去年あたりから弟の助言もあって、白いシャツを着るようになりました。そのとき一番悩んだのが、アンダーシャツ。それまではネルシャツを着ることが多かったため、アンダーは白とか黒とか適当に着てましたが、白黒だと白シャツでは非常に透けてしまいました。
色々試すうちに「灰色」なら境目が見えにくいことはわかったものの、灰色のシャツは柄物ばかりで無地のは1枚しか持っておらず、白シャツは灰色シャツが洗濯機に入るたびに着られなくなるシャツになっていました。
そんな折に今回のプレミアムレビュー!伊勢丹メンズとジグソーのコラボ企画第3弾、シーク・UネックTシャツのレビュワーに選んでいただきました!
! ISETAN MEN'Sとは
ISETAN MEN'S × ZIGSOW コラボ企画 第3弾
「SEEK(シーク) CUT OFF PREMIUM(UネックTシャツ)」
ISETAN MEN'Sとは、「こうありたい」という自分のスタイルを持つ男性のために価値のある商品、いわゆる「本物志向」のアイテムを提案する、伊勢丹のメンズ専門店だそうです。そしてSEEKブランドは、このISETAN MEN'Sが取り扱う、下着メーカー・グンゼが開発した下着となります。
しかしレビュー品のこのシャツ、肌色。肌色の下着っていうと、どうしても祖父が着ているモモヒキとかのイメージが強くてやや抵抗がありました。が、調べてみると最近は肌色下着が「透けにくい」ということで結構人気が出てきているんだとか!ユニクロでも売ってるそうです。
というわけで、この肌色のUネックTシャツを勇気を出して着用し、ユニクロの肌色のシャツ(エアリズム)や、ユニクロが最近「高級綿」として売り出しているスーピマコットンのアンダーシャツと比較してみたいと思います。
! 比較ポイントは2点
・着心地が良いかどうか
・アンダーシャツのラインがシャツの上から見えるかどうか(ツキノワグマ対決)
この2点で比較しレポートしたいと思います。
ツキノワグマ対決とは、はい、今勝手に命名しました。昔「ツキノワオヤジ」なんていう言葉がありましたが、これはシャツの上から下着のラインが見えて、首元に半月ラインがうっすら見えてしまうオヤジのことでした。要はそれです。ツキノワグマ感がより感じられるほうが負けとなります。
私はクマではありますが、断じてツキノワグマではありません。ツキノワグマに間違われるのは大変遺憾であります。というわけで上記の比較をし、最終的に「脱ツキノワグマ化」ができるかどうか、検証していきたいと思います。
※ただ、1つごめんなさい、本当は服を着てツキノワグマ感があるのをお見せしたかったのですが、どうやっても写真に撮れませんでした……。目では見えているのに!なのでちょっと別の方法で下着が透けている様子を見せたいと思います。
まず、比較のための前提条件として、使用した素材の説明からしていきたいと思います。
! 着心地の比較に使用したアンダーシャツ
今回着心地の比較に使用したアンダーシャツは次の3種。
A:SEEK UネックTシャツ・綿90%・ポリウレタン10% 肌色(今回のレビュー品)
B:スーピマコットン(ユニクロ)・綿100% 灰色
C:エアリズム(ユニクロ)・ポリエステル84%・ポリウレタン14% 肌色
便宜上、AのSEEK UネックTシャツをSEEKまたはシークシャツ、Bをスーピマ、Cをエアリズムと呼びますのでご了承ください。
超長綿のほどよいフィット感が心地よい
まずレビュー前に、SEEK UネックTシャツとは何か、といったところから始めたいと思います。
SEEK ブランドは、下着メーカーのグンゼが開発した「上質な着心地」を追及した製品シリーズです。袖口などの縫い目を無くして下着のラインをすっきりとみせる 「カットオフ」、2枚の生地をシームレスに接続する「フラットシーム」、ラベルを生地に直接転写することでラベルのチクチク感を無くす「転写プリントラベ ル」といった技術を使い、素肌に対するストレスを限りなく無くすことをコンセプトとしています。
カットオフ①
カットオフ②
フラットシーム
転写プリントラベル
! 超長綿とは
超長綿(ちょうちょうめん)とは、長繊維綿の中でも1本の繊維が35mm以上の長さを持つ、特に長い繊維長を持つ綿の総称です。
糸が長いと細くても丈夫な糸が造れるため、生地も薄く作ることができます。また一般的な綿に比べるとふっくらとしていて肌触りが良く、吸湿性が高いという特徴があります。さらに光の反射率も高く、シルクのような光沢がでます。
しかしながら一般的な綿に比べると採れる量が圧倒的に少なく、大変高価な素材となっています。また、薄いため摩擦には弱くなるため、洗濯機で洗う場合はネットの使用が必要となります。
SEEKのシャツはエジプトの超長綿使用とのことですが、GIZA45を使っているとは書かれていないので、それではない超長綿を使っているのではないかと思います。(もし使ってたらゴメンナサイ!)
