今回、久々にレビューすることになりましたのは、最近割と「欲しい」感が高まってた、ファン付ジャケット。
私の場合、普段はほぼ冷房効いた場所での座り仕事なので、そこまで必要性あんのかと言われかねないのですが、例外もありまして応募することに。
その、例外事例ってのが、会社の機材庫での作業。
機材庫ってのは、各部署に配備する前の業務用IT機器の一時保管場所なんですが、昔に開発棟として使われていた建物で、現時点で冷暖房が稼働していません。
つまり、夏はクソ暑く、冬はクソ寒い。
ここから必要機材を「持ってくる」だけならまだマシなんですが、配備前に搬入してもらうときの立ち合いとか、棚卸とかあると、長時間作業なのでめちゃめちゃキツい。
特に夏場はシャレになんなくて、酷暑というか殺人級に暑かった昨年度など、機材庫での熱中症患者が11名も出て、取締役会で問題になる始末。
かといって、既に二年後の解体が確定している建物、しかも本来は目的外利用(各部で倉庫に収まらない機材の置き場)なので、故障撤去した冷暖房設備を、それも半世紀近くも前の建造物で現行製品の取付が困難なところに再設置とか、普通に予算が下りない訳です。
んで、今年からはここでの作業はファン付ジャケットを使うこと、という指示が出まして予算も下りた訳ですが、これ「現場作業者」にしか支給されなくてですね・・・・・・
え、俺の分無いの??????
結果として言うと、支給されないことで確定してしまいました。
なんてこったい。
だから、今回のレビュアー当選は割と本気で嬉しいのですよ。いやホント。
早速だけど、期待に胸と腹を膨らましまくって、いざダンボール開封です。
三つ入ってますが、これでワンセット。
左から、バッテリーと充電器、クーリングファン・ユニット一式、ファンを付けるジャケット。
バッテリーが日本製なのは、割と安心感でかいですね。
身に着けるものなので、火吹いたり感電とか怖いですし。
作業服としては違和感ない。
ファン付ジャケットは作業服。
当たり前ですけど、見た目も完全に作業服です。
今回、敢えて作業服では余り見ない青系を選んだのですが、やっぱ作業服・・・・だよなぁ。
仕事用として欲しかったので、そこらへんは別にOKっちゃOKなんですが。
ただ、デザイン自体はスポーツ用のウインドブレーカーみたいなところもあり、ミズノのロゴも入ってる事から、仕事用として着るなら割といい感じに見えます。
ただ、やっぱグレー系のほうが落ち着いた感じはあったかもです。
デザインに含まれるラインは、反射材となっています。
これ、昼間の携帯フラッシュ撮影ですが、相当に反射率高いです。
夜間、これなら車やフォークリフトからも目立ちますので、工場なんかの作業でも安心ですね。
バッテリー・ポケットは、左前と背中の二か所にあります。
背中にあると服の上からの操作がし辛いので、だいたい左前に入れる事になるかなと。
ただ、左前のおなかあたりに配置されているので、作業内容によっては背中配置で使うほうが無難かもしれません。
実際、結構分厚い(3cm以上ある)ので膨らみが出ますし、大きな箱を持ったりするとバッテリーと当たってしまいます。
一度電源を入れたら、作業完了までオフすることも無いと思うので、背中配置で電源入れっぱなしにするのもアリですね。
ファンの固定部分は、服に少し硬めの樹脂リングが縫い付けられており、そこにファンと固定リングで表裏挟み込みで取付けます。
この部分、正直耐久性とか大丈夫なんだろうかと思ったんですが、取り付けてみたら結構ガッチリとしており、ファンが抜け落ちたりする心配は無さそうです。
ファンの取り付けはガッチリ。バッテリーはちょと重い。
まず、ちょっと感心したのが、このリリースレバーの構造。
ここ、「外側」へ押さないと外れません。
一般的には「押しながら外す」のが普通なので、最初は一瞬戸惑いました。
この構造のお陰で、外から押された程度ではファンが服から抜け落ちたり、脱落することは皆無。
リング全体もワンウェイ・ラッチとツメでパチっと根本まで固定されます。
取り付け後もかなりしっかりとしており、使う前の時点で「これって外れたりしないのか」という不安はほぼなくなりました。
ただ、バッテリーを含めて相応の重量があるため、服を脱ぐ際にジャケットみたいに乱暴に脱いだりすると、周囲の壁や机にファンやバッテリーを激突させる危険はあります。
