カメラといえば、記録メディアはフィルムから半導体へと変わりましたが、絞りやシャッタースピードを調整し、ピントを合わせてシャッターを切るという基本的な原理は今でも変わっていません。
デジカメのRAWモードであれば、ホワイトバランスや露出などの補正を行うことができますが、撮影後に絞りやピントといった、光学系に関わる要素については撮影時にすでに決まってしまっているため、あとから変更は一切できません。
肝心な写真がピンぼけ…という経験をした方も、数少なくは無いと思います。
しかし、そんなカメラの概念を打ち破るカメラが2011年に登場しました。
米Lytro社が2012年に発売した「Lytro Camera」は、ライトフィールドという技術を用いて、撮影後にピントを可変できるという、今までのカメラにはない特徴を持った製品でした。
初代Lytro Cameraは価格も399ドルからとトイカメラとしての要素が大きいカメラでしたが、2014年末に発売された「Lytro Illum」は1/1.2インチCMOSセンサー(出力2450×1634ピクセル)に30-250mm(35mm換算)、全域でF2.0固定というレンズを備えた、本格的なカメラとして登場しました。
今回、Lytro Illumをお借りすることが出来ましたので、その特徴について確認していきたいと思います。
ライトフィールドとはなんぞや
Lytro Illumの最大の特徴は、なんといっても「撮影したあとにピントが変えられる」という点に尽きます。
レンズとCMOSセンサーの間に、無数のマイクロレンズを配置することで光の入射角を記録することが可能な「ライトフィールド」という技術を使うことで実現しています。
このライトフィールドですが、色々調べましたが私の理解度ではなかなか簡単に説明することが難しいので、「CMOSセンサーの手前に配置したマイクロレンズを用いることで、光の入射角を記録し、その情報を後処理することでピントを自在に操れる技術」という説明に留めておきます。
詳しいことは下記のページでご確認ください…
ARGO ライトフィールドカメラ原理
http://www.argocorp.com/cam/special/Raytrix/principle.html
※他メーカーのサイトですが、原理の説明としてはここがわかりやすかったので、参考までに。
あとから「ボケ」を加えられるデジカメなども存在しますが、これは写真の一部分をぼかして「それっぽく」加工しているだけですので、奥行きなどの情報はありませんから、Photoshopなどのレタッチソフトで加工するのとなんら変わりはなく、どうしても不自然な仕上がりとなってしまいます。
ライトフィールドカメラは、「一定の距離の範囲内にある被写体はすべてピントが合っている」データを記録していますので、その範囲内であれば、好きなところにピントを合わせ、ピントが合っていない部分はライトフィールドから取得した距離データをもとにぼかすことで、自然な画像を生成することができるのです。
予想以上のサイズ、そして重量
開封して最初に思ったのは、デカい!ということ。
正直、予想以上の存在感でした。
外見はとても未来的なフォルムで、まさに斬新。
この角度からはわかりにくいですが、本体はかなりの前傾姿勢となっています。
30mm-250mmで通しf2.0ときわめて明るいレンズを搭載している反面、そのサイズもかなり巨大で圧倒的なレンズの存在感です。
レンズにある滑り止めは、右側(レンズ先端)がマニュアルフォーカスリング、左側(ボディ側)がズームリングとなります。
両方のリングとも、終点がなくひたすら回る(機能する範囲は限られていて、それを過ぎると遊びとしてくるくる回る)ので、どうしても違和感が残る操作感でした。
背面は4インチという大きめの液晶モニターと、ファンクションボタンが4つ、ダイアル1つという簡易的な構造です。
主要な操作はタッチパネルの液晶ディスプレイで操作しますので、シンプルの一言に尽きます。
側面にはPCと接続するためのUSB3.0端子、SDカードスロット、レリーズ用の2.5mmジャックが備わっています。
USB接続すると本体の充電も可能なのが便利なところ。
付属のフードを装着すると、ものすごくごっつくなります…
このフード、ひねって取り外すのではなく、ボタンを押して引っ張ると取り外せます。
逆向きに装着すればフードを付けたまま全長を短くできますが、それでもかなりかさばります。
って、これ、フードの取り付けが90度間違ってますね…(汗
本体がかなり大きいため、コンデジのように気軽に持ち歩く、という感じにはいきません。
また、角張っているデザインのため、D90と比較してもけっこうかさばる感じです。
直感的に操作可能なインターフェース