ちなみにGIZA45は、ユニクロのスーピマコットンシャツで使われているピマコットン、それと海島綿(かいとうめん)とあわせて世界三大超長綿と呼ばれています。
! カットオフで境界が目立たない
シークシャツは商品名に「カットオフ」とありますが、このカットオフとはつまり「切りっぱなし」のことを意味しています。通常、服を裁断した後はその部分にバイアステープを付けたり祭縫いなどをして布がほつれないようにするのですが、カットオフTシャツはその処理をしていません。
例えば「手ぬぐい」なんかはカットオフの物がほとんどだと思いますが、手ぬぐいは長く使っていると端から徐々にほつれてきます。その代り、バイアステープなどを使わないため端が厚くならないというメリットがあります。
シークシャツはこのカットオフをしながらもグンゼ独自の特許製法で処理をしており、手ぬぐいのようにほつれることなく、下着と肌の境界をより見えにくいものにしています。
! 色がやや濃い
ここで、SEEKシャツとエアリズムを並べてみます。左がエアリズム、右がSEEKです。エアリズムに比べると、SEEKは色が濃いです。
写真の色と実物の色は、おそらくディスプレイの影響で再現はできていないと思いますが、色をたとえるとしたら、エアリズムが「午後の紅茶」なのに対して、SEEKは「小岩井のミルクコーヒー」といった感じでしょうかʕ→ᴥ←;ʔ
ただ、自分の肌が他人に比べてもかなり色白なほうなので、SEEKのほうは自分の肌の色とはかなり離れています。エアリズム側でもまだエアリズムのほうが濃いほど。上に手を置いてみると、その差がよくわかるかと思います。
! 袖が短い・襟元が広い
SEEKシャツの大きな特徴の1つに、「袖が短い」「襟元が深い」というのも挙げられます。いわゆるこれが商品名にある「袖短め」「Uネック」の部分に当たります。
これはスーツ用シャツを着る場合にはあまり気にならない点なのですが、実はポロシャツを着るときにはとてもうれしい仕様になるのです。
というのも、ポロシャツの多くは袖が短いため、普通サイズのTシャツをアンダーシャツに着ると、大抵袖から下着がはみ出すからなのです。また、ボタンははずして着ることが多いため、首元から下着が見えてしまうのは残念です。
次の写真は、ポロシャツを着たときの比較です。
左側は普通の丸首Tシャツ、右側がSEEK UネックTシャツです。
灰色のシャツでは袖口から少しだけ見えていて、首元もまるっと下着が見えています。それに対してSEEKシャツ側では袖からはみ出ず、第2ボタンまで外しているにもかかわらず首元もSEEKのシャツガ見えるということがありません。
続いて着心地についてのレビューに移りたいと思います。
! 素肌感がありストレスを感じない
シークシャツの手触りは、ほんの少しだけざらつきを感じます。例えるなら紙を触るような感触でしょうか。新聞紙ほどざらつくわけではありません。あくまで「シルクほどではない」程度です。
このざらつきは着たときにどうだろうと思いましたが、全く違和感がありませんでした。シャツ自体がとても軽く、素肌をまとう感覚、とでもいいましょうか。肌に触れる場所も滑らかで、擦れる感覚は一切ありませんでした。
ユニクロのエアリズムは、生地が人工繊維なためかツルツルとしていて例えると「メガネ拭き」のようです。素肌感は悪くはないのですが、シークシャツに比べるとやわらかすぎるため素肌への密着具合が高く、若干まとわりつく感じがします。
スーピマコットンのシャツは剛性がシークシャツよりも高く、こちらは肌にまとわりつく感覚が少なくはなりますが、今度はフィット感がだいぶ落ちます。手触りはシークシャツよりさらにもう少し強くざらつきを感じ、さらに今回の比較に使っているアンダーシャツ3種のうちでは最も重たいです。
なお、おそらくユニクロのスーピマコットンのアンダーシャツは、100%スーピマコットンを使っているわけではないようです。あくまで配合してるだけのようです。(出典)
! 生地がよく伸びるので体にフィットする
