●初めての「こだわりのPCケース」
自作歴は15年とそこそこ長いですが、正直、これまでPCケースにはそれほどこだわってきませんでした。これまで使っていたものは、プレミアムレビューをするため急遽購入したもので、価格優先でしたから、当初からあまり満足度は高くありませんでした。
また、その前のものは、そもそも自ら購入したものではなく、PC雑誌の読者プレゼントで当選したもので、結構気に入ってはいましたが、何かこだわりがあるという訳ではありませんでした。
しかし、色々ケースを使ってきて、やはり毎日目で見て触れるものだけに、PCケースの外観や質感も大事ではないかと思うようになり、また、そのサイズも、もっと空間を活かした適度な大きさのものはないかと考えていたところ、今回のレビューの募集があり、応募した次第です。価格的にも直近の実勢価格が1万4000円前後となっており、自分としては初めての高級ケースということで期待値は高いです。
前置きが長くなりましたが、上記の手持ちのケースとも比較しながら、Define Mini C - Window の使い勝手等についてレビューしてまいります。
●サイズ等についての第一印象
通常の ATX ケースより小型ということで、もっと小さいものを予想していましたが、届いた外箱を見た第一印象は、「あれ、結構大きいな」というものでした。
箱から出した本体は、高さや奥行きは抑えられている一方、横幅が広く、少しずんぐりしたフォルムです。やはり、あまりコンパクトという感じはしません。
そこで、手持ちのATXケース(GUNTER-BK)とMini-ITXケース(Elite120 )を横に並べて比較してみました。ATXケースと比べると、奥行きは短いが、高さはほぼ同じで横幅はやや広い、Mini-ITXケースと比べると、高さは倍以上だが、奥行きはほぼ同じで横幅はやや狭いといった感じです。
こうして見ると、Mini-ITXケースにしては無駄に大きいと感じていた Elite120 ですが、やっぱりコンパクトだったんだなと、少しだけ見直しました。
ただし、使い始めて分かることですが、Define Mini C については、その奥行きの短かさが実は重要で、デスク上に置いたときでも圧迫感がないというメリットがあります。そういう意味で、どこの部分でスペースをかせぐかについてよく考えられた設計だといえます。
さて、箱の中身ですが、本体のほかは簡単なユーザーガイドが1冊入っているだけです。このガイドは、9か国の言語が併記されているもので、一応日本語も入っていますが、説明自体は非常に簡略なので、図面と一般的なケース組み立てのノウハウを参考にするのが現実的です。
●組み立ての準備
このようにガイドが簡略ということもあり、まず、最初に手間取ったのが、上記の画像にもある組み立てに必要なネジ等の部品が入っているアクセサリーボックスが見当たらないことです。ケースの中をよく見てみると、ケースの底部にある3.5インチドライブケージの中に白い箱のようなものが見えるので、これではないかと思うのですが、取り出し方がなかなか分かりません。
色々試行錯誤して苦労しましたが、結局、単に、右側パネルを取り外せば良かったようです。一番最初の作業なだけに、迷わないよう、ガイドに一言書いておいてもらえれば良かったと思います。
こうして取り出したアクセサリーボックスの中には、組み立てに必要なネジ等が入っており、ガイドに記載の数がそろっていることを確認しました。
なお、もう一つのパーツとして、オプションの磁気防塵フィルターがありますが、これは、側面カバーとの間に入っており、簡単に取り出せました。
●組み立て作業その1(MicroATXのマザーボード)
実際の組み立てに入ると、作業はとてもやりやすく、順調に進んでいきます。まず、ガイドに従い、電源の取り付けを行います。今回は、GUNTER-BKに付属していた500Wの電源を流用しました。
この電源を、先ほど外しておいた電源取り付け用の枠にネジで固定します。
その上で、この枠の付いた電源を本体に挿入し、枠ごとネジで本体に固定することにより電源の取り付けが完了します。枠のネジは手で回すことができます。
次にマザーボードを取り付けるためのスタンドオフ(スペーサー)を取り付けます。パーツの中にドライバーでネジ止めする際のアダプタが付いているので、これを使うと、ねじ回しも楽です。
