LINNはリッピングに「Ripstation Micro DS」と「Exact Audio Copy」というソフトウェアを推奨している。まずはRipstation Micro DSを検証してみる。
LINNジャパン公式HPのRipStation Micro DSをダウンロードしてインストール。さっそく起動してリッピングを試みた。このソフトウェアの特徴は、CDの音声データを直接FLACデータに変換でき、インターネットからアルバム情報を自動的に集めてくれるところだ。ユーザーインターフェイスはアイコンがウィンドウ上部に並んでいるだけのシンプルな構造。一番左側の丸いアイコンをクリック、NAS上に作成しておいたフォルダを保存先に指定してから「Start Batch」をクリックする。待つこと数分でリッピング完了。
それではノラ・ジョーンズの「come away with me」を聴いてみよう。明瞭度の高い歌声は定位よく、それでいて刺々しさを感じない。次にオーケストラはどうだろう。とても穏やかながら、演奏者の気配や楽器の質感も感じ取れる。ホールの残響も伸びやかに聴こえて臨場感が伝わってくる。検証の初めからこれほどの再生ができるとは「KLIMAX DS、恐るべし」といったところだろうか。
次に、もう1つのLINN推奨リッピングソフト「Exact Audio Copy」を試してみる。このソフトウェアの特長は極めて高い読取精度にあり、PCオーディオユーザーにはNo.1リッピングソフトウェアとの呼び声も高い。対応CDドライブ自体の読取情報をフィードバックして、ドライブそのものの読取精度を補正するという優れた機能も持っているのだ。これは期待できそうだ。
公式HPからExact Audio Copyをダウンロードして、画面の指示に従いインストールしてみよう。完了したらさっそく起動してみる。ツールバーの「データベース」から「CD情報取得 >> freedb」をクリックするとアルバム情報をインターネットから取得することができ、あとは左上のWAVと書かれたアイコンをクリックすればリッピングが開始される。
同様にノラ・ジョーンズを聴いてみる。さらに明瞭度の高い歌声。ノラの唇の動きが見えるさまに思わずニンマリとした。ボーカルとバックグラウンドの対比が鮮明で、歌声がより一層きわだって聴こえてくる。次にオーケストラはどうだろう。ピンと張り詰めた緊張感。眼前に広がる空間はもはや三次元的。これは「聴く」を超えて「観る」と表現するほうが相応しい。それぞれの楽器の質感も非常にリアルで、弦楽器は弦の響きに加え、胴の鳴りまでもが克明に描かれている。何を聴いても鮮度が高い反面、音が多少強張っているようにも聴こえた。しかし、それは高すぎる情報精度の裏返しであろうし、KLIMAX DSをきっちりハンドリングできれば解決する問題であろう。
ところで、このソフトウェアはWAVデータをFLACへ変換する機能を持ち、ファイルサイズを6割程度まで圧縮できる。これを使用してFLAC形式に変換してみたところ、元のWAVデータとなんら遜色のない音が聴けた。これは驚きだ。FLACはWAVのおよそ6割程度までデータを圧縮できて、且つデータ構造的にエラーにも強いフォーマットというから、LINNが推奨するのもうなずける。