Intel Atom Z2460を採用したandroidの10.1インチタブレット TM105はandroid端末では珍しいIntel CPU(SoC)を採用した製品ということで、Intelファンには気になる存在ではないでしょうか。
SoCの違いや使用感など詳しく検証していきたいと思います。
インテル Atom Z2460搭載。システムメモリは1GB(DDR2)、ストレージ容量16GB。
5点マルチタッチに対応した1280x800ドット表示の10.1インチ液晶パネルを採用。
無線LANはIEEE 802.11b/g/n(アンテナ2本)、加速度センサーと照度センサーを搭載。
定価は21800円。10インチクラスのタブレットでは低価格です。
TM105正面。液晶パネルに輸送中の傷から守るための保護フィルムが貼ってあります。
TM105A裏面。表面はラバーコートされています。
右上にカメラ、下側両サイドにステレオスピーカー。中央下よりに”intel inside”のロゴが目を引きます。
付属品は”説明書、クイックスタートガイド、USBケーブル”
それに”各国のコネクタに対応したACアダプター”が付属します。
●System-on-a-chip(SoC)
SoCにIntel Atom Z2460(1.6GHz、1C/2T)を採用。
32nmプロセスで製造されたMedfield(メドフィールド)コアでシングルコアCPUですがHTTが実装されているので2スレッド動作になります。GPUはPowerVR SGX 540 (400MHz)を搭載。モデム機能も内蔵していますがTM105Aでは使用されていません。
●搭載OSと製品の概要
OSはAndroid 4.0.4。4.1や4.2が主流になりつつあるのでバージョン的には見劣りします。
OS起動時間は18秒程度と特殊な機能が少ないためか日本仕様にカスタマイズされたスマートフォンやタブレットに比べると高速です。
OSの更新方法についてはUSBメモリやネットワーク経由で可能な作りになっています。レビュー作成時点でシステムアップデートは公開されていません。
●Google Play
標準でGoogle Playがインストールされているのでandroid向けに公開されている数多くのアプリをダウンロードして利用することができます。
●液晶パネルのスペックと品質
1280x800ドット表示の10.1型ワイド液晶パネルを搭載。10インチクラスでは標準的な解像度ですが16:10比率なので横向きで使用するときに縦の表示領域が広いのは魅力です。
パネルの種類は明記されていませんが視野角を確認したところ発色の変化からTNパネルが使われているようです。横持ちの場合は上側から覗き込むと色が黒く抜けて、下側から覗くと白っぽく変化します。左右の視野角はTN相応です。
通常のTNパネルを採用した液晶モニター製品と上下を反対させて搭載しているのは手に持ったりスタンドに設置した場合、色合いが黒く抜けるより白っぽく変化するほうが表示内容を認識しやすいためと思われます。
●タッチパネルの感度
タッチパネルは5点マルチタッチ対応で感度はandroid 4.0.4の端末としては標準的です。
5点マルチタッチは”マルチタッチ精度確認” というアプリで確認しました。
●ストレージ
内部ストレージは16GB(ユーザー使用可能領域は約12GB)と外部ストレージとしてmicroSDスロット(最大32GB)を利用可能。
低価格モデルでは内部ストレージは8GBクラスの製品も多いので16GB搭載しているのとmicroSDスロットで容量を拡張できるのは魅力です。実際にmicroSDHC 32GBのカードが正常に認識できることを確認しました。
OTGケーブルを使用することでUSBメモリ(16GB/32GBの動作を確認済み)も使用することができます。
内蔵ストレージ、SDカード、USBメモリの3つのストレージを同時に利用できます。USBメモリは初回接続時にファイルのチェックが入るためしばらくはアクセス速度が低下しますがチェックが終わると高速にアクセスできるようになり、動画ファイルもスムーズに再生できました。
●本体サイズ・重量
本体サイズ261.58mm(W)×173.34mm(D)×12.6mm(H)。本体重量 660グラム。
10インチクラスのタブレットとしては普通です。
●各種ボタンの操作性とレイアウト