かなり構造的には頑丈ですが、激しくぶつけたら壊れますので、取扱いは普通の服のようにしない注意は必要かと。
バッテリーと充電器は、どちらも専用品です。
バッテリーはかなり頑丈な筐体な上、更に全周に渡って耐衝撃材のバンパーが付いています。
厚みが結構ある上、重量もそこそこ。
スイッチはONボタンを押すと、ほんの少しのタイムラグのあとにファンが回り始めます。
一度電源を入れたら、回転数制御スイッチとして機能。
オフを数回押すと電源がカットされる構造です。
とにかく、薄くすることより耐久性を優先しているので、正直服の中に仕込んでるときは違和感があるのですが、作業場で身に着けるものだけに耐久性優先はある意味当たり前ですね。
思ったより涼しい。でもファン音はかなり大きめ。
とりあえず、早速着てみた感じを言いますと・・・・
思ったよりは軽いし、ファンやバッテリーの違和感も「ポケットにモノがある」程度のものなので、不快さを感じたりといったことはないです。
バッテリーを単独で持った時の重さから、服自体が重いんじゃないのかとも思いましたが、正直冬服に上着を着るよりは軽いので、違和感は特に無し。
左前ポケットにバッテリーを入れ、スイッチを入れる訳ですが、このスイッチ「服の上からの操作はあんまり期待しないほうがいい」です。
出来なくはないんですが、スイッチの位置が近いために服の上からだと分かりにくい。
このスイッチ、間が5ミリくらいしかないんですね。
なので、どっちがオンでどっちがオフなのか、手探りだと殆ど判らないです。
慣れればやれるんでしょうけど、最初にどの程度の回転数で使うかは、ほぼ決め打ちになります。
見た感じ厚手に見えますが、実際には冬服の作業服と大差ありません。
着心地は少し固めですが、これは新品の作業服では普通の事なので、そこまで気にならない。
ただ、首回りの襟が筒状で、基本的に上までファスナーを引き上げて使う(でないと風が前から全部漏れちゃって意味ない)ので、首にあたる部分が固いままだと違和感が結構強いです。
洗濯しているうちに柔らかくなるとは思うのですけどね。
生地自体はタフ・ブレーカーという、ラグビーのユニフォーム等に使われる高耐久生地で、かなり頑丈らしいです。
縫製の密度もかなり高めで、各部位をぐっと引っ張っても糸が切れるような音は一切しません。
長期に渡って使える品質を確保しているようです。
んで、肝心の「冷え」についですが・・・・・・・・
思った以上に涼しいです。
背中と袖に回る風量はかなり大きく、服の中を延々と結構なスピードで風が流れていきます。
服の中からどんどん熱が排出されていくので、扇風機をぶっ通しで浴びているような感覚。
ただ、これ襟首回りからも風が出るとの事なのですが、そこからの風はあんまり出ません。
袖回りから出ていく空気の量と比べて、明らかに少ない印象。
そのため、服と接触している首回りまでは涼しいんですが、そこから上の頭の方にかけては涼しさが弱いです。
ただ、背中と脇回りをぐるっと風が流れていくので、夏場で上半身において最も不快な「背中と脇のべたつき」がほぼ完全に解消されます。いや、こりゃ本当にスゲぇわ。
とりあえず、まだ届いて二日しか経ってない(7月19日着)ので、「まずは使ってみた」感じの印象しかないのですが、確かにこれかなり涼しいです。
早速、明日から会社の機材庫作業でどの程度効果あるか検証してみる訳ですが、これは期待が持てます。
しかし、めっちゃファンの音でかいので、電車内で使えないのが惜しい。マジ惜しい。
屋内での威力はかなり大。屋外での効果は限定的。
とりあえず動作その他は確認できたので、応募ネタである
「昨年度、熱中症患者が続出した機材庫にて二時間以上の作業」
・・・・を実際にやってみることにしました。
はっきりいって、これ単独だと危険極まるので、見張り役を二人の同僚にお願いしまして、あちらは15分交代で冷房の効いてる場所に退避してもらう形をとりました。
いや、真面目な話・・・・30分居たら確実に熱中症どころじゃないんで。
正直言うと、エアリージャケットが有っても結構危険度高い実験ですので、水は1Lを用意し、見張りの人が「アカン」と判断したら、その時点で即中止というルールを設けてのスタートです。
さて、それでは早速電源オンですよー!
