jamstik+ ~誰でもギタリスト~ という商品のレビューです。
「ギターを弾いた事がある、今も弾いている方」としてのレビューと言う事で、「今もギターを弾いている人」として書いてみました。
私は20年以上ギターを弾いていて、バンド組んだりして今でも弾いている人です。
とにかくギターが好きで週に1回は楽器屋によって、毎月何らかの機材を買ってしまう人なので、そういう人の視点で書いてみました。
なので、このアイテムを「初心者向け・ギターを弾いた事が無い人向け」とは捉えずに(そういう点も考慮はしますが)、ギターをある程度弾ける人が使ったらどうか?っと言う点に絞ってレビューしていきます。
ギターのように弾けるMIDIコントローラー
どうしても「ギター型のデバイス」「ギターの代わり」のような印象が強いのですが、私個人的にはギターの代わりとして考えない方が面白いデバイスだなと感じました。
なので一言で表現するとしたら「ギターのように弾けるMIDIコントローラー」なのかな?っと。
決して「ギターの代わりになる」ではないところが肝なんです。
弦が実際に張ってあったり、左手で弦を押さえて右手で弦を弾いて音を出すという、構造は物凄くギターに似ているんです。
なので、パッと持った時にギターを弾ける人はギターだと思って弾いてしまうんですが、実は本物のギターとかなり違う部分があったりして・・・
そういった部分を何とかギター方向にもっていこうといろいろ苦労してやっていくよりは、ギターに形が似ている別な楽器ととらえて弾いた方が楽しいと感じました。
ギターだと思わずに使うと色々な可能性が広がって楽しいツールです。
特に、有線で DAW と一緒に使えば、ギターしか弾けないギタリストにとってはかなり使えるツールになると思います。
デザインや重さ
まずはパッケージや同梱品の確認から。
どちらかと言うと電子楽器系のデザインですね。
デジタル系のエフェクターっぽいです。TCとか。
綺麗で良いと思います。
なんとなくパッドを想像してたので
本物の弦が張ってある!
って思いました。
内容物はこんな感じ。
- 本体
- ストラップ
- ストラップピン x 2
- ピック x 2
- usbケーブル
- 各種マニュアル
ピックが入ってるのは好感度が高いかもしれません。
このセット内容からしてどちらかと言えば、初心者向けと言うかギターを触ったことが無い人も使う事を想定されている感じがします。
では引き続き本体のデザインを。
良いですよね。
洗練されていると言うか、ちゃちい感じはないですし、おもちゃ感は無いですよね、ちゃんと楽器っぽいです。
先ほどもちらっと書きましたが弦がしっかり張ってるあるのが良いと思います。
ギターっぽい。
サイレンとギターとかに近い雰囲気ですよね。
小さめのスタインバーガー的な。
大きさはこんなな感じで、一般的なエレキギターのネックくらいの大きさです。
かなり小さいと思います。
そして軽い。
そうとう軽いです。
エレキギター(ソリッド)を持ったことがある人ならわかると思いますが、結構ギターって重いんですけど、それに比べたら全然軽いです。
アコギと比べても軽い。
jamstik+ は700gとのことで、一般的なエレキギターが 3~5Kg であることを考えると相当軽いですよね。
まぁ、楽器の場合「軽い=弾きやすい」とはならないのが難しいところではありますが、デバイスとして使いやすいとは思います。
持ってみた感じはこんな感じで、ストラップが無くても座っていれば弾けるバランスです。
こうして抱えてみると大きさの違いが分かりやすいかなと。
かなり小さいです。
狭い部屋でも大丈夫!
セットアップ
さて、それではセットアップして音を出していきたいと思います。
が、まず大前提として jamstik+ は単体では音が出ません。
「エレキギターはアンプが無いと音が・・・」みたいなレベルではなくて、本当に楽器として音が出ません。
ギターを弾いた事がある人に説明するとしたら、
指板のブリッジ側の端でミュートされてる
感じの作りになってます。
この場所のパーツを外すと
こんな感じになっていて、弦をガッチリホールドしている事が分かります。
なので、指板でどこを抑えようとピッキングして出る音程が変わらない状態なので、単体で弾いても楽器として機能しません。
ではどうするのか?