物理ボタンの電源ボタンとボリュームボタンは横置き時に上側側面に設置されています。
クリック感は軽めで反応も良好で操作性は良いです。
●入出力ポートなど
本体横置き時左側側面にI/Oポートがまとめて配置されています。
左から”microSDHCカードスロット、mini HDMI出力、ヘッドフォン出力、microUSB端子、ACアダプター端子”
microUSB端子はOTGケーブルを使用することで”マウス、キーボード、USBメモリ”を接続できることを確認しました。(OTGケーブルはdocomo LG製を使用)
●内臓センサー類
加速度センサーと照度センサーを内蔵。
残念ならがGPS機能は内蔵されていません。
●カメラ
200万画素カメラと前面に30万画素カメラを搭載しています。
<リアカメラ検証>
(写真準備中)
室内で実際に撮影してみた感想ですが、画質に関してはフォーカスなども甘くCMOSセンサー特有のノイズも目立つため最新のスマートフォンのカメラ機能のように綺麗に撮影することはできません。メモ代わりにつかうといった簡易的な物です。
明るい屋外で撮影してみました。上の写真は無加工の状態です。
室内での撮影に対してノイズは目立ちませんが全体的に白っぽくなっています。
カラーバランスは悪くないようでフォトレタッチソフトでコントラストを調整すれば自然な色合いになります。
●バッテリー
6,600mAhバッテリーを搭載。充電は付属のACアダプター(5V/2A)で行います。
スマートフォンなどと比べると明らかに動作時間は長くスタミナがあります。
<充電時間>
・10分:9%
・30分:18%
・60分:32%
・90分:58%
・120分:85%
・180分:99%
・240分:99%
・270分 100%
バッテリーの充電時間を計測してみました。
4%で電源がシャットダウンした状態から充電を開始して約270分でフル充電になります。
99%から満タンまで時間が掛りますが1時間で26%程度充電できるようです。
●Quadrant Standard Edition
Quadrant Standard Editionのスコアは4153。
メモリのスコアがかなり高いようでシングルコアCPUながらも健闘しています。
Antutuベンチマークのスコアは7627。
こちらはquadコアにも対応しているのでやや苦戦しているようです。
スコア的にはデュアルコア ARM Cortex-A9ベースのSoCの1GHzあたりと同等です。
上のスクリーンショット画像の左側が黒くなっているのはスコア表示で不具合が出ているようです。ベンチマークテスト中は問題ありません。
3Dmark Ice Stomeのスコアは1932。
現在主流のクアッドコアSoCを搭載したスマートフォンGALAXY S III α SC-03Eのスコアは3326でした。
クアッドコアSoC搭載スマートフォンの6割程度のスコアと検討しています。
●入力アプリが日本語に非対応
出荷時の状態では入力は”android英語キーボード”のみで日本語入力できません。
”システムの言語を使用”を選択しても日本語が一覧に表示されず、音声入力でも日本語にはなりませんでした。
アカウントを新規作成する場合は不便です。今回は既に獲得済みのGoogleアカウントでログインしてGoogle Play経由で”Google日本語入力”をインストールして”設定”から入力アプリを切り替えてこの問題を回避しました。
●液晶パネルの視野角
コスト的な問題でしょうか。液晶パネルはTNパネルを採用しているため視野角の狭さが気になりました。使用するスタイル次第では気にならない場合もあるかもしれませんが、PC用モニターもIPSとVAパネルにこだわり続けてきたので気になってしまいます。
タブレットは液晶画面の表示品質が重要な要素ですから時期モデルにはIPSパネルの採用を強く希望します。
●microSDカードスロット
スロットにmicroSDHCカードを挿入すると1~2mm程度はみ出てしまいます。
ケースなどに入れるときに引っかかる可能性があるので設置位置を変更するか、カバーを設けるなどして完全に本体の内側に入るようにするなど工夫が欲しいと感じました。
android版Avast!の動作は問題ありません。
Firefoxはエラーが発生してインストールできませんでした。
Firefox Betaはx86に対応しているようで動作可能でした。
