VAIO type F × Intel SSD 320
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目次
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はじめに
準備編
作業編
検証編
おわりに
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はじめに
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この度、Intel SSD 320 Series (300GB) のプレミアムレビューをさせていただくことになりました。
私にとって、SSDを使用するのははじめての経験となりますので非常に楽しみでもあり、やりがいも感じています。
(実は、フツウじゃないExpressCard型のSSDでしたら使用経験があります。でも使い方としてはUSBメモリ的で、内蔵HDDの置き換えを意識したものではありませんでした。)
どうぞよろしくお願いいたします。
この度私がSSD換装のミッションを与えられたノートパソコンはこちらです。
SONY VAIO Type-F VPCF138 (以下VAIO type F)
そしてこちらが、このたび送られてきたSSDになります。
Intel SSD 320 Series 300GB (以下 Intel SSD)
準備編
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・まずは情報収集から。
取扱説明書を一読。
基本的にユーザーが行えるハードウェア的な拡張はメモリ増設(交換)のみのようです。
HDDの交換方法についての記述はありません。(SSD換装は改造に当たり自己責任ということになりますか)
→製品情報リンク[SONY]
http://vcl.vaio.sony.co.jp/product/vpc/vpcf138fj.html#main_contents_section_product
もう少しGoogle先生に聞いてみると…海外モデルのHDD交換指示書(英語)を発見しました。
→VPCF1 Series Hard Disk DriveReplacement Instructions
正しい交換方法が分かって一安心です。
ドライバー1本あれば可能な作業。もともとオーナーメード可能なモデルだったので部品交換はしやすい設計のようです。
キーボードはずしたり…といったような面倒な作業は必要なく、換装自体は難しいことが無さそうだったので内心ホッとしました。
・作業計画をたてる
これから内蔵のHDDをIntel SSDに換装する訳ですが、
Windows7をクリーンインストールではなく、現行のHDD上にあるパソコン環境をそっくりそのままIntel SSDに引っ越したいと思います。
それにはいくつかの方法が考えられます。
・インテルが提供する移行ツール『インテル(R) Data Migration Software』を使う
(ここhttp://www.intel.com/jp/consumer/Shop/diy/features/ssd/migration/index.htmで入手)
・市販ソフト(『ファイナルハードディスク入れ替え』、『完全ハードディスク交換11』など)を使う
・フリーソフトを使う(『EASEUS』など)
・Linuxを使う?(ddコマンド?)
しかし、今回は上のような方法ではなく、Windows7に標準の「システムのバックアップと復元」を使う方法を採用したいと思います。
「Vista」では上位エディションのみに搭載されていたこの機能でしたが、「7」では全エディションで利用可能になりました。
わざわざ新しくソフトウェアを導入する必要がない、というのがその理由です。
ただ、一時的なディスクイメージの書き出し場所として外付けHDD(USB接続またはeSATA接続)が必要になります。
・ちょっとした問題
さて、VAIO type FにもともとついていたHDDの容量は500GB。Cドライブ1パーティションの構成でした。
今回、引っ越し先となるIntel SSDの容量は300GB。
引っ越し先の容量が不足しています。
大容量のSSDはまだまだ大変高価ですので、大容量(でも中~低速)のHDDから少容量(そのかわり超高速)のSSDに引っ越すケースは非常に多いパターンだと思われます。
このまま引っ越しを強行すると、バックアップしたイメージを復元する段階で失敗するかもしれません。
そのため、あらかじめCドライブの300GB未満に容量を縮小しておくことにします。
というわけで、
【作業の流れ】
(1)Cドライブの縮小(500GB→300GB未満)
(2)バックアップ作成
(3)ドライブの換装(HDD→SSD)
(4)バックアップから復元
(5)動作確認
という手順で以後の作業を進めていきたいと思います。
準備編
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計画に基づいて、作業を開始します。
(1) Cドライブの縮小(500GB→300GB未満)
