レビューメディア「ジグソー」

10コアと新型TurboBoostで死角無し?更に進化したエクストリームエディション

※16/09/30 ギリギリ?を更に追加しました

コンシューマ向けBroadwell-Eコアでは…というより2016年現在コンシューマ向け最上位に位置するインテル Corei7-6950X エクストリームエディション。i7-5960Xの後継となる位置づけ。定格クロックこそ3GHzと維持されているが、なんと10コア20スレッド。もうここまでくるとXeonのアンロック版と言った方がいいレベルでお値段もi7-5960Xより大幅アップしてしまった。

ざっとスペックを比較。今回比較できるのはi7-5960Xだけなので下の3つは参考で。

コア数(とL3キャッシュ)が増えたのはもちろん「Turbo Boost Max Technology3.0」としてTBが強化されているという。確かにi7-5960Xは低負荷だとクロックが上がりきらないという挙動が見られたのでそれが改善されているのかは気になる。

またメモリの定格がDDR4-2400に。そして2コア分が上乗せされながらTDPは140Wに据え置き。

マザーボードはX99がそのまま使用可能(要UEFIアップデート)。5960Xの頃と異なり各社から出揃っている状態なのでマザーの選択肢は多い。Broadwell-E発売にあわせて登場した新型マザーもあるのでマザーの機能面では1XX系に対して遜色無い。

更新: 2016/09/20
パッケージ

黒箱が帰ってきた!

普段はCPUのパッケージはスルーするところだがこれは書いておきたい。

この黒箱に金文字!以前ExtremeEditionは黒系のパッケージもあったが、i7-5960Xでは下位モデルと共通デザインの青系パッケージだった。今度は文句なし高級感抜群の黒箱!なんかサラサラしていて気持ちがいい。

Skylake世代の他CPUの箱と並べるとかっこいい。Pentiumしか無いのだけど。

 

上からかぶせるように開くタイプの箱なのでいつもの調子で側面からあけようとして?マークがでてしまった。やっぱりExtremeEditionといったら黒箱っすよね。

 

スプレッダの形状も変わっており、Skylake世代のように基盤も薄いものが使われているようだ。このスプレッダ、左右の張り出しがつまみやすいので他のCPUよりはすこしつかみやすい感じがあるが…

それでも装着作業はビクビクだ。

 

余談だがX99&Haswell-E登場時ASUSは「OC Socket」と呼ばれるリファレンスよりピン数が多いソケットを採用し、供給電力の安定化を謳っていた。

他社の後発マザーも追随してピン数の多いマザーを登場させていたのだが…どうやらBroadwell-Eに関しては下記記事によると無効化されているらしい。確かにASUSのサイトではOC Socketの例にi7-5960Xを使用しているしそういうものなんだろう。

参考:PC Watch 2016年6月2日の記事  

更新: 2016/09/20
基本性能

マルチスレッドは暴力的 シングルスレッド性能も改善

まずはバラック環境でベンチマークテスト。使用するマザーはBroadwell-Eにあわせて登場したASUS X99系のマイナーチェンジモデル「X99A-II」だ。メモリは少し速度が高めの「VENGENCE LPX DDR4-2666 4GB4枚セット」を用意。

 

ただここでハマってしまったのがXMPの挙動。

今回の構成でXMPを読み込ませるには「AI Overclock tuner」をXMPモードに切り替えるしか無く切り替えると勝手に「全コア固定の4GHzOC」モードになってしまった。基盤上のXMPスイッチを切り替えるだけでもそれだ。あっさり起動したものの電圧もしっかり盛られる。

 

同じマザーとメモリにi7-5960Xでも3.5GHz固定OCモードになるのでi7-6950X特有の動作という訳ではないのだが、4GHzはビックリ。このメモリはベースクロックは100MHzのプロファイルなのでCPU側はそんなに弄らないと思っていたのだが…

ちなみに別のマザー(GIGABYTE)でもXMPを読み込むと電圧等がアップする挙動を見せた。

 

という訳でメモリだけのOCに留めたい場合はXMPを読み込まずXMPと同じ値を手動設定すれば良い。今回はその状態でCPUは定格動作、メモリは2666のOC状態となっている。

 

CPU-Zのスコア。マルチスレッドで圧倒的なのは当然、i7-5960Xの定格では弱点だったシングルスレッド能力も大きく改善していてi7-5960Xの4GHzOCに並ぶ勢いだ。新型TBはダテじゃない。