Android用 Operaブラウザは動作問題なし。
Perfect Viewer x86ライブラリをインストールすることで動作可能です。
CPUの使用率をリアルタイムでグラフ表示するアプリです。動作は問題なし。
HTTの論理コアにも対応しています。
バッテリーの残量を表示可能なバッテリーミックも問題なし。
グラフやパーセント表示も正確なようです。
初期検証時は動作が安定していなかったBeam(twonkybeam)はその後の検証で安定動作を確認。
ネットワーク再生でH264 AAC形式のフルHD動画も滑らかに再生可能。
ファイル操作やapkファイルのインストールなど非常に便利なESファイルエクスプローラーの動作も問題なし。
Adobe Readerも動作可能です。
マップ(Googleマップ)は動作しますがGPSを内蔵していないのでXiテザリングでは現在位置を正確に測位することはできませんでした。大画面のタブレットなら表示できる情報量も多いので残念です。
●互換性について
アプリの互換性については主流のC言語で書かれたプログラムの場合、x86向けのCコンパイラを使用するだけでx86バイナリを作成できるということでx86への対応もかなり進んでいて大半のアプリは動作可能でした。
今のところFirefoxのみx86バイナリを内蔵していないのか他の原因かは不明ですが、インストールでエラーが発生していますが大半のアプリはARM系SoCのときと変わらず利用可能なのでx86系SoCであることを意識する必要はありません。
androidのapkファイルは複数のバイナリを一まとめにできるようになっているのでSoCにあわせて実行するプログラムを自動的に切り替える仕組みになっているので基本的にユーザー側での対応は不要ということだそうです。
TM105Aは映像出力用にmicroHDMI端子が用意されています。
Amazonベーシック high speed Ethernet対応 HDMIケーブル Aタイプ - Cタイプ 2.0mを使用してHDMI出力の動作を検証してみました。
HDMI出力は最大で720p(1280x720ドット/60fps)。タブレットで表示している画面と同じ映像が表示されます。出力解像度は設定のHDMI項目内で変更可能です。
HDMIケーブル経由で音声も出力されているためスピーカーを内臓している液晶TVや液晶モニターと接続することで大画面でandroidコンテンツを楽しむことができます。
フルHD以上の解像度のモニターへ720p出力を行うとフォーカスの甘い画質になるため文字を表示させる用途には向きませんが、動画ファイルの再生ではフォーカスの甘さもさほど気にならないのでDLNA対応メディアプレイヤーアプリ”Beam(twonkybeam)”などと組み合わせることでメディアプレイヤーの代用として活用できます。
気になった点ですがケーブルを本体に接続してもモニター側でHDMIの映像入力を感知できませんでした。そのためDVI接続しているPCを起動してから手動でモニター入力切替でHDMIに切り替えることでタブレットの映像が表示されました。この点についてはモニター側(BenQ GL2750HM)の入力切替方式の問題の可能性もありますので具体的な原因はまだ特定していません。(この後他のモニターで検証する予定です)
インテル プロセッサー搭載10.1インチAndroidタブレット TM105Aを使用してみた感想です。
まずIntel 系CPU(SoC)を搭載しているということでアプリの互換性が気になっていましたが、普段スマートフォンで使用しているアプリをGoogleストア経由で複数インストールして動作確認を行ってみたところ特に問題ありませんでした。”ホーム画面の操作、アプリの起動、ゲームの動作、アプリの動作”など、レスポンスも良好です。
x86への対応も進んでいるようで今のところIntel 系CPU(SoC)をユーザーが意識する必要はなくARM系SoCを採用した端末と同じように利用できます。
ストレージに関しては16GB(実質空き容量12GB)でも一般的な用途では十分な容量が確保されています。メディアプレイヤーとして活用する場合、動画ファイルなどをたくさん持ち歩く場合には容量不足になりますが最大32GBのmicroSDHCカードでストレージ容量を補うことができるので問題ありません。
