レビューメディア「ジグソー」

蜘蛛と神話の”非常識”で挑む3570Kファンレスチャレンジ

なんかもう↑の時点で嫌な予感しかしませんが、今回レビューの機会を頂いたのはインテル「IvyBridge」世代のCPU「Core i5 3570K」。

今回のi5 3570Kレビュアー人数は総計77名と最大級に多く、正統派な性能検証やレビューは他の方にお任せしてしまい、私は「楽しさ」方面で行こうかと。

自作PCの楽しみと言えば、性能強化や静音化はもちろん、メーカー製PCではまずやらないような無茶な構成や、個性的なパーツを使えるのも大きな魅力。今回は最新の3570Kの性能を生かしつつ「自作PCならではの」マシンを煮詰めて行こう。


 

ベースとなるのはi5 2500T及びSSD320を搭載したリビング用静音PC。CPU・SSD共に以前ローボルテージレビューにおいて提供頂き、当時は「静音ネットゲームマシン」として外部VGAと組み合わせたマシンを組み上げた。

現在は当時のローボルテージレビューとは全く別のPCとなっており、リビング用静音PCとして使用している。2500Tはリビング用PCとしては申し分無い性能を持っているわけだが、VGA搭載が出来ない以上、内蔵グラフィックのHD2000が少々頼りない。

ここで登場するのが今回のCore i5 3570K。同じ「i5」の名を持つ1155CPUとはいえ世代・性格は見事に異なる。


参考として手持ちの1155CPUを更に3つ追加したが今回のメインは上2つのi5だ。


2500Tは1世代前のSandy Bridgeコアを持ちつつ低消費・低発熱の為に性能を抑えていたのに対して、今回の3570KはCore i5シリーズ中では最上位モデルで発熱云々よりも性能に重きを置いている。更にコアは新型のIvy Bridgeとなり、内蔵グラフイックHD4000を搭載するのがポイントだ。一見GPUクロックは下がっているが、構造から性能強化しているという。またIvy世代の特徴として1600メモリの正式対応も謳われる。

 

確かにより高性能なIvy i7や価格改定で購入しやすくなったSandyシリーズと比べると、一見中途半端な立ち位置なのだが、現状最強のIntel内蔵GPU「HD4000」を搭載するCPUとしては最も手ごろな価格で購入できるCPUといえるのだ(正確には低消費電力版のi5 3475Sが最も低価格なHD4000搭載i5となるのだが、バルク版のみの流通で入手性に難がある)。
変な話i7クラスを買う人なら別途VGAカードを搭載する事が多いだろうし、内蔵GPUを生かせるとしたらやはりこの辺りの価格帯のモデルではないだろうか。


スペックを見ればバランスのいい性能が伺え、特に気をつけるべき点もない優秀なCPUだ。

…しかし今回はレビュー応募内容が「完全ファンレスPC」という我ながら勢いだけでやっちまった感バリバリの内容。ならばこのまま勢いで突っ走るしかない。


 




HTを搭載しないながらもi7に迫るスペックと、最新の内蔵GPUを持つ3570K。そいつをファンレス動作させるという、少々ムリがありそうな応募内容にした訳だが…それを受け止めるPCはもっとムリがあった。



 

4本の脚を持った異型のフレーム


組み合わせるはあまりに巨大なCPUクーラー



 

  それは、パソコンと言うにはあまりに非常識なシルエット。


蜘蛛型PCケース「PC-T1R」、それにScytheの誇る超巨大CPUクーラー「スサノヲ」を組み合わせたトンデモネタPC。実はこの2つの”非常識”を組み合わせた事により、重量オーバーによる脚部破損というパソコンとして非常識な故障(?)を起こしてしまい、OS軽量化ならぬ物理的な軽量化を繰り返した結果、気づけば静音・低消費電力マシンになっていたというとにかく非常識なPC。

 

禍々しいまでのヒートパイプ本数と、4連の10cmファンを備えた4本足の物体はまさに異型。もはや「パソコン」として認識されず「何この物体?」と聞かれる始末。

 

 

 

