右は海。左は山。最寄りの駅まで約 5km。
車もバイクも持ち込めない、インターネットも自由に使えない。
20年前、ぼくはそんな環境で寮生活を送っていました。
テレビも持ち込めない学生寮での生活で、音楽は数少ない娯楽。
ぼくは作曲も演奏もできなかったけど、DTM(パソコンを使った作曲)をやる先輩と仲が良かったので、あたらしい曲を作ったと聞けば部屋を訪れて、評論家きどりで感想を語り合っていました。
先輩は作曲や音楽についての理論、お気に入りのバンドの話をしてくれました。
ぼくは当時ハマっていた布袋寅泰を、分かりもしないのに熱く語っていました。
その先輩の影響で楽器をやってみたくなって、仕送りをやりくりして捻出した小遣いで寮のほかの先輩からギターを譲り受けたりもしたのですが、だれかに教えてもらうでもなく独学でやろうとしていた所為もあって、ドレミの音が出せる程度のところでコードも覚えないまま挫折してしまいました。
そんなぼくが jamstik+ で 20年越しのギターリベンジです!
jamstik+ は スマホと連動する小さなエレキギター です。
おもな諸元は以下のとおり。
- 寸法: 41.7 × 8.9 × 4.6 (cm)
- 重量: 709g
- 電力: 充電式(USB/Micro USBケーブル同梱)
- 連続使用可能時間: 平均8~10時間
- センサー:赤外線センシング
- 接続: Bluetooth Smart、USB
演奏には、専用のアプリ jamstik+ を使います。
今回は手持ちの Android 端末、au TORQUE G03 とリンクしてレビューします。
OSは Android 7.1 です。
いつでもどこでも弾けるギター!
何はともあれ弾いてみましょう!
まずは自宅の居間で。
自宅はマンション…というか築 40年以上の古いビルで、3階建ての 3階部分がぼくの家です。下の階にはほかの家族も住んでるし、ビルの左右には別のマンションもあるので、正直大きな音が鳴る楽器は困っちゃうのですが。
jamstik+ 本体にはストラップを付けて、肩から掛けます。お、軽い!
普通のエレキギターは 3, 4kg。これはたぶんボディが木の固まりだから。
昔持っていたエレアコは中空でしたが、それでも 2kg はあったように思います。
jamstik+ は諸元のとおり 1kg もないのでだいぶ軽く感じます。
本体はプラスチックですが、おもちゃっぽい軽さではなく大きさ相応の軽さです。
重さが偏っている感じはなく、重心はボディ側にあり、バランスは良いです。
小型ではあるものの、ネックの太さは普通のギターと変わらない程度。
おそるおそる抑えてみた弦のテンションも、普通のギターと同じように感じます。
弦の太さも普通のギターと同じように見えます。切れたら楽器屋で調達ができそうですね!
jamstik+ は、本体から音がでない楽器です。
試しに弦をはじいてみても、「ただ金属の弦をはじいた」というだけの音しかしません。
チューニングはされておらず、耳を澄まさないと聞こえない程度の音量で、振動も続かずにすぐに消えます。
(え これ大丈夫なの…?)
とか思ったけどいやいや。何にせよちゃんと使ってみよう。
Google Play から 「jamstik」で検索し、アプリをインストールします。
インストールし、起動します。
画面は横向きにして使います。
同時に jamstik+ 本体の電源ボタンを押すと、アプリ側から本体を検知します。
jamstik+ Devices と表示されたメニューから本体を選び(と言っても 1台しか見つかりませんが)、リンクを完了します。
リンクすると本体のLEDがオレンジから緑に変わります。
この状態で弦をはじくと…、おお、スマホから音が出る!
本体側は何もチューニングしていないのですが、スマホからはちゃんとチューニングされたギターの音が出ます! すごい!
はじめはエレキギターの感覚を想像していましたが、本体で出た音をピックアップしている訳ではないのですね。本体側で出た音の音程や弦が震えているかどうかは関係なく、
- どのフレットの弦を抑えているか
- 何番の弦が弾かれたか
で出力する音が決まるようです。
逆に弦に触れて振動を止めても音はミュートされないので、そこにはちょっと慣れが必要そうですね。
もう少し音を出してみます。
弦を抑えるとアプリ上でリアルタイムに押さえた場所がマークされます。
弦を弾くとその部分の音程の音が出ます。
音が鳴っている弦は、音が出力される間中ライトアップされ、どの弦が鳴っているかがわかるようになっています。
チューニングしなくても、アプリを起動して電源を入れるだけで音が出せるのは手軽でいいですね!
