楽しみにしていたPhilipsのウェットシェーバーとバリカンのレビュー。これは選んで頂いてラッキーだった。ひげ剃りはGilletteのT字カミソリ、散髪は梳きハサミと、そもそも電動ツールを買おうという発想が無く、このレビューの機会がなければいつまでもその便利さを知らずに居るところだった。
1.ウェットシェーバー Philips 5000シリーズ
PhilipsはPanasonic、Braunと並んで今日の電動シェーバーの3大メーカーの一つらしい。Philipsがシェーバー市場に参入した歴史は古く、1939年にユトレヒトの商品市に初号機を発表して以来ということだから、もう80年もシェーバーを造っていることになる。テレビとか液晶のIT企業かなと思ってた。特に回転式シェーバーはPhilipsが独占する。往復式と比べて回転式は肌にやさしいという点が一番うれしい。
■S5251/12の基本スペック
- マルチプレシジョン刃
- スーパーリフト&カット
- 5方向に可動するヘッド
- スキンプロテクションシステム
- ウェット&ドライ設計
- 人間工学に基づいたグリップとハンドル
- リチウムイオン電池:1時間で満充電/約40分(13回分)、5分で急速充電/1回分
- 1段階充電残量表示、充電督促表示、充電表示
- クリーニング表示
- シェービングヘッド交換督促表示
- 本体丸洗い可能
- 替刃:2年毎にSH50と交換
マルチプレシジョンとは、ヘッドに丸い孔とスリット状の溝が刻んであることを指す。丸い穴は短いひげを、スリットは長いひげをターゲットにしているようだ。
Philipsのシェーバーは5000, 7000, 9000シリーズがあって、ヘッドの多孔スリットの形とヘッドの可動軸の数が上位機種では異なる。9000シリーズのヘッドはこんな形状だ。
次のスーパーリフト&カットとは、9つの回転刃のそれぞれが二重になっていて、上の刃でひげを引掛けて伸ばし、下の刃で短くカットするということらしい。これは、どれほどの効果があるかは不明。
よく見ると、確かに2つの金属が重なるように配置されている。刃の幅は思ったより狭い。
今回の5000シリーズの箱にも、カミソリより10倍も肌にやさしいことが前面に謳われている。10倍の根拠は正直良く分からないけど。
箱に入ってた本体と付属品。誰かも指摘してたように、スタンドが内箱と内箱の隙間にはさんであり、最初気づかずに捨てるところだった。
充電時間は1時間と短い。今回、使い始めて2週間(12回)になるが、顔面の右半分と左半分でシェーバーとカミソリの比較試験をしていることもあり、全然電池切れの気配がない。充電督促表示ランプがオレンジに点滅するはずなんだけど。
充電の他に、クリーニングやヘッド交換を点滅で教えてくれる機能もある。電源ボタンを3秒長押しすると、誤って電源がONにならないようにロックする機能もあり、持ち運びの際に便利かも知れない。
■ひげ剃りの思い込み
ひげ剃りは、コンビニで売ってる1本100円くらいのGillette T字カミソリを使っている。2枚刃の安いやつだ。これで十分だから。
高速に刃が動く機械式の方が、絶対肌を傷つけると信じていた。しかも、新品のカミソリは恐らく肌をより傷つけると思って、多少使い込んで刃が少し鈍ったものを1−2ヶ月使い続けている。ひげの多くが皮膚から斜めに生えているため、どんなに皮膚ギリギリまで剃っても皮膚に埋没した部分が剃り残したように見えてしまう。これまでは、無理をして深剃りして肌を傷つけていたと思う。
石鹸やシェービングクリームを付けると傷にしみて痛いから使わない。シャワーを浴びながらの流水の中でじゃないと、とてもじゃないけどひげ剃りなんてできない。よくホテルに置いてある安物のT字カミソリなんかはほぼ確実に流血の惨事になる。コンビニのT字カミソリではそれは無い。T字カミソリは複数枚の刃をワイヤで抑えるとか、それなりの進化を遂げており、1枚刃に比べて圧倒的にトラブルが少ない。
子供の頃なんか、床屋ではよく1枚刃のカミソリ(ジャックナイフ)を床屋のおっさんがシャカシャカ研いでひげ(うぶ毛)を当たってくれていたものだが、カミソリ負けしてヒリヒリした。ちょっと古くなるけどseven years in tibetっていう映画で、戦時捕虜になっていたブラピが逃げ出して来て無精髭を剃っていたのが石器だったような気がする。違ったっけ?縄文人とかどうしてたんだろ?