既に2500Tの時点で出来上がっていた姿だが、今回3570K搭載に当たりマザーボードをFoxconn H67S B3から新型のIntel DH77DFに変更、スサノヲの搭載バランスや配線の関係でほぼ解体→再組み立てを行っている。

 

 

DH77DF自体は6月に入手しており、明らかに性能面でもDH77DFのが勝るので普通に考えればコチラを使うのが正解なのだが、実は最後の最後までどちらのマザーを使うかで悩んでいた。

それはソケット位置。見てのとおりマザーよりでかいCPUクーラーを搭載するドアホ構成だが、H67Sのソレは一般的なATXマザーに近く、スサノヲを通常方向に搭載するとマザー=PC本体の中心と、スサノヲの中心が綺麗に一致していた。

 

 ↑H67S時代の写真

 

 

一方ITXマザーでは今回のDH77DFのような配置が一般的だ。これにスサノヲを通常方向に装着すると思いっきりスサノヲの位地が右にズレてしまう。だからといって180度回転して装着すると思いっきり前のめりになる。

結局落ち着いたのが反時計回りに90度回転させてヒートパイプを後ろ側に回して搭載、マザーに対してはかなり後ろより(一般的なPCなら前より)になってしまうが、わりと見た目の収まりがよさそうだったのでコチラでいく事に。

家族からはスサノヲの向き変更でヒートパイプが見えにくくなったせいか…

「なんかステージボスっぽかったのに道中ボスになったね」

と言われたが仕方ない。なんかシューティングネタ多いのはこの発言のせいです。

 



それでは改めて細かい使用パーツも紹介していこう。4本の細い脚で全体を支えるPC-T1R。蜘蛛をイメージしたシルエットはMiniITXとは思えない占有面積を誇る。

天面に剥き出しで装着されるITXマザーはIOパネル側がフロントとなる。なのでケーブル類は主に前面から接続することになる。使用しないPCIex16スロットには船橋商店扱いのスロットカバーを装着している。

 

マザー変更によりDDR3-1600メモリが使用可能となったので、今まで使用していたCORSAIR 1333メモリからよりヒートスプレッダがいかついG.Skill製1600メモリに変更。

そのままでは補助電源コネクタの長さが足りないので、Ainex製の延長ケーブルを使用。

 

USB2.0ピンヘッダの1つには直出しUSBコネクタ基盤を装着、前方は半分飾りのUSBカードリーダーAM3RRDRD、もう片方は大きなアンテナ型の無線LANアダプタGW-USHYPER300を搭載。3点とも実用性というよりドレスアップパーツの比重が大きい。ちなみにこの基盤と干渉するのでUSB3.0ピンヘッダは使用不可能だ。

 

マザー両サイドにはUSB給電タイプの光るスピーカーYSP-U201を金具で装着済み。見た目が更にカオスになるだけでなく、単体で音声出力も可能となり意外と便利。

 

筐体後部には本来ATX電源が搭載されるが、スサノヲの大重量をリカバリーする為にACアダプタキットAC130-AP02AAを装着、本体には変換基盤のみが搭載される


電源部サイドにはスサノヲ4連ファンを制御するコントローラを装着しているが、今回はファンレス動作なので電源を接続していない。

 

その電源基盤上部にはAntec NINE HUNDRED TWO用フロントポートを流用装着。PC-T1R自体にはフロントパネルに当たるインターフェイスが無いのでその分をこれでカバーする。但しUSB3.0は使わないので撤去→空きパターンとなっている。

この背面USBにキーボード類を挿せば、フロントから出されるのは中央のDVIorHDMIのみとなるので実使用中の見た目もスッキリ。


 


それぞれマザー上から配線を回すのだが、その際そのままフロントオーディオケーブルを装着するとAC97用コネクタが残って見栄えが悪いので、更に別ケース用のオーディオピンヘッダ変換コネクタを延長ケーブル代わりに使用、97コネクタを基盤下に隠す。


USBはマザー上のピンヘッダに装着するが、ジャンク品のフロントポートだったので一つはUBSコネクタ部が接触不良を起こしている事が判明。ドライバーで力任せの修正を行った後、元不良ポートはUSBスピーカーの給電に回す事にした。

