xが1950Xを20%程度上回る。これはCINEBENCHのシングルスレッド時と同じ傾向である。
Super PI(シングルスレッド対応)
このベンチのみ短い方が高速です。
Windows3.1時代からあるSuperPI。当然シングルスレッドです。歴代Intel勢が得意な円周率の計算であり、7900Xが1950Xの約7割の時間で計算を完了している。1950Xは8コア/16スレッド設定時が最も高速である。恐らく最も発熱が小さくクロックが上がりやすいのだと推測される。
ちなみにSuperPIのダウンロードページには「3355万桁を計算するには十分なメモリーとパワーがいります。PentiumIIで十分メモリーがあれば、12時間以内で計算できるそうです。」と(今から考えると)衝撃的なことが書かれている。今回のベンチは半分の1677万桁なので1950Xなら10分強で計算し終えることができるだろう(`・ω・´)
PassMark9.0 CPU MARK(マルチスレッド対応)
このベンチではCPUの様々な項目を評価している。結果からいうと1950Xと7900Xはほぼ同レベルである。っというより、1950Xのメモリ設定であるローカルと分散の差が大きく、その間に7900Xが来るという結果となった。
3DMark Time Spy
最新の3DMaekで唯一CPUスコアが単体で残されているテストである。このテストでは7900Xが優勢である。また、このベンチも1950Xのメモリ設定によりスコアが大きく変動する。
CPU関係のベンチマークまとめ
CPU関係のベンチマークをまとめてみると、マルチスレッドならTime Spyを除き1950Xが圧勝している。反面、シングルスレッドはまだ7900Xに及ばないという結果となった。
概ね、マルチスレッド対応アプリだと1950Xが50%近く速く、シングルスレッドだと20%程度遅いといったところだろうか?
■GPU/グラフィック関係のベンチマーク対決!
今回のレビューではGeForce1080Tiを使用したこともあり、解像度がFullHDではスコアがインフレ化するものがあるため、4K解像度のデータも採ってみた。
解像度の表記は2K(1920x1080)又はFullHD、4K(3840x2160)としている。
3D Mark11
3DMark11では大きな差は付かなかったが、7900Xが一歩抜きんでいる。1950Xの中では16コア/16スレッド設定よりも、8コア/16スレッドの方がスコアが高い。有効コア数が少ないことにより動作クロックが上がりやすくなっている可能性がありそうである。
3D Mark
【Time Spy】
DirectX12のAPIを使用した最新のテストでハイパフォーマンスなPCが想定されている。
結果は7900Xが僅かに勝っているが、1950の最速のものとの差が1%程度なのでほぼ互角と言って良いレベルである。
【Fire Strike】
DirectX11のAPIを使ったテストである。こちらも1950Xと7900Xはほぼ互角である。1950XのGame Modeである8コア/16スレッドが最も低い。
【Sky Diver】
DirectX11相当のテストだが、FireStrikeがハイエンドPC向けに対しこちらはミドルレンジPC向けのテストとなる。このテストでは7900Xが勝っている。1950Xの動作モードとスコアはFireStrikeと同じ傾向にある。
【Cloud Gate】
Cloud GateはDirectX10世代相当のAPIを使用しているテストである。こちらは7900Xが優勢である。
【Ice Storm】
【Ice Storm Extreme】
Ice Storm自体はDirectX9世代相当のAPIを用いるベンチであり、昨今のシステムではスコアがインフレ化しすぎる傾向にある。しかし、1950Xは7900Xのダブルスコアを叩き出しており、まさに圧勝となっている。Game Modeである8コア/16スレッドが最も高くなっていることにも注目したい。
3DMarkの結果を見る限り、使用するAPIによって得手・不得手が別れるようだ。同じGeForce1080Tiを使用しているとは思えない展開が面白い。必ずしもGame Mode設定がベストだとは限らないということも頭に入れておきたい。