「コンピューター」を右クリックして「管理」を選びます。
「記憶域」→「ディスクの管理」を開いてから、
(C:)のところを右クリックして「ボリュームの縮小」を選びます。
(「回復パーティション」や「System Reserved」領域は触らないほうがいいでしょう。)
しばしの計算時間のあと、縮小させるサイズを指定する画面が現れます。
SSDの容量(300GB)以下でキリのよいところ、ということで縮小後のCドライブが 250000MB になるように設定しました。
ボリュームの縮小作業は数分程度で完了します。
縮小した分、未割り当ての領域ができています。
私の場合、70GB程度しか使用していなかったので問題はありませんでしたが、もしデータの量が多く、SSDの容量以下に減らせない場合は、不要不急のデータを削除する、外付けHDDに退避させるなどの対策が必要になります。
(2)バックアップ作成
つづいてバックアップの作成に入ります。
まずバックアップの保存先とする外付けHDDを接続します。
今回私は、以前から所有していたHDDケース「corega CG-HDCEU3000F」(USB2.0&eSATA両対応)を eSATA で使用しました。(写真手前)中身は WDC WD15EARS (1.5TB)です。
eSATAを使ったのは、VAIOにeSATA 端子がついていたから、です。
むろん一般的なUSB2.0接続の外付けHDDで困ることはないと思います。
むしろこのHDDケースのeSATA接続はホットプラグ非対応なので外付けドライブとして常用するには若干不便です。
|【おまけ】
|ケースに入れた3.5インチHDD WDC WD15EARSのベンチ結果
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|USB2.0接続
|
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|eSATA接続
|
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|eSATA接続は基本的にSATAそのものなので、HDDの素に近い性能が出ています。
|USB2.0接続より圧倒的に速いです。
|
それでは、バックアップ(内蔵HDDのイメージ)作成にはいります。
「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ:バックアップの作成」
「システム イメージの作成」(左上あたり)を選択
バックアップの保存先を指定。接続した外付けHDDを選びます。
パックアップの設定を確認。
確認したら[バックアップの開始]ボタンを押す。
(完了を待つ)
続いて、この画面が出ます。
復元時にVAIOを起動するための「システム修復ディスク」を作成を促されます。
これもウィザードに従えばとくに問題はないでしょう。
光学ドライブに 空のCD-Rメディアを入れて…
(待つ)
焼きあがったCDには「修復ディスク Windows7 64ビット」と書いておきます。
これでバックアップの作成が無事完了しました。
所要時間は、
システムイメージの作成 (C: 250GB 他、実容量約80GB) に約22分、
システム修復ディスクの作成(CD-R) に約3分、
といったところでした。
これで元から付いていた内蔵HDDを取り外す準備が整いました。
(3)ドライブの換装(HDD→SSD)
いよいよ、ドライブの換装に入ります。といっても、それほど難しいことはありません。
必要なものは(+)ドライバー(磁石付きを強く推奨)です。
まずACアダプターなどを取り外した上で、VAIO type F を裏返す。
バッテリーを取り外す。
左下のネジ(2本)を外して、下にスライドさせると蓋が外れる。
蓋をはずすと内蔵HDDが現れる。マウンタを固定しているネジ2本を外す。
透明のベロを左に引っ張ると、HDDが取り外せる。
内蔵HDDを外したところ。Intel SSDと一緒に。
内蔵HDDは、マウンタに4本のネジで固定されている。
内蔵HDDを取り外し、Intel SSD を入れ替える。
裏側はこんな感じ。基板に見えるHDDに比べて、Intel SSDはのっぺりしています。
あとは先ほどと逆の要領で、
Intel SSDを装着したマウンタを元に戻し、蓋を閉め、バッテリーを装着します。
ここまで約10分くらいの作業でした。
(4)バックアップから復元
緊張しながら、VAIO type F に電源を投入します。
(Intel SSDはまだまっさらなので当たり前の結果)
バックアップを保存した外付けHDDを “USBで” 接続し、同時に作成した「修復ディスク」を光学ドライブにセットして再起動します。
しばらく待つとグラフィカルな「システム回復オプション」が起動します。
「次へ」を押す
「次へ」を押す
バックアップの情報を確認して「次へ」を押す
「完了」を押す
「はい」を押す
復元がスタートし、バックアップイメージがIntel SSDに書き戻されます。
所要時間はだいたい50分程度でした。(使用容量約70GB)
Windows7環境は無事Intel SSDに引越しできたでしょうか?
