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■ はじめに
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1年程前にスキャナ機能付きの複合プリンタ「PIXUS MG6130BK」を購入した。
プリンタ、コピーとしては多用しているのだが、なぜかスキャナ用途では今までに1度も使ったことがない。
その理由は、「手軽には使えない」という一言に尽きると思う。
仕事でもスキャナを使うことがあるのだが、手間が多いので積極的には使っていない。
正直なところ、スキャナ全般に対してあまり良い印象を持っていないのだ。
今回のレビュー対象製品である「ScanSnap S1100」は、シリーズ中では唯一の片面読み取りに限定されたモバイルタイプのドキュメントスキャナだ。
使用方法や使用感はもちろんのこと、スキャナに対する印象の変化を含めてレビューしていく。
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■ 外観・第一印象
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指令書とともに届いた「ScanSnap S1100」。
モバイルスキャナということなので、小型であることは理解していたが、化粧箱は想像していた以上に小さかった。
外箱を開封して内容物を確認。
内容物は少なめ。
これだけ割り切り感があるとかえって潔い感じがする。
本体を見て最初に思ったことは、「サランラップみたい・・・?」
形的にもサイズ的にも何となく似ていたので思わずそう感じてしまったが、実際のサイズは、サランラップの外箱よりも更に一回りは小さい。
何となくサイズの小ささをお分かりいただけただろうか。
手前にある半透明のボタンがスキャン/ストップボタン。
前面にある原稿台カバーと後面にある排出ガイドの2箇所が開く。
左側面にはUSBポートとストラップホールがある。
AC電源は不要。USBバスパワー給電で済むのがありがたい。
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■ インストール
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今回のレビューで「ScanSnap S1100」の相棒となるZENBOOK UX21E。
付属のDVD-ROMからZENBOOK UX21Eへソフトウェアをインストールするのだが、ZENBOOK UX21Eには光学ドライブがついていない。
ということで、これと内蔵DVDドライブを使ってインストール。
そろそろ外付けの光学ドライブを購入した方がいいかもしれない。
セットアップ後には原稿のセット方法の説明窓が表示される。
こういう説明があると、わざわざマニュアルを見なくてもさっと使い始められるので助かる。
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■ 整理術1 -カタログ類をスキャンしてみる-
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PCとUSB接続して、前面にある原稿台カバーを開くと半透明のスイッチが青色に光りスイッチがONになる。
数秒間のアイドリングを経てスキャン可能になる。
大型スキャナでは、ドライバの読み込みに時間がかかりイラッとすることがあるのだが、「ScanSnap S1100」は立ち上がりが早くていい。
「ScanSnap Manager」でスキャン設定を変更できる。
シンプルなソフトウェアなので、マニュアルを見なくても感覚的に操作できる。
連続スキャンをしたければ、「継続読み取りを有効にします」にチェック
「検索可能なPDFにします」にチェックしておくといい。
保管してあったカタログ類をスキャンしてみる。
こういうカタログ類は、一定時間が過ぎると不要になってしまうことが多い。
データさえあれば原本は不要なので、スキャン後に処分してしまえばいい。
スキャン中にたまたま目に入ったのが子供の塗り絵原稿。
繰り返し使いたいものをスキャンデータとして保管しておくと便利そうだ。
実際にスキャンした時の動画がこちら。
そこそこのスキャン速度が出ていることを確認していただけるだろう。
スキャン後に「クイックメニュー」が起動するので、データの保存先を指定。
「このコンピュータに保存」を選択すると、「ScanSnap Organizer」が起動する。
サムネイルをクリックするとスキャンデータの一覧が表示される。
実際にスキャンしてみて、以下の点がいいなと感じた。
・原稿台のどの位置を通してもしっかりとスキャンされる。位置合わせは不要。
・文字方向を読み取ることでデータを自動的に回転してくれる。原稿の向きを気にしなくてもいい。
・定形外のサイズの原稿でも余白を自動的にカットされる。
・スキャン速度が早いのでテンポ良くスキャンできる。
平面スキャナのように、原稿の位置・向きの確認、スキャンデータのトリミングという一連の作業がいらない。
手軽にサクサクとスキャンできるので、高速起動でスリープからの復帰速度が早いUltrabookとの相性は抜群だ。
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■ 整理術2 -名刺をスキャンしてみる-
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知らず知らずのうちに増えていくのだが、有効的な手法が思いつかなかった名刺の管理方法。
「ScanSnap S1100」には、名刺管理用のソフトウェア「名刺ファイリングOCR」が付属している。
この「名刺ファイリングOCR」の使用感を確かめたかったというのが、今回のレビュアーに応募した動機の1つでもある。
手持ちの名刺から80枚ほどをスキャンしてみる。
