レビューのアップがだいぶ遅くなり、かなり迷惑掛けてしまった芝吉です。
その分、本ゲームの魅力が皆様に伝わるように頑張って書きたいと思います。
さて、タイトルにも書きましたが、本ゲームは「100年遊べるゲームのひとつ」と言っても過言ではありません。まぁ、表現が大げさと言えば大げさなのですが、100年やっても飽きが来ない面白さと、奥深さがあるのは確かです。たかだかゲームと思うかも知れませんが、この作品には、鉄道会社を経営するというプレイで、交通、建設、物流、損益、銀行、税金、株式、土地取引と現代の資本主義社会の基礎ともいうべき部分をダイナミックに体験することができ、シミュレーションゲーム好きなら誰でもハマる中毒性の強いゲームです。A列車シリーズはPC用、ゲーム機用など実に20ものバージョンがありますが、最新作たるこの「A列車で行こうDS」が一番の良作と言えるでしょう。ニンテンドーDSというハードウェアが今後何年続くかはわかりませんが、アートディング社様がある限りは、その時旬なハードウェアに移植してシリーズは続けて欲しいものです。
なにがそんなにいいのかって?
正直、一言では語り尽くせない奥深さなので、いくつか要点に分けて説明したいと思います。
■そもそもA列車で行こうDSとは?
古い話になりますが、PC98シリーズというパソコンが90年代にNECから出ていたのをご存じでしょうか? 今のパソコン系が好きな人なら名前ぐらいは聞いたことがあり、30代から40代ぐらいの人なら「ああ、必死にconfig.sysを書いたよ」という人もいるでしょう。かく言う私もメインメモリーを確保するために必死に書いた経験があり、その影響でPC周辺機器メーカーにまで就職してしまったのですが、実は本ゲームの基本システムはPC98用のソフトとして1993年に発売された「A列車で行こうⅣ」の流れをくむものです。ちなみに、PCでプレイしたいという方はWindows用の「A列車で行こう7」も同じくこの「A列車で行こうⅣ」系列のシステムを採用していると言っていいでしょう。17年も前のゲームシステムなんて単なる焼き直しでは・・・と思う人もいるかも知れません。しかし、チェスの起源が紀元前にさかのぼるように優れたゲームのシステムはいつの時代でも人々に好奇心と中毒性を与えるものです。「A列車で行こうⅣ」のシステムは既にこの時代を超えた面白さに達していると言えるでしょう。かく言う私も鉄道もシミュレーションゲームも好きだったため、「A列車で行こうⅣ」は寝食を忘れるぐらい夢中にプレイしました。さらに、それを受け継いだ「A列車で行こう7」も同じく朝になるまでプレイしすぎて、一睡もしないまま会社に行ったという記憶もまだ新しいです。
「A列車」というタイトルと列車が箱庭を走る画面だけ見ると、単なる線路を引いて列車を走らせる箱庭ゲームに思えるかも知れませんが、「A列車で行こうDS」はそんな単純なものではありません。線路を引いて列車を走らせるのはあくまで手段であり、目的は鉄道経営し、利潤を出して会社の価値を高めたり、街を発展させていくことです。よって、本ゲームは高度な経営シミュレーションとも言えるでしょう。
■私鉄とは、つまりリアル版「A列車で行こう」なのだ
ちなみに、リアル版「A列車」と言える例の一つが大阪の阪急電鉄です。実は他にも東京の東急など多くの私鉄とその沿線の街は各鉄道会社がリアル「A列車で行こう」ともいうべき会社経営と沿線開発で出来たモノだって知ってますか? 阪急電鉄の沿線はもともと大きな街はなく田園が広がっていましたが、阪急電鉄が路線を造り、沿線開発を行ったため、今のような姿になったのです。女性に人気の宝塚歌劇団も実は街に人を呼ぶための魅力作りの一つだったんですね。「A列車で行こうDS」では全く同じように田園に路線を引いて駅を作り、商業施設を建設したり、住宅を分譲したりと阪急電鉄と全く同じ都市開発をダイナミックに体験することができるゲームです。主人公のレベルを上げるRPGもいいですが、自分の街が発展して成長する姿を見る醍醐味は一度ハマると止められない魅力があります。
■人・モノ・金の三原則がここにある
