レビューメディア「ジグソー」

手軽にVR体験出来るスマホVR HMD(の入れ物)

PS VRの登場で今話題のVRを、スマホを使って手軽に体験できるという入れ物です。

PS VRが本体(5万円)+PS4で8万円~、PC用だと更にその倍くらいの金額がかかりますので、それに比べるとスマホさえあれば試せるというのは良いです。

 

まずは梱包でしょうか…特に箱に拘ってはいないようです。

大事なのは裏面ですね。

中の説明書(A41枚)より細かく部位の名前が書かれています。箱に。

そして、一番大事なのが右上です。[対象年齢13歳以上]です。

あまり対象年齢は気にせず買われる方も多いと思いますが、VR HMDに関しては厳守してください。

何故かというと、まだ身体が成長段階にある年齢で長時間VR HMDを使用すると、眼に障害が出る可能性があります。具体的にはネットにも画像がいろいろ出ていますが、重度の斜視になる場合があり、酷い場合は手術が必要になるそうです。これについてはPS VRにも同様の記載があります。

 

また、『休憩の必要がないと感じる場合にも、30分ごとに10~15分程度の休憩を必ずお取りください。』とも書かれていました。無理はしないようにということですね。

『眼鏡をかけた状態では使用しないでください。顔にケガをする恐れがあります。』だそうです。顔へのケガが理由だそうなので、そこに問題がなければ使用すること自体は可能とも取れます。実際、眼鏡をした状態でもレンズとの隙間的には問題ありませんでした。しかし、スポンジ部分に眼鏡のツルが食い込みますので、装着感は良くないですし、付け外しにも邪魔になります。出来れば眼鏡は外した方が良さそうです。

 

前面のパネルは磁石でくっ付いており、外すことによってARへの対応や冷却力強化が出来るのだとか。5インチクラスの大きめのスマホなら、スマホを挟めば遮光にもなりますので、常時外した状態でも良いと思います。小さめのスマホだと、外した状態では隙間から光が入るかもしれません。

カパッと開けるとこんな感じで、スマホは上下から挟み込んで固定します。

ここでスマホの構造や使用するアプリによって問題が起こる場合があります。

今回使用したのはZenfone3Deluxeですが、画面右側の部分にボタン類がありますので、反対向きで固定しようとすると固定部分でボタンが押されてしまいます。

一応、その対策として予備のクッションテープが入っていました。ボタンに当たらない位置に貼りなおせということらしいです。説明書に小さく書かれていただけなので、この付属品は何なのかと思いました。

 

既に出ていますが、今回はスマホにZenfone3Deluxe(ZS570KL)を使用しました。処理能力については現行機種でも最強クラスなので、これで動かないようなアプリなら動くスマホはないでしょう。画面サイズは5.7インチとスマホとしては最大クラスです。VR200は6インチまで対応しているようなので、対応しているサイズとしても最大に近いスマホになります。ただし、このスマホにも欠点がありまして…解像度がフルHDです。普通に使う分には何の問題もありませんが、VRで使うとなるとどうなのか。

 

 

早速、いくつかアプリを試してみました。

Lexus Virtual Drive

車種はよくわかりませんが、SMOOTHとAGGRESSIVEという2つのモードが選べます。助手席に座った状態で見渡せるという物でしたが…あんまり面白くはありません。

走るコースは変化の少ないサーキットで、レースではなくただ走っているだけです。視点はずっと助手席にあるわけではなく、頻繁にコース上やボディ側面などに移ってしまい、ドライブをしている感じもありません。どうせなら視点はずっと助手席固定で一般道を走った方が面白そうです。

 

Youtube
Youtubeの動画は全てHMDで見ることができます。ただし、3DやVRに対応していない動画では飛び出したり等の効果はありません。やり方は簡単で、再生したい動画を見つけたら右上のメニューから『Cardboardで視聴』を選ぶだけです。

 

