KLIMAX DS徹底攻略 第七話

ALACを聴いてみよう

今回のALAC対応は、すでにiTunes環境で音楽データを管理している方には朗報といえよう。iTunesはメタデータ(曲名やアーティスト情報など)の取得が容易で、簡単に音楽データを管理できるという優れたソフトだ。なお、iTunesはアップルのホームページから無料でダウンロードできる。さて、せっかくALACに対応したのだからiTunesでリッピングして、FLACと音を聴き比べてみよう。ALACへの変換方法は、まずはiTunesを起動して「編集 >> 設定」から、一般タブの「インポート設定」を選択して、インポート方法を「Apple ロスレス・エンコーダ」に変更する。そしてCDをドライブにセットしてインポートを実行する。変換時間はFLACとそれほど変わらないようだ。それでは、ノラ・ジョーンズをALACとFLACで聴き比べてみよう。一聴したかぎりでは違いが分からない。どちらも可逆圧縮なのだから、KLIMAX DSに送り込まれてデコードされれば違いが出なくても当然か…と納得しかけていたのだが、二度三度と聴き比べていくうちに徐々に違いが見えてきた。ALACは輪郭線がはっきりとして、ボーカルの音圧が若干高く感じる。逆に、FLACは左右の拡がりに特徴があるようだ。何度も聴き比べるうちにそれは確信に近づいてきた。リッピングソフトによる違いも大いにあるわけで、単純にALACとFLACによる違いとも言い切れない。しかし他のソースでも比べてみたところ、ほぼ同傾向の特徴が聴いてとれた。ALACもFLACもデコードすればバイナリは一致するのだから、音に違いを感じるというのはなんとも不思議なことだ。総じていえることはALACは音質的に全く問題なく、またiTunesは使い勝手がいいということだ。

KLIMAX KONTROL SE

諸々のアップデートも一区切りついたので、KLIMAX KONTROL SEをDSに繋いで聴いてみよう。このSEモデルは旧モデル(KLIMAX KONTROL)の各所をブラッシュアップして別物に近いプリアンプに生まれ変わったという。特にボリューム周りを念入りに見直したようで、旧モデルでは両chで1つだったボリュームICを、SEモデルでは左右で独立させたことにより5dBの静音化を果たしたという。またKLIMAX KONTROL SEは先程アップデートしたKLIMAX DSと同期させることによりPCで操作することが可能だという。同期させる方法は至って簡単で、両機をモジュラーケーブルで接続するだけでいいとのこと。接続してしばらく待つとLinnConfigにKLIMAX KONTROL SEが表示された。これで同期が完了したようだ。LinnGuiのボリュームを操作するとKLIMAX KONTROL SEのボリュームが連動していることがわかる。さて、その再生音はというと、恐ろしく澄み渡った空間表現と、極めて自然な佇まいで、まるでKLIMAX DSを初めて聴いたときのような感触だ。10年来のオールドレビンソンユーザーの意見として、もう少し過激な表情も見せて欲しいとは思う。しかしこのトランスペアレンシーは何物にも代え難いものでもあろう。

これほどの実力を持ちながらPCとの連携も可能というKLIMAXシリーズは、既存のオーディオ機器の2歩も3歩も先をいっており、未来のオーディオの道標となりうるのではなかろうか。

iTunesでのALACリッピング KLIMAX KONTROL SEの操作 KLIMAX KONTROL SEの入力情報を変更 KLIMAX DSとKLIMAX KONTROL SE

次回「アップサンプリングを検証する」につづく