ただTBの動作にはムラがあるようで何回かベンチを回すと数値は1700~1870程度で前後する点に注意。今回はもっとも伸びたスコアを採用。全コア4GHz設定(XMPで勝手になった)でまわすとシングルで1947。マルチだと20000オーバーという圧倒的なスコアだ。

手持ちの他CPUのスコアと比べるとマルチスレッドに関してはもうどうしょうもない桁違いレベルなのがお判りいただけるかと。他のCPUでは歯が立たない。

 

そしてシングルスレッドスコア。新型ターボブーストで1コア動作なら4GHzまで回るので定格スコアでは手持ちトップ。フラッグシップにふさわしいスコアで、Core i7-5960Xのスコアから見ると大幅に改善。ただ先述の通りTBの稼動具合でスコアが変化するのでこの表で言うならCore i5-4690K定格より低い位置になることもある。あとたぶんSkylakeのi7があったらシングル負ける。

 

TBの挙動もあってか「何故かメチャクチャ7.9のハードルが高い」Windows7エクスペリエンスインデックスのCPUスコアも定格動作7.9を実現。自分が知る限り定格動作で出せたのはこれが初めて。

更新: 2016/09/27
ゲーミング用途

やはりコアを持て余す

 

簡単にだがゲーム系のベンチや動作をi7-5690Xと比べてみよう。テスト環境はこちら。Haswell世代のi5-4690K(定格)とSkylakeなPentium G4500も計測したが、i5-4690KはOSも異なる点に注意。

 

Core i7 6950X&5960X…ASUS X99A-ii / Corsair DDR4 2666 4GB*4 / Win7

Core i5 4690K…ASRock Z87 Extreme11/ac / Crucial DDR3 1833 4GB*4 / Win10

PentiumG4500…ASRock H170 Parformance / Adata DDR4 2133 4GB*2 / Win7

 

グラフィックボードはコチラに統一。

正直i7-6950Xには不釣合いな性能。という訳で試すゲームも平凡なマシンでプレイできるMMORPG系。最初は「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」。

マルチスレッドを生かせないので不利なのだが新型TBに期待しようじゃないか。

 

 

CPUなんて飾りなんだよと言わんばかりの横並び。GPUがボトルネックになっている上にマルチスレッド性能が無視されるので7000円のPentium G4500と似たようなスコア。不向きなベンチかつGPUが不釣り合いだというのは判っていたがここまで露骨に出るとは…

 

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お次は古いながら比較的CPUパワーを食う「TERA The Exiled Realm of Arborea」。

(C) Bluehole, Inc. All rights reserved.  (C)GameOn Co., Ltd. All rights reserved.

 

とはいえベンチは無いので実際にプレイした時のフレームレートをFrapsで取得。あくまで人力で同じような動作をしているだけなので誤差は出る。こちらは以前2コアと4コアのCPUで明確な差があったのでFF14ベンチみたいな事には…

…が、こちらも大した差異はない。TERAはまだマルチスレッド負荷が大きめなのでPentiumよりは有利になっているがそれ以外の3つは誤差を考えればほぼ同等。つまりこのクラスだと4コアで十分。

 

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じゃあ一応「3Dmark FireStrike」

こちらはさすがにCPUパワーがモノを言うPhysicsがあるので総合スコアも差があるが…それ以外は大差なし。RX460ではCombined testですらどうも2コアのPentiumで十分だったらしい。

 

気になるのがCPU-Zで見せたi7-5960Xに対するシングルスレッド性能差がFireStrikeだろうがFF14だろうが出ていない点。動作クロックログを見るとグラボの性能云々以前に、2コア以上に負荷がかかりピークの4GHzに行く事が殆ど無かったようだ。

 

今回はGPUが不釣合い&ソフトが古かったのもありi7-5960Xに対して有意な差は無い。より最適化されたDirectX12系のゲームなら話は変わるだろうが。古いゲームの場合6コアくらい遊んでいるので配信用エンコードをしたり、エンコード中ヒマだからゲームをするなんていう荒業はできる。

更新: 2016/09/13
消費電力

2コア増えても5960Xより低消費に

お次は消費電力。ASUS X99A-II / DDR4 2666 4GB*4 / Radeon RX460 / SSD1台 / USBマウス・キーボードのみ接続し、500Wプラチナ電源構成での消費電力。