今回比較に使う3つのシャツはどれもよく伸びるのですが、シークシャツが一番良く伸びました。そのため、普段着ているシャツより少し小さめのサイズでしたが、程よく体にフィットします。弾性力が非常に低いため、体に負担がかかる感覚はありません。
エアリズムもよく伸びますが、こちらは前述の通りまとわりつく感覚があるため、フィットとはちょっと違う感じがします。また、首元が若干狭いため、首元を開けるシャツを着たときに、油断すると下着が見えそうです。
スーピマシャツはあまり伸びないため、小さめサイズだと体へのストレスが感じられます。また、こちらも首元が狭いため、首元のボタンを開けていると下着が見えてしまいます。
! 汗を書いてもサラサラ感が続く
我が家にはパピヨンのパコ様がいらっしゃいます。大変見目麗しい御犬様でいらっしゃいます。こちらのパコ様の毎日の御日課、「御散歩」に私クマがお供をさせていただいています。毎日帰ってくるころにはかなり汗をかいていますので、今回はこの3種のアンダーシャツを着て御散歩に行ってみました。
シークシャツはまず、ベットリとまとわり付く感じが全くありません。いつまでもサラサラ感が続いていました。これは超長綿の特徴の1つ、「吸湿性」の高さゆえではないかと思います。しかしながら、同じく超長綿を使っているはずのスーピマシャツでは、このサラサラ感は得られなかったのは、10%含まれているポリウレタンが理由かもしれません。
また袖が短めでも脇汗が服ににじんでくるということもありませんでした。さらにこの袖の短さでしたらポロシャツの下にも着れるのがうれしいところ。今までポロシャツは下着を付けずに着ていたので、下にシークシャツを着れば脇汗を気にする必要はなさそうです。
人工繊維だけで作られたエアリズムの場合も同様のサラサラ感はありましたが、エアリズムは乾いていてもまとわり付く感じがあり、さらに袖もシークシャツに比べると長め。なのでポロシャツにはシークシャツが一番適しているのではないかなと感じました。
また、洗濯も3回行いましたが、着心地が変わるということもありませんでした。前述しましたが、超長綿は摩擦に弱いため、洗濯の際は必ずネットに入れて洗ってくださいね。
とりあえず肌色アンダーなら正解、というわけではなかった!
! いざ対決……の前に問題発生!
それではいよいよ最後、下着の透けてる感を比べる「ツギノワグマ対決」へと移りたいと思います。今回SEEK UネックTシャツと対決するのは、白・黒のアンダー、そして灰色のスーピマコットンです。アウターシャツには薄手のリネンシャツを使いたいと思います。
とここで、重大な問題が発生しました。実際にツキノワグマ化している写真をお見せしようと思って写真を撮っていたのですが、なぜかカメラに全く映らないのです!鏡で見れば間違いなく見えるのに!なんでどうして!悩んでいてもしかたないので別の方法を取りました。
それは、腕にかけて撮影する方法!腕にアンダーシャツを載せて、さらにその上にリネンシャツをかぶせて撮影。これならなんとか境目は見えるかなというレベルで撮れたので、このやりかたで比較していきます。ツキノワグマを期待されていた方には大変申し訳ありませんが、ご了承願います。
! 今度こそ本当に、対決!
これは百聞は一見にしかずということで、とりあえず写真を見ていただきます。左から、SEEK、灰色(スーピマ)、黒、白の順で並んでいます。クリックすると拡大します。
もっとわかりやすいように、コントラストを上げてみました。
こうするとよりはっきりとわかるかと思います。左側2つは境目がうっすらとしているのに対し、黒は意識しなくとも見え、白にいたっては境目をまるで強調するかのようにはっきりとでてきてしまっています。
灰色が思った以上に健闘しました。SEEKと並べてみると若干SEEK側のほうが透けていないように思います。きっと私の肌色に近い、もう少し明るい色だったら、透けてる感はよりなくなっただろうと思います。
肌色なら何でもOK、というわけではなく、灰色でも下着はあまり透過しないという結果がでました。その理由については、次の項で説明していきたいと思います。
SEEKで脱ツキノワグマ化はできたのか?