VR対応のホラー動画をいくつかと、ジェットコースターを見てみました。

ホラー動画の方では幽霊の出る場所と全然違う方向を見ていたため、幽霊が頑張る姿を見逃したりもしましたが、VRだけあってなかなか雰囲気が出ていました。

 

ジェットコースターの方はイマイチでした。VR体験会の映像なんかでは、ジェットコースターで驚いている人を良く見かけますが、特に何も…。PC版とは何か違うのかもしれません。

 

意外にも普通の動画が面白かったです。VRにも3Dにもなっていませんが、VRでないHMDと同様に映画館のような状態で見られます。

 

今のところ動画サイトとしてHMDに対応しているのはYoutubeくらいだと思いますが、たぶんそのうちニコニコ動画あたりも対応してくるんじゃないでしょうか。ニコ動が対応すればチャンネルの動画も見られますし、用途が広がりそうです。

 

オルタナティブガールズ
ある意味本命です。何かの記事でVR対応のスマホゲーが出たということで、VR環境もない状態でとりあえずプレイしていたというだけですが。

VR対応ということですが、全てが対応しているわけではなく、画像の5話のようなVRマークが付いているエピソード(2分くらい)と、ホーム画面のみがVRになっています。戦闘などは対応していません。VR対応というからにはそこは対応して欲しかったですが、戦闘画面なんて戦闘画面がスキップ出来ることに気づくまでしか見ないですよねと言ってみたり…。身もふたもないですが、毎回同じシーンな上に、飛ばさなかったらプレイに時間がかかりすぎますからね。

 

ともあれ、どんな感じかと試そうとしたら…

どーん!

恐れていた事態が起こりました。左側を下にするということは、例の固定部分に音量ボタンが接触するということです。幸い、固定部分は2cmほど幅があるので、左上のクッションテープを一枚剥がすことで対応出来ました。あの幅いっぱいにボタンのあるスマホがあるとしたら…ちょっと固定が難しいかもしれません。

 

半ば強引に取り付け、VRモードを試してみました。

VRとしては上の2つのアプリより良い感じです。Youtubeの動画は何故かあまり立体感がありませんでしたが、こちらはかなり立体的に見えます。2次元キャラの方が立体的に見えるというのも不思議ですが、これは面白いです。 ただ、エピソードにしてもホーム画面にしても、そう長い時間見るわけではないでしょうから、これが目的なら安い箱でも良いと思います。実際、ゲームの方ではオリジナルの安い箱を売っています。 そちらは段ボール製で1300円という安くて高い値段ではありますが…。 

 

イチャまくら

キャラ系の方が相性が良いっぽい?ので期待したのですが…表情のパターンが殆どなく、違和感ありまくりです。ただ動くというレベルの試作品のような段階ですね。ユニティちゃんよりも周囲の風景の方が作り込まれている感じでした。

 

WAVEFILE/初音ミク VR

歌って踊ります。どうやら曲は一曲しかないようで、踊りは単調、視覚効果なども一切なしという…これもMMDの動作テストみたいな仕上がりです。VRではありませんが、映像としてはProjectDIVA Future Toneの方が遥かに出来は良いです。

 

[高画質] VR MMD 初音ミク ハコスコ対応 二眼

WAVEFILE/初音ミク VRと同じようなものです。何故か曲も同じです。

VR関係は一曲ずつインストールしなければならない状態みたいですね。それならYoutubeを利用した方が良いような気がしますが、何か不都合があるのでしょうか。

 

Titans of Space®

宇宙船?で飛び回って惑星や恒星の大きさを比べる…という感じのアプリです。全部英語だったのでよくわかりませんが、オートパイロットを連打すれば勝手に飛んでくれます。毎回選ばなければならないのが面倒でした。特に面白いものではありませんでしたが、映像の粗さはあまり目立たなかったのは良かったです。

 

Googleストリートビュー

これが一番当たりかもしれません。Youtubeと同じくCardboardモードにすると、360°写真がVR対応になります。世界中の観光地の写真があるので、短時間でも十分楽しめます。難点は移動のボタンが押せないことです。Bluetoothのコントローラがあれば歩き回れて面白そうです。