そんな人間がこんな製品をレビューしていいのかという疑念を抱きつつ、今回はセルフヘアカッターとかウェットシェーバーとかいう商品のジャンルがあること自体に衝撃を受けて迂闊にも応募してしまった。最初少し後悔したが、実際に使って丸2週間、その後悔は薄らぎつつある。
2.セルフヘアカッター(バリカン)QC5582/15
このバリカンも丸ごと水洗い出来る。しかし、外箱見た時は焦ったー。おいおい、いきなりスキンヘッドですか。
いくらzigsowのためとは言え、スキンヘッドはご勘弁を。
■QC5582/15の基本スペック
- 自動研磨式のステンレス刃:幅41mm
- 1〜15mmまで11段階で長さ調節(レギュラーコーム:3-15mm、細部コーム:1-3mm)
- 180°回転ヘッドで楽にホールド(人間工学に基づいたデザイン)
- ヘアーシェービング用ヘッド
- クリーニングブラシ、水洗いも可
- 充電表示ランプ
- ニッケル水素電池:1時間で満充電/約60分使用可
箱に入ってた本体と付属品。
このバリカンの一番いいのは、何と言っても180°、いや360°回転するヘッドだ。手の届きにくい襟足でも楽にホールドできる設計になっている。
短い用、長い用と2種類のコームがあって、1mmから15mmまでズームリングを回して11段階の調節が出来る。そうなんだけど、そうは言ってもこのコームだけで髪の長さを調節するのは、実際には難しい。簡単にトラ刈りになる。で、どうするかと言うと手櫛を活用する。
1時間で満充電となり、1時間使用できる。10分の急速充電でも10分使用できる。
QC5582/15には、スキンヘッド用のシェーバーもついてくる。それも、何と往復式シェーバーだ。スキンヘッドはダメだけど、試しにひげ剃りに使ってみたら(ドライ)OKだった。ひげの方が長い髪より柔らかいと思うし、性能的にはクリアしてるんじゃないだろうか。
■自分でヘアカットするやつってどうよ
身なりには無頓着と言いながら、実は理想としているヘアスタイルがあって、いつかイタリア北部を旅してた時にホテル近くの床屋でカットしてもらったもので、自分の顔の形に合ってると思った。身も心もリフレッシュして街を散歩したのを覚えている。写真でも撮っておけば良かったかも知れないが、日本ではあんな風にカットしてくれない。で、それ以来、あのイメージを思い出しながら自分で散髪している。(あの床屋に毎月散髪のためだけに通えるようなご身分になりたいものだ。)
現在の道具は100均で買った髪梳きハサミ。
横と後ろを刈り上げにするんだけど、トラ刈りにならないためには指で梳いて指の間からはみ出す部分をカットする。
顔を横に傾けてバサバサと広がった髪をカットすると刈り上げになる。ただ、後ろの襟足は鏡でも見れない。頭の形を3Dでイメージしながら、しかも右手に持ったハサミだけで横に真っすぐにカットするのは・・・至難の技、大体、失敗する orz
自分でヘアカットするとか、日本では割とストレートに変人扱いされる可能性が高いと思うが(我が家のように)、Philipsがこんなバリカンを作ってるってことは、向こうの人たちはふつーに自分でヘアカットしてるってことか?イギリスでもArgosとかJohn LewisとかBootsでも売ってるみたいだし。実際忙しすぎて床屋に行く暇がないため、自分でヘアカットしてる外科医を知っている。大体昔はバーバーの仕事は外科医の仕事だったんだし、神の手ならぬ髪の手。
使用感
1.ウェットシェーバー
S5251/12を使う前に、まずパーツをチェック。簡単に手ではずぜる。
回転刃は外周のみでひげをカットすること、そして孔とスリットの形状から、ヘッドを回転させながら剃るようにマニュアルにも書いてある。動作音はこちら。
