●試着から裾直しまで
いつものプレミアムレビューでは、商品が届いてからモニター作業が開始しますが、今回は、サカゼン 馬喰町店 を訪問して HYBRIDBIZ(R) スーツ を選ぶところから始まります。もちろん、初めての来店でしたが、JR総武線馬喰町駅から徒歩0分という抜群の立地のため、迷うことなく到着しました。
サカゼンというと、タレントの石塚英彦さんがイメージキャラクターとなり、大きいサイズの紳士服専門店というイメージがありますが、普通サイズのものもしっかり扱っています(ただし、売り場の面積は大きいサイズの方が勝っていました。)。
担当者の方に、ZIGSOWの HYBRIDBIZ(R) スーツ の企画で来たことを伝えると、早速、商品が陳列されているコーナーに案内していただきました。この HYBRIDBIZ(R) スーツ は、サカゼンオリジナルの一押し商品ということもあってか、フロア中央の一段高くなったところにディスプレイがなされており、かなり目立っていました。
試着の前に一応、ウエストも測ってもらいましたが、サイズとしてはA4ということが分かっていたので、その旨を伝えたところ、すぐにブラックのシャドーストライプ柄のものを持ってきていただきました。
袖を通した第一印象は、「胸回りが楽で、ワンサイズ大きく感じる」ということです。私は身長の割に胸囲があるので、A4だと大体、胸回りがきつく感じることが多いのですが、この HYBRIDBIZ(R) スーツ は、圧迫感がほとんどなく、まさにジャストフィットです。続いて、スラックスをはいてみましたが、こちらも胴回りや腿の部分に適度な余裕があり、窮屈さがありません。担当者の方に勧められて、屈伸運動をしてみたところ、普通のスーツでみられるような引っかかる感じがまるでなく、「ああ、これが超伸縮機能か」と感心しました。
このようにサイズはすぐに決まったので、次に色柄を選ぼうとしましたが、担当者の方によると、A4の在庫は、これともう一つはブラックの無地しかないということでした。ブラックの無地は礼服っぽい感じだったため、最初に持ってきていただいたものに決めました。
サカゼンではA4といった小さ目のサイズはあまり置いていないのかと勝手に想像してましたが、スラックスの裾直しの間、店内を見て回っていると、上記の専用コーナーのほかにサイズごとの展示があり、A4の展示の中に HYBRIDBIZ(R) スーツ(首のところにピンクの紙が巻いてあるもの)もあるのを発見しました。できれば、ここにあるネイビーのストライプなどもチョイスしてみたかったところですが、上記の色柄も嫌いではないので、まあ良しとします。
午前10時に来店し、スーツを選ぶまで15分ほどでしたが、スラックスの裾直しには若干時間がかかります。HYBRIDBIZ(R) スーツ は2パンツ仕様ということもあってか、当初示された仕上がり時間は、午前11時30分以降ということでした。でも店員さんが、早めに仕上がるようだと携帯に連絡をくれるということで、結局、11時過ぎには引き渡しが終わりました。店員さんの気配りに感謝しつつ、渡されたテーラーバッグ入りのスーツを抱え、意気揚々と帰宅しました。
●そもそもHYBRIDBIZ(R)とは何か
私自身が、あまり理解しないままプレミアムレビューに応募したのですが、今回、担当者の方からお聞きしたことや、いただいたパンフレットをもとに、本スーツの特徴をあらためて整理しておきます。
HYBRIDBIZ(R)とは、サカゼンの商標登録で、ひとつの服に複数の機能性を持たせて(機能をハイブリッドさせる)、利用者に一番着心地の良いものを提案することをコンセプトとしたブランドです。そして、今回の超伸縮性スーツは、その中で「リラスタ」として展開しているもので、着ている人にスーツの窮屈さ、動きにくさを感じさせないリラックスした着心地で、かつスタイリッシュなシルエットで着てもらうことを目指して作られたものとのことです(そういう意味で、厳密には、HYBRIDBIZ(R)=超伸縮性スーツというわけではありません。)。
具体的には、独自の特殊製法で、生地にストレッチ性を持たせ、人間がもっとも伸縮性を体感できる縦1:横2の比率の2WAYストレッチを可能にすることにより、スーツ特有の着用時の締め付け、動きにくさを極限まで減らし、さらに、型崩れもしにくいスーツとしたとのことです。
そして、その機能を実証するため、店内に表示してあった下記のポスターにあるように、ゴールドジムというフィットネスクラブとタイアップし、スーツを着たままトレーニングを行い、快適に動けることと、運動後に型崩れせずシルエットをキープできたことをアピールしています。