当たり前ですが、普通のカメラは撮影の時にはピントを合わせてから写真を撮影します。
しかし、Lytro Illumは一定範囲であれば自由にピントを後から合わせられますので、ピントは適当に合わせてとにかく撮る→Lytro Desktopでピンとを合わせる、というスタンスになります。
ピントなんぞ写真を撮った後に合わせればよいので、ざっくり被写体にレンズを向けてとにかく撮影、という感じです。
AF搭載のデジカメなのにシャッターボタン半押しでAFが効かないカメラって、初めて使いましたよ…
初期状態では、シャッターボタン半押しにAELが割り当てられていますが、AF、AF+AEL、AELというように機能を変更することが可能です。
とりあえず、速攻でAF+AELにしてみました。
レンズのピントは、シャッターボタンにAFを割り当てていれば半押しでも可能ですし、液晶パネルの画像でピントを合わせたい部分をタッチすることで、その部分にピントを合わせることも可能。
このあたり、今時のカメラの操作感です。
撮影後にピントが合わせられるLytro Illumですが、無制限にピントが合わせられるわけではありません。
カメラの液晶の右側に、深度アシストバー(青色とオレンジ色のバー)がありますが、この範囲内がピントを変更可能な再合焦範囲となります。
レンズのマクロ側だと再合焦範囲は幅広く、逆に望遠側だと狭くなりますので、あとからピントを調整できる範囲も限られてきます。
この操作感はとても独特ですので、実機で慣れるのが一番かと思います。
深度アシスト表示に切り替えたディスプレイ。
右側のバーが、深度アシストバーで、オレンジ部分が焦点よりも奥、ブルー部分が手前になります。
自動的に認識した輪郭に色が付いて、どのように空間を把握しているのかが解るようになっています。
Lytro Illumにはフォーカスブラケットという機能があり、シャッターを押す度に異なる焦点の写真を複数枚撮影します。
最近HDR撮影機能を持つカメラも増えてきましたが、HDRが露出を変えて撮影するのに対し、フォーカスブラケットは焦点距離を変えて3または5枚の写真を自動的に撮影します。
そうすることで、再合焦範囲をさらに広げることが可能です。
操作における欠点としては、手が大きいせいか、持ち歩いているときに気がつくと撮影モードではなく再生モードになっており、液晶が点きっぱなし、ということが何度もありました。
液晶モニターの右上が撮影・再生モードの切替機能になっているのですが、ここに指が当たってしまうようです。
電源ですが、パワーOFF状態からの起動は少し時間がかかりますが、電源ボタンを押してOFFにしたあとの起動はほぼ瞬時といって良い感じです。
おそらく、完全OFFではなく、スタンバイモードに切り替わっているような感じです。
とっさに使いたいときでも不便を感じることはありませんでした。
今までのデジカメとは全く異なる、未知のデバイス
1週間、Lytro Illumを使ってみての感想ですが、「今までのカメラとはまったく別のカテゴリの製品」だと感じました。
レンズから光を捉え、CMOSセンサーに記録するということではカメラそのものなのですが、従来のカメラとは全く使い方が異なる製品になりますので、たとえば「ニコンのD610、ソニーのα7とLytro Illumどちらにしようかな…」という比較はまったく成り立ちません。
※Lytro Illumeの執筆時点での最安値が213,000円で、Lytro Illumと同等のレンズ付属の一眼で同価格帯の製品
純粋に、カメラとして考えると、かなりデメリットも多い製品とも言えます。
CMOSセンサーは2450×1634ピクセルですので画素数は400万となり、iPhone6の半分しかありません。
さらに1つのマイクロレンズは複数の画素を使用してデータを記録するため、マイクロレンズごとに割り当てられた複数の画素のデータを使用して画像を生成します。
このため、マイクロレンズに割り当てられた画素群に記録された画像には、他のマイクロレンズで撮影した画像と重複する部分が出てしまい、画素数でいうと無駄が生じます(無駄と言っても、この“無駄”なデータがライトフィールドの生成に必要となりますのできわめて重要ですが、純粋に解像度の問題ではデジカメには敵いません)。
画像の解像度という点においては、同価格帯のカメラどころか、安価なコンパクトカメラにも敵いません。
左はD90にSIGMAの18-50mm f2.8で撮影したもの、右が同じ被写体をLytro Illumで撮影した写真ですが、これだけの差があります。
Lytro Illumは木々の細かいディティールが完全につぶれてしまっており、D90はおろか、今時のスマートフォンにも負けてしまうくらい、解像度という点では劣ってしまいます。