 

Core i7 6950X / idle 70W / OCCT 296W

Core i7 5960X / idle 69W / OCCT 328W

 

5960Xに対して2コア増えているのにピーク消費は30W以上低下している。いくらプロセスが進んだとはいえ2コア分はフォローできないと思っていたので驚いた。アイドルはほぼ同じ。

これだけを見たら満点を上げたいのだが、115X系プラットフォームの場合アイドル消費が30Wを切る構成も多く、2011系自体が高いので仕方ない。

更新: 2016/09/20
発熱

10コアといえど定格なら静音ケース&空冷クーラーで運用可能

さてバラックから実際の組み込み。元々i7-5960Xに使っていた基本構成はほぼそのまま使用するのだが、既にギリギリというほどではないがキツイ状態なのだ。ケースは10年前に発売された静音ケース「Antec Solo」。

ATXケースとしては小柄かつ今となっては古臭い内部配置。静音性は今でも通用するが所謂窒息ケースで高発熱構成には不向き。じゃあケース変えろよといいたいところだが…

ワンオフサイドパネルを持ったケースなんてそうそう変更できないよ!!

 

CPUクーラーもSoloは14cm級の導入が難しいので12cm級のPH-TC12DX。ただ自分で試した12cmクーラーの中では最も冷却力が高かったクーラーなのでがんばってもらうが、i7-5960XでエンコードをかますとCPU温度はあっさりファン全力設定の60度に突入し力技で冷やす状態になる。

TDP140Wはi7-5960Xと同等だが10コア20スレッドで3GHzオーバーの動作をするCPU。いくら世代が進んだといえど2コア分のプラスはどうにかなるのだろうか。

VGAは最低限のGeForceGT710な一方メモリは64GBと山盛りなので典型的な2D向け仕様。

今回実使用では他社製X99マザーの挙動を見たかったのもありGIGABYTE GA-X99-Designare EXを用意…したが初期不良に当たり、組みなおしと動作テストと交換で4日つぶす。

大人しくASUS X99A-ii組み込めばよかった…

 

という訳でやっと出来上がり。メモリとの相性も無くあっさり起動。いくつかエンコードや負荷テストをしてみたが、消費電力計測結果と同じく、i7-5960Xより発熱はマイルドになっている。

 

どちらにせよ60度でファン回転数をぶん回す設定なので温度自体に変化はないのだが、瞬間的な負荷ですぐ回転数が上がる場面が減った。TDP140Wの10コアというスペックからは予想外な程に扱いやすい。定格動作なら旧型静音ケースや12cm級空冷クーラーでも十分運用できる。

 

Antec Soloベースとは思えないド派手&ハイパワーマッシーンが出来上がった訳だが、見た目に反して定格なら全体的な発熱にも余裕もありとても静か。アイドル時はファン回転数800rpmでCPU温度40度未満を維持するのでHDDの音がきになるレベル。

更新: 2016/09/20
体感速度

新型TurboBoostの効果は無視できない

さてゲーム系ではあまり生かせなかったi7-6950Xの新型TBなのだが、実際普段の環境にいれるとソフトの動きが機敏に感じる。というかi7-5960Xがなかなかクロックあげてくれなかったせいなのだが。

新型Turbo Boostはこのようにデバイスマネージャに表示され(なかったらドライバが入っていないので探してこよう)、専用の制御アプリもある。

ASUS X99A-iiの場合統合ソフト「AI Suite」の内部にTurbo Core Appという名前で設定項目が表示される。(Haswell-Eの場合以前からあったASUS独自の機能Turbo Appになっている)

GIGABYTE GA-X99-Designare EXの場合は単独のソフトになっている。GIGABYTEの付属ソフトとはデザインが全く異なるので恐らくコチラがインテル純正そのままのなのだろう。どちらもやる事は同じで優先させたいソフトを登録するだけ。登録していなくてもForeground App Has Priorityにチェックが入っていれば4GHzまでの上昇を確認した。以下TBはPhotoshop最優先で設定済み。

 

じゃあ実際使うとどうなのか。i7-5960Xではほぼ3GHz動作止まりでTBが働かなかったフォトショップのスクロール等軽めの断続的動作。

かなり重量級のファイルを開いているにも関わらず、i7-5960Xでは普段のスクロールやペン動作ではTBクロックまで行かなかったのだが、i7-6950Xでは積極的にTBのクロックに突入するようになっている。