っと言う話ですが、iOS/Android 端末と Bluetooth で接続して、そっちから音を出すという仕組みになっています。
MIDI鍵盤とかに近いイメージですよね。
私が興味を持ったのは実はこっちの機能だったりするのですが、そちらについては後ほど詳しく書きます。
iPhone 7 Plus と iPad Air2 を使ってセットアップしましたが、クイックスタートガイドを見ながらセットアップしていけば特に迷うことはないと思います。
jamstik+ の電源を入れてアプリを立ち上げペアリングを行います。
未接続となってるデバイスをタップするだけ
これだけでとりあえず音は出ます。
簡単。
クイックスタートガイドで紹介されているアプリは以下の3つ。
- jamstikPlus
- jamTutor
- jamMix
jamstikPlus は Jamstik+ 本体の設定や確認が出来るアプリで、
jamTutor はレッスンアプリ、
jamMix はDJアプリのようなものです。
jamstkPlus を使って本体の設定を行うことが出来るので、これは必須のアプリになるのかなと。
Jamstik+は一般的なギターと異なり、5フレットしかない構造なので、例えば6フレット目を引くための機能として「デジタルカポ」と言うものが着いています。
一般的なギターで使う「カポ」のデジタル版の様なもので、本体のスイッチを操作することでカポの取り付け位置を上下させることが出来ます。
本体に付属の左右ボタンのようなものを操作することでカポの上下を設定できます。
オクターブの上下は上下ボタンで出来て、組み合わせることで好きなフレットの位置で音を鳴らすことが出来ます。
で、ここまでは本体だけでも出来るのですが、jamstkPlus アプリを使う事で Drop D や Open G など、カポだけでは実現できないチューニングに変更することが出来ます。
その他にも、先ほどの本体のボタンにどのようなファンクションを割り当てるかなどの設定も jamstkPlus アプリを使って行います。
これらの設定は本体側に記録されるので、GarageBand や Cubasis など他のアプリで Jamstik+ を使う際にも引き継がれるので便利です。
一通りの機能を使ってみたキャプチャ
非常にわかりやすく設定もしやすいと思います。
弾き心地・ギターと比べてどうか?
さて、では本題というか、皆様一番興味のあるところではないかと思われる、「本物のギターと比べてどうなの?」という部分について。
これはもう最初にはっきりと書いておいた方が良いと思うので、はっきり書きます。
ギターの代わりにはなりません。
単純にデバイスとして別物として考えた方が個人的には使いやすいと感じました。
もっと具体的に書くとすれば
ギターを学ぶことは出来る
でも
ギターを練習することは出来ない
という感じでしょうか。
これは、jamstik+ の構造上、左手側の弦と右手側の弦が連動しないことや、ミュートと言う概念が存在しない事が原因で、カッティングやブリッジミュートなどの表現を再現することが出来ないと言う事になります。
単音弾などは出来そうな気がしますが、「不使用弦を左手でミュートしながら弾いていく」というギターの基礎中の基礎の部分が再現不可能なため、jamstik+ で練習してしまうと変な癖が付くのではないかなと。
ただ、コードの押さえ方、スケールの位置や構造などを視覚的に覚える方法で使うのには向いていると思います。
jamTutor がまさにこう言った用途のアプリになると思いますが、レッスンと言う形じゃなくても jamstikPlus アプリを使う事で、指板上のどこを押さえるとどいう音が出て、どいうフォームで押さえた時のことをなんという名前のコードと呼ぶのかなどを知ることが出来るので、ギターを始めたばかりの人だけじゃなくある程度弾ける人にも有効なツールではないかなと感じます。
ただ、やはりギターとして考えると奏法的に網羅できない部分が出てきてしまうので、個人的には「今までにないくらいギターの形に近く作ってあるMIDI鍵盤」と言うイメージで捉えました。
ギターの代わりとして使うよりも、ギター型のインターフェイスとして使った方がギター経験のある人にはしっくりくると感じます。
では細かい使用感を書いていきます。
まず、左手の持った感じの印象ですがエレキギターよりもアコースティックギターに近いテンション感です。
個体差があるのかもしれませんが、結構きつめだと思います。
弾きにくいレベルでは無いです。
ただ、慣れていないとベンドとかはきついのではないかと感じます。
ちなみに、ベンドはデフォルトでは OFF になっているので、設定で ON する必要がありますが、ちょっと実用に耐えるレベルの感度ではないかなと感じます。
むしろベンドを ON にしてしまうと変なタイミングでベンドが発生して弾きにくいので、デフォルトでは OFF になっているのかなと感じます。
レイテンシーはあります。
酷いかどうかは感じ方次第ですが、演奏者本人は気になるレベルだと思います。
演奏できないレベルでは無いですが、レイテンシーを忘れて演奏できるレベルではないかなと言う印象です。
ただ、Bluetooth で iPad から音を出していることを考えると、想定通りかなと言う印象です。
むしろ短いかもしれません。
あと レイテンシーのせいかどうかは分かりませんが、運指を早くしていくとあるところからついてこれなくなる感覚があります。
動画でレイテンシーがどこまで伝わるのかは分からないのですが、後半のアコギと比較してもらうとアコギは弾いた瞬間に音が聞こえる感覚なのに対して、jamstik+ 少し遅れて音が聞こえているのが分かるかなと。
ハンマリングにも反応したり反応しなかったりする所もお分かりいただけるのではないかなと思います。
と言う感じで、いろいろと制約がある中で、あえてギターとして使うのであれば、アコースティックギターを指で弾く感じが一番使いやすいかなと感じました。
特にアルペジオなんかは良い感じになると思うので、サンプルを作ってみました。
ロングトーンならそれっぽくなる気がします。
これをピックで弾こうとすると左手のミュートが使えないので結構大変ですが、指弾きなら弾く弦以外を触らずに弾くことが出来るのでミュートを使わなくてもそれっぽくなる、っという感じです。
こんな感じで、jamstik+ の仕様に合わせて弾いていけばギターっぽく弾くことは出来ます。
こんなところから、アプローチとしてはギターとは別なデバイスとして考えた方が楽かなと感じるわけです。
PCと接続してみたらどうか?
