zigsowプレミアムレビュー 「430W電源ユニット ERX430AWT ~ 圧倒的な冷却性能と抜群の静音性を発揮 ~」のレビューです。
ERX430AWTは型番からもお分かりのように430Wと比較的低い出力ですが、80PLUS GOLD認定の高い変換効率を活かしてゲーミングPCを作成するのが課題となっています。今回はIntel Core i7-4770KにNVIDIA Maxwellアーキテクチャを採用しワットパフォーマンスの優れたGPU GeForce GTX 750 Tiを組み合わせたゲーミングPCを作成して検証を行いました。
ENERMAX製の80PLUS GOLD認証取得 430W出力のモジュラータイプのATX電源。国内では株式会社リンクスインターナショナルより2014年8月6日から販売開始となった新製品。
今回レビューするERX430AWTはENERMAX製の80PLUS GOLD認証電源で7,000円台という破格の価格設定が魅力です。
ERX430AWTは430Wと低出力モデルですがPCI-E補助電源ケーブル 6+2pin x2を搭載!
総出力の調整は必要ですがある程度消費電力の高いディスクリートGPUも利用できます。
その他の特徴としてケーブルは柔らかめの素材にフラット構造化、電源全体を覆うサイズの139mm静音ツイスターベアリングファンを搭載。シャットダウン後もファンが30~60秒回転して冷却を続けるヒートガード機能を搭載しています。
<製品の特徴(リンクスサイトより)>
・80PLUS GOLD認証取得 430W電源ユニット
・1系統12V 35Aのシングルレーン出力
・特許を取得した139mm静音ツイスターベアリングファン搭載
・シャットダウン後も冷却を続けるヒートガード機能
・柔らかく取り回しが簡単なフラットモジュラーケーブル
・Intel 第4世代Core processorをサポート
・ErP Lot 6 2013サポートで待機電力0.5W以下を実現
・ENERMAX Revolution-X’t ERX430AWT
●ケーブルとモジュラーケーブルの構成
<電源本体に直付けされているケーブル>
・ATX24pin
・EPS+12V 8pin
・PCI-E補助電源ケーブル6+2pin(2本)
電源の中にはATX24pinなども取り外すことができるように完全モジュラー化された製品もありますが、ERX430AWTは一般的な電源と同じく”ATX24pin、EPS+12V 8pin、PCI-E補助電源ケーブル(2本)”は本体に直付けされています。
<モジュラーケーブルのコネクタ数と種類>
・SATA電源x4ケーブル 2本
・ペリフェラルx4+FDD電源x1ケーブル 1本
付属するモジュラーケーブルは3本。430Wクラスとしては十分です。
●付属品
取扱説明書、ケーブルポーチ、マジックバンド(2本)、コードガード、取り付け用ネジセット
ENERMAX製電源ではおなじみのメーカーロゴ入りケーブルポーチにマジックバンドとACコードが抜けないようにするための専用金具(コードガード)も付属しています。
ACコード、モジュラーケーブル(3本)
モジュラーケーブルは3本付属。
本体にモジュラー用コネクタが用意されているPCI-E補助電源ケーブルは付属しません。
●構造や質感など
電源ケースの表面はマット処理されていてややザラザラとした手触り。モジュラーケーブル用コネクタはケースから飛び出しているタイプです。PCI-E補助電源用コネクタも用意されていますが430WモデルにはPCI-E補助電源用モジュラーケーブルが付属していないので動作するのかは不明です。
電源ケースやケーブルにコネクタを含めて全てブラックカラーで統一されていて高級感があります。
搭載する冷却ファンは大型の139mmツイスターベアリングファンを採用。
プラスチック部(本体とブレード)はブラック・クリア素材を採用。ファンのスペックは回転数は600~2000rpmという情報はありますがERX430AWTの製品情報としては公開されていないため詳細は不明ですが動作音も静かで速度自動コントロール機能を搭載して静音向きの設計になっているようです。
ケーブルは横一列に固定してフラット処理されていますがケーブル自体は柔らかめ曲げやすいです。
EPS+12V 8pinケーブルは4+4Pinに分けることもできます。
以前よりENERMAX製電源の上位モデルに付属していたACコードが抜けないようにするための専用金具”コードガード”に対応。金具も付属しています。
更新: 2014/10/08
ERX430AWT を使った自作ゲーミングPCの提案
PREMIUM REVIEW
GeForce GTX 750 Ti でワットパフォーマンス重視のゲーミングPCを作成!