実際にスーツを着てトレーニングをする機会なんてあるのかということはさておき、私自身もこれから様々な場面で、 HYBRIDBIZ(R) スーツ の機能性をレビューしてみたいと思います。
なお、担当者の方からは、このスーツの快適性をとことん味わうなら、シャツにもこだわってほしいということで、下記の「五面体ウルトラストレッチシャツ」も紹介されました。これも HYBRIDBIZ(R) シリーズの一つ になるようです。
●まずは家の中で着てみる
帰宅後、早速、テーラーバッグに入っているスーツを出して確認します。今回は自腹で購入するわけではないという遠慮もあって、お店ではあわただしく選んでしまったので、あらためてじっくりチェックすることにします。
まずは、スーツの上着です。光の関係でグレーっぽく見えますが、実物は下のスラックスのように、もう少し黒に近い感じです。柄も遠目では無地のように見えますが、近寄ると淡いストライプが入っているのが分かります。
また、家に帰ってから気付いたのですが、今回のスーツが春夏ものか、秋冬のものかの確認をしていませんでした。この時期に販売していることや生地の薄さからしておそらく春夏ものと思われます。なお、裏地が背抜きタイプであることも根拠になりそうですが、サカゼンのスーツは全て背抜きのようなので、決め手にはなりません。
自分としては、夏場はクールビズなのでスーツを着る機会はほとんどなく、どうせなら秋冬ものが欲しいと考えていたので、少し残念です。
次に、スラックスですが、2パンツ仕様で、長時間の着用や水に濡れたときでも折り目が消えにくい加工(イージーセット)が施してあります。また、スラックスについてはウォッシャブルになっているため、クールビズの季節になってもスラックス専用として活躍してくれそうです。
さて、実際に着用してみたのが、下の写真です。今回のサイズはA4(胸囲90、胴囲78、身長165)ですが、ほぼほぼピッタリです。胸回りにはもう少し余裕が欲しいところですが、伸縮機能により窮屈さは感じません。しゃがむとスラックスが張ったように見えますが、はいている方としては、圧迫感はほとんどなく実に快適です。
つい先日、同じサイズのスーツを量販店のオンラインショップで購入したばかりなので、比較しますと、見た目はほとんど同じですが、着心地には大きな違いがあります。量販店の方は、ちょっと腕を動かすと、付け根部分が引っかかる感じがして、いきなり窮屈な感じになりますが、HYBRIDBIZ(R) スーツ の方は、抵抗感がほとんどなく、スムーズに腕が動きます。通勤時に、つり革につかまる動作をするときなどに差が出そうですが、このあたりは実際に試してみた上でレポートします。
量販店スーツで腕を伸ばしたところ
HYBRIDBIZ(R) スーツ で腕を伸ばしたところ
●ビジネスシーンで着てみる
実際に HYBRIDBIZ(R) スーツ を着用して出勤してみました。検証のため、2日間連続して着てみましたが、全体を通して感じたのは、その軽快さです。これは、重量が軽いということに加え、その伸縮機能により圧迫感をあまり感じないことが影響していると思われます。
電車は混雑を避けるため敢えて急行列車を避け、普通列車に乗っているので、ラッシュ時でもたまに座れます。ただ、そのときには空いている隙間に体を押し込む形になるので、体が斜めになったり、肩をすぼめたりして、窮屈に感じることが多いのですが、HYBRIDBIZ(R) スーツ を着ていると、姿勢自体は変わらないものの、スーツが滑らかに動いてくれるので楽に感じました。
また、電車に座ったとき、特に大腿部が張った感じになるので、いつもは、いったん腰を浮かせて布地を動かすことで調整していましたが、HYBRIDBIZ(R) スーツ ではその必要はありません。下の写真は、椅子に座ったところを自宅で撮ったもので、見た目には張ったように見えますが、生地が広がって圧迫感はほとんどなく、最初に座った状態のままでも違和感は感じません。
オフィス内でも 敢えてエレベーターではなく階段を使ったりと、HYBRIDBIZ(R) スーツ を着てガンガン動きまわってみましたが、引っかかる感じや締め付ける感じがほとんどなく、スーツを着ていることを意識させません。その分、自然とアクティブに動いてしまうため、耐久性等を考えると、このスーツが2パンツ仕様となっているのは正解だと感じました。
このように着心地は極めて快適でしたが、唯一気になったのは、その軽快さゆえか、前のボタンを留めずに歩いていると、スーツの裾の部分がひらひらと横に広がってしまうことです。帰宅後にあらためて HYBRIDBIZ(R) スーツ を見てみると、スリットが中央部分に一つあるセンターベントではなく、両サイドに二つあるサイドベンツ仕様になっていました。