サイズも145×86×166mmと大柄で、重量も940gとかなりあります。
ニコンのD5100は470gときわめて軽量に仕上がっており、D5100+AF-S DX NIKKOR 18-140mmとの組み合わせでも960gと、Lytro Illumとほぼ同等の重量に収まっています。
ミラーレス一眼やマイクロフォーサーズも含めると、圧倒的に高画質で、コンパクトで、重量も軽いカメラはいくつもあります。
しかし、ライトフィールドカメラという視点でみると、コンシューマ向けでは唯一無二の存在でもあり、そもそも“普通の”デジカメと比較すること自体がナンセンスです。
ライトフィールドカメラの特徴を生かせる被写体を撮影する限り、この楽しさというか表現性は他のカメラでは決して得られないものだと思います。
デジカメと比較して語るのは難しい
ライトフィールドカメラは、マイクロレンズごとのそれぞれの位置から見た光がCMOSセンサーに記録されています。
ということは、左上のマイクロレンズと、右上のマイクロレンズから見た画像は、人間の左目と右目から見たように画像に差が生じるわけで、この差により立体視が可能となります。
2つのレンズを使用して距離を測定している3Dカメラと同じ構造といえばわかりやすいでしょうか。
3Dカメラはレンズが2つですが、ライトフィールドカメラは無数のレンズを用いてライトフィールドを取得し、立体視を実現しています。
ただし、コントラストがないシーンでは、立体視ができない場合があります。
たとえば同じ色の壁など、情報に差が無く距離を測定できない場合には、ピントを合わせることが出来ません。
これはAFの機能をもったデジカメ全般に言えることですが、Lytro Illumの場合、距離の測定が不可能(と思われる)部分には、斜線で塗りつぶされて表示されます。
「ここはピントが合わせられないよ」ということなのだと思いますが、場所によってはほぼすべての部分がこの斜線になってしまい、訳の分からない状態になってしまいます。
たまたま地下鉄への入り口で撮影しようと思ったら…壁面のタイルの距離感をつかめないらしく、画面が斜線の嵐に。
色が付いている部分が距離を測定できた範囲ですが、これでは撮影のしようがありません。
AFも挙動不審というか、まったくピントが合わないときも多く、手動でピントを合わせた方が早いときも多々あります。
レンズにはズームリングとピントリングの2つがあり、マニュアルでのフォーカスも可能になっています。
ただ、このリングがリミッターがなく、永遠にぐるぐると回ります。
もちろん、ズームやフォーカスは可動範囲が決まっているので、それ以上回しても無意味なのですが、個人的にはカチッと終点で止まるほうが違和感が無くて好ましいです。
というか、終点が無いとどこまで回せるのかよくわからないことに…
カメラとして使うにあたり、今後改善が必要な箇所も多いと感じました。
ただし、ファームウェアのアップデートで改善することも多いと思いますので、今後に期待、といった感じでしょうか。
ファームウェアのアップデートは、Lytro Desktopが新しいバージョンを検出すると自動的にアナウンスが表示され、SDカードにファームウェアをコピーしてくれます。
あとは、そのSDカードをカメラに装着して電源を入れると、勝手にアップデートしてくれますので、手順はとても簡単です。
地味に凄いと思った点は、焦点距離が0mm~∞という点。
つまり、レンズに密着しても撮影が出来るのです。
カメラを真上に向け、レンズの上にモスバーガーのレシートを載せてシャッターを切ってみました。
色収差は結構凄まじいものの、レンズに密着したものを撮影できるのは、ある意味凄いと言えます。
ただし、これが裏目に出ることもあり…撮影中、ピントが「レンズに付着したゴミ」にばかり合ってしまい、なかなか思うようにピントが合わせられない…なんてこともありました。
そういった場合は、マニュアルフォーカスリングで適当にピントを合わせて撮影すると良い感じです。
思ったよりも短いバッテリーの持ち時間
バッテリーの消耗も早いことも気になる点でした。
小一時間の撮影で20%程度減ってしまいましたので、1日フルに出歩く場合には、予備バッテリーが必須でしょう。
3.7V 3760mAh 13.9Whのバッテリーですから、決して容量が少ないという訳ではありません。
ライトフィールドの取得や演算など、通常のカメラよりも複雑な処理を行っているために、バッテリーの消費が早いものと思われます。
バッテリーはかなり小型で軽いので、サブで持っていても気にならないので予備を購入しておくことをお勧めします。
専用のチャージャーによる充電のほか、カメラにUSBケーブルを接続すれば、USB軽油の給電で充電できるのはとても便利でした。
直感的に操作可能。なによりもピント合わせが面白い!