 

いろいろ試しましたが、アプリの方はまだあんまり出来がよろしくないです。無料では仕方ないのかもしれませんが、あまり期待するとガッカリすると思います。

30分という使用時間の制限で楽しめるものとなると、なかなか使いどころが難しいようです。今のところ誰でも楽しめるのはYoutubeとストリートビューくらいという状態です。ただ、ストリートビューは本当におススメです。これだけでも試す価値はあると思います。写真なので端末への負荷も少ないですし、ストリートビューのみインストールすればいいという手軽さも良いです。

 

 

どうにかして普通の動画を見る! 

Youtubeが対応しているとはいえ、それだけではコンテンツが少ないです。そこで、どうにかして他の動画を見られないものかと、いろいろ試してみました。

 

TwomonUSB

ナニソレと思われる方も多いと思います。GooglePlayでダウンロード数1万というマイナーアプリです。別バージョンの無線版の方は1000でした。ちゃんと日本語化もされているアプリですが、果たして利益は出ているのでしょうか?

 

これは何かというと、スマホの画面をPCのモニタとして使えるという物です。リモートデスクトップに近い感じですが、こちらは拡張モニタとして使えるのが特徴です。リモートデスクトップだとメインモニタの解像度が変わったりと使い勝手がよろしくないのです。

TwomonにはUSBとAirの2種類があります。こちらはUSBと付く通り、スマホをUSB接続することで使います。これを使ってスマホの画面をPCの拡張モニタにして、その画面上で再生すればいけるんじゃないかと考えました。

 

スマホを拡張ディスプレイとして接続するところまでは問題なく出来ました。あらかじめスマホの画面を横表示にしてから接続するのがポイントです。通常の動画再生も特に問題はなさそうです。PCモニタとして接続しているので、音はPCの方から出ます。

 

これで同じ映像を2枚並べて表示することが出来れば良いのですが…そういうソフトってなかなか無いようです。Riftで使われているKaleidoPlayerというのを試してみましたが、何故か映像すらまともに映らず。Riftでないとダメなんでしょうか…。

PowerDVDの3D機能を弄ってみましたが、これもまともに映らず。ディスプレイが対応していないとダメっぽいです。これはHMD用ではなく3Dモニタ用みたいです。

そんなわけで、PCモニタとして使う方法は今のところ見つかっていません。HMD用に動画そのものを変換するという方法はありますが、それは実用的とは言えませんからね。

 

VaR's VR Video Player 

こちらはスマホに保存されている動画をHMD用に再生出来るプレーヤーです。こちらではちゃんと再生出来ました。スマホに保存されている動画にしか使えないのが欠点です。こんな感じのでWindows用があれば、TwomonUSBと組み合わせていけそうなのに。

 

それから、これはこの製品の問題というわけではありませんが、スマホ側の解像度はフルHDでは粗いです。スマホをHMDとして使うなら、もっと解像度の高いディスプレイが欲しいです。解像度を上げるということは描画負荷も上がることになりますから、スマホへの負担も増すでしょうが…Googleの最新スマホも5.5インチWQHDですからね。やはりHMDとしての利用を考えるなら解像度がネックになりそうです。

 

 

 

 

おまけの耐久テスト

VR初心者の私が長時間耐えられるものかどうか命がけでテストする企画です。現在の世界記録は25時間ですね!記録更新を目指して頑張ります!…と言いたいところですが、流石にそれはいろいろな意味で無謀というもの。説明書にも30分以上使わないようにと書かれていますし、ここは説明書通りにいこうと思います。

 

まずはアプリのテストも兼ねて数分程度の使用から。初めて付けた時は調整のやり方がよくわかりませんでしたが、安HMDを使用した経験を生かして適当に調整してみました。ピントはともかく、幅の調整がちゃんと出来ているのかよくわかりません。近付けても離しても見える事は見えるんですよね…たぶん近いと寄り眼になるでしょうから、近すぎない方が良いっぽい?

