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SSDでも効果はある? インテルの次の一手のキャッシュメモリの実力や如何に?

インテルの次の一手として登場した、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズですが、印象としては、インテル(R) スマート・レスポンス・テクノロジー(インテル(R) SRT)の進化版のように感じていました。

インテル(R) SRTは、小容量の SSD をキャッシュメモリとして用いて、HDD を高速化する仕組みですが、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズは、インテル(R) SRT の SSD に相当する、高速メモリー技術「3D XPoint」を採用したキャッシュ専用(※)のメモリです。

 

※キャッシュとして組み込まなければ、1台のストレージデバイスとして認識されるようですが、容量が小さいので、キャッシュメモリ以外で使用する意味は、ほとんどない、と思います。

 

インテル(R) SRT との違いとしては、大きく以下の2点と認識しています。

①高速化対象が SATA 接続の HDD、SSD(インテル(R) SRT は SSD は対象外)

②高速化対象はシステムストレージ(Cドライブ)のみ(インテル(R) SRT は1台という制約はあるが、システム以外の高速化も可能)

 

今回、幸運にも、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) をレビューさせて頂く機会を得ましたので、高速化対象に加えられた SSD をシステムストレージとして搭載したマシンを用いて、レビューを進めさせて頂きます。

更新: 2017/07/29
総評

百人百様、様々な用途に適用できる (^^) そして、更なる一手にも期待!

今回の、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) のレビューにおいては、高速化対象が SSD でも、数値の上では、十分な効果があることが実証できたと思っています。
体感できるほどの効果ではないかもしれませんが、それでも、読取りが中心となるシステムストレージ(Cドライブ)を対象としたキャッシュメモリとしては、十分な効果があると考えます。

 

1点、残念なのが、SSD のキャッシュとして使用した場合、ライト性能が落ちてしまうところです。
この点は、今後の製品、もしくは、チューニングでの改善を期待しています。

 

また、本来の使用方法ではないのかもしれませんが、インテル(R) SRT のキャッシュ用 SSD としても、非常に効果的であることが確認できたと思います。
私自身のPCの使用用途には即していませんが、例えば、ゲームをされる方などは、システムストレージ以外の大容量HDDのキャッシュ(インテル(R) SRT のキャッシュ用SSD)としての使用されると、効果的なのではないか、と考えます。

 

こういった点では、人それぞれの様々な使用用途における、ストレージ I/O の、ボトルネック解消、更なる性能向上等に、大きく貢献できる可能性を秘めた製品だと考えます。

 

インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズについて、現状は、高価であるためか、一般消費者向けとしては、キャッシュ用の小容量モデルのみの製品化に留まっていますが、今後、コストダウンが進み、現状の SSD に代わる製品としても、市場に現れることを、心待ちにしています。

更新: 2017/07/29
パッケージ

やはりインテルブルー ... そして、小さい

お馴染みのインテルブルーのパッケージです。

外箱
外箱

製品が M.2 SSDなので、11cm x 9cm x 2cm くらいの小ぶりのパッケージです。

厚めの紙製で、好感が持てます。

内容物
内容物

内容物は、製品、マニュアル、ステッカー、注意書きです。

更新: 2017/07/29
セットアップ

OSインストール後の環境への導入も簡単に (^^)b

今回のレビューに使用した環境は以下の通りです。

 

MB     : ASUS PRIME Z270-A(レビュー用提供品)

CPU     : Intel(R) Core(TM) i7-7700K 4.20GHz

メモリ   : 32GB (CFD PANRAM DDR4 PC4-17000 CL15 8GB x 4)

Cドライブ  : Samsung SSD 850 EVO 500GB

Dドライブ  : WDC WD40EZRX-00SPEB0 4TB

Eドライブ  : Samsung HD204UI 2TB(レビューでは未使用)

OS     : Windows 10 Pro 1703 64Bit

 

【ハードウェアセットアップ】

 

今回は、メインマシンの環境を変更して、レビュー環境をセットアップしました。

MB、CPUを変更しているので、ほぼほぼ、新規マシンの組立と変わりませんでした ;^^)

MBの取付変更が面倒でしたが、以降は、順番に部品を取り付けていくだけなので、さほど、苦にはなりませんでした。

なお、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) は2番目の M.2 スロットに取り付けました。

 

こんな感じです。
こんな感じです。

  

【ソフトウェアセットアップ】

 

OS上からのセットアップを行う前に、まずは、MB の BIOS(UEFI)を最新化しました。

(MB(ASUS PRIME Z270-A)に初期導入されている UEFI では、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズがサポートされていないようです。)