 

これが実際どういうことになるかというと…更に極端に重く作ったファイルを使って実験してみる。

8700*12000px以上という無駄解像度に120以上のレイヤーを使った500MBのPSDファイル。ファイルを開くだけでシークバーが出る嫌がらせみたいなPSDだが、フォトショを起動していない状態からそのファイルを開くまでの時間を計測。更にそのファイルをレイヤー統合したものをPNGで保存したときの時間。ぼかしフィルタを極端にかけた時の時間を(ストップウォッチで)計ってみた。

ソフト起動~ファイル展開は短時間で挙動が変化する負荷、PNG保存はほぼ1スレッドしか使わない長時間シングルスレッド動作、ぼかしフィルタは動画エンコードの用に全力で全コアをぶん回す長時間マルチスレッド負荷なのだが、全て3~4割の時間短縮が見られる。

コア数増加の恩恵が少ないシングルスレッドの負荷でも明らかに時間短縮効果が出ており積極的にTBを活用するようになっているようだ。CPU換装後「すげえ!動作がキビキビするようになったきがする!」とか思っていたがあっていたらしい。

更新: 2016/09/20

まとめ

本領はもちろん10コアを生かしたマルチスレッドぶん回し。3DCGレンダリングや動画編集。i7-5960Xよりも抑えられた発熱と消費電力は長時間の負荷でも武器になる。

 

しかし個人的な注目ポイントはやはり5960Xに比べてシングルスレッド性能に改善が図られて体感速度がアップした点。i7-5960Xは低負荷のソフトだとスペック程速くない感もあった(使い出した当時はX79からの乗り換えだったので速く感じたのだが…)のだが、i7-6950Xはその辺も含め全体的に速い。スレッド数が少ない用途ならやはり115X系のほうが有利なのだが、十分対抗できるようになりExtremeの名に相応しいCPU。

 

ただX99のメモリ容量と帯域の多さを生かすなら下位のBroadwell-Eという選択肢もある。コア数は減るもののお値段はそれ以上に安い。i7-6950Xの10コアはオーバースペックな印象が強く、確かにこれだけの性能を扱いやすい発熱と消費電力で実現しているのは恐ろしいのだが、他モデルの価格差を考えると「コンシューマ向け最高性能モデル」という肩書きが最大の魅力なのかもしれない。

更新: 2016/10/02

i7-6950Xと同じエンコード速度を別PC複数台で実現したい

という訳でここから例のギリギリ。ぶっちゃけそんなにギリギリじゃないです。特にi7-6950X自体は余裕こきそうな感があります。

題してi7-6950X エクストリームエディションに対抗するには他のCPU何個いるんだチャレンジ。

内容は実に単純。i7-6950Xが得意とするマルチスレッドフル稼働のエンコード。それと同じくらいの時間でエンコードを実現するには自分の手持ち自作PCが何台必要なのか

 

使用動画はドライブレコーダー「ASUS RECO Classic」で録画したフルHD30fpsのH264(MOV)。

このドラレコなかなか画質がよくて撮った映像がドライブ記録みたいで楽しい。

今回は約250分の動画なのだがこのままだと5分区切り(一部端数あり)53個の細切れ動画かつ全体で約27GB。なので連結&再生速度を8倍にアップ&画質と解像度を少しさせて気軽に流し見できるドライブ動画にしたい。というかんじ。

実際8倍速にした動画のサンプル…YOUTUBE用にエンコ設定はかえてるんで雰囲気どうぞ。

 

余談だがこのドラレコを積んだ車は走行距離の多い中古車だったので新品のi7-6950Xより車両本体価格が安かった(マテ)。

 

エンコード使用ソフトはaviutl+拡張編集+拡張H264エンコードのセット。

まずはi7-6950X側の記録が必要なのでエンコする時aviutlを1つにしたほうがいいのか複数起動したほうがいいのかをテスト。圧縮率や8倍速設定なのは同じだが連結無しの5分ファイルを使用(完成品は1個あたり37秒)。ファイルは全て別のものだが高速道路走行中であまり差異がないもの。