 

マザー下部にはスリム光学ドライブと3.5インチHDDを搭載できるスペースがあるが、やはり軽量化の為に光学ドライブはマウンタごと撤去、HDDの代わりにIntelSSD320を装着するのだが、IntelSSDの2.5→3.5インチマウンタは大きく重いので別SSD付属のマウンタを使用(ロゴで何についてきたかバレバレだね)。更に前後天地を反転してケーブルの取り回しをしやすくしている。

 

その下にはペリフェラル4pin分岐ケーブル(光る)を電源基盤から引き回し、片方はPC-T1Rのヘッドライト(?)、もう1つは先述のスサノヲに繋がるファン電源コネクタに装着される。今回スサノヲ側ははずした状態だが、万が一温度が危険になった場合は即座に接続できるように引き出した状態にしてある。


その周囲は今回唯一のケーブル押し込みスペースということで、余剰ケーブルがもっさり詰め込んである。機体下部には本来電源ケーブル類を束ねるクランプが装着されるが、今回は役目がないので撤去。

そしてスサノヲは見事に剥き出し状態。ファンは緊急用だが、それ以前に外すと見た目が絞まらないのでファンレスといいつつファンが4つも装着されたままだ。尚この4連ファン、最小回転数だと恐ろしく静かで、ファンをまわしたところで十分静音PCを名乗れるレベルだ。

 



 

 


なんかもう組みあがった状態で満足しちゃっているが、ちゃんとPCとして動かそう。

この剥き出しのスサノヲが3570Kの熱に対してどこまで耐えられるのか、そして130WのACアダプタに過度の負荷がかからないのか。この2点が今回3570Kを運用するにあたっての重要ポイントだ。

まずは事前に同じ構成(マザーもDH77DF使用)で2500Tによる動作テストを行うわけだが…外気温や微かな空気の流れさえ敏感に冷却能力に影響してくるので完全な同一条件はムリな事を事前に断っておく。

室温は温度計読み28度(冷房をつけた室内)、CPU温度はマザーボード付属のユーティリティ「Intel Desktop Utilities」取得の温度だ。

 


負荷テスト…といいつつせっかちなので、Prime95とOCCTをそれぞれ3分づつ動作させた時の温度上昇を計測し、早々に3570Kに載せかえることにする。
負荷テストというには余りに短時間だが、今回の主役は3570Kなので。3570Kにも同様のテストを行った後は「実際の使用」でファンレスによる実用が可能かどうかを見極めるというやっつけ仕事。
(はっきりいって、OCCTを●時間とかいうレベルの負荷テストになると、2500Tでもファンレス運用NG判定になってしまうと思われるので…緩めでオネガイシマス)

という訳で2500Tのデータドン。

 

i5 2500T Prime95 最大消費電力67W
起動前→起動30秒→起動1分→起動3分→終了後30秒
38度→ 63度 → 66度 → 69度 → 46度


i5 2500T OCCT Power Supply 最大消費電力86W
起動前→起動30秒→起動1分→起動3分→終了後30秒
40度→ 65度 → 67度 → 70度 → 50度



どちらも2分過ぎ頃には温度上昇率が低下し、70度弱で安定する。この後Prime95で5分以上の負荷をかけたが71度と似たような結果だった。

それでは3570Kだ。サクっと装着して…

 

 

i5 3570K Prime95 最大消費電力88W
起動前→起動30秒→起動1分→起動3分→ファンによる強制冷却
37度→ 74度 → 80度 → 自重


i5 3570K OCCT Power Supply 最大消費電力1…
起動前→起動30秒→あばばばばば
40度→ 82度 →あばばばばば


 GAME OVER 



※一応インテル純正マザーDH77DFの初期設定警告温度は93度なので即死級と言うわけではないと思われるが、80度台に行った時点で停止操作をした。

 


…実はちゃんと対策があります。

グリスです。10gで700円くらいのめっちゃ安いグリスです。お得ですね。
しかし安物とはいえグリスをちゃんと塗れば放熱効率はアップ!Ivy使うならやっぱりグリス!これで勝つる!!