ENERMAX ERX430AWT(430W出力のATX電源)でゲーミングPC作成ということで、Intel Core i7-4770kにディスクリートGPUにNVIDIA GeForce GTX 750 Ti 2GBを組み合わせた”ワットパフォーマンスを重視しつつも性能に妥協無し!”のゲーミングPCを作成しました。
CPUに関してはIntel Core i5-4670kと悩みましたがGeForce GTX 750 Tiの性能をフルに引き出すためIntel Core i7-4770kを選択。
GPUはワットパフォーマンス重視でMaxwellコアを採用したGeForce GTX 750 Ti 2GBを選びました。3D性能以外にメモリを2GB搭載しているので下位のGeForce GTX 750(1GB)よりお勧めです。
PALIT GeForce GTX 750 Ti StormX DualはOCモデルのためベースクロック1202MHz(定格1020Mhz)、ブーストクロック1281MHz(定格1085Mhz)、メモリクロックが6008MH(定格5400MHz)とリファレンスモデルより高速化されています。
他のパーツ構成もストレージはIntel SSD 730 480GB + HDD構成でサウンドカードもCREATIVE製Sound Blaster X-Fi Titanium HDを組み合わせてハイエンド寄りのパーツで固めています。
フラットケーブルは横方向に曲げることができないためケース内とくに裏配線がどうなるのかと思いましたが、実際に配線してみると裏配線を含めてまったく問題ありませんでした。
SATAコネクタのコネクタ形状とケーブル間隔が工夫されているおかげで”光学ドライブとSSDとHDD”を一本のケーブルで配線することができたのでモジュラーケーブルは1本のみで済ませることができました。今回は使用していないPCI-E補助電源ケーブルがモジュラー化されていないので少し邪魔になりますがケース内配線はシンプルにまとめることが出来ました。
EPS+12Vケーブルに延長ケーブルを使用していますが電源側の問題ではなくPCケースの裏配線用の穴が小さくてコネクタを通すことができないための対策です。EPS+12Vケーブルは60cmと長めになっているので一般的なケースでは裏配線も問題なく行えるはずです。
各種ベンチマークテストを使用して作成したゲーミングPCの3D性能を検証してみました。
●Dragon Quest X ベンチマーク
Wii/Wii UからPCへ移植されたマルチプラットフォームのオンラインRPG”Dragon Quest X”のベンチマークソフト。ファイナルファンタジーXIベンチ3と同じく処理は軽めです。
標準設定、最高品質共に16000を超えるスコアで評価は「すごく快適」です。
軽いMMORPGのドラゴンクエストXは快適にプレイできます!
●新生ファイナルファンタジーXIVベンチマーク・ワールド編
新しく生まれ変わったファイナルファンタジーXIVの3Dエンジンを使用したベンチマークソフト。負荷率はたた高めです。新しいバージョンの”キャラクター編”も公開されていますが今回は過去のスコアと比較しやすいようにシンプルなワールド編を使用しています。
標準品質+1270x720ドットのスコアは17719で評価は「非常に快適」。
スコアは5884で評価は「とても快適」。
このスコアなら高解像度設定でも十分快適にプレイできるはずです。
●ファイナルファンタジーXIベンチ3(HI)
DX9(DX8)世代の懐かしいベンチマークソフトです。
現在もプレイしている方が多い人気のタイトルのためスコアを計測してみました。
HIのスコアは11334。
現在のバージョンはプレイしていないので不明ですが以前ではアライアンスを組む処理の重いイベントも快適にプレイできるスコアです。
●MHFベンチマーク 【大討伐】 Ver 3.01 (標準設定、1270x720)
PSO2CC2同様スコアの出方に癖のあるMHFベンチマークの最新版です。
標準解像度(1270x720)のスコアは20226。
高解像度(1920x1080)のスコアは10544。
標準解像度(1270x720)のスコアと比べると半分程度まで落ちていますが十分快適にプレイできるスコアです。
●ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0
ファンタシースターオンライン2の動作検証(ベンチマークテスト)も可能なキャラクタークリエイト体験版の最新版。
<スコア評価一覧>
・SCORE ~2000 ★
処理負荷によっては動作が重くなりますので簡易描画設定の調整をお勧めいたします。
・SCORE 2001~5000 ★★
標準的な動作が見込めます。余裕が有れば簡易描画設定の調整をお勧めいたします。
・SCORE 5001~ ★★★
快適に動作すると思われます。お好みの設定でお楽しみください。
標準設定(標準品質、1270x720)のスコアは108040。
高解像度設定(最高品質、1920x1080)のスコアは39091。
どちらも快適動作の基準となる5001を軽くオーバーするスコアで処理の重いシーンも快適にプレイできます!
