レビューメディア「ジグソー」

そこそこイケますが電力を喰います

【はじめに】
 
現行のUSB3.0対応2.5インチHDDケースとしては使える部類に入ります。ただし、本ケースに採用されているASM1053Eは消費電力がそれなりにあります後継で現行では最新のASM1153Eは消費電力が最適化されています。ただし、パフォーマンスはASM1053Eと同等です。(Pluggableのサポートページにも同様の記述あり)

実際に試してみました。
非UASP対応の旧富士通セミコンダクターチップを搭載しているRatocのケースに同じ東芝のHDDを入れ替えしながら計測しました。USB3.0の増設カードなどで使う場合には要注意で、本Owltechの黒角ケースの場合では動作しませんでした(分岐ケーブルを挿す必要あり)。同じHDDにもかかわらずRatocのケースだと別途に電源供給せずとも難なく動作します。このことから、ASM1053Eの消費電力の方が高いと推測されます。

もちろんケーブル自体の問題もなくはないでしょうが、そちらも替えて試しましたがやはり動作しませんでした。ケーブルの抵抗など微々たるものなのでしょう。USB3.0の二股分岐ケーブルの場合やや特殊なものがあり、補助電源ケーブル側で給電を行うと主ケーブル側(USB3.0ケーブル本体側)での電源供給を抑えるものがあります(黒角に付属のもの、タイプAのケーブルに多い)。むしろそれが一般的のようですが、マイクロBコネクタの分岐ケーブル、例えばELECOMのケーブルなどの場合、それが行われないため、増設カード経由で利用すると Express Card Slot の電力供給の問題から逆に機器が不安定になることがあります。

また、最近では、すでにUSB3.1対応ケースが玄人志向やCenturyから出ています。ちなみにUSB3.1ケースの実測値は連続読み込み525MB/s、連続書き込み500MB/sほどだそうです。10Gbpsの半分ちょっとしか出ていません。
ですが、こちら(ASMedia製USB3.0チップ:型番失念)は不安定だという話もありますね。特にIntelのUSB3.0や3.1とでは相性があるという話があります。


【総評】
  さて黒角ですが、SATA-USB3.0変換ブリッジチップはASM1053Eを使っているのは先述べた通りです。末尾にEがついているので6GpsのUASP対応版になります。消費電力を別とすれば、比較的安定していると思います。と言っても、外付けHDDが動かないなどといった問題の多くは、大抵がこの消費電力が原因なのですが。HDDではモーターの駆動時に、SSDでは書き込み時に大量に電力を消費します。そこにSATA-USB3.0変換ブリッジチップ自体の消費電力が加わってきます。
  特にパソコン側増設カードスロットの供給電力量がギリギリの設計のモバイル系などでは問題になることがあります。それを考慮すれば、できるだけ変換チップの消費電力も少ないに越したことはありません。それは上記で述べた通り実証されました。

刻印が見えにくくてすみません。もともと印字が薄かったです。


また、本ケースのファーム(120803914206)では電源連動に対応しており、アクセスがない状態が続くとHDDがスピンダウンしますし、スリープや休止状態、また、HDDの取り外し操作後もきちんと回転が止まります(ただしこれはWindows側のレジストリ設定を行いそれに対応させなければならない)。PCシャットダウン時の電源連動にももちろん対応しています。

はっきりいって、10分アクセス無しでスピンダウンってすごくウザいのでやめてほしいのですが。入り切りはHDDに対してもあまり良くはありませんし。(基本的に2.5インチHDDでは、電源の入り切りを考慮した設計にはなっていますが、それでもしょっちゅう行うのは気分的にあまりいいものではありませんよね)。


 

ファームのバージョン番号を見ると、アップデートしたサンワの安いケースのASM1053(無印)より古いです。ネットで調べると、Plugable用のファームなどは1053E用ですので、本オウルテックの黒角にも入れることはできると思いますが、購入直後で特に問題も出ていないので敢てやっていません。(1053用と1053用、1051用は基本的にどれも同じファームのようです。1051のPIDは5106ですが1053も1053E もPIDは55AAでした…なぜ?)

 

 【デザイン】

 見た目はシックでかっこいいですね! 昨今のケースでは珍しく12.5㎜対応です。

 ただ、角があるということは、ぶつけると相手側に傷をつけてしまう可能性があります。これにはかなり要注意です。だからほとんどのケースは意図的に角を丸めているわけです。

 ・コネクタはタイプAです。これは利点です。MicroBなどは脆く基板からはがれやすいですが、タイプAは挿抜に対してかなり頑丈ですから。

 ただし、USBコネクタが上下逆になります。これは正直あまりよくない。トリッキーなことはすべきではないと思います。コスト削減のため基板を小さくした結果なのでしょう。

 