FINAL FANTASY 14 蒼天のイシュガルド
【DirectX9 / 1920x1080】
【DirectX9 / 3840x2160】
旧バージョンのベンチだがDirectX9と11が切り替えられるので敢えて含めてみた。
結果、DirectX9モードでは2Kだと7900Xが圧倒的に優勢である。4Kだと差が少なくなっている。これは4Kだとグラフィックカード側がボトルネックになっているものだと考えられる。
1950Xのメモリ分散設定だと大きくスコアが下がる点に注目したい。
【DirectX11 / 1920x1080】
【DirectX11 / 3840x2160】
DirectX11モードでも7900Xが最速だがDirectX9に比べると優位性が少ない。4K解像度に至っては1950Xのメモリ分散設定を除けば完全に横並びとなっている。
FINAL FANTASY 14 紅蓮のリベリーター
【1920x1080】
【3840x2160】
FF14の現行版のテストでは概ね、FF14 蒼天のイシュガルドのDirectX11モードと同じ傾向が出ている。1950Xもメモリがローカル設定ならば7900Xと互角に戦える結果となった。
FINAL FANTASY 15
【1920x1080】
【3840x2160】
最新かつ非常に重いとされるFF15のベンチである。
2K解像度では僅かに7900Xが有利、4Kでは互角である。このベンチもグラフィックカード側がボトルネックになっているものだと考えられる。
PSO2(ファンタシースターオンライン2)キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4
【1920x1080】
【3840x2160】
PSO2では1950Xが圧勝している。特に2K解像度では7900Xの1.5倍以上のスコアを叩き出すという快挙に出ている。ゲームによってはここまで差が開くものなのだなと考えさせられる結果である。
PassMaek9.0(3D MARK)
PassMarkでは様々な3D描画ファンクションが用意されており、その総合スコアを掲載している。こちらでも1950Xが優勢であり、8コア/16スレッドのGame Mode設定が最も高いスコアとなりAMDの意図した通りの傾向になっているのではと思う。
CINEBENCH R15(Open GL)
一方、OpenGLでは1950Xが7900Xに大きく後れを取っている。OpenGLも世代が色々あるので一概には言えないが、ワークステーションとして使用するにはOpenGLのスコアはもっと高くなって欲しいものである。もっとも、GTX1080TiではなくQuadroやFirePro、VEGAあたりと持ってくれば大きくスコアが変わる可能性があるが。
ゲーム/グラフィック関係のベンチマークまとめ
ベンチによって得手・不得手が出てくるので非常に判断に困る結果となった。
7900Xがやや優勢といった感じだが、AMD FX世代のように完敗するようなことはなく、むしろ今回おこなった半分近くのベンチでは勝っている。
ただ少なくともデフォルトのCreator Mode設定では劣勢に立たされることが多い。ならばGame Modeが良いのかというと必ずしもそうではない。個人的には1950Xを8コア/16スレッドとして使うことは許されないので、Creator Modeからメモリ設定だけを分散→ローカルに変更することを推奨する(`・ω・´)キリッ!
■動画のエンコード対決
多コア/多スレッドを活かすアプリケーションと言えば、動画のエンコードだろう。ゲームの配信やYoutubeなどの動画投稿が一般化する中、少しでも早く動画を変換したいというニーズはあるだろう。
今回はエンコードソフトの国産老舗メーカーであるペガシスのTMPGEnc Video Mastering Works6の体験版を使用し、動画の変換速度を比較してみた。
ソースは2017年10月14日(土)に開催された、「第二回自作er オフ会 in 大阪」です。私も参加しましたよ(`・ω・´)キリッ!