さっきまでグリス使ってなかったのかよ!!!



実は2500Tをスサノヲで使うに辺り、あまりにスサノヲが装着しにくい&放熱能力が超余裕だったので、シリコンゴムシートでごまかしていたのだ。上記記録は2500T・3570Kどちらもシリコンゴムシート使用の結果。動作確認には手軽で便利なシートだが、冷却能力は低下するのでよろしくない。3570KがOCCTに耐えられる訳が無いと言う訳。


むしろスサノヲ使用とはいえシリコンゴムシートでファンレス駆動していた2500Tの低発熱っぷりには驚くばかり。


さて、安物とはいえちゃんとグリスを塗って3570Kの計測を再開。既に起動時から2500T+シリコンシートの温度を下回っている。これは期待できるぞ。

 

 

i5 3570K Prime95 最大消費電力88W
起動前→起動30秒→起動1分→起動3分→終了後30秒
35度→ 60度 → 64度 → 66度 → 43度


i5 3570K OCCT Power Supply 最大消費電力121W
起動前→起動30秒→起動1分→起動3分→終了後30秒
40度→ 66度 → 68度 → 76度 → 48度



素晴らしい、CPU・GPU双方に高負荷をかけるOCCT Power Supplyでも70度台中盤で安定する。ただスサノヲ自体が巨大で熱を「溜め込める」程なので、放熱が間に合っているかは別問題。ここはどの程度を「ファンレス動作成功」とするかの見極めが難しい。

さすがに長時間の高負荷となると話が変わって危険だろうが、エンコードやヘビィなゲームを長時間行わない限りほぼファンレスでいけるだろう。また今回使用したグリスは典型的な廉価品なので、より効率に優れるグリスを利用すれば更なる温度低下も期待できる。

 


むしろギリギリなのはACアダプタの出力。最大出力が130Wだから9割を超えているのだ。

システム全体のアイドル消費電力は2500Tの19.2Wに対して20.5Wの微増。内蔵GPU分を考えれば妥当な数値か。
この数値、USBスピーカーやつけっぱなしのカードリーダー、無線LANアンテナを含めた値なのでそれらを外せば20W切りは確実。またこのACアダプタはATX電源で言う「80 PLUS GOLD」相当の効率なので、もしこの低消費電力帯でプラチナ級の効率をたたきだせる電源があれば更に低消費電力化も望める。

 

但し消費電力に関しては惜しい点もある。マザーボードの制限でCPUとメモリの低電圧化ができなかった点だ。CPUは定格でも十分落とし込んでいる感があるのでいいのだが、今回使用したメモリモジュールは本来1.25Vの超低電圧駆動に対応したメモリで、実際他マザーでは1.25Vでの動作実績があるのだが、何故か今回のマザーではうまく電圧設定ができず、勝手に1.56Vまで盛られるか起動しないのどちらかという切ない結果に。
もしこれが上手くいけばもう少し消費電力は下がった事だろう。

 


スサノヲのファンコネクタを外した状態でリビングに戻し、2日間程、家族含め意識せずに使ってもらったが、特に動作上支障はでていないようだ。むしろCPUが交換された事以前に、ファンが回っていない事にさえ気づかれなかったのだが

 



 

ある意味目標は達しているが、家族には2500Tと体感速度差気づいてもらえませんでしたじゃしょうがない。もう一度自室に持ち込み、自分で改めて使ってみよう。



【Windowsエクスペリエンスインデックス】

まずはWindowsエクスペリエンスインデックス。注意すべき点は先ほどのファンレス時温度検証と異なり2500TはH67マザー時代のスコアということ。はいスコア取得し忘れたんです。

見事全ての項目がアップ。メモリは当然としてストレージ速度も上がっているのは意外だ。


とはいえ家族が使うようなWEB・オフィス・動画視聴に関しては2500Tでも十分な性能があったのはやはり事実で、確かにこれは気づかない。

ならば実際CPUパワーがモノを言うベンチマーク的な事をしてみるとどうだろう。以前Core i7 2700Kレビュー時に行った動作テストの一部を今回もやってみよう。基本的にはi7レビュー時に準拠しているので、詳細な環境等についてはそちらを参照頂きたい。