左側の透明な点状部分がLEDのアクセスランプ、右側はUSB3.0 タイプAコネクタ


本ケース最大の問題は、アクセスランプがケーブル差込口付近、つまりケース背面にあるので見えにくいことです。

  最近はこういったケースが増えてきています。コスト削減のため、HDDを接続させる基板面積をできるだけ小さくした結果、そこにLEDも一緒につけるからです。

 ですが、それをやるのであれば、せめてLEDはケースの上から見えるようにしてほしいものです。ケースのケーブル側を手前にして置くことはまずないと思いますので。

 

まあ、しょせんは中華製品を引っ張ってきてOwltechブランドで販売してるだけですから、仕方ないのかもしれませんが(Ratoc以外は、他社もすべて同様)。

 


【堅牢性】

  アルミなのでそこそこありそうですが、やはり薄い。価格相応ですね。

  大した剛性はないと思います。

  見た目に比べるとチープさは否めない。

  また、よ~く見れば、ねじ止めしたあと、ケースが緩やかにたわんでいるのがわかります。

  ただし、ケースの蓋はABS樹脂の本体に滑り込ませる方式になっているため、構造的に多少は剛性を意識して作られていると思います。

 

ケースの上下の蓋は本体のスリットへ噛み合わせて滑り込ませる方式になっている

  

 

HDDの取り付け部分はABS樹脂ですのでプラスティックの割には多少の剛性はあります。

HDDはABS樹脂からなる本体に4ヶ所のネジ止めで取り付ける。信頼性が高く評価できる。

 

上から見たところ。画面右側が基板。コスト削減のため非常にコンパクト。
LEDは基板裏にあるため本体上方から見ようとして改変することはできない。

 

ただし、ケース全体としてみればやや構造上の問題があります。

蓋状のアルミをABS樹脂の本体に滑らせてはめ込むのですが、このABS樹脂とアルミのかみ合わせの問題があり、ケースの末端部分の剛性が非常に弱いのです。

 

 この末端部分、上から強く推すとアルミ部分がべコッとへこみます。たわみます。

 

本来はABS樹脂が側壁となり蓋を下から支えなければならないのですが、かみ合わせの問題からそれができていない。

 そのため、アルミの蓋が末端の側壁手前に滑ってたわむのです。

 これは危ない。

 

 これ、アルミの蓋をやや長めにしてABS樹脂の側壁を覆うようにするか、ABS樹脂の末端部分に少し厚みを持たせてアルミの蓋を下から支える (90度で交わる) ようにすればいいだけなのですが、それができていない。

 

もう少しケース末端の側壁は厚みがほしいところ。上蓋を支えるためにも。

 似たような構造をもつRatocのケースですが、こちらはきちんと側壁と蓋が直角で交わり壁が蓋を支えるようになっているため、上から押した程度で上蓋が凹むことはありません。さすがRatoc、高いだけあります。細かいところにも気配りがされています(というか、これくらいのことは、モノづくりとしては当たり前のことだと思うのだが…)。Ratocのはアルミも厚いですしね。

 

 こういう細かな点から見れば、やはり価格相応の品質かなと思います。

 

 自分はABS樹脂の側壁部分をドライヤーで温めながら内側にやや強めに曲げて上蓋の下にきちんと潜り込ませて下から支えるようにして使っています。でも樹脂の特性からすぐに元に戻りそうですが。


HDDとケースの隙間にゴムでも入れてアルミ蓋を支えるようにした方がいいかもしれません。ただし、その分、外部の衝撃がHDDへ直接伝わるようになってしまいますが。

このケースの利点は、このケース末端の側壁部分がスリットになっているためケース内の空調がよいことです。ケース内に熱がこもりにくい構造になっています。これは利点です。



  ただし、埃が入り込むので、使う場所の考慮は必須です。ネットを張りたいところですね。ま、これくらいなら自作しますか。

 
【機能】  

  こちらは化粧箱の説明通りです。

  このレビューを書いている今も、アクセスがない状態が続くときちんとスピンダウンします。PC本体への直接続の場合です。増設カード経由はわかりません。

 

  UASP対応です。確認済み。(Windows10 Technical Previewにて)


 速度はネット上にレビューがありますので細かいことはそちらを参考にしてください。レビューがないSATA2の範囲では、Ratocケースとほぼ同じで、旧富士通セミコンダクターのチップと同じレベルとみていいでしょう。

 

【UASPにおける速度】
 本ケースはUASPのSATA3環境でSSDを使うことで威力を発揮します。
 連続読み込みで450MB/s弱、連続書き込みで400MB/s強でます。
 ただし、ランダム512KBにおいて、読み込みが若干遅く400MB/s前後です。
 UASPですとNCQも対応しますが、おおよそ160MB/sから170MB/s前後です。
 (NCQ対応はUSB3.0のコントローラーとOS次第です)

 

 

  • 購入金額

    1,670円

  • 購入日

    2015年04月頃

  • 購入場所

    ヨドバシカメラ

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