一般に、サイドベンツの方が、両サイドに切れ込みが入っているので、センターベントよりも 動きやすく、突っ張った感じがなくなるといわれており、HYBRIDBIZ(R) スーツのコンセプトには合っているといえますが、私としては裾の部分にはあまり動きがない方が好みで、センターベントの方が良かったかなと思いました(ちなみに、持っているスーツを確認したところ、すべてセンターベントでした。)。
●スーツを着たままトレーニングをしてみる
HYBRIDBIZ(R) スーツ のパンフレットにもあるように、超伸縮性スーツの効果を最もよくアピールできるのが、トレーニングのような激しい運動をしてもスムーズに動け、かつ型崩れをしないということですので、実際に試してみます。
もともとスーツとは関係なく、健康のため毎日自宅で、ダンベル、プッシュアップバー、スピンバイクを使ったトレーニングをしていましたので、それぞれ、HYBRIDBIZ(R) スーツ を着たままやってみます。
まずはダンベルです。1個3kgとそれほど重くはありませんが、しっかり握っておかなければならないので上腕部分にも力が入りますし、肘を曲げる動作も入るのでスーツには大きな負担がかかります。しかし、超伸縮機能のおかげで、スーツを着ていることを全く意識させないほどスムーズに運動できます。
次に、スラックスに負担をかける屈伸運動です。大腿部や臀部に負担がかかるはずですが、これも極めてスムーズに動きます。A4サイズのスラックスだとほとんど余裕なくくフィットしているため、他のスーツだと、しゃがむときには、はずみで破けたりしないよう気を使っていましたが、HYBRIDBIZ(R) スーツ の場合、伸縮性があってスポーツウェアに近い感触のため、運動の方に集中できます。
続けて、全身運動となるプッシュアップバーを使った腕立て伏せです。普段ならスーツを着たままやることなど考えつきもしませんが、敢えて挑戦です。やってみると、スーツの腕回りや背中の方に負担がかかりましたが、全く問題なしです。型崩れもしていません。
最後にエアバイクで激しい動きをしてみます。普段の生活でも、スーツを着て自転車に乗ることは十分あり得ますので、これについては現実的な検証といえるでしょう。結果は、ご覧のとおり回転をあげてペダルを踏んでも全く問題はありません。ただし、実際に自転車に乗る場合には、股ずれに気を付ける必要はありそうです。
●まとめ
これまで、既成のスーツはどれも同じようなものというイメージがあり、価格優先で選んできたように思います。そのような中、この HYBRIDBIZ(R) スーツ は、超伸縮性という付加価値を付けることによって差別化を図ってきました。それがどの程度のものか、言葉だけではよく分かりませんでしたが、実際にお店で着てみると、袖を通した瞬間に明らかに違いが分かり、思わず感動して笑みがこぼれたほどでした。
惜しむらくは、見た目では他のスーツとの違いがほとんど分からないため、いかに試着してもらってその着心地の違いを実感してもらうかが普及のカギのような気がします。もっとも、この見た目は変わらないということもまた重要で、ビジネスの場面において、ストレスのない着心地を実現しつつ、フォーマルな雰囲気も維持できるということでもあります。
また、「スーツを着たままのトレーニングをも可能にした」ということで、比較的体を動かす機会の多い外勤のビジネスマンに向いていると考えがちですが、このストレスのない着心地は、同じ姿勢でのデスクワークの多い、内勤のビジネスマンにこそ相応しいと感じました。
ところで、体にフィットするという意味では、最近注目を浴びているオーダースーツも選択肢に入ってくると思われます。 HYBRIDBIZ(R) スーツ のアドバンテージは、見た目では分からないストレスフリーな着心地にあり、十分太刀打ちできると考えますが、価格があまりに高いようだと二の足を踏んでしまいます。今回のスーツについては値札を見なかったので、価格は不明ですが、最近はオーダースーツでも3万円を切る価格で買えますので、それを超えるようなら厳しいかもしれません。
いずれにせよ、一昔前は、スーツといえば10万円くらいするのが当たり前で、それを大切に着続けたものですが、いつの間にか価格がどんどん下がり、消耗品として扱うようになっていました。
今回、久々に愛着のわくスーツに出会えましたので、着心地を楽しみながら大切に着ていこうと思います。
Gochisoさん
2017/05/08