【CPUパワー@Photoshop】

まずは純粋なCPUパワー。フォトショップのぼかしフィルタ速度だ。前回レビュー時と同じ画像・同じ設定でフィルタをかけるの他CPUの数値は前回の流用だ。

ぼかしフィルタに関してはHTの恩恵が大きく、クロックでは0.1GHzしか変わらない2500TとHT搭載1260Lのスコア差が大きく出ている。なので今回HT未搭載の3570Kは比較的不利な項目と言えるのだが…

さすが8スレッド相手でも実クロックのパワーがモノをいい、1260Lを上回る。むしろ2700Kに追いつかんばかりの秒数だ。使用したフォトショップのバージョンが前回同様かなり古いものなので、マルチスレッドへの最適化が成熟されていないのもあるだろうが、それにしてもこの数値は見事だ。




【GPUパワー@スカっとゴルフパンヤ】

次はネットゲーム「スカっとゴルフパンヤ」の実プレイ、露店ルーム及びヘリコプター登場シーン→プレイ画面での30秒間平均フレームレートをFraps取得データを用いて比較してみる。

コチラは新たにスコアを取り直した2500T@HD2000と3570K@HD4000のみの比較だ。特にヘリコプター登場シーンの方は、前回放置状態だったのに対して今回は30秒間カメラを動かしまくって負荷をかけているので別モノのスコアと思っていただいてOKだ。



前回HD2000&3000のテストにおいて「さすがにこの手のライトゲームであれば、HDグラフィックスでも十分プレイ可能」と書いたが、HD4000のフレームレート・体感を見る限り「快適にプレイ可能」という表現にして差し支えないだろう。少なくともパンヤにおいて、外部グラフィックボードを搭載したPCとの体感差はほぼ無くなったと思っていい。





【GPUパワー@FF14ベンチマーク】

ではFF14ベンチのスコアはどうだろう。こちらは毎回条件が一緒になるので古いデータもそのまま掲載する。設定はLow。マザーボードは3570KのみDH77DF、残りはASRock Z68 Pro3-Mを使用だ。

さすがにプレイ目安と言われる2000ptには届かないものの、驚くべき事にGeForceGT220+2700Kのスコア(1358pt)を超える1459ptをたたき出している。ちなみにHighのスコアは739ptだった。

もちろん専用のVRAMを搭載する事やGPUコンピューティング等を考慮すれば、全く意味が無くなったという訳ではないが、もしHD4000搭載のマシンにグラフィックボードを搭載するなら、最低でもGeForce9600GT≒GeForceGT240クラスの性能が無いと「グラフィックボードを挿したらスコアが下がった」という冗談みたいな現象が現実のものとなる。

ちなみにGeForceGT220≒9500GT≒8600GT辺りの性能は、ネットカフェ向け等で普及している台数も多く、ネットゲームもそれくらいの性能があれば(画面設定次第で)ある程度プレイできるように調整してきている事が多い。それを超えたと言う事は「HD4000を使用したネットゲームPC」というのも十分アリな選択だろう。


※但しグラフでは省略したが、4世代前のデュアルコアCPU Core2Duo E8400に現行ミドルレンジ程度の性能を持つグラフィックボードRadeon HD5750を組み合わせた時のスコアは3210ptとこれらより高い。例え旧世代CPUでも高性能なVGAをぶち込めばあっさり抜ける程度のスコアというのは留意しておこう。

 




さて、これらの動作検証、しっかりと全てファン停止状態で行ったのだ。その後スカっとゴルフパンヤをチャットルームで5時間ほどつけっぱなし(オイ)にしてみたが極端な温度上昇は無く、エアコンを切った室温32度状態でも70度程度に収まっている。パンヤ自体の負荷はさほど大きくないとはいえ、リビング用PCとしての使い方ならファンレスによる実用も十分いけそうだ。