以下の3パターンをテストした結果がコチラ。全てファイル入れ替え操作時間などは含まない。本番エンコ前の確認用なので回数はバラバラざっくり計算。

 

aviutlを1つ起動し、5回エンコード

…1回のエンコ時間50~54秒。1ファイルあたりの平均52秒

 

aviutlを2つ起動し、3回エンコード

…1回のエンコ時間94~104秒 1ファイルあたりの換算約49秒

 

aviutlを5つ起動し、2回エンコード

…1回のエンコ時間205秒・220秒 1ファイルあたりの換算約42秒

 

と、5個同時起動が時間的には一番早くなった。また使用スレッド数は指定しないで自動で任せたほうが早かったのでその状態。5個すべてのエンコーダが20スレッド使おうと奪い合っているひどい状態なのだがそっちのが早かったから仕方ない。

 

5個同時といっても手動操作で1個づつの起動にズレがあるのでそれで差がでた可能性もあるが10秒近く短いなら同時起動のほうが有利そう。

というわけで本番では53個の動画を連結した10ファイル(pt1~pt10)に割り振ってエンコードをしてみる。一応目安として1個づつエンコしたタイムも計測。

出来上がった動画は1本あたり3分2秒、ファイルサイズは200~300MBとばらつきがある。また音声は全てカットしているので音声エンコードは無し。

 

pt1~pt10までの単発エンコード時間 合計43分14秒

pt1:3分34秒 pt2:3分29秒 pt3:3分56秒 pt4:4分47秒 pt5:5分17秒

pt6:5分02秒 pt7:4分56秒 pt8:4分12秒 pt9:3分54秒 pt10:4分07秒

 

pt1~pt5同時エンコード…20分5秒 pt6~pt10同時エンコード…20分13秒 合計40分18秒

 

やはり同時エンコードのほうが少し速い。あとこれ同時エンコのほうがファイルを毎回入れ替える作業がないのでラク。実際はファイルの入れ替え等で時間がプラスされるものの、だいたい40分くらいでこのファイル群を処理できることが判った。

 

またフル稼働エンコードで発熱が厳しかったらサイドパネルを空けるなり最初のバラック環境に一旦戻すなりを考えていたのだがその心配は全く不要でむしろファン回転数すら大して上昇しないという発熱のおさえっぷりでコレ本当にTDP140W扱いなのかと思ってしまうレベル。

 

 

さあこの10コア20スレッドの怪物主砲を備えた最新鋭駆逐艦(?)を迎撃するには何が必要か!

というわけで自分が普段ゲーム用に使っている…

 

Intel Core i5 4690K&10連装冷却ファンGTX680SLI搭載超弩級戦艦!自分がプレイするゲームには4スレッドかつ高クロックのものがいいという結果作られた4.5GHz常用OCと見た目がつよいグラボのマシン。消費電力も熱も結構ヤバイ。ただし今回は常用OC設定ではなく定格まで下げる。あと今回グラボは関係ない。

 

Core i5-4690K

pt1:8分19秒 pt2:7分51秒 pt3:9分11秒 pt4:10分58秒  …pt1~pt4の4本で36分

 

5本目の途中に40分をオーバーするので40分以内にできるのは4本。

i7-6950Xは定格i5-4690Kマシン2.5台分のエンコード能力を…ってあれだ。こう書いただけでPCが2台に増えたらいいんですが残念ながら増えてくれません。まだpt5~10の6本分が残ってるよ。

 

ならPCを増やせばいいじゃない

 

という訳で事前にエンコード時間の目安を計測していたマシンをうまいこと組み合わせてi7-6950Xと同じ40分以内に残りのファイルをエンコードできそうな艦隊を組みました。部屋中ぐっちゃぐちゃですがこれらを同時稼働させます。

 

切り替え機とか頭いいものがないんで全部普通にモニタつなげます(4台目は反対側)。

 

つーわけでイカれた随伴艦3隻を紹介するぜ!

恐るべしドンガラ!しかしゲームベンチで空気読まなかったPentiumG4500搭載!まな板代わり旧型ケースにぶちこんで急いで進水してベンチスコアとってた全然パーツ足りてないよでも動くよマシーン!  …ゲームベンチでこんな状態のやつ相手にしてたのか。

 

Pentium G4500 …pt6:22分27秒 pt7:19分1秒 2本で41分半

 

比較的重い山道パートを担当させてしまったのもありわずかにオーバーしてしまったが2本処理ということで。性能が気持ち落ちるG4400機でも軽めの動画を選べば2本処理できそう。ハイ次!