! 明度差・彩度差が原因
最初、白シャツを着るときにツキノワグマ化するといけないと思い、どんなアンダーなら大丈夫なのかをネットで調べていました。が、いまいちわかりません。
白や黒がダメなのはわかっていて、肌色ならOKというのもなんとなくわかってはいたのですが、そのとき時間が迫っていたのに肌色のシャツは持っておりませんでした。最悪シャツ無しでいくか?とか考えながら、とりあえず色々な下着を着て調べてみました。
白はやっぱり透ける。それならと黒を付けてみましたが、それもやはり透けます。ふーん、じゃあ灰色は?と着てみると、なんと透けない!驚きました。白いシャツに白下着になら透けるのになぜか灰色だと透けないのです。
今回レビューを書くにあたって、あらためてネットを使って調べてみましたら、ちゃんと答えが書いていました。
東京家政大学研究紀要 第21集(2) p137~144, 1981
http://ir.tokyo-kasei.ac.jp/metadb/up/kasei/2011_k_0383.pdf
木曽山かね氏と雲田直子氏の1981年の研究論文のようです。すみません、あまり頭が宜しくありませんので内容を誤解しているかもしれませんが、こちらの論文はざっくり言うと「薄着の下に何色の下着を着れば残念な感じにならないか」というものです。
ただ、こちらは基本的に女性のための研究らしく、下着をつけていないように見えるのは逆にアウトなので、いやらしくない程度に見せるには何色がいいのかというのを説明されています。……と理解しましたが、合ってますかね……間違ってたらご指摘お願いしますʕ→ᴥ←;ʔ
そしてこちらには、下着が透ける原因としては色相より明度差・彩度差のほうが重要であると書いてあります。つまり、肌色に近いかどうかではなく、自分の肌と明度・彩度が近いかどうかが重要だということです。
明度というのはこんな感じです。下の図は右が75%、左が-75%の値に設定しています。これが100%・-100%になると、白一色・黒一色になります。
彩度は色の鮮やかさです。これも写真を見たほうが早いと思います。彩度は0だとモノクロになります。下の写真だと左側が彩度0になります。(ちなみにこの写真は鞍馬天狗で有名な鞍馬です。)
つまり「肌色の下着がなかったので灰色の下着を選んだ」という私の選択は正しかったわけです。灰色がOKだったので、明度差については薄々気づいてはいましたが、彩度差も影響したんですね。調べてみて初めて知りました。
! 明度差・彩度差が境界が見える原因
結論としては次のことが言えると思います。
- 下着の色は、肌と明度・彩度が近ければ近いほど透けてる感が少なくなる
- 明度・彩度が近ければ、色相は違っていても透けにくい
- ただし、明度・彩度がほぼ同じであれば、より肌色の色相に近いほうが透けにくい(上記の東京家政大学の論文より)
- 白や黒の下着はありえないほど透けるから、白シャツのアンダーに着用するのは厳禁!
この点を踏まえた場合、やはり肌色のアンダーシャツというのは理にかなっていますね。肌色のアンダーシャツは、明度・彩度が人間の皮膚の色に近づき、さらに色相も肌の色に近づくため、灰色よりももっと下着が透けにくくなる、ということが言えると思います。
もし今、スーツの下に白いワイシャツを着ていて、さらにその下に白いタンクトップなんかを着ている方は、ぜひ一度この肌色のSEEK UネックTシャツを着てみてはいかがでしょうか。
いいわけっぽいですが、写真のところで非常に手間取りました。自分の肌を露出したくなかったわけではなく、本当に写しにくかったです……ʕ→ᴥ←ʔ
普通のデジタルカメラとNexus7しかなかったため、タブレットで自撮りしてみたりタイマーセットしてデジカメで撮ってみたり、場所を変えてみたり、色々やったんですが、やっぱり首元にうまいことツキノワグマが出てきてくれません……。結果としてこんな形の写真となってしまいましたが、見ていただいた皆様の参考になりましたでしょうか。
そして最後になりましたが、このたびはジグソープレミアムレビューのレビュアーにご選出いただき、ありがとうございました。関係者各位に改めて感謝申し上げます。
後半は主にアンダーシャツの色についてのレポートのようになってしまいましたが、株式会社三越伊勢丹様のご期待に沿うレビューとなっていましたら幸いです。
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