HDMIオーディオ分離器「RP-HD2HDA1」のレビューをさせていただきます。
これはPCやBDプレイヤなどのHDMIケーブル一本に映像と音声が乗った状態から光ケーブルのデジタル出力やRCAでのアナログ2ch出力を取り出すことができるというものです。
分離せずにそのままHDMIに音声と映像が乗ったまま出すこともできます。
公式のサイトでは以下のようにあります。
「RP-HD2HDA1は、パソコンや家庭用ゲーム機、ブルーレイプレーヤーなどのHDMI信号をそれぞれ映像信号と音声信号に分離する事が可能なデバイスです。
本機を中継することで、音声信号だけをステレオアンプや5.1chホームシアターセットなどのオーディオシステムに通過させる事が可能。 外部のスピーカーに接続し、映画やゲーム、ライブビデオなどの音声を迫力のサウンドで堪能することができます。」
すなわち、AVアンプがない環境でも光デジタルで5.1chを受けることのできるサラウンドシステムをお持ちの方や、スピーカのないモニタでPCを使っている方にRCAでの音声出力を可能にするということですね。
同梱物は本体とACアダプター、説明書とシンプル。
HDMIケーブルやRCAケーブルがついてきてもいいなとも思いましたがこの製品を使う人はすでに持っている確率が高いでしょうし、コスト削減だと思うと納得です。
レビュー環境としてはPCからAVアンプのこれ
につないでみてどうか、というところをメインに行います。
ソースはこれ
をメインに視聴します。
BDはLPCM2ch,5.1chです。
小粒でもぴりりと。
では外観を上から。
ぜひみていただきたいのが右下のRCAケーブルの部分。
もう一枚画像をはさみます。
今回つかったゾノトーンのケーブルは大きくしっかりしたプラグなのですが余裕を持って差し込むことができます。
差し込んだ感じもしっかりしていて安心。
ものによっては端子の幅が狭くて使えないこともありますのでこういうところも気を使ってくれるのは好印象です。
裏を見るとこんな感じ。
こちらはHDMIの入力と電源のみのスッキリしたものになっています。
右上のLED2つはPOWERとLINKとなり、電源が入っているときはPOWERが、HDMI信号が正常に入っているときはLINKが点灯します。
説明書ではLINKが緑に点灯とありますがこの製品では青ですね。
スイッチ類は向かって右横にあります。
ここでHDMIのパススルー、光アウト、RCAアウトと電源オンオフを行います。
続いて以下の画像はラトックシステム株式会社様の公式サイトから引用ですが、
http://www.ratocsystems.com/products/subpage/rphd2hda1.html
以上のフォーマットに対応しています。
最新のAtmosなどには対応していないようですが、私の環境ではこれで十分。
本製品のターゲットとはちょっと違ってくるのでしょう。
そういったものが必要な人は最新のAVアンプを考えたほうがいいでしょうね。
ではまずHDMIパススルーモードで音声を認識するか試してみましょう。
実はこれが一番気になっていました。
というのもPCでOSのアップデートをかけたあとからHDMIでの音声出力が不安定になって
いたのです。
設定画面では出てくるのですが、接続されていませんとなり音声がでてこないのです。
ネットで調べると似たような症状がかなり出てきますので私のところだけではないようです。
本体にACアダプターを指し、HDMIケーブルを二本さしてPCを起動。
設定から音声のところを見ると・・・
おお、音声を認識している!
HDMIは相性がきついと言いますから私のところもそういうことなのかもしれません。
こんな感じです。
4番目に緑チェックがついて規定のデバイスとなっています。
もちろん音も鳴ります。
もし私のようにトラブルがあった場合、そういうときでもこれが一台あればなんとかなるかもしれないのは大きいですね。
AVアンプの修理や買い替えとなると負担が大きいですし。
そしてもう一点うれしいことが。
AVアンプに直接繋いでいたときはPCのブート画面やUEFIの画面が乱れていて設定ができなかったのです。
Windowsが起動しきってしまえば大丈夫なのですが、それまでの間同期信号がうまく伝わっていないような画面になってしまい、設定を変えるときはAVアンプを外してモニターとPCを直接繋がなければなりません。
これはモニターに直接表示した時は問題なく写るのでAVアンプの限界かと思っていたのですが、今回の製品を経由してAVアンプにつなぐときれいに写る!