T字カミソリとPhilipsの肌への優しさを比較するため、顔を右と左に分けて剃ってみた。普段は石鹸などは使わないが、Philipsのヘッド表面は摩擦が大きく流水の中でも石鹸なしでは皮膚の表面を滑らせることが出来ないので、今回は石鹸を使って濡れた状態で剃っている。結果は、
- 皮膚の傷、ヒリヒリ感・・・どちらも無い
- 見た目の剃り残し・・・ほとんど違いは無い
- 手で触れたツルツル感・・・T字カミソリが優れている、Philipsは少しザラつく
- 掛かる時間・・・T字カミソリが慣れている分、早い
これだけ見るとT字カミソリの方が良いみたいだけど、結局見た目が違わないということはツルツルになるまで剃る必要はなくて、やはり言われている通り刃が直接皮膚に触れないPhilipsの方が肌には優しいという考え方もある。Philipsで剃ったあとのザラザラ感は、朝T字カミソリで剃って夕方にザラザラしてくる感じに近い。今までT字カミソリでツルツルになるまで剃ってたけど、Philipsだと必要なところまでしか剃らないということだ。
これまでの試行錯誤から得たPhilipsシェーバーの使い方のコツは、
- 肌に軽く当てる
- 大きく動かさず、回転させながらゆっくり動かす
- 刃が当たっているのは外周だけであることを意識する
- 残ってしまいがちな鼻孔の直下、口角、顎下などはさらにゆっくり動かす
こんな感じかな。
■3週間使用後の肌の比較(10/14追記)
月から土まで週6回、3週間、顔の右と左をT字カミソリとPhilipsで剃り分けた結果。最終日の朝ひげを剃って、夕方帰宅後の写真を比較した。T字カミソリの方が明らかにひげの伸びが少ない一方、肌の赤みも全然違う。Philipsの方はまったくカミソリ負けが無く、肌のトーンが落ち着いている。
朝、ひげを剃った直後はここまでの差は見られない。角質層が物理的に削り取られた刺激で炎症反応が惹起され毛細血管の拡張が顕在化するまでには多少の時間がかかるということだろう。一晩寝るとT字カミソリが引き起こした炎症は落ち着くが、朝のひげ剃りでまた炎症を起こす、という毎日を繰り返していたという訳だ。
皮膚の炎症は真皮下の間質組織の線維化を引き起こし、皮膚を硬くシワシワにして老化を招く。分かりやすく言うと、柔らかくハリのあった肌が、ざらざらのでこぼこした荒い肌になっていく。
写真では発赤の違いは軽微だが、ヘモグロビンが吸収する785nmの波長の光を当てれば(StatVein)、もっとはっきりした違いがわかるはずだ。機会があれば試してみたい。
2.バリカン
ハサミが難しいのは好きな角度に保てないから。どうしても思った角度ではなく斜めにカットしてしまう。Philipsのバリカンなら、刃を90°の角度にセットして首の後ろに回すと楽に水平になる。これを上下に動かすと刈り上げになる(ハズ)。ただ、3mmから15mmまで髪の長さを調節できるコームを使っても、均等にカットするのは簡単ではなかった。どうしてもムラが生じる。慣れが必要だと思う。
安全策としては、ハサミでカットする時と同様に手櫛を使い、指の間からはみ出した髪をカットするのがいいと思う。これには細部コームの方が使いやすい。バリカンは、音もそれなりに耳元でしているので、髪をカットしているという抵抗が全く無い。カットした髪がフワッと落ちてくる。頻回に全体を確認しながら少しずつ短くカットして行く作業になる。最後に生え際を直線にカットして揃える。
バリカンの動作音はこちら。
Philipsのバリカンで失敗しないためのコツは、
- 一度に目的の長さまでカットしない、少しずつ確認しながら進める
- 付属コームではなく手櫛などの感覚でカットする長さを調節する
- 細部コームの深さを浅くして(1mm)使うのが一番、長さの調節がやりやすい