●ゲーミングPCについて
今回使用したGPUのPALIT GeForce GTX 750 Ti StormX DualはミドルレンジクラスのGeForce GTX 750 Ti搭載モデルのため、3D性能を少しでも稼ぐ目的でOCモデルを選びました。GPUのメモリバスが細い関係で高解像度や負荷率の高い設定の場合のスコアの落ち込みはやや気になりますが軽めの3DゲームはフルHD解像度でも余裕でプレイできる性能です。重めのゲームでも設定を変更することで対応可能と思います。
ゲーミングPCということで3D系ベンチマークテストのみの検証ですが4C/8TのCore i7 4770KのCPUパワーでマルチスレッド対応アプリや動画変換なども高速に処理することも出来ます!
更新: 2014/10/08
ERX430AWT の静音性
PREMIUM REVIEW
冷却と静音性に優れた139mmツイスターベアリングファン
搭載ファンは139mmツイスターベアリングファンでプラスチック部はブラッククリア素材を採用。ファンは速度自動コントロール機能付きで静音設計になっています。
ERX430AWTの139mmツイスターベアリングファンは電源全体を覆うサイズです。比較用電源のRPSB-700Pも大きめなサイズの120mmファンを搭載していますが139mmツイスターベアリングファンと比べるとファンが小さく感じます。
ERX430AWTのファンノイズに関してはアイドル時からベンチマーク中の負荷時にかけて静かで風きり音などはほとんど感じませんでした。
後方のメッシュ部から排出される排気の風量についてもアイドル時から負荷時にかけて少なめで気温の低い季節では熱量もほとんど感じません。変換効率の高さが発熱の低さにつながっているようです。
夏場など室温が高い状態で長時間使用するとファンが高回転になる可能性もあるかもしれませんが、PC全体としてみると負荷が掛かると即座にCPUファンが高回転になるのでその場合でもERX430AWTのファンノイズは気にならないはずです。
更新: 2014/10/08
ERX430AWT の省エネ性能
PREMIUM REVIEW
ERX430AWTの変換効率検証
サンワサプライ ワットチェッカーPlusを使用して作成したゲーミングPCの消費電力を計測してみました。比較用の電源は80Plusブロンズ認定のREEVEN RPSB-700P(700W)です。
●電源スペック比較
比較用の電源は700Wのため出力スペック以外で差がある部分や重要な部分を表にまとめてみました。
139mmツイスターベアリングファンのスペックについては公開されていないようで別製品の同じ型番のファンは600~2,000rpmの回転数という情報があります。英語サイトでERX430AWTに関しては1,450rpmあたりが最大回転数になっていると読み取れる情報があるため表では600~1,450rpmとしています。検証したかぎりでは静かで冷却性能も十分なようです。
ENERMAX ERX430AWTは最新モデルということで変換効率以外にも機能的に優れている点が多く、保障期間も5年と長く耐久性も高いということなので安心感があります。
低出力電源のため問題ないとは思いますが+12Vは1レーンで扱いやすいのもポイントです。
両電源共に本体の奥行きは160mmですが、モジュラーコネクタを含めると167mm程度になります。奥行きは短めの部類の製品ですがモジュラーケーブルを利用する場合には190mm程度スペースが必要になる点には注意が必要です。
PCの設定についてはCPUは定格動作でBIOSの各種電圧項目の設定は全てautoです。
変換効率は比較的良い部類に入る80Plusブロンニズ認定のREEVEN RPSB-700Pに対して80Plusゴールド認定のERX430AWTは全ての項目で消費電力が少ないという結果に。変換効率に関してはブロンズ認定電源との比較では全域にわたって80Plus Gold認定電源の実力が発揮されているようです。
PCI-E補助電源ケーブルが不要でワットパフォーマンス重視のミドルレンジGPU”GeForce GTX 750 Ti”との組み合わせは消費電力は予想以上に余裕がありました。
そこでERX430AWTの潜在能力を確認するためGPUを2世代前のハイエンドGPU”GeForce GTX 680 2GB”へ交換して安定動作可能なのか検証してみました。
使用したGPUは”玄人志向 GF-GTX680-E2GHD”。リファレンスモデルです。
消費電力についてはREEVEN RPSB-700Pのデータも合わせて計測して表にまとめました。
GeForce GTX 680(TDP195W)の推奨電源は80Puls認定550W以上。
ERX430AWTは+12Vが1ラインで36Aと高出力なおかげで、ベンチマークテストを全て走らせてみたところ問題なく完走しました。(ベンチマークテストのスコアも追加する予定)
変換効率に関しては計測時の最大消費電力は284W。もう少し負荷率を上げても動作可能なレベルでしょうか。変換効率はGeForce GTX 750 Tiの検証結果と同様にブロンズ認定電源との比較では全域にわたって80Plus Gold認定電源の実力が発揮されているようです。
さらにCPUやGPUをOCするのは厳しいところですが定格常用ならアリの組み合わせです!