今回の製品を間に挟むことにより改善があったということは信号をきれいに叩き直す効果があるということかもしれません。
ということで私のところでHDMI周りで発生していた音声と画像の問題はこの製品がさくっと改善してくれたのです。
これはちょっとサプライズでした。
それと特筆しておきたいのが、この製品の動作中に音声切り替えを行っても正常に動作するのです。
私はHDMIは受け側に電源を入れてからPCなりBDプレイヤなりの電源を入れないと信号をうまく受け取れないものだと思っていたのですが、この製品ではそういうこともなくHDMIのパススルー音声や光、RCAと切り替えるとそのように動作します。
これは非常にすばらしい。
音声切り替えを行うために一度PCなりなんなりを再起動していては非常に手間がかかります。
もちろんこの製品の体の電源オンオフもなしで音声が切り替わる
実際に使う場合に音声切り替えはそう頻繁に行うものではないでしょうが、一度やるとPCの再起動などが必要になりますのでその手間がかからないのは嬉しい。
特にこのレビューを書くときに思いました。
想像以上の満足。
さて、ここから画質音質などをレビューしていきます。
・画質
画質ですが、ここは劣化するということもなくきれいに写ります。
上にかいたとおり、UEFIの画面も見るとこができるようになり、この一点だけでもこの製品が欲しくなります。
心持ち全体的にシャープになったようにも思いますが、どうでしょう。
それは起動時に正常に表示できないなどと違って目で見る限りでははっきり言えません。
すくなくとも私の環境では画質が悪くなったとは感じることはありませんでした。
・音質
音質についてはDAコンバータのOrpheusに光ケーブルで繋いだときはちょっとおもしろいほど音に変化がありました。
もちろんこのDACは光ではPCM2chしか受け取らないので限定的な比較ですが、2chに限って言うととても充実した音が出ています。
これを挟んで光やHDMIでのデジタルでの音声出力は見通しがよくなった様に思います。
HDMIでも効果があるかもしれないというのは面白いですね。
ちょっとオカルト風ではありますが。
通常はOrpheusにはMacからFireWireで繋いでおり、それには流石に及びませんがかなり満足の行く音が出ています。
価格差や製品の意味を考えてみたら2chの音声信号処理ではOrpheus直接が有利なのはわかっていますが、それでもずいぶんと違います。
そしてAVアンプもだいぶ古いモデルとは言え不満なく使っていましたが、音声分離でここまで違うと欲が出てきます。
それにDVDなどはdts5.1などの音声ならHDMIからこの製品で分離して光でAVアンプに入れた方が好感触です。
できればLPCMのマルチチャンネルにも対応してほしいところですが、規格上光ケーブルでそれはできるのかは不明です。
なによりこの製品のそもそもの目的であろう5.1chチャンネルサラウンドスピーカシステムにAVアンプ無しで組み込むことができるというのがかんたんに実現できるというのが魅力的です。
私はそういう製品を持っていませんが、パソコンの周辺機器などを見に行くと小型で5.1chの音声再生ができるスピーカなどが売っています。
こういう製品でサラウンドをしたいというときにPC側にそういう製品をつなぐ出力があるですとか、HDMIを受けるAVアンプがあればいいのですが、もしない場合にサウンドカードを追加して買うというのも少し手間ですので、この価格で(記事当時公式で5479円)あればサウンドカード増設と悩んでみてもいいかもしれないですね。
サウンドカードも安価でいいものもありますが、私のようにPCのHDMI映像出力が思うように行かないという症状があるですとかならこれを入れてみるというのはおすすめできます。
続きましてRCAでの2ch出力。
こちらは実に検討している感じです。
全般的にいえますが、手のひらに乗るサイズの筐体に様々な機能をもりこんでいるのでさぞ苦戦するだろうと思っていましたが、これがなかなか。
使い方としてはスピーカの無いモニターにつなぐときなどでしょうね。
HDMIケーブルで挟み込むように配線してRCAケーブルを外部のスピーカなどにつなぐ。
もしくはアンプなどがあってオーディオ用のスピーカにつなぐなど。
この使い方でまたOrpheusの出力との比較をしてみました。
前述のように不利な戦いにはなるのですが、すっきりとした見通しの良い音です。
PC用と考えると十分すぎます。
きちんとしたアンプやスピーカをあてがってやりたくなりますね。
HDMIで出すときは直結とやはり変わらないですが、私の環境では今まで音が出なかったものがこの製品を経由することで音が出るようになったという一点でも素晴らしいと評価してしまいます。
しかしどこが作用して音が出るようになったかはわからないので購入の際はご注意を。
こういうのがほしかったのです。
さて、総評です。
星4.5。
プラスとしてはPC起動時に映像が正常に出るようになった、PCからの音声が正常に出るようになった、光デジタルの音声はHDMIで出すよりメリハリのついた音で満足。
マイナスとしては光√に対応しているフォーマットがもう少しほしい、RCAのアウトが8chほしい、という贅沢なところです。
そもそもTOSの光アウトがLPCMの5.1chなどに対応しているかは不勉強なのでわからないのですが。
それでもdtsなどに対応しているので不足はないですが、欲を言うなら、ということで。
できれば同軸のデジタルアウトもほしいですね。
RCAアウトの8chなどはなかなか需要もないでしょうが、あると嬉しいものです。音声出力の品質はもう少し健闘してほしい感はありますが、これもちょっと欲張りかなとも思います。
ということでマイナス点はほとんどないものねだりになってしまいましたが、かなり満足度の高い製品です。
追記
やはりPC本体の音声出力が安定しないのでこのHDMIオーディオ分離器 RP-HD2HDA1から光で出すとBDでも安定するんですよ。
PCM5.1chで出したいのでHDMIスルーでできれば最高なんですが。
更に追記
HDMIから音声を分離できるのは思った以上に便利ですね。
オーディオ機器に音声だけ入れるであるとか、スピーカのないモニターでも音楽が楽しめるのは非常に満足です。
しかしHDMIから直接音声を出そうとすると音量が非常に低くなることがあります。
こちらはレビューが終わりましても調査して見る予定です。
おそらくAVアンプが原因ではないかと思うのですが。
nicknameさん
2017/11/14
映像と音声一緒に来ているのに、それを分離することに何の意味が??って思ってましたし、あまりにもニッチすぎる商品じゃない?って考えてました。
別モジュールで音声再生したり、音声を送ってほしくない場合もあったり・・・そんなシチュエーションも確かにありますね~。
北のラブリエさん
2017/11/14
でも触ってみるといろいろとつかえるんですよね。
RCAの出力は及第点くらいですが、HDMIをそのまま出すとか光にすると音もすっきりするように思えます。
本当は5.1chのスピーカセットとかあると面白く使えますよね。