バンドの方は、横はゴムになっているので調整しやすいですが、縦は良い位置を見つけるのがなかなか難しかったです。

 

そんなこんなで、何となく調整して各種アプリのテストをしました。

付けたり外したりを繰り返していたので、数分見ては外して~という状態で、このくらいでは特に疲労感はありませんでした。

 

一通りテストも済んだので、次はYoutubeで長めの動画を見てみました。選んだ動画はVRではなく通常の動画で25分です。これくらいになると見終わる頃には目の疲労を感じました。30分で休めというのは正しいようです。休憩を挟みながら30分程度の動画を何本が見てみようと思います。

 

 

追記

一気にテストまくったせいなのかわかりませんが、テストした次の日から左瞼の痙攣が止まりません。常時というわけではないですが、気付くとピクピク…これが一週間続いています。眼の下がピクピクすることはたまにありましたが、左瞼がなったのは初めてです。他にも試してみたいアプリがあるのですが、暫く様子を見てからテストしようと思います。

 

PCとの接続に関しては、HMDでのやり方が参考になるかとHMZシリーズでのやり方を検索したりしていますが、今のところ良い方法は見つかっていません。NVIDIA 3D Vision Video Playerとステレオムービープレーヤーではダメでした。横に2つ並べて再生出来るだけでいいんですけどね。

 

追記2 

瞼の痙攣は10日ほどで収まりましたので、またいくつかアプリを試してみました。

(イチャまくら、WAVEFILE/初音ミク、 VRTitans of Space®、[高画質] VR MMD 初音ミク ハコスコ対応 二眼、Googleストリートビューを追加)

 

更新: 2016/11/28
実用性

VR体験用

性能についてはスマホ依存になるので、これはあくまで容器です。

使用時間が30分と短いこと、そもそも長時間のコンテンツがあまりない事から、本当に体験するだけが目的であれば、安価な製品でも良いと思います。

もっと対応したコンテンツが増えれば、より面白くなりそうですが、現状ではまだコンテンツ不足です。PCとの連動が出来ればPC用HMDの代替として使えそうですが、今のところまだそういう環境は整っていないようです。

更新: 2016/11/28
コストパフォーマンス

高い…です

市場価格は9千円程度のようですが、類似の製品は2~3千円程度が多く、やや高いものにはリモコンが付いていたりもします。本体の作りからしても、やはり3~4千円くらいが妥当だと思います。

高く売るのであれば、専用のソフトウェアや、スマホ用ゆえの操作性の問題から、リモコンも付けて欲しいです。

更新: 2016/11/27
使用感

目の周りの装着感は良い

ゴーグル周りのスポンジ素材は柔らかくて肌触りはとても良いです。

比較的蒸れにくいのも良いです。

問題は鼻部分の開口が大き過ぎるために、そこから光漏れどころか外がちょっと見えます。

海外メーカーだけに、鼻の高い欧米人向けに作られているのかもしれませんが…。大きく開いているから蒸れにくいのでしょうが、流石に外が見えるほどとなると開きすぎです。

ここはもう少し工夫して、光が入りにくいような構造にした方が良いと思います。前面パネルが外れる構造になっているわけですし、レンズ部分とスマホを仕切る板のあたりに通風孔を開けて蒸れにくくし、鼻部分の隙間までスポンジで覆うようにすれば良い感じになる…かもしれません。

 

固定バンドの作りにも改善が必要だと思います。

長さ調整はマジックテープ式なのですが、丁度耳の上あたりでくっつく形状なので、マジックテープの端の硬い部分が耳に当たると滅茶苦茶痛いです。マジックテープにするのであれば、今はバンドとほぼ同じ幅ですが、バンドより2周りくらい幅の狭いものにすれば、硬い部分が当たり難くなるのではないでしょうか。

レンズ調整については、ホイールをもう少し硬めにするか、最近の100円ライターの擦る部分みたいに、一定以上の力で押した状態でのみ動く様にするとか…。ちょっと触っただけでズレてしまうのが多少面倒ではありますが、この部分はそれほど不満でもありません。

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