スタンドオフを取り付け終えたのが下の画像になります。マザーボードに付属のI/Oシールドも予め取り付けておきます。
なお、このうち中央右側の穴には、あらかじめ謎の黒いスペーサーのようなものが付いていたので、取り外し、スタンドオフに置き換えています。未だに、何でこんなものが付いていたのかは不明です(ガイドにも記載はありません。)。
あとは、これにMicroATXのマザーボードを取り付けて固定します。今回は、GUNTER-BKに付けていたGIGABYTEのGA-H61M-USB3-B3を使いました。
次に、システムの入ったSSDドライブを取り付けます。Define Mini C では、この取り付け位置が変わっており、サイドパネルとの隙間(マザーボードのちょうど裏側)に2.5インチドライブ用の取り付けボードがあり、ネジで取り外しができるようになっています。
このボードを取り外した上、SSDをネジ止めし、元に戻すとこんな感じになります。
次に、前面I/Oパネル用接続ケーブルをスリットからマザーボード側に送り込み、マザーボードの対応コネクタに接続します。同様に、電源ケーブルの中から必要なものをスリットを通してマザーボード側に送り込み、接続します。また、先ほどのSSDにも電源をつなぎ、マザーボード側から引っ張ってきたSTAケーブルをつなげます。
ただ、この電源ケーブル等の取り回しが結構シビアで、通常のスリットから通したのでは、4ピンのCPU電源がコネクタまで届きません。
そこで、SSDの上部のスリットから通すことによって何とか接続することができました。
このようにケーブルの取り回しには苦労はするものの、その分、マザーボード側は非常にすっきりした印象になります。このマザーボードを付けていたGUNTER-BKの内部の様子と比べてみると、その違いは明らかといえます。
これは、電源をケース下部に設置した上、シュラウドで覆い、電源ケーブル等はサイドに収納して、必要なものだけをスリットを通して引いてくる構造になっているからです。このことのメリットしては、エアフローが良くなり、冷却機能がアップすることのほか、特にDefine Mini C - Window の場合は、アクリルパネルを通して中が見えるようになっているため、美観上も意味があります。
その分、右サイドパネルの内側は若干ケーブルでごちゃごちゃしますが、パネルで隠れてしまうので問題ありません。
このパネルですが、これがまた秀逸です。高密度の吸音素材が搭載されており、ずっしりとした重さがあり、いかにも静音性が高そうです。また、本体と合わせたときもピタリとはまり、加工精度の高さも申し分ありません。更に、細かいことですが、ネジを緩めたときにネジが外れないような構造となっており、紛失の恐れもありません。この辺りは、安物のケースとの違いを実感するところです。
●組み立て作業その2(Mini-ITXのマザーボード)
次にMini-ITXのマザーボードを組み込んでみます。使うのは、Elite120 に付けていたASRockのZ97M-ITX/acです。
また、電源も、同じくElite120 に付けていたSilverstoneのSTRIDER ESSENTIAL 500Wを使います。
取り付けたところは下の画像のとおりです。MicroATXのマザーボードでも余裕がありましたが、Mini-ITXだとスカスカといってもいいくらいスペースが余っています。
ところで、組み立て作業その1では、SSDを2.5インチドライブ用の取り付けボードに設置しましたが、恒常的に使うことを考えると、吸音素材が貼られたパネルで密閉する形となり、夏場などはドライブの温度上昇が不安です。
そこで、今回は、PSUシュラウドの下のフロントパネル側に固定しておいた3.5インチドライブケージに取り付けることにしました。
このケージには、ドライブを固定するプレートが2枚付いており、これは簡単に手で引き抜くことができます。そして、本来は3.5インチドライブ用ですが、2.5インチドライブも取り付けられるようになっているので、SSDドライブをネジ止めします。
そして、これをケージに戻せば設置完了です。