ASUS のダウンロードページの説明です
ASUS のダウンロードページの説明です。

 

製品発売当初は、必要となるUEFIの設定を行った上で、OS インストールを行う必要があったようですが、現在は、インテル(R) RST のダウンロードページから、専用のセットアッププログラムをダウンロードし、実行することにより、OS インストール後の環境への導入が簡単に行なえます。

 

※今回、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) のレビュー用に提供頂いた、マザーボード PRIME Z270-A は ASUS 製ですが、ASUS の FAQ ページにも「既存の環境に Intel(R) Optane(TM) Memory を増設する」という表題で、その方法が紹介されています。

 

手順の概要は以下の通りです。

 

1.インテル(R) RST のダウンロードページから SetupOptaneMemory.exe をダウンロードする。

2.SetupOptaneMemory.exe を起動し、画面の指示に従い、インストールを進める。

3.再起動を促す画面が表示されたら、「はい、コンピュータを今すぐ再起動します。(Y)」を選択し、再起動を行う。

4.再起動後、「セットアップを今すぐ終了しますか?」というダイアログが表示されるので、「はい」を選択する。

 

上記の手順でインストールされたツールを起動すると、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) の有効/無効を切替えることができます。

初回起動時は無効状態です。
導入直後は無効状態です。

 

※SetupOptaneMemory.exe は、UEFI の設定も合わせて行ってくれる優れものですが、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズに特化したツールなので、将来的な構成変更等に備えて、通常のインテル(R) RST 用のツールをインストールした方が良いかもしれません。

 その場合は、一旦、SetupOptaneMemory.exe でインストールされたツールをアンインストールした後に、同一バージョンの SetupRST.exe を用いて、インテル(R) RST用のツールをインストールします。

 (この手順により、ドライバ、UEFI 設定はそのままで、ツールのみが変更されるようです。)

IRSTのツールでOptaneを有効化した状態です。
インテル(R) RST 用のツールでインテル(R) Optane(TM) メモリーを有効化した状態です。

更新: 2017/07/29
性能

SSDでも効果はある!けど...HDDで使いたいですね

前半は、主眼である、システムストレージ(SATA 接続 SSD)とインテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) の組み合わせで、基本的なベンチマーク、並びに、日々の PC 使用で想定される様々なシチュエーションでの時間測定を行っています。

後半は、番外編として、インテル(R) SRT を用いてDドライブ(HDD)を高速化した際の、基本的なベンチマークを行いました。

 

【測定① CrystalDiskMark】

 

インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) は、単体(無効化状態)では、32GB の PCIE 接続の M.2 SSDとして認識されます。

なので、まずは、CrystalDiskMark を用いて、単体性能を測ってみました。

ライト性能は、低い(高速化対象の SATA SSD よりも低い)ですが、リード性能は、噂に違わぬ値が出ていると思います。

リード性能は流石ですね。
リード性能は流石ですね。

 

次に、高速化対象の SATA 接続 SSD(Cドライブ)のインテル(R) Optane(TM) メモリー有無の性能比較(CrystalDiskMark)です。

SATA 接続とは言え、SSD なので、シーケンシャル処理は、リード/ライトともに 500MB/s を超えています。

インテル(R) Optane(TM) メモリーを有効にした場合は、ほぼ、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) の単体性能と同等です。

リード性能の伸びは顕著で、特にシーケンシャルリードの性能は、無効時の2.5倍以上になっているので、システムストレージ(Cドライブ)のキャッシュとしては申し分ないと思います。

(Cドライブは大量更新がなく、リード中心と考えられるため。)

ただ、ライト性能も、せめて、SATA 接続 SSD 並にしてほしかったと思います。

リードライトのバランスの取れた性能です。

インテル(R) Optane(TM) メモリー無効
有効

インテル(R) Optane(TM) メモリー有効

 

【測定② ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク】

 

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのローディングタイムを測定してみました。

キャッシュの効果を見るため、測定5回の時間変化をグラフ化しています。

インテル(R) Optane(TM) メモリーが有効の場合、2回目以降の総ロード時間で約4秒(割合では25%)の短縮となっています。

体感できるか、と言われると微妙ですが、十分な効果と考えられます。

  

【測定③ Windows ブート時間測定】

 

インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) は不揮発性とのことなので、システムの起動時間にも効果があるかと思い、測定してみました。

なお、測定には BootRacer というソフトを使用しています。

こちらも、5回の測定結果をグラフにしています。

結果的には、インテル(R) Optane(TM) メモリーを有効にした方がブート時間が短いように見えますが、バラツキも大きいので、大きな効果はない、と判断しています。