タブレットの大画面を生かす使い道の一つ”メディアプレイヤー機能”については、動画の再生に関しては標準の動画プレイヤーとMX動画プレイヤー(+動画コーデックx86)でH264 AACのフルHD動画が滑らかに再生できることを確認しています。Atom Z2460の動画再生支援能力はかなり強力なことが分かりました。
ステレオスピーカーは本体裏側にあるのは少し残念ですが音質はタブレットとしては合格点。ヘッドフォン端子出力もノイズが少なくクリアで音質も良好です。
現在メインのタブレットとして稼動させていますが特に不具合も無くとても快適です。バッテリーに関してはスマートフォンに比べるとかなり持ちますのでバッテリー切れを意識ないで使えるのは魅力です。
唯一の弱点とも言えるTN液晶パネルについては室内ではテーブルに平らに置いて使うと画面がやや白く見えてしまうのと、屋外では最高輝度に設定しても明るい場所では視認性にやや難ありでした。この点については時期製品では高視野角なIPSパネルを採用するなど改良に期待しています。
本体の重量については標準的で軽いとは言えませんが、方手持ちが厳しいacre A500に比べると軽くて屋外での使用時に左手のみで支える事ができたので予想以上に使いやすいです。
その他に気になった点はGPSが搭載されていないのでマップ(Googleマップ)での現在位置特定(Xiテザリング時)は位置がズレたり現在位置をロストしてしまったりと厳しい印象です。Googleマップ自体は大画面で見やすく情報量も多くタブレットの大画面で活用すると非常に便利なアプリですが、現在位置が素早く特定できない又は位置をロストしてしまうので実用的ではありませんでした。Googleマップはナビゲーション機能以外にも近くのお店や施設などの検索にも使えるので残念です。新製品にはGPSの搭載を希望します。
実際に活用して気づいた点ですが専用スタンド、専用ケース、専用保護フィルムなどのオプション品が販売されていないため適合する製品を自分で探す必要があります。こういった専用のオプション品も本体とあわせて販売してもらえると助かります。
ケースに関してはセリアで丁度良いサイズのクッションケースを見つけることができましたので、もちものに登録しました。
使用する上ではARM系SoC搭載タブレットと変わらない使用感のTM105Aは定価 約21,800円と低価格設定で10インチタブレットとしてはお買い得感が高いです。TN液晶パネルとGPS非搭載と弱点もありますがコストパフォーマンスの高い一台に仕上がっています。Intelファン以外にもタブレット入門機としても最適です。
<2013/10/05>
・一部のレイアウトを変更しコメントを追記しました。
・画像を追加しました。
<2013/10/08>
・”アプリの互換性検証”を追加しました。
・画像を追加しました。
<2013/10/09>
・”アプリの互換性検証”に検証結果を追記しました。
<2013/10/15>
・アプリの互換性検証に追記を行いました。
・コメントを追記しました。
<2013/10/18>
・感想にコメントを追記しました。
<2013/10/20>
・”HDMI映像出力検証”を追記しました。
<2013/10/21>
・誤字修正とコメントを追記しました。
<2013/10/24>
・OTGケーブルの検証結果と写真を追加しました。
aoidiskさん
2013/10/04
いやいや、この時点で 自分だと????になってしまうな。
android端末でIntel CPU(SoC)を採用というので、
気になっておりました。
これからも楽しみにしています。
Sheltieさん
2013/10/04
PCや他のスマートフォンなどで新規でgoogleアカウントを作成してから、そのIDでログインすることでも、この問題は回避可能ですが日本語入力ができないのは不便ですよね。
詳細なレビューについては作成中ですので完成次第追記していきたいと思っています。
リンさん
2013/10/06
最初えっ!?って感じでしたよ。
気が付けばすぐなんですけど入っているのが当たり前という頭なので
本当に参考になりました。
Sheltieさん
2013/10/07
OSは日本語をサポートしているので標準の入力アプリが日本語をサポートしていないとあれっと思いますよね。時期製品又はロット変更時などでの対応に期待ということで。