Lytro Illumで撮影した画像は、専用の画像管理・処理ソフトのLytro Desktopで加工を行います。
Lytro DesktopはLytroのサイトからダウンロードしてインストールします。
Lytro IllumのCMOSセンサーには、焦点があった画像ではなく、CMOSセンサーの手前にあるマイクロレンズを通じて取得した個々の画像が記録されていますので、それぞれのデータを分析・合成して1枚の画像を生成する必要があります。
光の角度などのデータを演算し、ピントを自由に合わせることが可能な3Dデータを生成するので、この処理がとても時間がかかります。
4.3GHzにオーバークロックしたCore i7-4960Xの12スレッドの並列処理でも、233枚の画像を処理するのに要した時間は、実に25分に及びます。
その間、Lytro DesktopがCPUリソースを100%食い尽くしますので、他の作業はできません(マウスカーソルすらカクカクになります)。
非力なPCではそれこそ半日単位で時間がかかってしまうと思いますので、Lytro Illumを快適に使いたいという場合は、ハイスペックなPCは必須だと思われます。
Lytro Desktopが画像生成中のCPUリソースモニター。
6コア/12スレッドのCore i7-4960Xですが、見事に全コア100%を叩き出しています。
処理が終わると、ライブラリにサムネイルが表示されます。
サムネイルをダブルクリックすると、画像編集モードに切り替わります。
ホワイトバランスやトーン、彩度といったRAW現像ソフトではおなじみのメニューのほかに、ライトフィールドカメラならではの、絞りやFocus Spreadという項目があります。
ライトフィールドを用いることで、すべてにピントがあった画像と、被写体までの距離を記録できますので、演算により撮影後に絞りを変更し、ボケを作り出すことや、ピントの位置を変更することが可能なのです。
きちんと被写体までの距離も計算してボケますので、Photoshopなどのなんちゃってぼかしとは異なり、それなりに自然な仕上がりとなります。
ピント合わせの作業は、画面のピントを合わせたい部分をクリックすると変更可能です。
じわーっとピントが合っていく様は、初めて使うと感動的ですらあります。
最初に、カメラ本体とLytro Desktopのペアリングを行う必要があります。
ライトフィールドセンサーの個体差を1台ずつキャリブレーションしたデータがカメラに保存されているのですが、このデータをLytro Desktopに転送することで、カメラに搭載されたセンサーの個体差が補正され、精密な描画が可能になります。
このキャリブレーションデータの書き出しですが、カメラのメニューには「日付をSDカードに転送する」となっていて、最初意味がわかりませんでした。
DATAとDATEの間違い…?
画像を取り込むと、このように画像の生成が開始されます。
同時処理数はおそらくCPUのコア数に寄るような気がします。
これがべらぼうに時間がかかりますので、ハイスペックなPCは必須といえるかと思います。
ライトフィールドの処理が終わると、目玉機能であるピント合わせと絞りの変更が可能となります。
これは動画を見ていただいた方がわかりやすいと思いますので、Lytro Desktopを操作している下記動画をご覧下さい。
絞りを変更して書き出した写真は以下のようになります。
好きな位置にあとからピントを合わせたり、絞りを変えられるのって、きわめて新鮮かつ楽しい作業でした。
Focus Spreadについて少し説明を補足したいと思います。
この機能は、好きな範囲にピントを合わせ、残りをぼかした写真を作り出すことができます。
要するに、複数箇所にピントを合わせたまま、残りをぼかすことが出来る訳です。
ぼかす画像もレンズを通して撮影した自然なディティールが得られますので、あとからPhotoshopなどでぼかすのとは違います。
これは通常のカメラであればまず不可能だと思います。
左下のFocus Spreadのスライダーに注目してください。
白くなっている範囲にある対象物にピントが合っている状態ですので、画像では中央のカモと右側のリスにピントが合っています。
カモよりも手前のキノコと、リスよりも奥の柱と木々はピントがあっていませんので、f2相当のボケた画像となっています。
操作を動画にしてみましたので、こちらの方がわかりやすいかと思います。
この状態で書き出したのが上のFocus Spread使用時のf2の画像ですが、カモとリスにピントが合っていて、残りがボケているのがわかりますでしょうか。
こういった、通常のカメラでは不可能な表現も、簡単にできてしまうのが、ライトフィールドカメラの凄いところです。
1枚50MBの大容量データ