入力ソース
長さ:59分58秒66
解像度:1920×1080
フレームレート:29.97fps
形式:H.264/AVC
平均ビットレート:1.947Mbps(推定)
ファイルサイズ:約900MB
出力ソース
この動画をスマートフォンなどのストレージに収めるため、解像度はそのままでH.265化してビットレートを下げることによって約1/3の280MB程度にエンコードした。
もちろん、CPU同士の比較の為GPUエンコードは無効にしている。
動画エンコードにかかった時間(短い方が高速)
動画エンコードにかかった時間/消費電力/CPU使用率
結果から、今回のTMPGEnc Video Mastering Works6を用いたH.264→H.265のエンコード処理では1950XのCreator Modeよりも7900Xの方が14%ほど高速だった。様々な理由が考えられるが7900Xの拡張命令(AVX2等)の処理速度が1950Xより速いと推測される。
これはかつてWindows95時代のAMD K6 vs MMXPentiumの比較でMMXの実行ユニット数が少ないことによりK6が後者に及ばなかったものと近い関係なのかも知れない。また、ソフトの最適化はライバル社よりもシェアの低いAMDの今後の課題になると思う。
1950Xの設定同士で言えば、Creator Modeが最も高速に処理を終えており面目を保っているといった感じである( ˘ω˘ )
■仮想通貨のCPUマイニングをしてみた
去年、大きく話題となった仮想通貨のマイニングも試してみた。
結論から言うと、マイナーソフトによっては多スレッドやSMT有効だと大きくスコアが下がることがあり、実際にマイニングを行うには自分でベストな値を探し出す必要があると感じた。実際にマイニングをされる方は様々なマイナーソフトを試して欲しい。その際、SMTの有効/無効を切り替えてみることをお勧めする。
Claymore's CryptoNote(XMR)
・1950X:1032H/s(CPU負荷は約55%と半分くらいしか使っていない)
・7900X:519H/s(CPU負荷は約60%とこちらも約半分となった)
このマイナーソフトでマイニングする分には1950Xの圧勝であり、ハッシュレートはダブルスコアとなっている(*'ω'*)
NiceHash(XMR)
NiceHashはサードパーティのプラグインを無効にすると基本的にXMR系の通貨を掘る設定となる。但し、NiceHashマイナーからは1950Xが16コアCPU×2つと認識される。
・1950X(1CPUのみ有効):1064.2H/s
・1950X(2CPU有効) :159.3H/s + 158.3H/s = 317.6H/s
・7900X:504.8H/s
少なくともNiceHashで1950Xを使用してXMRを掘る場合は、1CPUのみを有効にしないとハッシュレートが大幅に下がる。但し、1CPUのみ有効した状態でも1950Xのハッシュレートは7900Xのダブルスコアとなり圧勝している。
Miner Gate(XMR)
ほぼ設定不要で簡単に掘れるマイナーである。その代りにややハッシュレートは低いとされている。
・1950X(16スレッド有効):661.79H/s
・1950X(32スレッド有効):302.17H/s ←下がる
・7900X(10スレッド有効):436.00H/s
・7900X(20スレッド有効):338.00H/s ←下がる
Miner GateだとSMTを有効にするとハッシュレートが下がるようで、1950Xの場合は16スレッド、7900Xの場合は10スレッドを超える設定にするとハッシュレートが下がった。ハッシュレートもClaymore's CryptoNoteやNiceHash(XMR)よりも低めである。それでも、ハッシュレート自体は1950Xは7900Xの1.5倍近くあり優位性は失われていないのである。
モネロ(XMR)をマイニングするなら、1950Xは7900Xよりも圧倒的に有利だろう(`・ω・´)キリッ!
