ICE Tower 3Fのレビュー課題は,限界のオーバークロックすることではないため,その実力をH87チップセットで検証していきます.Z97チップセットが本命ですが,H97でもなく,旧世代のH87であえてチャレンジします.
今回のレビューPCの構成です.
CPU:Intel i5-4690K or i5-4670K
M/B:ASRock H87 Performance (P2.40)
Memory:Corsair Dominator DDR3-1600 4GB×4
VGA:Gigabyte HD7770OC or iGPU(HD4600)
SSD:Plextor PX-256M5S
Sound Card:Creative Sound Blaster X-Fi Digital Audio
CPU Cooler:Enermax ELC120-TA
Power Supply:Enermax EPG600AWT
PCケース:Sharkoon SHA-BD28-B
OS:Windows 8.1 Pro update 64bit
組んだPCは,こんな感じになります.プレミアムレビューのPCケース Sharkoon SHA-BD28-Bの時と,ほぼ一緒です.
レビュー課題に,HD グラフィックス 4600の指定もありますので,dGPUとiGPUを選択しながらレビューを進めます.
iGPU(HD4600)のビデオメモリ確保は,最大の1GBを割り当てています.
H87 Performanceレビューをさせていただいた際に用意した,i5-4670Kがありますので,比較しながら進めます.他のCPUはすべて4C/8Tなので,ベンチマーク比較評価には相応しくないため,除外しました.
裏面のチップ部品とその配置が異なっています.コレが,悪魔への変身の証みたいです.
CPUスペックを比較すると,こんな感じで,動作クロックが0.1GHzアップした分,TDPが+4Wされています.その他は,ほぼ同一です.もう一つのDevil's Canyonであるi7-4790Kも載せていますが,HTの有効/無効以外に,今回クロックも異なっています(Haswel世代は,同一クロックでした).
それでは,i5-4690K/i5-4670KとiGPU(HD4600)/dGPU(HD7770OC)の組み合わせで,比較しながら進めていきます.
i5-3690KのCPU-Z/GPU-Zです.
定番のベンチマーク結果です.
Windows Experience Indexは,Win Score Shareで取得します.
i5-4690K+iGPU(HD4600):
i5-4690K+HD7770OC:
i5-4670K+iGPU(HD4600):
i5-4670K+HD7770OC:
まとめると,こんな感じです.
いろいろ面白い結果になりました.まず,SSD性能は,CPU/GPUに関わらず一定ですが,その他のスコアは,組み合わせに依存しています.
i5-4690Kとi5-4670KのCPU/メモリスコアは同一ですが,dGPUを利用すると,どちらも0.1づつ上昇しています.また,グラフィックスコアは,i5-4690Kがi5-4670Kより,0.5も上回っています.仕様的には,同じHD4600ですが,クロック周波数の上昇度合いが異なるのかも知れません.
バランスを考えると,i5-4690K+HD7770OCの組み合わせがいいという結果になりました.
CPU性能は,CINEBENCH R11.5 / R15で比較します.
i5-4690Kとi5-4670KのCPU性能はほぼ互角で,動作クロックが0.1GHz高いi5-4690Kにほうがスコアは良くなっています.
OpenGL性能は,iGPU(HD4600)とHD7770OCとでは,約3倍の開きがあります.
総合ベンチマークは,PCMark7/8で比較します.
総合ベンチマークの結果は,誤差範囲で,ほぼ同一な結果です.純粋にCPU性能だけではないのでこのような結果になったと思います.また,PCMark7は,エンコード評価があるため,iGPUのほうがdGPUより高いスコアを示しています.つまり,エンコードは,iGPUにお任せです.
グラフィック性能は,3DMarkを確認します.
なぜか,HD7770OCが途中停止してしまう(ドライバー停止)ため,スコアが得られていません.また,なぜかi5-4690Kより,i5-4670Kのほうがスコアがよい結果となりました.