1ファイルあたりの容量は、Lytro RAWフォーマットで1枚約50MB、Lytro XRAWフォーマットで約110MBとなります。
4288×2848の解像度を持つNikon D90のRAWフォーマットで1枚10MBですから、かなりファイル容量は巨大です。
現在使っているSDカードが32GBですから、ざっくり600枚程度の撮影が可能という計算になります。
RAWとXRAWの違いは、カメラのキャリブレーションデータを含むか否かという点になります。
ライトフィールドを構成するためのマイクロレンズとCMOSセンサーの構造に個体ごとの差があり、補正するためカメラ1台ずつキャリブレーションが行われているようです。
RAWデータにキャリブレーションの情報を適用することで補正が行われ、ライトフィールドを最高品質で再現することが可能となります。
このため、Lytro Desktopを初めて使う時は、カメラに記録されているキャリブレーションの値をソフトウェア側に転送する必要があります。
Lytro Illumで撮影したデータを他の人に渡したい場合、RAWファイルを渡しただけではキャリブレーションのデータがありませんので、最高品質での画像生成ができません。
XRAWフォーマットは、撮影のたびにRAWデータに加え、キャリブレーションデータも付与して保存を行う形式です。
通常の利用はRAWで問題ありませんが、データを他の人に渡す場合には、XRAWフォーマットを選択する必要があります。
※キャリブレーションのデータはLytro Desktopにも保存されていますからXRAWフォーマットを合成することも可能だと思いますが、公式サイトではこの機能のサポートは将来実装予定とのことなので、現状はカメラ側でXRAWフォーマットを選択する必要があります。
ライトフィールドを操る楽しさはこのカメラでしか味わえない
ざっとライトフィールドカメラであるLytro Illumを使ってきましたが、純粋に“カメラ”として見ると、画素数が少ない、解放値を上げて処理をするとエッジが怪しいことになるなどの、不満な点が多いのも確かです。
しかし、なんといっても「あとからピントを合わせる」「閲覧者が好きな位置にピントを合わせて作品を楽しむ」という使い方は、このLytro Illumでしか味わえない楽しみでもあります。
価格や画質をはじめ、ライトフィールドを活かした使い方という点でも、はじめてカメラを買う方にはなかなかお勧め出来かねる製品ですが、すでに1台カメラを持っていて、まったく違った楽しみ方をできるカメラを探している人にとっては、この上なく面白いカメラになると思います。
ライトフィールドによって、今までのカメラとはまったく異なる使い方が可能ですから、セカンドカメラとしてLutro Illumを持っていった場合でも、機能に被る部分がまったくありません。
そういう意味でも、セカンドカメラとして使うにはとてもお勧めです。
ライトフィールドが生きるのは、カメラと被写体の距離が近いとき、たとえばテーブルの上の食事や小物、あるいは背景を入れてのポートレート写真といったジャンルだと思います。
逆に、遠景の撮影や鉄道や自動車などの流し撮り、スポーツにはまったく不向きとも言えます。
日常のワンシーンを切り取って、あとからピントを変えて様々な表情を捉えることができるという面白さこそが、ライトフィールドの真骨頂であると感じました。
画素数が限られてしまうこともあり、純粋にカメラとしての性能は厳しい面もありますが、技術が進めばいずれは解消されるものと思います。
20万円を超える価格はカメラとしては高額だと感じますが、ライトフィールドという新たな技術を搭載した唯一無二のカメラですから、そもそも他の製品と比較すべきものではないのかもしれません。
Lytro Illumで撮影された様々な作品群に触れ、面白い!と感じるかどうかがすべてです。
今までのカメラとはまったく異なる表現が可能なこのLytro Illum、どのような被写体を、どのように撮影するかによって、通常のカメラでは決して不可能な表現が可能です。
写真というものに、デジタルならではの新たな表現手法を生み出したライトフィールド技術。
今後、写真の表現を大きく変えてしまう可能性も秘めている、凄い技術だと感じました。
最後に、撮影したいくつかのサンプルをLytroのアルバムで公開していますので、ゼヒ見てみてくださいませ。
https://pictures.lytro.com/chomo
クリックすると焦点を変えられます。
また、ドラッグすると視点を少し動かせますので、いろいろいじってライトフィールドカメラのすごさを体験してみてください。
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