次に、このSSDに電源ケーブルとマザーボードから持ってきたSTAケーブルをつなげた上、前面I/Oパネル用接続ケーブルや電源ケーブルのうちATXメインコネクタ等、必要なものをスリットからマザーボード側に送り込みます。
最終的に、接続が終わると、マザーボード側は、こんな感じになります。配線を極力マザーボード側に出さないように気をつけると、ここまですっきりします。同じパーツを組み込んでいた Elite120のときと比較すると、その違いは歴然です。Elite120の場合は、夏場はCPU温度が上がり、CPUファンが爆音を立てていましたが、そんなことはもうなさそうです。
●使用した感じ(インプレッション)
完成したPCをデスクの上に置いたところですが、奥行きがあまりなく、高さも抑えられているため、特に違和感は感じません。
これに対し、通常のATX用ケースの場合は、高さと奥行きがあるため、デスク上に置いたときは圧迫感が出てしまいます。実際、このケースをメインマシンとして使っていたときは、デスクの下に置いていました。
メインスイッチやオーディオ用の端子、USB端子は全て前面パネルの上部に集まっています。個人的には、前面パネル自体に付いている方が使いやすいと思いますが、その分、前面パネルはスッキリしており、見た目の印象も高級感があります。
Define Mini C を見て感じるのは、エアフローと防塵に対するこだわりです。まず、吸気は、前面パネルの横のスリットから行う仕組みであり、120mmの大型静音ファンが設置されていますが、オプションで120mmまたは140mmのファンを追加することができます。そして、ケース内部への埃の侵入を防ぐため、全面を覆うフィルターがついています。
また、底面に電源を設置している関係で電源の吸気は底面から行うことになりますし、底面にもオプションで120mmのファンが設置できるようになっていることから、底面を覆うフィルターもついています。
フィルターなしの状態 底面フィルター フィルターありの状態
さらに、上部についても、デフォルトではプレートで覆われていますが、これを外し、120mm又は140mmのファンを追加することができます。そして、その際には、オプションの磁気防塵フィルターを取り付けることになります。
デフォルトの状態 プレートを外した状態 フィルターを付けた状態
今回のレビューに当たり、Elite120からパーツを取り外す際に気付きましたが、埃が結構パーツの細かいところまで入り込んでおり、接触不良を犯しかねない状態でした。防塵については、ケース選択の際の重要な要素だと改めて感じました。
ところで、応募の際には、オプションでファンを追加することも宣言したのですが、手持ちには、92mmのファンしかありませんでした。
しかし、LED付きであり、アクリルパネルで中が見えるようになっているDefine Mini C - Windowにはうってつけであることから、何とか使えないか試してみました。そうすると、4か所のネジ止めは無理ですが、片方、2か所なら可能であり、以下のような感じで取り付けることができました。
起動させてみると、こんな感じでエアフローの強化とともに、少しだけ華やかな感じになります。
これだけスペースがあり、LEDで照らすこともできるとなると、ここにフィギュアなどを置くともっと楽しめるような気がします。今回は適当なものがなかったので、カピバラさんに中に入ってもらいました。
最後に、Define Mini C を使ってみて感心したのは、その静音性の高さです。パネル等に取り付けられた吸音材の効果もあるようですが、電源を下部に設置し、シュラウドで覆ったことも大きいと思います。いずれにせよ、ケーブル等をパネル側にまとめるなど、ケース内部をいくつかのエリアに分けるという発想は、なかなか素晴らしく、使い勝手の向上に大きく貢献していると感じました。
(2021年9月追記)
CPUを第10世代の Corei5 10400fに変えるため、マザーボードごと交換しました。
ちなみに、写真に写っている水冷式クーラーは以前にプレミアムレビューをしたものをそのまま使っています。このケースは、本当に使い勝手がよく、中身は変えても、ケースを変える気持ちは全く起きません。これからも末永く使っていきたいと思います。
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