名刺の向きは気にしなくていい。
OCR機能で文字の向きを判別しているので、適切な向きに自動的に回転がかかる。
読み取り後には、スキャン結果が間違っていた時の再認識の方法などを説明する窓が表示される。
スキャン後の名刺ファイリングOCR。
読み込まれる情報量はかなり豊富だ。
「名刺ファイリングOCR」の使用感だが、
・名刺の向きの読み違いは1枚もなかった。
・名刺が斜めに読み込まれたり、文字が歪んでしまうことはなかった。
・氏名は90%程度の高確率で正確に認識された。
・社名は氏名ほど正確には認識されなかった。
・住所の認識精度は低い。ほぼ手打ちで修正が必要。
全体的な印象としては、想像以上に正確に文字認識されたなと感じた。
ただ、社名については各社で書体がバラバラなので、どうしても認識精度が落ちてしまう。
一般的名な書体でないものは、ほぼ誤認識されてしまう。
社名だけでいいので、もう少しの認識精度を高くしてほしい。
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■ 整理術3 -クラウドを利用した名刺管理-
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さて、先程は「名刺ファイリングOCR」を用いた名刺管理方法を説明したが、この方法ではローカル限定でしか名刺確認ができない。
そこで、外出先でも名刺確認ができるように「Evernote」を使って名刺管理をしてみる。
Evernoteでは、プレミアム会員(有料会員)になるとPDF文書内の文字検索が可能になる。
この文字検索機能を利用する。
「名刺ファイリングOCR」を用いれば、氏名、社名、所在地、電話番号などの複数の項目を管理できる。
誤認識された部分を手打ちで修正しさえすれば、しっかりとしたデータベースになる。
しかし、忙しくて修正作業にまではなかなか手を回せないというのが本音でもある。
手抜きして楽に管理できれば長く続けていくことができる。
名刺管理は文字ではなく画像でする。
そいいう割り切った管理方法がEvernoteには向いている。
EvernoteをZENBOOK UX21Eにインストール。
「ScanSnap Organizer」を起動してスキャナの設定を変更する。
アプリ選択の項目は、「ドキュメントをEvernoteに保存」を選択。
ファイル形式は、「PDF」を選択。
ローカルにもPDFが保存されるので、「検索可能なPDFにします」にチェック。
PDFフォーマットオプションで、「設定ページごとにPDFを作ります」を選択し、1ページ毎にPDFが作られるようにする。
この設定をしておかないと、複数枚の名刺を連続スキャンしても最初の1枚しかPDFが作成さないので後で泣きを見ることになる。
名刺をスキャンする。
スキャンが終了すれば、自動的にPDFがEvernoteにアップロードされていく。
名刺という名でタグを作成。
名刺のサムネイルを選択して、左側にあるタグの位置までドラック&ドロップすれば取りあえずの整理は終了。
上部の検索窓にキーワードを入力すれば、目当ての名刺を探し出せる。
Evernoteの文字検索機能は強力ではないので、氏名や社名で検索してもヒットしないことがある。
そのような時には、氏名や社名の一部を英字入力して検索すれば意外にヒットする。
メールアドレスの一部に氏名や社名が使用されていることが多いので、その部分が検索に引っかかるのだ。
右側のペインには文字入力もできるので、検索精度を上げる単語を入力したり、いつどこで会ったかなどの情報を入力しておいてもいいだろう。
Evernoteで管理すれば、スマートフォンでもデータ閲覧が可能だ。
KING JIMのPITRECのような使い方ができる。
スマートフォンにもEvernoteをインストールして起動する。
検索窓にキーワードを入力。
検索結果が表示される。
添付ファイルをタッチ。
こんな感じでスマートフォンからでも名刺を閲覧できる。
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■ 生活や心境の変化は?
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「ScanSnap S1100」を使用してみて、スキャナに対する印象が随分と変わった。
これまでのスキャナに対する印象は、手間がかかって面倒というものであった。
資料用の写真を1枚取り込もうとするだけでも結構な時間がかかっていたからだ。
「ScanSnap S1100」は、読み込みがA4サイズの片面に限定されており、決して多機能とはいえないが、手軽にスキャンできる点が非常に好印象だ。
ヘビーユースには向かないが、ちょっと使いのライトユースには十分な機能がある。
軽量小型のモバイルサイズなので持ち運びも楽々。
職場に持ち込んでみたが、同僚からの評判は上々だ。
会議で配布されたレジメや業界紙に掲載されている気になる記事。
後に見ようとしてもどこにファイリングしたか忘れてしまいそうな資料。
そういうものを優先的にスキャンしてデータ管理している。
これくらい軽快に使うことができると継続的に使用したいと思えてくる。
「ScanSnap S1100」はそんな風に思わせてくれるスキャナだ。
cybercatさん
2012/05/20
>手軽にサクサクとスキャンできるので、高速起動でスリープからの復帰速度が早いUltrabookとの相性は抜群だ。
もともとScanSnapは高速起動ですが、
>実際のサイズは、サランラップの外箱よりも更に一回りは小さい。
この携帯性と合わせて、相性抜群ですね。
S1500使い
yachさん
2012/05/20
コメントありがとうございます。
この手の製品は手軽にさくっと使えることが大事だと思います。
手軽に使えれば長く使い続けられる。
そんな気がしています。
小型にして用途を絞ったことで、逆に自由な使い方ができるというか。
こういう割り切った製品もアリですね。