 

 【測定④ PC TV Plus 起動時間測定】

 

普段使いのアプリケーションとして、PC TV Plus の起動時間を測定してみました。

測定には、はぐれ時計というソフトを使用しています。

結果は、予想に反して、インテル(R) Optane(TM) メモリーを有効にした方が、起動時間が長くなっています。

もしかしたら、プログラム起動に際しては、インテル(R) Optane(TM) メモリーによる、何らかのオーバーヘッド要素があるのかもしれません。

 

【測定⑤ NASへのファイル転送(ファイルコピー)】

 

私のPC使用用途の中で、ファイルを扱う操作を考えて、思い付いたのが、NASへのファイルコピーでした。

ファイルが大きい方が差が大きく出ると考え、Windows 10 のインストールイメージ(約4GB)を使っています。

コピー先のNASは、以前にプレミアムレビューさせて頂いた、Synology の DiskStation DS215+ を使用しました。

 

測定には、Windows Powershell の Measure-Command という、プログラムの実行時間を測定するコマンドを使用しています。

これまた、結果が微妙な感じなのですが、数値上は、全く効果がない、とも言い切れない値になっています。

ネットワークの速度よりも、ストレージの読み取り速度の方が早いため、ネットワーク伝送時間に引っ張られる感じの結果になり、差が見えにくいのだと考えています。

 

以上が、インテル(R) Optane(TM) メモリーの(技術的な部分を含む、本来の使用方法での)性能測定で、ここからは、番外編です。

 

レビュー課題に「その際、インテル(R) ラピッド・ストレージ・テクノロジーを使用することで Dドライブの速度がどのように変化したか」という内容があり、応募の際、「高速化対象は Cドライブのみでは?」という旨、管理人様宛に問い合わせてみたのですが、特にコメントを頂けなかったので、色々と考えた末、インテル(R) RST の 1機能である、インテル(R) SRT(Smart Response Technology)を使用し、Dドライブの高速化を試してみることにしました。

設定した際の状態は、こんな感じです。

 

【測定⑥ CrystalDiskMark(HDD & インテル(R) SRT)】

 

Dドライブ(SATA 接続 HDD(4TB))の、インテル(R) Optane(TM) メモリー・シリーズ (32 GB M.2 80 mm) を利用した、インテル(R) SRT 有無の性能比較です。

シーケンシャルリードも早くなっていますが、ランダムリードの性能の伸びが、すごいことになっています。

やはり、HDD に対するメモリキャッシュ効果は絶大です。

なお、今回は、インテル(R) SRT の拡張モードを使用しており、ライトキャッシュとしては働かないため、ライト性能は、素の状態のままです。

インテル(R) SRT 有効
インテル(R) SRT 無効

インテル(R) SRT 有効
インテル(R) SRT 有効

 

【測定⑦ ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク(HDD & インテル(R) SRT)】

 

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークのローディングタイム比較です。

総ロード時間が約1/3になっており、普通に効果を体感できました。

更新: 2017/07/29
使用感

概ね満足 ... だけど、有効/無効切替の手間と安定性に、若干の不満あり

製品の特性上、一度設定を行えば、基本的には、特に意識せず使用することになるので、そういった意味では、概ね満足しています。

 

ただ、今回のレビューの中で、以下の気になる点がありました。

 

1.有効/無効の切替時に再起動が必要

 

現時点では仕様なのだと思いますが、インテル(R) Optane(TM) メモリー(本来の使用方法)の有効/無効の切替時には、再起動が要求されます。

通常は、有効にしたまま使用すると思いますので、大きな問題にはなりませんが、例えば、たまに、Dドライブの高速化のため、インテル(R) SRT を使いたい、といった場合は、若干のストレスになると考えます。

インテル(R) SRT の有効/無効の切替では、再起動が不要なので、同様に、起動状態のまま、切り替えられるよう、改善を期待したいところです。

 

2.無効に切り替えた際にブルースクリーンになることがあった

 

レビュー中、1度だけ、インテル(R) Optane(TM) メモリー(本来の使用方法)を無効に切り替えた際に、ブルースクリーン(QRコードのある青い画面)が表示されました。

まだ、少し、不安定な部分がある印象を受けましたので、ファームウェア/ドライバのブラッシュアップ等を進め、安定化に努めて頂きたいと思います。

 

いずれも、使用に際しての致命的な問題ではありませんが、こういった、小さな「気になる」を解消し、より良い製品に仕上げていってほしいと思います。

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