(5)動作確認
外付けHDDを取り外してから、電源を入れ、光学ドライブから修復ディスクのCD-Rを取り出します。
(どきどき…)
笑っちゃうくらいの高スピードで、Intel SSD化した新生VAIO type F が立ち上がりました。
どれくらい性能がアップしたか、検証編にて記述したいと思います。
その前に、今回のSSD換装ミッションで遭遇した失敗談などを…
┃【やってはいけない?】
┃Windows7の「バックアップの作成と復元」を使ってラクラクと引越しできるつもりだったのですが…
┃実は二点ほどハマった箇所がありましたので記しておきます。
┃(本文中では一応ハマらない手順を記述しています)
┃
┃・Dドライブを作らない
┃ 手順(1)でボリュームを縮小したあと、HDDには未割り当て領域が出来ます。
┃ この領域についついDドライブを作成(BDドライブはO:ドライブに変更)してしまったのですが
┃(どうせSSDに換装して外してしまうのに…)、これが失敗の元に…
┃
┃ もちろんバックアップ作成時には下のようにDドライブは除外しています…
┃
┃
┃
┃ エラーが出て復元できませんでした。
┃
┃
┃ 復元先の容量が小さいときに出るエラー。
┃実際にはバックアップ対象としなかったDドライブまで含めたサイズが
┃ディスク装置全体のサイズとして扱われるようです。
┃
┃勿体なく感じても、未割り当てのままでバックアップを作成しましょう。
┃
┃こちらの情報が参考になりました。
┃ →「システムイメージを復元できませんでした」~システム回復オプションでHDD→SSDへの引越しは出来ない?
┃・復元時にeSATA接続は使えない
┃
┃今回HDDケース「corega CG-HDCEU3000F」(eSATA&USB2.0両対応)を使用しました。
┃eSATA接続のシーケンシャルリードは100MB/sec超なので、約70GBのイメージ書き戻しも
┃十数分で完了するはず……
┃ところが、復元を開始しても一向に読み書きが始まる気配がありません。
┃(もちろんデバイスはちゃんと認識されています)
┃しばらく悩んだ末、USB接続に変更してやり直したら問題なく復元出来ました。
┃USBのパフォーマンスは30MB/sec程度なので、復元に50分弱かかりました。
┃
┃eSATAは使えないのか?HDDケースとの相性だったのか?原因は不明です。
┃バックアップ作成時はeSATAもちゃんと使えたのに…
検証編
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それでは、Intel SSD 320 に換装し VAIO type F がどれくらい速くなったか検証していきます。
・Windows7のパフォーマンスの評価
換装前(HDD):
換装後(SSD):
プライマリハードディスク:ディスクのデータ転送速度が「5.8」から「7.5」にアップしました。
・CrystalDiskMark
換装前(HDD):
換装後(SSD):
シーケンシャルR/Wが3倍近くに伸びたのもさることながら、ランダムR/Wの伸びが驚異的です。
・起動時間
電源ボタンを押してからWindows7が起動しチャイム音が鳴るまでの時間
換装前(HDD): 1分25秒
換装後(SSD): 30秒
起動時間が1/3にもなると相当速くなったように感じます。
Intel SSD化により ディスク性能の向上が数値の上でも確認できました。
VAIO type F。
HDDのときも動作速度に大きな不満があったわけではありませんが、Inte SSDに換装してからは、すべてにおいて動作がサクサクです。
このスピード感を知ってしまうとなかなかHDDには戻りたくなくなります。
おわりに
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VAIO type F の SSD換装はあっけないほど簡単でした。
Windows7 の「バックアップと復元」機能を活用すれば、新しいソフトを導入する必要もありません。
(外付けHDDと空のCD-Rが必要になりますが…SSD換装をやってみようかな、と考える人には、そんなに厳しい要件ではないでしょう)
SSD換装にチャレンジの際には、私の拙いレビューが参考になれば幸いです。
ちょっと前までSSDは、高速だけど容量が数十GBくらいしかないので、システム領域にする使い方が主だったように思います。しかし、SSDも300GBくらい大容量になるとHDDと全く同じ感覚でデータ領域としても使えますね。しかも超高性能の。
Intelさまには、今後さらなる技術革新によりSSDに大容量化と*低価格化*をもたらしてくれることを期待します。(だって、300GBのIntel SSD 320 ひとつで、ちょっとしたパソコン1台買えちゃうんだもの…)
さて最後に、最新の高性能SSDを取り扱う貴重な機会を与えてくださった、zigsowおよびIntelの関係者の方にお礼申し上げます。
そして、長文・乱文を最後までお読みいただいた読者の皆様に、厚くお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
これで今回のレビューを終えたいと思います。
リンさん
2012/02/19
もしまだでしたらお奨めします~。