実ゲーム性能確認は,ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア のベンチマークを使用します.画面サイズはフルHD固定として,画質を標準/高画質/最高画質で比較します.
iGPU時は,i5-4670Kのスコアが良く,dGPU時は,i5-4690Kのスコアが良いという結果です.ただ,差はほとんど無いため,互角だと思います.
iGPU(HD4600)でも,画質設定を落とすことで,楽しめる結果ですが,HD7770クラスのdGPUで快適になります.
消費電力は,アイドル時とOCCT(FF14)実行時のピーク時を比較します.
ほぼ互角という結果でした.iGPU使用時,PC全体の消費電力は,数年前のCPU一つ分しかありません.CPU性能の向上はすごいの一言につきます.
CPU温度は,アイドル時と,OCCT(CPU)実行時で比較します.
定格動作のアイドル時は,どちらも34℃という結果でした.ピーク(OCCT実行時)のCPU温度比較では,i5-4670Kの64℃に対し,i5-3690Kの57℃と,7℃も下回っています.個体差もありますが,大きな改善ポイントだと思います.
Devil's Canyonになって改善されたTIM変更(次世代ポリマー)の効果がはっきりと現れています.0.1GHzアップしていますので,本来ならさらに温度が上がってもおかしくないのですが,逆に下がりました.これは,オーバークロックに期待が持てます.
以上が,基本的なベンチマーク結果です.
ただ,ベンチマークを走らせても,実用的面での実感がありませんので,動画エンコードで体感してみます.
インテル® HD グラフィックス 4600の性能を,動画エンコードで比較します.
使用するソフトは,MediaCoder X64です.インテル® HD グラフィックスに対応したフリーソフトです.
約1時間(3465秒)のフルHD動画(MP4ファイル)を,H264にエンコードします.エンコード前後のファイル容量は,2.1GB/0.4GBです.
i5-4690Kは,CPUエンコードで1847秒,iGPU(HD4600エンコードで483秒となり,CPUエンコードで実時間の約半分,iGPU(HD4600)では1/7で終了します.HD4600は,エンコードが非常に高速であることがわかります.
i5-4670Kは,CPUエンコードで2089秒,iGPU(HD4600エンコードで589秒となり,CPUエンコードで実時間の60%,iGPU(HD4600)では1/6で終了します.同じHD4600でも,i5-4690Kのほうが処理が速いという結果になりました.
同じファイルを,i7-3770K(Ivy Bridge世代)でエンコードすると,CPUとiGPU(HD4000)利用で,それぞれ1914秒,640秒となりました.CPUエンコードは,8スレッド処理になる分高速になると思いましたが,なぜか思わしくありません.iGPUは性能が落ちるため,遅くなっていますが,大差はありません.8スレッドのCPUエンコードより,HD4600のGPUエンコードのほうが高速に処理できますので,4C/8TのCPUでなくても,4C/4TのCPUで十分であることがわかります.
エンコード目的であれば,4C/8Tの高価なCPUを購入しなくても,iGPUがハイクラスであれば,十分です.
リフレッシュで悪魔に変身したのか,気になります.
オーバークロックがレビュー課題ではありませんが,Devil's Canyonですから,オーバークロックも確認します.基本的に,HD7770OCを使用した状態で行います.
i5-4670KとH87チップセットの検証は,ASRock H87 Performanceのプレミアムレビューの中で行っています.その後,BIOSは,P2.40にupdate済みです.
※P2.40update後に,i5-4670Kのオーバークロック確認は行っていません.P1.50時のデータです.かつ,CPUクーラーは,CoolerMasterのHyper612を使用しています.
まずはじめに,オートチューニングによる自動オーバークロックを試してみます.
※P1.50時は,存在しなかった様な気がします(あくまでも記憶です).
F-Streamを起動し,モードで”Performance”を選択すると,右下に”Advanced”が出現します.
この”Advanced”をクリックすると,下の方にオートチューニング画面が現れます.
”Start"をクリックすると,自動オーバークロックが始まります(Windows上で).
終了すると,結果が表示されます.今回,4.3GHzまで,オーバークロックされました.
動画はこちら.
オートチューニングのワンクリックだけでオールコア4.3GHzというすばらしい結果です.
今度は,UEFI上から,オーバークロックします.