まだ試せていないが、バスルームの鏡を背にして座り、一方の手にバリカン、他方に手鏡を持って耳の後ろのラインをきれいに刈りあげるというテクニックを紹介しているサイトもある。バリカンならではの、利き手じゃなくても持てるから可能な話だ。
付属コームの長さ調節の15mmまでと言うのはやっぱり短すぎるので、頭全体を同じ長さにカットするのならいいかも知れないが、刈り上げの場合は手櫛のような別の方法でカットする長さを微調整する必要がある。30mmに対応しているモデルもあるようだ。しかし、これまで梳きハサミでチョキチョキやってたのと比べると圧倒的に楽なのは確か。刃先が丸いので指や耳に当たっても怪我しない。シャワーで丸洗い出来るし、刃は自動研磨なのでメンテナンスフリーなのもうれしい。
若い人たちに特に薦めたい、シェーバーは肌への優しさで選ぶ
1.Philipsのウェットシェーバー5000シリーズ
肌への優しさと深剃りの性能は、なかなか両立しないのが現実のようだ。
少なくともT字カミソリとPhilipsの回転式シェーバーの間では、ある程度どちらの性能を優先するかという選択になる。
T字カミソリは確かに剃った後がツルツルになるが、その代償として、その時にはヒリヒリを感じなくても、時間が経ってから皮膚の炎症を引き起こしている。Philipsだと、その炎症がほとんど起きない。その違いは思ったより大きかった。毎日、長年の間これを繰り返すと肌はどうなるだろうか・・・
Philipsの回転式シェーバーだとT字カミソリのようにツルツルにはならないが、剃った直後は見た目には大差ない。夕方になるとPhilipsで剃った後はひげが伸びてくるので、必要なら、職場でひげを剃るということもあり得る(Vossさん)。Philipsなら何度剃っても肌荒れを起こさないから。Philipsらしい使い方としては、深剃りを追求するのではなく、肌を大切にすることを第一に考えることを勧めたい。
■シリーズ互換性の件
ヘッドユニットを付けかえてシェバー本体は家族でシェアしようと思ったら、5000シリーズには交換用のヘッドユニットが用意されていない。ユニットをお取り寄せしてもらうと高くつきそうだ。
ところが、Philipsのシェーバーは替刃以外にもスマートクリック・アクセサリを共有するため、交換用台座は互換性がある。実際、9000シリーズの替刃を搭載するセンソタッチ3DシリーズのシェービングユニットRQ12/61は、5000シリーズ本体に装着出来るらしい(碧 流星さん)。
試してみた。
9000シリーズの回転刃を見てしまうと、正直、5000シリーズはライトユース、毎日ひげ剃りしなくてもいい人向けだなと思った。刃の数が違う。朝、ひげ剃りに10分かかるのと2−3分で終わるのとの違いは大きい。
2.Philipsのバリカン
Philipsのバリカンの最大の特徴は、刃の向きを自由に変えて持ちやすく出来ることだ。襟足のようにハサミではなかなか難しいところも、刃を水平に保つことが出来る。
ただ、Philipsのバリカンを以ってしても、刈り上げのように長さの違うカットをするには経験が必要だ。今回のレビューで1回の使用のみで評価することは難しいので、これから数ヶ月毎に経験を重ねていこうと思う。今の所、まだ職場でヘアスタイルの異変!を指摘されていない。
atsuo@tokyoさん
2017/10/10
バリカンをセルフで使うのって丸刈り以外難しいですよね。
あとは部分的に刈るとかですかね。
私はスキンヘッド用として購入しましたが、結局 T字カミソリの方が速くてきれいに剃れるので、ちょっと髪が伸びて剃り辛い時に事前に髪を刈る用になっています。
sorrowさん
2017/10/10
有難うございます。スキンヘッドなんですね。確かにT字カミソリでしょうね。私は慣れたら刈り上げも行けそうな気はしていますが、なかなか練習の機会が。