ここまでは iPad と Bluetooth で接続して使ってきましたが、Windows PC や Mac と接続して使えるかどうか見ていきたいと思います。
使ったハードはこんな感じ。
OSは mac OS High Sierra と Windows10 1709 です。
どちらも Bluetooth は使えるのですが、古すぎて Bluetooth LE にパソコン側が対応していないからか jamstik+ がデバイスとして表示されず、無線での接続はできませんでした。
仕方が無いので、USBケーブルを使って接続してみたのですが、Win/Mac ともに特にドライバーのインストールなどを行わなくても勝手に認識されました。
なので、DAWの MIDI 入力として jamstik+ を使うように設定すれば完了。
かなり楽です。
しかも、有線だからなのか良く分かりませんが、レイテンシーも軽減されてきている感じがします。
「ない」とは言えませんが、気持ち悪い感じは無いかなと。
運指を早くしていくと処理が詰まるような現象も軽減されたように感じます。
この辺りの問題はデバイスよりも通信やアプリ側にあったのかもしれません。
これはかなり使えると感じました。
MIDI鍵盤の代わりに使えないか?と考えて興味を持ったのですが、これは良いですね。
使えます。
まぁ、私は鍵盤が弾けないので比較にならないのですがw
ただ「あーこのフレーズシンセベースで鳴らしたい」とか「このギターのフレーズバグパイプも重ねたいなー」と言う事が良くあって、それを鍵盤で打ち込むのにとても苦労しているので、そういう時には間違いなく使えますね。
良いです。
そもそも鍵盤とギターだと和音とかでも構成が結構違うので敢えて使って面白いフレーズを見つけるという手もありそうです。
っと言う事で、MacBook Pro での Ableton Live 9 で UNA CORDA をロードして jamstik+ で音を出してみました。
こういうのって見た感じにも面白いので、ライブとかでやっても良いかもしれないですね。
(おまけ)Cubasisを鳴らしてみる
PC/Mac で Cubaseとか Live 使って KONTAKT とか使って音を鳴らしたらいい音が出るし弾いてて気持ちが良いのは分かったと。
でも、それだと jamstik+ の売りである「コンパクトでケーブルレスで使える」っていう良さを完全に無視しているよなと。
と言う事で、iPad で Cubasis を鳴らしてみました。
最後のリズムキットなんかは屋外で酒飲みながら鳴らすと良い感じなんではないでしょうか?w
jamstik+ をMIDIコンとして考えるとすれば、最終的には出力される音のクオリティーで印象がかなり変わるので、jamstik+ 専用アプリだけでなくて他のアプリを使ってみると面白いと思います。
Cubasis は有料アプリですけど、無料で楽しみたければ Garage Bandでも良いし、色々ありますからね。
個人的には Roli の Seabord 5D がおすすめです。
かなり楽しいです。
総評・まとめ
さて、と言う分けで jamstik+ を見てきましたが、電池の持ちはかなりいいと思います。
本体側の電池を意識することは通常使用ではあまりないと感じるレベル。
さすが Bluetooth LE と言う所ですね。
弾き心地はかなり本物のギターに近いと思います。
フィンガリングとかピッキングしたときの反応はギターそのもので、指弾に限定すればかなり近いニュアンスで使えると思います。
が、「持っているギターと比べてどうか?」と聞かれたら「ギターに似ているが別な楽器」と答えざるを得ないかなと感じます。
この辺りは前述のとおりで、ギターとして考えた時には左手のミュートが使えないところが致命的で、カッティングやブラッシングはもちろんですが、単音弾で左手で不使用弦をミュートしながら弾けないというのは、ギターが弾ければ弾けるほど違和感を感じるんじゃないかなと思います。
なので、私個人的にはギターの代わりと言うよりは、ギターと似ている別な楽器として使うのが一番良いのかなと。
ギターのように弾けるMIDIコントローラーとして考えると、使い方の幅が凄く広がるし楽しいと思います。
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