”OC Tweker"画面の最上部に,ASRock H87 Performanceの特徴であるオーバークロック設定があります.”Non-Z OC”を選択すると,4.0/4.2/4.4/4.5/4.6のプリセットがあります.いずれかを選択すると,その設定がUEFI上に反映されます.この値を書き込んで,起動させると,オーバークロックされます.
※Vcoreは,overrideモードです.
このプリセットを順番に確認していき,CINEBENCH R11.5の動作確認まで行います.
i5-4670Kは,UEFI上のNon-Z OCプリセットで,4.8GHzまでCINEBENCH実行が可能でした.その時のCPUスコアは,8.06でした.
しかし,i5-4690Kは,4.7GHzまでCINEBENCH実行が可能でしたが,4.8GHzではBoDです.1CPUなら,4.8GHでのCINEBENCH実行は可能でしたが,4CPUではVcoreを1.4Vまで上げてもダメでした.
i5-4670Kとの比較では,若干i5-4690Kが上回っています.温度マージンは,i5-4690Kのほうが少しある気もしますが,到達クロックではi5-4670Kが上でした.
オーバークロック耐性をまとめてみました.
結果的には,i5-4670Kのほうが上でしたが,これは個体差によるものだと思います.決して,i5-4670K>i5-4690Kでは無く,今回の結果がこのようになっただけだと思います.
使用したマザーボードがH87ですので,オーバークロック調整項目が少なく,実力を発揮できていない状態です.最新のZ97チップセットであれば,逆転する可能性もあります.
定格3.5GHzのi5-4690Kが,H87チップセットで4.6GHzまで,+31%も簡単にオーバークロックできる実力はすごいの一言に尽きます.
その分,消費電力も向上してしまうため,常用なら4.2GHzまでがバランスの取れた使い方だと思います.
実は,オーバークロックは,CPUだけではありません.
iGPU(HD4600)もオーバークロック出来ます.しかも,H87チップセットでも.
ここからは,iGPU(HD4600)を使用したレビューに戻ります.
では,CPU+iGPUのオーバークロックです.iGPUでUEFIを起動すると,OC Tweaker画面の1番上に”Advanced Turbo"の設定があります.この中に,”Turbo 20"と”Turbo 30”という設定があります.
一つ下の”Non-Z OC”でCPUを,2つ下の”Load Optimized GPU OC Setting”でGPUの設定を読み込んでも良いのですが,今回は手っ取り早く,”Advaned Turbo"の設定を使います.
iGPUのメモリは,1GBを確保しています.
WEI(WIN SCORE SHARE):
CINEBENCH R11.5:
CINEBENCH R15:
3DMark:
ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア:
MediaCoder X64 MP4→H264変換:
このiGPUオーバークロックによるエンコード時間の短縮が実用的には一番メリットがあると思いましたが,逆に遅くなってしまいました.オーバークロックによるCPUの発熱で,GPUの実クロックが延びなかったのかもしれません.
CPU+iGPUをオーバークロックすることで,ベンチマークスコアは確実にアップします.Windows Experience Indexもアップしますし,CINEBENCHの基本スコアも上がります.消費電力の上昇は気になりますが,簡単にCPU+iGPUのセットでオーバークロック出来てしまいますので,i5-4690Kでも十分楽しめます.
今回のレビューにおいて,i5-4790Kの真の実力(悪魔)は引き出せてはいませんが,H87チップセットでも,4.7GHz動作させることが可能でした.
スペック的のは同一のi5-4670K(Haswell)とi5-4690K(Devil's Canyon)ですが,世代的に新しいi5-4690Kのほうが全体的に快適の使用できました.発熱量が同じでも,CPU温度が低いというのは,とても安心できます.
以上がi5-4690Kレビューになります.
結果を見ると,非常に実用的でコストパフォーマンスに優れるi5-4690Kですが,その実力を引き出すH87 Performanceのマザーボードも非常にコストパフォーマンスが高いです.やはり,ただ者ではない”先生”&恐るべし”F氏!”.
最後まで,お付き合い頂きありがとうございました.
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