■CPU温度と消費電力を測定してみた
CPUで性能以外で気になると言えば、温度と消費電力だろう。CPUとマザーボード以外は同じという好条件で確認してみた。
CPU温度
CPU温度の測定には定番ユーティリティのHW Monitorを使用した。
Corei9-7900Xはパッケージ温度で確認。
アイドル時:一度、ベンチでCPU温度を高くしてから5分放置した状態で測定。
OCCT時:OCCTのCPU負荷モードを5分かけた状態で測定。
Prime95時:Prime95の負荷を5分かけた状態で測定。
結果、1950Xと7900XのCPU温度は見事なくらい横並びとなった。
実際には発熱に応じて水冷のポンプの強弱が切り替わっているのだろうが、ターゲット温度が同じと思われ、結果そのように制御されたものだと思う。1950Xの方がTDP180Wと7900Xの140Wよりも高いが、少なくとも今回使用したREEVENのNAIA240でも冷却不足になることはないだろう。
消費電力
消費電力の測定にはエコキーパーを使用した。マシン全体での消費電力測定となる。
測定条件はCPU温度の3つの条件と同じとしている。
こちらは若干ばらついた結果となっている。
アイドル時は7900Xのマシンが優勢である。OCCT負荷時は最大の消費電力を見ると1950Xの方が50W程度高い。但し、Prime95だと1950Xと7900Xは同等言えるくらい迫っている。
恐らく、負荷ソフト側で使用しているプログラムの命令(或いは拡張命令)による違いだと思う。ただ、最大の消費電力を見る限り1950Xと7900Xは大きく変わらない。これは1950XがTDP180W、7900XがTDP140Wであることを考えると、1950XはTDPのわりに意外と消費電力が少ないと言えるのかも知れない。
■まとめ
前回のRyzen7-1800Xに続き、Ryzen Threadripper 1950Xの性能を同価格帯のCorei9-7900Xと対決という形で見てきた。
簡単にまとめると1950X vs 7900Xの結果は以下のようになる。
・多コアのマルチスレッド対応ソフトなら1950Xが50%程度上回り圧勝である。
・シングルスレッド対応ソフトなら7900Xが20%程度有利であるが、1950Xもかなり善戦している。
・ゲームだと7900Xが優勢だが、タイトルによっては逆転する。
・PSO2やるなら、1950Xが圧倒的である。
・動画エンコードはTMPEGでH.265/HEVCを使用する場合は7900Xの方が15%程度速い。
(但し、使用するエンコーダーによって大きく変わると思われる。)
・仮想通貨でモネロ(XMR)を掘るなら、1950Xがダブルスコアで圧勝する。
・CPU温度・消費電力は概ね同等である。
1950Xは7900Xと比較するとコア/スレッド数が多い為、32スレッドにも対応するようなマルチスレッド対応アプリケーションだと比類のない性能を発揮している。
シングルスレッドの性能も非常に重要な要素である。但し、現状のゲームを見る限りシングルスレッドからマルチスレッド対応のタイトルでも4スレッド程度しか使わないものが多い。そのような用途ではコア/スレッド数よりも高クロックを重視したメインストリームのプラットフォームを選択する方が金銭的にも賢明だろう。
Ryzen ThreadripperやCorei9を選ぶ価値はやはり多数のコア/スレッドやメモリ容量/帯域を活用できるアプリケーションにあるはずだ。エンコード・動画編集や仮想通貨のマイニング、CINEBENCHなどをはじめとするクリエイターツールでは比類のない性能を発揮できるのである。
(もちろん、自作PCとしては所有欲を満たす、タスクマネージャーを眺めてニヤニヤするというのも重要な要素である
CPU温度も実売1.3万円程度の簡易水冷クーラーであるNAIA240で全く問題ない。消費電力もTDPのわりには7900Xと差が少ないこともポイントであろう。
1950Xと7900Xの対決では得手・不得手が出てくるため、どちらが良いかは使うアプリケーション次第だろう。でも、どうせ使うならこれから増えてくるであろう多スレッド対応ソフトで威力を発揮できるRyzen Threadripper 1950Xに投資したいと考える俺がいる(`・ω・´)キリッ!
つまり、Ryzen Threadripper 1950Xは良いぞ(`・ω・´)キリッ!
■おまけ
2018年1月にAM4版のRyzen7-1800Xをレビューさせていただきました。
そのときから、Ryzen APU等が発売したことにより・・・
Ryzenが一気に増えたぜ(`・ω・´)キリッ!
そして、2018年度の目標が・・・
もう達成できてしまいました(;=゚ω゚)=333
ついにRyzenの箱が天井まで届いたぞ(;゚∀゚)=3
Zen+やZen2にも期待して( ゚∀゚)o彡°AMD!AMD!
今度はVEGAが欲しいぞ(´;ω;`)・・・
noroi_amanoさん
2018/04/10
( ゚∀゚)o彡°Thripper! Thripper!