なお、腹の方が膨れてるのはワィのお腹が出っ張ってるからで、エアーがそうさせている訳ではありません。
当日、機材庫内の温度は38度とかなり高め。湿度も高く、ほぼサウナ状態です。
既にこの時点で見張り役の同僚、団扇で仰いでもまるっきり効果が無いとボヤいてますが、私の方は
「それなりに暑いけど、耐えられないほど暑くない」
という状態。
汗はそれなりに出てるのですが、それがすぐ乾いていくというか、ファンで送られる風で少し冷たくなるので、体感温度は「ちょい暑い」くらいに収まってます。
【ただし、首までの上半身だけ】が。
・・・・ええ、これファーストプレビューの時にも気になってたんですが、首元からの風の出が明らかに弱いんです。
首から上はサウナの中にあるのと大差ないので、額や鼻の横から汗がダラダラ噴き出してきます。
頭が涼しくない状態だと、流石に暑さがモロに体感出来てしまい、体の方の涼しさが半減どころの騒ぎじゃなくなってます。
「まずい、これ2時間どころか30分耐えられんかも・・・・・」
どうもこれ「首のところで風が下に巻いてる」気がしてならない。
ここで一つ、気付いたことがありました。私の体形です。
【もしかしてこれ、デブ過ぎると首回りの隙間足りなくなるんちゃう?】
という訳で、首回りを開襟状態にして襟を折り、隙間を開けてみる事にしました。
結果から言うと、これが正解。
首回りから適度に風が吹き出して、首から顔半分くらいまで風が当たる状態へと改善。
なるほど、太ってる場合は首回りの隙間調整しないと駄目なのね。
うん、これで勝てる。
そういう訳で、続けてそのまま作業続行。
続けている間にもう一点気付いたのが、ファンの方向。
このエアリージャケット、ファンの方向が服に対して少し斜めに付くようになっているんですが、この斜めになっているファンの方向を変えてやることで、自分の体形に合った形のエアフローを模索出来るようになっています。
私の場合は、前方向に向けて斜めに風が入る方向がベストポジション。
この流れにすると、風が背中2:お腹1 くらいに風が分散され、脇下から袖元、背中から首元のエアフローが確保されることが分かりました。
この状態だと、扇風機を浴びっぱなしで作業するのとだいたい同じ感覚で、エアリージャケットを着ないときと比べると、かなり体感温度の差が大きいです。
結果として、連続作業は一時間強で中止となりましたが、それも結局は見張り役の同僚が先にダウンしかけたことが原因で、自分の方は「暑いっちゃ暑いけど、まだやれんことはない」くらいの状態を維持出来ていました。
なるほど、こりゃ確かに効果ありますわ。
ただ、これ「風のない屋内」での作業における威力はかなりのものなんですけど、屋外だと正直言いまして「そこまで涼しいと感じない」です。
日陰に入ると一気に涼しくなるんですが、陽光の下だとこの服から中の熱が排出される速度と、温まる速度の差異が「服を着こんでいる分」の暑さプラス分とトントン、もしくは若干だけども上回ってしまう状態で、涼しさを殆ど感じることが出来ません。
実際、汗が冷えていく感覚はあるのですが、体感温度がそこまで下がっていかない。
屋外の場合は、普通に外の風にあたる方が涼しく感じてしまいます。
なお、無風状態となるような場所では、陽光があたる場合でもファン全開するほうが多少はマシなので、やはり【風がちゃんと吹いている場所かどうか】により、効果の差異が出るようです。
想定される使い方では効果大、ただし改良の余地あり
今回、初めてこのファン付ジャケットなるものを使ってみた訳ですが、確かに「屋内作業時」の効果は大です。
交代交代で詰めていた見張り役のほうが先にダウンするという状況で、おデフで暑さに人一倍弱い私が普通に連続作業出来ていた時点で、体感する涼しさ以上に「熱で体力を奪われていない」事が実感できました。
熱中症を防ぐという一点で、これの有無は文字通り生死を分けるレベルでの差があると思います。
ただ、襟を折ってやらないと首回りから風が出にくい、腕の位置によって袖口に回る風の量が如実に変わってしまう、ファンの方向調整で適正な位置を出してやらないと、効果にかなりの差異が出てしまうなど、マニュアルに記載されていないコツみたいなのが要るというのは、まだ色々と詰めが甘いのかなと感じてしまいました。
それでも、やはり「あると無いとじゃ、大違い」です。
服自体の強度もありますし、ファンを外せば家で洗濯も可能と、服としての実用性も結構高い。
あと、これは個人的なお願いなのですが・・・・おデブな体形向けに「XLで首回り太く、袖がちょい短いモデル」が欲しいです。
普通に今回のサイズで体は入ったんですが、袖回りがやっぱ少し長いので腕回りの動きに少々難ありなところがありました。
こんな感じで、袖を折ると丁度いい具合だったのですが・・・・
私のように「工場内作業ではない」状況なら、こうした使い方も許されるでしょうけど、工場作業者の場合は「回転部に巻き込まれるから袖は折るな」という鉄則があるので、本来NGな手法です。
このエアリージャケット、半袖のモデルもあるそうなのですが、そっちの方も気になると言うか、個人的には半袖のほうかなり欲しくなってます。
というか、この半袖モデルでも同じファン使えるんだろか・・・・
・・・・・という訳で、半袖モデルの方も買っちゃいました。
そちらは届き次第試してみますが、新規起こしすべきか、追記していいのか悩みどころですね。
Vesselさん
2019/07/22
(弱でも割と…)
Vossさん
2019/07/22
この製品もかなり音でっかいんですよねー・・・・
かといって、停止したらサウナスーツ化するので、着てる間は動かしっぱなしにするしかない。
今日は大雨だったので機材庫テストはしてないんですが、現場までは「脇に抱えていく」事になりそうです。
Vesselさん
2019/07/23
単純な話、屋外の自然の風の風量はファン2つとは比べようにならないぐらいでかい…
Vossさん
2019/07/23
今日試しましたが、屋外では効果薄いです。