また部屋に風が入ったり、少しでも扇風機の風がかすったりするだけで、一気にその冷却力はアップする。巨大なヒートシンクを持つために室温よりも風の有無がポイントのようで、そのような状態ならCPU温度は更に低下してくれる。


もちろん本格的に長時間の高負荷がかかる場面だと危険を伴う可能性があるので、例えばスサノヲに温度センサーを取り付けて、一定温度までいったらファンの電源を入れるようなセミファンレスにすればより安心だろうし、その他パーツの取り付け方法等まだまだ改良の余地はある。
またチップセット等CPU以外のパーツ温度も風がない分上昇しやすい。パーツの寿命を考えるなら低速でもいいからスサノヲの4連ファンを回したほうが無難だろうし、あまりに低速なファンなのではっきりいって体感的な静音性に殆ど差は無い(但し4連ファンをオンにすると消費電力は3W程増加する)。

 

しかしこの「電源ボタンを押してもまるで手ごたえが無く、いつの間にかデスクトップが起動している」静けさは感動的だ。耳を澄ませばUSBスピーカーが拾った微かな電子ノイズが聞こえるが、本当にそれしか音がしない。
剥き出しのスサノヲというある種「反則的」な状態ではあるが、熱を持ちやすいという評価を受け勝ちなIvy Bridge…それも性能重視の3570Kをファンレス駆動させられた満足感は計り知れない。

そしてあわせて使用したDH77DF・SSD320のインテルコンビが今回、実にスムーズに、問題なく安定稼動してくれたのも「遊び」部分に集中するのにありがたかった。やはり元が安定しているのとしていないのでは変わったことをするのも難しくなる。 


性能面でも、特にHD4000に関しては期待以上のスコアだった。はっきり言うとHD3000+α程度の性能だろうと思っていたのだが、まさか明確にGT220を超えるスコアをたたき出すとは。

CPU自体も、i7の下位扱いとはいえ実装コア数は同じクアッドコアなのだから、HTの影響が出易い用途を除けば極端な性能差は出ず、Sandy世代i7ともいい勝負ができる、十分すぎる性能だ。

但しあくまでSandyの正常進化といった位置づけなので同ランクのSandyを持っているのならあえて買い換える程の性能差ではない。しかし例えばデュアルコアSandyからのアップグレードや、それ以前にリリースされた旧型CPUからなら、その体感速度は確実にアップしてくれるだろう。

 


 

今回のファンレスPCはあまりに極端な冷却構成で、実質バラック状態。実用品として見るには、長時間負荷時の安定性・ホコリや衝撃への不安に加え、ITXのくせに場所食いまくるというアレなPCだ。しかしこんなムチャができるのなら、超静音クーラーや簡易水冷を利用し、外部VGAを無くした「超静音ライトゲームマシン」というのもなかなかアリではないだろうか。


3570Kの魅力は”倍率可変によるオーバークロック”という大きなハイライトがあるものの、それを抜きにしても「自作PCを楽しむ」にあたってバランスのいい、遊びにも実用にもベストなCPUと言えるだろう。

 

お前は遊びすぎた。

 

ちなみにこのPC、スピーカー搭載の為に使った金具を除いてほぼ全てが「PCパーツ」として販売されているモノの組み合わせ。手間のかかる工作・加工は一切行っていない。それでも「あんなもの」ができてしまうのだから自作PCは面白い。

 

なんかもう勢いに任せたレビュー内容でしたが、機会をご提供頂いた各社様、最後までご覧頂いた皆様誠にありがとうございました。

 

 

【オマケ】

マザーボードのサウンドロゴ機能のおかげで無音どころかけたたましい蜘蛛の起動シーン。

コメント (23)

  • リーダーさん

    2012/08/02

    ・・・そうだ、何か忘れてると思ったらこのPCケース(?)って
    バラック状態ですよね
    見た目がいかにも横シューティングゲーのボスキャラなのに
    静音&高性能PC っていうのがすごい
  • harmankardonさん

    2012/08/02

    レビューお疲れ様です.

    読みながら,なんのレビューなのかわからなくなりました.

    蜘蛛はキラーアイテムですね.
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