 

AMD A10 7850K搭載仮装巡洋艦PS2オーシャンブルー!小型な旧型ゲーム機に偽装しているが中身はAMDのAPU搭載でゲームなら結構できる!但し無理やり押し込んだ小型筐体のせいで放熱性は致命的に不足している!普段はcTDPで性能にリミットをかけているがそんなことも言ってられないので4690Kとは別の意味で定格に戻したらやっぱり冷却がヤバそうだったので大解放。

 

A10 7850K pt8:20分42秒 pt9:16分5秒 …2本で37分

 

2本しっかりエンコード。しかしCPU取得の温度は100度を突破するわ150WのACアダプタなのにワットモニター読み160Wをたたき出すわある意味今回最高にギリギリ。

元々無理やり感があるマシンだったので仕方ないがこれでやっと8パート。

 

さあ残り2パートを預かるのは…

見た目は旧型、しかし8コアのAMD Opteron3280と簡易水冷を搭載したVAIOマシーン!CPU-Zではふるわないスコアを出していたがマルチスレッドをぶん回せるエンコードなら結構いける。なので一番重いpt5を預ける。もう1本は余裕を持てそうなpt10。

ちなみにこのPCは下の階の別室にがっつり設置してあって本体移動が難しいので階段を走り回って操作するかがんばって移動するかを考えた結果移動した。

 

Opteron3280 pt5:20分29秒 pt10:16分23秒 …2本で37分

 

最終的な割り振りイメージはこんな感じ。

これで全4台のPCに10本の動画を割り振って約40分のエンコードに成功!6950Xに追いついた!

 

と言いたいが…実はこれ4台のPCでエンコードのファイルの切り替え動作をしたりしているので1時間近くかかっている。その間4台のPC操作とエラーがおきてないかの確認でてんてこまい。それどころか4台のPCにファイルを分散して事前にプロジェクトファイルを保存してエンコ準備完了状態にするだけで更に30分以上かかっている。

i7-6950Xはファイル入れ替え時間を含めても50分かからなかったのでだめだこれ。すべてのPCを同時エンコ方式に変更して途中操作回数を減らせば時間短縮できそうだが…。

 

まあそもそも「各PCのエンコ性能を事前にエンコして確認し、更に6950Xのエンコード結果からうまいこと40分に収まるように動画の割り振りを考えてから本番という本末転倒」。さらに同時稼働に使わなかったPCも多いからこの同じドライブ動画が10セット以上出来上がってるんですけどね!!!

 

 

--- 

 

【おまけ1 VS Sandy世代】

せっかくなので事前エンコードタイム計測記録からもう1セットくらいチャレンジ。初回は台数を大目にしたが今度はがっつりハイパワーなマシーンを用意。

旧型のSandy世代ながら8コア16スレッドを誇るXeon E5-2670!3世代前とはいえこのスペックはエンコードにおいて侮れず…

 

Xeon E5-2670pt5~pt10の6本で約42分

 

少しオーバーしたが6本を42分で処理。1本あたり6~8分でエンコード終了。それでも69500Xの6割程度のエンコード速度とだからクロックやコア数に加えて世代差の影響も大きい。で、残り4本は…

 

同Sandy世代1155向けi7最高クロックを誇ったCore i7 2700K。4コア8スレッドを3.5GHz、ブーストは3.9GHzとかなりの高クロックでぶん回していたCPU。ソルダリングなのでOCが楽しかったCPUだが今回は大人しく定格。

 

Core i7-2700Kpt1~pt4の4本で約39分45秒

 

もう少し余裕あるのではと思ったが1本あたり4本~11分半と触れ幅が大きく4本がギリ。

奥のP183がE5、手前のDS CUBEがi7。という訳でi7-6950X≒E5-2670+i7-2700Kと収まったんだけど…2台でも操作結構キツいわ!