ENERMAX ERX430AWTでゲーミングPC作成ということで、Intel Core i7-4770kにディスクリートGPUのNVIDIA GeForce GTX 750 Ti 2GBを組み合わせたPCを作成しました。
今回使用したディスクリートGPUのGeForce GTX 750 Tiとの組み合わせでは総消費電力に余裕があるのでCPUをライトOCして動画変換などの高速化を狙うか、もう少し性能の高いGeForce GTX 660TiやGeForce GTX 760あたりと組み合わせて安定動作するのか試して見るのも良いかもしれません。ディスクリートGPUに関してはGeForce GTX 750 Tiの上位のアッパーミドルクラスGPUが登場すれば選択肢も増えるので新製品の登場待ちといったところでしょうか。
80PLUS GOLD認証の変換効率にワットパフォーマンスの高いPCパーツを組み合わせることで3D性能も維持しつつ、消費電力はピーク時でも200w以下とPC全体の発熱が少ないので長時間プレイのMMORPGや夏場の動作に最適なPCに仕上がったと思います。GPUはOCモデルのためリファレンスモデルを使用した場合はもう少し低い消費電力になるはずです。
追加検証で旧ハイエンドモデルのGeForce GTX 680 2GBも動作可能なことが判明しました!
80PLUS Gold認定の変換効率の高さに加えて”+12V 1ライン仕様”の離れ業といったところでしょうか。GeForce GTX 680の推奨電源は80PLUS 550W以上となっているので、安易にお勧めはできませんが作成したPCの消費電力は負荷時でも300W程度のため許容範囲内です。
今回は80PLUS Bronze認定の700WのREEVEN RPSB-700Pから80PLUS Gold認定 430WのENERMAX ERX430AWTへ交換ということで、電源の出力的には低くなりましたがGold認定の高い変換効率のおかげで全域にわたって消費電力を低く抑えることができました。定格動作ならGeForce GTX 680 2GBも動作可能と現行のアッパーミドルクラスあたりまでのGPUまで対応と総消費電力には気を使う必要もありますがミドルクラス用電源としても魅力的な存在といえます。
ENERMAX ERX430AWTの保証期間は製品購入から5年間と長く設定されています。電源は寿命のあるコンデンサなどの部品を多用しているので長期保証は購入時の重要なポイントですから安心感があります。
気になった点については、PCI-E補助電源ケーブルがモジュラー化されてい事です。出力数の低い電源のためディスクリートGPU無しでの運用も考慮してPCI-E補助電源ケーブルがモジュラー化されていたら、内部の狭いPCケースに設置する際に邪魔にならずに利便性が向上したはずです。同製品の出力の異なる上位モデルと基盤の共用などの関係とは思いますが、この点については今後の製品で改良されることを期待します。
ENERMAX ERX430AWTは高に静音性と変換効率にこだわりのギミックを搭載した高水準のATX電源です。このスペックのENERMAX製80Plus Gold認定電源が7,000円台で購入できるということには驚きました。
最高出力430Wと高出力ではないのでハイエンド構成には向きませんが、今回提案したワットパフォーマンスを重視したミドルレンジクラスのディスクリートGPUを搭載したゲーミングPCの他に、iGPUを活用したビジネス向けのエコPCにもお勧めできる高性能電源です!
<2014/10/03>
・誤字を修正しました。
<2014/10/04>
・コメントを追記しました。
・誤字を修正しました。
<2014/10/05>
・「GeForce GTX 680の動作に挑戦!」を追加しました。
・GeForce GTX 750 Tiの消費電力の計測結果を更新しました。
<2014/10/08>
・コメントを追記しました。
cybercatさん
2014/10/04
あと+12Vが1レーンなのも使い勝手良さそうですね。
Sheltieさん
2014/10/04
コメントありがとうございます。
はじめにRPSB-700Pでデータを取ったときに予想以上に消費電力(負荷率)が低いので消費電力にあまり差がでないのではと思ったのですが、きっちり差をつけてくるあたりは流石ENERMAX製Gold電源!
+12V 1レーンは+12Vの割り振りを気にしなくて良いので扱いやすいですよね。このギミックについては課題以外の追加検証のデータ取りを行いましたので、まとめ次第レビューに追記して紹介する予定です。