KLIMAX DS徹底攻略 第二話

ソフトウェアでこれほど変わるとは

次は「Winamp」というソフトウェアを試してみた。このソフトウェアはWAVデータへのリッピングからFLACやMP3、WMAなどの各種フォーマットへのエンコードに幅広く対応しており、さらに音声だけでなく動画なども再生できる多機能プレーヤーである。余談だが、このWinampを日本語化するためのフリーソフトウェアもインターネット上で配付されている。

それではWAVとFLACにリッピングして、NASへあらかじめ別々に作成しておいたフォルダにそれぞれ格納し、聴き比べができる状態にしてみる。こういったことが簡便に行えるところはネットワークオーディオならではだ。

まずはWAVでリッピングしたノラ・ジョーンズを再生してみた。声の艶やかさが増して、色気が出てきた。音を絵画に例えるならば、描き立ての油絵のような光沢を放っているかのようである。クラシックの再生では、弦楽器の弦の張り詰めた様子と、ピアノの低音が床を伝わってくるような感覚がリアルに描かれている。FLACの再生も試してみたが、WAVとの差はほとんど感じず、また圧縮率もいくつか変更して試したが、これもほとんど差は感じられなかった。あらためてFLACというフォーマットの優位性を感じた。

総じていえることは、WinampをExact Audio Copyと比べると空間の透明度は若干下がったように感じられるが、それでも通常のCD再生とは明らかに次元の異なる臨場感を再現できているということだ。

Winampインストール Winampでのリッピング WinampでのCD全曲リッピング

まだまだあるリッピングソフトウェア

つづいて「MediaMonkey」というソフトウェアを試してみた。こちらも多彩な機能を装備しており、各種フォーマットへのリッピングやエンコード&デコードが可能で、しかも日本語にも対応している。さて、その実力はというと、驚いたことにExact Audio Copyに勝るとも劣らない透明感に加え、非常に聴き応えのある楽器の音色を奏でてくれた。楽器の質感は今までオーディオを趣味としてきた年月の中で一番リアルに聴こえたほどかもしれない。さらに、気持ちいいほどにシャープな立体音像は、まるで我が家にアーティストを招いているようだ。

Exact Audio CopyとMediaMonkey、今後どちらに軍配を上げるか非常に悩ましいところだ。楽曲によって使い分けるという選択肢ももちろんあるのだが。

さて、今回試したソフトウェアの他にも「foobar 2000」や「dBpoweramp Music Converter」、Mac OS Xで動作するソフトウェアでは、iTunesと同じようにアルバム情報をタグ付けできる「iTunes To FLAC」や高精度リッピングソフト「Max」、FLACへの変換ソフトウェアでは「FLAC Frontend」や「MacFLAC」などがある。

MediaMonekyでのリッピング フォーマット選択 FLAC変換

KLIMAX DSは、SACDやLPに比ベると、どうしても見劣りするCDフォーマットが内包している「本来のポテンシャル」を私に再認識させてくれた。

今回、リッピングの違いにも機敏な反応をしたKLIMAX DS。今後、物理的なセッティングの追い込みで、どれくらいの効果が出てくるか楽しみだ。

次回「セッティングでどう変わるのか」につづく