経済の基本として人・モノ・金をどう運用するかが鍵になると言われてますが、本ゲームも同じです。鉄道を敷いていかに人を運び利益を得て、街の発展に必要な資材(モノ)を貨物列車で工場から運んで供給(物流)し、発展させて金を増やしていく。これを上手く回すのは現実でも「A列車で行こうDS」でも労力がいりますが、上手く回すための知的作業と、上手く回せたときの快感は堪えられないものがありますね。
■基本は簡単されど奥深い
「A列車で行こうDS」の基本は駅を作り、線路を敷いて列車を走らせることです。しかし、現実と同じように適当に作ったのでは収益の上がる路線にはなりません。駅のロケーションによって鉄道を利用する乗客数は異なるため、駅をどこに作るかがポイントになります。多くのマップにはキーとなる街や商業施設があるため、そこに駅を作り、人が移動しそうなロケーションの駅と線路で結びます。例えば娯楽施設や工場、オフィスビル街と住宅街を結ぶ路線は行楽客や通勤客が利用するので収益が上がります。これは現実の人の流れと全く同じ法則がゲームにも適応されているのです。また線路の敷き方にも工夫が必要です。なぜなら、本ゲームには固定資産税という項目があるため、線路を敷いている土地に税金がかかるのです。しかもその土地の税金にはリアルに評価額も付加されるため無駄な線路は敷設費用がかかり資金を使うだけではなく、税金も高くなるのです。さらに走らせる列車も車輌の輌数によって運行費用が違うため、無駄な車輌をつなげておくと、すぐに赤字路線に転落する場合があります。無駄なコストをなくしてコストを抑えつつ売り上げを上げて利益を出す。これをいかにやるかが「A列車で行こうDS」の奥深さです。しかも、マップ上には街や海、山など様々な地形があるものの、線路の敷き方には無限の可能性があり、そこがプレイヤーの腕の見せ所です。従って、1度プレイしただけでは効率的な線路の敷き方を追求するのが難しく、何度もプレイして最良のプランを見つけたくなるのがこのゲームの中毒性の一端といえるでしょう。
■洗練されたサブ要素
「A列車で行こうDS」というタイトル通り鉄道をどう敷いて、どう列車を走らせるかというのが基本なのですが、本ゲームの魅力はこれだけはありません。なんと株式と土地の売買があるため、株の売買や自社株の売却で株で資金を増やしたり、安いときに土地を買っておいて、周辺を開発し地価が上がったらそれを売却して資金を得るといったことも可能なのです。しかも、銀行というシステムまであるので、資金が心許なければ条件が許せば資金を借りることもできます。もちろん、現実と同じように利子がつくため、返済期限までに利益を出す必要があるというシビアなシステムすらあるのです。さらに法人税など現実と同じように税金が課せられるため、資金の運用には税金の支払いも考慮する必要があります。これらの条件をクリアしつつ、利潤を増やしていく。サブ要素とはいえこれだけの要素があるのはゲームとしてかなりのやりごたえを感じます。
■一見難しそうに見えるが実は入りやすい。
そんな会社経営なんて分からないという場合でも心配いりません。「A列車で行こうDS」はシリーズ中もっともチュートリアルが親切なゲームです。正直「A列車で行こうⅣ」ではいきなり何もないマップに放り出されるため、慣れないと面食らうのですが、「A列車で行こうDS」ならば鉄道運行のイロハから会社経営まで秘書役のキャラクターがわかりやすく順を追って説明してくれるため、チュートリアルをプレイして気付いたら一通り覚えていたという感じになるでしょう。しかも、「A列車で行こうDS」では、「住民の数を1万人以上にする」など明確なクリア目標が設定されているため、シリーズ中では一番プレイしやすい作りになっています。
■見ていて飽きない「3Dカメラモード」
せっかく発展した街を住人の視点で見てみたい。電車の運転手のように自分の路線の風景を見たい・・・そんなことが「A列車で行こうDS」ではできるんです。基本は上から俯瞰したようなマップですが、「3Dカメラモード」で街を散策したり、列車やバスに乗ったりと様々な体験ができます。実はこれが意外に楽しくて、会社経営そっちのけで一晩やりこんでしまうほど楽しいプレイです。
さて、まだまだ魅力もあるのですが、ここで一端筆を置いて次はプレイレビューをしていきたいと思います。
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