音量はスマホから調節ができます。
スマホ本体の メディアの音量 と、アプリ側のボリューム設定 の 2つでボリュームを設定できます。
両方MAXにすると、夜にはちょっと近所を気にするくらいの音量になりますね。
居間や部屋で使う分には、自分の聞き易い程度の音にすれば時間帯は気にせず遊べそうです。
前述のとおり、jamstik+ 本体からは音がでませんから。
とはいえ、使う前にはボリュームの調整が必要ですね。
ぼくは職場にいる時間が長いので、普段スマホのメディア音量はゼロにして使っています。
だから jamstik+ を使うときは、
「OK Google、ボリュームマックス」
と言ってスマホの音量を最大にしています。
で、使い終わったら
「OK Google、ボリュームゼロ」
でスマホ側の音量をゼロに戻します。
jamstik+ アプリの標準音量だと、部屋の中で使うにはこれくらいがちょうどいいです。
jamstik+を持って外に出よう!
どこへ? 荒川へ! ロックンロール!
てことで荒川ロックゲートへ!(ロック違い)
家から荒川が近いのですが、河原の土手でギターやトランペットを練習している方をよく見かけるんですよね。たしかに生楽器だと音量があり過ぎるから、防音室やカラオケを借りるのじゃなければここまで来ないと音出しづらいのでしょう。
正直、jamstik+ で近所迷惑の心配は皆無なのですが。
が、気持ちのいい五月晴れの下で気ままにギター、てのも楽しそうなので、行ってきました荒川。
jamstik+ には専用のケースもあるようなのですが、小さいのでそのまま鞄に入れても気になりません。鞄を肩にかけたまま自転車で荒川まで来てみましたが、まったく苦も無く運ぶことができました。
鞄に入れるとき思ったのですが、弦楽器風に見えてじつは弦のチューニングが要らない、というのも持ち運びしやすさの要素なんですね。弦の状態を気にする必然がないので、少々乱暴に扱っても気になりません。
外に jamstik+ を持っていくなら ストラップは必須ですね。
基本的に立ったままのプレイになりますし。まあ座ってもいいんですけど。
あとスマホを置いてのプレイはちょっと微妙でした。そんなに動き回るわけではないですが、手元からスマホを放すことにちょっと不安がありますし、そもそも音が聞こえない。
ということで後日リトライ。今度は荒川の下流、東西線の線路のそばです。
胸ポケットがあるシャツにすると、そこにスマホを入れられるので良いですね。
jamstik+ はとても小さな製品ですが、180cm/99kg のぼくが立った姿勢で弾いても違和感のないポジションで弾くことができます。写真だとなんかウクレレ奏者のように見えるのはぼくの体型的な問題ですよ?
ストラップの長さもちょうどよく調整できますし、軽いので長時間持っていても苦になりません。実測はしていませんがバッテリーも 8時間程度持つようなので、モバイルバッテリーや充電ケーブルなどは持って出なくても困らないでしょう。
ということで外に jamstik+ を持ち出すなら、
- 持ち運びはいつもの鞄でOK!
- ストラップ必須
- 胸ポケットのあるシャツがおすすめ(スマホを入れるため)
- ピックも忘れずに!
ってトコですね。
普段楽器をやらないとギター本体だけ持って出ちゃいそうですが、ピックも忘れずに!
ぼくは小銭入れに入れて持ち運んでました。
2回目は 快晴で良かったのですが、荒川の下流の方はランナーやサイクリストが多かったです。楽器演奏にはあんまり向いていないかも。正直まだちゃんと弾けないので恥ずかしい。いや弾けないから練習するのですが。北区くらいまで行くと土手に座って楽器を練習している学生をちらほら見かけるので、つぎはそのあたりに交じって練習しようかな!