 

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【おまけ2 VS 5960X】

むしろなんでそれを最初にやらなかった5960X。今回はSolo奪われてるのでまな板動作。

Core i7-5960Xpt1~pt8までの8本で41分

 

10コアのCore i7-6950Xが43分で10本やったから8コアの5960Xは41分で8本という実にわかりやすすぎる結果。10本やった結果を細かく見ると6950Xが43分17秒に対して5960Xが50分15秒。やはりほぼコア数分の差だ。という訳で2本足りない分は…

Pentium G4400pt9・pt10の2本で41分30秒

 

G4500の弟にやらせました。てかなんで自分G4400とG4500のマシン持ってるんだろうね。というわけできれいに「5960Xに2コアPentium足したら6950X」という実に判り易い結果に。

 

 

 

【おまけ3 残りPCであと1セットつくりたい

ここまできたらもう1セット…、そう俺の手持ちPCは力を合わせれば6950Xの4倍のエンコード能力を持つとか言ってみたい。そこでこちら!

Xeon E3-1285L v4!(初出時型番ミスってましたスミマセン)実はモンスターすぎるX99機以上に普段の使用時間が長い常用マシン。主力オブ主力。同世代のBroadwellコアを持ち4コア8スレッドながら定格3.4GHz、TB3.8GHzの動作をするのだが何故かエンコード中全コアフル稼働なのに3.8GHz動作しちゃったとかいう自重しない子。

 

Xeon E3-1285L v4pt1~pt5の10本で約41分

 

見事6950Xのほぼ半分。というかパート毎のエンコード時間も計ったかのように2倍。コア数的には半分以下なので3.8GHzの動作でリカバーしたということだろう。

 

さああと半分だ!手持ちに残ってたのが…

 

PentiumG2020T。Ivy世代の2コアCPUで2.5GHz動作。でもすごいよ、ATOM時代の70WACアダプタ搭載薄型ケースで動くし発熱も問題ないんだよ!!

 

Pentium G2020Tpt6で44分

 

うん…40分で1本が限度でした。最初軽めのパート2本いけないかと思ったのだけど一番軽いやつで30分かかってしまったのだ。さすがに低電圧Pentiumは分が悪い。これで今回の動画全部処理しようとした事を考えると恐ろしい。

 

これで自作PCは打ち止めなのでなりふり構わずノートパソコンを。

手持ちノートでもっともエンコード性能が高い(と思われる)i7 720QM!…うん、ノートは最近更新してなくてデュアルコア低電圧Winタブに置き換えちゃってて…。

 

Core i7 720QMpt7で24分 pt8で29分30秒

 

4コア8スレッドだが旧型の低電圧版というのもあり40分枠では1個。一番軽いパートを2つならいけそうだが…という訳で3セット目はもうむり!一応PentiumG4500がもう1個あればいけそうなくらい。

 

いやお前IvyとかSandyとかHaswellまだ持ってるだろってなるんですが、今回あくまで「手持ちPC何台分」なので今回稼動させたPCの部品を奪わないと動かない分解状態のPCやパーツは出せなかったんで(まな板の5960Xは特例ってことで)。

あとエンコード動作に問題があるPC…熱が危ない・OSが32bitで動画編集ソフトが落ちる・性能が低く40分で1本すらエンコできない等のPCも結構ありましてハイ。

 

いざ並べてみると見るとやっぱり大変なパワーだ。 という訳でなんかもうテンションだけで突っ走った後半でしたがここまでご覧頂きありがとうございました。

コメント (10)

  • hidechanさん

    2016/09/14

    レビューお疲れ様です。
    photoshopレイヤー画像関係は圧巻ですね!
    軒並み、約30%早くなれば、仕事で使う人なら作業効率がかなり上がりますね(*´ω`*)

    光物スキーとしては、レビュー内容よりも、ピカピカの中身に気がいってしまいましたが
    5960Xより、確実に進化していることが良く分かりました^^
  • 下小川さん

    2016/09/14

    ありがとうございます!
    Photoshopの実動がこんなに変化あると思っていなかったんで最初計測ミスかと思いとりなおしたくらいでした。

    自分も光物スキーなのでもっとマザーの写真とか(ASUSもGIGABYTEもいい感じに光る)上げたかったんですがめっちゃ長くなりそうだったんでマザーのほうの登録でペタペタ写真はりたいとおもいます。
  • アラクレさん

    2016/09/20

    毎回思いますが、こんなSOLO2見たことねえよ!という一言に終わっちゃいますw
    けど6950Xの発熱が思ったより多くないようで、SOLO2でも夢の超スペックが可能っていいですね。
    こりゃあMETISにX99E-ITX/acと6950Xを突っ込む人とか出てきそうですわ・・・
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