普通のギターと比べると
ここまで書いてきたとおり、 jamstik+ は小さくて手軽で持ち運びも簡単なギターです。
じゃ、楽器としてはどうなの? という観点で少し所感をつづります。
まずは楽器の本質、音について。
通常、楽器の音の種類と良し悪しは、楽器そのものの作りに大きく依存します。
ギターは弦の振動をピックアップで、あるいはサウンドホールで拾い、音を響かせます。
弦楽器も管楽器も、その独特の生音のために大枚をはたくわけです。
その観点で見ると jamstik+ 本体は楽器というよりセンサーであることに特化しています。
ギターと同じ操作性で演奏の動作を拾い、それをプロセッシングすることでギターの音をエミュレートして音を出します。
つまり音色はシステムの持つサウンドバンクに、音の良し悪しはエミュレータの精度に依存します。
システムの持つ音色はいくつかあり、好きに選ぶことができます。ぼくは Smooth Electric という音色を選んで使っています。これがぼくの思うエレキギターの音に一番近いように感じて好きです。
エミュレータはすこし癖があります。
Bluetooth を使っているためか、わずかですが遅延を感じます。
また、単一の弦を弾くとたまに拾わないことがあります。弾く位置や手の動かし方によるのかな? と思いましたが、どんなときに発生するのかはよくわからず。
いずれも和音を弾くとあまり気にならないのですが、単音だと少し違和感を持つシーンがあります。
つぎに見た目について。
とくに誰かと一緒に演奏したり舞台に立って弾き語ろう、という予定も度胸もないのですが、jamstik+ は手軽さを売りにしているぶん、だいぶ見た目がシンプルです。
プラスチックの筐体は、おもちゃというほどではないにせよやはり通常のエレキギターと比べると派手さやインパクトに欠けます。
上記のような特徴から、 jamstik+ は舞台でプレイするための楽器というよりも、友達との気軽なセッションを楽しんだり、練習や作曲のためのツールとして使う、という位置付けが良さそうです。手元にソフトがなくてまだ試していませんが、 jamstik+ はMIDIコントローラとしても使えるとのこと。ギター操作に慣れている方ならば、作曲用の入力インタフェースとして最強だと思います。
専用アプリ jam Tutor で個別指導を受ける
jamstik+ でまず惹かれたのは、その手軽さ。スマホと連携していつでも使える、というのは大きな魅力です。
でもそれと同じくらいに興味を惹かれたのが jam Tutor です。
これは jamstik+ の使い方、ギターの弾き方を動画で一から教えてくれるという優れもの!
ただの動画ビューアではなくて、ちゃんと jamstik+ と連動して、画面で促したとおりの操作ができれば 「OK!」「Good!」と反応してくれます。
…なのですが。
なぜか jam Tutor がぼくのスマホとリンクしないのですよね。
アプリ jamstik+ はちゃんとリンクするのですが、 jam Tutor からだと jamstik+ 本体とリンクが確立しないのです。うーむ?
ためしに家人の iPhone 6s を借りたらリンクしました。
整理すると、つぎのような状態。
- au TORQUE G03 で、アプリ jamstik+ はリンクする
- au TORQUE G03 で、アプリ jam Tutor はリンクしない(jam Tutor2 でもだめでした)
- au iPhone 6s で、アプリ jamstik+ はリンクする
- au iPhone 6s で、アプリ jam Tutor はリンクする
この症状からするとハードではなくてアプリ固有の問題のような気がしますが、解決しきれなかったので症状の動画を添えて問い合わせてみることにします。問い合わせてみました。
jamstik+ は基本的にiOSとChromeブラウザでのユーザーエクスペリエンスを優先した開発を行っており、Androidを含むできるだけ幅広いデバイスをサポートしたいとは考えているものの互換性の確保ができない場合がある、とのことでした。
相性問題の可能性が高い、とのことで、ちょっと残念。
今後のバージョンアップに期待です!
気を取り直して、家人の iPhone 6s を借りて jam Tutor を試すことができたので、レビューを続けましょう。
このアプリが本当に期待通りで素晴らしいのです!
まず情報の粒度がいい。
ピックの持ち方、弦の弾き方、弦の押さえ方、どの指で押さえるか。そんなごくごく基本的なところからちゃんとていねいな動画が用意されています。
ギター経験者だと、ともすれば軽く流してしまいそうな部分だと思うのです。最初の 1回で覚えるようなことでしょ、なんて。だけどたぶんつまづく人間ってそうじゃないんです。一個一個の基本動作が本当にできているかどうかが不安なのです。ある程度進んで何かの壁にぶつかったときに、原因が基本動作にあるのか新しいことだからなのか、その切り分けができなくてつまづくことだってあるのです。
そんなごくごく基本的な部分から、動画とハンズオンで学習できるようになっているのはこの製品が本当にギター入門者の視点に立って開発されているからなのでしょう。
最近ギターに興味を持ち始めた小学6年生の娘と一緒にチュートリアルを進めてみましたが、音声こそ英語なもののやるべき操作はグラフィカルにガイドしてくれるのでとくに困る様子もなく進められているようでした。
こんどこそギターを覚えよう!
ここ 3週間ほど jamstik+ と jam Tutor を使ってみて、これなら今度こそギターを弾けるようになれそうです。夜中に帰ってきても音を気にせずに 5分だけ、チュートリアル 1つだけ、なんて練習もできますし、小さいのでいつでも手の届く机の横に置いておいても邪魔になりません。
まだ演奏ができるほどには至っていませんが、20年前に挫折したギターの弾ける自分を夢見て、地道に練習を続けようと思います!
ぼくのいない間に練習して、娘の方が先に弾けるようになってしまいそうな気もしますけども。
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